タイトル: | 特許公報(B2)_特定の神経運動障害および精神−知力障害の処置に有用な医薬組成物を得るためのスルブチアミンの用途 |
出願番号: | 1997268316 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 31/51,A61P 25/16,A61P 25/18,C07D 239/42 |
エレン・オヤ アラン・ル・リダン ローラン・ペレ JP 4234218 特許公報(B2) 20081219 1997268316 19971001 特定の神経運動障害および精神−知力障害の処置に有用な医薬組成物を得るためのスルブチアミンの用途 レ ラボラトワール セルヴィエ 500287019 津国 肇 100078662 渡邉 睦雄 100072279 篠田 文雄 100075225 佐伯 とも子 100108590 エレン・オヤ アラン・ル・リダン ローラン・ペレ FR 96 12112 19961004 20090304 A61K 31/51 20060101AFI20090212BHJP A61P 25/16 20060101ALI20090212BHJP A61P 25/18 20060101ALI20090212BHJP C07D 239/42 20060101ALN20090212BHJP JPA61K31/51A61P25/16A61P25/18C07D239/42 Z A61K 31/33〜33/44 A61P 25/16 A61P 25/18 C07D 239/42 CAplus(STN) REGISTRY(STN) MEDLINE(STN) BIOSIS(STN) EMBASE(STN) WPIDS(STN) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 米国特許第04071629(US,A) 西独国特許出願公開第02639575(DE,A) CROCO, L. and FONDARAI, J.,Psychologie Medicale,1978年,Vol.10/No.4,p.797-813 FONDARAI, J. et al.,Psychologie Medicale,1978年,Vol.10/No.10,p.2103-2114 CHAUVOT, B.,Psychologie Medicale,1982年,Vol.12/No.9,p.1985-1991 BUGARD, P.,Gaz. Med. de France,1979年,Vol.86/No.6,p.596-598 JOUQUAN, J.,Comptes Rendus de Therapeutique,1985年12月,Vol.IV/No.36,p.20-23 ACUNA, V.,Gazette Medicale,1985年,Vol.92/No.13,p.88-90 BETTENDORFF, L. et al.,Biochemical Pharmacology,1990年,Vol.40/No.11,p.2557-2560 VAN REETH, O,Biological Rhythm Research,1994年,Vol.25/No.4,p.477-479 3 1998130151 19980519 6 20021021 當麻 博文 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、スルブチアミンを含有する、認知および精神的概念の計画的な動員を必要とする行動応答および知力応答の遅延、緩慢および抑うつによって特徴付けられる、精神運動障害(psychomotor)および精神−知力(psychointellectual)障害処置用の医薬組成物に関する。これらの障害は、特に、パーキンソン病患者、分裂病性遅滞(deficient schizopherenics) 、アルコール症、メジャー抑うつ症および気分変調症において観察される。【0002】【従来の技術】スルブチアミンは、既に知られている、文献に記載された活性な因子である。特別医薬特許5921Mは、この製品を、ビタミンB1 の活性を有し、ビタミンB1 の血液レベルの上昇を引き起こすことができ、かつ全てのB1 ビタミン欠乏症の症状に関して効果を及ぼすことができる物質として記載している。【0003】特別医薬特許5921Mはまた、これら治療目的のためには、この製品を、単位用量当たり5〜50mgの錠剤の形態で用いることに言及している。【0004】最後に、ベルギー国特許BE845,260は、拮抗されるべき鎮静薬もしくは神経弛緩薬の神経抑制作用を可能にするスルブチアミンの神経興奮薬的な性質を記載している。【0005】その役割として、Vidal は、行動の減退と感情鈍麻を伴う特定の肉体的もしくは心理的抑制状態の処置のためにスルブチアミンを使用することを推奨している。【0006】【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明は、精神運動障害および精神−知力障害処置用の医薬組成物を得ることを目的とする。【0007】【課題を解決するための手段】出願人は、パーキンソン病の患者、分裂病性遅滞、アルコール遮断のその後の治療のため病院加療が施されるアルコール症、気分変調患者、あるいはメジャー抑うつ性症状が発現している患者において、スルブチアミンの投与がはじめに記載した精神運動障害および精神−知力障害からの回復を可能にすることを、ここに示す。【0008】これらの患者に対して行われた様々な研究において、スルブチアミンにより、全てのケースにおいて、精神運動の緩慢、行動の抑制、知力計画(strategy)障害、ならびに実行(executive) 機能障害を回避することができた。【0009】【発明の実施の形態】本発明にしたがって用いられる医薬組成物は、スルブチアミンを単独でもしくは1以上の不活性で非毒性の薬学的に受容可能な賦形剤と組み合わせて含んでいる。【0010】これらの主題の精神運動障害および知力障害の処置用であって、本発明に従いスルブチアミンを用いて得られる薬剤は、経口、非経口、経皮(transcutaneous)、鼻腔、直腸、もしくは経舌(perlingual)による投与に適切な医薬品の形態で、特に、錠剤、舌下錠剤、グロセット(glossettes)、ゼラチンカプセル、カプセル、錠剤、坐薬、経皮パッチ、口腔用(buccal)パッチなどで存在する。【0011】用量は、患者の年齢および体重、投与経路、治療適応症の性質および関連する処置の性質によって、経口で1日当たり400mg〜800mgの範囲で変化する。【0012】【実施例】臨床研究実施例1:スルブチアミンが、アルコール依存症患者およびアルコール遮断患者の精神−認識の変化に及ぼす効果この研究は、病院加療が施されているある人数のアルコール依存症患者に対して遮断治療後に行われた。【0013】これらの患者を2つの等しい群に分け、二重盲検条件下でスルブチアミンもしくは偽薬のいずれかで、6週間処置し、処置は無作為化コードにしたがって割り当てた。【0014】本発明者らは、以下のテストによって、処置の効果を評価した:1− 認識および実行機能および注意力:−誘発ポテンシャル認識(cognitive potential evoked)−Stroopテスト−トレイルメーキング(trail making)テスト−MADRSスケール(集中困難性)2− 記憶機能(mnesic function) :−Bentonテスト−Rey figure−Wechslerスケール3− 気分および不安−MADRSスケール(感情の鈍り、行動の減退)−HARSスケール(引きこもり)−Beckスケール(行動の減退)【0015】スルブチアミンで処置されたこれらのアルコール依存症およびアルコール遮断症患者においては、認識および記憶機能ならびに注意力の改善が観察された。【0016】実施例2:客観的および主観的、認識緩慢に対する、ならびにパーキンソン病患者の疲労感に対するスルブチアミンの効果この研究は、特発性パーキンソン病のある人数の患者で、L−ドーパおよび/またはドーパミン作用性アゴニストによって処置され、研究の開始の際に安定で、運動状態のメジャー変動および痴呆の徴候がない者に対して行った。【0017】これらの患者を2つの等しい群に分け、二重盲検条件下でスルブチアミンもしくは偽薬のいずれかで、8週間処置し、処置は無作為化コードにしたがって割り当てた。【0018】下記のテストにより、処置の効果を評価した:1− 認識機能、注意力、言語、観念作用、および運動緩慢:−15対象テスト−Stroopテスト−MADRSスケール(集中困難性)−バーバルフルーエンシー(verbal fluency)テスト−トレイルメーキングテスト2−実行機能:−odd man out (グループの中から一人を選ぶ)テスト−Wais−R3−記憶機能:−Groeber and Buschke テスト4−疲労の知覚:−疲労の自己評価5−気分:−MADRSスケール(感情の鈍り、行動の減退)【0019】スルブチアミンで処置したパーキンソン病の患者では、疲労の知覚の減少を伴った認識、実行および記憶機能における改善が観察された。【0020】実施例3:気分変調患者における抑制性症状に対するスルブチアミンの効果この研究は、運動、観念作用および認識の抑制および緩慢を有する、病院加療が施されていない気分変調患者において行った。【0021】これらの患者を2つの等しい群に分け、二重盲検条件下でスルブチアミンもしくは偽薬のいずれかで、8週間処置し、処置は無作為化コードにしたがって割り当てた。【0022】本発明者らは処置の効果を評価した:1− 運動、言語、観念作用および認識の緩慢:−緩慢のWidlocher スケール−言語時間測定法(verbal chronometry)−スピーチのアコースティック(acoustic)分析2− 気分および不安:−MADRSスケール(感情の鈍り、行動の減退)−Abrams-Taylor スケール−Widlocher スケール【0023】スルブチアミンで処置した気分変調患者における運動、言語、観念作用および認識の緩慢の正味の低下が観察された。【0024】実施例4:スルブチアミンの、三環系抗うつ薬で処置した主な抑うつ性患者の抑制症状に対する効果この研究は、抑うつ状態のため病院加療され、種々の用量のクロミプラミンで処置されている患者において行った。【0025】これらの患者を2つの等しい群に分け、スルブチアミンもしくは偽薬のいずれかで、8週間処置し、処置は無作為化コードにしたがって割り当てた。【0026】本発明者らは、処置の効果を評価した:1− 運動、観念作用および認識の緩慢:−Sheehan 無力(incapacity)スケール−HARSスケール(関心の喪失、記憶障害)−MADRSスケール(集中力障害、行動の減退)−Widlocher スケール−Norris視覚アナログ(visual analog) スケール−疲労の自己評価2−気分および不安:−MADRSスケール(情緒の鈍り)−HARSスケール−Widlocher スケール【0027】抑制性症状における改善は、特に認知機能について、スルブチアミンで処置した群において観察された。【0028】実施例5:スルブチアミンの、神経弛緩薬で処置した分裂病性遅滞の抑制性症状に対する効果この研究は、神経弛緩薬で処置した分裂病性遅滞の抑制性症状に対して行った。【0029】これらの患者を2つの等しい群に分け、二重盲検条件下でスルブチアミンもしくは偽薬のいずれかで、12週間処置し、処置は無作為化コードにしたがって割り当てた。【0030】処置を以下について評価した:1− 認知機能:−PANSSスケール−トレイルメーキングテスト−Stroopテスト−Norris視覚アナログスケール−MADRSスケール(集中力障害、行動の減退)2− 実行機能:−Wisconsin カード分類テスト3− 記憶機能:−Groeber and Buschke テスト4− 分裂病の陰性徴候:−PANSSスケール5− 生活水準:−Heinrichの生活水準スケール【0031】分裂病の徴候の後退は、スルブチアミンで処置した群において、同時に生活水準の改善を伴って、観察された。 スルブチアミンを含有する、パーキンソン病患者および/または分裂病性遅滞において観察される特定の精神運動障害および/または精神−知力障害処置用の医薬組成物。 認知および精神的概念の計画的な動員を必要とする行動応答および知力応答の遅延、緩慢および抑うつによって特徴付けられる、精神運動障害および精神−知力障害処置用の請求項1に記載の医薬組成物。 スルブチアミンを単独で、もしくは1以上の不活性で非毒性の薬学的に受容可能な賦形剤と組み合わせて含む請求項2に記載の医薬組成物。