タイトル: | 特許公報(B2)_鉄配合液剤 |
出願番号: | 1997210324 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 33/26,A61K 9/08,A61K 47/10,A61K 47/12,A61K 47/46,A61K 47/18 |
阪田 泰子 角田 健司 中野 洋 JP 4314640 特許公報(B2) 20090529 1997210324 19970805 鉄配合液剤 大正製薬株式会社 000002819 北川 富造 100074114 阪田 泰子 角田 健司 中野 洋 JP 1996206739 19960806 20090819 A61K 33/26 20060101AFI20090730BHJP A61K 9/08 20060101ALI20090730BHJP A61K 47/10 20060101ALI20090730BHJP A61K 47/12 20060101ALI20090730BHJP A61K 47/46 20060101ALI20090730BHJP A61K 47/18 20060101ALI20090730BHJP JPA61K33/26A61K9/08A61K47/10A61K47/12A61K47/46A61K47/18 A61K 33/26 A61K 9/08 A61K 47/00-47/48 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開平02−072843(JP,A) 特開昭64−023851(JP,A) 特開昭64−023849(JP,A) 特表平01−501041(JP,A) FREE RADIC. RES.,1994年,20(4),P.253-266 BIOCHEM. PHARMACOL.,1992年,43(11),P.2393-2400 PLANTA MED.,1994年,60(3),P.282 MOL. CELL. BIOCHEM.,1994年,137(1),P.1-8 8 1998101570 19980421 6 20040722 大久保 元浩 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、鉄成分を含有する内服液剤の風味の悪化による品質低下及び服用感を改善した液剤に関する。【0002】【従来の技術】鉄成分を含有する液剤を温度調節ができない室内に一定期間保管した場合、夏季には常温より高温に、冬季には常温より低温になることから、経時的な熱変化を受け品質及び服用感の低下を生じる。経時的な変化としては、水溶液中での鉄成分及びその他の成分の安定性及び味などの性状の変化が挙げられる。特に、鉄マスキング味の変化が著しく、製造直後から3ヶ月間まではマスキングできていたものが、6ヶ月以降になると鉄味が感じられ服用するのに違和感を感じるようになる。1年以上になると鉄味が強くなり、更に2年以上保管した状態では、鉄味が非常に強くなり服用に抵抗感を感じ、品質上の低下が著しくなる。【0003】鉄成分を含有する液剤の風味の改善法としては、アルコール成分を0.1重量%以上添加する方法(特開平4−27369号公報)や、少なくとも0.1%の果実ジュースもしくはコーラ風味料又は少なくとも3重量%の果実ジュース(グレープジュース、ナシジュース、パッションフルーツ、パイナップルジュース、バナナジュースもしくはバナナピューレ、アプリコットジュース、オレンジジュース、レモンジュース、グレープフルーツジュース、リンゴジュース、グランベリージュース、トマトジュース、タンジリンジュース又はそれらの混合物)を添加する方法(特開昭64−86858号公報、特開平2−72843号公報)などが報告されている。しかし、従来の方法では長期的に良好な風味の維持が十分ではなかった。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、鉄成分を含有する内服液剤の経時的な熱変化を抑え、長期的に品質が安定で服用感が良好な液剤を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題を解決すべく種々のマスキング効果剤について鋭意研究を実施した。その結果、鉄成分を含有する液剤中に前記従来技術に記載のジュースには含まれないオイゲノール含有成分を配合することにより、又は更にL型アミノ酸塩及びグルコン酸塩を配合することにより、鉄味のマスキングができることを見いだし、本発明を完成した。【0006】すなわち、本発明は、鉄成分及びオイゲノール含有成分からなる鉄配合液剤である。また、他の本発明は、鉄成分、オイゲノール含有成分、並びにL型アミノ酸塩及びグルコン酸塩の少なくとも1種からなる鉄配合液剤である。【0007】【発明の実施の形態】本発明において、鉄成分とはクエン酸鉄アンモニウム、クエン酸第一鉄ナトリウムなどであり、これらを1種又は2種配合することができる。鉄成分の配合量は、液剤中に0.0005〜0.1W/V%、好ましくは0.001〜0.08W/V%である。鉄の含有量が0.0005W/V未満では鉄成分を配合することによる効果が弱くなり、0.1W/V以上では鉄味のマスキングが充分に行えなくなる。【0008】オイゲノール含有成分としてはバナナ香料などを挙げることができる。オイゲノール含有成分は、液剤中に0.001〜10W/V%、好ましくは0.005〜1.0W/V%配合させるのがよい。L型アミノ酸としては、L−アスパラギン酸、グルタミン酸などを挙げることができる。L型アミノ酸及びグルコン酸の塩としては、2価の金属イオン、例えばカルシウム、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガンなどを挙げることができる。これらの中で、L型アミノ酸塩としてはL−アスパラギン酸マグネシウムが、グルコン酸塩としてはグルコン酸カルシウムが最も好ましい。L型アミノ酸塩は、液剤中にL型アミノ酸として0.02〜3.0V/W%、好ましくは0.1〜1.0V/W%配合させるのがよく、グルコン酸塩は、液剤中にグルコン酸として0.02〜2.0V/W%、好ましくは0.05〜0.5V/W%配合させるのがよい。【0009】なお、本発明においては、鉄味のマスキングをより効果的にするために、鉄成分を含有する液剤にオイゲノール含有成分、L型アミノ酸塩及びグルコン酸塩の3種を配合することがさらに好ましい。【0010】3種を配合する場合の本発明の液剤は、例えば鉄成分を溶媒に溶解後、その溶液にL型アミノ酸塩を添加し、加熱したグルコン酸塩水溶液を添加する方法により製造することができる。また、オイゲノール含有するバナナ香料を添加する場合は、L型アミノ酸に続き添加するのが好ましい。本発明の液剤には、上記必須成分の他、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば、賦形剤、抗酸化剤、界面活性剤などを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。【0011】賦形剤としては、例えばエリスリトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、ブドウ糖、白糖、果糖、乳糖、ステビアなどが挙げられる。抗酸化剤としては、例えばジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、α−トコフェロール、クエン酸等が挙げられる。【0012】界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。さらに、本発明においては、必要に応じて他の生理活性成分、ホルモン、栄養成分、香料等を混合することにより、嗜好性をもたせることもできる。【0013】【発明の効果】本発明により、保存時の温度変化や経時的な変化によって生じる鉄味風味変化の悪化度を最小限にとどめ、品質上、製造時と同程度または近い風味に保った嗜好性の高い鉄含有液剤を提供することが可能となった。従って、滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病中病後・胃腸障害(虚弱)・食欲不振・血色不良・冷え症・栄養障害・発熱性消耗性疾患・妊娠授乳期などの場合の栄養補給に対し予防的又は治療的に用いる場合に有用である。【0014】【実施例】以下に実施例及び試験例をあげ、本発明を具体的に説明する。【0015】実施例1〜3及び比較例【0016】【表1】【0017】上記薬剤とステビア15mg、果糖・ブドウ糖混合液6g、安息香酸0.03g、クエン酸0.2g及び蒸留水を混合し、50ml液剤とした。【0018】試験例[試験方法](1) パネル:22〜35歳の健常者10名(内訳として男3名,女7名)を用いた。(2) 比較例で製造した液剤を、常温にて3年間放置した経変品の鉄味風味変化の悪化度を基準として、同処方液剤を65℃で保存したところ、3日間放置すると前記基準と同等の鉄味風味変化の悪化度が得られたため、試験方法として65℃3日間での検討とした。実施例1〜3及び比較例で製造した液剤を、温度65℃に保った恒温暗室に3日間放置したのち、パネルに各々10ml飲ませ、パネルが感じた鉄味の程度で評価した。なお、評価基準は下記5段階とした。[試験結果]結果を表2に示した。以上の結果より、オイゲノールを含有する成分(バナナフレーバー)を添加することにより鉄味風味変化の悪化を軽減することができること、また、L型アミノ酸塩及びグルコン酸塩を配合するとさらにその効果が得られることが明らかとなった(P<0.05)。【0019】【表2】 クエン酸鉄アンモニウム及びバナナフレーバーを配合してなる鉄配合液剤。 クエン酸鉄アンモニウム、バナナフレーバー、並びにL型アミノ酸塩及びグルコン酸塩の少なくとも1種を配合してなる鉄配合液剤。 クエン酸鉄アンモニウムが、液剤中に鉄量として0.0005〜0.1W/V%含有する請求項1〜2のいずれかに記載の鉄配合液剤。 バナナフレーバーが、液剤中に0.001〜10W/V%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の鉄配合液剤。 L型アミノ酸塩のL型アミノ酸が、L−アスパラギン酸及びグルタミン酸の少なくとも1種である請求項2〜4のいずれかに記載の鉄配合液剤。 L型アミノ酸塩及びグルコン酸塩が、それぞれカルシウム、マグネシウム、銅、亜鉛又はマンガンとの塩である請求項2〜5のいずれかに記載の鉄配合液剤。 L型アミノ酸塩が、液剤中にL型アミノ酸として0.02〜3.0V/W%含有する請求項2〜6のいずれかに記載の鉄配合液剤。 グルコン酸塩が、液剤中にグルコン酸として0.02〜2.0V/W%含有する請求項2〜7のいずれかに記載の鉄配合液剤。