タイトル: | 特許公報(B2)_超音波プローブの劣化診断方法 |
出願番号: | 1997326419 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,G01N29/22 |
梶原 純一 宮路 勝善 森田 輝 高橋 利光 小條 隆 JP 3564284 特許公報(B2) 20040611 1997326419 19971127 超音波プローブの劣化診断方法 日産ディーゼル工業株式会社 000003908 永井 冬紀 100084412 梶原 純一 宮路 勝善 森田 輝 高橋 利光 小條 隆 20040908 7 G01N29/22 JP G01N29/22 506 7 G01N 29/00 - 29/28 G01B 17/00 - 17/08 G01H 1/00 - 17/00 A61B 8/00 - 8/15 H04R 17/00 330 - 17/00 332 実開平05−048906(JP,U) 特開昭62−194456(JP,A) 特開平05−026857(JP,A) 特開昭50−130488(JP,A) 特開昭61−034462(JP,A) 実開昭62−066607(JP,U) 特開平01−094258(JP,A) 特開平07−000391(JP,A) 2 1999160293 19990618 8 20020225 鈴木 俊光 【0001】【発明が属する技術分野】本発明は、試料の内部を検査する超音波検査装置に用いられる超音波プローブの耐用時間を予測したり、劣化した場合に信号を補正する技術に関する。【0002】【従来の技術】従来から、図7に示すように、モータ1により回転する試料台2と、その試料台2にセットされた試料3に超音波を照射するとともに、試料3からの反射波(反射エコー)を受信する超音波プローブ4と、受信した反射波に基づいて試料の内部の状態を表わすAスコープ信号を出力する信号出力回路5と、そのAスコープ信号波形を表示するモニタ6とを備える超音波検査装置が知られている。試料3は2つの円筒3aと3bを互いの端面同士をレーザ溶接して接合したものである。なお、図7に示すように、水が満たされた水槽7内に試料3を設置して検査が行われるので、水槽7と試料台2との間にはシール8が設けられている。【0003】超音波プローブ4は音響レンズの一端面に圧電素子を接着し、そこに電極を張り付けたものである。その使用にあたっては、圧電素子にバースト信号やインパルス信号を印加して音響レンズから超音波を試料に向けて照射し、試料からの反射波を音響レンズを介して圧電素子で受信して電気信号に変換するものである。【0004】このような超音波プローブは経年変化により性能が劣化することが知られている。そこで従来は、検査に先立って特定の距離に設置した校正用試料に超音波を照射し、その反射波の校正用エコー信号レベルによって劣化の状態を把握している。たとえば、所定時間使用した後で測定した校正用エコー信号強度レベルVuが新品の状態で測定した校正用エコー強度信号レベルVrとなるように調節ダイアルでゲインを調節している。【0005】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような調節ダイアルによる校正作業は煩雑である上、超音波プローブの耐用時間を予測することができないので、使用中の超音波プローブがどの程度使用に耐えるかを予測することは難しかった。【0006】本発明の目的は、超音波プローブの耐用時間を予測するようにした超音波プローブの劣化診断方法を提供することにある。【0007】【課題を解決するための手段】一実施の形態を示す図1および図2に対応付けて説明する。(1)請求項1の発明は、試料TPに超音波を照射しその反射波を受信してエコー信号を出力する超音波プローブ13の劣化診断方法に適用される。そして、校正用試料に超音波プローブ13から超音波を照射したときに超音波プローブ13から出力される校正用エコー信号を記憶する工程と、記憶工程を時間をおいて複数回行って得られた校正用エコー信号の時系列データに基づいて超音波プローブ13の劣化特性曲線を予測する工程と、この劣化特性曲線に基づいて超音波プローブ13の耐用時間を算出する工程とを備えることにより、上記目的を達成する。(2)請求項2の発明は、請求項1の劣化診断方法において、劣化特性曲線が超音波プローブ13の使用限度を表わす信号強度とクロスするポイントを検出して現時点からの耐用時間を算出することを特徴とする。【0008】なお、記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。【0009】【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明による劣化診断方法が適用された超音波検査装置を示している。この超音波検査装置は、試料TPがセットされる試料台11と、この試料台11を回転駆動するモータ12と、超音波信号を試料TPに向けて照射するとともに試料TPからの反射波を受信する超音波プローブ13と、超音波プローブ13で受信した反射波信号(以後、エコー信号と呼ぶ)を増幅して検波する増幅検波回路14と、この増幅検波回路14から出力されるエコー信号のうち予め定められたゲート期間内におけるピーク値を検出するピーク検出回路15と、CPU、メモリ、A/D変換器、D/A変換器などの周辺機器で構成される制御回路16と、エコー信号をAスコープ表示したり、検出結果を表示するモニタ17と、モータ12の回転角度位置を検出するエンコーダ20と、モータ12を駆動するためのドライバ21とで構成されている。また、超音波検査装置を起動する電源スイッチ18Aと、検査モードもしくは校正モードを選択するモード選択スイッチ18Bと、電源スイッチ18Aがオフでもバックアップ電源で記憶内容を保持する不揮発性メモリ19とを備えている。【0010】この実施の形態では、検査前の校正作業により、超音波プローブ13の劣化によるエコー信号の強度低下を補正するとともに、耐用時間を予測して作業者に報知する。校正作業は、超音波プローブ13を校正用試料と特定の距離だけ離して超音波を照射させ、校正用試料の表面からの反射波を校正エコー信号として検出することにより行われる。【0011】図2は校正処理手順を示すフローチャート、図3は検査処理手順を示すフローチャートであり、超音波検査装置の電源スイッチ18Aがオンするとスタートプログラムによって行われる。作業者がモード選択スイッチ18Bを操作して校正モードを選択するとステップS21で校正モードと判定してステップS22に進む。ステップS22で変数iに1を加算してステップS23に進む。この変数iは、校正モードにより取込まれた校正エコー信号の回数を表わすために使用され、不揮発性メモリ19に記憶される。この変数iは、超音波プローブ13を交換したときに作業者によってリセットされる。また、この実施の形態では、超音波プローブ13の耐用時間を稼働時間を使用して算出するため、新品の状態からの電源スイッチ18Aのオン継続時間が計測され、この計測時間も不揮発性メモリ19に記憶される。不揮発性メモリ19には後述する補正係数αも記憶される。【0012】ステップS23で超音波プローブ13から校正用試料に超音波を照射する。超音波プローブ13で受信した反射波信号のピーク値はピーク検出回路15で検出される。校正時は校正用試料の表面からのエコー信号のピーク値を検出するようにゲートがかけられる。ステップS24でピーク検出回路15からの信号を制御回路16に取込み、A/D変換して校正エコー信号強度Vuiとして記憶する。校正エコー信号強度Vuiは不揮発性メモリ19に記憶される。ステップS24において、変数iが1のときに得られる信号強度Vu1が校正基準強度として用いられる。ステップS25において、新品の超音波プローブ13に対して予め得られた校正基準強度Vu1を、今回の校正作業で新たに検出した校正エコー信号強度Vuiで除すことにより補正係数αを算出し、この補正係数αを不揮発性メモリ19に記憶する。【0013】ここで、校正作業において得られる校正用エコー信号強度と稼働時間は、たとえば図4に示すように変数iに対応付けてメモリ20に記憶される。【0014】ステップS26において、2回前までの校正エコー信号強度Vu(i−2),Vu(i−1)を読み出し、時系列データVu(i−2),Vu(i−1),Vuiの強度に基づいて最小二乗法により劣化曲線DCを算出した上で、ステップS27において、耐用時間T2を算出する。【0015】図5は超音波プローブ13の稼働時間に応じてエコーレベルが低下する様子を示すグラフである。現時点t10において取込まれた校正エコー信号強度をVU10とする。Vu9,Vu8がそれぞれ1回前の時点t9、2回前の時点t8で得られた校正エコー信号強度である。Vu10,Vu9,Vu8の3つの強度レベルを用いて最小二乗法によりエコーレベルの低下特性、すなわち超音波プローブ13の劣化特性C1を算出する。そして、超音波プローブ13が正常に使用できる限度として予め設定された使用限度強度Vmと、劣化特性C1がクロスするポイントCRを求め、このクロスポイントCRに対応する時点tfと現時点t10との差を耐用時間T2として算出する。【0016】ステップS28では、図5のグラフをモニタ17に表示する。モニタ17上には、現在までの稼働時間T1と耐用時間T2がグラフとともに表示される。【0017】図2のステップS21で検査モードと判定されると、図3のステップS1に進む。ステップS1でモータ12を駆動し、ステップS2で試料TPが1回転したと判定されるとステップS3に進む。これは回転が安定してから計測を始めるための手順であり、エンコーダ20からのパルス信号のカウント値に基づいて行われる。ステップS3では、エンコーダ20から出力されるパルス信号の立ち上がりに同期させて超音波プローブ13から超音波信号を試料に向けて発射し、試料TPからのエコー信号を受信する。受信したエコー信号は増幅検波回路14で増幅検波されてピーク検出回路15に送られる。【0018】図6は超音波検査信号とエコー信号の一例である。波形W1が超音波検査信号、W2が試料TPの表面から反射する表面エコー信号、W3が試料TPの表面から所定深さにある欠陥や剥離からの反射エコー信号である。ピーク検出回路15は試料TPの表面から所定深さのエコー信号にゲートをかけてそのピーク値を検出して制御回路16に送る。ステップS4では、エンコーダ20からのパルス信号に応じた回転角度位置に対応づけて、ピーク検出回路15で検出されたピーク値をA/D変換してメモリに格納する。【0019】ステップS5において、エンコーダ20からのパルス信号のカウント値に基づいて試料TPが1回転したかを判定し、1回転していなければステップS3、ステップS4を繰り返して、たとえば1000個のデータをサンプリングする。ステップS5で1回転したことが判定されると、ステップS6に進み、メモリされたピーク値に補正係数αを乗じて補正する。ステップS7では、取込んだピーク値データの強度レベルを、検出した試料の回転角度位置に対応付けてモニタ17に表示する。ステップS8で試料が合格品か不良品かを評価して図3の処理を終了する。評価の方法は種々提案されているが、ここでは発明と直接関係がないので説明を省略する。【0020】このような実施の形態では、検査に先立って校正作業を行い、超音波プローブ13の劣化に応じた補正係数αを算出し、ピーク検出回路15で検出されてメモリに記憶された検査用エコー信号強度を補正係数で補正するようにしたので、従来のように、手動で調節ダイアルを操作してゲインを毎回設定する必要がなく、作業性が向上する。また、この校正作業時に超音波プローブ13の耐用時間が算出されるので、作業者は使用中の超音波プローブをどの程度まで使用できるかを予測することができる。【0021】以上では、図3のステップS4でメモリに記憶した検査用ピーク値にステップS6において補正係数αを乗じて超音波プローブ13の劣化を補償するようにしたが、超音波プローブ13の検波増幅回路14のゲインを補正係数αを用いて変更するようにしてもよい。劣化特性を最低3つの信号強度に基づいた最小二乗法で算出するようにしたが、その他の方法で劣化特性を予測してもよい。【0022】【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、検査に先立って超音波プローブの校正用試料に対する校正用エコー信号強度の経年変化による低下の程度から劣化特性を算出し、この劣化特性に基づいて耐用時間を算出するようにしたので、使用中の超音波プローブがどの位使用できるかを推定することができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明に係る超音波検査装置の一実施の形態のブロック図【図2】超音波検査装置の校正作業の処理手順例を示すフローチャート【図3】図2の超音波検査装置の検査処理手順例を示すフローチャート【図4】変数iと稼働時間と校正エコー信号強度の記憶方式を説明する図【図5】超音波プローブの劣化特性を示すグラフ【図6】超音波検査信号、表面エコー信号、欠陥信号を示す図【図7】超音波検査装置を説明する図【符号の説明】11 試料台12 モータ13 超音波プローブ15 ピーク検出回路16 制御回路17 モニタ18A 電源スイッチ18B モード選択スイッチ19 不揮発性メモリTP 試料 試料に超音波を投射しその反射波を受信してエコー信号を出力する超音波プローブの劣化診断方法において、校正用試料に前記超音波プローブから超音波を照射したときに前記超音波プローブから出力される校正用エコー信号を記憶する工程と、前記記憶工程を時間をおいて複数回行って得られた前記校正用エコー信号の時系列データに基づいて前記超音波プローブの劣化特性曲線を予測する工程と、この劣化特性曲線に基づいて前記超音波プローブの耐用時間を算出する工程とを備えることを特徴とする超音波プローブの劣化診断方法。 請求項1の劣化診断方法において、前記劣化特性曲線が前記超音波プローブの使用限度を表わす信号強度とクロスするポイントを検出して現時点からの耐用時間を算出することを特徴とする超音波プローブの劣化診断方法。