生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ペクチンエステラーゼ活性を有する酵素
出願番号:1997529714
年次:2009
IPC分類:C12N 15/09,C12G 1/02,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 9/18


特許情報キャッシュ

アンデルセン,レネ ノンボエ カウピネン,マルクス サカリ ブドルフゼン,ギッテ JP 4243348 特許公報(B2) 20090109 1997529714 19970218 ペクチンエステラーゼ活性を有する酵素 ノボザイムス アクティーゼルスカブ 500586299 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 福本 積 100087871 古賀 哲次 100087413 渡辺 陽一 100117019 中村 和広 100108903 アンデルセン,レネ ノンボエ カウピネン,マルクス サカリ ブドルフゼン,ギッテ DK 0191/96 19960221 20090325 C12N 15/09 20060101AFI20090305BHJP C12G 1/02 20060101ALI20090305BHJP C12N 1/19 20060101ALI20090305BHJP C12N 1/21 20060101ALI20090305BHJP C12N 9/18 20060101ALI20090305BHJP JPC12N15/00 AC12G1/02C12N1/19C12N1/21C12N9/18 C12N 15/09 C12G 1/02 C12N 1/19 C12N 1/21 C12N 9/18 BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) CA(STN) GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq SwissProt/PIR/GeneSeq PubMed 特開平02−283287(JP,A) 国際公開第94/025575(WO,A1) Mycologia, 1988年, Vol.80, No.5, pp.612-621 Gene, 1993年, Vol.131, No.1, pp.17-25 Protein Science, 1992年, Vol.1, No.10, pp.1288-1292 Nucleic Acids Research, 1990年, Vol.18, No.14, p.4262 18 DSM DSM 10357 CBS CBS 521.95 DK1997000073 19970218 WO1997031102 19970828 2000504587 20000418 23 20040205 山形 亜希子 発明の分野本発明は、ペクチンエステラーゼ活性を有する酵素、前記ペクチンエステラーゼ活性を有する酵素をコードするDNA構成物、前記酵素の生産方法、前記ペクチンエステラーゼ活性を有する酵素を含んで成る酵素組成物、並びに様々な工業的用途への前記酵素および酵素組成物の利用に関する。発明の背景ペクチン重合体は植物の一次細胞壁の重要な構成成分である。それらは1,4−結合したα−D−ガラクツロン酸とそれのメチル化誘導体の鎖から成る。ポリガラクツロナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼまたはペクテートリアーゼのようなペクチン分解酵素の使用は、ペクチン重合体の主鎖の分解を触媒するそれらの酵素の能力を利用する食品工業にとって、主として果物や野菜の加工、例えば果汁生産またはワイン醸造において重要である。多数の目的において、例えば、多数の異なるペクチン分解酵素を含有する市販製剤〔そのような製剤の一例は、Novo Nordisk A/Sから入手可能であるアスペルギルス・アクレータス(Aspergillus aculeatus;緑膿菌)から調製したPectinex Ultra SP▲R▼である〕中に存在する各ペクチン分解酵素を、他の成分を含まない形で提供することが望ましいだろう。こうして、特定の目的に適した酵素製剤であって、単一のペクチン分解酵素かまたはそれの任意組合せのいずれかを含む酵素製剤を製造することが可能である。この目的を達成するためには、組換えDNA技術により単一成分のペクチン分解酵素を提供することが好都合である。ペクチンメチルエステラーゼ(EC3.1.1.11)はペクチンからのメタノールの除去を触媒し、ペクチン酸(ポリガラクツロン酸)の形成をもたらす酵素である。ペクチンメチルエステラーゼは多数の微生物により生産され、また多くの高等植物の葉、根、茎および果実中にも存在することがわかっている。微生物のペクチンメチルエステラーゼは、Khanh他(1990)“Nucleotide and derived amino acid sequence of a pectinesterase cDNA isolated from Aspergillus niger strain RH5344”,Nucleic Acids Res.18:4262;Khanh他(1991)“Characterization and expression of a genomic pectin methylesterase-encoding gene in Aspergillus niger”,Gene 106:71-77;Spok他(1991)“Molecular cloning and sequencing of a pectinesterase gene from Pseudomonas solanacearum”,J.Gen.Microbiol.137:131-140;Plastow(1988)“Molecular cloning and nucleotide sequence of the pectin methyl esterase gene of Erwinia chrysanthemi B374”,Mol.Microbiol.2:247-254;Laurent他(1993)“Characterization and overexpression of the pem gene encoding pectin methylesterase of Erwinia chrysanthemi strain 3937”,Gene131:17-25;Tierny他(1994)“Molecular cloning and expression in Escherichia coli of genes encoding pectate lyase and pectin methylesterase activities from Bacteroides thetaiotaomicron”,J.Appl.Bacteriol.76:592-602によりクローニングされている。WO94/25575はアスペルギルス・アクレータスからのペクチンメチルエステラーゼのクローニングを記載している。発明の要約本発明によれば、本発明者らは、担子菌門(Basidiomycota)の真菌から、ペクチンエステラーゼ活性としても知られるペクチンメチルエステラーゼ活性を示す酵素をコードするDNA配列を単離しそして特徴づけることに成功し、それによって一成分ペクチンエステラーゼ組成物を調製することが可能になった。従って、第一の面では、本発明はペクチンエステラーゼ活性を示す酵素をコードするDNA配列を含んで成るDNA構成物であって、前記DNA配列がa) E.コリDSM10357中に存在するプラスミドpYES2.0中にクローニングされたDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分、またはb) a)に定義されたDNA配列の類似体であって、i) a)に定義されたDNA配列と少なくとも60%相同である類似体、もしくはii) 低緊縮性で配列番号1の第4〜933位に示されたDNA配列とハイブリダイズする類似体、もしくはiii) a)に定義されたDNA配列を含んで成るDNA配列によりコードされるポリペプチドと少なくとも50%相同であるポリペプチドをコードする類似体、もしくはiv) a)に定義されたDNA配列によりコードされる精製済ペクチンエステラーゼに対して惹起された抗体と免疫学的に反応性であるポリペプチドをコードする類似体を含んで成るDNA構成物に関する。ペクチンエステラーゼをコードする全長cDNA配列は、糸状菌メリピルス・ジガンテウス(Meripilus giganteus)の菌株から誘導され、そしてエシェリキア・コリ(Escherichia coli)株DSM No.10357中に存在するプラスミドpYES2.0中にクローニングされている。E.コリDSM10357に含まれる前記ペクチンエステラーゼをコードするDNA配列は、配列番号1に与えられたものと同じ配列を有すると考えられる。従って、DSM10357中に存在するプラスミドpYES2.0中にクローニングされたDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分に言及する時は常に、そのような言及は配列番号1に与えられるDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分も包含するつもりである。従って、「DSM10357中に存在するプラスミドpYES2.0中にクローニングされたDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分」という言い方と「配列番号1に与えられたDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分」という言い方は、相互に交換可能に用いられる。別の面では、本発明は、本発明のDNA構成物を含有する発現ベクター、前記DNA構成物または前記発現ベクターを含んで成る細胞、およびペクチンエステラーゼ活性を示す酵素の生産方法であって、前記酵素の生産を許容する条件下で前記細胞を培養しそしてその培養物から前記酵素を回収することを含んで成る方法を提供する。更に別の面では、本発明は、ペクチンエステラーゼ活性を示す酵素であって、(a) 本発明のDNA構成物によりコードされる;または(b) 本発明の方法により生産される;そして/または(c) E.コリDSM10357中に存在するプラスミドpYES2.0中にクローニングされたDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分によりコードされる精製済ペクチンエステラーゼによって惹起せしめた抗体と免疫学的に反応性である酵素を提供する。好ましい態様では、該酵素は配列番号2の推定アミノ酸配列を有する。更に別の面では、本発明は、植物材料またはその成分の分解または改質に有用である酵素組成物であって、上述したペクチンエステラーゼ活性を示す酵素が濃縮富化されている酵素組成物に関する。更に別の面では、本発明は、様々な工業的用途への本発明の酵素または酵素組成物の利用に関する。最後に、本発明は、糸状菌メリピルス・ジガンテウス(Meripilus giganteus)の菌株から誘導されたペクチンエステラーゼをコードするDNA配列(E.コリDSM10357中に存在するプラスミドpYES2.0中にクローニングされたDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分)を含有するE.コリDSM No.10357株またはペクチンエステラーゼコード能力を保持している前記E.コリ株の任意変異株の実質的に純粋な単離された生物学的培養物;および配列番号1として与えられるDNA配列が誘導された糸状菌メリピルス・ジガンテウス(Meripilus giganteus)の実質的に純粋な単離された生物学的培養物に関する。発明の詳細な説明DNA構成物本発明は、ペクチンエステラーゼ活性を示す酵素をコードするDNA配列を含んで成るDNA構成物であって、前記DNA配列がa) E.コリDSM10357中に存在するプラスミドpYES2.0中にクローニングされたDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分、またはb) a)に定義されたDNA配列の類似体であって、i) a)に定義されたDNA配列と少なくとも60%相同である類似体、もしくはii) 低緊縮性で配列番号1の第4〜933位に示されたDNA配列とハイブリダイズする類似体、もしくはiii) a)に定義されたDNA配列を含んで成るDNA配列によりコードされるポリペプチドと少なくとも50%相同であるポリペプチドをコードする類似体、もしくはiv)a)に定義されたDNA配列によりコードされる精製済ペクチンエステラーゼに対して惹起させた抗体と免疫学的に反応性であるポリペプチドをコードする類似体を含んで成るDNA構成物を提供する。本明細書中に明記されるように、E.コリDSM10357中に存在するプラスミドpYES2.0中にクローニングされたDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分に類似したDNA配列(b)とは、ペクチンエステラーゼ活性を示す酵素をコードし、上記(i)〜(iv)に記載した性質のうちの1つまたは複数を有する酵素をコードする任意のDNA配列を意味するものである。この類似体DNA配列は、ペクチンエステラーゼ活性を有する酵素を生産する糸状菌メリピルス・ジガンテウス(Meripilus giganteus)の菌株から、または別のもしくは関連した生物から単離することができ、従って、例えばE.コリDSM10357中に存在するプラスミドpYES2.0中にクローニングされたDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分の対立遺伝子変異体または種変異体であることができる。あるいは、この類似体配列は、配列番号1のペクチンエステラーゼコード部分として与えられるDNA配列、例えばそれの部分配列に基づいて、そして/または該DNA配列によりコードされるペクチンエステラーゼの別のアミノ酸配列を生じないけれども該酵素の生産に用いられる宿主生物のコドン用法に対応するようなヌクレオチド置換の導入により、または異なるアミノ酸配列を生じ得るヌクレオチド置換の導入により、作製することができる。ヌクレオチド置換を行う場合、アミノ酸変更は好ましくは重要でない性質のものであり、即ち、タンパク質の折り畳みまたは活性に有意な影響を及ぼさない保存的アミノ酸置換;小規模の、典型的には1〜約30アミノ酸の削除;小規模のアミノ末端もしくはカルボキシル末端伸長、例えば1つのアミノ末端メチオニン残基、約20〜25残基までの小型リンカーペプチドの付加、または精製を容易にする小規模の伸長、例えばポリヒスチジン領域、抗原性エピトープもしくは結合ドメインの付加である。保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(例えばアルギニン、リジン、ヒスチジン)、酸性アミノ酸(例えばグルタミン酸およびアスパラギン酸)、極性アミノ酸(例えばグルタミンおよびアスパラギン)、疎水性アミノ酸(例えばロイシン、イソロイシン、バリン)、芳香族アミノ酸(例えばフェニルアラニン、トリプトファン、チロシン)および小型アミノ酸(例えばグリシン、アラニン、セリン、スレオニン、メチオニン)のグループ内である。ヌクレオチド置換の一般的記載については、Ford他(1991)Protein Expression and Puri-fication 2:95-107を参照のこと。当業者には、そのような置換が酵素分子の機能にとって重要な領域の外側で行われそしてまだ活性ポリペプチドをもたらし得ることは明白であろう。本発明のDNA構成物によりコードされるポリペプチドの活性に不可欠であり、従って置換を受けないのが好ましいアミノ酸は、当業界で既知の手順、例えば部位特異的突然変異誘発またはアラニン−スキャニング突然変異誘発〔Cunningham & Wells(1989)Science 244,1081-1085,1989参照〕に従って同定することができる。後者の技術では、分子内のあらゆる残基のところに変異を導入し、得られた変異分子を生物活性(即ちペクチンエステラーゼ活性)について試験して、該分子の活性に不可欠であるアミノ酸残基を同定する。核磁気共鳴法、結晶学または光親和性標識法のような技術により決定されるような結晶構造の分析によって、基質−酵素相互作用部位も決定することができる〔例えば、de Vos他(1992)Science 255,306-312;Smith他(1992)J.Mol.Biol.224,899-904;Wlodaver他(1992)FEBS Lett.309:59-64を参照のこと〕。i)において言及した相同性は、第二配列からの第一配列の派生を示唆する2つの配列間の一致度として決定される。相同性は、適切にはGCGプログラムパッケージに提供されたGAP(Program Manual for the Wisconsin Package,Version8,1994年8月,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,Wisconsin,USA 53711)〔Needleman,S.B.およびWunsch,C.D.,(1970),Journal of Molecular Biology,48,p.443-453〕のような当業界で既知のコンピュータープログラムを使って決定することができる。DNA配列比較のために次の設定:ギャップ生成ペナルティー5.0、およびギャップ延長ペナルティー0.3でGAPを使った時、該DNA配列のコード領域は、配列番号1に示されるDNA配列のペクチンエステラーゼコード領域と、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更にもっと好ましくは少なくとも97%の一致度を示す。上記のii)において言及したハイブリダイゼーションは、類似体DNA配列が、下記の「材料および方法」の項目のところで詳細に記載する或る特定の条件下で、ペクチンエステラーゼ酵素をコードするDNA配列と同じプローブにハイブリダイズすることを示すものである。使用されるオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号1に示されるDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分に相当するDNA配列である。上記のiii)に言及した相同性は、第二配列からの第一配列の派生を示唆する2つの配列間の一致度として決定される。相同性は、適切にはGCGプログラムパッケージに提供されたGAP(Program Manual for the Wisconsin Package,Version8,1994年8月,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,Wisconsin,USA 53711)〔Needleman,S.B.およびWunsch,C.D.,(1979),Journal of Molecular Biology,48,p.443-453〕のような当業界で既知のコンピュータープログラムを使って決定することができる。ポリペプチド配列比較のために次の設定:GAP生成ペナルティー3.0、およびGAP延長ペナルティー0.1でGAPを使った時、類似体DNA配列によりコードされるポリペプチドは、配列番号1に示されたDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分を含んで成るDNA構成物によりコードされる酵素と、例えば配列番号2のアミノ酸配列と、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、特に少なくとも97%の一致度を示す。本発明は、3個以下のアミノ酸、好ましくは2個以下のアミノ酸、より好ましくは1個以下のアミノ酸が配列番号2に示されるアミノ酸配列の成熟部分と異なっているアミノ酸配列を有するペクチンエステラーゼ変異体にも向けられる。特性iv)に関連した免疫学的反応性は、下記の「材料および方法」の項目に記載される方法によって測定することができる。本発明のペクチンエステラーゼをコードするDNA配列は、例えばSambrook他(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Lab.,Cold Spring Harbor,NYにより記載されたような標準法を使って、エシェリキア・コリDSM10357株から単離することができる。本発明のペクチンエステラーゼ活性を示す酵素をコードするDNA配列は、次の段階を含む任意の一般法により単離することもできる:− 着目のエステラーゼを生産すると予想される任意生物からのcDNAライブラリーを適当なベクター中でクローニングし、− 前記ベクターを用いて適当な酵母宿主細胞を形質転換せしめ、− 該cDNAライブラリー中のクローンによりコードされる着目の酵素を発現せしめるために適当な条件下で前記宿主細胞を培養し、− そのようなクローンにより生産される酵素のいずれかのペクチンエステラーゼ活性を測定することにより、陽性クローンについてスクリーニングし、そして− そのようなクローンから該酵素をコードするDNAを単離する。この一般法はWO93/11249またはWO94/14953に開示されており、その内容が参考として本明細書中に組み込まれる。スクリーニング方法の更に詳細な説明は下記の実施例1に与えられる。あるいは、本発明のペクチンエステラーゼをコードするDNAは、周知の手段に従って、便利には適当な源から、例えば後述の生物のいずれかから、本明細書中に開示するDNA配列を基にして調製した合成オリゴヌクレオチドプローブを使って、単離することができる。例えば、適当なオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号1に与えられたヌクレオチド配列のペクチンエステラーゼコード部分もしくはそれの任意の適当な部分配列に基づいて、または配列番号2のアミノ酸配列に基づいて、調製することができる。微生物源好ましい態様では、ペクチンエステラーゼをコードするDNA配列は、Entrez Browser NCBI分類学第3.3版(1995年12月13日改訂)によると、アフィロフォラ目(Aphyllophorales)の一族であり、担子菌亜門(Basidiomycota)の菌じん綱(Hymenomycetes)に属する、サルノコシカケ科(Polyporaceae)に属する株から得られる。今のところ、別の微生物から本発明の酵素に相同である酵素をコードするDNA配列、すなわち類似体DNA配列が得られると考えられる。例えば、別の微生物、例えばアスペルギルス、サッカロミセス、バクテロイデス、エルウィニア、シュードモナスまたはクロストリジウムの菌株のcDNAライブラリーを同様にスクリーニングすることにより、そのようなDNA配列を得ることができる。本発明のペクチンエステラーゼを誘導することができるメリピルス・ジガンテウス(Meripilus giganteus)の分離株は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約に従って、CBS(オランダ国3740AG Baarn,P.O.Box273のThe Centra-albureau voor Schimmelcultures)に寄託した。寄託日:1995年7月4日寄託者側の整理番号:NN006040CBS名称:Meripilus giganteus CBS No.521.95本発明のペクチンエステラーゼをコードする全長cDNA配列を含んで成る発現プラスミドpYES2.0をE.コリの菌株中に形質転換せしめ、本発明者らは前記細菌を特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約に従って、DSM(Deutshe Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Masheroder Weg 1b,D-38124 Braunschweig,ドイツ連邦共和国)に寄託した。寄託日:1995年12月6日寄託者側の整理番号:NN049144DSM名称:Escherichia coli DSM 10357発現ベクター別の面において本発明は、本発明のDNA構成物を含んで成る組換え発現ベクターを提供する。本発明の発現ベクターは、組換えDNA操作に好都合にかけることができるいずれのベクターであってもよく、ベクターの選択はしばしばそれを導入しようとする宿主細胞によるだろう。よって、ベクターは自己複製性ベクター、即ちその複製が染色体複製から独立している染色体外存在物として存在するベクター、例えばプラスミドであることができる。あるいは、ベクターは宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれ、そしてそれが組み込まれた染色体と一緒に複製されるものであってもよい。発現ベクター中、ペクチンエステラーゼをコードするDNA配列は、適当なプロモーターおよびターミネーター配列に作用可能に連結されるべきである。プロモーターは特定の宿主細胞において転写活性を示す任意のDNA配列であることができ、宿主細胞にとって相同または非相同であるタンパク質をコードする遺伝子から誘導することができる。ペクチンエステラーゼをコードするDNA配列、プロモーターおよびターミネーターをそれぞれ連結せしめ、そしてそれらを適当なベクター中に挿入するのに使う手法は、当業者に周知である〔例えばSambrook他(1989),Molecular Cloning.A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NYを参照のこと〕。糸状菌宿主細胞に使われる適当なプロモーターの例は、例えば、ADH3プロモーター〔McKnight他(1985),The EMBO J.4,2093-2099〕またはtpiAプロモーターである。別の有用なプロモーターの例は、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、リゾムーコル・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)酸安定性α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)もしくはアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)グルコアミラーゼ(gluA)、リゾムーコル・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)アルカリ性プロテアーゼ、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼ、またはアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)アセトアミダーゼをコードする遺伝子に由来するものである。宿主細胞更に別の面において、本発明は、本発明のDNA構成物および/または本発明の組換え発現ベクターを含んで成る宿主細胞を提供する。好ましくは、本発明の宿主細胞は真核細胞、特に真菌細胞、例えば酵母または糸状菌細胞である。特に、該細胞は、トリコデルマ種、好ましくはトリコデルマ・ハージアナム(Trichoderma harzianum)もしくはトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、またはアスペルギルス種、最も好ましくはアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)もしくはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、またはフザリウム種、特にフザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)もしくはフザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)に属することができる。真菌細胞は、それ自体既知の方法で、プロトプラスト形成およびプロトプラストの形質転換に続く細胞壁の再生を含む方法により形質転換せしめることができる。宿主微生物としてのアスペルギルスの使用は欧州特許第238 023号(Novo Nordisk A/S)明細書に記載されており、その内容は参考として本明細書中に組み込まれる。宿主細胞は酵母細胞、例えばサッカロミセス(Saccharomyces)種、特にサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)もしくはサッカロミセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum)、またはシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)種、特にシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ハンゼヌラ(Hansenula)種、ピキア(Pichia)種、ヤロウィア(Yarrowia)種、例えばヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)、例えばヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)、またはクルイベロミセス(Kluyveromyces)種、例えばクルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)の株であってもよい。本発明の酵素の生産方法更に別の面では、本発明は、本発明の酵素の生産方法であって、該酵素をコードするDNA配列によって形質転換された適当な宿主細胞を、該酵素の生産を許容する条件下で培養し、そして生成した酵素を培養物から回収することを含んで成る方法に関する。形質転換した宿主細胞を培養するのに使う培地は、問題の宿主細胞を増殖させるのに適当な任意の従来培地であることができる。発現されたペクチンエステラーゼを便利には培地中に分泌させ、そして遠心分離または濾過により該培地から細胞を分離し、硫酸アンモニウムのような塩を使って培地のタンパク様成分を沈澱させ、次いでイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等のようなクロマトグラフィー手法によって精製することを含んで成る周知の手順により、培地から該ペクチンエステラーゼを回収することができる。酵素組成物更に他の面では、本発明は、植物細胞壁成分の改質または分解に有用な酵素組成物であって、上述のペクチンエステラーゼ活性を示す酵素が濃縮されている酵素組成物に関する。本発明の酵素が濃縮されている酵素組成物は、例えば、複数の酵素活性を含んで成る酵素組成物、特にViscozym(商標)、Pectinex(商標)またはPectinex Ultra SP(商標)(全てNovo Nordisk A/Sから入手可能)のような複数の植物細胞壁分解酵素を含んで成る酵素組成物であることができる。こうして、酵素組成物の細胞壁分解能の増強を得ることができる。本明細書中、「濃縮された(enriched)」という語は、便利には上記方法により調製された本発明の酵素の添加によって酵素組成物のペクチンエステラーゼ活性が増加されていること、例えば1.1の濃縮倍率で増加されていることを示すものである。あるいは、ペクチンエステラーゼ活性が濃縮された酵素組成物は、主要酵素成分として本発明の酵素を含んで成るもの、例えば一成分酵素組成物であってもよい。酵素組成物は当業界で既知の方法に従って調製することができ、液体または乾燥組成物の形であることができる。例えば、酵素組成物は顆粒または微粒の形であることができる。該組成物中に含めるべき酵素は、当業界で既知の方法に従って安定化することができる。本発明の酵素組成物の好ましい利用例を下記に記載する。本発明の酵素組成物の用量および該組成物を使用する他の条件は、当業界で周知の方法に基づいて決定することができる。本発明の酵素組成物は下記の目的の少なくとも1つに有用であろう。植物材料の分解または改質本発明の酵素組成物は、問題の植物材料の粘度を低下させ、それによって該植物材料の加工処理または外観を改善するために、ペクチン含有植物材料、例えば野菜または果実由来の植物材料、例えば大豆、ビートまたはリンゴから得られる材料の処理に有利に用いることができる。粘度低下は、ペクチン含有材料の完全分解または部分分解に適当な条件下でペクチン含有植物材料を本発明の酵素組成物で処理することにより達成することができる。酵素組成物は野菜または果実汁、特にリンゴまたは西洋ナシ果汁の脱ペクチン(de-pectinization)および粘度低下に用いることができる。酵素組成物は、果実および野菜のすり潰し処理、例えば果汁製造のためのリンゴや西洋ナシのすり潰し処理、およびワイン製造のためのブドウのすり潰し処理において利用することができる。酵素組成物は、柑橘系果汁の製造に、例えばプレス後に果汁中に存在するパルプの部分分解または完全分解のために用いることができる。上記使用目的には、酵素組成物がペクチンエステラーゼに加えてポリガラクツロナーゼ含有酵素製剤を含んで成るのが好ましい。本発明の酵素組成物の使用により、加工された果物や野菜のコンシステンシーおよび外観を調整することが可能である。かくして、コンシステンシーと外観は、加工処理に使われる実際の酵素の組合せの成果、すなわち、本発明のペクチンメチルエステラーゼと組み合わされる酵素(特にペクチン分解酵素)の性質の成果、であることがわかった。本発明の酵素製剤の使用により製造することができる特殊な性質を有する製品の例としては、リンゴ、西洋ナシまたはベリー類からの透明果汁、リンゴ、西洋ナシ、ベリー類、柑橘類またはトマトからの安定な濁った果汁、およびニンジンまたはトマトからのピューレが挙げられる。上記開示から、本発明のペクチンエステラーゼが、市販のペクチンエステラーゼ含有ペクチン分解性製剤中に存在するポリガラクツロナーゼおよび/またはペクチンリアーゼ活性のような別の酵素活性を本質的に含まない単一成分として製造できることは明白であろう。これに基づくと、本発明のペクチンエステラーゼの使用は、そういった別の酵素活性の作用が望ましくないような目的に特に有利である。そのような目的の例としては、加工したまたは未加工の果物および野菜の完全または部分脱メチル化のためのペクチンメチルエステラーゼの使用である。部分脱メチル化は、例えば、果物または野菜類の硬度の改善が望ましい時に重要である。加工(例えば缶詰やペースト化)中にしばしば硬度が低下する。限定量の本発明のペクチンエステラーゼを使うことにより、果物や野菜中に存在するペクチンの部分的脱メチル化を行うことができ、そしてその結果生じる部分的に脱メチル化されたペクチンを、例えばカルシウムのような二価イオンを使って、架橋せしめることができ、それによって一層しっかりした果物または野菜類を得ることができる。従って、本発明のペクチンエステラーゼは、例えばトウガラシおよびシシトウガラシ、豆類、エンドウ豆、並びに西洋ナシやリンゴなどのスライスした果物の硬度を改善するために用いることができる。酵素の注入は、例えば、浸漬により未補助でまたは真空処理により補助して行うことができる。この目的の別の例は、例えば柑橘類、リンゴ、ヒマワリおよび/またはビートからの、ペクチンの脱メチル化である。更に、ペクチンエステラーゼは、種々の野菜または果実を主成分とした製品におけるその場での粘度上昇またはゲル形成を得るために用いることができる。本発明のペクチンエステラーゼは、単独でまたは別の酵素と一緒に、ペクチン含有動物飼料、例えば大豆、ビートもしくは菜種から調製した飼料の消化性を良くするために用いることができる。このためには、本発明の酵素組成物が該飼料に添加される。ペクチンエステラーゼ活性は、別の酵素と共に、周知の方法に従って、ペクチン含有材料、例えばビートパルプから、モノガラクツロン酸もしくはガラクツロン酸を含むオリゴ糖を製造するのに用いることができる。モノガラクツロン酸は、ガラクタル酸の製造にあるいは脂肪酸および脂肪アルコールエステルおよび/またはガラクツロン酸エーテルの製造に使用することができる。ガラクツロン酸を含むオリゴ糖は、ヒト食物または動物飼料用の添加剤として使用することができる。更に、ペクチンエステラーゼは、他の酵素と組み合わせて、植物繊維からのペクチン質の除去に用いることができる。ペクチン質の除去は、例えば紡織繊維または別のセルロース系材料の製造において重要である。このためには、植物繊維材料に関連したペクチン質の完全または部分分解を得るのに適当な条件下で、植物繊維材料を適当量の本発明のペクチンエステラーゼで処理する。ブロック状開裂対ランダム開裂の作用形態ペクチン中のカルボキシル基の分布はペクチンの機能的性質に重要である。ペクチン中の遊離カルボキシル基の分布を調べる方法は幾つか記載されている〔Grasdalen,H.他、Carbohydrate Res.,289,105(1995)〕。ペクチンエステラーゼの作用形態を特徴づけるという目的で、Mort他により記載された方法〔Mort,A.J.他、Carbohyd.Res.,247,21(1993)〕により酸基の分布を調べる。水素化ホウ素ナトリウムを使った還元により、エステル化されたガラクツロン酸をガラクトースに変換する。続いて、得られたガラクトース残基のグリコシド結合をHFソルボリシスにより選択的に開裂せしめる。これはオリゴマー:(Gal A)n−Galの生成をもたらす。これらのオリゴマーは、ペクチン中のメチルエステル化残基間のGal A残基の連続配列を表す。本発明のクローン化エステラーゼをオレンジエステラーゼおよびアルカリ処理と比較した。高性能アニオン交換クロマトグラフィーにより、6個のガラクツロン酸残基から成るオリゴマーを分離し、定量した。それらのオリゴマーの分布から、ペクチン中の酸基がランダムに分布しているのかブロック状に分布しているのかを決定することができる。Grasdalen他(1995)は、ペクチンの組成および配列構造に関する量的情報を得るための有用な方法としてNMR分光法を記載している。Mort他(1993)により記載された方法と異なり、NMR分光法は配列構造を確認するための直接法を意味し、中程度のポリマー分解のみを必要とする。いずれかの理論に縛られることなく、様々な工業的用途、例えばジャムのゲル化(実施例4参照)の際の本発明のペクチンエステラーゼの改善された性能は、好ましくはペクチン中の酸基のブロック状分布を提供する本発明の酵素の作用形態のためであると、現在のところ考えられる。本発明を下記の実施例において更に詳細に説明するが、この実施例は決して本発明の請求の範囲を制限するためのものではない。材料および方法・寄託生物:メリピルス・ジガンテウス(Meripilus giganteus)CBS521.95は、本発明のペクチンエステラーゼをコードするDNA配列を含んで成る。エシェリキア・コリ(Escherichia coli)DSM10357は、シャトルベクターpYES2.0中に、本発明のペクチンエステラーゼをコードする全長cDNA配列を含んで成るプラスミドを含有する。・他の菌株:酵母株:使用するサッカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae)株はW3124(MATα;ura3-52;leu2-3;112;his3-D200;pep4-1137;prc1::HIS3;prb1::LEU2;cir+)であった。E.コリ株:DH10B(Life Technologies)。・プラスミド:アスペルギルス発現ベクターpHD414は、プラスミドp775の誘導体である(欧州特許第238 023号に記載)。pHD414の作製は更にWO93/11249に記載されている。pYES2.0(Invitorgen)pA2PE18(実施例1参照)・全RNAの抽出:チオシアン酸グアニジンでの抽出後に5.7M CsClクッションを通した超遠心により全RNAの抽出を行い、そしてWO94/14953中に記載の手順を使ったオリゴ(dT)セルロースアフィニティークロマトグラフィーによりポリ(A)+RNAを単離した。・cDNA合成:F.S.Hagen(pers.comm.)により開発されたヘアピン修飾を使ってRNアーゼH法〔Gubler & Hoffman(1983)Gene 25:263-269;Sambrook他(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Lab.,Cold Spring Harbor,NY〕により、5μgのポリ(A)+RNAから二本鎖cDNAを合成した。ポリ(A)+RNA(DEPC処理水5μl中5μg)を、シリコン処理したRNアーゼ不含有エッペンドルフ管中で70℃で8分間加熱し、氷上で急冷し、そして最終容量が50μlになるように1mMのdATP,dGTPおよびdTTP並びに0.5mMの5−メチル−dCTP(Pharmacia)、40単位のヒト胎盤リボヌクレアーゼ阻害剤(RNasin,Promega)、1.45μgのオリゴ(dT)18−Not Iプライマー(Pharmacia)並びに1000単位のSuperScript IIRNアーゼH逆転写酵素(Bethesda Reasearch Laboratories)を含有する逆転写酵素緩衝液(50mM Tris-Cl,pH8.3,75mM KCl,3mM MgCl2,10mM DTT,Bethesda Research Laboratories)と混合した。第一鎖cDNAは反応混合物を45℃で1時間インキュベートすることにより合成した。合成後、製造業者の指示に従って、MicroSpin S-400HR(Pharmacia)スピンカラムを通してmRNA:cDNAハイブリッド混合物をゲル濾過した。ゲル濾過後、該ハイブリッドを、200μMの各dNTP、60単位のE.コリDNAポリメラーゼI(Pharmacia)、5.25単位のRNアーゼH(Promega)および15単位のE.コリDNAリガーゼ(Boehringer Mannheim)を含有する250μlの第二鎖緩衝液(20mM Tris-HCl,pH7.4,90mM KCl,4.6mM MgCl2,10mM(NH4)2SO4,0.16mMβNAD+)中に希釈した。第二鎖cDNA合成は、反応管を16℃で2時間そして25℃で更に15分間インキュベートすることにより行った。最終濃度20mMにEDTAを添加することにより反応を停止し、次いでフェノール抽出とクロロホルム抽出を行った。・マングビーン(文豆)ヌクレアーゼ処理:2容の96%EtOH、0.2容の10M NH4Acの添加により二本鎖cDNAを−20℃で12時間沈澱させ、遠心分離により回収し、70%EtOH中で洗浄し、乾燥し、そして25単位のマングビーンヌクレアーゼ(Pharmacia)を含む30μlのマングビーンヌクレアーゼ緩衝液(30mM NaAc,pH4.6,300mM NaCl,1mM ZnSO4,0.35mM DTT,2%グリセロール)中に再懸濁した。反応液を30℃で30分間インキュベートすることにより一本鎖ヘアピンDNAを取り除き、次いで70μlの10mM Tris-Cl,pH7.5,1mM EDTAを添加し、フェノール抽出し、そして2容の96%EtOHと0.1容の3M NaAc,pH5.2を使って氷上で30分間沈澱させた。・T4DNAポリメラーゼによる平滑末端化:遠心分離により二本鎖cDNAを回収し、0.5mMの各dNTPと5単位のT4DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)を含むT4 DNAポリメラーゼ緩衝液(20mM Tris酢酸塩,pH7.9,10mM MgAc,50mM KAc,1mM DTT)30μl中で反応混合物を16℃にて1時間インキュベートすることにより平滑末端にした。20mMの最終濃度になるようにEDTAを添加することにより反応を停止させ、次いでフェノール抽出とクロロホルム抽出し、そして2容の96%EtOHと0.1容の3M NaAc pH5.2の添加により−20℃で12時間沈澱させた。・アダプター連結、Not I消化およびサイズ分離:フィルイン反応の後、遠心によりcDNAを回収し、70%EtOH中で洗浄し、乾燥した。次いで2,5μgの非回文式BstXIアダプター(Invitrogen)と30単位のT4リガーゼ(Promega)を含有する25μlの連結緩衝液(30mM Tris-Cl,pH7.8,10mM MgCl2,10mM DTT,0.5mM ATP)中でcDNAペレットを再懸濁し、そして16℃で12時間インキュベートした。65℃で20分間加熱した後で氷上で5分間冷却することにより反応を停止させた。20μlの水、5μlの10×NotI制限酵素緩衝液(New England Biolabs)および50単位のNot I酵素(New England Biolabs)を添加し、次いで37℃で2.5時間インキュベートすることにより、アダプターを付けたcDNAをNot I制限酵素で消化した。65℃で10分間の加熱により反応を停止させた。1×TBE中0.8%SeaPlaque GTG低融点アガロースゲル(FMC)上でのゲル電気泳動によりcDNAをサイズ分画して、未連結のアダプターと小さなcDNAを分離した。0.7kbのカットオフでcDNAをサイズ選別し、製造業者の指示に従ってβ−アガラーゼ(New England Biolabs)を使うことによりcDNAをゲルから回収し、そして2容の96%EtOHと0.1容の3M NaAc pH5.2の添加により−20℃で12時間沈澱させた。・ライブラリーの作製:サイズ選別した指向性のcDNAを遠心分離により回収し、70%EtOH中で洗浄し、乾燥し、そして30μlの10mM Tris-Cl,pH7.5,1mM EDTA中に再懸濁した。製造業者の教示に従ったMicroSpin S-300HR(Pharmacia)スピンカラムを通したゲル濾過により、cDNAを脱塩した。5μlの二本鎖cDNA(反応チューブ#1と#2)、15単位のT4リガーゼ(Promega)並びに30ng(チューブ#1)、40ng(チューブ#2)および40ng(チューブ#3;ベクターバックグラウンド対照)のBstXI-NotI開裂済pYE2.0ベクターを含有する10μlの連結緩衝液(30mM Tris-Cl,pH7.8,10mM MgCl2,10mM DTT,0.5mM ATP)中で3種類の試験連結反応を実施した。各連結反応は、16℃で16時間インキュベートし、70℃で20分間加熱し、そして各チューブに10μlの水を加えることにより実施した。各連結混合物1μlを、記載された通りに〔Sambrook他(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Lab.,Cold Spring Harbor,NY〕40μlの電気受容能のある(エレクトロコンピテント)E.コリDH10B細胞中にエレクトロポレーションした。最適条件を使って、E.コリから成るプール中にライブラリーを作製した。各プールは、LB+アンピシリン寒天平板上にE.コリ形質転換体を塗布し、37℃で24時間インキュベーション後、15,000〜30,000コロニー/平板を与えることにより作られる。20mlのLB+アンピシリンを各平板に加え、細胞をその中に懸濁した。細胞懸濁液を50mlの試験管中で37℃にて1時間振盪した。製造業者の教示に従ってQIAGENプラスミドキットを使って細胞からプラスミドDNAを単離し、そして−20℃で保存した。個々のプールからの精製プラスミドDNA(100ng/μl)の1μlアリコートを、エレクトロポレーション〔Becker & Guarante(1991)Methods Enzymol.194:182-187〕によりS.セレビシエW3124中に形質転換せしめ、そして2%グルコースを含むSC寒天上に形質転換体を塗抹し、30℃でインキュベートした。・陽性クローンの同定:3〜5日間インキュベーション後、SC寒天平板を1組のSC+ガラクトース寒天平板上にレプリカ平板培養した。それらの平板を30℃で2〜4日間インキュベートし、次いで、ペクチン分解活性の検出のために、適当な緩衝液中に1%リンゴペクチンDE75%、1%HSBアガロースを含むペクチン重層ゲルにより重層した。30℃で一晩インキュベーションした後、10〜15mlの1%MTAB溶液(混合アルキルトリメチルアンモニウムブロミド)を重層の上に注ぎ入れ、1時間後に該溶液を除去した。ペクチンメチルエステラーゼ陽性コロニーは、白色の輪(ハロ)により囲まれたコロニーとして同定された。・陽性クローンの特徴づけ:陽性クローンを単一コロニーとして獲得し、ビオチン化ポリリンカープライマーを使って酵母コロニーからcDNA挿入断片を直接増幅せしめ、磁性ビーズ(Dynabead M-280,Dynal)方法により精製し、そしてチェーンターミネーション法〔Sanger他(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.74:5463-5467〕とシークエナーゼ系(United States Biochemical)を使って各cDNAクローンの5′末端を配列決定することにより個別に特徴づけた。・アスペルギルス中での発現用のcDNA遺伝子の単離:ペクチンエステラーゼ産生酵母コロニーを50mlのガラス試験管に入った20mlのYPDブロス中に接種する。試験管を30℃で2日間振盪する。3000rpmで10分間の遠心により細胞を収集する。WO94/14953に従ってDNAを単離し、50μlの水に溶かす。標準手順により該DNAを用いてE.コリを形質転換せしめる。標準手順を使ってE.コリからプラスミドDNAを単離し、制限酵素分析により分析する。適当な制限酵素を使ってcDNA挿入断片を切除し、アスペルギルス発現ベクター中に連結せしめる。・アスペルギルス・オリゼまたはアスペルギルス・ニガーの形質転換:プロトプラストはWO95/02043の第16頁21行目〜第17頁12行目(その内容は参考として本明細書に組み込まれる)に記載された通りに調製することができる。プロトプラスト懸濁液100μlを、10μlのSTC(1.2Mソルビトール、10mM Tris-HCl,pH=7.5、10mM CaCl2)中の適当なDNA5〜25μgと混合する。プロトプラストをp3SR2(A.ニデュランスamdS遺伝子担持プラスミド)と混合する。この混合物を室温で25分間置いておく。0.2mlの60%PEG4000(BDH29576),10mM CaCl2および10mM Tris-HCl,pH7.5を加え、注意深く混合し(2回)、最後に0.85mlの同溶液を加え、注意深く混合する。この混合物を室温で25時間置いておき、2500gで15分間遠心し、ペレットを2mlの1.2Mソルビトール中に再懸濁する。もう1回沈降を行った後、バックグラウンド増殖を防ぐために、1.0Mショ糖,pH7.0,窒素源としての10mMアセトアミドおよび20mM CsClを含有する最少平板〔Cove,Biochem.Biophys.Acta 113(1966)51-56〕上に塗抹する。37℃で4〜7日間インキュベートした後、胞子を取り、単一コロニーになるように塗抹する。この操作を繰り返し、2回目の再単離後の単一コロニーの胞子を、限定された形質転換体として保存する。・アスペルギルス・オリゼ形質転換体の試験形質転換体の各々を10mlのYPM培地(下記参照)中に接種し、増殖させる。30℃で2〜5日間インキュベーション後、上清を取り出す。1%リンゴペクチンDE75%を含むアガロースゲル中に作った直径4mmの打ち抜き穴に10μlの上清を添加し、30℃で一晩インキュベートしそして上述したようにMTABを使って沈澱させることにより、ペクチンエステラーゼ活性を同定する。ペクチンエステラーゼ活性は白い輪により同定される。・フェドバッチ培養(流加培養):醗酵は、炭素源としてマルトデキストリン、窒素源として尿素、および酵母エキスを使ってフェドバッチ法として実施した。該方法全体を通してpHを7.0に維持し、温度を34℃に維持した。醗酵後、遠心分離と微生物濾過によりペクチンエステラーゼを回収した。・酵素の精製:A.オリゼからの組換えペクチンエステラーゼは次のようにして精製した:5日間培養後に培養上清を回収し、遠心し、微生物濾過し、そして3kDaカットオフのFiltronカセット(Minisette)上で最小容積にまで限外濾過した。限外濾液25mlを50mM H3BO3,5mM DMG,1mM CaCl2,pH7.0に対して透析し、同緩衝液中で平衡化されている40mlのQ−セファロースFFカラム(Pharmacia,Sweden)に適用した。カラムを洗浄した後、結合したタンパク質を直線NaCl勾配(0→0.5M NaCl)を使って溶離せしめた。カラムからの画分を上述したようなリンゴペクチンアッセイによりペクチンエステラーゼ活性について分析した。ペクチンエステラーゼ活性の大部分は素通り画分に検出され、一方タンパク質の大部分はカラムに結合していた。素通り画分のpHをCH3COOHでpH4.5に調整し、25mM CH3COOH/NaOH,pH4.5中に平衡化されている50mlのS−セファロースHPカラム(Pharmacia,Sweden)に適用した。カラムを洗浄した後、直線NaCl勾配(0→0.25M NaCl)を使って、結合したタンパク質を溶離せしめた。カラムからの画分をペクチンエステラーゼ活性について分析した。ペクチンエステラーゼ活性の大部分は1つのピークの中に溶出され、そのピーク画分をプールした。該プールに、硫酸アンモニウム(AMS)を最終AMS濃度が1.6Mになるように添加し、次いで100mM H3BO3,10mM DMG,2mM CaCl2,1.6M AMS,pH7.0中で平衡化された40mlのフェニルトヨパール(Phenyl Toyopearl)カラムに該酵素画分を添加した。カラムを洗浄した後、直線AMS勾配(1.6→0M AMS)を使って、結合したタンパク質を溶離させた。25mM CH3COOH/NaOH,pH4.5中に平衡化された1.4lのG25セファデックスカラム上でのゲル濾過により、ペクチンエステラーゼピークの緩衝液を25mM CH3COOH/NaOH,pH4.5に交換した。ペクチンエステラーゼ酵素を、25mM CH3COOH/NaOH,pH4.5中に平衡化されている50mlのS−セファロースHPカラムに適用した。カラムを洗浄した後、直線NaCl勾配(0→0.1M NaCl)を使って、結合したタンパク質を溶離せしめた。ペクチンエステラーゼ活性を有する画分をSDS-PAGEにより分析した。その画分は1つのバンドのみを有した。・電気泳動:SDS-PAGE電気泳動は、Laemmli法〔Laemmli(1970)Nature 227:680-685〕の変形法としてMini-Leak4電気泳動装置(Kem-En-Tec,Denmark)中で実施した。製造業者の指示通りゲルをクーマシー染色した。・配列番号1に示されるDNA配列の単離:本発明のペクチンエステラーゼをコードする配列番号1に示されるDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分は、当業界で既知の方法によるプラスミドDNAの抽出〔Sambrook他(1989)Molecular Cloning:A laboratory manual,Cold Spring Harbor Lab.,Cold Spring Harbor,NY〕により、寄託生物のエシェリキア・コリDSM10357から得ることができる。・ハイブリダイゼーション:ヌクレオチドプローブと本発明の「類似体」DNA配列との間のハイブリダイゼーションを測定するための適当なハイブリダイゼーション条件は、後述するように定めることができる。使用するオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号1に示されるDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分、即ち配列番号1のヌクレオチド4〜933、に相当するDNA配列である。・ハイブリダイゼーション条件:少なくとも低緊縮性条件下で、好ましくは中または高緊縮性条件下で配列番号1に示されるDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分(即ちヌクレオチド4〜933)にハイブリダイズする本発明の第一の面の項目b)に定義されるような類似体DNA配列を限定するハイブリダイゼーション条件は、下記に詳述する通りである。ヌクレオチドプローブと相同DNAまたはRNA配列との間の低、中または高緊縮性でのハイブリダイゼーションを調べるための適当な実験条件は、ハイブリダイズさせるDNA断片またはRNAを含むフィルターを5×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム、Sambrook他1989)中に10分間予備浸漬し、そして該フィルターを5×SSC、5×デンハーツ溶液(Sambrook他、1989)、0.5%SDSおよび100μg/mlの音波処理した変性サケ精子DNA(Sambrook他、1989)中で予備ハイブリダイズさせ、次いでランダムプライミング〔Feinberg,A.P. & Vogelstein,B.(1983)Anal.Biochem.132:6-13〕して32P−dCTP標識した(比活性>1×109cpm/μg)プローブを10ng/mlの濃度で含有する同溶液中で約45℃にて12時間ハイブリダイズせしめることを含む。次いでフィルターを少なくとも55℃で(低緊縮性)、より好ましくは少なくとも60℃で(中緊縮性)、更に好ましくは少なくとも65℃で(中/高緊縮性)、より好ましくは少なくとも70℃で(高緊縮性)、更により好ましくは少なくとも75℃で(より高い緊縮性)、2×SSC+0.5%SDS中で30分間×2回洗浄する。それらの条件下でオリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズする分子を、X線フィルムを使って検出する。・免疫学的交差反応性:免疫学的交差反応性を測定するのに使用する抗体は、精製ペクチンエステラーゼを使って調製することができる。より詳しくは、N.Axelsen他,A Manual of Quantitative Immunoelectrophoresis,Blackwell Scientific Publications,1973年,第23章に記載された方法、またはA.Johnstone & R.Thorpe,Immunochemistry in Practice,Blackwell Scientific Publications,1982(具体的には第27〜31頁)に記載された方法に従って、ウサギ(または他の齧歯類)を免疫処置することにより、本発明のペクチンエステラーゼに対する抗血清を惹起せしめることができる。抗血清から、例えば塩沈〔(NH4)2SO4〕に続く透析およびイオン交換クロマトグラフィー、例えばDEAE−セファデックス上でのイオン交換クロマトグラフィーにより、精製された免疫グロブリンを得ることができる。タンパク質の免疫化学的特徴付けは、Outcherlonyの二重拡散分析法〔O.Outcherlony,Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir編),Blackwell Scientific Publications,1967,655〜706頁〕、交差免疫電気泳動法(N.Axelsen他,前掲,第3および4章)、またはロケット免疫電気泳動法(N.Axelsen他,前掲,第2章)のいずれかにより行うことができる。・培地:YPD:10gの酵母エキス、20gのペプトンに水を加えて900mlに。オートクレーブ滅菌し、100mlの20%グルコース(濾過滅菌済)を加えた。YPM:10gの酵母エキス、20gのペプトンに水を加えて900mlに。オートクレーブ滅菌し、100mlの20%マルトデキストリン(濾過滅菌済)を加えた。10×Basal塩:75gの酵母窒素ベース、113gのコハク酸、68gのNaOH、水を加えて1000mlにし、濾過滅菌した。SC-URA:100mlの10×Basal塩、28mlの20%カザミノ酸(ビタミン不含有)、10mlの1%トリプトファンに水を加えて900mlにし、オートクレーブ滅菌し、3.6mlの5%スレオニンと100mlの20%グルコースまたは20%ガラクトースを加えた。SC−寒天:SC-URAに20g/lの寒天を加えた。PEG4000(ポリエチレングリコール、分子量=4,000)(BDH,イギリス)1%リンゴペクチンDE75%(Herbstreith,ドイツ)1%HSBアガロース(FMC Litex A/S,デンマーク)MTAB(混合アルキルトリメチルアンモニウムブロミド)(Sigma)実施例実施例1:メリピルス・ジガンテウスCBS 521.95からのペクチンエステラーゼのクローニングおよび発現十分な通気を確保するために攪拌しながら、セルロース含有醗酵培地中で増殖させたメリピルス・ジガンテウスCBS No.521.95からmRNAを単離した。3〜5日間の増殖後に菌糸を収集し、液体窒素中で急速冷凍し、−80℃で保存した。約106個の個々のクローンから成るM.ジガンテウスCBS No.521.95からのライブラリーを、1%のベクターバックグラウンドと共に上述した通りにE.コリ中に作製した。プールの一部から得たプラスミドDNAを酵母中に形質転換せしめ、各プールから250〜400の酵母コロニーを含有する50〜100プレートを得た。リンゴペクチンアッセイを使ってSC−寒天上でペクチンエステラーゼ陽性コロニーを同定し単離した。酵母コロニーから直接cDNA挿入断片を増幅させ、上の「材料および方法」の項目に記載した通りに特徴づけた。ペクチンエステラーゼをコードするDNA配列は配列番号1に示され、対応するアミノ酸配列は配列番号2に示される。配列番号1中の第4位から第933位までのヌクレオチドがペクチンエステラーゼコード領域を限定する。cDNAはDSM10357中のプラスミドから得ることができる。酵母コロニーから全DNAを単離し、上述したE.コリの形質転換によりプラスミドDNAを救済した。アスペルギルス中でペクチンエステラーゼを発現させるために、該DNAを適当な制限酵素で消化し、ゲル上でサイズ分画し、ペクチンエステラーゼ遺伝子に相当する断片を精製した。その遺伝子を、適当な制限酵素で消化してあるpHD414中に連結せしめ、プラスミドpA2PE18を得た。E.コリ中でDNAを増幅させた後、該プラスミドを上述した通りにアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)中に形質転換せしめた。各形質転換体を上述した通りに酵素活性について試験した。幾つかの形質転換体は、アスペルギルス・オリゼ バックグラウンドよりも有意に大きいペクチンエステラーゼ活性を有した。これは、アスペルギルス・オリゼ中でのペクチンエステラーゼの効率的発現を証明する。実施例2:発表されたペクチンエステラーゼに対する相同性ヌクレオチドおよびタンパク質データベースに対する本発明のペクチンエステラーゼの相同性に関する調査を実施した。相同性調査は、最も近似したペクチンエステラーゼがアスペルギルス・アクレータス(Aspergillus aculeatus)からのペクチンエステラーゼとアスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubigensis)からのペクチンエステラーゼであることを示した(前はA.ニガーからのであると言われていた)。「発明の詳細な説明」のところで記載した方法に従って、コンピュータープログラムGAPを使って、大部分の従来技術ペクチンエステラーゼに対する本発明のペクチンエステラーゼのDNA相同性を調べた。本発明のペクチンエステラーゼはアスペルギルス・アクレータスからのペクチンエステラーゼ(WO94/25575)に対してわずか54%のDNA相同性を有し、そして本発明のペクチンエステラーゼはアスペルギルス・ツビゲンシスからのペクチンエステラーゼに対してわずか56%のDNA相同性を有する〔Khanh他(1990)“Nucleotide and derived amino acid sequence of a pectinester-ase cDNA isolated from Aspergillus niger strain RH5344”,Nucleic Acids Res.18:4262;Khanh他(1991)“Characterization and expression of a genomic pectin methyl esterase-encoding gene in Aspergillus niger”,Gene106:71-77〕。「発明の詳細な説明」のところで記載した方法に従って、コンピュータープログラムGAPを使って、殆どの従来技術ペクチンエステラーゼに対する本発明のペクチンエステラーゼのポリペプチド相同性を調べた。本発明のペクチンエステラーゼはアスペルギルス・アクレータスからのペクチンエステラーゼに対してわずか47%のポリペプチド相同性を有し、また、本発明のペクチンエステラーゼはアスペルギルス・ツビゲンシスからのペクチンエステラーゼに対してわずか44%のポリペプチド相同性を有する。この結果は、本発明のペクチンエステラーゼが実際にどんな既知のペクチンエステラーゼからも遠縁であることを証明する。実施例3:本発明の組換えペクチンエステラーゼの精製および特徴づけ上記の「材料および方法」に記載した通りにペクチンエステラーゼ酵素を発現するA.オリゼのフェドバッチ培養(流加培養)により、ペクチンエステラーゼを生産せしめた。上記の「材料および方法」の項目のところで記載した方法により、組換えペクチンエステラーゼを精製しそして特徴づけた。該酵素の分子量はSDS-PAGEにより37kDaであると決定された。実施例4:イチゴジャムの現場ゲル化;ゲル化特性の指標としての遊離メタノール材料と方法ペクチンエステラーゼ バッチPPJ 4300,423PEU/gペクチンエステラーゼ:Meripilus giganteus,2.4PEU/gイチゴ、凍結したもの、種類:Senga senganaペクチンエステラーゼの活性は、標準条件下で1分あたり1ミリモルのカルボキシル基を遊離させる酵素の量として定義されるペクチンエステラーゼ単位(PEU)で与えられる(Novo Nordisk Assay ABT-SM-0005.02.1、請求すればNovo Nordiskから入手可能)。ジャム製造ジャムの製造は、標準的なジャム製造方法(Novo Nordisk Standard Operation Procedure,ABF-SP-4002.02/01、請求すればNovo Nordiskから入手可能)に従って行う。300g部のジャムを製造した。イチゴと砂糖の比はイチゴ180g+砂糖120gであった。初期予備調理後、イチゴ果実を2×3の50g部分に分け、試料を40℃に冷まし、次のように酵素を加えた:1)酵素を添加しない対照2)PE,PPJ4300,10PEU/kg果実3)PE,Meripilus giganteus,10PEU/kg果実各試料を密封し、1時間放置しておき、次いで酵素を不活性化するために試料を90℃で3分間熱処理した。この試験において、で遊離メタノールの定量を行った。試料を初めに蒸留し、次いで質量分析検出法と組み合わせたキャピラリーガスクロマトグラフ法を使って分析した。結果と考察結果を下表1に与える。340ppmの遊離メタノールを生じるメリピルス・ジガンテウスからのペクチンエステラーゼが200ppmの遊離メタノール形成をもたらすアスペルギルス由来の伝統的なPEよりも優れていることが、明らかに証明された。イチゴのペクチン含量を0.6%と見積もりそしてエステル化度(DE)を70%と見積もれば、伝統的なPE生成物の最終DEはDE=52であり、一方メリピルス・ジガンテウスPEはDE=38を生じる。エステル化度は、現場ゲル化されたジャムのテキスチャー(口当り)特性にとって重要であり、他のPE改良野菜製品にとっても重要である。エステル化度は形成され得るCaブリッジの数を決定し、従って或る特定の製品のゲル強度または粘度に関連する。このようにメリピルス・ジガンテウス由来の酵素が強く且つ有用なゲルを作るのに有用な手段であることは明白である。該酵素はおそらく、伝統的なアスペルギルス由来のPE生成物よりもより一層強力な、抽出ペクチンの化工(化学的改質)の代替手段でもある。配列表配列番号1は、寄託されたエシェリキア・コリDSM10357中に形質転換されたDNA構成物に含まれる全長cDNA配列のDNA配列を示す。配列表配列番号:1配列の長さ:1128塩基対配列の型:核酸鎖の数:一本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:cDNA起源:生物名:メリピルス・ジガンテウス(Meripilus giganteus)株名:CBS 521.95配列の特徴:特徴を表す記号:CDS存在位置:4..933配列:配列番号:2配列の長さ:310アミノ酸配列の型:アミノ酸トポロジー:直鎖状配列の種類:タンパク質配列: ペクチンエステラーゼ活性を示す酵素をコードするDNA配列を含んで成るDNA構成物であって、前記DNA配列がa) 配列番号1に示されたDNA配列のペクチンエステラーゼコード部分;またはb) a)に定義されたDNA配列の類似体であって、i) a)に定義されたDNA配列と少なくとも90%同一である類似体、もしくはii) 高緊縮条件下で配列番号1の第4〜933位に示されたDNA配列とハイブリダイズする類似体、もしくはiii) a)に定義されたDNA配列を含んで成るDNA配列によりコードされるポリペプチドと少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードする類似体を含んで成るDNA構成物。 前記DNA配列がメリピルス・ジガンテウス(Meripilus giganteus)から単離される、請求項1に記載のDNA構成物。 前記DNA配列がメリピルス・ジガンテウスCBS521.95株から単離されるかまたはそれのDNAライブラリーに基づいて製造される、請求項1に記載のDNA構成物。 前記DNA配列がエシェリキア・コリDSM10357から単離される、請求項1に記載のDNA構成物。 ペクチンエステラーゼ活性を示す酵素であって、該酵素が(a) 請求項1〜4のいずれか一項に記載のDNA構成物によりコードされ;または(b) 配列番号2に示されたアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含んで成ることを特徴とする酵素。 配列番号2のアミノ酸配列を有する、請求項5に記載の酵素。 請求項5または6に記載の酵素を含んで成る組成物。 請求項5または6に記載のペクチンエステラーゼ活性を示す酵素が濃縮されている酵素組成物。 α−アラビノシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、α−グルコロニシダーゼ、β−キシロシダーゼ、キシランアセチルエステラーゼ、キシラナーゼ、アラビナナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロナンアセチルエステラーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ガラクタナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクテートリアーゼまたはペクチンメチルエステラーゼを更に含んで成る、請求項5〜8のいずれか一項に記載の酵素組成物。 ペクチン含有材料の硬度を改善するための、請求項5もしくは6に記載の酵素または請求項7〜9のいずれか一項に記載の酵素組成物の利用。 ペクチン含有材料の粘度を増加させるための、請求項5もしくは6に記載の酵素または請求項7〜9のいずれか一項に記載の酵素組成物の利用。 前記ペクチン含有材料が果実または野菜材料である、請求項10または11に記載の利用。 ペクチンの脱メチル化のための、請求項5もしくは6に記載の酵素または請求項7〜9のいずれか一項に記載の酵素組成物の利用。 飼料の調製における、請求項5もしくは6に記載の酵素または請求項7〜9のいずれか一項に記載の酵素組成物の利用。 植物細胞壁由来材料の粘度を増加させるための、ポリガラクツロナーゼ含有酵素製剤と組み合わせた請求項5もしくは6に記載の酵素の利用。 ワインまたは果汁の製造における、請求項5もしくは6に記載の酵素または請求項7〜9のいずれか一項に記載の酵素組成物の利用。 エシェリキア・コリ(Escherichia coli)DSM10357。 メリピルス・ジガンテウス(Meripilus giganteus)CBS521.95。


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