タイトル: | 特許公報(B2)_ビフィズス菌含有錠剤及びその製造方法 |
出願番号: | 1997255958 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 35/74,A61K 9/20,A61K 47/14,A61P 31/04,A61P 37/04 |
早澤 宏紀 石橋 憲雄 阿部 文明 岩木 克恵 JP 4156057 特許公報(B2) 20080718 1997255958 19970904 ビフィズス菌含有錠剤及びその製造方法 森永乳業株式会社 000006127 志賀 正武 100064908 高橋 詔男 100108578 渡邊 隆 100089037 青山 正和 100101465 鈴木 三義 100094400 西 和哉 100107836 村山 靖彦 100108453 工藤 力 390000561 早澤 宏紀 石橋 憲雄 阿部 文明 岩木 克恵 20080924 A61K 35/74 20060101AFI20080904BHJP A61K 9/20 20060101ALI20080904BHJP A61K 47/14 20060101ALI20080904BHJP A61P 31/04 20060101ALI20080904BHJP A61P 37/04 20060101ALI20080904BHJP JPA61K35/74 AA61K9/20A61K47/14A61P31/04A61P37/04 A61K 35/74 A61K 9/20 A61K 47/14 A61P 31/04 A61P 37/04 WPI BIOSIS(STN) CAplus(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特開昭63−088133(JP,A) 特公昭53−037430(JP,B1) 特開平09−110705(JP,A) 特開昭63−063373(JP,A) 2 1999080007 19990323 11 20040602 遠藤 広介 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ビフィズス菌含有錠剤及びその製造方法に関する。詳しくは、ビフィズス菌が長期間高い生残性を示し、風味良好で、かつ不良品発生率の低いビフィズス菌生菌を大量に含有するビフィズス菌含有錠剤及びその製造方法に関するものである。【0002】本明細書において、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)に属する微生物をビフィズス菌、ビフィズス菌生菌を粉末化したものをビフィズス菌生菌末、ビフィズス菌以外の乳酸菌類を乳酸菌、乳酸菌生菌を粉末化したものを乳酸菌生菌末、及び微生物の細胞又は菌体をまとめて菌体と記載することがある。【0003】【従来の技術】ビフィズス菌は有用な腸内細菌の一つとして広く知られており、その生理学的意義については多数の報告があり、腸内において乳酸、酢酸等の有機酸を生産し、かつ有害菌の増殖を抑制する作用、ビタミンの産生、免疫力の賦活化等が明らかにされている(光岡知足編著、「ビフィズス菌の研究」、財団法人日本ビフィズス菌センター、1994年)。【0004】このため、ビフィズス菌を摂取することにより健康を維持することを目的として、ヨ−グルト、菓子類、飲料類等のビフィズス菌を含有する種々の食品が開発されている(光岡知足編著、「ビフィズス菌の研究」、財団法人日本ビフィズス菌センター、1994年)。【0005】更に、ビフィズス菌を一層簡便に摂取するためにビフィズス菌を含有する粉末食品又は打錠食品等も多数開発されている。しかしながら、ビフィズス菌を打錠して錠剤にする場合、打錠時の機械的な圧縮によりビフィズス菌が衝撃を受け、打錠時の生菌数の低下、保存中における生菌数の低下などの問題が生じていた。また、ビフィズス菌を大量に含有する場合、所定の打錠が行われず、不良品発生率が高く、ビフィズス菌を大量に含有する錠剤を製造することが困難であった。【0006】この打錠時の生菌数の低下、及び保存中における生菌数の低下の問題、いわゆるビフィズス菌の生残性の改善の問題を解決するために、結合剤として錠剤中に1〜3%(重量。以下、特に断りのない限り同じ。)のショ糖脂肪酸エステルを添加してビフィズス菌の死滅を減少させたビフィズス菌含有錠剤の製法が開示されている(特公平7−17514号公報)。【0007】また、グリセリン脂肪酸エステルを乳酸菌含有錠菓に使用、詳しくは、グリセリン脂肪酸エステル9部に乳酸菌1部を混合し、大量のグリセリン脂肪酸エステルにより少量の乳酸菌をコーテイングすることにより、乳酸菌の生残性を改善した乳酸菌含有錠菓の製造方法が開示されている(特公昭53−37430号公報)。【0008】しかしながら、これらの従来技術には、次に記載するとおりの不都合があった。【0009】【発明が解決しようとする課題】前記のとおり、従来から、ショ糖脂肪酸エステルを錠剤中のビフィズス菌の生残性の改善に使用することは公知であったが、この技術は、ビフィズス菌の生残性の改善には効果が認められるが、錠剤中のビフィズス菌の含有割合を高めるために配合原料としてビフィズス菌生菌末の量を増加し、連続的に製造した場合には、錠剤表面が粗雑又は凸凹を呈し、外観の優れた錠剤は得られない、いわゆる不良品発生率が高いという難点があり、ビフィズス菌を大量に含有する錠剤が製造できないという問題点を有していた。また、ショ糖脂肪酸エステルを使用して錠剤を製造した場合、苦みを感じる等の風味上の問題点も有していた。【0010】更に、前記のとおり、従来から、グリセリン脂肪酸エステルを錠剤中の乳酸菌の生残性の改善に使用することは公知であったが、ビフィズス菌については開示がなく、大量のグリセリン脂肪酸エステルで少量の菌体をコーテイングする必要があり、菌体を大量に含有する錠剤が製造できないという問題点を有していた。【0011】本発明者らは、前記従来技術に鑑みて、錠剤の20〜50%の割合のビフィズス菌生菌末に、結合剤として錠剤の2〜5%の割合のグリセリン脂肪酸エステルを添加して混合し、得られた混合粉末を直接粉末のまま打錠することにより、ビフィズス菌が長期間高い生残性を示し、風味良好で、かつ不良品発生率の低い錠剤1g当り少なくとも2×109 個の割合のビフィズス菌生菌を大量に含有するビフィズス菌含有錠剤が製造できることを見い出した。【0012】本発明の目的は、従来の欠点を解消したビフィズス菌が長期間高い生残性を示し、風味良好で、かつ不良品発生率の低いビフィズス菌生菌を大量に含有するビフィズス菌含有錠剤及びその製造方法を提供することである。【0013】【課題を解決するための手段】 前記課題を解決する本発明の第一の発明は、錠剤1g当り少なくとも2×109個の割合のビフィズス菌生菌を含有する錠剤であって、ビフィズス菌生菌末を20〜50重量%、グリセリン脂肪酸エステルを2〜5重量%の割合で含有するビフィズス菌含有錠剤である。【0014】前記課題を解決する本発明の第二の発明は、錠剤1g当り少なくとも2×109 個の割合のビフィズス菌生菌を含有する錠剤であって、錠剤の20〜50%の割合のビフィズス菌生菌末に、結合剤として錠剤の2〜5%の割合のグリセリン脂肪酸エステルを添加して混合し、得られた混合粉末を直接打錠することを特徴とするビフィズス菌含有錠剤の製造方法である。【0015】【発明の実施の形態】次に、本発明について詳述する。【0016】本発明の理解を容易にするために、最初に本発明の第二の発明から説明する。【0017】本発明の方法に使用されるビフィズス菌は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する微生物であり、例えば、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum), ビフィドバクテリウム・インファンチス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ブレ−ベ(Bifidobacterium breve)等であり、いずれも市販されているか又は寄託機関から容易に入手することができる菌株である。【0018】本発明の方法に使用されるビフィズス菌生菌末は、前記ビフィズス菌を適当な培地により生育させ、遠心分離等により分離し、脱脂粉乳溶液等の凍結乾燥保護剤と混合し、凍結乾燥し、得られた乾燥品を粉砕し、必要に応じてデキストリン、ブドウ糖、澱粉等の適当な倍散剤と混合し、調製することができる。より具体的には、ビフィズス菌生菌末は、後記する参考例に示した方法で調製することができる。【0019】本発明の方法に使用されるビフィズス菌生菌末の含有割合が、錠剤の20%未満の割合の場合、ビフィズス菌生菌を大量に含有するビフィズス菌含有錠剤を製造することが困難となり、また、錠剤の50%を超える割合の場合、不良品発生率が高くなることから、錠剤の20〜50%、望ましくは30〜40%、の割合である。【0020】本発明の方法に使用されるグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸とグリセリン又はポリグリセリンのエステル及びその誘導体であり、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等を例示することができ、いずれも食品添加物として広く利用されており、また市販されており容易に入手可能である。【0021】本発明の方法に使用されるグリセリン脂肪酸エステルの含有割合が、錠剤の2%未満の割合の場合、ビフィズス菌の生残性が悪化し、また、錠剤の5%を超える割合の場合、風味が悪化することから、錠剤の2〜5%、望ましくは3〜4%、の割合である。【0022】本発明の方法に使用される他の成分としては、ビフィズス菌の増殖因子、倍散剤、風味改良剤、香料、着色料等を適宜使用することができる。【0023】ビフィズス菌の増殖因子としては、ラクチュロース、ラフィノース、イソマルトオリゴ糖等のオリゴ糖類であり、倍散剤としては砂糖、グルコース、デキストリン、澱粉、脱脂粉乳、乳蛋白質、天然物エキス類等であり、風味改良剤としてはアスコルビン酸、クエン酸等であり、香料としては粉末ヨーグルトフレーバー、粉末レモンフレーバー等であり、及び着色料としては天然色素等である。【0024】また、通常、錠剤に使用されているカルシウム、鉄、ビタミン類、核酸類、ペプチド、又はその他の細菌類等のヒトにとって有用な物質を使用することは、本発明にとって何ら問題は無い。【0025】本発明の方法に使用される打錠機は、一般に錠剤又は錠菓の製造に使用されている装置であって、打錠機(例えば、畑鉄鋼所社製:HT12SS)等を例示することができる。【0026】本発明の方法は、錠剤の20〜50%の割合のビフィズス菌生菌末に、結合剤として錠剤の2〜5%の割合のグリセリン脂肪酸エステルを添加し、適宜その他の成分であるオリゴ糖、倍散剤、風味改良材、香料、又は着色料を添加し、均一に混合し、得られた混合粉末を、打錠機により直接打錠し、ビフィズス菌の生残性、風味、不良品発生等の問題点も解決され、ビフィズス菌が長期間高い生残性を示し、風味良好で、かつ不良品発生率の低いビフィズス菌含有錠剤を製造することができる。【0027】また、本発明の方法によれば、錠剤の20〜50%の割合という、比較的高い含有割合でビフィズス菌生菌末を添加できることから、錠剤1g当り少なくとも2×109 個の割合のビフィズス菌生菌を大量に含有するビフィズス菌含有錠剤が製造できる。【0028】次に本発明の第一の発明について記載する。【0029】 前記方法により製造された本発明のビフィズス菌含有錠剤は、後記する実施例からも明らかなとおり、錠剤1g当り少なくとも2×109個の割合のビフィズス菌生菌及びグリセリン脂肪酸エステルを含有するビフィズス菌含有錠剤であり、ビフィズス菌生菌末が20〜50%の割合で錠剤に含有され、グリセリン脂肪酸エステルが2〜5%の割合で錠剤に含有されるビフィズス菌が長期間高い生残性を示し、風味良好で、かつ不良品発生率の低いビフィズス菌生菌を大量に含有するビフィズス菌含有錠剤である。【0030】なお、本発明のビフィズス菌含有錠剤は、適当な量(例えば、20g又は10錠単位等)を公知の方法で密封包装し、最終製品とすることができる。【0031】更に、必要に応じて本発明のビフィズス菌含有錠剤に、公知のカプセル化したビフィズス菌を組み合わせることもできる。【0032】次に試験例を示して本発明を詳記するが、本発明においては、次の試験方法を採用した。【0033】(1)各試料のビフィズス菌生菌数の測定法各試料の錠剤から無作為に10錠を採取し、混釈培養法により各錠剤のビフィズス菌の生菌数を測定し、各試料の錠剤1g当りに含有されるビフィズス菌生菌数の平均値を算出した。【0034】(2)各試料のビフィズス菌の生残率の算出法各試料のビフィズス菌の生残率の算出は、前記方法で測定した各試料の打錠直後のビフィズス菌生菌数、及び25℃で3か月保存後のビフィズス菌生菌数から、次式により生残率を算出した。ビフィズス菌の生残率(%)=(保存後のビフィズス菌数/打錠直後のビフィズス菌数×100)【0035】(3)各試料の風味試験方法各試料の錠剤を、20歳から40歳までの男女各20人のパネルにより官能的に風味を試験し、風味良好(0点)、風味やや良(1点)、風味やや不良(2点)、風味不良(3点)の4段階に評価し、評価点の平均値から、0.5点未満を良、0.5点以上1.5点未満をやや良、1.5点以上2.5点未満をやや不良、及び2.5点以上3.0点未満を不良と判定した。【0036】(4)各試料の不良品発生率の算出法各試料の錠剤から無作為に100錠を採取し、各錠剤の表面を肉眼で観察し、表面が粗雑なもの若しくは表面に凹凸のあるもの、キャッピング等が観察されるものを不良品とし、次式により算出した。不良品発生率(%)=(不良品の錠剤数/100)×100【0037】試験例1この試験は、従来品と比較して本発明のビフィズス菌含有錠剤が優れていることを示すために行った。【0038】(1)被検試料の調製次に示す3種類の試料を調製した。試料1:実施例1と同一の方法により調製されたビフィズス菌含有錠剤。試料2:グリセリン脂肪酸エステル製剤をショ糖脂肪酸エステル製剤(三栄源エフ・エフ・アイ社製)に変更したことを除き実施例1と同一の方法により調製されたビフィズス菌含有錠剤。試料3:参考例1で製造されたビフィズス菌生菌末を参考例2で製造された乳酸菌生菌末に変更したことを除き実施例1と同一の方法により調製された乳酸菌含有錠剤。【0039】(2)試験方法各試料の打錠直後のビフィズス菌生菌数、ビフィズス菌の生残率、風味、及び不良品発生率を、いずれも前記の試験方法により試験した。【0040】なお、試料3の打錠直後の乳酸菌生菌数及び乳酸菌の生残率は、ビフィズス菌を乳酸菌に変更して、前記の試験方法と同一の方法により試験した。【0041】(3)試験結果この試験の結果は、表1に示すとおりである。表1から明らかなとおり、本発明のビフィズス菌含有錠剤(試料1)は、従来のショ糖脂肪酸エステルを使用したビフィズス菌含有錠剤(試料2)に比較して、風味及び不良品発生率において格段に優れていることが確認され、乳酸菌を使用した試料3は、その生残率が顕著に低下した。【0042】これらの結果から、錠剤を製造した場合、ビフィズス菌と乳酸菌とでは顕著に異なっており、乳酸菌の試験結果から、ビフィズス菌の試験結果を予測することが極めて困難であることが判明した。【0043】なお、生菌末の含有割合を50%に変更し、ビフィズス菌及び乳酸菌の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。【0044】【表1】【0045】試験例2この試験は、打錠直後のビフィズス菌生菌数及び不良品発生率を指標として、ビフィズス菌含有錠剤の製造方法におけるビフィズス菌生菌末の含有割合を調べるために行った。【0046】(1)被検試料の調製ビフィズス菌生菌末をマルツデキストリンにより置換し、表2に示すとおり、錠剤中のビフィズス菌生菌末の含有割合を変更したことを除き、実施例1と同一の方法により、6種類のビフィズス菌含有錠剤試料を調製した。【0047】(2)試験方法各試料の打錠直後のビフィズス菌生菌数及び不良品発生率を、いずれも前記の試験方法により試験した。【0048】(3)試験結果この試験の結果は、表2に示すとおりである。表2から明らかなとおり、打錠直後のビフィズス菌生菌数として錠剤1g当り少なくとも2×109 個の割合のビフィズス菌生菌を大量に含有し、かつ不良品発生率が低いビフィズス菌含有錠剤を製造するためには、ビフィズス菌生菌末を錠剤の20〜50%の割合で含有することが必要であることが判明した。【0049】なお、グリセリン脂肪酸エステル製剤をマルツデキストリンにより置換し、グリセリン脂肪酸エステル製剤の含有割合を錠剤の2〜5%の範囲で変更し、又はビフィズス菌の種類を適宜変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。【0050】【表2】【0051】試験例3この試験は、ビフィズス菌の生残性及び風味を指標として、ビフィズス菌含有錠剤の製造方法におけるグリセリン脂肪酸エステルの含有割合を調べるために行った。【0052】(1)被検試料の調製グリセリン脂肪酸エステルをマルツデキストリンにより置換し、錠剤中のグリセリン脂肪酸エステルの含有割合を、表3に示すとおり、変更したことを除き、実施例1と同一の方法により、6種類のビフィズス菌含有錠剤試料を調製した。【0053】(2)試験方法各試料のビフィズス菌の生残率及び風味を、いずれも前記の試験方法により試験した。【0054】(3)試験結果この試験の結果は、表3に示すとおりである。表3から明らかなとおり、ビフィズス菌が長期間高い生残性を示し、かつ風味良好なビフィズス菌含有錠剤を製造するためには、グリセリン脂肪酸エステルを錠剤の2〜5%の割合で含有することが必要であることが判明した。【0055】なお、ビフィズス菌生菌末をマルツデキストリンにより置換し、ビフィズス菌生菌末の含有割合を20〜50%の範囲で変更し、又はビフィズス菌の種類を適宜変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。【0056】【表3】【0057】なお、各実施例で使用するビフィズス菌生菌末は以下の参考例1と同一の方法により調製した。参考例12%グルコ−ス(ディフコ社製)を添加したGAM液体培地(ニッスイ社製)にビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)ATCC15707[アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)より入手]を接種し、37℃で12時間培養した。培養終了後、培養液から遠心分離により集菌し、水洗し、再度集菌し、この湿菌体を10%濃度に調整した脱脂粉乳の水溶液を使用して、菌体固形分濃度10%の懸濁液を調製した。この懸濁液を、10%水酸化ナトリウム溶液(ナカライテスク社製)によりpHを7.0に調整し、凍結乾燥機(エドワーズ社製)を使用して30℃で15時間凍結乾燥した。この凍結乾燥物を粉砕し、マルツデキストリン(松谷化学工業社製)と重量比1:1の割合で混合し、1g当りに含有されるビフィズス菌生菌数が3×1010個であるビフィズス菌生菌末を製造した。【0058】また、試験例1で使用する乳酸菌生菌末は以下の参考例2と同一の方法により調製した。【0059】参考例2ペプトン(ディフコ社製)1%、酵母エキス(ディフコ社製)2%、グルコ−ス(ディフコ社製)3%、リン酸1水素2ナトリウム(和光純薬工業社製)0.5%、リン酸2水素1ナトリウム(和光純薬工業社製)0.5%を含有する液体培地( pH6.5)にラクトバシラス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)ATCC11842[アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)より入手]を接種し、37℃で12時間培養した。培養終了後、培養液から遠心分離により集菌し、水洗し、再度集菌し、この湿菌体を10%濃度に調整した脱脂粉乳の水溶液を使用して、菌体固形分濃度10%の懸濁液を調製した。この懸濁液を、10%水酸化ナトリウム溶液(ナカライテスク社製)によりpHを7.0に調整し、凍結乾燥機(エドワーズ社製)を使用して30℃で18時間凍結乾燥した。この凍結乾燥物を粉砕し、粉砕物の一部を使用して、粉砕物1g中の乳酸菌の生菌数を混釈培養法により測定し、マルツデキストリン(松谷化学工業社製)の添加量を調整し、1g当りに含有される乳酸菌生菌数が3×1010個である乳酸菌生菌末を製造した。【0060】次に実施例を示して本発明を更に詳記するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。【0061】【実施例】実施例1参考例1で製造されたビフィズス菌生菌末2kgに、グリセリン脂肪酸エステル製剤(理研ビタミン社製)300g、ラクチュロース粉末(森永乳業社製)2kg、マルツデキストリン(松谷化学工業社製)4.7kg、脱脂粉乳(森永乳業社製)850g、アスコルビン酸(第一製薬社製)100g、及びヨーグルトフレーバー(三栄源エフ・エフ・アイ社製)50gの各粉末を添加して均一に混合し、打錠機(畑鉄鋼所社製:HT12SS)を使用して、錠剤1錠当り0.5gとし、12錠/分の打錠速度、3t/m2 の圧力で前記混合粉末を直接連続的に打錠し、ビフィズス菌含有錠剤18000錠(約9kg)を製造した。【0062】得られたビフィズス菌含有錠剤の平均重量は0.5gであり、平均硬度は7.5kg/cm2 であり、打錠直後のビフィズス菌生菌数は錠剤1g当り2.2×109 個であった。【0063】得られた錠剤は、ビフィズス菌生菌を大量に含有しており、25℃で3か月保存後の生残率は98%であり、長期間高い生残性を示し、風味が良好であり、かつ不良品発生率は5%であった。【0064】実施例2参考例1で製造されたビフィズス菌生菌末2.5kgに、グリセリン脂肪酸エステル製剤(理研ビタミン社製)500g、イソマルトオリゴ糖(昭和産業社製)6kg、無水グルコース(日本食品化工社製)800g、アスコルビン酸(第一製薬社製)100g、レモンフレーバー(三栄源エフ・エフ・アイ社製)50g、及びヨーグルトフレーバー(三栄源エフ・エフ・アイ社製)50gの各粉末を添加して均一に混合し、打錠機(畑鉄鋼所社製:HT12SS)を使用して、錠剤1錠当り1.5gとし、10錠/分の打錠速度、2.5t/m2 の圧力で前記混合粉末を直接連続的に打錠し、ビフィズス菌含有錠剤6000錠(約9kg)を製造した。【0065】得られたビフィズス菌含有錠剤の平均重量は1.5gであり、平均硬度は5.2kg/cm2 であり、打錠直後のビフィズス菌生菌数は錠剤1g当り3.0×109 個であった。【0066】得られた錠剤は、ビフィズス菌生菌を大量に含有しており、25℃で3ケ月保存後の生残率は97%であり、長期間高い生残性を示し、風味が良好であり、かつ不良品発生率は3%であった。【0067】実施例3参考例1で製造されたビフィズス菌生菌末4kgに、グリセリン脂肪酸エステル製剤(理研ビタミン社製)200g、ラフィノース(日本甜菜糖社製)3kg、無水グルコース(日本食品化工社製)900g、脱脂粉乳(森永乳業社製)1.8kg、及びミルクフレーバー(三栄源エフ・エフ・アイ社製)100gの各粉末を添加して均一に混合し、打錠機(畑鉄鋼所社製:HT12SS)を使用して、錠剤1錠当り1.5gとし、10錠/分の打錠速度、2.5t/m2 の圧力で前記混合粉末を直接連続的に打錠し、ビフィズス菌含有錠剤6000錠(約9kg)を製造した。【0068】得られたビフィズス菌含有錠剤の平均重量は1.5gであり、平均硬度は5.8kg/cm2 であり、打錠直後のビフィズス菌生菌数は錠剤1g当り5.1×109 個であった。【0069】得られた錠剤は、ビフィズス菌生菌を大量に含有しており、25℃で3ケ月保存後の生残率は97%であり、長期間高い生残性を示し、風味が良好であり、かつ不良品発生率は4%であった。【0070】実施例4参考例1で製造されたビフィズス菌生菌末3.5kgに、グリセリン脂肪酸エステル製剤(理研ビタミン社製)200g、ラクチュロース粉末(森永乳業社製)3kg、ラフィノース(日本甜菜糖社製)2kg、無水グルコース(日本食品化工社製)900g、アスコルビン酸(第一製薬社製)100g、及びオレンジフレーバー(三栄源エフ・エフ・アイ社製)100gの各粉末を添加して均一に混合し、打錠機(畑鉄鋼所社製:HT12SS)を使用して、錠剤1錠当り0.5gとし、12錠/分の打錠速度、3t/m2 の圧力で前記混合粉末を直接連続的に打錠し、ビフィズス菌含有錠剤18000錠(約9kg)を製造した。【0071】得られたビフィズス菌含有錠剤の平均重量は0.5gであり、平均硬度は7.2kg/cm2 であり、打錠直後のビフィズス菌生菌数は錠剤1g当り4.2×109 個であった。【0072】得られた錠剤は、ビフィズス菌生菌を大量に含有しており、25℃で3ケ月保存後の生残率は98%であり、長期間高い生残性を示し、風味が良好であり、かつ不良品発生率は5%であった。【0073】【発明の効果】以上詳述したように、本発明はビフィズス菌含有錠剤及びその製造方法に関するものであり、本発明により奏せられる効果は次のとおりである。1)ビフィズス菌が長期間高い生残性を示すビフィズス菌含有錠剤を製造することができる。2)風味、特に後味が良好なビフィズス菌含有錠剤を製造することができる。3)不良品発生率の低いビフィズス菌含有錠剤を製造することができる。4)ビフィズス菌生菌を大量に含有するビフィズス菌含有錠剤を製造することができる。 錠剤1g当り少なくとも2×109個の割合のビフィズス菌生菌を含有する錠剤であって、ビフィズス菌生菌末を20〜50重量%、グリセリン脂肪酸エステルを2〜5重量%の割合で含有しているビフィズス菌含有錠剤。 錠剤1g当り少なくとも2×109個の割合のビフィズス菌生菌を含有する錠剤であって、錠剤の20〜50重量%の割合のビフィズス菌生菌末に、結合剤として錠剤の2〜5重量%の割合のグリセリン脂肪酸エステルを添加して混合し、得られた混合粉末を直接打錠することを特徴とするビフィズス菌含有錠剤の製造方法。