生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_液状物の精製方法
出願番号:1997209055
年次:2005
IPC分類:7,B01D21/01,A23L1/238,C02F11/14,C12G3/02,C12H1/02


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門脇 利夫 仲原 貴生 松浦 泉 JP 3691639 特許公報(B2) 20050624 1997209055 19970804 液状物の精製方法 大塚化学ホールディングス株式会社 000206901 目次 誠 100095382 宮▲崎▼主税 100086597 門脇 利夫 仲原 貴生 松浦 泉 20050907 7 B01D21/01 A23L1/238 C02F11/14 C12G3/02 C12H1/02 JP B01D21/01 109 B01D21/01 110 A23L1/238 104C C02F11/14 E C12G3/02 119U C12H1/02 7 B01D 21/01 A23L 1/238 C02F 11/14 C12G 3/02 C12H 1/02 特開平08−322547(JP,A) 特開平02−218494(JP,A) 特開昭48−088079(JP,A) 特開昭51−120050(JP,A) 特開平06−099008(JP,A) 3 1999047509 19990223 8 20020222 富永 正史 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、不純物を含有する液状物から不純物を除去する液状物の精製方法に関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】今日、醸造等の食品製造工程や薬品製造工程、汚泥処理工程等において、蛋白質等の不純物を凝集させ除去するためのより効率的な液状物の精製方法が求められている。従来、不純物が蛋白質を主体とするものである場合、凝集効率に優れる方法として、シリカゾルを用いる方法が知られている。例えば、清酒のオリ下げ工程においては、酵素等に由来する蛋白質を除去する方法としてシリカゾルを用いる方法が知られている(特公昭59−33351号公報等)。また、シリカゾルとともにゼラチン等の蛋白質を併用してさらに凝集沈降を促進させる方法も普及している。【0003】しかしながら、シリカゾルを用いてオリ下げした場合、そのオリの粒子には微細なものが多く、濾過に時間がかかったり、無理な濾過をすると濾過漏れを生じる等の問題を生じた。【0004】本発明の目的は、オリの粒子を大型化し、これによって濾過効率を向上させることができる液状物の精製方法を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、シリカゾルを用いた液状物の精製において、シリカゾルとともにアルギン酸ソーダを用いることにより、オリ(凝集物)の粒子を大型化させることができ、濾過効率を向上させ得ることを見出し、本発明を完成するに至った。【0006】すなわち、本発明は、不純物を含有する液状物に、シリカゾル及びアルギン酸ソーダを添加し、生じたオリを除去することを特徴とする液状物の精製方法である。【0007】本発明において用いられるアルギン酸ソーダは特に限定されるものではないが、1重量%水溶液の粘度(測定温度20℃)が10cp以上であることが好ましく、さらに好ましくは30〜1500cpであり、さらに好ましくは70cp以上であり、最も好ましくは70〜800cpのものが用いられる。このような粘度範囲のアルギン酸ソーダを用いれば、オリのフロックが強固で、粒子が崩れにくく、オリの粒子が大きくなり易いので好ましい。【0008】本発明において用いられるシリカゾルは、特に限定されるものではなく、広く一般のシリカゾルを用いることができる。通常、シリカ含有量15〜45重量%程度のシリカゾルが好ましい。市販品としては、コポロック300及び306(大塚化学株式会社製、シリカ含有量30重量%)等が特に好ましく用いられる。また、一般にコロイダルシリカは負電荷を帯びているが、正電荷を有する微細な金属化合物で被覆することによりコロイダルシリカに正電荷を付与したシリカゾルを用いてもよい。このような正電荷シリカゾルの市販品としては、コポロック25P(大塚化学株式会社製、シリカ含有量25重量%)等を用いることができる。【0009】シリカゾルの使用量としては、シリカ含有量30重量%のシリカゾルの場合、通常、液状物1キロリットルに対して、100〜3000ミリリットル程度が好ましく、さらに好ましくは300〜2000ミリリットル程度である。また、シリカ含有量が20重量%のシリカゾルの場合には、300〜3000ミリリットル程度使用するのが好ましい。【0010】アルギン酸ソーダの使用量としては、液状物1キロリットルに対して1〜200gが好ましく、さらに好ましくは5〜80gである。本発明において、シリカゾル及びアルギン酸ソーダの添加順序は特に限定されるものではないが、好ましくはシリカゾルとアルギン酸ソーダをほぼ同時に添加する。【0011】本発明においては、シリカゾル及びアルギン酸ソーダとともに、セルロースを添加してもよい。このようなセルロースは凝集工程におけるオリの芯剤となり、フロック剤として作用する。従って、オリの粒子の大型化を促進させることができる。このようなセルロースとしては、特に限定されるものではないが、平均繊維径が1〜100μmのものが好ましく、より好ましくは5〜50μmのものが用いられる。また、平均繊維長は10〜2000μmのものが好ましく、さらに好ましくは15〜1000μmのものが用いられる。【0012】セルロースの使用量としては、液状物1キロリットルに対して5〜500gが好ましく、さらに好ましくは10〜200gである。本発明においては、シリカゾル及びアルギン酸ソーダと、活性炭とを用いてもよい。活性炭の添加順序は特に限定されるものではないが、好ましくは、シリカゾル及びアルギン酸ソーダを添加する前に、液状物に添加される。一般に、活性炭は非常に細かいため、活性炭を用いると濾過工程において目詰まりを生じ易い。本発明によれば、シリカゾルとアルギン酸ソーダを用いることにより、オリの粒子を大きくすることができるので、活性炭による目詰まりを低減し、濾過効率を向上させることができる。【0013】また、本発明においては、シリカゾル及びアルギン酸ソーダとともに、ゼラチンを用いてもよい。用いるゼラチンは特に限定されるものではないが、重量平均分子量が8万〜20万程度であり、ゼリー強度が70〜240ブルームのものが好ましい。ゼラチンの添加順序は特に限定されるものではないが、好ましくはシリカゾル及びアルギン酸ソーダとほぼ同時に添加される。【0014】ゼラチンの使用量としては、液状物1キロリットルに対して1〜150gが好ましく、さらに好ましくは5〜100gである。また、本発明において、本発明の効果を損なわない範囲で、ペプタイド(ゼラチン酵素分解物)、小麦蛋白質等の蛋白質、カラギーナン、キトサンなどの多糖類、柿渋、タンニン酸などのタンニン類、ポリアクリル酸ソーダなどのゲル化剤、ベントナント、酸性白土、タルク、ゼオライト、シリカゲル、PVPP(ポリビニルポリピロリドン)などの吸着剤や、ケイソウ土、セルロースなどの濾過助剤等の1種または2種以上を併用してもよい。【0015】本発明の液状物の精製方法は、清酒、味醂、ワイン、ビール、食酢、醤油、魚醤、果汁等の、蛋白質を不純物の主体として含有する液状物の製造工程における、原料調製、精製、廃液処理に至るまでの様々な工程で適用することができる。また、これらの食品製造工程のみならず、薬品製造工程や汚泥処理工程等における不純物の除去工程に適用することができる。【0016】本発明の精製方法によれば、凝集物としてのオリの粒子を大型化させることができ、濾過工程における目詰まり等を抑制し、濾過効率を向上させることができる。【0017】【実施例】以下、本発明に従う具体的な実施例を示し本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。【0018】実施例1〜2及び比較例1清酒(火入酒)をそれぞれ100mlのメスシリンダーに入れた後、表1に示す添加量となるように、シリカゾル及びアルギン酸ソーダまたはゼラチンを添加した。シリカゾルとしては、大塚化学株式会社製、商品名「コポロック300」(シリカ(SiO2 )含有量30重量%)を用い、アルギン酸ソーダとしては、君津化学株式会社製、商品番号「I−1F」(1重量%水溶液の粘度:100cp)を用い、ゼラチンとしては、宮城化学株式会社製、商品名「ゼラチンAU」(重量平均分子量:約20万)、ゼリー強度:160ブルーム)を用いた。【0019】シリカゾル及びアルギン酸ソーダまたはゼラチンを添加し、攪拌した後、24時間後の上澄液の濁度を測定した。測定結果を表1に示す。その後、メスシリンダー中の清酒及び凝集物を100mlのビーカーに入れ、マグネットスターラー(株式会社井内盛栄堂、商品名「HS−3D」)を用いて5分間攪拌した後、アドバンテック東洋株式会社製の濾紙No.6(3ミクロン、直径18.5cm)を用いて16ひだ折濾紙とし、この濾紙を用いて濾過した。濾液の回収量を経時的に測定するとともに、20分後の濾液の濁度を測定した。測定結果を表1に示す。【0020】なお、濁度は、日本電色株式会社製、NDH−20D型濁度計で測定した。【0021】【表1】【0022】上記実施例及び比較例で使用した濾紙は、通常清酒の濾過に用いられているのと同様の3ミクロンの濾紙である。比較例1においては、オリ(凝集物)が攪拌により破壊され微細になったため、このような濾紙を通過し濾液の濁度が高くなっていることがわかる。【0023】これに対し、実施例1においては、濾過漏れがなく、濾液の清澄性が良好であることがわかる。実施例2においても、実施例1と同様に、濾過漏れがなく、しかも濾液の回収量が多く、良好な濾過効率が得られていることがわかる。【0024】実施例3〜6上記実施例と同様の清酒に、活性炭(商品名「特撰白鷺」、武田薬品株式会社製)を500g/klの割合となるように添加した後、それぞれ100mlのメスシリンダーに入れ、シリカゾル及びアルギン酸ソーダ並びにセルロースまたはゼラチンを表2に示す添加量となるように添加した。シリカゾル、アルギン酸ソーダ及びゼラチンは、上記実施例1〜2と同様のものを用いた。セルロースは、ドイツ・レッテンマイヤー社製の商品名「アーボセルBC−200」(平均繊維径20μm、平均繊維長300μm)を用いた。これらを添加し攪拌した後、24時間後の上澄液の濁度を測定し、測定結果を表2に示した。【0025】その後、メスシリンダー中の清酒及び凝集物を100mlのビーカーに入れ、上記実施例1〜2と同様にスターラーを用いて5分間攪拌した後、上記実施例1〜2と同様の濾紙を用いて濾過し、上記実施例1〜2と同様に、濾液の回収量を経時的に測定するとともに、20分後の濾液の濁度を測定した。測定結果を表2に示す。【0026】【表2】【0027】表2から明らかなように、本発明に従いシリカゾルとアルギン酸ソーダを併用して用いた実施例3においては、オリの濾過漏れがなく、濾液の清澄性が高いことがわかる。また、セルロースを併用した実施例4及びゼラチンを併用した実施例5においては、濾液の清澄性がさらに良好であり、濾液回収量も多くなり良好な濾過効率が得られていることがわかる。さらに、セルロース及びゼラチンを併用した実施例6では、濾液回収量がさらに多くなっており、さらに良好な濾過効率が得られていることがわかる。【0028】【発明の効果】本発明によれば、オリの粒子を大型化させることができ、濾過漏れを生じることなく、濾過効率を向上させることができる。また、シリカゾル及びアルギン酸ソーダとともに、セルロースまたはゼラチンを併用させることにより、濾過性能をさらに向上させることができる。 不純物を含有する液状物に、シリカゾル及びアルギン酸ソーダを添加し、生じたオリを除去することを特徴とする液状物の精製方法。 不純物を含有する液状物に、シリカゾル、アルギン酸ソーダ及びセルロースを添加し、生じたオリを除去することを特徴とする液状物の精製方法。 不純物を含有する液状物に、シリカゾル、アルギン酸ソーダ及び活性炭を添加し、生じたオリを除去することを特徴とする液状物の精製方法。


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