生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_多糖沈殿法
出願番号:1997529435
年次:2007
IPC分類:C12P 19/04,A61K 39/385


特許情報キャッシュ

ランダー,ラツセル・ジエイ JP 3990455 特許公報(B2) 20070727 1997529435 19970210 多糖沈殿法 メルク エンド カンパニー インコーポレーテッド 川口 義雄 伏見 直哉 田中 夏夫 ランダー,ラツセル・ジエイ US 60/011,631 19960214 GB 9608546.9 19960425 20071010 C12P 19/04 20060101AFI20070920BHJP A61K 39/385 20060101ALN20070920BHJP JPC12P19/04 CA61K39/385 C12P 1/00 - 41/00 特表平03−501123(JP,A) 特開平05−279399(JP,A) 特開平05−209002(JP,A) 特開平01−210401(JP,A) 特開昭60−218325(JP,A) 特開昭53−136516(JP,A) 特開昭58−129001(JP,A) 特開昭62−249933(JP,A) 特開昭54−080408(JP,A) 山田常雄ら偏, 「肺炎双球菌」の項、第990−991頁, 「岩波 生物学辞典 第3版」(1983年)株式会社岩波書店発行 10 US1997002124 19970210 WO1997030171 19970821 2000506383 20000530 6 20031121 冨永 みどり 発明の分野本発明は、ワクチン用細菌多糖の製造方法に関する。詳細には、溶解している細菌多糖の沈殿方法に関する。発明の背景細菌多糖は当業界で、PNEUMOVAX▲R▼(ニューモコッカス結合ワクチン)及びPedVax HIP▲R▼(H.インフルエンゼ結合ワクチン)[両方ともMerck & Co., Inc.が販売]を含む種々のワクチンの成分として知られている。ヘモフィリス・インフルエンゼb型及びストレプトコッカス・ニューモニエのものを含む精製された細菌莢膜多糖は一般に、ワクチンとして使用するために十分に免疫原性ではない。この問題を解決するために、莢膜多糖は、免疫原性膜タンパク質、ウイルスタンパク質サブユニット、合成ポリペプチド、細菌毒素、又はその他の適切な免疫原性タンパク質のようなタンパク質担体に結合される。適切な免疫原性結合体の製造方法の例は当業界で周知であり、米国特許第4,695,624号及び第4,882,317号に詳述されているものなどがある。一般的に、免疫原性結合体を製造するために、最初にその源である細菌から細菌多糖を単離精製する。このような多糖は市販もされている。次に、多糖に、更なる精製のラウンド、及び/又は大きさの減少工程を行うことができる。次に、多糖は、官能基を加える一連の化学反応を受け、多糖が免疫原性タンパク質担体と結合できるようにする。カップリングが起った後、次に結合体は精製され、水酸化アルミニウムのようなアジュバントを加え、最終ワクチンを製造することができる。結合体の合成の間に出会う問題の一つは、多糖それ自体は水溶性であるが、後の誘導体化工程は有機溶媒中で行われるのが最良であるということである。過去において、このために、製造法には2工程が必要であり、その両方ともかなり困難であった。即ち、1)シュウ酸カルシウム複分解を用いて、又はカラムイオン交換によって、多糖(カルシウム塩型)の、そのテトラブチルアンモニウム塩(tBuAM)型への変換;及び2)真空蒸留及びジメチルホルムアミド(DMF)の急激注入、又は凍結乾燥による、次の段階の水の除去。しかし、カルシウム塩の全部がtBuAM型に変換されるのではなく、結果として油エマルションになる。ある多糖型はDMFに十分に可溶性ではなく、蒸留工程は容易ではなく、DMSOのような別の溶媒もDMSOのかなり高い沸点のために実用的ではない。更に、凍結乾燥は製造規模で容易ではなかった。収率、純度及び製造の容易さを犠牲にすることなく、水性方法の有機溶媒への転換を受入れられる方法を開発することが望ましい。発明の詳細な説明本発明は、水溶液から細菌莢膜多糖を沈殿させる方法であって、沈殿させる量の長鎖界面活性剤を溶液に加えることを特徴とする該方法に関する。随意の工程で、本発明は、水溶液から沈殿多糖ペーストを分離し、ペーストから水を抽出して乾燥多糖粉末を生成させることも含む。次に、粉末を更に処理してニューモコッカス結合ワクチンのようなワクチンを産生させることができる。本発明は、任意の細菌源からの多糖の使用に適している。好適多糖は、ニューモコッカス属やヘモフィリス・インフルエンゼからであり、特に陰性荷電の多糖である。アニオン性ニューモコッカス多糖が特に好ましい。このような多糖は当業界で周知であり、3、4、5、6b、9V、18C、19f、及び23fと命名されたものが含まれる。ニューモコッカスの約84種の血清型が知られており、血清型の任意のものからのアニオン性多糖が本発明で使用できる。これらの多糖は水溶性であるが、有機溶液に不溶である。一般的に、多糖は、ワクチン製造過程の間パイロジェン非含有水(PFW)に溶解され、濃度は処理の間で変わりうるが、一般的にPFW中約0.2〜1重量%の量が存在する。長鎖界面活性剤は事実上任意の長鎖界面活性剤であってよい。特に好ましいものには、塩化セチルピリジニウム(CPC)及び臭化セチルトリメチルアンモニウム(CETAB)がある。一般的に、水溶液から多糖を沈殿させるために任意の量の長鎖界面活性剤を加えてもよいが、大部分の適用では、1〜10%の界面活性剤溶液をモル比が約1:1になるように加えることが事実上多糖を全て沈殿させるのに十分である。界面活性剤は陰性荷電多糖と反応し、水に不溶であり、溶液から沈殿する多糖−塩を生成する。多糖の不溶性塩型、特に多糖のセチルピリジニウム塩及びセチルトリメチルアンモニウム塩は、本発明の更に別の面を形成する。特に、本発明は、ニューモコッカス多糖3、4、5、6b、9V、19f、及び23fのセチルピリジニウム塩型並びに3、4、5、6b、9V、19f、及び23fのセチルトリメチルアンモニウム塩型をも包含する。沈殿は粘度でペースト様であり、水溶液から、遠心などの任意の通常法で取出すことができる。次に、沈殿は任意の通常法、例えばアセトン又はエーテルと混合して存在しているかもしれない水を抽出すること(摩砕)など、によって乾燥する。即ち、本発明の好適方法は、有効量の長鎖界面活性剤を加えて細菌多糖水溶液を沈殿させ、次にアセトン摩砕を用いて沈殿を乾燥し、スラリーを得ることを含む。スラリーを濾過し、真空乾燥して、乾燥粉末としてセチルピリジニウム塩又はセチルトリメチルアンモニウム塩を得ることもできる。乾燥粉末は、誘導体化化学で通常使用される溶媒、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)やジメチルホルムアミド(DMF)に可溶である。本発明の更なる利点は、本方法が、水性沈殿工程の間で多糖の精製の更なるレベル(特に非莢膜膜タンパク質やC−多糖のような正味の陽性荷電を有する不純物に関して)を与えるということである。更に別の利点は、多糖の塩の乾燥粉末型を提供することによって、多糖の正確な量が測定でき、最初の誘導体化反応で使用できる(正確さが最も望ましい)ということである。本発明の沈殿法及び多糖塩は基本的に、ワクチン製造の長い方法の中間方法及び中間生成物である。ワクチン製造の方法は、1)出発多糖の調製;2)本発明の沈殿法;3)多糖の誘導体化;4)誘導体化多糖のタンパク質への結合;及び5)ミョウバン製剤化の工程を含む。本発明の一部ではない工程1、3、4、及び5の各々を以下に要約する。出発多糖の調製ワクチン製造の方法全体の出発点は発酵培養液からの細菌莢膜多糖の単離である。あるいは、これらの多糖は市販もされており、出発材料として使用できる。個々の(粉末形態の)天然多糖は水に溶解され、塩化ナトリウムとインキュベートして残っている不純物を解離させ、次にその不純物は膜透析濾過で除去される。次いで、各PsPn溶液を水に対し透析濾過し、サイズ減少及び沈殿工程のための十分に規定された条件を確立する。好ましくは、多糖は、機械的ホモジナイザーを用い、高圧口を通してサイズ減少させる。この工程により、下流処理が容易になり、且つ統一されたサイズの生成物が得られる。DMSOなどの有機溶媒への溶解度は、多糖の分子量の減少によっても増加する。サイズが減少し、一分散系の多糖は、本発明の沈殿法の好適出発材料である。誘導体化上記本発明の方法を用いる沈殿後、本発明の粉末多糖は、二官能基試薬による一連の化学反応を介し反応性側鎖により修飾され、次にタンパク質担体OMPCと結合される。これらの方法の特定の詳細は、米国特許第4,695,624号及び第4,882,317号に記載されているが、以下に要約することができる。個々の工程は、活性試薬、即ちカルボニルジイミダゾール(CDI)、ブタンジアミン(BuA2)、及び無水ブロモ酢酸(BrOAcAn)によって同定される。CDIとの反応により、側鎖がその上に構築されるその反応性アンカーが作出される。担う側鎖の量と均一性はこの反応により完全に決定されるので、その反応化学と混合は決定的である。混合は十分に急速であるべきであり、反応容器はこれを達成するように設計すべきである。望ましい側鎖担持は、抗原性と免疫原性を保持し、安定な生成物を産出させるために8〜16%であるべきである。次の反応で、二官能試薬であるBuA2を加え、第1工程で形成されたCDIアンカーとの反応によりスペーサーを延長させる。これらの反応条件により同時に、溶液からCPC又はCETAB界面活性剤が置換され、結晶化され、次にデッドエンド濾過で除去される。濾液の透析濾過と膜濃縮により、過剰の溶解性試薬が除去され、PnPsが、以下のブロモアセチル化反応に適当な緩衝液中に交換される。第3反応工程により、多糖が次にチオール化タンパク質担体(OMPC)と結合できるように、BrOAcAnとの反応を介し側鎖に反応性臭化物が付加される。過剰の試薬と副生成物を膜透析濾過により除去し、PnPsブロモアセチル化誘導体を、中間体として保存できるように滅菌濾過する。結合結合反応において、誘導体化多糖とタンパク質担体OMPCの間の共有結合が形成される。OMPCは反応性チオール基の付加により活性化され、多糖のスペーサーアームとタンパク質の間にチオエーテル結合が形成される。タンパク質−多糖の各ペアの間の多重共有結合により、更に結合体が安定化する。タンパク質と多糖の反応により、ユニークなアミノ酸であるS−カルボキシメチルホモシステイン(SCMHC)が生成するので、共有結合数は定量できる。最適化方法パラメーターを用い、多糖に関する結合収率は典型的には約30%であり、血清型により約20〜60%に変動しうる。得られるPs/Pr比は所望範囲の0.1〜0.3になるであろう。結合反応後、OMPC上に残っている活性チオール基を全てN−エチルマレイミドで塞ぐ。多糖上の未反応ブロモアセチル基はN−アセチルシステアミンで塞ぐ。副生成物、未反応誘導体化多糖の全て、及び過剰の試薬は、リン酸ナトリウム緩衝液に対する透析濾過で除去する。次に、生成物を20倍量のTED緩衝液(TRIS、EDTA、デオキシコレート)に対し透析濾過し、結合の際に放出されたかもしれないリポ多糖を除去する。最終工程は、ミョウバン吸着品製造のための生理食塩水、次に水への緩衝液交換である。製剤化精製後、結合体水溶液バルクを滅菌水で希釈し、100μg/mLにし、等量のミョウバン希釈液(900mcg Al/mL,1.8%生理食塩水と100mcgチメロサール/mL)と混合し、多糖濃度50μg/mLのミョウバン吸着一価濃縮バルクワクチンを製造する。本発明をより良く説明するために以下の非限定実施例を記載する。実施例実施例1PNEUMOVAX▲R▼23粉末の製造多糖粉末は、ATCC(Special Productsカタログ),Rockville, MDから、又はMerck and Co., Inc.,から市販品として得ることができるし、あるいは適当な細菌(これもATCCから得ることができる)から抽出できる。天然アニオン性多糖(Pnps)は最終濃度約7〜10g/Lでパイロジェン非含有水(PFW)に溶解する。塩化ナトリウムを最終濃度0.5Mで加えた。多糖(Ps)溶液は、0.1Mリン酸緩衝化生理食塩水/0.5M NaClの混合液からなる緩衝液に対し200,000MWCOミリポア限外濾過膜を用い透析濾過し、続いてPFWに対し透析濾過した。次に、Ps溶液を濃度2.5g/LにPFWで希釈した。3,000〜14,000psiの範囲の発力でガウリンホモジナイザーを用いる高圧ホモジナイゼーションに溶液をかけた。この工程により効果的にPsサイズが減少した。この工程の結果により、沈殿工程の出発物質である適当なサイズのPsPnの水溶液が得られる。実施例2沈殿実施例1の多糖水溶液650mLを、傾斜した羽根のあるタービンを備えた混合容器に加えた。容器はまた、オンラインモニター装置も備え、UV吸収セチルピリジニウム分子の消失の測定による沈殿収量を測定できた。バッチ温度を25℃に調整し、容器内容物は400RPMで混合した。オンラインモニター装置で測定して沈殿が完全になるまで2%塩化セチルピリジニウム(CPC)溶液を容器に連続的に加えた。添加速度は、CPCの理論量の最初の75%が最初の30分間かけて、残りの量を60分間かけて加えるように行った。沈殿した多糖を遠心で取出し、ペレットは2.5g/Lでアセトンに再懸濁した。懸濁液を細粉末にし、数分間ローター静翼(OMNI)ミキサーで混合し、該固体を脱水した。スラリーを焼結ガラス漏斗で濾過し、数ケーキ容量の新鮮アセトンで洗浄した。湿ケーキを45℃、50mmHgで一晩真空乾燥し、乾燥粉末を得た。多糖粉末としての収率は85〜90%であった。実施例3塩化セチルピリジニウムの変わりに臭化セチルトリメチルアンモニウム(CETAB)を使用するということを除いて、実施例2の沈殿工程を記載したように繰返した。 多糖をタンパク質担体に結合させる方法であって、a)長鎖カチオン性界面活性剤を用いて水溶液から多糖を沈殿させ沈殿多糖を得ること;b)沈殿多糖を乾燥して水を除去すること;c)工程b)で乾燥された沈殿多糖を有機溶媒に溶解して溶解多糖を得ること;d)溶解多糖を誘導体化して誘導体化多糖を得ること、ここで該誘導体化は前記有機溶媒中で開始する;およびe)誘導体化多糖をタンパク質担体に結合することを包含する方法。 長鎖カチオン性界面活性剤が塩化セチルピリジニウムまたは臭化セチルトリメチルアンモニウムであることを特徴とする請求項1に記載の方法。 有機溶媒がジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドであることを特徴とする請求項2に記載の方法。 工程b)がアセトンを用いる摩砕、その後アセトンを除去して乾燥粉末を得ることによって行われることを特徴とする請求項3に記載の方法。 多糖がヘモフィラスからのものであることを特徴とする請求項4に記載の方法。 タンパク質担体がOMPCであることを特徴とする請求項5に記載の方法。 多糖がニューモコッカスからのものであることを特徴とする請求項4に記載の方法。 多糖がニューモコッカス3、4、5、6b、9V、18C、19f及び23f型からなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の方法。 タンパク質担体がOMPCであることを特徴とする請求項8に記載の方法。 タンパク質担体がOMPCであることを特徴とする請求項7に記載の方法。


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