生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_緑液およびスメルト溶液中の硫化ナトリウムおよび硫化度の測定
出願番号:1997511523
年次:2005
IPC分類:7,G01N21/35,G01N33/00


特許情報キャッシュ

レクラーク,デニス,エフ. JP 3687977 特許公報(B2) 20050617 1997511523 19960909 緑液およびスメルト溶液中の硫化ナトリウムおよび硫化度の測定 パルプ アンド ペーパー リサーチ インスチチュート オブ カナダ 浅村 皓 浅村 肇 小堀 貞文 池田 幸弘 レクラーク,デニス,エフ. US 08/526,873 19950912 20050824 7 G01N21/35 G01N33/00 JP G01N21/35 Z G01N33/00 B 7 G01N 21/00 - 21/61 G01N 33/00 - 33/46 JICSTファイル(JOIS) 国際公開第94/001769(WO,A1) 特開平07−151677(JP,A) 特開平07−027703(JP,A) 特開平05−240790(JP,A) Danielsson, Spectroscopic measurements in opaque:UV-Vis spectroscopy on process liquors in the paper and pulp , Process control and quality December1994, 1994年12月,Vol.6/No.2-3, Page,149-157 21 CA1996000604 19960909 WO1997010501 19970320 2000506594 20000530 20 20030612 横井 亜矢子 技術分野本発明は、水性パルプ液中の硫黄濃度要素の測定方法、および前記測定方法を用いたセルロース性パルプ製造装置に関するものである。特に、本発明は、硫酸塩(クラフト)パルプまたは亜硫酸パルプ工場の回収作業において、硫化ナトリウム濃度および所望により硫化度百分率を測定するためのオンライン方法に関する。本発明は、特に、硫化物、水酸化物、炭酸塩と塩化物イオンを含有するスメルト(smelt)溶液または緑液の吸光度測定のために、近赤外線分光測光分析法の適用に関係する。背景技術クラフトパルプ製造は、高アルカリ性白液中で木材チップを蒸解し、リグニンを選択的に溶解して木材基質からセルロース性繊維を解放して行う。白液の主要な2つの化学薬品は、苛性ソーダと硫化ナトリウムである。苛性ソーダは強アルカリである。硫化ナトリウムは、また強アルカリであり、水中で容易に加水分解して、硫化ナトリウム1モルについて、1モルの水酸化ナトリウムと1モルの硫化水素ナトリウムを生成する。水酸化ナトリウムの全量が有効アルカリ(EA)として知られている。白液は緑液を苛性化することにより作成でき、また、白液は、主に炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムのスメルトを水に溶解した後、懸濁した固体を除去してスメルト溶液を作成し、これを静澄化して緑液とすることによっても作成できる。スメルトは化学薬品回収炉中で作成するが、前記炉中では黒液の有機分を燃焼し、前記黒液は白液を用いパルプ製造後およびそこで硫化物とアルカリ消耗後に残る液である。緑液の硫化度は、溶液中の硫化ナトリウム量を、炭酸ナトリウム、硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合量である全滴定アルカリ(TTA)で除したものである。硫化度は、通常百分率(S%)で表し、緑液中20〜30%で変動する。低減効率は、緑液硫化ナトリウムの量(Na2Oとして)を、緑液またはスメルト溶液中の硫化ナトリウムと硫酸ナトリウムの混合量(Na2Oとして)で除したものと定義する。硫化ナトリウム、TTAと塩化ナトリウムや塩化カルシウムのような非処理電解質の制御は、閉鎖−循環系のクラフトパルプ工場の操業に有益な影響を及ぼすに違いない。例えば、環境上差し迫った逸失硫黄の低減は、通常液の硫化度を増大させ、従ってナトリウム対硫黄の不均衡を産み、苛性ソーダの添加による補給が必要である〔バンフィルとベントレイ、Pulp Paper Mag.Can 1993 94(1)T21−T24;タフリン、Proc.1991 TAPPI Pulp.Conf.、オルランドFL、821−827頁、TAPPI Press、アトランタ、ジョージア州〕。その他の重要な要求は、緑液中のTTAの制御であり、これはスメルト溶解槽に弱いウオッシュ(wash)を添加して極めて容易に成就できる。緑液のTTA値は重要であり、この値は液濃度に関係する。この濃度は、再苛性化域で石灰−泥の沈下速度に強い影響を及ぼし、一方再苛性化反応は緑液TTAに依存する。進行中の最近の化学パルプ製造工程の開発は、クラフトパルプ工場の操業上の全面に亘るより良い制御、および工程に関係する全化学薬品のより効率的使用に対する要望があることを強調している。紙およびパルプ科学では、濃縮液中の硫化物及び/又は硫化度のオンライン測定は、今でも重要な挑戦案件である。滴定法、重量法のような在来法、およびイオンクロマトグラフィー、ボルタンメトリー、原子吸光分光法と原子発光分光法のような最近の方法が、パルプ製造液の分析に使用されている。滴定法以外は、これらの方法のいずれもが、工程分析には採用できない。自動滴定法は、クラフト液中の硫化水素化物のオンライン測定のために現在容認された手段である。これらの系の基本は、強酸によるアルカリの中和を含み、中和工程では溶液の導電度を測定して中和等量点を検出する。これらの系は、複雑、且つ費用がかかり、広範な試料の前処理を必要とする。硫化物分析に滴定法を採用する主要な不利な点は、H2Sを大気中に放出することであり、重要な環境問題を起こす。硫化水素化物イオンが214nmの紫外線を強く吸収することは、よく知られている〔ホルムキストとジョンソン:PCT出願WO93/14390、「液およびスメルト溶液中の硫化物濃度を測定する方法」;D.ペラムネイジ、F.ホロウザン、S.リッチ、Anal.Chem.1994、66、378−383;パウロニスら:PCT出願WO91/17305、「液組成物の分析器および方法」〕。しかしながら、この吸収が極めて強い故に、直線的な検量線に生み測定可能な信号を得るために、非常に小さなセル厚み(10μより小)が必要になる〔パウロニスとクリシュナゴパラン、「クラフト白および緑液組成物の分析、第I部:個別の試料分析器」、J.Pulp Paper Sci.,1994、20(9)、J254−J258〕。このようなセル厚みを持つセルは詰まる傾向があり、オンラインで使用するには実際的でない。広範囲な希釈(1:1000−1:10000)が実践されるが、これは不正確な結果を与え、硫化物の酸化のリスクを増大する。希釈の試みは、毛細管ゾーン電気泳動のような技術で採用されている〔サロモン、D.R.;ロマノ、J.P.「パルプと紙産業における毛細管イオン分析の応用」、J.Chromatogr.,1992、602(1−2)、219−25;「毛細管電気泳動によるクラフト工程液の迅速イオン監視法」、Process Control Qual.,1992、3(1−4)、219−27〕。50%を越える硫化度測定のエラーが報じられた。希釈の不要な測定方法が必要である。塩化カリウムは、ボイラー管上に見られるナトリウム塩類の融点温度を低下させ、管に熱点腐食を促進発生させる〔P.イサック、H.M.トランとD.W.リーブ;「クラフト回収装置における炉周辺堆積物の粘着性、第II部、カリウムと表面処理の影響」、J.Pulp Paper Sci.,1987、13(5)、J154〕。若し、将来の実践が、沈殿捕捉器に通して塩ケーキを取り除くことにより、カリウムと塩化物を制御する方向に発展するのであれば、炉中の僅かな温度変動が、補足器中に蒸発するカリウムと塩化物の量に強い影響を与える故に、塩化カリウムとナトリウムの測定手段が必要になるであろう。塩化ナトリウム及び塩化カリウムのような成分は、測定可能な分光学的吸収がない故に、現場での特徴付けと定量化が困難である。望ましい技術は、厄介な実験室的方法で液のオフライン分析をたまに実施することである。これらの実験室的な結果に基づいて、時折ある種の救済的手段、例えば、沈殿捕捉器の吐き出し速度の増大をおこなう。また、塩化物イオンの測定方法も必要になる。希釈全反射(ATR)および近赤外線反射分析(NIRA)のような近代的フーリエ変換赤外(FT−IR)技術の出現は、水性流体中に存在する溶解または懸濁した物質の組成分析の研究を可能にしている。ウェイヤーは、微粒子および非水性成分を含有するパルプスラリー濾過液中に存在する、クレー、炭酸カルシウム、または二酸化チタンのような、非水性固体の濃度を測定するための近赤外分析法を提案している〔米国特許第5104485号〕。しかし、この方法は、硫化ナトリウムや炭酸ナトリウムのような水性成分を測定できない。FT−IR・ATRを使用した初期の実施例はフェイクスらによるものであり、彼らは米国特許第4743339号の中で、FT−IR・ATR法は黒液中のリグニン量の測定に使用でき且つそれによりパルプのカッパー価との関係を得ることを教示している。ミカエルは、〔TAPPI Journal 1990、73(4)、235〕で、黒液リグニンを測定する同様な方法を教示している。フェイクスらは、〔TAPPI Proceedings 1989、木材とパルプ製造化学シンポジウム、ラーレイ、ノースカロライナ州〕で、アルカリ性亜硫酸アンスラキノンメタノール法(ASAM)パルプ製造において、硫化ナトリウムの消費とリグニンスルホン塩酸の出現を測定できると報告している。これらの方法のいずれも、炭水化物の妨害と液対木材の比率のような工程変量値の不明確さがあるために、工程制御に利用できない。レクラークらは、〔J.Pulp Paper Sci.,1995、21(7)、231;米国特許第5282931号、第5364502号と第5378320号〕で、FT−IR・ATRを用いてEAとクラフト液中の多くの成分を測定可能であり、また、蒸解釜、再苛性化器と回収ボイラーのようなクラフトパルプ製造における重要な製造装置の操作制御のために、これらの測定法を使用できることを教示している。しかし、硫化ナトリウムは、ATRで許されるセル厚の薄さでは、そのスペクトル吸収の弱さ故に、測定不能であり、それ故にTTAの有意義な測定を妨げることになる。FT−IR装置とソフトウエアーの最近の進歩は、溶解した電解質のような水性成分の測定に、近赤外線領域のスペクトルの使用を可能にした。それぞれのイオン性の種は、水バンドに対し、その濃度に比例する独特の、計測可能な変化をもたらす。先行技術に対する利点は、試料の調整不要、短時間の測定、と測定現場における即時応答のためのファイバーオプチック技術の採用の可能性である。ワトソンとバウマン〔Spectroscopy、1990、2(1)、44〕、ヒルシュフェルド〔Appl.Spectrosc.,1985、39(4)、740−1〕、とグラントら〔Analyst、1989、114(7)、819−22〕により、食品および化学工業において、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムや塩化ナトリウムのような水性流体中に溶解した電解質の濃度測定に、近赤外分光法を使用することが近年示唆されている。また、ワトソンとバウマンは、硫化水素化物の存在は如何なる測定可能な吸収スペクトルをも発生しない故、EAと炭酸塩の測定を妨げないと報告した。このような発言は、近赤外分光測光法で硫化物及び/硫化度を測定できないことを強力に示唆している。一方、温度効果と他のカチオンとアニオンによる干渉は、部分最小自乗法(PLS)多成分検量技術を使用してモデル化が可能である。PLSは、業界では良く知られた多成分検量法〔ハーランド,D.M.およびトーマス,E.V.、Anal.Chem.,60(10):1193−1202(1988);Anal.Chem.,60(10):1202−1208(1988)〕である。この方法は、種により生じる吸光度が濃度に直線的に比例すると仮定した、スペクトルのモデルを作成できる。リンおよびブラウンは、〔Appl.Spectrosc.,1992、46(12)、1809−15;Environ.Sci.Technol.,1993、27(8)、1611−6;Anal.Chem.,1993、65(3)、287−92;Appl.Spectrosc.,1993、47(1)、62−8;Appl.Spectrosc.,1993、47(2)、239−41〕で、PLS検量技術は、近赤外の水バンドの強度に与える、数種のイオンの同時存在による乱れた影響の解決に非常に効果があることを教示している。また、フェランらは、〔Anal.Chem.,1989、61(13)、1419−24〕で、PLS検量を用いて970nm付近の水酸化物イオンスペクトルを解明した。試料調整と試薬を必要としない方法は、クラフトまたは亜硫酸緑液において硫化物及び/又は硫化度を日常的にオンラインで測定するために強く要求される。しかし、先行技術〔例えば、ワトソンとバウマン、Spectroscopy、1990、2(1)、44〕は、緑液中の硫化物及び/又は硫化度のオンライン測定に関して、オンライン赤外分光測光に反する教示をしている。開示本発明は、パルプ液の硫黄濃度要素の測定方法を提供するよう探索するものである。また、さらに、本発明は、セルロース性パルプ製造装置を提供せんとするものである。本発明の1つの観点に従えば、本発明は、(1)前記水性パルプ液の試料に予め定めた波長領域で近赤外線を照射して、バックグラウンドスペクトルを基準にして前記液の水吸光度ピーク値を求め、(2)(1)のピーク値を、硫黄濃度要素が既知の多数の硫化物含有水性パルプ液に対する、前記予め定めた波長領域における相当するピーク値の検量プロットと比較し、そして(3)(2)の比較から試料の硫黄濃度要素の数値を求めることを特徴とする硫化物含有水性パルプ液の硫黄濃度要素を測定する方法を提供する。適切な近赤外線照射は4000〜14000cm-1の波数範囲であり、好適には5300〜7800cm-1、最適には5300〜6700cm-1である。本発明の特殊な実施態様に従えば、本発明は、回収炉でスメルトを作成しそしてスメルト溶解槽に供給して緑液を作成するクラフトパルプまたは亞硫酸パルプ製造工程から導かれる、緑液およびスメルト溶液中の硫化ナトリウム濃度を測定する方法であって、クラフトパルプまたは亞硫酸パルプ製造工程から緑液またはスメルト溶液の試料を採取し、非希釈試料を4000〜14000cm-1の波数範囲にわたり近赤外線分光測光分析にかけて、水または苛性ソーダ−炭酸ナトリウム溶液の対照スペクトルに相対する吸光度測定値を求め、既知濃度の硫化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムと塩化ナトリウムの異なる混合溶液で示される吸光度を測定し、試料の吸光度測定値と既知濃度の異なる混合溶液で示される吸光度の関係を、多元変数検量により関係づけ、そして液中に存在する全滴定アルカリ(TTA)または塩化物の全ての水準に対する硫化ナトリウム量を前記関係から求める工程を含む前記の硫化ナトリウム濃度を測定する方法を提供するものである。本発明の他の観点に従えば、本発明は、下記の改良装置:即ち、パルプ製造工程から導かれる化学薬品用の回収炉を含む緑液調整装置、緑液生成槽および前記槽に通じる前記回収炉からの無機化学薬品のスメルトを流動させるスメルト流動管を有するセルロース性パルプ製造設備における、前記緑液の硫黄濃度要素を測定する検知装置を含む改良装置であって、前記検知装置は、近赤外線照射源に有効に接続したファイバーオプチック検知器、前記槽からの試料流動管、前記検知器からの近赤外線照射を受容するための前記試料流動管中の検知帯域、前記検知帯域からの吸光スペクトルを記録するための分光測光器、と前記検知帯域からの吸光スペクトルと既知の濃度要素に対する吸光スペクトルの検量を比較する比較測定器手段を含み、そして試料の濃度要素評価値を提供する、装置を提供するものである。好適な実施態様の説明本発明の方法は、パルプ液の硫黄濃度要素を測定する方法である。この濃度要素は、特に、硫化物濃度または硫化度である。殊に、パルプ液試料は、非希釈でパルプ製造工程の緑液調整装置から供給される;換言すれば、非希釈緑液試料が検討に必要であり、前期装置はパルプ製造工程から導かれる化学薬品の回収炉を包含する。緑液は回収炉で作成された無機化学薬品のスメルトから導かれる。測定した濃度要素の数値に応じて回収炉の操作を制御し、緑液中の電解質の濃度要素を調節する。特定の実施態様において、液の硫化度をTTA基準で測定すためにこの方法を使用する;この場合、苛性ソーダ、炭酸ナトリウムと塩化ナトリウムも測定し、得られたデータから硫化度百分率を算出する;非希釈緑液の近赤外線吸光度を測定して苛性ソーダ、炭酸ナトリウムと塩化ナトリウムの混合濃度を決める。本発明の装置は、特に、回収炉の操作要素を制御するための制御手段を含み;制御手段が比較測定器手段により提供される評価値に応答して、操作要素を調節するために比較測定器手段に有効に接続されている。本発明は工程液中の硫化ナトリウム及び/又は硫化度を測定するための迅速測定法である。この方法は先に議論した欠点を解消している。この新規な方法は、頻繁な装置のメンテナンスが不要であり、試料の処理と化学薬品も不要である。高度な試料の処理量は、ファイバーオプテイックスを使用または複合流体試料採取システムを使用して、多数の工程流体を単一分析器に多重移送することを可能にする。本発明の分析方法は、透過スペクトルから得られるオンラインの近赤外線吸収測定法を使用するもので、そして、溶解電解質による水吸収帯域の変化や移動の影響を受けない。各電解質は独特な変化パターンを発生させ、これを最近のソフトウエアー手段が識別し、定量化する。最初に、硫化物の量を反映するだけでなく、硫化物測定を強く妨害する溶液中の他のアニオン種、例えば、水酸化物、炭酸塩と塩化物の変化を反映する、示差吸収光スペクトルを算出するように、溶液の吸収光スペクトルから純水または苛性ソーダ−炭酸ナトリウムの吸収光スペクトルを差し引きする。予め定めたスペクトル範囲に沿って、液の示差吸収光スペクトルを測定する。PLS検量の助けをかりて、標準法の実験室分析により得た実際の濃度を用いて、観察した示差吸収光を直接的に修正する。この修正は、混合物のスペクトルを演習用ソフトウエアーに入れ、スペクトル範囲のモデルと使用液に展開することにより行う。必ずしも必要ではないが、全イオン種濃度がPLS検量範囲内に入り、バイアス無しに硫化度の測定が正確であり、そしてノイズの無いモデルを作成して少数の基準ベクトルで特質を明らかに出来ることが、一般的に好ましい。未知試料中の成分を特定するためのモデルは、この基準ベクトルを使用する。PLSモデルを用いて液の化学組成を計算する。また、標準分析法(CPPA J.12)を用いて工程試料を分析し、赤外線分光測光法により得たデータを用いて検量セットを作成する。この検量測定は緑液に使用して、硫化度を監視し且つ所望によりクローズドサイクル操業時における循環液中の塩化物の塩の堆積を測定する。また、回収ボイラーの下流の炉中で、硫酸塩とチオ硫酸塩の低減と硫化物生成を促進するために、近赤外硫化物測定値を使用できる。本発明をパルプ及び紙液に適用する事は、迅速且つ信頼性があり、現存法に比較してメンテナンスが不要な、硫化物及び/又は硫化度を測定する方法を提供するものである。また、本発明のオンライン分析手法は、緑液に対しTTAを基準にする硫化度百分率の測定および苛性ソーダと炭酸塩を含む要素の測定のために使用可能である。塩化物のような種の存在が硫化物とTTAの測定を妨害するので、緑液中の塩化物水準の測定が必要となる。PLSモデルは作成容易であって、これらの他の化合物を直接定量できる。要約すれば、この新規な方法は、自動滴定器と電導度センサーに置き換え可能である。また、それは、緑液中の硫化物及び/又は硫化度水準に関する多くの必要な情報を提供する。1つの実施態様において、本発明は、クラフトまたは亜硫酸パルプ製造法で、緑液の硫化ナトリウム濃度及び/又は硫化度百分率を測定する方法を提供するもので、下記の工程を含むものである:即ち、クラフトパルプまたは亜硫酸パルプ製造工程から緑液またはスメルト溶液の試料を採取し、試料を予め定めた波数範囲にわたり近赤外線分光測光分析にかけて、空気の対照スペクトルに相対する吸光度測定値を求めるか、または硫化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムと塩化ナトリウムの濃度の異なる組合せで示される示差吸光度測定値(水または苛性ソーダ−炭酸ナトリウムの対照スペクトルに関連づけて算出する)を求め、未知試料の吸光度測定値と硫化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムと塩化ナトリウムの濃度の異なる組合せで示される吸光度の関係を、多元変数検量手段により関係づけ、試料中に存在する硫化ナトリウム量及び/又は硫化度百分率を、TTAの全水準および液中に存在する塩化物の全水準に対して正確に測定する。【図面の簡単な説明】本発明の実施例を解説する図面を参照して、本発明をさらに説明する。図1Aは、本発明の実施態様の1つに従って検知装置を完備した、回収システムの線図である;図1Bは、図1Aにおけるファイバーオプチック検知器の詳細である;図2は、検量試料を選択して2−成分PLS検量モデルを組み立てるために使用する、3−成分の半強制的な混合物設計を解説する3元の線図である;図3は、検量試料を選択して3−成分PLS検量モデルを組み立てるために使用する、4−成分の半強制的な混合物設計を解説する4元の線図である;図4は、赤外線吸光度(縦軸)対波数(横軸)のグラフであり、異なる硫化ナトリウム濃度と一定の苛性と炭酸塩濃度を有する6種の合成緑液に対する、空気対照スペクトルに関して水−帯域の吸光度の変化を表している;図5は、赤外線示差吸光度(縦軸)対波数(横軸)のグラフであり、異なる硫化物濃度を有する5種の合成緑液に対し、苛性ソーダ−炭酸ナトリウム参照スペクトルに関して計算した示差吸光度の変化を表している;図6は、6種の硫化ナトリウム濃度に対し、Na2O(g/L)で測定した硫化ナトリウム濃度(横軸)対7150cm-1の帯域吸光度(縦軸)の検量グラフである;図7は、赤外線示差吸光度(縦軸)対波数(横軸)のグラフであり、Na2O(g/L)で測定した異なる硫化水素化物を有する6種の合成緑液に対し、有効な炭酸アルカリの対照スペクトルに関して計算した示差吸光度の変化を表す;図8は、6種の硫化水素化物の濃度に対し、Na2O(g/L)で測定した硫化水素化物の濃度(横軸)対7150cm-1の帯域吸光度(縦軸)の検量グラフである;図9は、2−成分PLS検量モデルに対する、予測硫化水素化物濃度(縦軸)対実測硫化水素化物濃度(横軸)のPLS検量グラフであり、縦軸と横軸のNaHS濃度はNa2O(g/L)で測定している;図10は、2−成分PLS検量モデルに対する、予測の混合苛性ソーダ−炭酸ナトリウム濃度(縦軸)対実測の混合苛性ソーダ−炭酸ナトリウム濃度(横軸)のPLS検量グラフであり、混合NaOH+Na2CO3濃度はNa2O(g/L)で測定している;図11は、赤外線示差吸光度(縦軸)対波数(横軸)のグラフであり、4種の異なる塩化物濃度を有する合成緑液に対し、水対照スペクトルに関して計算した示差吸光度の変化を表し、塩化物濃度(g/L)はNaClのものである;図12は、3−成分PLS検量モデルに対する、予測の硫化水素化物濃度(縦軸)対実測の硫化水素化物濃度(横軸)のPLS検量グラフであり、縦軸と横軸のNaHS濃度はNa2O(g/L)で測定している;図13は、3−成分PLS検量モデルに対する、予測の混合苛性ソーダ−炭酸ナトリウム濃度(縦軸)対実測の混合苛性ソーダ−炭酸ナトリウム濃度(横軸)のPLS検量グラフであり、混合NaOH+Na2CO3濃度はNa2O(g/L)で測定している;図14は、3−成分PLS検量モデルに対する、NaCl(g/L)で表した予測の塩化ナトリウム(縦軸)対実測の塩化ナトリウム(横軸)濃度のPLS検量グラフである。図面を参照した好適な実施態様の説明図1Aは、本発明の実施態様の1つに従って検知装置を完備した、回収システムの線図である。図1Aを参照すれば、黒液は、多重効用釜(図示せず)を通過し、ライン8で回収炉又はボイラー10に入り、煙道ガスとスメルト14を生成する。スメルト14はスメルト溶解槽16に流入して緑液を含むスメルト溶液を生成する。緑液清澄器22に通じるライン20の試料採取位置18で、緑液試料を採取する。小口径導管24を通じて、通過モードまたは反射モードのファイバーオプチック検知器28を包含する流体試料採取器26に、試料を供給する。前記2つのモードは、いずれも当業者ではよく知られている。緑液清澄器22は、ライン40により石灰消和装置と苛性化装置42に接続している。ライン40は、清澄化された緑液を担う流体を石灰消和装置と苛性化装置に搬送し、そこで緑液は白液に転換される。分岐ライン44は、ライン40と流体試料採取器26を接続し、清澄化された緑液を担う流体を試料採取器26に搬送する。石灰消和装置と苛性化装置42からのライン48は、清澄化された白液を担う液体を白液貯蔵槽と蒸解釜50に搬送する。ライン48からの分岐ライン46は、清澄化された白液を担う流体を流体試料採取器26に搬送する。弱洗浄水が、かす洗浄器60からライン52を経て槽16に入る。ライン58は、弱洗浄水を作成するための補給水をかす洗浄器60に供給し、前記弱洗浄水は、ライン52を経てスメルト溶解槽16に、そして分岐ライン62を経て緑液清澄器22に供給される。攪拌機64は槽16の内容物を攪拌する。コンピュータ38とライン8間の連絡環68の作動装置64は、回収炉10に通じる黒液の流動を制御する;作動装置66は炉10の作動条件を最適化するために使用する。ライン70は、緑液清澄器22から出たかすを担う流体を、かす洗浄器60に搬送する。かす洗浄器60中で、かすから苛性ソーダを回収し、かすをライン56で除去する。図1Bに示すように、流れ方向11は矢印Aで確認され、分光器36から発した近赤外光はファイバーオプチック検知器28を通り、ファイバーの照明された出口30から出て、少量の液が充満したギャップ32を通って伝播する。緑液はギャップ32を通る近赤外光を吸収し、同光はファイバーの入口34で集められる。位置34から集められた赤外光はフーリエ変換分光計36(FT−IR)で検出される。分光計36は液の近赤外光線吸光度を記録する。分光計36からの読みを図1に示したコンピュータ38に移し、PLS多成分検量モデルを使用して、液の硫化ナトリウム濃度とその硫化度(TTA基準で)を計算する。スメルト溶解槽16に入る水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、と塩化ナトリウムの量の変動を検量モデルで確認するので、硫化物または硫化度測定を妨害しない。回収システムの遠隔検査に、パイプ、光誘導装置または赤外線ファイバーオプチックケーブルを組合わせたシステムを使用するので、液は多数の位置で試料提供が可能となり、それによりシステムコストを最低にし、多数の流体を1個のFT−IR装置で分析可能にする。回収炉の操作要素を調整するためにコンピュータでプログラム化するので、下流の炉で起きる反応、即ち硫酸塩やチオ硫酸塩のような酸化された硫黄種の還元のような、反応の効率が改善される。代わりに、コンピュータから受理した情報は直接オペレーターに伝達され、手動の調整を行う。スペクトルの記録には、パーキン−エルマー〔ノルウオークCT〕1610FT−IR分光計を使用した。記録スペクトルは、16cm-1の精細度で7800cm-1(1.28マイクロメーター)〜5300cm-1(1.89マイクロメーター)のスペクトル範囲にわたる平均1024の走査の結果であった。水性溶液用の1.5mm溶融シリカ製透過セルを用いて室温で、スペクトルを透過させた。透過セル使用の空気のバックグラウンドに対して、吸収スペクトルを集めた。水または苛性ソーダ−炭酸ナトリウムのスペクトルを液のスペクトルから差引いて、溶液に存在するイオン種の数と量を反映する示差吸光度スペクトルを求めた。多成分検量工程では、ラブカルク(商標、ガラクチック・インダストリー社、セイラムNH)を備えたPLS装置を使用した。試薬級の化学薬品を使用して3系統の合成−液の混合物を作成した。また、5つのクラフトミル試料(ミルA、B、C、D、F)と1つの亜硫酸ミル試料(ミルC)を別々の位置から入手した。第1の系統の合成−液の混合物に含有される試料の組成を表1に示した。苛性ソーダと炭酸ナトリウムは、そのスペクトルの特徴がPLS検量で区別できないので、単一組成物に分類され、これらの特徴はこれらの種の濃度に深く関係するスペクトル領域で殆ど同一である。図2は、2−成分(NaHS、NaOH+Na2CO3)PLS検量モデルを組立てるための第2系統の合成−液試料で使用する検量試料を選択するための、3−成分(NaHS、NaOH、Na2CO3)の設計を説明する3元の線図である。図3は、3−成分(NaHS、NaOH+Na2CO3、NaCl)PLS検量モデルを組立てるための第3系統の合成−液試料で使用する検量試料を選択するための、4−成分(NaHS、NaOH、Na2CO3、NaCl)の設計を説明する4元の線図である。図3に示された4面体の隠れた面は、図2に表示された線図と同一の4元の線図である。試料20は隠れた面の中央に位置し、一方他の4試料は4面体の中心近くに位置する。図2と図3を参照し、最後の2系統の合成−液の混合物の組成を、半強制的な混合物設計の助けをかりて選択したが、組成物の濃度は以下の範囲にわたり広範囲に分布していた:硫化ナトリウム、10〜100g/L(Na2Oとして)(硫化水素ナトリウム、5〜50g/L(Na2Oとして));水酸化ナトリウム5〜26g/L(Na2Oとして);炭酸ナトリウム、40〜120g/L(Na2Oとして);塩化ナトリウム、5〜35g/L(NaClとして)。全ての試料の濃度は、数値的には各混合物の線図以下の同一オーダーで与えられる。全ての濃度を標準法〔”T624os−68−−ソーダ及び硫酸塩白及び緑液の分析”、TAPPI標準法、TAPPIプレス、アトランタ;”J.12−−硫酸塩緑及び白液の分析”CPPAの技術部門の標準法、モントリオール〕で確認した。表Iに掲載した試料を第2系統の試料と混合し、2−成分モデルの組立てに使用した。各検量モデルに対して、合成−液スペクトルを2セット、即ち検量セットと有効セットに分類する。両極端の濃度を示す試料を含む試料の2/3を、スペクトルモデル組立てに用いる検量セットに混合し、離れ孤島を無くす。試料の残りをモデルの正確さ確認に使用する。吸光スペクトル、既知濃度の硫化物、苛性、炭酸塩、所望により塩化物の各スペクトルを組合わせ、各検量セットを予知モデルを組立てる目的で作成する。緑液の追加ミル試料を無作為に選択し、各検量セットで用い、2つのモデルの移動可能性を確かめた。ミル試料と確認試料のための2つの検量モデルの使用により得られた結果を表IIとIIIに示した。これらの結果を以下の実施例で議論する。実施例実施例1図4に示した水と6つの合成緑液(Na2S:10、20、30、40、46、52g/L(Na2Oとして);NaOH:12g/L(Na2Oとして);Na2CO3:65g/L(Na2Oとして))に対する水−帯域吸収スペクトルは、硫化ナトリウムの存在が硫化ナトリウム濃度に関係する水−帯域吸収の変化を生み出すことを例証している。図5に示した示差−吸光スペクトルは、図4に示すスペクトルから苛性ソーダ−炭酸ナトリウムスペクトルを差し引き、苛性ソーダ−炭酸ナトリウム(NaOH:12g/L(Na2Oとして);Na2CO3:65g/L(Na2Oとして))対照スペクトルを参照して算出される。波数7150cm-1における吸収ピークは硫化ナトリウム濃度と直線的関係があり、その傾向は図6に例示される。硫化ナトリウムのスペクトル中に存在する水酸化物の影響を除くために、水対照スペクトルに対し純水酸化ナトリウム(NaOH:5、10、15、20、23、26g/L(Na2Oとして))を用いて、示差吸光スペクトルを求め、そして図5に示すスペクトルから差し引く。その結果得られた、硫化水素化物スペクトルを図7に示す。一連の有効なアルカリ−炭酸ナトリウムスペクトルを、図4で示した緑液スペクトルから差し引くと、同一のスペクトルが得られる。図7の硫化水素化物のスペクトルパターンは、図5に示したパターンと可なり相違するが、波数7150cm-1における吸収ピークは、硫化水素ナトリウム濃度と直線的関係を残しており、その傾向は図8で明瞭に例証される。これらの結果は、緑液に対するNIR示差−吸光スペクトルが、PLS検量モデルの組立てに優れた候補であることを示唆している。実施例2(1)硫化ナトリウム濃度及び/又は硫化度百分率、(2)緑液とスメルト溶液のTTAを予知できる検量モデルを組立てる目的で、表Iと図2に掲載した合成試料のセットに関して、2−成分PLS検量を実施した。モデルを組立てるために選択したスペクトル領域は以下の通りである:(1)硫化水素化物、3領域:5728−6060、6744−6900、と6930−7030cm-1、(2)苛性ソーダ−炭酸ナトリウム、2領域:6116−6243、と6400−6630cm-1。硫化水素化物に対する図9に示した検量グラフは、このようなモデルが硫化水素化物に対して組立てられることを示唆する。図9に示す検量線に対する直線要因は:インターセプト、0.004g/L(Na2Oとして);スロープ、1.0034である。インターセプトの標準偏差が0.189であるから、これは硫化水素化物に対し約0.2g/L(Na2Oとして)の誤差に換算される。図10に示す苛性ソーダ−炭酸ナトリウムに対する検量プロットは、TTAを測定し、それにより正確な硫化度測定へと誘導する。図10に示す検量線に対する直線要因は:インターセプト、0.102g/L(Na2Oとして);スロープ、0.999である。苛性ソーダ−炭酸ナトリウムに対するインターセプトの標準偏差が0.481であり、NaHSの誤差が0.2であるから、これはTTAに対し約0.7g/L(Na2Oとして)の誤差に換算される。ミル試料と確認試料に対し表IIに示した結果は、近赤外線分析と標準法測定間のNa2SとTTA濃度によく一致する。検討中の化学種に対する好適範囲は以下の通りである:Na2S、20〜100g/L(Na2Oとして);TTA、105〜140g/L(Na2Oとして)。実施例3図11に示した塩化ナトリウムに対する示差−吸光スペクトルは、塩化物−添加した緑液のスペクトルから緑液吸光スペクトルを差引き、合成緑液(Na2S:30g/L(Na2Oとして);NaOH:10g/L(Na2Oとして):Na2CO3:77g/L(Na2Oとして))対照スペクトルに関して計算した。波数6600cm-1の吸収ピークは、幾分は塩化ナトリウムに関係する。(1)硫化ナトリウム濃度及び/又は硫化度百分率、(2)TTAおよび(3)緑液とスメルト溶液の塩化物を予知できる検量モデルを組立てる目的で、図3に掲載した合成試料のセットに関して、3−成分PLS検量を実施した。モデルを組立てるために選択したスペクトル領域は以下の通りである:(1)硫化水素化物、2領域:7166−7553と6650−6725cm-1、(2)苛性ソーダ−炭酸ナトリウム、1領域:6449−6618cm-1;(3)塩化物、1領域:5650−6400cm-1。硫化水素化物に対する図12に示した検量グラフは、このようなモデルが硫化水素化物に対して組立てられることを示唆する。図12に示す検量線に対する直線要因は:インターセプト、0.216g/L(Na2Oとして);スロープ、0.989である。インターセプトの標準偏差が0.201であるから、これは硫化水素化物に対し約0.2g/L(Na2Oとして)の誤差に換算される。図13に示す苛性ソーダ−炭酸ナトリウムに対する検量プロットは、TTAを測定し、それにより正確な硫化度測定へと誘導する。図13に示す検量線に対する直線要因は:インターセプト、0.514g/L(Na2Oとして);スロープ、0.993である。苛性ソーダと炭酸ナトリウムに対するインターセプトの標準偏差が0.725であり、NaHSの誤差が0.2であるから、これはTTAに対し約0.92g/L(Na2Oとして)の誤差に換算される。図14における塩化ナトリウムに対する検量プロットは、この要因が測定できることを示唆している。図14に示す検量線に対する直線要因は:インターセプト、0.406g/L(Na2Oとして);スロープ、0.977である。塩素に対するインターセプトの標準偏差が0.393g/L(NaCl)である。ミル試料と確認試料に対し表IIIに示した結果は、近赤外線分析と標準法測定間のNa2S、TTAと塩化物濃度によく一致する。Na2SとTTAに対する好適濃度範囲は、先行実施例の範囲と同様であり、一方塩化物に対する好適範囲は10〜25g/L(NaCl)である。以上の実施例から以下のことが判る:即ち、クラフトまたは亜硫酸パルプ工程中で、異なるタイプの緑液とスメルト溶液を分析可能であり、そして液の硫化ナトリウム含有量、硫化度(TTAを基準にして)と所望により塩化ナトリウムを、種々のタイプの部分最小自乗法(PLS)の多元変数検量を用いて測定可能であり、前記検量は、検量試料中の各成分の異なる濃度に対するスペクトル挙動を、前記試料中のそれらの実際濃度と関係づけている。この関係は、未知試料中の硫化ナトリウム及び/又は硫化度(TTAを基準にして)と所望により塩化ナトリウムの濃度を予測するために使用される。従って、少なくとも1つの工程変数を変更することにより、工程を制御し、前記した要素の最適値を得ることが可能である。本発明は請求の範囲によりその範囲を限定するものであるが、本発明の範囲から逸脱することなく、ここに示した実施態様に種々の変更を加えることが可能である。 硫化物含有水性パルプ液の硫黄濃度要素を測定する方法であって、前記硫黄濃度要素が硫化物濃度または硫化度百分率であり、(1)前記水性パルプ液の試料に予め定めた波長領域で近赤外線を照射して、バックグラウンドスペクトルを基準にして前記液の吸光度ピーク値を求め、(2)(1)のピーク値を、既知の硫化物濃度または硫化度百分率の多数の硫化物含有水性パルプ液に対する、前記予め定めた波長領域における相当するピーク値の検量プロットと比較し、そして(3)(2)の比較から、試料の硫化物濃度または硫化度百分率の数値を求める、ことを特徴とする前記方法。 前記近赤外線照射を5300〜7800cm-1の波数で行う請求の範囲第1項に記載する方法。 前記パルプ液が緑液である請求の範囲第1項または第2項に記載する方法。 前記バックグラウンドスペクトルが水スペクトルである、請求の範囲第1項、第2項または第3項に記載する方法。 前記バックグラウンドスペクトルが苛性ソーダ−炭酸ナトリウム溶液のスペクトルである請求の範囲第1項、第2項または第3項に記載する方法。 前記パルプ液をパルプ製造工程の緑液調整装置から供給し、前記装置はパルプ製造工程から導かれる化学薬品用の回収炉を含み、且つパルプ製造工程中で緑液は前記回収炉から出た無機化学薬品のスメルトから導かれ、そして(4)(3)で求めた硫黄濃度要素に応じて回収炉の操作を制御して、緑液の硫黄濃度要素を調節する工程を含む、請求の範囲第3項に記載する方法。 回収炉でスメルトを作成しそしてスメルト溶解槽に供給して緑液を作成するクラフトパルプまたは亞硫酸パルプ製造工程から導かれる、緑液およびスメルト溶液中の硫化ナトリウム濃度を測定する方法であって、クラフトパルプまたは亞硫酸パルプ製造工程から緑液またはスメルト溶液の試料を採取し、非希釈試料を4000〜14000cm-1の波数範囲にわたり近赤外線分光測光分析にかけて、水または苛性ソーダ−炭酸ナトリウム溶液の対照スペクトルに相対する吸光度測定値を求め、既知濃度の硫化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムと塩化ナトリウムの異なる混合溶液で示される吸光度を測定し、試料の吸光度測定値と既知濃度の異なる混合溶液で示される吸光度の関係を、多元変数検量により関係づけ、そして液中に存在する全滴定アルカリ(TTA)または塩化物の全ての水準に対する硫化ナトリウム量を前記関係から求める、請求の範囲第1項に記載する方法。 前記近赤外線吸光度測定を5300〜7800cm-1の波数範囲で行う、請求の範囲第7項に記載する方法。 苛性ソーダと炭酸ナトリウムを測定し且つ得られたデータから硫化度百分率を計算し、非希釈スメルト溶液または非希釈緑液の近赤外線吸光度測定により苛性ソーダと炭酸ナトリウムの混合濃度を測定する、スメルト溶液または緑液の硫化度(TTA基準)を測定するための、請求の範囲第7項または第8項に記載する方法。 苛性ソーダ、炭酸ナトリウムと塩化ナトリウムを測定し且つ得られたデータから硫化度百分率を計算し、非希釈緑液の近赤外線吸光度測定により苛性ソーダ、炭酸ナトリウムと塩化ナトリウムの混合濃度を測定する、TTA基準で緑液の硫化度を測定するための、請求の範囲第7項または第8項に記載する方法。 前記近赤外線吸光度測定を5300〜6700cm-1の波数範囲で行う、請求の範囲第7項、第9項または第10項に記載する方法。 分光測光分析を近赤外線透過度で行う、請求の範囲第7項、第8項、第9項、第10項または第11項に記載する方法。 透過度がファイバーオプチック透過セルからである、請求の範囲第12項に記載する方法。 透過度が反射セルからである、請求の範囲第12項に記載する方法。 分光測光分析を連続測定のために流体通過セル中で行う、請求の範囲第7項、第8項、第9項、第10項または第11項に記載する方法。 試料の吸光度測定と異なる硫化物濃度に対する吸光度の関係を、部分最小自乗法(PLS)多元変数検量を用いて求める、請求の範囲第7項、第8項、第9項、第10項または第11項に記載する方法。 前記検量プロットが、部分最小自乗法多成分検量技術を用い展開した硫黄濃度要素に対するピーク吸光度のプロットである、請求の範囲第1項、第2項、第3項、第4項、第5項、または第6項に記載する方法。 パルプ製造工程から導かれる化学薬品用の回収炉(10)を含む緑液調整装置、緑液生成槽(16)および前記槽(16)に通じる前記回収炉(10)からの無機化学薬品のスメルト(14)を流動させるスメルト流動管を有するセルロース性パルプ製造設備であって、前記緑液の硫黄濃度要素を測定する検知装置を有し、前記硫黄濃度要素が硫化物濃度または硫化度百分率であり、前記検知装置は、近赤外線照射源(36)に有効に接続されたファイバーオプチック検知器(28)、前記槽(16)からの試料流動管(20)、前記検知器(28)からの近赤外線照射を受容するための前記試料流動管中の検知帯域(26)、前記検知帯域(26)からの吸光スペクトルを記録するための分光測光器(36)、と前記検知帯域(26)からの吸光スペクトルと既知の硫化物濃度または硫化度百分率に対する吸光スペクトルの検量を比較する比較測定器手段(38)を含み、そして試料の前記濃度要素の評価値を提供することを特徴とする前記製造設備。 前記回収炉(10)の操作要素を制御するための制御手段(66)をさらに含み、前記制御手段(66)が比較測定器手段(38)により提供される評価値に応答して前記操作要素を調節するために前記比較測定器手段(38)に有効に接続されている、請求の範囲第18項に記載する製造設備。 前記近赤外線照射源が4000〜14000cm-1の波数範囲にわたる、請求の範囲第18項または第19項に記載する製造設備。 前記範囲が5300〜7800cm-1である請求の範囲第20項に記載する製造設備。


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