タイトル: | 特許公報(B2)_エンドトキシンの測定方法 |
出願番号: | 1997306637 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | G01N 33/579,G01N 33/15 |
田村 弘志 田中 重則 渡邉 真紀 JP 3869094 特許公報(B2) 20061020 1997306637 19971021 エンドトキシンの測定方法 生化学工業株式会社 000195524 志村 光春 100103160 田村 弘志 田中 重則 渡邉 真紀 JP 1996298186 19961021 20070117 G01N 33/579 20060101AFI20061221BHJP G01N 33/15 20060101ALI20061221BHJP JPG01N33/579G01N33/15 Z G01N 33/579 G01N 33/15 特開平04−136763(JP,A) 特開平06−273421(JP,A) 特開平04−016765(JP,A) 特開平07−239332(JP,A) 特開平02−141666(JP,A) 特開平07−128337(JP,A) 特開平04−335156(JP,A) 8 1998185924 19980714 23 20040929 宮澤 浩 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、エンドトキシン等の検出に用いられているカブトガニの血球成分であるアメボサイト・ライセートを活性化する反応であるリムルス反応、特にエンドトキシンに特異的なリムルス反応において、エンドトキシンにより開始する系の最初の因子であるC因子と反応して活性化する非エンドトキシン様物質の影響の排除手段を用いたエンドトキシンの測定方法に関する発明である。【0002】【従来の技術】エンドトキシンは、グラム陰性菌の細胞壁外膜に存在するリポ多糖であり、強い発熱性物質として知られている。また、エンドトキシンは、発熱以外にもマクロファージの活性化に伴うTNF、インターロイキン−1(IL−1)等の炎症性サイトカインの遊離やエンドトキシンショックの誘発等、微量でも細菌感染による様々な病態を惹き起こすことが知られている。このため、注射用医薬品等におけるエンドトキシンの検出は重要で、米国や日本の薬局方ならびに生物学的製剤基準にもエンドトキシン試験法が収載されている。また、エンドトキシンはグラム陰性菌感染症におけるショックの主な原因と考えられており、グラム陰性菌感染症の診断、その治療効果及び予後の判定並びにエンドトキシンショックの早期診断等の目的から、血漿中のエンドトキシンの測定が行われている。【0003】このエンドトキシン試験法であるリムルス試験法は、グラム陰性菌由来のエンドトキシンが、カブトガニの血球抽出成分(アメボサイト・ライセート)を活性化する反応(この反応をリムルス反応、それに用いる試薬はリムルス試薬と呼ばれている)に基づき、エンドトキシンを検出する方法で、より具体的にはゲル化法、ゲルの濁度変化を指標とする比濁法、発色合成基質の加水分解による発色を指標とする比色法とに現在大きく分類される。1978年に、米国FDAはウサギ発熱試験との高い相関性からそれに替わる代替法として、リムルス試験法を許可し、ワクチンや血液製剤等の生物学的製剤を含む医薬品や医療用具の安全性試験に本テストが広く適用されるに至り、わが国においても、ウサギ発熱試験の代替法として、日本薬局方や生物学的製剤基準に収載された。【0004】リムルス試薬に含まれるカブトガニ・アメボサイト・ライセート(以下、単にライセートということもある)には、エンドトキシンと反応して活性化されるカスケードタイプの凝固系(C因子系)と(1→3)−β−D−グルカン(以下、β−D−グルカンということもある)と反応して活性化されるカスケードタイプの凝固系(G因子系)とが共存しており(第1図参照のこと)、前者の系のみを利用してエンドトキシンを特異的に測定する方法と、後者の系のみを利用してβ−D−グルカンを特異的に測定する方法がそれぞれ知られており(Obayashi T. et al., Clin. Chim. Acta, 149,55−65(1985)、エンドトキシン特異的測定に関して;WO90/02951、USP5,155,032、USP5,179,006、WO92/03736、WO92/06381、特開平6−258326、特公平2−18080、β−D−グルカン特異的測定法に関して;WO91/19981、WO92/16651)、それぞれを特異的に測定するリムルス試薬もすでに発売されている。特に我が国の生物学的製剤基準では、リムルス測定用試料中にβ−D−グルカンが混入している場合が多いため、エンドトキシンに特異的なリムルス試薬を用いることと規定されている。【0005】ところで、このエンドトキシン特異的リムルス試薬といえどもリムルス測定用試料(本明細書中では、リムルス反応を用いる測定に供するための試料を意味する。)によってはエンドトキシン以外にも反応する物質があることが知られている。すなわちトリプシン、トロンビン、Xa因子等のセリンプロテアーゼ(リムルス反応は、ライセート中のセリンプロテアーゼの反応を利用しており、この中の凝固酵素と類似の作用を示すため陽性となる)、キモトリプシン(C因子をエンドトキシンの非存在下で活性化するため陽性となる)等、「エンドトキシン以外で、エンドトキシン特異的リムルス反応において反応する物質(エンドトキシン特異的リムルス反応偽陽性物質)」が知られている。そのため、これらの物質を含むリムルス測定用試料、即ち血液(全血、血漿、血清)中のエンドトキシンをリムルス試薬で測定する場合には、エンドトキシンの活性をそこなうことなく、このリムルス反応偽陽性物質を排除する方法が知られている。【0006】例えば、加熱処理を前提として、界面活性剤を含む水溶液でリムルス測定用試料を希釈して、このリムルス測定用試料中の偽陽性物質の影響を排除する手段が開示されている(特開平6−118086号公報)。また、過塩素酸(PCA)等の酸によりリムルス測定用試料を処理して、このリムルス測定用試料中のリムルス反応偽陽性物質の影響を排除する手段(特公昭63−55671号公報)や、ポリブレン等のヘキサジメトリン化合物およびアルカリ金属水酸化物によりリムルス測定用試料を処理して、このリムルス測定用試料中のリムルス反応妨害因子の影響を排除する手段(特開平6−70796号公報)等が知られている。【0007】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近、主に生物学的製剤において、日本薬局方発熱性物質試験により発熱性を呈しないにもかかわらず、エンドトキシン特異的リムルス反応で陽性となる現象が観察され、生物学的製剤基準に収載されたエンドトキシン試験法(エンドトキシン特異的リムルス反応)を用いたがため、医薬品の安全性が不当に評価される可能性が生じるに至った。本発明者らはこの現象について解析し、このエンドトキシン特異的リムルス反応において偽陽性を呈する原因物質は、従来知られているリムルス反応活性化物質とは異なり、かつ上記のいずれのリムルス反応偽陽性物質排除手段によってもこの原因物質を排除することが困難であることを突き止めた。【0008】 従って、それら製剤中に混入するリムルス反応偽陽性物質のリムルス反応への影響を排除して、エンドトキシンのみを正確に測定する方法を提供することが、極めて重要な課題となる。【0009】【課題を解決するための手段】 本発明者は、この新規の原因物質およびその排除手段等について鋭意検討した結果、驚くべきことに非加熱条件下(具体的温度については後述する)で、リムルス測定用試料を、特定濃度の界面活性剤、及び、アルキルアミンと共存させることで、この原因物質の影響をリムルス反応系から排除できることを見出した。【0010】 すなわち、本発明は、特定の性質を有するリムルス反応活性化物質(詳細は後述する)を、特定濃度の界面活性剤とアルキルアミンとを、用いる界面活性剤の凝固点温度を超える温度から50℃以下の温度において共存させることにより不活化させる工程を含むエンドトキシンの測定方法、を提供する発明である。【0011】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。A.リムルス反応活性化物質の特定単離手段について:本発明に関わるリムルス反応活性化物質(以下、本発明リムルス反応活性化物質ともいう)は、エンドトキシン特異的リムルス反応において偽陽性を呈する新規な原因物質であり、以下の手段により特定単離する。【0012】すなわち、本発明リムルス反応活性化物質は、リムルス測定用試料〔主に生物学的製剤(例えば、血液製剤,ワクチン,抗生物質等:これらの生物学的製剤については後述する)〕から、本発明リムルス反応活性化物質の物理的、化学的性質を利用した各種の分離手段により精製することができる。この分離手段としては、例えば通常のタンパク沈澱剤による処理,限外濾過,ゲル濾過,遠心分離,電気泳動,ゲル浸透クロマトグラフィー,イオン交換クロマトグラフィー,アフィニティークロマトグラフィー,逆相クロマトグラフィー,疎水性クロマトグラフィー,透析法等を挙げることができる。なお、これらの分離手段を適宜組み合わせて用いることができることは勿論である。【0013】これらの分離手段の中でもゲル浸透クロマトグラフィー、特に高速液体クロマトグラフィーを用いたゲル浸透クロマトグラフィーが好ましい。具体的には、リムルス測定用試料を当該クロマトグラフィーカラムにかけ、エンドトキシン及びβ−D−グルカンフリーの蒸留水を溶媒として溶出させる。溶媒の流速は特に限定されないが、0.5ml/分程度が好ましい。【0014】溶出させた画分にポリミキシンB硫酸塩の水溶液を終濃度0.5mg/mlになるように加え、エンドトキシン活性を完全に抑えて、この画分をエンドトキシン特異的リムルス試薬で測定し、陽性画分を集めることにより、本発明リムルス反応活性化物質を得ることができる。このようにして製造され得る本発明リムルス反応活性化物質は、主にワクチンやアルブミン製剤等の生物学的製剤に存在し、以下の性質を有する。また、これらの性質については、主に後述の実施例において詳述する。【0015】(1)リムルス反応活性化能を有する。(2)エンドトキシン特異的リムルス試薬に反応する。(3)カブトガニのアメボサイト・ライセート由来のC因子を活性化する。(4)発熱性物質試験により、発熱性を呈しない。(5)エンドトキシンでない。(6)(1→3)−β−D−グルカンでない。(7)セリンプロテアーゼ活性を有しない。(8)本物質にポリミキシンBを共存させても、本物質のリムルス反応活性化能が低下しない。(9)本物質にコリスチンを共存させても、本物質のリムルス反応活性化能が低下しない。(10)本物質を0.2M の塩酸で37℃で60分間処理しても、本物質のリムルス反応活性化能が低下しない。(11)本物質を0.2M の水酸化カリウムで37℃で60分間処理しても、本物質のリムルス反応活性化能が低下しない。(12)本物質をポリオキシエチレンヘキサデシルエーテルで処理することにより、本物質のリムルス反応活性化能が消失する。【0016】本発明リムルス反応活性化物質の生体内における作用、毒性等は不明であるが、ブドウ球菌外毒素のTSST−1(Staphylococcal toxic shock syndrome toxin-1)で報告されているようなエンドトキシンの毒性を増強させる相乗作用(H.Fujikawa et al.,Infect Immun., 52, 134 (1986))あるいは炎症性メディエーターの産生等エンドトキシンと類似の生理作用、毒性を有する可能性が考えられる。従って本発明により初めて単離された、本発明リムルス反応活性化物質は、その物質の生体内及び種々病態における作用を明らかにする上で、極めて重要である。また本発明により提供される、本発明リムルス反応活性化物質の測定方法は、このようなことからエンドトキシンの測定方法同様、極めて有用な情報を提供するものである。【0017】また、本発明リムルス反応活性化物質は、主に生物学的製剤等に存在すること、及び日本国外から輸入された生物学的製剤に当該物質が比較的多く含まれていることが、本発明者らにより確認されている。本発明物質の由来は定かではないが、生物学的製剤製造の過程で混入する可能性も否定できない。本発明リムルス反応活性化物質の測定方法は、生物学的製剤の製造工程における当該物質混入のチェック、および最終製品のチェックへの利用も期待され、これにより、従来よりも安全性の高い生物学的製剤の提供にもつながることが期待される。本発明リムルス反応活性化物質の測定方法については、後述する。【0018】B.本発明リムルス反応活性化物質の不活化手段について(以下、本発明リムルス反応活性化物質不活化方法ともいう):上記の本発明リムルス反応活性化物質がリムルス測定用試料中に含まれる場合には、リムルス試薬において偽陽性反応を惹起することになり、これによって所望する物質(例えば、エンドトキシン)の検出精度が低下することになり好ましくない。【0019】本発明リムルス反応活性化物質の不活化手段としては、このリムルス反応活性化物質と界面活性剤とを、この界面活性剤の凝固点を超える温度から50℃以下の温度において共存させる方法を具体的に挙げることができる。本発明で用いられる界面活性剤としては、エンドトキシンミセルに対する解離作用の結果、リムルス反応性を損なわせるものではなく、またリムルス反応の活性化および活性型セリンプロテアーゼに対する阻害作用がないものであれば陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤または天然由来の界面活性剤など特に限定されないが、エンドトキシンに対する直接作用の少ない非イオン性界面活性剤を選択することが好ましい。なお、これらの界面活性剤を適宜組み合わせて用いることも可能である。【0020】非イオン性界面活性剤の中でも、親水性部分にポリオキシエチレンを有する構造をもつ界面活性剤(以下、「ポリオキシエチレン類」ともいう)が好ましい。ポリオキシエチレン類としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(一般式、C n H 2n+1(OCH2 CH2 )x OHと表され、通常省略してC n Ex と表記する)、アルキル鎖とポリオキシエチレン鎖の間にフェニル基が入ったポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(CnФEx)及びアシルポリオキシエチレンソルビタン(CnソルビタンEx)などが挙げられ、これらは、それぞれBrij(CnE x )、Triton X(C n ФE x )、Tween (C n ソルビタンE x )という一般的名称(商品名)で呼ばれ、膜タンパク質の可溶化など多くの目的で汎用されている。【0021】本発明で用いられるポリオキシエチレン類のポリオキシエチレン鎖(上記一般式中の「(OCH2CH2)xOH」部分、「Ex」とも略記する)は、特に限定されないが、x=2〜25の整数、好ましくはx=4〜23の整数、さらに好ましくはx=7〜13の整数である化合物が好ましい。また本発明で用いられるポリオキシエチレン類のアルキル基(上記式中の「CnH2n+1」部分、「Cn」とも略記する)の炭素数としては、特に限定されないが、n=8〜18の整数である化合物が好ましい。【0022】このようなポリオキシエチレン類としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル(ポリオキシエチレンセチルエーテルともいう)、ポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルならびにポリオキシエチレンソルビトールエステルなどが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテルが極めて好ましい。またこれらの界面活性剤は水溶液として用い、一定のミセルサイズを有するものが望ましい。【0023】なお、これらの界面活性剤の水溶液の溶媒は、緩衝液であってもよい。緩衝液としては、C因子系の至適pH付近に調整された(具体的にはpH7〜9程度)緩衝液であることが好ましく、例えばグッド緩衝液〔例えば、HEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸緩衝液),コラミンクロリド緩衝液,BES緩衝液,MOPS緩衝液,TES緩衝液,HEPPS緩衝液(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−3−プロパンスルホン酸),Tricine緩衝液,グリシンアミド緩衝液,Bicine緩衝液,TAPS緩衝液等〕,トリス−塩酸緩衝液等を挙げることができる。【0024】本発明リムルス反応活性化物質と共存させるこの界面活性剤の量は、本発明リムルス反応活性化物質の存在量や共存させる界面活性剤の種類、量等に応じて適宜変更可能であり、特に限定されない。具体的な界面活性剤の濃度としては、リムルス測定用試料に接した際の終濃度として、通常0.005%〜0.8%(W/V)、好ましくは0.01%〜0.5%(W/V)、さらに好ましくは0.05%〜0.3%(W/V)等が例示されるが、これらはあくまで例示であって、これらに限定されるものではない。【0025】さらに界面活性剤水溶液にエンドトキシンフリーとする手段、例えば活性炭処理,メンブランフィルター処理,オートクレーブ処理等を施して、所望する界面活性剤水溶液を調製することができる。【0026】界面活性剤又は界面活性剤の水溶液等をリムルス反応活性化物質を含むリムルス測定用試料と共存させる際の順序及び方法としては、界面活性剤がなんら修飾を受けることなくまた破壊されることなく、リムルス測定用試料中に所定の濃度になるよう共存されていればとくに限定されない。リムルス測定用試料と界面活性剤とを共存させる方法は、通常、リムルス測定用試料と界面活性剤とを添加して、十分混合することにより達成される。また、リムルス測定用試料と界面活性剤とを共存させる順序は、リムルス試薬中に界面活性剤等を加えておき、リムルス測定用試料との混合及び反応を同時に行っても発明の目的を達することができるが、リムルス反応の前に予めリムルス測定用試料と混合されている方が効果の点でより望ましい。リムルス測定用試料に混合する該界面活性剤等の水溶液の量としては、リムルス測定用試料1容に対して界面活性剤溶液0.1〜10容で行うのが好ましいが、リムルス測定用試料中に所定の濃度の界面活性剤等が加えられ、かつその有効濃度が維持されていれば特に限定されない。【0027】さらに、本発明リムルス反応活性化物質を不活化させるためには、上記の界面活性剤を、この界面活性剤の凝固点を超える温度から50℃以下の温度において共存させる必要がある。この界面活性剤の凝固点以下の温度では、界面活性剤とリムルス反応活性化物質とが共存した溶液が凍結してしまい、所望する不活化反応を円滑に進行させることが困難になり、50℃を超えるとエンドトキシン等の測定対象物質も不活化されてしまい、その正確な測定が困難になるため好ましくない。【0028】また、好ましくは1℃以上50℃以下、より好ましくは4℃以上50℃以下、さらに好ましくは4℃以上45℃以下、特に好ましくは15℃以上40℃以下の温度下で、本発明リムルス反応活性化物質を界面活性剤と接触させることができる。この点は特に本発明と同じく界面活性剤を用い、積極的に加熱することによってリムルス反応の偽陽性物質を不活化する従来技術(特開平6−118086号公報)と大きく異なる点である。【0029】リムルス測定用試料と界面活性剤とを、この界面活性剤の凝固点温度を超える温度から50℃以下の温度において共存させる時間としては、とくにエンドトキシン分子及びその会合ミセルが物理化学的に安定で、容器へ吸着することがなければとくに限定されないが、通常数秒から5分間であり、1分間から2分間程度で十分である。このように、本発明で使用する界面活性剤のリムルス反応活性化物質に対する不活化作用に関しては、非常に短い時間でその目的を達することができる。【0030】以上に述べた、本発明リムルス反応活性化物質不活化方法は、リムルス測定用試料中の本発明リムルス反応活性化物質の不活化にもそのまま適用できる。本発明は、このようにリムルス測定用試料と界面活性剤とを、この界面活性剤の凝固点温度を超える温度から50℃以下の温度において共存させる、本発明リムルス反応活性化物質を不活化するための界面活性剤の使用を包含する。また後述するように、リムルス測定用試料に、界面活性剤に加えてアルキルアミンを共存させることがより好ましいことから、本発明には、リムルス測定用試料、界面活性剤及びアルキルアミンを、この界面活性剤の凝固点温度を超える温度から50℃以下の温度において共存させる、本発明リムルス反応活性化物質を不活化するための界面活性剤の使用も包含される。【0031】このように、前記の本発明リムルス反応活性化物質を不活化する手段が提供され、これにより直接的には、界面活性剤により本発明リムルス反応活性化物質が不活化されたリムルス測定用試料が提供されるが、この不活化手段は、種々の形態において用いることが可能である。例えば、リムルス測定用試料と界面活性剤とを、この界面活性剤の凝固点温度を超える温度から50℃以下の温度において共存させることを前提とした、界面活性剤を含んでなるリムルス反応活性化物質の不活化剤としての形態に応用することが可能である。【0032】また、この不活化剤を含んでなるリムルス試薬や、このリムルス試薬を含んでなるリムルス測定用キットあるいは不活化剤とリムルス試薬とを含んでなるリムルス測定用キットとしての形態に応用することも可能である。ところで、本明細書中において「リムルス測定」とは、リムルス反応を用いる測定を意味し、「リムルス測定用キット」とは、リムルス反応を用いる測定に使用する、少なくともリムルス試薬を含むキットを意味する。なお、リムルス測定用キットには、上記のリムルス試薬の他に、必要により任意の構成試薬を付加することができる。そのような試薬としては、例えばブランクテスト用蒸留水,反応試薬溶解・反応用緩衝液等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。【0033】このように本発明は、界面活性剤を含んでなる本発明リムルス反応活性化物質の不活化剤、およびこの不活化剤を含んでなるリムルス試薬及びリムルス試薬とこの不活化剤とを含むリムルス測定用キットをも提供する。なおこのリムルス試薬は、エンドトキシン特異的リムルス試薬であることが好ましい。さらに本発明は、リムルス測定用試料に界面活性剤を、この界面活性剤の凝固点温度を超える温度から50℃以下の温度において共存させることを特徴とする、本発明リムルス反応活性化物質のリムルス反応に対する影響をリムルス測定用試料から排除する方法も包含する。【0034】さらに本発明は、このようにして界面活性剤により本発明リムルス反応活性化物質が不活化されたリムルス測定用試料を包含する。なお、ここに述べた本発明リムルス反応活性化物質を不活化させる対象となるリムルス測定用試料は、リムルス反応を用いてエンドトキシン等を検出するべき対象であれば特に限定されないが、特に本発明リムルス反応活性化物質の存在が多く認められる生物由来のリムルス測定用試料が好ましく、生物学的製剤が特に好適な対象となる。【0035】この「生物学的製剤」は、全血を含む血液分画、すなわち全血,血漿,血清等を除外する概念である。具体的には、ワクチン製剤〔一般的にワクチンの接種により標的ウィルスに対する血中抗体価を上昇させ罹患率を低下させることを目的として調製されたものであり、通常ウィルス粒子を鶏卵尿膜腔内や脳内等の標的宿主内で増殖させた後、高度に精製したウィルス粒子を分解、不活化して得られる不活化ワクチン(例えば、インフルエンザワクチン(インフルエンザHAワクチン),日本脳炎ワクチン等)又は弱毒化ワクチン等が挙げられる。〕、血液製剤〔通常血漿を出発材料とし、pH,イオン強度,エタノール濃度等の条件を種々変化させ、タンパク質の溶解度に基づく分別沈澱法(Cohn分画法等)を用いて、高純度に分画、調製されたヒト血清アルブミンなどのヒト血漿タンパク質等〕、又は抗生物質等を挙げることができる。【0036】なお、上記のワクチンは、通常ゼラチン等の安定化剤を加えた無色透明若しくはわずかに白濁した無臭の液状品としての形態を採る。また、凍結乾燥製剤もあり、これはやや黄白色味を帯びた粉状固体で、通常蒸留水を規定量加えることにより液状の形態で使用する。【0037】 C.本発明リムルス反応活性化物質の不活化手段を用いることによる、エンドトキシンの測定手段(以下、本発明エンドトキシン測定方法ともいう): このような本発明リムルス反応活性化物質の不活化手段を用いることにより、下記の工程を含んでなる、リムルス測定用試料中のエンドトキシンの測定方法が提供される。 下記の工程を含むリムルス測定用試料中のエンドトキシンの測定方法:(1)リムルス測定用試料、界面活性剤及びアルキルアミンを、この界面活性剤の凝固点温度を超える温度から50℃以下の温度において、当該界面活性剤の終濃度が0.005〜0.8%(W/V)となるように共存させる第1工程;(2)第1工程により得られたリムルス測定用試料を、リムルス試薬によるリムルス反応を行わせて、エンドトキシンを測定する第2工程。【0038】 第1工程において、特定濃度の界面活性剤に加えてアルキルアミンを加えることにより、エンドトキシンの会合状態、分散状態を良好に維持することができ、溶解性や菌種による反応性の差を可能な限り小さくでき、再現性のあるデータが得られることが、本発明者らにより初めて見出された。また、リムルス測定用試料は、生物学的製剤であることが好ましい。好ましい生物学的製剤については前記した。【0039】なお、本発明エンドトキシン測定方法は、前記した界面活性剤を含んでなる本発明リムルス反応活性化物質の不活化剤を含むリムルス試薬を用いることにより、より簡便に実施することができる。また、本発明エンドトキシン測定方法において用いることができるリムルス試薬は、エンドトキシンの検出が可能なものであれば特に限定されないが、本発明リムルス反応活性化物質がエンドトキシンの検出系で偽陽性となることから、エンドトキシン特異的リムルス試薬であることが好ましい【0040】ただし、リムルス測定用試料中にβ−D−グルカンが含有されていないことが明らかな場合には、エンドトキシン特異的リムルス試薬を必ずしも用いる必要はなく、エンドトキシンとβ−D−グルカンの両方を検出するリムルス試薬も用いることができる。【0041】リムルス試薬としては、エンドトキシンの検出が可能なものであれば、合成基質法(エンドポイントアッセイ,カイネティックアッセイ)の他にも通常のゲル化ならびに比濁法(エンドポイントアッセイ,カイネティックアッセイ)等、特に限定されない。各種市販のリムルス試薬としては、トキシカラーシステムLS−6,LS−20,LS−200,エンドスペシーESー6,エンドスペシーESー200,パイロディック,プレゲル,プレゲルーS,プレゲルーM,パイロテルマルチテスト,パイロテルシングルテスト,パイロテルーT(以上、生化学工業販売)、リムルスJテストワコー,リムルスHS−Jテストワコー,リムルスJシングルテストワコー,リムルスHS−Jシングルテストワコー,リムルスFテストワコー,リムルスHS−Fテストワコー,リムルスFシングルテストワコー,リムルスHS−Fシングルテストワコー,リムルスES−IIテストワコー,リムルスESーIIシングルテストワコー,リムルスES−III テストワコー,リムルスESーJテストワコー(以上和光純薬販売),パイロジェント,パイロジェントマルチテスト,パイロジェントシングルテスト,QCL−1000,カイネティックQCLシステム(以上バイオウィッテーカー社製造、第一化学薬品販売),コーテストエンドトキシン(クロモジェニックAB社販売),エンドクローム,エンドクロームーK(以上チャールスリバーラボラトリー社エンドセーフ販売)パイロセート(ヘマケム社販売)、パイロクローム(ケープコッド社販売)を挙げることができる。【0042】これら市販のリムルス試薬の中で、エンドトキシンに特異的なものとしては、エンドスペシーとリムルスESテストの2タイプを挙げることができる。また、これらの市販のリムルス試薬に限定されることなく、エンドトキシンとの反応により、C因子系の一連の酵素系(凝固系)が活性化されるものであれば、タキプレウス・トリデンタツス、タキプレウス・ギガス,タキプレウス・ロタンディカウダ(以上アジア産カブトガニ)、ならびにリムルス・ポリフェムス(北アメリカ産)属のカブトガニ血球から公知の方法でライセートを調製し、使用することも可能である。【0043】具体的にはこれらカブトガニの血リンパ液から、例えば、J. Biochem.,80,1011-1021(1976)に記載の方法で、ライセートを調製することができる。「エンドトキシン特異的リムルス試薬」は、上記ライセートのG因子を特異的に阻害または吸着、除去すること(例えば、WO90/02951、USP5,155,032、USP5,179,006、WO92/03736、WO92/06381、特願平5−61464、またはC因子系成分を分画、再構成すること(例えば、特公平2−18080、特公平3−18080、Obayashi T. et al., Clin. Chim. Acta, 149,55−65(1985))により調製することができる。【0044】また、C因子、後述のペプチド合成基質、緩衝液、2価金属塩等、あるいはC因子、B因子、後述のペプチド合成基質、緩衝液、2価金属塩等からも調製することができる。ペプチド合成基質としては、活性型C因子の基質となり得るペプチド(例えば、N末端が保護されたVal−Pro−Arg、Leu−Gly−Arg、Ile−Glu−Ala−Arg等の配列からなるペプチド、メトキシカルボニル−D−ヘキサヒドロチロシル−Gly−Arg)のC末端のアルギニンのカルボキシル基に発色性残基(例えば、p−ニトロアニリン、p−(N,N−ジエチルアミノ)アニリン、p−(N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル)アニリン等)、発蛍光性残基(例えば、7−アミノメチルクマリン等)、発光性残基あるいはアンモニアなどがアミド結合により置換したペプチド合成基質が例示される。すなわち、アミダーゼ活性を測定することによるエンドトキシンの測定は、活性型C因子がこれらの合成基質に作用して生成する反応生成物(p−ニトロアニリン、アンモニア等)を測定することによって行うことができる。具体的には被検液と、C因子、緩衝液、2価金属塩等を含む反応系に上記ペプチド合成基質を共存させて反応(必要に応じて生成物の他色素等への変換反応)させ、反応によって生成する色素、発蛍光物質、発光物質またはアンモニアを、それぞれ分光光度計(特公昭63−26871、特公平3−66319等)、蛍光光度計、化学発光測定装置、アンモニア検出用電極(特開昭62−148860)等によって測定するという、すでにエンドトキシンの測定に採用されている方法を用いることができる。【0046】リムルス測定用試料、界面活性剤及びアルキルアミンの三者を共存させる方法は特に限定されないが、アルキルアミンをあらかじめ界面活性剤と所定の濃度になるよう適宜混合した後、その混合液をリムルス測定用試料に直接混合等する方法が好ましい。リムルス測定用試料に対してアルキルアミンが所定の濃度に維持されていれば、アルキルアミンを共存させた後に界面活性剤を共存させる方法、または界面活性剤を共存させた後にアルキルアミンを共存させる方法、あるいはリムルス試薬の中にあらかじめアルキルアミンを共存させておく方法など、特に限定されない。【0047】例えば、所定の濃度に調製された界面活性剤の水溶液に、アルキルアミンを通常、リムルス測定用試料に接触したときの終濃度で0.0001%以上,0.05%(W/V)以下、好ましくは同0.002%以上,0.01%(W/V)以下になるよう添加するだけで、容易にその効果を発揮させることができ、本発明の効果を一層高めることが可能になった。【0048】なお、アルキルアミンの含有量が、0.001%(W/V)未満であると、所望する効果を発揮させることが困難となり好ましくなく、0.05%(W/V)を越えると、含有量の増大に見合った効果の増強が現れず好ましくない。【0049】アルキルアミンは置換基を有していてもよく、通常極性溶媒、水に可溶で容易に分解されることがないものであれば、とくに限定されないが、好ましくはメチルメタンアミン、エチルエタンアミン等の2級アミン、より好ましくは、ジメチルアミン、ジエチルエタンアミン等の3級アミンを挙げることができる。具体的には、N−エチルエタンアミン(ジエチルアミン)、2、2’−イミノジエタノール,ビス(2ーヒドロキシエチル)アミン(ジエタノールアミン)、N,Nージメチルメタンアミン(トリメチルアミン)、N,N−ジエチルエタンアミン(トリエチルアミン)、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン(トリエタノールアミン)などを例示することができる。【0050】D.本発明リムルス反応活性化物質の測定手段(以下、本発明リムルス反応活性化物質測定方法ともいう):本発明は生物学的製剤等に存在する本発明リムルス反応活性化物質を不活化し、エンドトキシンのみを特異的に測定する方法、すなわち医薬品の安全性試験をより適切に遂行する方法を提供するが、同時に本発明リムルス反応活性化物質のみを特異的に測定する方法を提供する。具体的には、本発明リムルス反応活性化物質及びエンドトキシンの総量(リムルス試薬と反応する物質の総量)を通常のリムルス試験を用いて測定し、種々の手段にて得られたエンドトキシンのみの値を差し引くことにより算定する。【0051】また、エンドトキシンを酸、アルカリ又はポリミキシンB,コリスチン等のポリミキシン類等の、エンドトキシンのみを特異的に不活化する性質を有する物質(エンドトキシン不活化物質ともいう)を用いて、エンドトキシンのみを不活化し、本発明リムルス反応活性化物質を通常のリムルス試験で測定する方法も、本発明に包含される。【0052】なお、これらのエンドトキシン不活化物質のうち、ポリミキシンB,コリスチン等のポリミキシン類は本物質の測定値を必ずしも正確に反映し得ない場合がある。すなわちポリミキシン類のエンドトキシン中和作用を抑制する物質がリムルス測定用試料中に共存する場合等がある。これに対して、酸又はアルカリで処理する場合は、このような問題点がなく、好ましいエンドトキシン処理方法として挙げることができる。【0053】ここで、用いる酸は特に限定されないが、塩酸,硫酸,硝酸等の強酸が好ましい。また、アルカリも特に限定されないが、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の強アルカリが好ましい。通常、リムルス測定用試料に酸またはアルカリを添加し、共存させることによってリムルス測定用試料を処理する。【0054】リムルス測定用試料中のこれらの酸又はアルカリの濃度は特に限定されるものではないが、リムルス測定用試料中の終濃度で0.05M 以上が好ましく、0.05〜0.2M 程度がより好ましい。【0055】なお、エンドトキシン不活化済のリムルス測定用試料は、リムルス試薬による測定前に中和しておく必要がある。中和後、pHが6〜9程度となるように中和することが好ましい。【0056】具体的には、本発明は、下記の工程を含んでなる本発明リムルス反応活性化物質の測定方法である。(1)リムルス試薬を用いて、リムルス測定用試料中のリムルス試薬と反応する物質を測定する第1工程。(2)別途、本発明エンドトキシン測定方法で、リムルス測定用試料中のエンドトキシンを測定する第2工程。(3)第1工程で得られたリムルス試薬と反応する物質の測定値と、第2工程で得られたエンドトキシンの測定値との差を用いて、本発明リムルス反応活性化物質の量を算出する第3工程。【0057】ここでリムルス試薬は、第1工程で用いるリムルス試薬と、第2工程で用いるリムルス試薬とが、同種の試薬であることが必要である。すなわち、第1工程でエンドトキシン特異的リムルス試薬を用いる場合、第2工程でもエンドトキシン特異的リムルス試薬を用いる必要がある。用いることができるリムルス試薬は、前記した本発明エンドトキシン測定方法において用いることができるリムルス試薬と同様であり、エンドトキシン特異的リムルス試薬であることが好ましい。【0058】また本発明は、下記の工程を含んでなる、リムルス測定用試料中の本発明リムルス反応活性化物質の測定方法も包含する。(1)リムルス測定用試料をエンドトキシン不活化物質、特に酸又はアルカリで処理する第1工程。(2)第1工程により得られたエンドトキシン不活化済のリムルス測定用試料を、リムルス試薬によるリムルス反応を行わせて、この反応系における変化を測定することにより本発明リムルス反応活性化物質を測定する第2工程。なお、第1工程により得られたエンドトキシン不活化済のリムルス測定用試料は、リムルス試薬による測定前に中和しておく必要があることは上記した通りである。また、ここで用いるリムルス試薬は、エンドトキシン特異的リムルス試薬であることが好ましい。【0059】E.生物学的製剤中の真のエンドトキシン量の測定手段(本発明の生物製剤中エンドトキシン測定方法)本発明の生物製剤中エンドトキシン測定方法は、従来公知の方法では不可能であることが判明した、生物学的製剤中の真のエンドトキシン量のリムルス反応による測定を可能にしたものである。本発明方法は、生物学的製剤中に含まれる本発明リムルス反応活性化物質を不活化し、その後リムルス試薬によりエンドトキシンを測定する一連の方法を包含する。【0060】生物学的製剤中の本発明リムルス反応活性化物質の不活化は、リムルス試薬測定に供する生物学的製剤と界面活性剤とを、この界面活性剤の凝固点温度を超える温度から50℃以下の温度において共存させる、界面活性剤の使用により達成される。また前記したように、リムルス試薬に供する生物学的製剤には、界面活性剤に加えてアルキルアミンを共存させることが好ましく、すなわちリムルス試薬測定に供する生物学的製剤、界面活性剤及びアルキルアミンを、この界面活性剤の凝固点温度を超える温度から50℃以下の温度において共存させる、界面活性剤とアルキルアミンの使用がより好ましい。【0061】また本発明は、界面活性剤を、この界面活性剤の凝固点温度を超える温度から50℃以下の温度において共存させ、前記請求項1記載のリムルス反応活性化物質を不活性化することを特徴とする、リムルス試薬測定に供する生物学的製剤の前処理方法も包含する。さらに本発明は、この前処理方法により得られる、界面活性剤により前記請求項1記載のリムルス反応活性化物質が不活化されていることを特徴とするリムルス試薬測定に供するための生物学的製剤も包含する。【0062】このような生物学的製剤中のリムルス反応偽陽性物質の不活化により、下記の工程を含んでなる、生物学的製剤中のエンドトキシンの測定方法が提供される。(1)生物学的製剤及び界面活性剤を、この界面活性剤の凝固点温度を超える温度から50℃以下の温度において共存させる、この生物学的製剤中の前記請求項1記載のリムルス反応活性化物質を不活化する第1工程;(2)第1工程により得られた生物学的製剤を、リムルス試薬によるリムルス反応を行わせて、この反応系における変化を測定することによりエンドトキシンを測定する第2工程。【0063】なお第1工程において、リムルス測定用試料、界面活性剤及びアルキルアミンを、この界面活性剤の凝固点温度を超える温度から50℃以下において共存させることがより好ましい。また、用いることができるリムルス試薬は、前記した本発明エンドトキシン測定方法において用いることができるリムルス試薬と同様であり、エンドトキシン特異的リムルス試薬であることがより好ましい。【0064】【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。〔製造例〕 本発明リムルス反応活性化物質の製造インフルエンザHAワクチン(IHA−LotA)及び日本脳炎ワクチン(JEC−LotA)50μl をTSKgel G4000SWとTSKgel G3000SW(いずれも東ソー製、いずれのカラムサイズも7×30mm,容積14.3cm3 )とを連結させた高速液体クロマトグラフィーを用いたゲル浸透クロマトグラフィーにアプライし、エンドトキシン及びβ−D−グルカンを除去した蒸留水を溶媒として、0.5ml/分の流速で溶出させて1mlずつ分画した。インフルエンザHAワクチンを用いたときの溶出パターンを第2図に示す。溶出した各画分にポリミキシンB硫酸塩の水溶液を、終濃度0.5mg/mlとなるように加え、エンドトキシン活性を完全に抑えた後、エンドスペシー〔エンドトキシン特異的リムルス試薬,生化学工業株式会社販売)で、リムルス反応活性を測定し、その陽性画分(活性を有する画分)を集め、本発明リムルス反応活性化物質を得た。【0065】〔実施例1〕ワクチン製剤に混入するリムルス反応活性化物質とエンドトキシンの物性ならびに諸性質の比較第1表に、インフルエンザHAワクチン(IHAーLotA)及び日本脳炎ワクチン(JECーLotA)から、上記製造例において製造した本発明リムルス反応活性化物質の物性を各種精製エンドトキシン(E.coli 0111:B4, E.coli 055:B5, E.coli UKT-B, Salmonella minnesota R595, S.marcescens, S.typhimurium, S.abrtus equiより調製したWestphal型のエンドトキシン)と比較検討した結果を示す。それぞれ、表下に示した条件下で各リムルス測定用試料を処理した後、これらをエンドトキシン特異的リムルス試薬(エンドスペシー、生化学工業)とエンドトキシン及び(1→3)-β-D-グルカンフリーのマイクロタイタープレート(トキシペットプレート96F、生化学工業)を用いて30分間マイクロプレートレーダー(ウェルリーダーSK601、生化学工業)内で反応させ、1分間当たりの吸光度[A405nm-492nm(対照波長)]変化率(mAbs/min)からエンドトキシン濃度を自動算出し、無処理のコントロールを100%としたときの、リムルス反応活性化物質とエンドトキシンの残存活性(%)を求めた。第1表より、インフルエンザHAワクチン、日本脳炎ワクチン等に混入するリムルス反応活性化物質は、カブトガニ血球中に存在するエンドトキシン感受性因子(C因子)を直接活性化する作用を有する、非セリンプロテアーゼ(C因子に対する活性化能及び凝固酵素前駆体に対する活性化能もなく、また合成基質に対する直接水解能もない)かつ非(1→3)-β-D-グルカン(G因子に対する活性化能がない)の分子で、高分子両親媒性ミセルを形成するエンドトキシンと類似の物性を有することが明らかとなった。 なお、本活性化物質は低温下で長時間放置してもガラス試験管への吸着もなく、リムルス活性を安定に保持する性質を有することが判明した。【0066】【0067】注)・発熱性:日本薬局方に記載のウサギ発熱試験に準じて実施、3時間後の最高体温(直腸温)から開始時の体温を差し引いた値が >0.55℃の時陽性とする。・ポリミキシンB:同硫酸塩の水溶液(Sigma社,使用時:0.5mg/ml)・酸:0.2M塩酸,37℃,60分処理・アルカリ:0.2M水酸化カリウム,37℃,60分処理・熱安定性:100℃、60分間処理・溶液安定性:0.02M リン酸緩衝液(pH 7.0)、4℃、10日間放置・合成基質:Boc-Leu-Gly-Arg-pNA・塩酸塩(反応時:3.0 mM)・C因子活性化能:精製C因子(Nakamura T.et al.,Eur.J.Biochem.154 ,511 -521(1986)の方法にて調製)を使用し、活性型C因子の合成基質のアミダーゼ活性により測定。・抗C因子抗体による阻害:C因子に対するマウスモノクローナル抗体(2C12)の250倍希釈液をリムルス測定用試料1容に対し1容添加後に測定を開始。【0068】・G因子活性化能:精製G因子(Obayashi T.et al.,Clin.Chi,.Acta, 149, 55-65(1985)の方法にて調製)を使用し、活性型G因子の凝固酵素前駆体活性化能を合成基質のアミダーゼ活性により測定。・凝固酵素前駆体活性化能:G因子同様、Obayashiらの方法により精製した凝固酵素前駆体の活性型凝固酵素への活性化能を合成基質のアミダーゼ活性により測定。・金属イオン:NaCl,KCl,MgCl2,CaCl2水溶液(処理時:0〜1.5M)・エンドトキシン吸着体:END-X-B15(カブトガニ血球中のエンドトキシン中 和因子をリガンドとする吸着体、ケープコッド社製造、生化学工業販売)、パ イロセップA&C(ヒスチジンをリガンドとする吸着体、田辺製薬製造、和光純 薬工業販売)に接触させ、その未吸着画分を集め、エンドスペシーでエンドト キシンを測定した後、担体への吸着率(%)を算出。*:実施例2参照【0069】〔実施例2〕リムルス反応活性化物質とエンドトキシンに対する各種界面活性剤の影響上記製造例において製造したインフルエンザHAワクチン(IHAーLotA)又は日本脳炎ワクチン(JEC−LotA)から得た本発明リムルス反応活性化物質及びE.coli 0111:B4エンドトキシン(Westphal type、以下Et-B4、2EU/ml)25μlをトキシペットプレート96Fに取り、ポリオキシエチレン系等の非イオン性界面活性剤(商品名Tween、Triton、Brij等、Sigma社、Aldrich社、和光純薬、同人化学研究所販売)の水溶液25μlを加え良く混合した後、エンドスペシー 50μlを添加 し37℃、30分間反応させた後、実施例1と同様に、蒸留水をコントロールとして残存活性(%)を算出した。第2表より、適当な濃度の界面活性剤を添加すると、界面活性剤によっては両者の残存活性に大きな差異が認められることが判る。たとえば、Brij56と混合することにより、エンドトキシンの活性を良好に保ったまま、IHA中に混入するリムルス反応活性化物質を完全に不活化できることが明らかである。第2表から明らかなように、Brij56のほかにも、Triton N-101やTergitolなど類似の作用を有する界面活性剤があり、このような界面活性剤の水溶液をリムルス測定用試料中に適宜共存させておくことにより、リムルス測定用試料中に混入するリムルス反応活性化物質のリムルス反応への影響(偽陽性)を排除し、エンドトキシンのみを特異的に測定できることが見い出された。【0070】【表1】【0071】〔実施例3〕 各種生物学的製剤中のエンドトキシン測定に対する各種界面活性剤の効果リムルス反応活性化物質を高濃度に含む生物学的製剤[インフルエンザHAワクチン(IHAーLotB、原液)、日本脳炎ワクチン(JECーLotB、原液)及び2.5%(W/V)に調製した人血清アルブミン(HSAーLotY1)]25μlをマイクロプレートにそれぞれ分注し、Tergitol、Triton N-101及びBrij 56(いずれもSigma社販売)の各水溶液25μlを混合時に0.004〜0.25% (W/V)になるように加え、良く攪拌(室温で1分間)した後、エンドスペシー50μlを加え、実施例1に示す方法でエンドトキシン濃度を求め、その値が無添加(蒸留水)をコントロールとした時の値に比べどの程度残存したか、そのリムルス活性残存率(%)を算出した。また、リムルス反応活性化物質をほとんど含まない各種生物学的製剤に既知濃度(1.2EU/ml)のエンドトキシン(Et-B4)を添加し、蒸留水を100%として添加回収率(%)を算出した。第3表より明らかなように、適当な濃度に調製した界面活性剤の水溶液を用いれば、非特異的なエンドトキシンの反応が残存せず、エンドトキシンのみを特異的に測定し得る条件を設定することが可能である。すなわち、それぞれ適当な濃度の界面活性剤水溶液とリムルス測定用試料とを混合したのみで、エンドトキシン回収率が良好でかつリムルス測定用試料と混合した後の非特異的なエンドトキシン活性(リムルス反応活性化物質の反応性)を無くすることができ、リムルス測定用試料中のエンドトキシンのみを特異的に測定できることが判る。第3表より、IHAに関しては、Brij 56、JECに関しては、Tergitol、Triton N-101及びBrij 56 、HSAに関しては、Brij 56の適当な濃度の水溶液を用いれば、上記の目的を達成できることは明らかである。【0072】【0073】〔実施例4〕 各種生物学的製剤中のエンドトキシン測定におけるBrij56の濃度の影響実施例3で使用した各種生物学的製剤25μlに混合時に0〜0.5%(W/V)になるように調製したBrij 56水溶液25μlを添加した後、エンドスペシー50μlを加え、実施例1に記載の方法でエンドトキシン濃度(EU/ml)を測定し、同時にそれぞれのBrij 56水溶液の濃度におけるエンドトキシン添加回収率(%)を第3図にまとめて示した。Brij 56水溶液の濃度が高まるに伴い、リムルス活性(非特異的エンドトキシン濃度)及びエンドトキシン添加回収率は有意に低下する。従って、エンドトキシンの添加回収率を良好に維持しつつ、非特異的エンドトキシン(リムルス反応活性化物質)活性を最大限に抑制し得るBrij 56の濃度が適宜選択される。この選択された濃度範囲においては、リムルス測定用試料中に混入するリムルス反応活性化物質を不活化し、エンドトキシンのみを特異的に測定し得ることが明らかである。【0074】〔実施例5〕 各種生物学的製剤中のエンドトキシン測定におけるBrij混合時の温度並びに混合後の各温度における放置時間の影響インフルエンザHAワクチン(IHAーLotB)25μlに混合時に0.125%(W/V)になるようにBrij 56 水溶液を加えて、4〜80℃で1分間混合した。別に混合後、さらに同一温度で1〜20分間放置した。それらのエンドトキシン活性の相対値(蒸留水をコントロール(100%)にした時のリムルス活性残存率)とエンドトキシンの添加回収率(%)を算出した。第4図に各温度で1分間攪拌したときの結果を示した。第4図より、その界面活性剤の水溶液をリムルス測定用試料に加えて、4〜50℃でで1分間攪拌しただけで、エンドトキシン回収率を良好に保ちかつリムルス活性を最大限に抑制し得ることが判明した(4〜40℃では,5分間放置してもリムルス活性残存率もエンドトキシン添加回収率も特に影響されなかった。)。さらに、60℃以上の加熱条件下では、むしろエンドトキシン活性が安定に保持されず、リムルス測定用試料中のエンドトキシンを正確に測定することは不可能であった。【0075】〔実施例6〕 各種生物学的製剤中のエンドトキシン測定に対するポリミキシンB、EDTA−4Na及びBrij 56の影響実施例3と同様の生物学的製剤を含む計6ロットの製剤25μlを使用し、ポリミキシンB硫酸塩(Sigma社販売、2mg/mlの)水溶液25μlあるいは10 mMのEDTA-4Na水溶液25μlあるいは0.25%(W/V) Brij 56水溶液25μlと混合し、エンドスペシー50μlを加え、実施例1に記載の方法と同様に、エンドトキシン濃度(EU/ml)を求めた。また、ポリミキシンB、EDTA-4Na、Brij 56のいずれをも加えないコントロール(エンドトキシンとリムルス反応活性化物質の総量)を1とし、各条件下における活性のコントロールに対する比率を算出した。所定の濃度のポリミキシンBまたはEDTA-4Na水溶液の添加によりリムルス測定用試料中に含まれるエンドトキシンのみが特異的に不活化し、Brij 56添加によりリムルス測定用試料中に含まれるリムルス反応活性化物質のみが特異的に不活化すると仮定すると、それぞれの添加により得られた値のコントロールに対する比率を合計するとエンドトキシンとリムルス反応活性化物質の総量である1に等しくならなければならない。第5図ーA及びB(別ロットで同様の試験を実施)から明らかなように、いずれの生物学的製剤においても、それぞれの総和は、1±0.05(CV=5%、n=3)で、その仮定が正しいことが立証された。このことから、Brij 56の水溶液を所定の濃度になるようにリムルス測定用試料と共存させただけで、リムルス反応活性化物質のみを不活化し、エンドトキシンを特異的に測定する事ができるということが判る。【0076】〔実施例7〕 各種生物学的製剤の希釈用量反応性実施例3と同様の生物学的製剤に、0.25%(W/V) Brij 56水溶液を等量ずつ加え、その後に蒸留水あるいは0.125% Brij 56水溶液で×2〜×32に調製した希釈液25μlならびに、あらかじめ蒸留水で×2〜×32に調製した希釈液25μlをトキシペットプレート96Fに取り、それぞれ蒸留水と0.25%(W/V) Brij 56の水溶液25μlを添加した後良く攪拌し、エンドスペシー50μlを加え、実施例1に記載した方法でエンドトキシン濃度を測定した。それぞれの値を真のエンドトキシン値、すなわち0.25%(W/V) Brij 56水溶液25μlをリムルス測定用試料25μlに加えて得られる測定値で除して得られる相対活性(%)を各希釈率においてプロットした。第6図AーCに示すように、あらかじめ蒸留水で希釈したリムルス測定用試料にBrij 56の水溶液を加えたものについては、各希釈率において安定した相対活性が得られたのに対し、リムルス測定用試料にBrij 56の水溶液を加えた後、蒸留水で希釈したものは、希釈率の増大とともに測定値が上昇する傾向を示した。これに対し、リムルス測定用試料にBrij 56の水溶液を加えた後、蒸留水のかわりに0.125% (W/V) Brij 56の水溶液で希釈した場合は、あらかじめ蒸留水で希釈したリムルス測定用試料にBrij 56の水溶液を加えた時と同様、安定した相対活性を示し、良好な希釈用量反応性が認められた。このことから、一度Brij 56で不活化を受けたリムルス反応活性化物質は、蒸留水を加え希釈すること(すなわち、Brij 56の濃度が測定用試料中から希釈されること)により、その活性の一部に可逆的な回復現象がみられるが、Brij 56で不活化させ、その濃度と同一濃度になるようにBrij 56でリムルス測定用試料を希釈したものは、このような回復現象は全く認められず、どの希釈率でも一定のエンドトキシン値を示すことが判る。【0077】この点が、これまで公知のリムルス反応偽陽性物質等の性質、並びに主に血液をリムルス測定用試料として作出されたリムルス反応偽陽性物質等の不活化法と大きく異なる点である。すなわち、これらの偽陽性物質等は、その不活化法で、一旦不活化されてしまえば、その後どのような処理をしてももはや全くリムルス活性は回復しないことが知られているからである。本発明リムルス反応活性化物質は、一定濃度の上述した特定の界面活性剤共存下のみではじめてそのリムルス反応活性化能が抑制されるものである。従って、本発明リムルス反応活性化物質の影響を排除して、リムルス測定試料中の真のエンドトキシンのみをリムルス試薬で正確に測定する場合には、常に上記特定の界面活性剤の一定濃度を共存させておく必要がある。この点が、従来のリムルス反応偽陽性物質等の不活化法に関わるエンドトキン測定法と大きく異なる点である。【0078】〔実施例8〕 各種リムルス試薬による生物学的製剤中のエンドトキシン測定実施例3で使用した各種生物学的製剤に0.3%(W/V) Brij 30水溶液を等量添加し、エンドスペシー又は各種リムルス試薬を加え、リムルス測定用試料中のエンドトキシン濃度(EU/ml)を標準エンドトキシンET−B4を用いて測定した。その結果を第4表に示す。【0079】【0080】第4表より、Brij 30の水溶液をリムルス測定用試料に加えた後、種々リムルス試薬を用いてリムルス測定用試料中のエンドトキシン濃度を測定したが、いずれの製剤についてもほぼ同様の傾向を示し、測定法,測定試薬が異なっても、Brij30をリムルス測定用試料中に共存させただけで、エンドトキシンのみ特異的に測定し得ることが判る。【0081】〔実施例9〕 アルキルアミンのエンドトキシン反応性に及ぼす効果主にO抗原多糖の鎖長が異なる種々のS型及びR型エンドトキシン(E.coli O111:B4 3 種、E.coli UKT-B、E.coli 0113、Salmonella minnesota R595、S.minnesota R5(Rc)、S.typhosa、S.enteritidis)水溶液のそれぞれの水希釈系列(n=9)25μlにBrij 56の水溶液(0.25%)25μl加えて混合後、エンドスペシー50μlを添加し、実施例に示す方法でエンドトキシン濃度(EU/ml)求め、両対数軸にてプロットした。その結果、エンンドトキシンの種類により相互に力価が異なる傾向を示したが、この不均一性がトリエチルアミンを0.005%(W/V)になるように予めBrij 56の水溶液に加えておくと第7図−A,Bに示すように、結果は良好な集束を示した(重相関=0.844)。また、エンドトキシンをほとんど含まないインフルエンザHAワクチン(IHAーLotM)に同様に各種エンドトキシンを添加して用量依存性を確認した結果、第8図−A,Bに示すように、Brij 56のみを共存させた場合に比べ、トリエチルアミンを添加した場合の方が、より良好な集束(重相関=0.850)を示すことが判る。従って、Brij 56の水溶液に所定の濃度のトリエチルアミンを添加することにより、エンドトキシンの分散状態が良好に維持され、溶解性や菌種による反応性の差を可能な限り小さくすることが可能であり、リムルス測定試料中のエンドトキシンがより正確に測定できることが明らかとなった。【0082】〔実施例10〕 各種生物学的製剤中の平行線定量法によるエンドトキシンの測定各種生物学的製剤計3ロット(IHAーLotD、JECーF、HSAーY2)の蒸留水希釈系列(4点)、それぞれ25μlに、キット化したBrij混液[0.25%(W/V)Brij56 + 0.010%(W/V)トリエチルアミン]25μlを添加攪拌し、キット添付のエンドスペシー50μlを加え、ウェルリーダーSK601で37℃、30分間反応させ、1分間当たりの吸光度変化率(mAbs405-492nm/min)を専用の平行線定量ソフト(EG301、生化学工業販売)で解析し、日本薬局方標準エンドトキシン(E.coli UKT-B)を用いてエンドトキシン濃度(EU/ml)を算出した。第9図に示すように、いずれのリムルス測定用試料についても 良好な平行線と再現性が得られ、本キットは生物学的製剤中のエンドトキシンを特異的かつ精度良く定量する事が可能であった。【0083】〔実施例11〕各種生物学的製剤中の本発明リムルス反応活性化物質の測定実施例8に記載の各種生物学的製剤50μlに、等量の0.2M NaOHを加え、37℃1時間加温後 0.2M HCl 50μlを加え中和した。その50μlに、エンドスペシー50μlを加え、37℃で30分間反応させ(A)て、本発明リムルス反応活性化物質量を測定した。一方、NaOHの代わりに蒸留水を用いて測定したエンドトキシンと本発明リムルス反応活性化物質の総量(C)、及びこの製剤25μlに0.25% Brij 56 25μl添加後、エンドスペシー 50μlを加え、測定したエンドトキシン量(B)もあわせて表記した。【0084】第5表に示すように、IHA、JEC、HSA各製剤においても、NaOHを加え、37℃で加温したのみで、製剤中に混入する本発明リムルス反応活性化物質のみを特異的に測定することが可能であることが判る。また、この製剤にBrij 56の水溶液を加えて得られたエンドスペシー測定値に、本法により得られた本発明リムルス活性化物質の量を加えて得られた値は、エンドトキシンと本発明リムルス反応活性化物質の総量とほぼ等しい値を示したことから、本法により本発明リムルス反応活性化物質量を的確に測定し得ることが明らかである。【0085】第5表───────────────────各種製剤 A B C ( ):A+B───────────────────IHA 14.0 3.0 17.3 (17.0)JEC 2.9 0.2 3.2 ( 3.1)HSA 9.4 0 9.3 ( 9.4)───────────────────【0086】【発明の効果】 以上説明したように、本発明は、主に生物学的製剤中に混入する発熱活性を持たない非エンドトキシンリムルス反応活性化物質を簡便、迅速に不活化し、エンドトキシンのみをリムルス試薬にて精度良く測定する方法を提供する。本発明により、生物学的製剤中のエンドトキシン量が正しく測定されることになり、従って生物学的製剤の安全性評価をより適切に実施することができ、医療への大きな貢献につながる。【図面の簡単な説明】【図1】カブトガニ凝固系のカスケード機構を示した図面である。【図2】高速液体クロマトグラフィーによるインフルエンザワクチン中の本発明リムルス反応活性化物質の溶出パターンを示した図面である。【図3】生物学的製剤中のエンドトキシン測定における種々の濃度の界面活性剤の効果を示した図面。【図4】生物学的製剤中のエンドトキシン測定における、界面活性剤添加後の温度及び時間の影響を示した図面。【図5】ポリミキシンB,EDTA−4Na及び界面活性剤のエンドトキシン測定に及ぼす影響を示した図面である。【図6】希釈用量反応性を示した図面である。【図7】各種のエンドトキシン反応性に及ぼす界面活性剤とトリエチルアミンの影響(蒸留水系)を示した図面である。【図8】各種エンドトキシン反応性に及ぼす界面活性剤及びトリエチルアミンの影響(生物学的製剤系)を示した図面である。【図9】平行線定量法による生物学的製剤中のエンドトキシンの測定を示した図面である。 下記の工程を含むリムルス測定用試料中のエンドトキシンの測定方法:(1)リムルス測定用試料、界面活性剤及びアルキルアミンを、この界面活性剤の凝固点温度を超える温度から50℃以下の温度において、当該界面活性剤の終濃度が0.005〜0.8%(W/V)となるように共存させる第1工程;(2)第1工程により得られたリムルス測定用試料を、リムルス試薬によるリムルス反応を行わせて、エンドトキシンを測定する第2工程。 界面活性剤が非イオン性界面活性剤である請求項1記載のエンドトキシンの測定方法。 非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル及びアシルポリオキシエチレンソルビタンからなる群から選ばれる1種又は2種以上の非イオン性界面活性剤である請求項2記載のエンドトキシンの測定方法。 リムルス試薬が、エンドトキシン特異的リムルス試薬である請求項1乃至請求項3のいずれかの請求項記載のエンドトキシンの測定方法。 下記の工程を含む、生物学的製剤中のエンドトキシンの測定方法:(1)生物学的製剤、界面活性剤及びアルキルアミンを、この界面活性剤の凝固点温度を超える温度から50℃以下の温度において、当該界面活性剤の終濃度が0.005〜0.8%(W/V)となるように共存させる第1工程;(2)第1工程により得られた生物学的製剤を、リムルス試薬によるリムルス反応を行わせて、エンドトキシンを測定する第2工程。 界面活性剤が非イオン性界面活性剤である請求項5記載のエンドトキシンの測定方法。 非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル及びアシルポリオキシエチレンソルビタンからなる群から選ばれる1種又は2種以上の非イオン性界面活性剤である請求項6記載のエンドトキシンの測定方法。 リムルス試薬が、エンドトキシン特異的リムルス試薬である請求項5乃至請求項7のいずれかの請求項記載のエンドトキシンの測定方法。