生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ビタミンB1類を配合した液剤
出願番号:1997158712
年次:2009
IPC分類:A61K 31/51,A61K 9/08,A61K 47/02,A61K 47/12,A61K 47/20,A61P 3/02


特許情報キャッシュ

佐々木 雄一 狩野 明 中島 俊明 伊藤 裕二 JP 4228403 特許公報(B2) 20081212 1997158712 19970616 ビタミンB1類を配合した液剤 大正製薬株式会社 000002819 北川 富造 100074114 佐々木 雄一 狩野 明 中島 俊明 伊藤 裕二 JP 1996159918 19960620 20090225 A61K 31/51 20060101AFI20090205BHJP A61K 9/08 20060101ALI20090205BHJP A61K 47/02 20060101ALI20090205BHJP A61K 47/12 20060101ALI20090205BHJP A61K 47/20 20060101ALI20090205BHJP A61P 3/02 20060101ALI20090205BHJP JPA61K31/51A61K9/08A61K47/02A61K47/12A61K47/20A61P3/02 105 A61K 31/00-33/44 A61K 9/00- 9/72 A61K 47/00-47/48 A61P 3/02 JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) 特開平08−143459(JP,A) 特公昭42−001396(JP,B1) 特開昭54−079291(JP,A) 特開平06−209979(JP,A) 特開平07−095867(JP,A) 特開平08−283148(JP,A) 6 1998067659 19980310 11 20040603 當麻 博文 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ビタミンB1類が安定化された液剤に関する。【0002】【従来の技術】ビタミンB1類は、様々な薬効が知られており、医薬品、食品に広く配合されている。しかし、ビタミンB1類の液剤中での安定性は必ずしも満足できるものではない。そのため、ビタミンB1類を液剤に配合するには、必要配合量よりも過剰量のビタミンB1類を配合する必要がある。ここで、製品化後のビタミンB1類の残存率が数%でも向上すれば、液剤の品質保持の点で非常に有効である。しかし、現在までビタミンB1類の安定性向上のための有効かつ簡便な方法は知られていない。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、液剤中でのビタミンB1類の安定性を向上させることを目的とする。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究した結果、ビタミンB1類を配合した液剤に塩化物イオンとなり得る化合物を同時に配合すると、ビタミンB1類の安定性が向上する事を見出した。また、さらにタウリン(アミノエチルスルホン酸)を配合すると、ビタミンB1類の安定性が一層向上することも同時に見出し本発明を完成した。【0005】すなわち本発明は、ビタミンB1類および1〜300mMの塩化物イオンを配合したことを特徴とする液剤である。【0006】【発明の実施の形態】本発明において、ビタミンB1類とはチアミン、チアミンのエステル、その他のチアミン誘導体などであり、それらの塩についても包含する。具体的にはチアミン、フルスルチアミン、ビスベンチアミン、ベンホチアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、チアミンプロピルジスルフィド、チアミンヒドロキシエチルテトラヒドロフルフリルジスルフィド、チアミン−8−(メチル−6−アセチルジヒドロチオクテート)ジスルフィド、チアミンエチルジスルフィドなどがあげられる。本発明では特にチアミンおよびフルスルチアミンの安定性向上に有効である。ビタミンB1類の配合量は、液剤全体の0.0002〜0.03W/V%が好ましい。【0007】塩化物イオンの配合量は、塩化物イオンの濃度で1〜300mMであるが、好ましくは10〜300mMであり、さらに好ましくは10〜100mMである。【0008】塩化物イオンの好ましい配合量は、ビタミンB1類0.001W/V%に対して塩化物イオンが1.6〜50mMとなる量であるが、さらに好ましくは4〜40mMとなる量である。また、ビタミンB1類の安定性をさらに向上させるために配合するタウリンの配合量は0.02〜4.0W/V%が好ましい。【0009】本発明の液剤は、pH2.0〜6.0、好ましくは2.6〜4.7の範囲が、ビタミンB1類の安定性の点でさらに好ましい。【0010】本発明の液剤は有機酸を同時に配合すると風味の点で好ましい。そのときの有機酸としてはクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、アジピン酸、グルタミン酸、フマル酸などをあげることができる。【0011】また、服用感の改善のために甘味剤を加えることもできる。甘味剤としては、砂糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、異性化糖、トレハロース、パラチノース、マルチトール、ソルビトール、パラチニット、エリスリトール、キシリトール、ステビア、モネリン、ソーマチンなどがあげられる。【0012】本発明の液剤には、上記成分の他、通常液剤に用いることの可能な成分、例えば各種ビタミン(ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンPなど)、アミノ酸(L−アスパラギン酸、L−アルギニン、トリプトファン、リジンなど)、生薬(ムイラプアマ、ニンジン、ジオウなど)、カフェイン、ローヤルゼリー、多価アルコール(プロピレングリコールなど)、香料、保存剤などを配合することができ、液剤製造の常法により製造することができる。また、内服、注射、外用などどのような投与形態にも使用可能である。【0013】【発明の効果】本発明により、液剤中でのビタミンB1類の安定性を向上させることが可能となった。【0014】【実施例】以下、実施例および試験例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。なお、試験例でのビタミンB1残存率はHPLCを用いた常法により測定した。【0015】実施例1ビタミンB1硝酸塩 3mgビタミンB2 3mgビタミンB6 3mgニコチン酸アミド 10mgタウリン 750mgグルコン酸カルシウム 450mgアスパラギン酸マグネシウム 100mg塩化カリウム 20mg砂糖 8000mg安息香酸ナトリウム 32mg香料 微量精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH2.8に調節して、内服液剤を得た。【0016】実施例2ビタミンB1硝酸塩 3mgビタミンB2 3mgビタミンB6 3mgニコチン酸アミド 10mgタウリン 750mgグルコン酸カルシウム 450mgアスパラギン酸マグネシウム 100mg塩化マグネシウム 60mg砂糖 8000mg安息香酸ナトリウム 32mg香料 微量精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH2.8に調節して内服液剤を得た。【0017】実施例3ビタミンB1硝酸塩 3mgビタミンB2 3mgビタミンB6 3mgニコチン酸アミド 10mgタウリン 750mgグルコン酸カルシウム 450mgアスパラギン酸マグネシウム 100mg塩化カルシウム 150mg砂糖 8000mg安息香酸ナトリウム 32mg香料 微量精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH2.8に調節して内服液剤を得た。【0018】実施例4ビタミンB1硝酸塩 3mgビタミンB2 3mgビタミンB6 3mgニコチン酸アミド 10mgタウリン 750mg塩化カルシウム 150mgアスパラギン酸マグネシウム 100mg砂糖 8000mg安息香酸ナトリウム 32mg香料 微量精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH2.8に調節して内服液剤を得た。【0019】実施例5ビタミンB1硝酸塩 3mgビタミンB2 3mgビタミンB6 3mgニコチン酸アミド 10mgタウリン 750mgグルコン酸カルシウム 225mgアスパラギン酸マグネシウム 100mg塩化カルシウム 37mg砂糖 8000mg安息香酸ナトリウム 32mg香料 微量精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH2.8に調節して内服液剤を得た。【0020】実施例6ビタミンB1硝酸塩 3mgビタミンB2 3mgビタミンB6 3mgニコチン酸アミド 10mgタウリン 750mgグルコン酸カルシウム 113mgアスパラギン酸マグネシウム 100mg塩化カルシウム 37mg砂糖 8000mg安息香酸ナトリウム 32mg香料 微量精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH2.8に調節して内服液剤を得た。【0021】実施例7ビタミンB1硝酸塩 3mgビタミンB2 3mgビタミンB6 3mgニコチン酸アミド 10mgタウリン 750mgグルコン酸カルシウム 113mgアスパラギン酸マグネシウム 100mg塩化カルシウム 37mg異性化糖 11000mg安息香酸ナトリウム 32mg香料 微量精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH2.8に調節して内服液剤を得た。【0022】実施例8ビタミンB1硝酸塩 3mgビタミンB2 3mgビタミンB6 3mgニコチン酸アミド 10mgタウリン 750mgグルコン酸カルシウム 113mgアスパラギン酸マグネシウム 100mg塩化カルシウム 37mg異性化糖 11000mg安息香酸ナトリウム 32mg香料 微量精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH3.0に調節して内服液剤を得た。【0023】実施例9ビタミンB1硝酸塩 3mgビタミンB2 3mgビタミンB6 3mgニコチン酸アミド 10mgタウリン 750mgグルコン酸カルシウム 225mgアスパラギン酸マグネシウム 100mg塩化カルシウム 37mg異性化糖 適量安息香酸ナトリウム 32mg香料 微量精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH3.5に調節して内服液剤を得た。【0024】実施例10ビタミンB1硝酸塩 3mg塩化カルシウム(2水和物) 77mgクエン酸ナトリウム 88.2mg精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH2.8に調節して液剤を得た。【0025】実施例11ビタミンB1硝酸塩 3mg塩化カルシウム(2水和物) 316mgクエン酸ナトリウム 88.2mg精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH2.8に調節して液剤を得た。【0026】実施例12ビタミンB1硝酸塩 3mg塩化カルシウム(2水和物) 316mgタウリン 750mgクエン酸ナトリウム 88.2mg精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH2.8に調節して液剤を得た。【0027】実施例13塩酸フルスルチアミン 4mg塩化ナトリウム 147mgクエン酸 500mg精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、pH2.8の液剤を得た。【0028】実施例14塩酸フルスルチアミン 4mg塩化ナトリウム 294mgクエン酸 500mg精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、pH2.8の液剤を得た。【0029】比較例1ビタミンB1硝酸塩 3mgビタミンB2 3mgビタミンB6 3mgニコチン酸アミド 10mgタウリン 750mgグルコン酸カルシウム 450mgアスパラギン酸マグネシウム 100mg砂糖 8000mg安息香酸ナトリウム 32mg香料 微量精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH2.8に調節して、対照用液剤を得た。【0030】比較例2ビタミンB1硝酸塩 3mgビタミンB2 3mgビタミンB6 3mgニコチン酸アミド 10mgタウリン 750mgグルコン酸カルシウム 450mgアスパラギン酸マグネシウム 100mg砂糖 8000mg安息香酸ナトリウム 32mg香料 微量精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH3.0に調節して、対照用液剤を得た。【0031】比較例3ビタミンB1硝酸塩 3mgビタミンB2 3mgビタミンB6 3mgニコチン酸アミド 10mgタウリン 750mgグルコン酸カルシウム 450mgアスパラギン酸マグネシウム 100mg砂糖 8000mg安息香酸ナトリウム 32mg香料 微量精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH3.5に調節して、対照用液剤を得た。【0032】比較例4ビタミンB1硝酸塩 3mgクエン酸ナトリウム 88.2mg精製水 全50ml上記各成分を混合溶解し、クエン酸でpH2.8に調節して、対照用液剤を得た。【0033】比較例5塩酸フルスルチアミン 4mgクエン酸 500mg精製水 全50mg上記各成分を混合溶解しpH2.8の対照用液剤を得た。【0034】試験例1上記実施例1〜3で得られた内服液剤および比較例1で得られた液剤を、65℃に保存してビタミンB1類の安定性について比較した。残存率(%)の結果を表1に示した。【0035】【表1】【0036】試験例2上記実施例4〜7で得られた内服液剤および比較例1で得られた液剤を、65℃に保存してビタミンB1類の安定性について比較した。残存率(%)の結果を表2に示した。【0037】【表2】【0038】試験例3上記実施例4で得られた内服液剤および比較例1で得られた液剤を、40℃に保存してビタミンB1類の安定性について比較した。残存率(%)の結果を表3に示した。【0039】【表3】【0040】試験例4上記実施例8で得られた内服液剤および比較例2で得られた液剤を、40℃に保存してビタミンB1類の安定性について比較した。残存率(%)の結果を表4に示した。【0041】【表4】【0042】試験例5上記実施例9で得られた内服液剤および比較例3で得られた液剤を、40℃に保存してビタミンB1類の安定性について比較した。残存率(%)の結果を表5に示した。【0043】【表5】【0044】試験例6上記実施例10〜12で得られた液剤および比較例4で得られた液剤を、65℃に保存してビタミンB1の安定性について比較した。残存率(%)の結果を表6に示した。【0045】【表6】【0046】試験例7上記実施例13および14で得られた液剤ならびに比較例5で得られた液剤を、65℃に保存してビタミンB1の安定性について比較した。残存率(%)の結果を表7に示した。【0047】【表7】 チアミン、フルスルチアミン、ビスベンチアミン、ベンホチアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、チアミンプロピルジスルフィド、チアミンヒドロキシエチルテトラヒドロフルフリルジスルフィド、チアミン−8−(メチル−6−アセチルジヒドロチオクテート)ジスルフィドおよびチアミンエチルジスルフィドからなる群から選ばれる1種または2種以上であるビタミンB1類、タウリンおよび塩化物イオンを含有し、塩化物イオン濃度が1〜300mMであり、該ビタミンB1類0.001W/V%に対する塩化物イオン濃度が1.6〜50mMであり、pHが2.0〜6.0の範囲であることを特徴とする液剤。 チアミンおよびフルスルチアミンの少なくとも1種であるビタミンB1類、タウリンおよび塩化物イオンを含有し、塩化物イオン濃度が1〜300mMであり、該ビタミンB1類0.001W/V%に対する塩化物イオン濃度が1.6〜50mMであり、pHが2.0〜6.0の範囲であることを特徴とする液剤。 塩化物イオンとなり得る化合物が、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウムおよび塩化マグネシウムからなる群より選ばれる1種または2種以上である請求項1または2に記載の液剤。 さらにクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アジピン酸およびフマル酸からなる群より選ばれる1種または2種以上を配合した請求項1〜3のいずれかに記載の液剤。 チアミン、フルスルチアミン、ビスベンチアミン、ベンホチアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、チアミンプロピルジスルフィド、チアミンヒドロキシエチルテトラヒドロフルフリルジスルフィド、チアミン−8−(メチル−6−アセチルジヒドロチオクテート)ジスルフィドおよびチアミンエチルジスルフィドからなる群から選ばれる1種または2種以上であるビタミンB1類、タウリンおよび塩化物イオンを含有し、塩化物イオン濃度が1〜300mMであり、該ビタミンB1類0.001W/V%に対する塩化物イオン濃度が1.6〜50mMであり、pHが2.0〜6.0の範囲であることを特徴とする液剤中の該ビタミンB1類の安定化方法。 チアミンおよびフルスルチアミンの少なくとも1種であるビタミンB1類、タウリンおよび塩化物イオンを含有し、塩化物イオン濃度が1〜300mMであり、該ビタミンB1類0.001W/V%に対する塩化物イオン濃度が1.6〜50mMであり、pHが2.0〜6.0の範囲であることを特徴とする液剤中の該ビタミンB1類の安定化方法。


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