タイトル: | 特許公報(B2)_酸化クロムの処理及びフッ化ビニルの触媒的製造 |
出願番号: | 1997503216 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C01G 37/02,B01J 23/26,C07C 17/25,C07C 21/18,C07B 61/00 |
クリストフ,フランク・ジエイ コールストン,ジヨージ・ダブリユー ラオ,ベリヤー・ノツト・マリカージユナ JP 3981409 特許公報(B2) 20070706 1997503216 19960607 酸化クロムの処理及びフッ化ビニルの触媒的製造 イー・アイ・デユポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 小田島 平吉 小田嶋 平吾 クリストフ,フランク・ジエイ コールストン,ジヨージ・ダブリユー ラオ,ベリヤー・ノツト・マリカージユナ US 60/000,066 19950608 US 60/004,058 19950920 20070926 C01G 37/02 20060101AFI20070906BHJP B01J 23/26 20060101ALI20070906BHJP C07C 17/25 20060101ALI20070906BHJP C07C 21/18 20060101ALI20070906BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070906BHJP JPC01G37/02B01J23/26 ZC07C17/25C07C21/18C07B61/00 300 C01G 37/02 〜 033 B01J 23/26 米国特許第3413363(US,A) 1 US1996009752 19960607 WO1996041679 19961227 1999507870 19990713 9 20030415 新居田 知生 発明の分野本発明はフッ化ビニルの製造方法、さらに特定的には、1,1−ジフルオロエタンからフッ化ビニルへの脱フッ化水素化(dehydrofluorination)のための触媒及び触媒的方法に関する。背景フッ化ビニル(すなわちCH2=CHF又はVF)は、優れた耐候性及び耐薬品性を有するフルオロカーボンポリマーの製造のための有用なモノマーである。フッ化ビニルはアセチレン及びフッ化水素から水銀触媒を用いて製造することができる。1,1−ジフルオロエタン(すなわちCHF2CH3又はHFC−152a)の脱フッ化水素化によってそれを製造することもできる。米国特許第2,892,000号は、フッ化ビニル及び1,1−ジフルオロエタンの製造法を開示している。この方法ではHF及びアセチレンにクロム触媒(例えば酸化クロム又はクロム塩触媒)の上を通過させ、VF及びHFC−152aの混合物を得る。これらの触媒を用いて生成物HFC−152aからVFに転化させる方法もこの特許に開示されている。該特許はこのHFC−152aの転化のために、HF及びアセチレンの反応に用いられ、その活性が低下しており、次いで加熱された触媒上に空気又は酸素を通過させることにより(例えば約600〜700℃で1〜3時間)処理され、HFC−152aからVFへの脱フッ化水素化で用いるために活性化されている触媒を用いることを記載している(例えば約200℃〜400℃において、及び1時間に触媒の体積当たりに約20〜約80体積の速度において)。HFC−152aからVFへの転化のためのもっと有効な触媒の開発における興味が進行中である。発明の概略本発明はフッ化ビニルの製造のための有利な方法、ならびに該方法で有用な触媒の調製に用いることができる有利な方法を提供する。表面B2O3を含有する塊状(bulk)酸化クロム組成物に存在する表面B2O3を減少させる方法を提供する。該方法は、該塊状酸化クロム組成物を高められた温度(例えば200〜400℃)でHFと接触させることを含む。B2O3を含有する塊状酸化クロム組成物を処理してその表面上に存在するB2O3を増大させる(enrich)ための方法も提供する。この方法は、該組成物を酸素又は酸素−含有環境(例えば空気)中で、高められた温度において、組成物の表面上のB2O3を未処理の塊状組成物の表面B2O3含有量と比較して少なくとも2倍(at least a factor of two)に増大させるのに十分な時間加熱することを含む。さらに、最初に上記の通りに塊状酸化クロム組成物を処理してその表面上に存在するB2O3を増大させ、表面−増大組成物を高温で気相のHFと接触させることにより、B2O3を含有する塊状酸化クロム組成物に存在するB2O3の量を減少させる方法を提供する。本明細書において、1,1−ジフルオロエタンを気相において、約225℃〜375℃の温度で、クロムが触媒の金属カチオンの少なくとも95原子パーセントである3価クロム触媒(好ましくは主にアルファ−酸化クロムの形態を有するか及び/又はアルカリ金属酸化物として1000ppm未満のアルカリ金属を含有する3価クロム触媒)と接触させることを含む方法を提供する。これらの方法の有利な実施態様を提供し、その実施態様では、上記の通りに塊状酸化クロム組成物に存在するB2O3を減少させることにより触媒を調製する。さらに別の有利な実施態様を提供し、その実施態様ではクロムが触媒の金属カチオンの少なくとも99原子パーセントである。空間速度が1時間に触媒の容量当たり約200容量〜2000容量の1,1−ジフルオロエタンである有利な実施態様も提供する。詳細な議論本発明は、選ばれた高純度3価クロム触媒の存在下で1,1−ジフルオロエタンを接触させることによるフッ化ビニルの製造法を提供する。好ましい触媒はCr2O3を含む。特に好ましいのは主にアルファ−酸化クロムの形態を有するCr2O3(特に本質的にアルファ−酸化クロムから成るCr2O3)である。(NH4)2Cr2O7の熱分解により調製されるCr2O3が含まれる。本発明の方法に適した二クロム酸アンモニウムの熱分解により調製されるCr2O3は、米国特許第4,843,181及び5,036,036号に開示されている方法を含む当該技術分野において既知のいずれの方法によっても調製することができ、これらの特許は引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる。この方法で得られるCr2O3は少量の汚染物(例えばカリウム)を含有し得、それは最初の(NH4)2Cr2O7のための製造法の結果として存在する。カリウム又は他の水溶性不純物の量は、従来の方法における水洗により減少させることができる。本発明の方法で用いることができる他のCr2O3触媒には、x−線回折により決定されるアルファ−酸化クロム形態を示すようにそれを転化させる処理が施された非晶質酸化クロム触媒が含まれる。処理のためのいくつかの方法を利用することができるが、有用な方法は、非晶質酸化クロムを空気中で高温に(例えば400〜500℃)、十分な時間(通常24〜48時間)加熱することである。B2O3を含有する塊状酸化クロム組成物を酸素中、空気中又は他の酸素−含有環境中で、高められた温度において(例えば400〜500℃)、組成物の表面上のB2O3を濃縮するのに十分な時間加熱することができる。一般にこの方法で、未処理の塊状組成物の表面分析と比較して少なくとも2倍に表面上のB2O3を濃縮するのが望ましい。この方法は、例えばCrが組成物の金属カチオンの約95〜99原子パーセントであり、Bが組成物の金属カチオンの約0.1〜5原子パーセントである塊状酸化クロム組成物における表面B2O3を増大させるために用いることができる。出発塊状酸化クロム組成物が非晶質である場合、この熱処理を用い、同時に組成物内においてアルファ−酸化クロム形態を与えることができる。次いで酸化クロム組成物の表面上に存在するB2O3の量を、高められた温度(例えば200〜400℃)において気相のHFで処理することにより減少させることができる。例えばGuignet’s green(商業的に入手可能な緑顔料であり、下記のような典型的組成を有する:Cr2O3 79〜83%、H2O 16〜18%、B2O3 1.5〜2.7%)を表面濃縮のこの方法により処理し、それを本質的にアルファ−形態に転化させることができる。この熱処理の後に、熱処理された材料を高温で(通常200〜300℃)HFで処理してホウ素をBF3として除去することにより、B2O3として存在するホウ素を除去することができる。HFを用いるこの処理の間に、少量の酸化クロムがオキシフッ化クロムに転化し得る。処理の前、Guignet’s greenは、もし有しているとしても少量のアルファ−酸化クロム形態しか有していないと思われる。ホウ素を除去するための上記の熱処理の後、得られるクロム触媒はアルファ−酸化クロムに典型的なx−線パターンを有する。触媒の構造は重要ではなく、例えばペレット、粉末又は顆粒を含むことができる。3価クロム触媒はアルカリ金属酸化物として1000ppm未満のアルカリ金属及びB2O3として2000ppm未満のホウ素を含有するのが好ましい。触媒の金属カチオンが少なくとも約99原子パーセントにおいてクロムである、より好ましくは約99.5原子パーセントか又はそれ以上においてクロムである触媒を用いるのが、1,1−ジフルオロエタンの転化のために特に有利であることが見いだされた。一般にCr2O3触媒は使用前にHFで処理される。これは表面酸化クロムのいくらかをオキシフッ化クロムに転化させると思われる。この予備処理は、本発明の反応を行うために用いられるべき反応器であることができる適した容器にCr2O3を入れ、その後乾燥されたCr2O3上にHFを通過させ、Cr2O3を部分的にHFで飽和させることにより行うことができる。これは例えば約200℃〜約450℃の温度で、ある時間(例えば約15〜300分)、Cr2O3上にHFを通過させることにより簡単に行われる。それにもかかわらず、このHF処理は必須ではない。反応温度は通常約200℃〜約400℃、好ましくは約225℃〜375℃の範囲内である。1,1−ジフルオロエタンは1時間に触媒の容量当たり約200容量〜約2000容量;好ましくは1時間に触媒の容量当たり400容量〜1000容量の速度で触媒上を通過させられる。反応圧力は減圧、大気圧又は過圧であることができる。一般に大気圧近辺の圧力が好ましい。フッ化ビニル及びフッ化水素への1,1−ジフルオロエタンの脱フッ化水素化は、平衡反応である。公開文献に従うと、下記のフッ化ビニル(VF)の平衡濃度が決定されている;227℃において約13% VF、327℃において約40% VF、及び427℃において約99% VF。未反応の出発材料は、追加のCH2=CHFの製造のための反応器に再循環させることができる。フッ化水素(沸点 −72℃)は、蒸留などの通常の方法により反応生成物及び未反応1,1−ジフルオロエタン(沸点 −25℃)から回収することができる。本発明の方法は、周知の化学工学的実行を用い、気相で容易に行うことができる。反応領域及びそれに伴う供給ライン、流出ライン及び伴う装置は、フッ化水素に耐性の材料で構築されねばならない。フッ素化の技術分野において周知の典型的構築材料は、ステンレススチール、特にオーステナイト型のもの、周知の高ニッケル合金、例えばMonelRニッケル−銅合金、HastelloyRニッケル−ベース合金及びInconelRニッケル−クロム合金、ならびに銅−クラッドスチールを含む。炭化ケイ素も反応器の二次加工に適している。当該技術分野における熟練者は本明細書の記載を用い、さらに苦心することなく本発明をその最大まで利用することができると思われる。下記の好ましい特定の実施態様は例示とみなされるべきであり、いかようにも開示の残りを束縛するとみなされるべきではない。実施例触媒の評価のための一般的方法流動砂床内に保持された12”(30.5cm)X1/2”(1.3cm)の炭素鋼管から成る固定−床反応器で触媒評価を行った。床の中心で温度を測定した。供給材料は反応器を通る逆流として送った。反応器に評価されるべき触媒を装填した。次いでそれを窒素流(50cc/分)中で約250℃に約30分間加熱した。温度を175℃に下げ、1:1の比率のHF:窒素流(全流量 100cc/分)を通過させた。HFが反応器の出口で観察された後、HF/窒素比を4:1(全流量 100cc/分)に変え、反応器の温度を徐々に350〜400℃に上げた。反応器の内容物を350℃〜400℃に約30分間保った。次いで反応器の内容物を触媒評価に望ましい操作条件とした。生成物分析のための一般的方法下記の一般的方法は、用いられる方法の代表的例である。全反応器流出物の一部を、不活性炭素支持体上にKrytoxTM過フッ素化ポリエーテルを含有する20’(6.1m)長さx1/8”(0.32cm)直径の管を装着したHewlett Packard HP 5890グスクロマトグラフを用いる有機生成物分析のためにオン−ラインで試料採取した。ヘリウム流量は35mL/分であった。ガスクロマトグラフィー条件は3分の初期保持時間の間、70℃であり、その後6℃/分の速度で180℃までの温度プログラミングが続いた。他に指示がなければ、報告される結果はモル%における結果である。有機生成物及び又、無機酸HFを含有する反応器流出物の本体を、廃棄の前に苛性アルカリ水溶液で処理して酸を中和した。説明1141はCH2=CHFである。F152aはCH3CHF2である。SVは空間速度である(1時間当たり、触媒の容量当たりのF152aの体積)。実施例1F152aの脱フッ化水素化触媒:Guignet’s Green Cr2O35cc、3.4g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)商業的に入手可能なGuignet’s Green Cr2O3を触媒として用い、使用前にHFを用いて400℃に処理した。多様な条件下における結果を表に示す。実験のいくつかにおいて、微量のメタン(0.1%未満)が見いだされた。実施例2F152aの脱フッ化水素化触媒:アルファ−Cr2O35cc、7.4g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)米国特許第5,036,036号に記載の方法に従って調製される二クロム酸アンモニウムの熱分解から得られるアルファ−酸化クロムを用いた。触媒は使用前にHFを用いて400℃に処理した。多様な条件下における結果を表に示す。少量の(最高約1%)のメタン及び他の未同定生成物が存在した。実施例3F152aの脱フッ化水素化(寿命試験)触媒:Guignet’s Green Cr2O35cc、3.4g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)275℃に保持されている反応器に50cc/分(SVは600であった)のF152aを供給した。接触時間は6秒であった。商業的に入手可能なGiugnet’s green Cr2O3触媒を使用前にHFを用いて400℃に処理した。多様な条件下における結果を表に示す。実施例4F152aの脱フッ化水素化(寿命試験)触媒:アルファ−Cr2O35cc、7.4g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)アルファ−酸化クロムを実施例2に記載の方法と同じ方法で調製した。275℃に保持されている反応器に50cc/分(SVは600であった)のF152aを供給した。接触時間は6秒であった。触媒を使用前にHFを用いて400℃に処理した。多様な条件下における結果を表に示す。実施例3及び実施例4のデータの比較は、触媒の安定性の点におけるアルファ−酸化クロムの優秀性を示している。実施例5F152aの脱フッ化水素化触媒:アルファ−酸化クロム5cc、6.5g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)硝酸クロムから水酸化クロムを沈澱させ、続いて空気中で500℃において72時間焼成することにより調製されたアルファ−酸化クロムを用いた。触媒は使用前にHF流中で400℃に活性化された。多様な条件下における結果を表に示す。少量の他の未同定生成物が存在した。実施例6F152aの脱フッ化水素化触媒:焼成Guignet’s Green Cr2O35cc、3.3g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)商業的に入手可能なGuignet’s Green Cr2O3の試料を、使用前に空気中で500℃において72時間焼成した。X−線検査は、それが本質的にアルファ−酸化クロムに転化したことを示した。反応器に25cc/分(SVは300であった)のF152aを供給した。触媒は使用前にHFで活性化しなかった。報告される結果は面積%における結果である。多様な条件下における結果を表に示す。実施例7F152aの脱フッ化水素化触媒:焼成Guignet’s Green Cr2O35cc、3.3g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)商業的に入手可能なGuignet’s Green Cr2O3の試料を、使用前に空気中で500℃において72時間焼成し、次いでHF流中で400℃に活性化した。活性化の経過中に、有意な量の三フッ化ホウ素が製造され、それを水中でホウ酸に加水分解し、標準的方法でホウ酸として同定した。x−線光電子スペクトル分析を介した触媒表面の検査は、触媒表面の約10%が酸化ホウ素(ホウ素として表す)を含有していることを示し、HFを用いる処理の前の500℃における空気中の焼成の間に、触媒の本体からホウ素が触媒表面上に濃縮されたことを示す(焼成の前の約3%と比較して)。HF処理の後、同じ方法により検出されるホウ素はなかった。多様な条件下における結果を表に示す。高温において少量の未同定生成物があった。実施例8F152aの脱フッ化水素化触媒:アルファ−酸化クロム10cc、14.4g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)米国特許第5,036,036号に記載の方法に従って調製される二クロム酸アンモニウムの熱分解から得られるアルファ−酸化クロムを用いた。それを使用前にHF流中で350℃まで活性化した。報告される結果は面積%における結果である。多様な条件下における結果を表に示す。実施例9F152aの脱フッ化水素化触媒:高表面積非晶質酸化クロム5cc、6.5g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)約200m2/gの表面積を有する市販の酸化クロムの試料を用いた。この試料のX−線回折パターンは、それが本質的に非晶質であることを示した。触媒は使用前にHF流中で350℃まで活性化した。多様な条件下における結果を表に示す。同等の接触時間における実施例9で得られる結果の実施例8の結果との比較は、アルファ−酸化クロムを用いて得られる転化率のほうが高く、アルファ−酸化クロム触媒の安定性の方が優れていることを示している。 B2O3を含有する塊状酸化クロム組成物を、酸素又は酸素−含有環境中で、高められた温度において、未処理の塊状組成物の表面B2O3含有量と比較して少なくとも2倍に組成物の表面上のB2O3を増大させるのに十分な時間加熱することを含んでなる、B2O3を含有する塊状酸化クロム組成物を処理してその表面上に存在するB2O3を増大させるための方法。