タイトル: | 特許公報(B2)_ブロモメチルシクロプロパンの製造方法 |
出願番号: | 1998029468 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 17/16,B01J 31/02,C07C 22/00,C07B 61/00 |
三谷 利道 林原 太津彦 塩野 万蔵 JP 3923167 特許公報(B2) 20070302 1998029468 19980212 ブロモメチルシクロプロパンの製造方法 株式会社クラレ 000001085 三谷 利道 林原 太津彦 塩野 万蔵 JP 1997029085 19970213 20070530 C07C 17/16 20060101AFI20070510BHJP B01J 31/02 20060101ALI20070510BHJP C07C 22/00 20060101ALI20070510BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070510BHJP JPC07C17/16B01J31/02 102XC07C22/00C07B61/00 300 C07C 17/16 B01J 31/02 C07C 22/00 C07B 61/00 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平06−009451(JP,A) 第4版実験化学講座19 有機合成I-炭化水素・ハロゲン化合物-,丸善,1992年,p.445 1 1998287597 19981027 5 20021226 品川 陽子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は医薬品原料として有用な高純度ブロモメチルシクロプロパンの製造方法に関するものである。【0002】【従来の技術】従来、ブロモメチルシクロプロパンの製造方法としては、三級アミンの存在下、シクロプロピルメタノールにメタンスルホニルブロマイドを反応させて加熱する方法(特開平6−9451号公報参照)、シクロプロピルメタノールにジメチルスルフィド−臭素錯体を反応させる方法[Chem. Commun.、212頁(1973年)参照]、シクロプロピルメタノールに三臭化リンを作用させる方法[J. Am. Chem. Soc.、2509巻(1951年)参照]などが知られているが、これらの方法ではシクロプロパン環の開環反応やブロモシクロブタンへの異性化が進行し、医薬用途で必要とされる高純度のブロモメチルシクロプロパンを得ることはできない。医薬用途に必要な高純度のブロモメチルシクロプロパンの製造方法としては、シクロプロピルメタノールをトリフェニルホスフィン−臭素により臭素化する方法が知られているのみである[J. Org. Chem.、49巻、431頁(1984年)およびWO97/30958公報参照]。【0003】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の方法は、使用するトリフェニルホスフィン−臭素が高価な上、大量のリン廃棄物が副生するという問題点を有しており、工業的に実施するには適当ではない。しかして、本発明の目的は、高純度のブロモメチルシクロプロパンを、高い選択性を保持しながら、工業的に有利に製造し得る方法を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】 本発明によれば、上記の目的は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランから選択される非プロトン性溶媒中、三級アミンの存在下、シクロプロピルメタノールに有機スルホニルハライドを作用させることによりシクロプロピルメチル有機スルホナートを含む溶液を得、得られたシクロプロピルメチル有機スルホナートを含む溶液を、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランから選択される非プロトン性極性溶媒中、アルカリ金属ブロマイドおよび/または四級アンモニウムブロマイドと反応させ、かつ、反応を−20℃〜40℃の温度範囲で行うことを特徴とするブロモメチルシクロプロパンの製造方法を提供することにより達成される。【0005】【発明の実施の形態】非プロトン性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの極性溶媒;塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素などを例示することができ、特にN,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、N−メチルピロリドンなどが好ましい。非プロトン性溶媒の使用量は、攪拌が可能な量であれば限定されないが、通常シクロプロピルメタノールに対し、0.1〜100重量倍の範囲の量が好ましい。【0006】三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミン;ジメチルアニリン、ジエチルアニリンなどの芳香族アミン;N−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリンなどの含窒素複素環化合物が挙げられる。三級アミンの使用量としては、通常有機スルホニルハライドに対し、0.8〜5モル当量の範囲が好ましい。【0007】有機スルホニルハライドとしては、メタンスルホニルクロライド、メタンスルホニルブロマイド、エタンスルホニルクロライドなどのアルカンスルホニルハライド;ベンゼンスルホニルクロライド、ベンゼンスルホニルブロマイド、トルエンスルホニルクロライド、p−クロロベンゼンスルホニルクロライドなどのアレーンスルホニルハライドが挙げられる。有機スルホニルハライドの使用量としては、通常シクロプロピルメタノールに対し、0.8〜1.2モル当量の範囲が好ましい。【0008】シクロプロピルメチル有機スルホナートとアルカリ金属ブロマイドおよび/または四級アンモニウムブロマイドとの反応に使用される非プロトン性極性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどを例示することができ、特にN,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、N−メチルピロリドンなどが好ましい。非プロトン性極性溶媒の使用量は、上記の非プロトン性溶媒の使用量の範囲であるのが適当である。なお、シクロプロピルメタノールに有機スルホニルハライドを作用させる反応において非プロトン性極性溶媒を使用した場合には、シクロプロピルメチル有機スルホナートとアルカリ金属ブロマイドおよび/または四級アンモニウムブロマイドとの反応を、該非プロトン性極性溶媒中で続けて行うことができる。一方、シクロプロピルメタノールに有機スルホニルハライドを作用させる反応において非プロトン性極性溶媒以外の非プロトン性溶媒を使用した場合には、非プロトン性極性溶媒との溶媒置換を行った後に、シクロプロピルメチル有機スルホナートとアルカリ金属ブロマイドおよび/または四級アンモニウムブロマイドとの反応を行う。【0009】アルカリ金属ブロマイドとしては、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化セシウムなどのアルカリ金属臭化物などが挙げられ、四級アンモニウムブロマイドとしては、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムブロマイドなどを例示することができる。これらのアルカリ金属ブロマイドおよび/または四級アンモニウムブロマイドの使用量は、有機スルホニルハライドに対し、1〜5モル当量の範囲が好ましい。【0010】アルカリ金属ブロマイドおよび/または四級アンモニウムブロマイドは、有機スルホニルハライドの添加前に反応系に存在させておいても、有機スルホニルハライドの添加後に反応系に加えてもよい。また、非プロトン性溶媒中、三級アミンの存在下、シクロプロピルメタノールと有機スルホニルハライドを反応させ、生成した三級アミンのハロゲン化水素塩を濾過して除去した後に、アルカリ金属ブロマイドおよび/または四級アンモニウムブロマイドを加えてもよい。【0011】反応温度は、高温ではシクロプロパン環が開環しやすくなるため、−20℃〜40℃の範囲の温度が好ましく、0℃〜30℃の範囲の温度がより好ましい。【0012】反応終了後、反応混合物からの目的物の単離精製は、非プロトン性極性溶媒と相分離する溶媒、例えばヘキサン、ペンタン、シクロヘキサンなどの炭化水素系抽出溶媒および水を加えて目的物を抽出し、抽出液を水、重曹水等で洗浄後、蒸留することにより行うことができる。【0013】【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は本実施例により限定されるものではない。【0014】実施例1窒素雰囲気下、シクロプロピルメタノール7.2g、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン(DMI)25mlおよびトリエチルアミン12.1gを混合し、−10℃に冷却したのち、メタンスルホニルクロリド11.46gを、内温を0℃以下に保ちながら約50分間かけて滴下した。滴下後、0℃で30分間攪拌したのち、生成した結晶を濾過し、DMI 20mlで洗浄した。濾液と洗液を合わせ、攪拌しながら臭化ナトリウム30.9gを加え、室温で4時間攪拌した。得られた反応液を氷冷し、ヘキサン100mlを加えて0℃に保ちながら水100mlを加え、分液した。有機層を分析したところ、ブロモメチルシクロプロパンの純度は99.3%であり、収率84%であった。有機層よりヘキサンを留去した後、減圧蒸留することにより、ブロモメチルシクロプロパンを10.13g得た(純度99.3%、収率75%)。なお、溶媒として用いたDMIは水層よりジクロロメタン抽出により回収した。【0015】実施例2実施例1において、溶媒のDMIの代わりにN,N−ジメチルホルムアミドを用いた以外は実施例1と同様に反応および後処理を行うことにより、ブロモメチルシクロプロパンを10.6g得た(純度99.4%、収率80%)。【0016】【発明の効果】高純度のブロモメチルシクロプロパンを、高い選択性を保持しながら、工業的に有利に製造し得る方法が提供される。 N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランから選択される非プロトン性溶媒中、三級アミンの存在下、シクロプロピルメタノールに有機スルホニルハライドを作用させることによりシクロプロピルメチル有機スルホナートを含む溶液を得、得られたシクロプロピルメチル有機スルホナートを含む溶液を、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランから選択される非プロトン性極性溶媒中、アルカリ金属ブロマイドおよび/または四級アンモニウムブロマイドと反応させ、かつ、反応を−20℃〜40℃の温度範囲で行うことを特徴とするブロモメチルシクロプロパンの製造方法。