タイトル: | 特許公報(B2)_ビオチンの溶解方法及びビオチン含有内服液剤 |
出願番号: | 1997228047 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 31/4188,A61K 9/08,A61K 47/16 |
狩野 明 田辺 麻子 尼野 美紀 JP 4193218 特許公報(B2) 20081003 1997228047 19970825 ビオチンの溶解方法及びビオチン含有内服液剤 大正製薬株式会社 000002819 片貝 博典 100146628 北川 富造 100074114 狩野 明 田辺 麻子 尼野 美紀 JP 1996234795 19960905 20081210 A61K 31/4188 20060101AFI20081120BHJP A61K 9/08 20060101ALI20081120BHJP A61K 47/16 20060101ALI20081120BHJP JPA61K31/4188A61K9/08A61K47/16 A61K31/41-31/4188 A61K 9/08 A61K 47/16 JSTPlus(JDreamII) 特開平08−175987(JP,A) 特開平07−076520(JP,A) 6 1998130146 19980519 5 20040722 佐々木 秀次 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ビオチンの溶解方法及びビオチンを含有する内服液剤に関する。【0002】【従来の技術】ビオチンは、ビタミンHとも称され皮膚、毛髪を正常に維持するために必要なビタミンである。一般的なドリンク剤のpH域である酸性域(2〜5)ではビオチンは水に難溶性であり、その溶解には工夫が必要であった。ビオチンを溶解する手法としては、従来、ポリビニルピロリドンを使用する方法(特開平7−76520号)や水酸化アルカリなどを使用して中性〜アルカリ性に調整した後にビオチンを溶解する方法などが知られている。しかし、ポリビニルピロリドンは共存成分と反応して沈殿を生成する場合や、他のビタミンやアミノ酸などの配合成分と反応して成分を低下させる場合がある。また、水酸化アルカリなどを使用する方法は、中性〜アルカリ性でビオチンを溶解しても、内服液剤のpHである酸性域に戻した場合、ビオチンが経時的に析出してしまうことがある(特開平7−76520号)。析出しないまでも、薬効上不必要な成分を添加しなければならないことや調製が煩雑になることなど、必ずしも好ましい方法であるとは言えない。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、製剤上不必要な成分を追加することなく迅速かつ容易に水へビオチンを溶解させる方法及びビオチンを含有する内服液剤を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的について鋭意研究した結果、ビオチンを緩衝能を有するアミノ酸塩の水溶液に別途溶解した場合、所期の目的を達成することを見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明は、緩衝能を有するアミノ酸塩の水溶液にビオチンを溶解することを特徴とするビオチンの溶解方法である。他の本発明は、ビオチンと緩衝能を有するアミノ酸塩を含有し、pHが2〜5の範囲であることを特徴とする内服液剤である。他の本発明は、ビオチン及びビオチンを溶解するための緩衝能を有するアミノ酸塩を含有する内服液剤である。【0005】【発明の実施の形態】本発明における緩衝能を有するアミノ酸塩とは、例えばアスパラギン酸塩を挙げることができる。アスパラギン酸塩としては、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウムの1種又はこれらを組み合わせであり、就中アスパラギン酸マグネシウム・カリウムが好ましい。【0006】本発明のビオチンの溶解方法は、緩衝能を有するアミノ酸類を水に溶解し、次いでビオチンを溶解することにより達成される。また、本発明のビオチン含有内服液剤は、まず前記の如く緩衝能を有するアミノ酸類の水溶液にビオチンを溶解し、別途各種配合成分を溶解した液を調製して、両液を混合後、必要に応じてpHを調整することによって製造される。【0007】ビオチンを溶解するための緩衝能を有するアミノ酸塩の濃度はpHなどにより異なるが、例えばビオチン0.2mgを溶解するためには通常は50〜500mg、好ましくは100〜300mgを水100mlに溶解した水溶液50〜100mlが用いられる。以下、溶解するビオチン量によって緩衝能を有するアミノ酸塩の水溶液の量が決定される。【0008】さらに、本発明の内服液剤には、上記成分の他、通常内服液剤に用いることの可能な配合成分、例えば各種ビタミン(例えばビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンP又はそれらの塩、エステルもしくは誘導体など)、アミノ酸(例えばタウリン、L−アスパラギン酸、L−アルギニン、トリプトファン、リジンなど)、生薬(例えばムイラプアマ、ニンジン、ジオウなど)、カフェイン、ローヤルゼリー、多価アルコール(例えばプロピレングリコールなど)、有機酸(例えばクエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸など)、ミネラル成分(例えばグルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸鉄アンモニウムなど)、香料、保存剤などを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。【0009】【発明の効果】本発明により、ビオチンの溶解のために薬効上不要な成分を追加することなく迅速かつ容易な溶解方法が提供されるとともに、酸性域でも経時的に安定でかつ各種配合成分も補給できるビオチン含有内服液剤が提供された。【0010】【実施例】以下、実施例及び試験例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。実施例1タウリン 2000mgビオチン 200μgアスパラギン酸マグネシウム・カリウム 200mgマルチトール 1500mgビタミンB6 5mgクエン酸(pH調整剤) 適量クエン酸ナトリクム 10mg安息香酸ナトリウム 70mgステビア抽出物 30mg香料 微量精製水 全量100ml(pH3.5)精製水80mlにアスパラギン酸マグネシウム・カリウムを溶解後、撹拌しながらビオチンを添加し溶解した。その後、タウリン、マルチトール、ビタミンB6、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ステビア抽出物、香料の順に添加して溶解したことを確認後、精製水を加え全量を100mlに調整し、クエン酸を添加してpHを3.5に調整することにより、内服液剤を得た。【0011】実施例2タウリン 1000mgビオチン 200μgアスパラギン酸マグネシウム 200mgビタミンB2 5mgソルビトール 2000mgマルチトール 9000mgリンゴ酸 100mgクエン酸(pH調整剤) 適量安息香酸ナトリウム 60mgステビア抽出物 25mg香料 微量精製水 全量100ml(pH2.8)上記各成分について、実施例1と同様な方法により、滋養強壮用内服液剤を得た。【0012】実施例3タウリン 1000mgビオチン 200μgアスパラギン酸マグネシウム・カリウム 200mgビタミンB1硝酸塩 2mgエリスリトール 5000mgリンゴ酸 100mgクエン酸(pH調整剤) 適量ニパブチ 4mgステビア抽出物 15mg精製水 全量100ml(pH4.0)上記各成分について、実施例1と同様な方法により、滋養強壮用内服液剤を得た。【0013】試験例[溶解性試験]▲1▼実施例1について、精製水80mlにアスパラギン酸マグネシウム・カリウム200mgを溶解後、室温下撹拌しながらビオチンを200μg添加したところ、10分後にビオチンの溶解を確認した。これに処方中の他の成分を溶解後精製水で全量を100mlに調整し、次いでクエン酸を添加してpHを3.5に調整した。これを5℃で1週間保存した結果、ビオチンの析出は見られなかった。【0014】▲2▼実施例2について、精製水80mlにアスパラギン酸マグネシウム200mgを溶解後、室温下撹拌しながらビオチン200μgを添加したところ、10分後にビオチンの溶解を確認した。これを▲1▼と同様に調整後5℃で1週間保存した結果、ビオチンの析出は見られなかった。【0015】▲3▼室温において精製水80mlにビオチン200μgを添加して撹拌しながら溶解を試みたところ、60分後に溶解していなかった。【0016】▲4▼80〜90℃に維持した精製水80mlに撹拌しながらビオチン200μgを添加し、溶解を試みたところ、60分後に溶解していなかった。【0017】▲5▼精製水80mlにクエン酸ナトリウム10mgを溶解後、撹拌しながらビオチン200μgを添加し溶解を試みたところ、60分後には溶解していなかった。【0018】▲6▼80〜90℃に維持した精製水80mlにクエン酸ナトリウム10mgを溶解後、撹拌しながらビオチン200μgを添加し溶解を試みたところ、60分後には溶解していなかった。 アスパラギン酸塩の水溶液にビオチンを溶解することを特徴とするビオチンの溶解方法。 アスパラギン酸塩がアスパラギン酸マグネシウム・カリウム、アスパラギン酸マグネシウム及びアスパラギン酸カリウムの1種又は2種以上である請求項1記載の溶解方法。 ビオチン及びアスパラギン酸塩を含有し、pHが2〜5の範囲であることを特徴とする内服液剤。 アスパラギン酸塩の水溶液にビオチンが溶解され、pHが2〜5の範囲であることを特徴とする内服液剤。 ビオチン及びビオチンを溶解するためのアスパラギン酸塩を含有する内服液剤。 アスパラギン酸塩がアスパラギン酸マグネシウム・カリウム、アスパラギン酸マグネシウム及びアスパラギン酸カリウムの1種又は2種以上である請求項3〜5のいずれかに記載の内服液剤。