タイトル: | 特許公報(B2)_ビオチンの溶解方法及び内服液剤 |
出願番号: | 1997187904 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 31/4188,A61K 9/08,A61K 47/12,A61K 47/22,A61K 47/18 |
三隅 佳明 沼尾 眞理子 JP 4134358 特許公報(B2) 20080613 1997187904 19970714 ビオチンの溶解方法及び内服液剤 大正製薬株式会社 000002819 北川 富造 100074114 三隅 佳明 沼尾 眞理子 20080820 A61K 31/4188 20060101AFI20080731BHJP A61K 9/08 20060101ALI20080731BHJP A61K 47/12 20060101ALI20080731BHJP A61K 47/22 20060101ALI20080731BHJP A61K 47/18 20060101ALI20080731BHJP JPA61K31/4188A61K9/08A61K47/12A61K47/22A61K47/18 A61K 31/33-33/44 A61K 9/00- 9/72 A61K 47/00-47/48 特開平07−076520(JP,A) 特開平05−146253(JP,A) 特開平09−059161(JP,A) 第十二改正 日本薬局方解説書,日本,廣川書店,1993年12月13日,C−127〜C−129頁 THE MERCK INDEX,米国,MERCK & CO.,INC.,1989年,11版,1357頁 THE MERCK INDEX,米国,MERCK & CO.,INC.,1989年,11版,192頁 医薬品添加物事典,日本,株式会社薬事日報社,1994年 1月14日,第1版,3〜4頁 6 1999029474 19990202 6 20040527 荒木 英則 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ビオチンの溶解方法及びビオチンを含有する内服液剤に関する。【0002】【従来の技術】ビオチンは、ビタミンHとも称され皮膚、毛髪を正常に維持するために必要なビタミンである。一般的なドリンク剤のpH域である酸性域(2〜5)ではビオチンは水に難溶性であり、その溶解には工夫が必要であった。ビオチンを溶解する手法としては、従来、ポリビニルピロリドンを使用する方法(特開平7−76520号)や水酸化アルカリなどを使用して中性〜アルカリ性に調整した後にビオチンを溶解する方法などが知られている。しかし、ポリビニルピロリドンは共存成分と反応して沈殿を生成する場合や、他のビタミンやアミノ酸などの配合成分と反応して成分を低下させる場合がある。また、水酸化アルカリなどを使用する方法は、中性〜アルカリ性でビオチンを溶解しても、内服液剤のpHである酸性域に戻した場合、ビオチンが経時的に析出してしまうことがある(特開平7−76520号)。析出しないまでも、薬効上不必要な成分を添加しなければならないことや調製が煩雑になることなど、必ずしも好ましい方法であるとは言えない。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、製剤上不必要な成分を追加することなく迅速かつ容易に水へビオチンを溶解させる方法及びビオチンを含有する内服液剤を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的について鋭意研究した結果、ビオチンを安息香酸塩、カフェイン、アスパラギン酸塩などの水溶液に溶解した場合、所期の目的を達成することを見いだし、本発明を完成した。かくして、本発明は、(1) 安息香酸塩の水溶液にビオチンを溶解することを特徴とするビオチンの溶解方法、(2) 安息香酸塩及びカフェインを溶解させた水溶液にビオチンを溶解することを特徴とするビオチンの溶解方法、(3) 安息香酸塩、カフェイン及びアスパラギン酸塩を溶解させた水溶液にビオチンを溶解することを特徴とするビオチンの溶解方法、(4) 安息香酸塩の水溶液にビオチンが溶解され、pHが2〜5の範囲であることを特徴とする内服液剤、(5) 安息香酸塩及びカフェインの水溶液にビオチンが溶解され、pHが2〜5の範囲であることを特徴とする内服液剤、(6) 安息香酸塩、カフェイン及びアスパラギン酸塩の水溶液にビオチンが溶解されpHが2〜5の範囲であることを特徴とする内服液剤、(7) ビオチン及びビオチンを溶解するための安息香酸塩を含有する内服液剤、(8) ビオチン並びにビオチンを溶解するための安息香酸塩及びカフェインを含有する内服液剤、(9) ビオチン並びにビオチンを溶解するための安息香酸塩、カフェイン及びアスパラギン酸塩を含有する内服液剤である。【0005】【発明の実施の形態】本発明における安息香酸塩とは、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウムなどを挙げることができるが、好ましくは安息香酸ナトリウムである。アスパラギン酸塩とは、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウムの1種又はこれらを組み合わせであり、就中アスパラギン酸マグネシウム・カリウムが好ましい。【0006】本発明においてビオチンの溶解は、まず安息香酸塩(及びカフェイン、アスパラギン酸塩)を水に溶解し、次いでこの溶液にビオチンを溶解することにより達成される。また、本発明のビオチン含有内服液剤は、まず前記の如く安息香酸塩(及びカフェイン、アスパラギン酸塩)の水溶液にビオチンを溶解し、別途各種配合成分を溶解した液を調製して、両液を混合後、必要に応じてpHを調整することによって製造される。【0007】ビオチンを溶解するための安息香酸塩の水溶液は、例えばビオチン0.2mgを溶解するためには通常安息香酸塩5〜200mg、好ましくは10〜80mgを水100mlに溶解した水溶液50〜100mlが用いられる。以下、溶解するビオチン量によって安息香酸塩の水溶液の量が決定される。【0008】カフェインの添加量は、安息香酸塩1重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。アスパラギン酸塩の添加量は、安息香酸塩1重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。【0009】本発明において、pHの調整剤としては、例えば、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、リン酸及びそれらの塩などを用いることができる。【0010】さらに、本発明の内服液剤には、上記成分の他、通常内服液剤に用いることの可能な配合成分、例えば各種ビタミン、アミノ酸、生薬、ローヤルゼリー、多価アルコール、有機酸、ミネラル成分、香料、保存剤などを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。【0011】【発明の効果】本発明により、ビオチンの溶解のために薬効上不要な成分を追加することなく迅速かつ容易な溶解方法が提供されるとともに、酸性域でも経時的に安定でかつ各種配合成分も補給できるビオチン含有内服液剤が提供された。【0012】【実施例】以下、実施例及び試験例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。実施例1タウリン 2000mgビオチン 200μgマルチトール 1500mgビタミンB6 5mgクエン酸(pH調整剤) 適量安息香酸ナトリウム 70mgステビア抽出物 30mg香料 微量精製水 全量100ml(pH3.5)精製水60mlに安息香酸ナトリウムを加え溶解後、撹拌しながらビオチンを添加し溶解した。その後、タウリン、マルチトール、ビタミンB6、ステビア抽出物、香料の順に添加し溶解確認後、クエン酸を加えpH3.5にし精製水を加え全量を100mlにして、内服液剤を得た。【0013】実施例2タウリン 1000mgビオチン 200μgビタミンB2 5mgカフェイン 50mgソルビトール 2000mgマルチトール 9000mgクエン酸(pH調整剤) 適量リンゴ酸 100mg安息香酸ナトリウム 60mgステビア抽出物 25mg香料 微量精製水 全量100ml(pH2.8)精製水60mlに安息香酸ナトリウムとカフェインを溶解後、撹拌しながらビオチンを添加し溶解した。その後、タウリン、ビタミンB2、ソルビトール、マルチトール、リンゴ酸、ステビア抽出物、香料を加え溶解確認後、クエン酸を加えpH2.8に調整し、精製水を加え全量を100mlにして、内服液剤を得た。【0014】実施例3タウリン 1000mgビオチン 300μgアスパラギン酸マグネシウム・カリウム 200mgビタミンB1硝酸塩 2mgカフェイン 50mgエリスリトール 5000mgクエン酸(pH調整剤) 適量リンゴ酸 100mgニパブチ 4mg安息香酸ナトリウム 60mgステビア抽出物 15mg精製水 全量100ml(pH4.0)精製水60mlに安息香酸ナトリウム、カフェイン、アスパラギン酸マグネシウム・カリウムを溶解後、撹拌しながらビオチンを添加し溶解した。その後、タウリン、ビタミンB1硝酸塩、エリスリトール、リンゴ酸、ニパブチ、ステビア抽出物を添加し溶解確認後、クエン酸を加えpH4.0に調整し、精製水を加え全量を100mlとして、内服液剤を得た。【0015】試験例[溶解性試験]▲1▼実施例1について、精製水60mlに安息香酸ナトリウムを加え溶解後、室温下撹拌しながらビオチンを200μg添加したところ、ビオチン添加後9分後にその溶解を確認した。この溶液に他の処方成分を入れるとともにpHを調整し、全量を100mlとした。これを5℃と40℃で保管したが、6ヶ月経ってもビオチンの析出は見られなかった。【0016】▲2▼実施例2について、精製水60mlに安息香酸ナトリウム60mg及びカフェイン50mgを加え溶解後、室温下撹拌しながらビオチンを200μg添加したところ、ビオチン添加後7分後にその溶解を確認した。この溶液に他の処方成分を入れるとともにpHを調整し、全量を100mlとした。これを5℃と40℃で保管したが、6ヶ月経ってもビオチンの析出は見られなかった。【0017】▲3▼実施例3について、精製水60mlに安息香酸ナトリウム60mg及びカフェイン50mg及びアスパラギン酸マグネシウム・カリウム200mgを加え溶解後、室温下撹拌しながらビオチン300μg添加したところ、ビオチン添加後6分後にその溶解を確認した。この溶液に他の処方成分を入れるとともにpHを調整し、全量を100mlとした。これを5℃と40℃で保管したが、6ヶ月経ってもビオチンの析出は見られなかった。【0018】▲4▼室温において精製水60mlに撹拌しながらビオチン200μgを添加して溶解を試みたところ、60分後に溶解していなかった。【0019】▲5▼80〜90℃に維持した精製水100mlに撹拌しながらビオチン200μgを添加し、溶解を試みたところ、60分後に溶解していなかった。 安息香酸塩及びカフェインを水に配合して水溶液とした後に、該水溶液にビオチンを溶解することを特徴とするビオチンの溶解方法。 安息香酸塩、カフェイン及びアスパラギン酸塩を水に配合して水溶液とした後に、該水溶液にビオチンを溶解することを特徴とするビオチンの溶解方法。 安息香酸塩が安息香酸ナトリウムである請求項1又は2に記載のビオチンの溶解方法。 安息香酸塩及びカフェインを水に配合して水溶液とした後に、該水溶液にビオチンが溶解され、pHを2〜5の範囲に調整することを特徴とする内服液剤の製造方法。 安息香酸塩、カフェイン及びアスパラギン酸塩を水に配合して水溶液とした後に、該水溶液にビオチンが溶解され、pHを2〜5の範囲に調整することを特徴とする内服液剤の製造方法。 安息香酸塩が安息香酸ナトリウムである請求項4又は5に記載のビオチンの内服液剤の製造方法。