タイトル: | 特許公報(B2)_薄層クロマトグラフィーを用いる疎水性蛋白質の分離及び分析法 |
出願番号: | 1997540528 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 30/95,G01N 33/53 |
ヴォルフガング イゼ リューディガー ナーヴェ ヴォルフラム シュタインヒルバー JP 4181216 特許公報(B2) 20080905 1997540528 19970514 薄層クロマトグラフィーを用いる疎水性蛋白質の分離及び分析法 ニコメッド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 矢野 敏雄 山崎 利臣 久野 琢也 ラインハルト・アインゼル ヴォルフガング イゼ リューディガー ナーヴェ ヴォルフラム シュタインヒルバー DE 19619576.4 19960515 EP 96108905.9 19960604 20081112 G01N 30/95 20060101AFI20081023BHJP G01N 33/53 20060101ALI20081023BHJP JPG01N30/95 ZG01N33/53 D G01N 30/95 G01N 33/53 特開平07−234225(JP,A) 特開平08−009995(JP,A) 特開平01−244368(JP,A) 特開昭61−053566(JP,A) 特開昭62−187254(JP,A) 特公昭58−011573(JP,B1) 特開平02−248858(JP,A) 特開平03−273163(JP,A) 8 EP1997002463 19970514 WO1997043313 19971120 2000512742 20000926 5 20040401 松本 征二 技術分野本発明は著しく疎水性の蛋白質、蛋白質フラグメント及び修飾体の、及び著しく疎水性のペプチドの検出及び定量法に関する。従来技術疎水性蛋白質の定量は、従来慣用の技術を用いる場合、可能でないか、又は不十分にのみ可能である。疎水性蛋白質は、一方ではSDSゲル上での分離が不十分であり、かつ他方では常用の膜への該蛋白質の転移はせいぜいでセミ定量的であるために、親水性蛋白質の分離のための常法、例えばウェスタン・ブロット法はしばしば疎水性蛋白質に限定された範囲でのみ適用可能である。僅かに修飾した蛋白質(例えば、メチルエステル)の分離はゲル電気泳動を用いて達成することはできない。免疫学的方法、例えばELISA法の使用は、これが一般的に水性系中でのみ実施することができるので、問題が多い。有機溶剤はマイクロタイタープレートの材料と反応し、これを使用不可能にする傾向がある。定量されるべき分析物は通常非常に僅かな量でのみ存在する。しばしば、直鎖の疎水性蛋白質は付加的に他の親油性物質(例えば、リピド)と会合しており、このことは従来の方法による定量を不可能にする。ELISA法においては、これらの成分は相互に分離しない。発明の詳細な説明本発明の目的は、疎水性蛋白質、蛋白質フラグメント及び修飾体及び同様に著しく疎水性のペプチドを分離すること及び定量することを可能にする方法の提供である。更なる目的は、例えばアセチル化又は酸化により僅かに修飾された蛋白質の測定を可能にする方法を提供することである。更なる目的は、疎水性蛋白質、例えば著しく疎水性の肺界面活性作用蛋白質(SP−C)のバイオテクノロジーによる生産における疎水性宿主細胞蛋白質不純物(HCP)の検出に、特に好適である方法を示唆することである。これらの目的は有機媒体中に溶解した蛋白質混合物の薄層クロマトグラフィーによる分離及び分離した蛋白質の免疫学的検出により達成することができることが見いだされた。従って、本発明の課題は著しく疎水性の蛋白質、蛋白質フラグメント及び修飾体の、及び著しく疎水性のペプチドの分離及び定量法であり、この方法は検査すべきサンプルを有機媒体中に溶かし、これを薄層クロマトグラフィーにかけ、かつ疎水性蛋白質を免疫学的に可視にすることからなる。更なる課題はサブクレームから明らかである。この薄層クロマトグラフィーによる分離工程のために、分離すべき蛋白質の疎水特性に適合された、公知の方法及び材料がこの課題に導くことが意外にも見いだされた。可能なクロマトグラフィープレートはそのコーティングが有機媒体中の疎水性混合物を分離するために好適である全てのプレートである。これらのうちでも、特に好適であることが立証されているものはジオール(Diol)という商品名でメルク・ダルムシュタット社によって市販されているHPTLCプレートであり、これは変性シリカマトリックスを有する。疎水性蛋白質に関して、薄層クロマトグラフィーのために好適な移動相は有機溶剤及び有機溶剤混合物、例えばクロロホルム及びメタノールの混合物である。非極性及び極性溶剤の混合物は、特に好適であり、可能な非極性溶剤は、特にクロロホルム、塩化メチレン及びトルエンであり、かつ極性溶剤は短鎖アルコールであり、特にメタノール、エタノール及びイソプロパノールである。プレートへのサンプルの適用及び分離法は常法で、例えば市販の入手可能な自動装置で実施される。免疫学的検出のための製造のためには、このプレートを薄層クロマトグラフィー分離の後に乾燥する。非特異的結合部位の飽和のためには、このプレートを好適な遮蔽溶液、例えばゼラチン又は蛋白質溶液とインキュベートする。次いでこのプレートを第一の抗体とインキュベートする。もしこの抗体が、標識を有していないのであれば、検出は標識された第二の抗体の助けを借りて実施することができる。検出のためには、全ての市販の検出法を使用することができる。過剰の第一の抗体を洗浄により除去した後、インキュベーションを標識した第二の抗体と共に実施する。洗浄後、標識した抗体を検出する。標識した抗体を常法で、例えばルミノール及び過酸化水素の添加により、例えば非常に感度の高い、アメルスハム・ブフラー(Amersham Buchler)のECL(強化化学ルミネッセンス)検出法により、可視にする。僅かな化学的修飾が期待される純度分析においては、物質を分離した後、直接TLCプレート上で同様に常用の蛋白質染色試薬を用いて検出することができる。次に、大腸菌を用いるr−SP−Cのバイオテクノロジーによる製法において、宿主細胞蛋白質不純物の測定法を用いて、本発明を実施例により記載する。実施例1. 免疫のためのHCPの獲得文献公知の方法との及び関連公式規則との一致において、ダウンストリーム法の最終相から抗原フラクションを探した。従って、免疫のためには、HCPをr−SP−Cが80〜90%まで純粋である発酵相から取り出した。HCP抗原フラクションの除去のためには、10l空発酵から濾過により及び/又は遠心分離により単離された含有体60gを、約96時間の凍結乾燥の後に使用した。2.抗血清の製造pH2の95%濃度のイソプロパノール中に溶かしたHCP1mgを真空濃縮器(speedvac(R))中で乾燥し、リン酸塩緩衝した塩水0.5ml中に再懸濁させ、アジュバント(ベース免疫のためにABM−S及びブースター注射のためにABM−N)0.5mlと混合し、かつそれぞれの場合に1mg/ウサギの量で皮下に注射した。免疫法は標準法に従って実施した:最初の免疫の後、ブースター注射を4週間ごとに6回まで実施した。血液の採取をそれぞれの場合において、タイターの展開を監視するために最後の注射の10日後に実施した。タイターが十分になるとすぐに、血液50mlを採取し標準法に従って、血清を製造した。3. タイターの測定タイターの測定のために、個々の血清を種々の希釈で免疫薄層クロマトグラフィー(immuno-TLC)として記載されている新規方法を用いて分析した。1:5000、1:10000、1:20000及び1:50000の希釈をHCPの4、16、62.5及び250ngを分析するために使用した。1:10000の希釈で、調査した全てのウサギ抗体は全蛋白質の量に比例してHCP成分を認めた。同様のタイターを有する抗血清をプールし、再分析した。この血清を標準法に基づき、かつ分割して−20℃で貯蔵した。4. サンプル製造及び薄層クロマトグラフィー(TLC)分析すべきサンプルを真空濃縮器中で乾燥し、かつCHCl3/MeOH20〜200μl中に溶かした。薄層クロマトグラフィーのために、ジオール(Diol)という商品名でメルク・ダルムシュタット社によって市販されている変性シリカマトリックスを有するHPTLCプレートを使用した。HPTLCプレートへのサンプルの適用はリンゴマート(Lingomat)IV(Camag,Berlin)を用いて自動的に実施した。サンプル適用後、このプレートを空気乾燥し、かつCHCl3/MeOH混合物[CHCl3/MeOH/25%濃度のNH4OH/H2O=32.5/15/1/2(容量比)]を液相として使用してクロマトグラフィーを実施した。クロマトグラフィーの後、このプレートを乾燥した。5. 抗−HCP抗体でのHCPの免疫ステイン非特異的結合部位を飽和するために、乾燥HPTLCプレートをNaCl 150mM、Na2HPO412mM及びNaH2PO43mMを含有するPBS(pH7.4)中の3%濃度の魚ゼラチンと4時間インキュベートした。次いで、このプレートを第一の抗体の、通常1:10000の希釈での存在下に、僅かに振盪して一夜インキュベートした。未結合の抗体をトリスHCl 4mM、NaCl 100mM、ツウィン20 0.05%からなるTBS/T(pH7.4)で数回洗浄することにより除去した。第一の抗体とのハイブリダイゼーションのために、このプレートを西洋わさびペルオキシドと複合した第二の抗体と、TBS/T中の1:80000の希釈で、2時間インキュベートした。未結合の抗体を前記のように、TBS/Tで数回このプレートを洗浄することにより除去した。免疫反応性複合体をアメルスハム・ブフラー(Amersham Buchler)のECL検出システムを用いて可視にした。このプレートをX線フィルム(Hyperfilm Amersham)を用いて20〜60秒間インキュベートした。6. SP−Cのステイン及び免疫ステインSP−Cの修飾(例えば、C−末端でのメチルエステル、及びメチオニンスルホキシド)を検出するために、TLCを用いて分離したこの蛋白質型をポンソー(Ponceau)Sでのステインで検出することができる。より感度の高い可能性は、SP−C抗体の使用及び前記のHCP測定に類似した方法の使用である。7. X線フィルムのビデオイメージング及びコンピューター分析免疫複合体の定量のために、X線フィルムをビデオイメージャー(Cybertech,Berlin,Germany)を用いてデジタル化した。このX線フィルム上のシグナル強度をヴィンカム ソフトウェア(Wincam software:Cybertech)を用いてコンピューター分析により分析した。8. HCPの定量r−SP−Cサンプル中のHCPの測定のために、分割量を純粋のままで、又はHCP2.5、5.0、又は10.0ngを添加の後、分析した。個々のサンプル中のHCPの量は線形回帰計算により決定した。パーセンテージは式%=(HCPのng×100)/r−SP−Cのngにより決定した。r−SP−C中の少量のHCPを定量するために、僅かな量のHCPから標的蛋白質の大部分を分離することが必要である。このことは薄層クロマトグラフィーにより達成された。HCPの検出限界は高度に純粋なr−SP−Cの5μgをHCPのng量と混合することにより分析された。これらの条件下に、HCPの0.125ngはr−SP−Cの内生HCP含有量から識別することが可能である最も低い量である。免疫−TLCにより分析することのできるサンプルの量はHCP含有量に依存する。HCPを0.1%より少量で含有するr−SP−Cサンプルに関しては、r−SP−C1〜5μgが分析される。薄層クロマトグラフィーにより20μgまでのr−SP−Cの量を分離することが可能であり、かつ定量限界がルミノグラフィーにおいて1ngであるので(添加したr−SP−C5μgを使用した場合)、HCPを検出することを理論的に0.005%まで下げることができる。HCP0.002%を検出することは、標準条件下に信頼できる定量限界であると思われる。 疎水性蛋白質の分離、検出及び定量のための方法において、検査すべきサンプルを有機媒体中に溶かし、これを薄層クロマトグラフィー(TLC)にかけ、かつTLCプレート上で直接免疫学的方法を用いて疎水性蛋白質を検出し、蛋白質を定量することからなることを特徴とする、疎水性蛋白質の分離、検出及び定量法。 有機媒体がクロロホルムとメタノールとの混合物である、請求項1記載の方法。 定量を免疫学的方法により実施する、請求項1記載の方法。 免疫学的方法が疎水性蛋白質を標識した抗体に結合することからなる、請求項3記載の方法。 免疫反応性複合体を可視化し、かつ定量することからなる、請求項4記載の方法。 可視化および定量を化学ルミネッセンスを用いて実施する、請求項5記載の方法。 薄層クロマトグラフィーを変性シリカマトリックスを有する被覆されたプレート上で実施することからなる、請求項1記載の方法。 有機媒体が疎水性蛋白質を溶かすことができる溶媒混合物である、請求項1記載の方法。