タイトル: | 特許公報(B2)_加水分解最適化脂質エマルジョンおよびその使用 |
出願番号: | 1997520149 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 31/20,A61P 7/02,A61P 37/00,A61P 9/00,A61K 31/23,A61K 45/00,A23D 7/00,A23L 1/30 |
プシェーラー,ゲルマン ユンギンガー,マルコ ネーネ,イェルク カルペンティエ,イヴォン・ア JP 4165904 特許公報(B2) 20080808 1997520149 19961123 加水分解最適化脂質エマルジョンおよびその使用 ベー・ブラウン・メルズンゲン・アクチエンゲゼルシャフト 青山 葆 矢野 正樹 プシェーラー,ゲルマン ユンギンガー,マルコ ネーネ,イェルク カルペンティエ,イヴォン・ア DE 19544310.1 19951128 20081015 A61K 31/20 20060101AFI20080925BHJP A61P 7/02 20060101ALI20080925BHJP A61P 37/00 20060101ALI20080925BHJP A61P 9/00 20060101ALI20080925BHJP A61K 31/23 20060101ALI20080925BHJP A61K 45/00 20060101ALI20080925BHJP A23D 7/00 20060101ALN20080925BHJP A23L 1/30 20060101ALN20080925BHJP JPA61K31/20A61P7/02A61P37/00A61P9/00A61K31/23A61K45/00A23D7/00A23L1/30 Z A61K 31/00 - 23 欧州特許出願公開第00311091(EP,A1) 13 EP1996005184 19961123 WO1997019683 19970605 2000500769 20000125 17 20031118 齋藤 恵 本発明は、非経口投与、特に非経口栄養補給用の加水分解最適化等張脂質エマルジョン(脂肪エマルジョン)、および以下の状態におけるそれらの使用に関する;過剰炎症反応(例えば、手術後、外傷後、敗血症、炎症、または消耗性疾患)の状態、または可能な限り速やかに遊離脂肪酸を身体の異なる組織に対して利用可能にしつつ、外来トリグリセリドの蓄積を与えることを避けることが重要である血管血栓症および重篤な心不整脈のリスクが増大した状態。非経口栄養補給のための脂質エマルジョンは、通常の(経口)栄養補給が不可能であるとき、悪化させるとき、または医学上禁忌であるときに、あるいは細胞の脂肪酸パターンを速やかに改変する必要があるときに、静脈注入が許容される投与形態で身体へ脂肪を供給する働きをする。現在入手可能な脂質エマルジョンは、植物油(例えば、サフラワーまたは大豆油)から調製される;いくつかの場合、それらはまた、中鎖トリグリセリド(MCT)および/または海洋起源の油(魚油)を含む。植物または海洋起源の長鎖トリグリセリドは、エネルギー源として、および、ポリ不飽和脂肪酸を含むときは、必須脂肪酸の供給源として働く。当該ポリ不飽和脂肪酸のオメガ−6またはオメガ−3シリーズ類型への分類は、化学構造上の特徴、より正確には、脂肪酸分子のメチル末端(オメガ末端)から最初の不飽和結合までの距離に基づく。例えば、大豆およびサフラワーの植物油は、オメガ−6シリーズ(主にリノール酸、18:2 n−6)のポリ不飽和脂肪酸が高含有量である一方、オメガ−3脂肪酸(ほぼ限定的にα−リノレン酸の形態、18:3 n−3)の含有量が低いことにより特徴付けられる。冷水魚から得られる魚油は、オメガ−3シリーズ[主にエイコサペンタエン酸(EPA)20:5,n−3,およびドコサヘキサエン酸(DHA)22:6,n−3]のポリ不飽和脂肪酸が高含有量である一方、オメガ−6脂肪酸の含有量が低いことにより特徴付けられる。脂質エマルジョンと共に投与される中鎖トリグリセリドは、主にエネルギー源として働く。中鎖トリグリセリドは、いかなる不飽和脂肪酸も含有せず、従って、オメガ−6もオメガ−3必須脂肪酸も含有しない。多数の臨床観察は、重篤な病気およびそれに伴う代謝状態において、非経口栄養補給に対するおよび必須脂肪酸の代替に対する脂質エマルジョンの主な適性を明らかに示す。人体そのものは、生命に必要なオメガ−6またはオメガ−3シリーズの長鎖ポリ不飽和脂肪酸を産生することができない。すなわち、それらは経口、経腸、または非経口で投与しなければならない。身体は、短かい鎖長の不飽和脂肪酸からより長い鎖長の不飽和脂肪酸を合成できるにすぎない。しかしながら、オメガ−3シリーズの前駆体からのオメガ−6脂肪酸の形成またはその逆は不可能である。対応して、脂質成分としての中鎖トリグリセリド、ならびにオメガ−6およびオメガ−3脂肪酸のトリグリセリドを含有する非経口投与用の脂質エマルジョンに対する要望がある。EP−A−0 311 091は、通常の添加剤および補助剤に加えて、オメガ−3脂肪酸、エステルの形態のまたは魚油の成分としてのオメガ−3脂肪酸、中鎖トリグリセリド、ならびに、所望により、エマルジョンの脂質含有量に基づき、30%までの割合のオメガ−6脂肪酸を提供する、少なくとも1種の植物油を含む非経口栄養補給用の等張脂質エマルジョンを記載する。DE−OS−37 21 137は、エイコサペンタエン酸トリグリセリドおよび/またはドコサヘキサエン酸トリグリセリド、または当該グリセリドを含む魚油、ならびにオメガ−6脂肪酸および中鎖トリグリセリドを含有する植物油を含む非経口栄養補給用の脂質エマルジョンを記載する。DE−OS−34 09 793は、20ないし22個の炭素原子を含有する脂肪酸、それらのエステル、または2種以上の当該脂肪酸またはエステルの混合物、ならびに植物油、乳化剤、および水を含む輸液用の脂質エマルジョンを記載する。該脂肪酸は、海洋起源のエステル(魚油)からの脂肪酸、特にオメガ−3脂肪酸である。該植物油は、精製大豆油および/またはサフラワー油である。外来遊離脂肪酸を身体に対し利用可能にするためには、それら脂肪酸が、酵素リポタンパク質リパーゼ(LPL)によって、注入されたトリグリセリドから加水分解により放出されるか、あるいは、エマルジョン粒子またはそれらの残留物と共に直接細胞内に取り込まれなければならない。脂質加水分解のこの初期段階は、長い間、脂質代謝の律速段階と考えられてきた。この限界は、トリグリセリドの開裂におけるリポタンパク質リパーゼの比較的限定された活性に起因する。かくして、植物油エマルジョンに対する最大代謝速度は、一日当たり約3.8g脂質/kg体重である[ホールベルグ(Hallberg)ら、Acta Physiol.Scand.,vol.65,Suppl.254(1965),p.2−23]。トリグリセリドの注入の間、可能な限り低いトリグリセリド血清中濃度(例えば、外来脂質による細網内皮腫系[reticulo−endothelialsystem(RES)]の低負荷に対応する)を達成することが望ましい。典型的には、手術後および外傷後の状態および重篤な敗血症期間は、免疫系の実質的な刺激により特徴付けられる。免疫反応は、高レベルでは重篤な組織損傷を引き起こすかも知れないサイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子およびインターロイキン)の放出を含む。加えて、高サイトカイン濃度はまた、LPLによる循環トリグリセリドの加水分解を弱める。かかる臨床的状態において、迅速に加水分解され、除去され、かつサイトカインの産生ならびに組織に対するサイトカインの毒性を減少することのできる脂肪酸(例えば、オメガ−3脂肪酸)を含有する外来トリグリセリドを使用することは特に重要である。エネルギー基質(酸化的目的のため)としての、および膜への取込みのための(構造的目的のため)、およびエイコサノイドの前駆体としての脂肪酸は可能な限り速やかに身体に対して利用可能とされるべきである。魚油に典型的なトリグリセリドは、中鎖トリグリセリドに比較してよりゆっくりと加水分解される植物油(例えば、大豆油)からのトリグリセリドに比べてよりいっそうゆっくりと加水分解される。長鎖トリグリセリドエマルジョンへの魚油エマルジョンの添加は、LPLによる長鎖トリグリセリド(例えば、大豆油から)の加水分解を阻止することさえできる。従って、本発明の目的は、加水分解および除去に関して最適化された非経口投与可能な非経口栄養補給用の脂質エマルジョンを提供することにあり、これは該脂質エマルジョンと共に供給されたトリグリセリドが、身体において細胞外でまたは細胞内で、遊離脂肪酸の血清中レベルを付随的に過度に増加させることなく、可能な限り速やかに加水分解される、すなわち遊離脂肪酸およびグリセロールに開裂することを意味する。このことは、同じ時間内で、脂質濃度または加水分解生成物を増加させることなくより多くの脂質を身体に投与できることを示している。この目的は、脂質エマルジョンの全脂質含有量に基づき、− 30重量%ないし60重量%の中鎖トリグリセリド;− オメガ−6脂肪酸を供給するトリグリセリドを含む、35重量%ないし65重量%の少なくとも1種の植物油;− オメガ−3脂肪酸を供給するトリグリセリドを含む、5重量%ないし20重量%の少なくとも1種の魚油;および− 通常の補助剤および/または添加剤を含む非経口投与用の加水分解最適化等張水性脂質エマルジョンによって達成された。驚くべきことに、本発明の目的は、同エマルジョン粒子中で、中鎖トリグリセリド、オメガ−6脂肪酸に富む植物油、およびオメガ−3脂肪酸を含む魚油を上記の量的割合において組み合わせることにより達成できることが判明した。特に、本発明のMCT/植物油/魚油混合物は、先行技術で公知のMCT/植物油混合物、およびMCT/植物油/魚油混合物よりも速やかに加水分解されることが判明した。かくして、外来トリグリセリドによる身体へのトリグリセリド負荷は回避される。中鎖脂肪酸および長鎖必須脂肪酸は、速やかに身体に対して利用可能となる。単位時間当たり、より多くの脂質が身体に供給されているという事実にもかかわらず、これは遊離脂肪酸の血清中濃度の有意な増加を伴わない。さらに、血小板または白血球膜リン脂質へのオメガ−3脂肪酸の速やかな取込みが観察され得る。本発明による脂質エマルジョンは、エマルジョンの混合物よりもむしろ、油(脂質)の乳化混合物を含む。本発明によると、C6ないしC14の範囲である脂肪酸の鎖長を有し、かつ少なくとも90重量%のカプリル酸(C8)およびカプリン酸(C10)のトリグリセリドを含む中鎖トリグリセリドが使用される。中鎖トリグリセリドの割合は、脂質エマルジョンの全脂質含有量に基づき、好ましくは45重量%ないし55重量%、より好ましくは48重量%ないし52重量%である。本発明による脂質エマルジョンは、さらに、主としてオメガ−6脂肪酸よりなるトリグリセリドを含有する少なくとも1種の植物油を含有する。好ましい植物油は、サフラワー油および/または大豆油であり、脂質エマルジョンにおけるかかる植物油の含有量は、脂質エマルジョンの脂質含有量に基づき、好ましくは35重量%ないし45重量%、より好ましくは38重量%ないし42重量%である。該植物油は、C16ないしC20の鎖長を有する脂肪酸のトリグリセリドを含有し、主としてオメガ−6脂肪酸のトリグリセリドを含有する。魚油は、トリグリセリドに取り込まれたエイコサペンタエン酸(EPA,20:5 n−3)およびドコサヘキサエン酸(DHA,22:6 n−3)を含有することが知られており、これはいわゆる高度不飽和オメガ−3脂肪酸であり、身体に供給されなければならず、かつ、例えば、エイコサノイドの前駆体としておよび膜脂質の構成要素として生理学上重要な必須素材である。さらに、これらの酸は抗血栓および脂肪低減作用の原因であるとされる。天然物からのそれらの単離およびそれらの化学合成は費用がかかるので、比較的高価でない魚油がかかる必須脂肪酸のための選択される供給源である。本発明での使用において、「魚油」なる語は、天然魚油、加工魚油、または高度に精製した魚油濃縮物を含ませる意図である。本発明によると、例えば、出展明示して本明細書の一部とみなすEP−A−0 298 293に記載されたごとく、加工魚油も使用することができる。適当な魚油例は、技術的に膨大な規模で冷水魚から得られる油またはグリセロールとオメガ−3脂肪酸[冷水魚(好ましくは、サケ、イワシ、サバ、ニシン、アンチョビ、キュウリウオおよびメカジキ)の魚油から、トリグリセリドを加水分解し、その結果得られるオメガ−3脂肪酸を引き続き精製ならびに濃縮することにより得られる]とのエステル化により合成的に得られる油である。魚油は一般に、12ないし22個の炭素原子の鎖長を有する脂肪酸のトリグリセリドを含有する。特に好ましいものは、例えば、イワシ、サケ、ニシン、および/またはサバの油から得られる高度に精製した魚油濃縮物である。それらは、ガスクロマトグラフィー(面積パーセント)によって測定した魚油濃縮物の脂肪酸メチルエステルに基づき、20%ないし40%、好ましくは少なくとも25%のエイコサペンタエン酸含有量を有する。さらに、それらは、ガスクロマトグラフィー(面積パーセント)によって測定した魚油濃縮物の脂肪酸メチルエステルに基づき、10%ないし20%、好ましくは少なくとも12%のドコサヘキサエン酸含有量を有する。該オメガ−3脂肪酸の再エステル化により合成的に得られる魚油の場合、エイコサペンタエン酸+ドコサヘキサエン酸の全濃度は、トリグリセリドに基づき、少なくとも45%で有り得る。炎症過程に影響を与えるべき場合、EPAに富む魚油を使用するのが特に好ましい。DHAに富む魚油は、小児患者において、オメガ−3脂肪酸欠乏が生育および中枢神経の成熟に影響する場合に特に好ましい。好ましくは魚油の含有量は、脂質エマルジョンの全脂質含有量に基づき、10重量%ないし20重量%、より好ましくは10重量%ないし14重量%である。脂質エマルジョンの全脂質含有量は、水性脂質エマルジョンに基づき、5重量%ないし30重量%、好ましくは10重量%ないし25重量%である。蒸留水に加えて、該等張脂質エマルジョンは、乳化剤、乳化補助剤(補乳化剤)、安定化剤、抗酸化剤、および等張化添加剤のごとき、通常の補助剤および/または添加剤を含有する。乳化剤としては、動物または植物起源のリン脂質のごとき、生理学上許容される乳化剤が使用される。特に好ましいものは、精製レシチン、特に大豆レシチン、卵レシチン、またはそれらの分別物、または対応するホスファチドである。乳化剤含有量は、全エマルジョンに基づき、0.6重量%ないし1.5重量%、好ましくは1.2重量%である。さらに、長鎖(C16ないしC20)脂肪酸のアルカリ金属塩を乳化補助剤(補乳化剤)として使用してもよい。特に好ましいものはそれらのナトリウム塩である。該補乳化剤は、全エマルジョンに基づき、0.005重量%ないし0.1重量%、好ましくは0.02重量%ないし0.04重量%の濃度で使用される。さらに、コレステロールまたはコレステロールエステル単独で、または他の補乳化剤と組み合せて、0.005重量%ないし0.1重量%、好ましくは、0.02重量%ないし0.04重量%の濃度で使用してもよい。本発明による該脂質エマルジョンはビタミンE、特に、α−トコフェロール、および/またはアスコルビルパルミタートを抗酸化剤として、かくして、パーオキサイドの生成から保護するため、脂質100gに基づき、10mgないし1000mg、好ましくは、25mgないし200mgの量で含有してもよい。安定化および等張化のために、本発明による該エマルジョンは安定化または等張化添加剤、例えば、多価アルコールを2重量%ないし5重量%含有してもよい。これに関して、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、またはグルコースが好ましく、グリセロールが特に好ましい。本発明による該脂質エマルジョンは、例外なく水中油型(o/w)エマルジョンであり、その外部連続相は非経口目的のために精製した蒸留水よりなる。当該o/wエマルジョンは、MCT、植物油および魚油を混合し、ならびに続いて乳化することにより得られる。滅菌後、該脂質エマルジョンは、6.0ないし9.0、好ましくは6.5ないし8.5のpHを有する。本発明による該等張脂質エマルジョンは、不活性化の公知の手順により調製され得る。通常のアプローチは、先ず脂質、乳化剤、ならびに他の補助剤および添加剤を混合すること、次いで、分散させながら水で満たすことである。水は所望によりさらなる水溶性成分(例えば、グリセロール)を含んでもよい。かく得られた該エマルジョンは、依然として約10μmの直径を有する脂質粒子を含有する。次いで、さらなる均一化、例えば、高圧ホモジナイザーの使用により、該エマルジョンの平均液滴サイズをよりいっそう減ずる必要がある。非経口適用には、1.0μm未満、特に0.5μm未満の中程度の脂質液滴サイズが好ましい。本発明による該脂質エマルジョンは、過剰炎症反応または血管血栓症あるいは重篤な心不整脈のリスクが増大した患者への非経口投与、特に非経口栄養補給に使用される。特に、本発明による該脂質エマルジョンは、手術後および外傷後の状態、ならびに炎症性疾患;さらに、例えば、腹部手術または臓器移植のごとき手術後の重篤なまたは持続的な攻撃後代謝、および多発性外傷、炎症性疾患、火傷、感染症、切迫したまたは顕性敗血症、呼吸器機能欠陥、サイトカイン過剰産生の状態、消耗性疾患、および重篤な心不整脈(心室細動)または血管血栓症のリスクが増大した患者に使用することができる。本発明による該脂質エマルジョンは、代謝再活動の観点から、ショック状態の後、血液の供給が乏しくなった臓器の小潅流および代謝機能の改善のための非経口栄養補給に対して使用することもできる。以下に実施例を挙げて、本発明を説明する。調製例表1は、以下の実施例の該脂質エマルジョンにおいて使用される種々の油の脂肪酸組成(約%)を示す:MCT、植物油、魚油、乳化剤(鶏卵黄由来の分画したリン脂質)を含む混合物Iをウルトラ−ターラックス(Ultra−Turrax)によって分散させ、撹拌しながら水性成分IIで満たす。水酸化ナトリウムおよび/またはオレイン酸ナトリウム水溶液を用いて、そのpH値をpH8.0ないし9.0に調整する。それに続く均一化を高圧ホモジナイザー中、400kg/cm2で行う。適当な等級のガラスビンに分注した後、公知の方法で加熱滅菌を行う。滅菌したおよび発熱物質無しの安定エマルジョンは結果として、室温で少なくとも18カ月の貯蔵寿命を有し、0.5μm未満の平均サイズを有する脂質液滴を含有する。実施例1(in vivo)1.トリグリセリド加水分解の測定8人の男性被験者[年齢23±3歳(平均±標準偏差)]に、連続4日間、各日5時間にわたりMCT/植物油(50:50)の脂質エマルジョンを注入した(処理A、表3;表2中調製例1)。4週間のインターバル後、MCT/植物油/魚油(50:40:10)の脂質エマルジョンを同条件下で注入した(処理B、表4;表2中調製例4)。さらに少なくとも8週間のインターバル後、MCT/植物油/魚油(50:30:20)の脂質エマルジョンを同条件下で注入した(処理C、表5;表2中調製例5)。血清中におけるトリグリセリド加水分解[トリグリセリドクランプ(clamp)条件下、血清中濃度3.0mmol/lにおける注入3時間目ないし5時間目の平均注入速度(mg脂質/kg体重/h)として測定、1日被験者1人当たり9測定;分散分析]を以下のように測定した:本発明による処理Bでのトリグリセリド加水分解は、処理からの全ての日で、処理A(p<0.0001)および処理C(p<0.05)でのそれよりも有意に高かった。かくして、3日間にわたる平均注入速度は、MCT/植物油/魚油(50:40:10)の脂質エマルジョンにあっては、4.9gトリグリセリド/kg体重/日、MCT/植物油(50:50)の脂質エマルジョンおよびMCT/植物油/魚油(50:30:20)の脂質エマルジョンにあっては、それぞれ4.1および4.5gトリグリセリド/kg体重/日であった。調製例2および3により構成された該脂質エマルジョンは、同様の結果を与える。先行技術の通常の脂質エマルジョンと比較して、本発明による脂質エマルジョンは、より速やかな加水分解により遊離脂肪酸を与えるという結果もin vitro実験により確認できる(実施例2参照)。2.血清中遊離脂肪酸レベルの測定該被験者の血清中遊離脂肪酸レベルを、処理前(0h)および脂質エマルジョン投与終了後(5h)直ちに測定した。この目的のための適当な試験は、例えば、NEFAC試験[in vitro酵素比色法(Wako Chemicals GmbH,Germany)]である。本発明によるMCT/植物油/魚油(50:40:10)の脂質エマルジョンの投与により血清中遊離脂肪酸濃度は、市販のMCT/植物油(50:50)の脂質エマルジョンおよびもう1つのMCT/植物油/魚油(50:30:20)の脂質エマルジョンの投与と比較して、単位時間当たりより多くの脂質が供給されるが、顕著により高い値まで増加しないことが判明した。実験結果を以下の表6および7に示す:3.血小板(Thrombocytes)および白血球の膜リン脂質へのエイコサペンタエン酸(EPA,20:5 n−3)の取込みの測定8人の該被験者の血小板および白血球の膜リン脂質中のエイコサペンタエン酸の割合の測定を、脂肪酸メチルエステルを介してガスクロマトグラフィー(面積パーセント法)により行った。表9の結果と表10の結果との比較は、処理Cにおいて、例えば、第2日目に、0.9面積%のEPA含有量が白血球中で観察された事実を示す。本発明による処理Bにおける魚油含有量がたったの半分であることから、0.45面積%のEPA含有量が期待された。しかしながら、驚くことに、有意に高い値、すなわち0.7面積%が観察された。同様の結果が、第3日目に、および血小板での第2日目および第3日目に観察された。実施例2(in vitro)エマルジョン粒子へのアポタンパク質取込み非常に興味のあることは、本発明による組成を有するエマルジョン粒子(調製例4)における、アポタンパク質C−I(p<0.0001)およびアポタンパク質C−III(p<0.0001)(両アポタンパク質はトリグリセリド加水分解および、肝臓のごとき標的組織へのエマルジョン粒子の直接取込みの両方を阻止する)の顕著に低い富化(t−検定、両側検定)が、おそらく、検査した他の脂質エマルジョン(調製例5)よりも完全な脂質の血管内除去をもたらすであろうことである。非経口投与用脂質エマルジョンは、内因性リポタンパク質と相互作用するであろう。注入の間、外部から供給されたエマルジョンは、一部内因性LDL(低密度リポタンパク質;d<1.006g/ml)(高含量のアポタンパク質B(apo B)を持つリポタンパク質)と融合する。かくして、融合エマルジョン粒子中の該apo B富化は、外部から供給されたエマルジョンと比較的長い血漿中半減期を有する内因性LDLとの融合の程度の指標である。かくして、融合エマルジョン粒子中のapo Bの高含有量は、注入された脂質の滞在時間が伸びたことを示しているとみなされるべきである。その逆に、低apo B含有量は、短い血漿中半減期を意味し、血漿中滞在時間の減少に対応する。調製例4および5による2種の脂質エマルジョンを、リポタンパク質欠乏血漿中、ヒトLDLと共に37℃で4時間インキュベートし、続いてエマルジョン画分中のアポタンパク質Bの含有量を測定した。本発明による組成を有する該エマルジョン粒子は、調査した他の脂質エマルジョンのapo B富化よりも、5倍以上低いapo B富化を示す。その差は有意である(t−検定、両側検定;p<0.05)。 脂質エマルジョンの全脂質含有量に基づき、−48重量%ないし52重量%の中鎖トリグリセリド;−38重量%ないし42重量%の植物油(類);−10重量%ないし14重量%の魚油(類)を含むことを特徴とする、中鎖トリグリセリド、オメガ−6脂肪酸を供給するトリグリセリドを含む少なくとも1種の植物油、オメガ−3脂肪酸を供給するトリグリセリドを含む少なくとも1種の魚油、および通常の補助剤および/または添加剤を含む1.0μm未満の中程度脂質液滴サイズを有する非経口投与用の等張脂質エマルジョン。 該中鎖トリグリセリドが、少なくとも90重量%のカプリル酸(C8)およびカプリン酸(C10)のトリグリセリドを含むことを特徴とする請求項1に記載の脂質エマルジョン。 該植物油が、サフラワー油および/または大豆油から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の脂質エマルジョン。 該魚油が、イワシ、サケ、ニシン、サバおよび/または他の冷水魚の油、または冷水魚油の加水分解により得られるオメガ−3脂肪酸とグリセロールとの再エステル化により合成的に得られる魚油から選択されることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の脂質エマルジョン。 該魚油が、魚油濃縮物の脂肪酸メチルエステルに基づき、当該トリグリセリド中に少なくとも25%のエイコサペンタエン酸を含有することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の脂質エマルジョン。 該魚油が、魚油濃縮物の脂肪酸メチルエステルに基づき、当該トリグリセリド中に少なくとも12%のドコサヘキサエン酸を含有することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の脂質エマルジョン。 全脂質含量が、エマルジョンに基づき、5重量%ないし30重量%であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の脂質エマルジョン。 非経口投与栄養補給用のエマルジョンの調製のための請求項1ないし7いずれか1項記載の脂質エマルジョンの使用。 過剰炎症反応、血管血栓または重篤な心不整脈の増大したリスクの非経口投与による治療用の薬品を調製するための請求項1ないし7いずれか1項記載の脂質エマルジョンの使用。 手術後または外傷後の状態、あるいは炎症性疾患の非経口投与による治療用の薬品を調製するための請求項1ないし7いずれか1項記載の脂質エマルジョンの使用。 請求項1ないし7いずれか1項記載の脂質エマルジョンを含む非経口投与栄養補給用のエマルジョン。 請求項1ないし7いずれか1項記載の脂質エマルジョンを含む、過剰炎症反応、血管血栓または重篤な心不整脈の増大したリスクを非経口投与により治療するための医薬組成物。 請求項1ないし7いずれか1項記載の脂質エマルジョンを含む、手術後または外傷後の状態、あるいは炎症性疾患を非経口投与により治療するための医薬組成物。