生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_液体発酵によるビスパン菌の生産方法
出願番号:1998035618
年次:2007
IPC分類:C12N 1/20,C12R 1/07


特許情報キャッシュ

ヒュン ドン パイク キュン ドン ジェオン スン ヒー サン ウォン セク キム ヒュン スー キム バエク チャン リー JP 3954711 特許公報(B2) 20070511 1998035618 19980218 液体発酵によるビスパン菌の生産方法 バイネックス インコーポレイテッド 598021948 角田 嘉宏 100065868 ヒュン ドン パイク キュン ドン ジェオン スン ヒー サン ウォン セク キム ヒュン スー キム バエク チャン リー KR 1997-47382 19970913 20070808 C12N 1/20 20060101AFI20070723BHJP C12R 1/07 20060101ALN20070723BHJP JPC12N1/20 AC12N1/20 AC12R1:07 C12N 1/00-7/08 C12S 1/00-13/00 PubMed JSTPlus(JDream2) BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) 特開平05−084086(JP,A) 特許第115281(JP,C2) 特表平05−509221(JP,A) 特開平07−184671(JP,A) 特開平06−078765(JP,A) 特開平05−304973(JP,A) 特開平05−244941(JP,A) 特開平04−248989(JP,A) 特開平02−234682(JP,A) 特表平04−501662(JP,A) 社団法人 日本生化学会編,新生化学実験講座17 微生物実験法,株式会社 東京化学同人,1992年,p. 433-446 神鋼フアウドラー技報,1984年,Vol. 28(2),p. 1-4 J. Ind. Microbiol.,1996年,Vol. 16(2),p. 117-123 FEMS Microbiol. Rev.,1994年,Vol. 14(1),p. 53-56 FEMS Microbiol. Rev.,1994年,Vol. 14(1),p. 39-44 8 KCCM 10104 1999103855 19990420 10 20040323 植原 克典 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、液体発酵によりビスパン菌を大量に増殖させる方法に関し、さらに詳細には、活性芽胞菌を獲得することができる、高収量のビスパン菌の生産法に関するものである。【0002】【従来の技術】医薬用及び整腸剤に使用されている細菌には、ビピドバクテリウム(Bifidobacterium)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、エンテロコカス(Enterococcus)属、クロストリジウムブチリクム(Clostridium butyricum)、ラクトバチルススポロゲネス(Lactobacillus sporogenes)、バチルスサブチリス(Bacillus subtilis)及びバチルスポリファメンチクス(Bacillus polyfermenticus)等がある。これらのうち、バチルスポリファメンチクス(Bacillus polyfermenticus)菌は、活性芽胞を形成して生菌の大部分が腸に到達するので、長期間の腸疾患に対して治療効果を示す最も優秀な菌であって、一般にビスパン(Bispan)菌と呼ばれている。【0003】ビスパン菌は、日本薬局方外医薬品成分規格に糖化菌(Amylolytic bacillus)といってバチルスサブチリス(Bacillus subtilis)及びバチルスメセンテリクス(Bacillus mesentericus)と一緒に掲載されているが(日本厚生省薬務局審査課監修:日本薬局方外医薬品成分規格735〜1125、1991年)、国際命名規約(例えば、Bergey's manual)による分類名には存在しない(Sneath, P.H.A.:Endospore-forming gram-positive rods and cocci. In Bergey's Manual of Systematic Bacteriology 第1版、1104〜1207頁、Williams及びWilkins、Baltimore、1986年)。そして、各種研究によると、ビスパン菌は、形態及び生化学的性状の点からバチルスサブチリス(Bacillus subtilis)と非常に類似していると認められている。しかしながら、ビスパン菌は、ラクトースを分解する能力があり、バチルスサブチリスに比べてグルコースとラクトースからアセト酸と乳酸をもっと多く生産するという点において、ビスパン菌は、バチルスサブチリス(Bacillus subtilis)と区別することができる。【0004】ビスパン菌は、1933年日本の微生物学者である寺門賀述博士により空気から分離された芽胞性桿菌である。この菌は、各種酵素を分泌して、病原性菌であるチフス菌、パラチフス菌、赤痢菌、コレラ菌等を溶菌させて増殖を抑制する機能を有している。また、ビスパン菌を体内に摂取する場合、ビタミンB1、B2を供給することにより食欲及び消化作用を促進させることができ、且つ、非経口的感染の防御作用と経口的免疫能が増強されるという事実が明らかになっている。【0005】ビスパン菌の培養及び適用については、特願昭11−123号公報(日本国特許第115281号)「細菌を用いて腸疾患治療薬を製造する方法」における記載を挙げることができる。上記特許には、ビスパン菌の培養液を65℃で1時間加熱した後、33℃で24時間放置し、さらに65℃で1時間加熱する操作を4回繰り返す工程と、酢酸を用いて培養液を弱酸性にし、加温下に乾燥する工程と、ビスパン菌の培養菌体に0.3〜0.5%の硫酸水を加えて、得られた混合物を37℃に維持した後、加温下に乾燥する工程及び一定量の培養菌体を澱粉及びラクトースに混合する工程を含む方法によって、腸疾患治療薬が製造されることが開示されている。【0006】しかるに、上記のような製造方法では、ビスパン菌の複数の培養工程に基づく培養菌体回収において非常に多くの段階を経ることが要求され、これにより経済性が劣るという不都合を有する。また、従来ビスパン菌の培地として使用された培地(ブイヨン培地(Bouillon))は、高価であるので、コスト高を招く原因になっていた。【0007】従って、より経済的で、且つ高い歩留まりにてビスパン菌を大量生産することができる方法が希求されているところである。【0008】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ビスパン菌の大量生産方法を提供することにある。【0009】また、本発明の他の目的は、ビスパン菌の培養液中の活性芽胞数を増加させることにある。【0010】【課題を解決するための手段】 本発明によると、(1)ブドウ糖1〜3%(重量/容量)、とうもろこし澱粉1〜5%(重量/容量)、大豆粉1〜5%(重量/容量)及びとうもろこし浸漬液2〜20%(重量/容量)よりなる群から選択された1種又は2種以上の成分(a)と、 第1リン酸カリウム0.05〜0.5%(重量/容量)、第2リン酸カリウム0.05〜0.5%(重量/容量)、塩化カルシウム2水和物0.01〜0.5%(重量/容量)、硫酸マグネシウム7水和物0.01〜0.1%(重量/容量)、硫酸銅5水和物0.001〜0.01%(重量/容量)、硫酸マンガン0.001〜0.01%(重量/容量)、硫酸鉄7水和物0.001〜0.01%(重量/容量)、硫酸亜鉛7水和物0.001〜0.01%(重量/容量)を含む微量成分(b)とを含む液体生産培地に、ビスパン菌(Bacillus polyfermenticus)を接種する工程と、 (2)30〜37℃でpH6.8〜7.2にて、好気的に培養する工程とを含むことを特徴とする液体培養によって当該ビスパン菌を培養する方法が提供される。【0011】 本発明による液体生産培地は、 ブドウ糖1〜3%(重量/容量)、とうもろこし澱粉1〜5%(重量/容量)、とうもろこし浸漬液5〜20%(重量/容量)及び微量成分を、蒸留水に溶解して混合したもの、 ブドウ糖1〜3%(重量/容量)、大豆粉1〜5%(重量/容量)及び微量成分を、蒸留水に溶解して混合したもの、あるいは ブドウ糖1〜3%(重量/容量)、とうもろこし澱粉1〜3%(重量/容量)、とうもろこし浸漬液2〜10%(重量/容量)、大豆粉1〜3%(重量/容量)及び微量成分を、蒸留水に溶解して混合したものであることが好ましい。【0012】 そして、前記ビスパン菌が、ビスパン菌SCD(KCCM10104)であり、前記培養が、培養途中での培地中のブドウ糖の消費に応じて、ブドウ糖の最終濃度が1%(重量/容量)になるように、一定の間隔でブドウ糖を添加する流加式方法により行われるとよい。【0013】【発明の実施の形態】培地組成が菌の生産に影響を及ぼすことは公知となっているところであるが、本発明者らは、経済性及び効果に優れた炭素源、窒素源及び微量元素を選定し、これに最も適合する培養条件を究明することにより、生産条件の経済性を高めることを可能とした。【0014】ビスパン菌の総生菌の数は、発酵培養液を0.1%(重量/容量)のペプトン水で連続的に希釈した後、平板培地に0.1mlずつ分株し、37℃で24時間培養した後、コロニー形成単位(Colony Forming Unit;CFU)を測定することにより計算した。活性芽胞菌の数は、発酵培養液を80℃で2時間熱処理して栄養細胞を死滅させ、無菌の希釈液で連続的に希釈した後、TSA(Tryptic Soy Agar)平板培地に0.1mlの希釈された培養液を滴下し、軟質寒天(soft agar)でオーバーレイ(overlay)し、37℃で24時間培養した後、測定した。【0015】本発明の方法により培養された培養液は、適宜の方法で処理して粉剤又は液剤等で製剤化することができる。例えば、粉剤として製剤化しようとする場合は、噴霧式乾燥法、凍結乾燥法等を使用することができる。噴霧式乾燥法では、展着剤、安定剤、希釈剤等を乾燥時に添加することにより粉末を獲得することができる。この際使用される展着剤、安定剤又は希釈剤等は、当業界に周知されており、その具体的な種類と量は、製剤の種類及び使用目的に合わせて当業者により容易に決定されることができる。【0016】以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。下記各種例において、%は、他の説明がない限り重量%である。【0017】【実施例】参考例1本発明者らは、市販されているビスパン製剤からビスパン菌を分離し、同定した。【0018】すなわち、輸入生菌製剤であるBisroot tablet(登録商標)の粉末を栄養寒天又はTSA(Tryptic Soy Agar)に塗抹し、37℃で培養した。形態、色相及び表面特徴が異なると思われるコロニーを選択して、希釈法で純粋分離した。各々の菌を、グラム染色法、マラカイトグリーン(Malachite Green)胞子染色法、鞭毛染色法等を用いて顕微鏡で観察した。生化学的性質及び活性は、文献(Biochemical tests for Identification of medical bacteria;Manual for the Identification of medical bacteria)に提示された方法で試験し、その結果を、日本国で発表された腸疾患有効細胞の実験結果と比較した。【0019】本発明者らは、このように分離されたビスパン菌をバチルスポリファメンチクスSCD(Bacillus polyfermenticus SCD)と命名し、1997年8月5日付で韓国種菌協会付設の韓国微生物保存センター(Korea Culture Center of Microorganisms;KCCM)にブタペスト条約の規定によって寄託し、当該ビスパン菌はKCCM10104の受託番号を付与された。【0020】本発明によって分離されたビスパン菌の菌株の特性を同定した結果は、以下の表1に示す通りである。【0021】【表1】【0022】実施例1使用菌株:ビスパン菌(Bacillus polyfermenticus)SCD(KCCM10104)種培養:培地はTSB(Tryptic soy broth)を用いて、500mlのバフル付フラスコに種菌を1白金耳(one loopful)の量で接種して、37℃で200rpmの攪拌速度で10時間振盪培養して種培養を実施した。【0023】[培養方法]【0024】【表2】【0025】表2に示す生産培地の成分のうち、とうもろこし澱粉、大豆粉及び塩化カルシウム2水和物のような熱安定性のものは、121℃で20分間加圧滅菌した。また、熱に不安定であるか、または錯化合物を生成する残りの成分は、ポアサイズが0.45μmである使い捨て用の無菌濾過器(メンブレンフィルター)を通過させた後、無菌的に発酵槽に添加した。【0026】5Lの発酵槽に3Lの前記生産培地を入れ、前記種培養液30〜60mlを接種して、30〜37℃で培養中にpHを6.8〜7.2に調節し、通気量は、1.0vvmに維持した。回転攪拌数は、500〜700rpmにして培養した。接種してから72〜96時間が経過した後、培養を終了した。【0027】培養初期に、培地中にブドウ糖が消費されたことを確認した後、3〜4回にかけてブドウ糖の濃度が培地中に1%になるように、滅菌された濃縮ブドウ糖を供給する流加式培養法(fed-batch cultivation)を採択した時、表3に示すように、回分式培養(batch cultivation)に比べてビスパン菌の数が非常に増加したが、最大活性芽胞数が約58%増加した。【0028】【表3】【0029】実施例2〜4実施例1と同様の条件で培養を行った。この際に使用された生産培地の組成は、以下の表4に示す通りである。【0030】【表4】【0031】上記表4に示した各々の培地を用いて、ビスパン菌SCDを回分式で培養するか、又は上記実施例1と同様の条件の流加式で培養した培養液の最大活性芽胞数は、以下の表5に示す通りである。【0032】【表5】【0033】実施例5本発明による培地が、ビスパン菌の生産に優れていることを確認するため、実施例1の培地及びバチルス菌の培養に通常的に幅広く使用されるTSB(Tryptic Soy Broth)培地を用いて実施例1と同様の条件で回分式培養を行い、最大活性芽胞数及び生産性を比較した。その結果は、下記表6に示す通りである。【0034】【表6】【0035】上記表6に示される結果から、本発明による培地を用いた培養において、ビスパン菌の生産が約44%程度増加することを確認することができる。【0036】実施例6本発明による培地が、ビスパン菌の生産に優れていることを確認するため、実施例1と同様に実施した。すなわち、培地中のブドウ糖が消費された後、濃縮ブドウ糖を1%の濃度に添加する流加式の培養方式を採択した。2つの培地を用いて培養を行った後、得られた培養液の最大活性芽胞数及び生産性を比較した。結果は、下記表7に示す通りである。【0037】【表7】【0038】上記表7の結果から、本発明による培地を用いた流加式培養において、ビスパン菌の生産が約90%程度増加することを確認することができる。【0039】【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、従来のビスパン菌の培養方法に比べて安価な培地を使用しながらも、従来の方法に比べて一層生産性を向上させることができる。 ビスパン菌(Bacillus polyfermenticus)の生産用液体培地であって、以下の成分、すなわち; (a) ブドウ糖1〜3%(重量/容量)、とうもろこし澱粉1〜5%(重量/容量)、大豆粉1〜5%(重量/容量)、および、とうもろこし浸漬液2〜20%(重量/容量)よりなる群から選択された1種または2種以上の成分;および (b) 第1リン酸カリウム0.05〜0.5%(重量/容量)、第2リン酸カリウム0.05〜0.5%(重量/容量)、塩化カルシウム2水和物0.01〜0.5%(重量/容量)、硫酸マグネシウム7水和物0.01〜0.1%(重量/容量)、硫酸銅5水和物0.001〜0.01%(重量/容量)、硫酸マンガン0.001〜0.01%(重量/容量)、硫酸鉄7水和物0.001〜0.01%(重量/容量)、および、硫酸亜鉛7水和物0.001〜0.01%(重量/容量)を含む微量成分、 の双方の成分を含む、ことを特徴とするビスパン菌の生産用液体培地。 前記(a)成分が、ブドウ糖1〜3%(重量/容量)、とうもろこし澱粉1〜5%(重量/容量)、および、とうもろこし浸漬液5〜20%(重量/容量)からなる請求項1に記載の液体培地。 前記(a)成分が、ブドウ糖1〜3%(重量/容量)、および、大豆粉1〜5%(重量/容量)からなる請求項1に記載の液体培地。 前記(a)成分が、ブドウ糖1〜3%(重量/容量)、とうもろこし澱粉1〜3%(重量/容量)、とうもろこし浸漬液2〜10%(重量/容量)、および、大豆粉1〜3%(重量/容量)からなる請求項1に記載の液体培地。 前記ビスパン菌が、バチルス ポリファメンチクス SCD(Bacillus polyfermenticus SCD;KCCM 10104)である請求項1乃至4のいずれかに記載の液体培地。 ビスパン菌(Bacillus polyfermenticus)の増殖方法であって、以下の工程、すなわち、 (1) 請求項1乃至4のいずれかに記載の液体培地にビスパン菌を接種し、および、 (2) 30〜37℃で、pH6.8〜7.2にて、当該ビスパン菌を好気的に培養する、 工程を含む、ことを特徴とするビスパン菌の増殖方法。 前記ビスパン菌が、バチルス ポリファメンチクス SCD(Bacillus polyfermenticus SCD;KCCM 10104)である請求項6に記載の方法。 前記工程(2)が、前記液体培地でのブドウ糖の消費に応じて、ブドウ糖の最終濃度が1%(重量/容量)になるように、一定の間隔でブドウ糖を添加する流加式方法に従って実施される請求項6または7に記載の方法。


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