タイトル: | 特許公報(B2)_自動製麹装置の連続運転装置 |
出願番号: | 1998017701 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C12M 1/16,C12M 1/36 |
京 周次 荒木 和弘 JP 3781082 特許公報(B2) 20060317 1998017701 19980114 自動製麹装置の連続運転装置 永田醸造機械株式会社 302026737 石山 博 100060726 京 周次 荒木 和弘 20060531 C12M 1/16 20060101AFI20060511BHJP C12M 1/36 20060101ALI20060511BHJP JPC12M1/16 104C12M1/36 C12M 1/16-1/20 C12M 1/36 特開平02−016964(JP,A) 特開平05−103656(JP,A) 5 1999196853 19990727 7 20050112 田中 晴絵 【0001】【産業上の利用分野】 この発明は、主として酵素工業並びに醸造工業の、回分式固体培養装置における、連続運転に関するものである。【0002】【従来の技術】 回分式固体培養装置では、製麹工程、出麹工程、洗浄工程の各々が独立して自動化されていたが、各終了時には作業員が手動操作で次工程へ移行させていた。 洗浄工程では、高度なサニタリ性維持のため、多量の洗浄水と大型の高圧ポンプを使用し、製麹装置を自動洗浄していた。 特公昭46―21795「回転円盤式自動連続製麹装置」に示される連続式の製麹装置では、回分式製麹装置と異なり、製麹室内に常に麹基質があるため、製麹室内全体を同時に洗浄殺菌することができない。このため、部分的に洗浄しても、高度なサニタリ性を維持鶴個が困難であった。【0003】【発明が解決しようとする課題】 従来は、製麹工程、出麹工程、洗浄工程を手動操作で次工程へ移行させていたため、製麹工程の終了時期を夜間や早朝に設定すると、時間外の作業員の配置が必要となる。また、各工程の中で特に手動操作を必要とする洗浄工程では、大量の洗浄水と、大型の高圧ポンプを使用しても、洗浄不足の部分が発生し、作業員による手動洗浄を行う必要があった。これは、吐出圧力の高い高圧ポンプを使用しても、多数の洗浄配管から同時に洗浄水を噴出させるために、洗浄水の噴出圧力が低下することが原因となっていた。【0004】 この発明の課題は、回分式の製麹装置において、洗浄工程のサニタリ性を向上させると共に、動力と水の使用量を低減させる。また、洗浄後の製麹室内の乾燥又は加熱殺菌を可能とする。更に、回分式の製麹方法及び装置において、製麹工程、出麹工程、洗浄工程、乾燥工程及び盛込工程を連続して自動化させる自動製麹装置の連続運転装置を提供することが目的である。【0005】【課題を解決するための手段】 この発明の請求項1では、保温性を有する壁体で構成した製麹室に、麹基室を堆積する培養床を設ける、培養床上には、麹搬送装置と手入装置を設ける。中心円筒近傍の天井部壁体から、製麹室内部に複数の洗浄装置を回転可能に設ける。前記洗浄装置は製麹室内において、中心円筒洗浄配管と、天井部壁体洗浄配管及び側部壁体洗浄配管に分岐して設ける。培養床より上方の中心円筒、天井部壁体及び側部壁体を複数の洗浄範囲に分割し、設定した洗浄時間に基づいて各洗浄範囲を前記洗浄配管により順次洗浄する。中心円筒洗浄配管と、天井部壁体及び側部壁体洗浄配管に分岐した回転可能な洗浄配管を複数も受けることにより、培養床より上方の高度サニタリ性維持が必要な、複数の洗浄範囲に分割した培養床より上方の中心円筒、天井部壁体及び側部壁体を、高い噴出圧力で洗浄することができる。【0006】 この発明の請求項2では、麹基質と常に接触する培養床と側板の材質を抗菌性ステンレスで構成する。抗菌性ステンレスを使用することで、殺菌剤等を配合した薬品による洗浄を行うことなく、サニタリ性を維持することができる。【0007】 この発明の請求項3では、麹搬送装置と手入装置の中で、麹基質と直接接触するスクリュウ、切羽、回転シャフト、スクレーパ等の材質を抗菌性ステンレスで構成する。【0008】 この発明の請求項4では、壁体の内面及び中心円筒表面の材質を抗菌性ステンレスで構成する。【0009】 この発明の請求項5では、循環空気又は席区室外から取入れた空気に接触する空調装置及びダクトを抗菌性ステンレスで構成する。空調装置及びダクトには、水滴を除去するエリミネ−タや風向を変えるルーパやダンパを含む。【0010】【発明の実施の形態】 以下、図面によってこの発明の実施例を説明する。 図1は、この発明による自動製麹装置の連続運転装置を設けた回転式自動製麹装置の横断面図である。図2はこの発明による自動製麹装置の連続運転方法及び装置を設けた回転式自動製麹装置の縦断面図である。図3は各工程のタイムチャートである。【0011】 断熱した壁体1で構成した製麹室内に、天井部の壁体1と床部の壁体1に固定した中心円筒2を設ける。中心円筒2と、側部の壁体1に固定した受ローラ3で支持される、円盤4を回転可能に設ける。円盤4の上面には、パンチング板からなる培養床5を設ける。培養床5の外周端は、側部の壁体1に固定した側板6に対して摺動する。培養床5の上部には麹搬送装置7と、麹を混合攪拌する手入装置8とを昇降可能に設ける。【0012】 麹基質に常時接触する培養床5や側板6、麹基質に接触する麹搬送装置7や手入装置8には、抗菌性ステンレス材などの細菌の増殖を防止する材料を使用してもよい。特にサニタリ性を重視する場合には、麹基質を通過する空気に接触する各部分にも、抗菌性ステンレス材などの細菌の増殖を防止する材料を使用することができる。麹基質を通過する空気に接触する各部分としては、製麹室の内部に面した壁体1の壁面、空調装置13、送風ファン18、ダクト14、ダンパ15、エリミネ−タ16、ルーバ17等がある。【0013】 中心円筒2近傍の天井部の壁体1の上方にロータリジョイント9a,9b,9cを設け、洗浄配管10a,10b,10cを天井部の壁体1を貫通して培養床5上方に設ける。洗浄配管10a,10b,10cは、中心円筒2を洗浄する中心円筒洗浄配管11a,11b,11cと、天井部の壁体1と側部の壁体1を洗浄する上室壁体洗浄配管12a,12b,12cからなる。上室壁体洗浄配管12a,12b,12cは、側板6と側部の壁体1を連結する部分も洗浄することができる。【0014】 図3に示すタイムチャート図に沿って、回文式の製麹装置による連続運転の動きを説明する。 第1工程の製麹工程は、設定された製麹時間に達した時点で自動的に終了し、第2工程の出麹工程に移行する。製麹工程の終了時期は、麹の水分、重量変化、酵素活性等の麹品質や、麹堆積層を通気する空気の通過抵抗の変化等により自動てきに判断してもより。【0015】 第2工程の出麹工程は、円盤4を回転させながら麹搬送装置7を所定の高さまで下降させ、麹を製麹室外へ搬送する。円盤4が1回転する毎に麹搬送装置7を所定の高さまで下降させ、麹搬送装置7の下端が培養床5に近接する位置まで低下してから、円盤4を1回転することで全ての麹を製麹室外へ搬送することができる。したがって、円盤の回転数を制御することにより出麹工程の終了時点を判断することができる。 第3工程から第12工程までの洗浄工程は、洗浄範囲を分割し、各洗浄範囲毎に設定された時間に従い順次洗浄を行う。【0016】 第3工程の麹搬送装置・手入装置予備洗浄後、上室A洗浄を行う。第4工程の上室A洗浄は、図1に示すAの範囲に含まれる天井部1と、Aの範囲に含まれる培養床5より上方の中心円筒2及び側部の壁体1を、洗浄配管10aにより同時に洗浄する。上室A洗浄終了後に、第5工程の上室B洗浄と第6工程の上室C洗浄を各範囲内で同様に順次行う。【0017】 上室の洗浄後に、第7工程から第10工程の麹搬送装置洗浄、手入装置洗浄、円盤洗浄及び培養床5の下方にあたる下室洗浄を行い、製麹装置の本体の洗浄が終了する。円盤洗浄は、円盤4の裏面を洗った後の培養床5のある表面を洗浄する。次に、第11工程から第12工程の空調機洗浄とダクト洗浄を行い洗浄工程を終了する。【0018】 第13工程から第15工程の乾燥工程は、装置の乾燥、殺菌、冷却を行う。第13工程の加温は、製麹室外部に設けた送風ファン18により、円盤4の下方にある下室から培養床5を通して上室へ通気した後、送風ファン18で吸引する循環経路を設け、この循環経路中に直接蒸気を吹込みながら行う。または、図示していないが循環経路中に空気加熱装置を設けてもよい。製麹室内が所定の温度に達した時点で、第14工程の保持に移行する。製麹室内の温度上昇事案が既知であれば、加温の工程を時間で制御してもよい。【0019】 製麹室内の温度を所定の時間保持した後、第15工程の冷却を行う。冷却空気は、除菌された空気で冷却することが好ましいが、清浄な空気であれば製麹室内の空気をそのまま使用してもよい。製麹室内の温度が所定の温度まで低下した後に、第16工程の盛込工程を開始する。製麹室内の温度下降時間が既知であれば、冷却の工程を時間で制御してもよい。 盛込工程終了後に、第1工程の製麹工程に移行し、次回の回分工程を開始する。【0020】【発明の効果】 回分式の製麹装置において、製麹工程、出麹工程、洗浄工程、乾燥工程及び盛込工程を連続して行わせることにより、時間外の作業員の配置が必要でなくなり、各工程の時間設定を自在に行うことができる。また、洗浄範囲を分割して順次洗浄することにより、動力と水を低減させても、高度な洗浄効果を得ることができ、作業員による手動洗浄を行う必要がなくなる。製麹装置に抗菌性の材質を使用し、製麹室内全域を同時に加熱乾燥することで、連続式製麹装置では不可能なサニタリ性に優れた製麹装置を提供することができる。【図面の簡単な説明】【図1】 この発明による自動製麹装置の連続運転方法及び装置を設けた回転式自動製麹装置の横断面図である。【図2】 この発明による自動製麹装置の連続運転装置を設けた回転式自動製麹装置の縦断面図である。【図3】 各工程のタイムチャート図である。【符号の説明】1 壁体2 中心円筒3 受ローラ4 円盤5 培養床6 側板7 麹搬送装置8 手入装置9a,9b,9C ロータリジョイント10a,10b,10c 洗浄配管11a,11b,11c 中心円筒洗浄配管12a,12b,12c 天井部壁体洗浄配管13 空調装置14 ダクト15 ダンパ16 エリミネ−タ17 ルーバ18 送風ファン 保温性を有する壁体で構成した製麹室に、麹基質を堆積する培養床と、培養床上に麹搬送装置と手入装置を設けた製麹装置において、中心円筒近傍の天井部壁体から、中心円筒洗浄配管と天井部壁体洗浄配管及び側部壁体洗浄配管からなる回転可能な複数の洗浄配管を設け、培養床より上方の中心円筒、天井部壁体及び側部壁体を複数の洗浄範囲に分割し、設定した洗浄時間に基づいて各洗浄範囲を前記洗浄配管により順次洗浄する自動製麹装置の連続運転装置。 保温性を有する壁体で構成した製麹室に、麹基質を堆積する培養床と、培養床上に麹搬送装置と手入装置を設けた製麹装置において、麹基質と常に接触する培養床と側板の材質を抗菌性ステンレスで構成する請求項1記載の自動製麹装置の連続運転装置。 麹搬送装置と手入装置において、麹基質と直接接触する部分の材質を抗菌性ステンレスで構成する請求項1記載の自動製麹装置の連続運転装置。 壁体の内面及び中心円筒表面の材質を抗菌性ステンレスで構成する請求項1記載の自動製麹装置の連続運転装置。 循環空気又は製麹室害外から取入れた空気に接触する空調装置及びダクトを抗菌性ステンレスで構成する請求項1記載の自動製麹装置の連続運転装置。