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タイトル:特許公報(B2)_硫酸化多糖類含有皮膚保湿乳剤性ローション剤
出願番号:1997351274
年次:2009
IPC分類:A61K 8/06,A61K 8/60,A61K 8/92,A61K 8/98,A61K 31/726,A61Q 19/00


特許情報キャッシュ

辻村 欣也 石川 治 小澤 洋介 平田 篤由 土肥 孝彰 JP 4336905 特許公報(B2) 20090710 1997351274 19971219 硫酸化多糖類含有皮膚保湿乳剤性ローション剤 マルホ株式会社 000113908 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 斎藤 健治 100099988 辻村 欣也 石川 治 小澤 洋介 平田 篤由 土肥 孝彰 20090930 A61K 8/06 20060101AFI20090903BHJP A61K 8/60 20060101ALI20090903BHJP A61K 8/92 20060101ALI20090903BHJP A61K 8/98 20060101ALI20090903BHJP A61K 31/726 20060101ALI20090903BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20090903BHJP JPA61K8/06A61K8/60A61K8/92A61K8/98A61K31/726A61Q19/00 A61K8/00-99 A61K31/726 特開平10−95704(JP,A) 特開平8−99861(JP,A) 特開平3−190808(JP,A) 特開昭62−77308(JP,A) 特開昭61−289008(JP,A) 特開昭63−230614(JP,A) 特開昭62−249912(JP,A) 特公昭62−4362(JP,B2) 特開昭63−139104(JP,A) 2 1999180821 19990706 13 20041004 2006012555 20060616 森田 ひとみ 内田 淳子 弘實 謙二 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品、医薬部外品及び化粧品として有用な水中油型乳剤性ローション剤に関する。【0002】【従来の技術】一般的にローション剤とは、有効成分を水性の液中に溶解又は微細均等に分散して製した皮膚に塗布する液状の外用剤と定義(日本薬局方)され、その状態によって懸濁性ローション剤、乳剤性ローション剤或いは溶液性ローション剤と呼ばれている。特に、乳剤性ローション剤は、別名乳液と呼ばれることもあり、その使用感の良さから水中油型の乳化型が好まれている。水中油型の乳剤性ローション剤は、水中油型乳剤性軟膏(クリーム剤)と同様に乳化系である為、基本的には油性成分、水性成分及び界面活性剤(乳化剤)を構成成分とするが、同じ乳化系であっても乳剤性ローション剤は外相(水相)が固化していない為にそのエマルションの安定化は困難とされている。その解決方法としては外相の粘度を高める方法が知られており、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース等に代表される水溶性高分子を増粘剤として添加する方法(水溶性高分子(1973)中村編、化学工業社)が一般的に用いられている手法である。【0003】一方、硫酸化多糖又はその塩を含有する製剤としては、コンドロイチン硫酸エステルの多硫酸エステルを有効成分とする皮膚用保湿剤(特公昭62−4362号公報)が知られており、当該特許においては、洗浄料、クリーム類、化粧水類、オシロイ類及び口紅の剤型が挙げられている。当該特許において今日の剤型分類に従った場合のローション剤に分類されるものとしては、化粧水類に分類されているところの植物汁液性化粧水、アルカリ性化粧水、アストリンジエントローション、ハンドローション、乳液、ファンデーションローション及びクレンジングローションが該当するが、水中油型乳剤性ローション剤におけるエマルションの安定化技術を必要としない溶液性ローション剤がその中心である。また、乳液、即ち乳剤性ローション剤の安定性についても特に触れられていない。【0004】コンドロイチン硫酸エステルの多硫酸エステルのような硫酸化多糖類又はその塩を含有する乳剤性ローション剤を、上記したようなエマルションの安定化手法、即ち水溶性高分子を添加することにより安定化することも考えられる。しかし、本発明者によれば、硫酸化多糖類又はその塩は水溶性高分子の1種であるにも関わらず他の水溶性高分子による増粘効果を阻害する傾向が認められ、硫酸化多糖類又はその塩を含有する水中油型乳剤性ローション剤においては、かかる方法によるエマルションの安定化は困難であることが明らかとなった。【0005】また、一般に、乳剤性のローション剤は、他の外用剤(油脂性軟膏及び乳剤性軟膏)と比較して配合される油性成分が少ないことから、その使用感に優れており、同時に皮膚への残り感が少ないという利点を有しているが、皮膚被覆性が乏しいことに起因した効力の持続化に問題があるとされている。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エマルションの安定性に優れると共に、効力の持続性即ち皮膚の保湿性の維持に優れた水中油型乳剤性ローション剤を提供することにある。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点を解決する為に鋭意検討を重ねた結果、硫酸化多糖類又はその塩を含有する水中油型の乳剤性ローション剤に還元ラノリンのような乳化安定化剤を配合することにより、エマルションの安定性を確保すると共に、皮膚の保湿効果に優れた水中油型乳剤性ローション剤を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。【0008】即ち本発明は、項1 硫酸化多糖類及び/又はその塩並びに乳化安定化剤を含有する水中油型乳剤性ローション剤、項2 乳化安定化剤が還元ラノリンである項1記載の水中油型乳剤性ローション剤、項3 硫酸化多糖類がムコ多糖の多硫酸化物である項1又は2のいずれかに記載の水中油型乳剤性ローション剤、項4 硫酸化多糖類がヘパリン類似物質である項1〜3のいずれかに記載の水中油型乳剤性ローション剤、項5 硫酸化多糖類がコンドロイチン硫酸の多硫酸エステルである項1〜4のいずれかに記載の水中油型乳剤性ローション、項6 ヘパリン類似物質、還元ラノリン及びカルボキシビニルポリマーを含有する水中油型乳剤性ローション剤に係る。【0009】【発明の実施の形態】本発明において硫酸化多糖類には、構成するおもな単糖が、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、D−グルクロン酸、L−イズロン酸、D−グルコース、D−ガラクトース、D−キシロースからなり、該単糖の1種又は2種以上を繰り返し単位とするポリマーを硫酸化した硫酸化多糖が含まれる。【0010】また、天然においてすでに硫酸基を有している多糖及び天然においてすでに硫酸基を有している多糖をさらに人為的に硫酸化して得られたものも、本発明における硫酸化多糖に含まれる。【0011】さらに、本発明の硫酸化多糖類には、抗凝血作用を有する高分子物質であるヘパリン類似物質も含まれ、ヘパリン類似物質には糖により構成されていない高分子物質であって同様の性質を有するものも含まれる。【0012】本発明における硫酸化多糖の具体例としては、ヘパリン、コンドロイチン、ヒアルロン酸等のムコ多糖類の硫酸化物;コンドロイチンポリ硫酸と呼ばれるコンドロイチン硫酸D及びコンドロイチン硫酸E、並びにケラタンポリ硫酸等の天然においてすでに硫酸基を有しているムコ多糖;前記のような天然において硫酸基を有している多糖をさらに硫酸化して得られた多硫酸化物;キチンの硫酸化物;デンプン、セルロース、グアガム、アラビアガム、コンニャクマンナン、寒天アガロース、アミロペクチンの硫酸化物等が挙げられる。【0013】これら硫酸化多糖の中でも、本発明に用いる硫酸化多糖類としては、ムコ多糖の硫酸化物(天然においてすでに硫酸基を有しているムコ多糖及びそのさらなる硫酸化物を含む)が好ましく、特にコンドロイチン硫酸の多硫酸エステルが好ましい。【0014】 上記したように、本発明の硫酸化多糖類にはヘパリン類似物質が含まれる。ヘパリン類似物質とは、日本薬局方外医薬品規格に定義されたヘパリン類似物質をいう。なお、日本薬局方外医薬品規格に定義されたヘパリン類似物質は、コンドロイチン硫酸の多硫酸エステルを主成分とする。【0015】尚、本明細書においては、特に断らない限り、単にヘパリン類似物質とある場合は、上記のヘパリン類似物質を意味する。【0016】硫酸化多糖類の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられ、これらの複数塩も含まれる。【0017】硫酸化多糖類が含有する硫酸基の数としては、 繰り返し糖単位当たり平均0.55〜5個、好ましくは平均 0.7〜2個である。また、上記多糖類が、コンドロイチンポリ硫酸等のように硫酸化前にすでに硫酸基を有しているムコ多糖の場合は、硫酸化多糖類が含有する硫酸基の数は、繰り返し糖単位当たり平均0.55〜5個、好ましくは、平均 0.6〜 2.9個、より好ましくは平均 0.7〜2個である。【0018】硫酸化多糖類又はその塩の平均分子量は、1,000〜10,000,000程度であることが望ましく、好ましくは、5,000〜1,000,000程度、より好ましくは10,000〜100,000程度であることが望ましい。【0019】本発明の水中油型乳剤性ローション剤には、これら硫酸化多糖類又はその塩を、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。【0020】上記したような多糖類に硫酸基を導入するための硫酸化反応は、例えば、次のようにして行う。【0021】先ず、氷冷した溶媒を用意し、これに硫酸化剤を加える。該混合物に原料の多糖類を加え、0℃〜100℃にて1〜10時間反応させて硫酸化を行う。【0022】使用する溶媒の量は、使用する原料多糖類の種類、目的とする硫酸化多糖類等によって適宜変わり得るが、原料多糖類1gに対して10〜30mLが望ましい。硫酸化剤の使用量についても、使用する原料多糖類の種類及び目的とする硫酸化多糖類に応じて適宜選択できるが、例えば原料多糖類1gに対して2〜6g用いることができる。【0023】使用する溶媒は、使用する原料多糖類の種類及び目的とする硫酸化多糖類に応じて適宜選択できるものであって特に限定はされないが、例えば、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド等が使用できる。【0024】硫酸化剤についても、上記と同様に目的とする硫酸化多糖類が得られるものであれば特に限定されないが、クロロスルホン酸、トリエチルアミン−サルファトリオキサイド錯塩等が使用できる。【0025】水中油型乳剤性ローション剤中の硫酸化多糖類又はその塩の濃度は、本発明の効果が得られる限り特に限定されるものではないが、ローション剤全量に対して0.05重量%〜1.0重量%が好ましく、0.1重量%〜0.5重量%がさらに好ましく、特に0.2重量%〜0.4%重量%が好ましい。【0026】本発明において「乳化安定化剤」とは、例えば硫酸化多糖類を含まない水中油型乳剤性ローション剤のエマルションを一般に知られている安定化方法により安定化した場合と同程度に、硫酸化多糖類を含有する水中油型乳剤性ローション剤中においてそのエマルションを安定化できるものをいう。【0027】本発明における乳化安定化剤としては、例えば還元ラノリンを挙げることができる。【0028】還元ラノリンとは、別名水素添加ラノリンであり、ラノリンを水素添加(還元)して得られるものである。還元に際してラノリンを構成する脂肪酸も還元されてアルコールとなる為、還元ラノリンは、ラノリンを構成する高級アルコール類が水素添加されたアルコールと脂肪酸の水素添加によるアルコールの混合物である。【0029】また、本発明の乳化安定化剤には、現在市販されているような一般の水中油型乳剤性ローション剤に乳化を安定させるためとして配合されている成分は含まれない。【0030】水中油型乳剤性ローション剤中の乳化安定化剤の濃度は、硫酸化多糖類を安定化できるような濃度であれば特に限定されるものではないが、ローション剤全量に対して0.05重量%〜15.0重量%が好ましく、0.1重量%〜5.0重量%であることがより好ましい。【0031】本発明において、硫酸化多糖類又はその塩と乳化安定化剤の配合比率(重量)は、20:1〜1:300である。【0032】本発明水中油型乳剤性ローション剤は、上記の硫酸化多糖類及び/又はその塩並びに乳化安定化剤の他に、水中油型乳剤性ローション剤を形成するために通常含まれる成分、即ち、界面活性剤、油溶性物質、水溶性物質を含有してなるものである。【0033】界面活性剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられ、これらを単独又は組み合わせて使用することができる。【0034】これら界面活性剤の使用量は、乳化剤としての役割を果たす限り特に限定されるものではないが、水中油型乳剤性ローション剤の全量に対して0.2重量%〜5.0重量%であることが好ましい。さらに、本発明水中油型乳剤性ローション剤は医薬品、化粧品等に用いることから、これら界面活性剤の中でも非イオン性界面活性剤を主体としてできうる限り少量用いることが好ましい。【0035】本発明において使用できる陽イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。【0036】陰イオン性界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヤシアルコールエトキシ硫酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。【0037】非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が例示できる。【0038】両性界面活性剤としては、例えば、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、イミダゾリン型両性界面活性剤等が挙げられる。【0039】本発明水中油型乳剤性ローション剤において使用する油溶性物質としては、医薬品、化粧品等の分野において用いられる油溶性の物質であれば特に限定することなく用いることができるが、例えば、炭化水素、油脂類、ロウ類、脂肪酸、高級アルコール、エステル類油等が挙げられる。これら油溶性物質は、使用目的に応じて適宜組み合わせて配合することができる。【0040】炭化水素としては、例えば流動パラフィン、スクワラン、合成スクワラン、白色ワセリン、セレシンワックス、固形パラフィン、マイクロスタリンワックス等が挙げられる。【0041】油脂類としては、オリーブ油、大豆油、ツバキ油、パーム油、ヒマシ油等が例示できる。【0042】ロウ類の具体例としては、ミツロウ、カルナバロウ、モクロウ、液状ラノリン、硬質ラノリン等が挙げられる。【0043】脂肪酸として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が例示できる。【0044】高級アルコールとしては、例えばラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、セタノール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、ラノリンアルコール等が挙げられる。【0045】エステル類としては乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等が例示できる。【0046】油溶性物質の使用量は、用途、所望の使用感等により適宜変更しうるものであり特に限定はされないが、感触面を考慮すると水中油型乳剤性ローション剤の全量に対して1.0〜30重量%以下が好ましい。【0047】本発明における水溶性物質とは、水、保湿剤、増粘剤、pH調節剤等の通常水中油型乳剤性ローション剤において使用する水溶性の物質であれば特に限定することなく用いることができ、使用目的に応じて適宜組み合わせて配合することができる。【0048】保湿剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルコース、マルトース、キシリトール、ソルビトール等が挙げられる。【0049】増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラギーナン、キサンタンガム、ゼラチン等が例示できる。【0050】pH調節剤としては、例えば、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、氷酢酸等が挙げられる。【0051】水溶性物質の使用量は、用途、所望の使用感等により適宜変更しうるものであり特に限定はされないが、水中油型乳剤性ローション剤の全量に対して60〜95重量%使用することが好ましい。【0052】更に、本水中油型乳剤性ローション剤には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、上記した以外の通常化粧品や医薬品に用いられる油溶性又は水溶性の物質を配合することができる。例えば、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、薬剤、分散剤等の化粧品や医薬品に用いられる成分として公知のものを配合することができる。【0053】【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。【0054】実施例1以下の組成の水中油型乳剤性ローション剤を調製した。【0055】(1)〜(7)を容器に秤り込み、約75℃に加温して撹拌溶解させた油相を調製した。別容器に(8)〜(12)を秤り込み、約75℃に加温し、撹拌溶解させた水相を調製した。【0056】調製した油相に水相を加え、ホモミクサーで均一に乳化した後、室温まで冷却して本発明の水中油型乳剤性ローション剤を調製した。【0057】上記配合におけるヘパリン類似物質とは、日本薬局方外医薬品規格に定義されたヘパリン類似物質をいい、以下の実施例及び比較例の配合においても同様である。なお、日本薬局方外医薬品規格に定義されたヘパリン類似物質は、コンドロイチン硫酸の多硫酸エステルを主成分とする。【0058】比較例1実施例1の組成から還元ラノリン及びヘパリン類似物質を除いた他は実施例1と同様にして水中油型乳剤性ローション剤を調製した。【0059】比較例2実施例1の組成から還元ラノリンを除いた他は実施例1と同様にして水中油型乳剤性ローション剤を調製した。【0060】実施例2以下の組成の水中油型乳剤性ローション剤を調製した。【0061】(1)〜(4)を容器に秤り込み、約75℃に加温し、撹拌溶解させた油相を調製した。別容器に(5)〜(10)を秤り込み、約75℃に加温し、撹拌溶解させた水相を調製した。【0062】調製した油相に水相を加え、ホモミクサーで均一に乳化した後、室温まで冷却して本発明の水中油型乳剤性ローション剤を調製した。【0063】比較例3実施例2の組成から還元ラノリン及びヘパリン類似物質を除いた他は実施例2と同様にして水中油型乳剤性ローション剤を調製した。【0064】比較例4実施例2の組成から還元ラノリンを除いた他は実施例2と同様にして水中油型乳剤性ローション剤を調製した。【0065】実施例3以下の組成の水中油型乳剤性ローション剤を調製した。【0066】(1)〜(5)を容器に秤り込み、約75℃に加温し、撹拌溶解させた油相を調製した。別容器に(6)〜(10)を秤り込み、約75℃に加温し、撹拌溶解させた水相を調製した。調製した油相に水相を加え、ホモミクサーで均一に乳化した後、室温まで冷却して本発明の水中油型乳剤性ローション剤を調製した。【0067】比較例5実施例3の組成から還元ラノリン及びヘパリン類似物質を除いた他は実施例3と同様にして水中油型乳剤性ローション剤を調製した。【0068】比較例6実施例3の組成から還元ラノリンを除いた他は実施例3と同様にして水中油型乳剤性ローション剤を調製した。【0069】比較例7還元ラノリンを添加していないムコ多糖硫酸化物配合の水中油型乳剤性市販ローション剤を比較例7の水中油型乳剤性ローション剤とする。【0070】[乳化安定性試験]実施例1〜3及び比較例1〜7の水中油型乳剤性ローションについて乳化安定性試験を行った。【0071】乳化安定性試験は、上記のようにして調製した製剤及び市販製剤約5gを充填した容量15mlのスクリューバイアル瓶の封を施した後、50℃の恒温器中に2週間保存し、その後、当該サンプルを恒温器から取り出し、室温にて毎分3000回転で遠心し、製剤からの水分離状態を目視にて観察することにより行った。乳化安定性試験の結果を表1に示す。【0072】【表1】【0073】硫酸化多糖類であるヘパリン類似物質を含有しない水中油型乳剤性ローション剤である比較例1、比較例3及び比較例5における乳化安定性は非常に高く(全く水分離を認めない)、添加している水溶性高分子(カルボキシビニルポリマー)の増粘効果による乳化安定化効果を確認できる結果であった。【0074】一方、比較例1、比較例3及び比較例5の各ローション剤に硫酸化多糖類を配合した比較例2、比較例4及び比較例6における乳化安定性は低く(僅かな水分離を認める〜明らかな水分離を認める)、水溶性高分子による増粘効果及びその乳化安定化効果が配合した硫酸化多糖類により阻害されることが判明した。【0075】しかしながら、還元ラノリンと硫酸化多糖類を含有する水中油型乳剤性ローション剤である実施例1、実施例2及び実施例3における乳化安定性は非常に高く(全く水分離を認めない)、硫酸化多糖類を含有する水中油型乳剤性ローション剤の乳化安定性向上に還元ラノリンが効果的であることを見出した。【0076】更に、比較例7の市販されているムコ多糖多硫酸化物含有水中油型乳剤性ローション剤における乳化安定性を検討した結果、その乳化安定性は不十分であった(僅かな水分離を認める)。この結果は、比較例7のローション剤は、還元ラノリンを配合していないために乳化安定性確保が十分でないことを示す。【0077】[保湿効果試験 I]本発明の0.3%硫酸化多糖類含有水中油型乳剤性ローション投与群、硫酸化多糖類無添加水中油型乳剤性ローション投与群、0.3%硫酸化多糖類含有水中油型乳剤性軟膏(クリーム)投与群及び無処置群の4群について、モルモットの実験的乾燥性皮膚における皮表角層水分含量を測定し、各群の保湿効果を評価した。皮表角層水分含量は、スキンサーフェースハイグロメーター(SKIN SURFACE HYGROMETER)を用いて、高周波伝導度として測定した。なお、上記ローションにおいて、硫酸化多糖類として日本薬局方外医薬品規格に定義されたヘパリン類似物質を用いた。下記のローションについても同様である。【0078】結果を図1に示す。【0079】本発明の0.3%硫酸化多糖類含有水中油型乳剤性ローション投与群は、硫酸化多糖類無添加水中油型乳剤性ローション投与群及び無処置群に比して高い皮膚保湿効果を示した。更に、0.3%硫酸化多糖類含有水中油型乳剤性ローション投与群は、0.3%硫酸化多糖類含有水中油型乳剤性軟膏(クリーム)投与群と同等の皮膚保湿効果を示した。【0080】[保湿効果試験 II]本発明の0.3%硫酸化多糖類含有水中油型乳剤性ローション投与群、0.3%硫酸化多糖類含有溶液性ローション投与群、10%尿素含有水中油型乳剤性ローション投与群及び無処置群の4群について、上記保湿効果 Iと同様にしてモルモットの実験的乾燥性皮膚における皮表角層水分含量を測定し保湿効果を評価した。【0081】結果を図2に示す。【0082】本発明の0.3%硫酸化多糖類含有水中油型乳剤性ローション投与群は、無処置群、0.3%硫酸化多糖類含有溶液性ローション投与群及び10%尿素含有水中油型乳剤性ローション投与群の各群に比して高い皮膚保湿効果を示した。【0083】以上の乳化安定性試験及び保湿効果試験の結果から、硫酸化多糖類又はその塩を含有する水中油型乳剤性ローション剤に還元ラノリンを配合した本発明品は、エマルションの安定性に優れると共に、皮膚の保湿効果が溶液性ローションより優れており乳剤性軟膏(クリーム)と同等であることがわかった。【0084】また、還元ラノリンに類似する物質についても硫酸化多糖類又はその塩を含有する水中油型乳剤性ローション剤に配合することにより同様の効果を得られることが期待できる。【0085】【発明の効果】本発明によれば、硫酸化多糖類又はその塩を含有する水中油型乳剤性ローション剤に還元ラノリンのような乳化安定化剤を配合することにより、エマルションの安定性に優れると共に、皮膚の保湿効果が乳剤性軟膏(クリーム)と同等である水中油型乳剤性ローション剤を提供できる。【図面の簡単な説明】【図1】保湿効果試験 I の結果を示す図である。【図2】保湿効果試験 II の結果を示す図である。 ヘパリン類似物質0.1〜0.5重量%及び還元ラノリン0.1〜5.0重量%を含み、油溶性物質の割合が1.0〜30重量%である水中油型乳剤性ローション剤。 カルボキシビニルポリマーを更に含有する請求項1に記載の水中油型乳剤性ローション剤。


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