タイトル: | 特許公報(B2)_シリコンウエハのドーパント濃度測定方法 |
出願番号: | 1997311553 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,H01L21/66,G01N21/35 |
斉藤 広幸 JP 3685356 特許公報(B2) 20050610 1997311553 19971029 シリコンウエハのドーパント濃度測定方法 東芝セラミックス株式会社 000221122 田辺 徹 100074538 斉藤 広幸 20050817 7 H01L21/66 G01N21/35 JP H01L21/66 N G01N21/35 Z 7 H01L 21/66 G01N 21/35 JICSTファイル(JOIS) 特開昭54−154265(JP,A) 特開平2−33947(JP,A) Bulucea,Recalculation of Irvin's Resistivity Curves for Diffused Layers in Silicon Using Updated Bulk Resist,Solid-State Electronics,英国,1993年,Vol.36,No.4,pp.489-493 Bulucea,Resistivity Curves for Subsurface Diffused Layers In Silicon,Solid-State Electronics,英国,1995年,Vol.38,No.2,pp.367-375 Sopori,Measurement of high boron concentrations in silicon by infrared spectroscopy,Applied Physics Letters,米国,1985年 7月,Vol.47,No.1,pp.39-41 5 1999135586 19990521 12 20010308 橋本 憲一郎 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、CZシリコンウエハのドーパント濃度を非接触で測定する方法に関するものである。【0002】【従来の技術】従来、CZシリコンウエハのドーパント濃度は、4探針法を用いて測定している。【0003】4探針法では、4本の針を1直線上に並べてウエハに接触させ、外側の2本の針から直流電流を流し、内側の2本の針の間に生じる電位差を測定する。そして、得られた電位差から抵抗率を算出し、アーヴィンカーブに従ってドーパント濃度を求める。【0004】【発明が解決しようとする課題】4探針法では、4本の針をウエハ表面に接触させるため、表面に傷が付き易い難点があった。【0005】また、針の先端部とウエハの表面との接触状態によって、測定値にばらつきが出易い欠点もあった。複数回測定して平均をとっても良いが、その場合には、それだけ傷が付く可能性が増大する。【0006】このような4探針法の問題点に鑑み、本発明は、シリコンウエハに非接触でドーパント濃度を求めることができるドーパント濃度測定方法を提供することを目的としている。【0007】【課題を解決するための手段】本願発明は、ドーパントを含む厚さdのサンプルシリコンウエハと、実質的に同じ厚さdでドーパントを含まないリファレンスシリコンウエハとの赤外線差吸光度Aを測定し、式αe =A/loge/d、(loge=0.4343)によってキャリア吸収係数αe (cm-1)を算出し、キャリア吸収係数αe (cm-1)に関する分散理論の式【0008】【数1】と、ドーパント濃度Nと抵抗率Rの関係を与えるアーヴィンカーブ(Irvincurve)に基づいて、ドーパント濃度N(cm-3)を求めるシリコンウエハのドーパント濃度測定方法を要旨としている。【0009】【発明の実施の形態】 本発明のシリコンウエハのドーパント濃度測定方法は、ドーパントを含む厚さdのサンプルシリコンウエハと、実質的に同じ厚さdでドーパントを含まないリファレンスシリコンウエハとの赤外線差吸光度Aを測定し、式αe=A/loge/d、(loge=0.4343)によってキャリア吸収係数αe(cm-1)を算出し、このキャリア吸収係数αe(cm-1)に関する式(以下、本明細書では、この式を分散理論の式と称する)【0010】【数1】と、ドーパント濃度Nと抵抗率Rの関係を与えるアーヴィンカーブ(Irvincurve)に基づいて、ドーパント濃度N(cm-3)を求めるものである。【0011】予め、キャリア吸収係数αe (cm-1)に関する前記分散理論の式とアーヴィンカーブ(Irvin curve)に基づいて、吸収係数αe (cm-1)対抵抗率R(Ωcm)の換算表(表1、表4)、または、吸収係数αe (cm-1)対ドーパント濃度N(cm-3)の換算表を作成しておき、この換算表を利用してドーパント濃度N(cm-3)を求めることができる。【0012】前記換算表(表1、表4)をグラフ化しておき、このグラフを利用してドーパント濃度N(cm-3)を求めることも可能である。【0013】本発明方法では、例えば、波数が650/cmにおける赤外線差吸光度Aを測定することができる。【0014】本発明方法では、抵抗率が0.1〜16Ωcmのボロンドープウエハのドーパント濃度を測定することができる。【0015】本発明方法では、抵抗率が0.1〜1.6Ωcmのリンドープウエハのドーパント濃度を測定することができる。これらの範囲をはずれると、赤外線吸光度の値とドーパント濃度との相関が少なくなり、測定誤差など種々の要因から1対1対応が正確にできなくなる。【0016】【実施例】アーヴィンカーブ(Irvin curve)は、ASTM F723−81にも規定されており、「抵抗率R」と「ドーパント濃度(キャリア濃度)N」の関係を与えるものである。一般に、アーヴィンカーブは、表及びグラフとして利用されるが、そのグラフを図1に示す。【0017】また、古典的分散理論によれば、「キャリア吸収係数αe 」、「キャリア濃度(ドーパント濃度)N」、及び、「電気伝導度δ0 (=1/R)」の間には、次の数式1の関係がある。【0018】【数1】数式1において、κ、m* 、ε0 、cは定数であり、移動度μは数式μ=1/(N・e・δ0 )により、「ドーパント濃度N」と「電気伝導度δ0 」から求められる。【0019】従って、「赤外線差吸光度A」を測定し、式αe =A/loge/d、(loge=0.4343)によって「キャリア吸収係数αe 」を算出することによって、非接触で「抵抗率R」、すなわち「ドーパント濃度(キャリア濃度)N」を求めることが可能である。【0020】その際、予め、「抵抗率R」の値をいろいろと振って(アーヴィンカーブに従って「ドーパント濃度N」も変わる)、「抵抗率R」対「キャリア吸収係数αe 」の対応表を作っておくと良い。【0021】表1は、ボロンドープの場合の「抵抗率R」対「キャリア吸収係数αe 」の対応表である。ただし、真空誘電率ε0 =8.854×10-12 S4 A2 /m3 kg、Siの比誘電率ε=11.68、電子の電荷e=1.602×10-19 SA、キャリアの有効質量m* =1.78×10-31 kgとした。【0022】また、表4は、リンドープの場合の「抵抗率R」対「キャリア吸収係数αe 」の対応表である。ただし、真空誘電率ε0 =8.85418×10-12 S4 A2 /m3 kg、Siの比誘電率ε=11.68、電子の電荷e=1.60219×10-19 SA、キャリアの有効質量m* =2.642×10-31 kgとした。【0023】表1及び表4からも分るように、キャリアによる赤外吸収は、ドーパント濃度が高くなるほど強くなる。また、低波数ほど、強くなる。【0024】表1及び表4は、グラフ化しておくと便利である。【0025】また、表1及び表4の替わりに、「ドーパント濃度N」の値をいろいろと振って(アーヴィンカーブに従って「抵抗率R」も変わる)、「ドーパント濃度N」対「キャリア吸収係数αe 」の対応表又はグラフを作成しておいても良い。【0026】測定対象のウエハの厚さは、例えば600μm〜2mm程度とする。【0027】波数は、フリーキャリア以外の赤外吸収が比較的小さい650cm-1を用いることができる。【0028】図2に示すように、650cm-1近傍では、シリコンの格子振動の影響、炭素の影響を少なくできる。ただし、その場合には、炭素や他の不純物(存在する場合)のレベルをレファレンスとサンプルとで同じにしなければならない。また、厚さの差による誤差の影響も大きくでるので、注意を要する。【0029】もちろん、波数は650cm-1以外でも良い。【0030】実施例1抵抗率の異なる3種類のボロンドープシリコンウエハ(サンプル1〜3、厚さ2mm)と、ノンドープのレファレンスシリコンウエハ(厚さ2mm)を用意し、赤外分光器により垂直入射赤外吸収測定を行い、650cm-1の吸収係数を求めた。【0031】サンプル1〜3の差吸光度の実測値、吸収係数の算出値、及び、その算出値から表1に基づいて求めたドーパント濃度を表2に示す。また、図2〜図4には、サンプル1〜3の赤外吸収スペクトルを示す。【0032】一方、4探針抵抗率測定法によりサンプル1〜3の抵抗率を測定し、アーヴィンカーブからドーパント濃度を求めた。その結果を表3に示す。【0033】そして、吸収係数から調べたドーパント濃度と、抵抗率の実測値から求めたドーパント濃度の相関を求めた。図5は、その相関図である。R2 =0.99で非常に良い相関が得られた。【0034】実施例2抵抗率の異なる4種類のリンドープシリコンウエハ(サンプル4〜7、厚さ2mm)と、ノンドープのレファレンスシリコンウエハ(厚さ2mm)を用意し、赤外分光器により、波数650cm-1の吸収係数を求めた。【0035】サンプル4〜7の差吸光度の実測値、吸収係数の算出値、及び、その算出値から表4に基づいて求めたドーパント濃度を表5に示す。また、図5には、測定した赤外吸収スペクトルを示す。【0036】一方、4探針抵抗率測定法によりサンプル4〜7の抵抗率を測定し、アーヴィンカーブからドーパント濃度を求めた。その結果を表6に示す。【0037】そして、吸収係数から求めたドーパント濃度と、抵抗率の実測値から求めたドーパント濃度の相関を調べた。図5は、その相関図である。R2 =0.99で非常に良い相関が得られた。【0038】抵抗率の実測値から求めたドーパント濃度は、吸収係数から求めたドーパント濃度の約0.063倍+3×1015倍の値となっている。従って、両者を自由に換算することが可能である。【0039】【表1】【0040】【表2】【0041】【表3】【0042】【表4】【0043】【表5】【0044】【表6】【0045】【発明の効果】本発明のシリコンウエハのドーパント濃度測定方法によれば、シリコンウエハに非接触でドーパント濃度を求めることができる。【図面の簡単な説明】【図1】アーヴィンカーブを示すグラフ。【図2】波数と吸収係数の関係を示すグラフ。【図3】実施例1におけるサンプル1の赤外吸収スペクトルを示すグラフ。【図4】実施例1におけるサンプル2の赤外吸収スペクトルを示すグラフ。【図5】実施例1におけるサンプル3の赤外吸収スペクトルを示すグラフ。【図6】実施例1における吸収係数より求めたドーパント濃度と抵抗率より求めたドーパント濃度の相関図。【図7】実施例2におけるサンプル4〜7の赤外吸収スペクトルを示すグラフ。【図8】実施例2における吸収係数より求めたドーパント濃度と抵抗率より求めたドーパント濃度の相関図。 ドーパントを含む厚さdのサンプルシリコンウエハと、実質的に同じ厚さdでドーパントを含まないリファレンスシリコンウエハとの赤外線差吸光度Aを測定し、式αe=A/(d・loge)、(loge=0.4343)によってキャリア吸収係数αe(cm-1)を算出し、そのキャリア吸収係数αe (cm-1)に関する式と、ドーパント濃度Nと抵抗率Rの関係を与えるアーヴィンカーブ(Irvin curve)に基づいて、ドーパント濃度N(cm-3)を求めるシリコンウエハのドーパント濃度測定方法。 予め、キャリア吸収係数αe (cm-1)に関する前記分散理論の式とアーヴィンカーブ(Irvin curve)に基づいて、吸収係数αe(cm-1)対抵抗率R(Ωcm)の換算表(表1、表4)、または、吸収係数αe(cm-1)対ドーパント濃度N(cm-3)の換算表を作成しておき、この換算表を利用してドーパント濃度N(cm-3)を求めることを特徴とする請求項1に記載のシリコンウエハのドーパント濃度測定方法。 波数が650/cmにおける赤外線差吸光度Aを測定することを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコンウエハのドーパント濃度測定方法。 抵抗率が0.1〜16Ωcmのボロンドープウエハのドーパント濃度を測定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコンウエハのドーパント濃度測定方法。 抵抗率が0.1〜1.6Ωcmのリンドープウエハのドーパント濃度を測定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコンウエハのドーパント濃度測定方法。