タイトル: | 特許公報(B2)_ホルムアルデヒド吸収剤 |
出願番号: | 1997157605 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C09K 3/00,C07C 45/79,C07C 47/04,C07C 39/08 |
堀木 清之助 梶田 武彦 伊藤 邦矩 JP 3809249 特許公報(B2) 20060526 1997157605 19970529 ホルムアルデヒド吸収剤 名古屋油化株式会社 000243892 宇佐見 忠男 100075476 堀木 清之助 梶田 武彦 伊藤 邦矩 20060816 C09K 3/00 20060101AFI20060727BHJP C07C 45/79 20060101ALI20060727BHJP C07C 47/04 20060101ALI20060727BHJP C07C 39/08 20060101ALI20060727BHJP JPC09K3/00 SC07C45/79C07C47/04C07C39/08 C09K3/00、 C07C1/00-409/44、 C08K3/00-13/08、 C08L1/00-101/16、 C08J5/00-5/02、 C08J5/12-5/24、 C08J7/00-7/02、 C08J7/12-7/18 特開平7−138453(JP,A) 特開平10−237146(JP,A) 特開平9−25469(JP,A) 特開平9−12658(JP,A) 特開平8−109309(JP,A) 特開平6−33035(JP,A) 2 1998330728 19981215 9 20040401 中野 孝一 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は例えば尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等のホルムアルデヒドを含む合成樹脂から遊離するホルムアルデヒドを吸収除去するために用いられるホルムアルデヒド吸収剤に関するものである。【0002】【従来の技術】尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等のホルムアルデヒドを含む合成樹脂は繊維加工剤、接着剤、塗料、成形物等に使用されるが、例えば加熱硬化させる場合は勿論、硬化後室温での保存中でもホルムアルデヒドが徐々に遊離して環境を汚染する。したがって該ホルムアルデヒドを除去するために、該ホルムアルデヒドを含む合成樹脂にホルムアルデヒド吸収剤が添加される。従来上記ホルムアルデヒド吸収剤としてはアルキルレゾルシン単量体が使用されている。該アルキルレゾルシン単量体は、ヒドロキシル基に対してm−位置にあるアルキル基が、求電子試薬に対し、レゾルシンのo−およびp−位置を強く活性化するため反応活性が著しく高く、ホルムアルデヒド吸収効率が良い。【0003】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記アルキルレゾルシン単量体は水溶液としての安定性が悪く、他の水溶性樹脂またはエマルジョン、サスペンジョン等との相溶性も低いため、アルコール水溶液として使用する必要があった。また、尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ系樹脂および一部のフェノール樹脂等のホルムアルデヒドを含む合成樹脂は、酸性側で硬化させることが多いが、このような場合には特にアルキルレゾルシン単量体は析出分離しやすいという問題があった。従って、本発明の課題は、水溶液としての安定性が高く、広いpH領域で樹脂と良好に混合し得るホルムアルデヒド吸収剤を提供することである。【0004】【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、スルホメチル化および/またはスルフィメチル化された多価フェノールモノマーを含有するホルムアルデヒド吸収剤を提供するものである。該多価フェノールモノマーは、多価フェノール1モルに対して、スルホメチル基および/またはスルフィメチル基が0.01〜0.6モル導入されているものであるのが望ましい。【0005】【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。本発明において使用することのできる多価フェノールは、例えばレゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノール、ジヒドロキシナフタリン、カルドール、ウルシオール、ラッコール、チチオール、レジノール、リグナン、タンニン、ピロガロールタンニン、カテコールタンニン等であり、特に望ましくはアルキルレゾルシンである。これら多価フェノールは、単独で又は2種以上混合して使用することができる。【0006】本発明において使用されるスルホメチル化剤としては、亜硫酸、重亜硫酸またはメタ重亜硫酸とアルカリ金属またはトリメチルアミンやベンジルトリメチルアンモニウム等の第四級アミンまたは第四級アンモニウムとの水溶性亜硫酸塩や、これらの水溶性亜硫酸塩とアルデヒドとの反応によって得られるヒドロキシメタンスルホン酸塩等のヒドロキシアルカンスルホン酸が例示される。本発明において使用されるスルフィメチル化剤としては、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート(ロンガリット)、ベンズアルデヒドナトリウムキシラート等の脂肪族、芳香族アルデヒドのアルカリ金属スルホキシラート類、ナトリウムハイドロサルファイト、マグネシウムハイドロサルハイト等のアルカリ金属、アルカリ土金属のハイドロサルファイト類、ナトリウムエチルスルホキシラート等のアルキルスルホキシラート類等が例示される。スルフィメチル化剤として亜2チオン酸アルカリ金属塩を使用する場合は、スルフィメチル化反応と並行してスルホメチル化反応が進行するので、スルフィメチル化物とともにスルホメチル化物が生成する。【0007】多価フェノールをスルホメチル化する場合は、該多価フェノール1モルに対しスルホメチル基を0.01〜0.6モルの範囲で導入するのが望ましい。スルホメチル基が0.01モル未満であると水溶液としての安定性が悪く、またスルホメチル基が0.6モルを超えるとホルムアルデヒドとの反応活性が低下しすぎて硬化物の耐水性が悪くなるおそれがある。多価フェノールをスルフィメチル化する場合もスルホメチル化の場合と同様な理由から、該多価フェノール1モルに対し、スルフィメチル基を0.01〜0.6モルの範囲で導入するのが望ましい。多価フェノールをスルホメチル化およびスルフィメチル化する場合も同様な理由から、該多価フェノール1モルに対し、スルホメチル基+スルフィメチル基を0.01〜0.6モルの範囲で導入するのが望ましい。【0008】このようにしてスルホメチル化および/またはスルフィメチル化された多価フェノールモノマーを含有する本発明のホルムアルデヒド吸収剤は、水溶液またはメタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールとの混合溶液としての安定性が良好であり、有効成分80%以上の溶液として存在し得る。また本発明のホルムアルデヒド吸収剤は、アルカリ側のみならず中性や酸性側の広いpH領域で良好な水溶性を示し、他の水溶性樹脂またはエマルジョン、サスペンジョン等との相溶性に優れる。尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ系樹脂および一部のフェノール樹脂等のホルムアルデヒドを含む合成樹脂は、酸性側で硬化させることが多いが、このような場合にも本発明のホルムアルデヒド吸収剤は上記樹脂との相溶性がよく、相分離やゲル化または析出分離を起こすことがない。【0009】本発明のホルムアルデヒド吸収剤は、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂等のホルムアルデヒドを含む合成樹脂に対して通常0.1〜30重量%程度添加されるが、添加量は勿論該ホルムアルデヒドを含む合成樹脂から遊離するホルムアルデヒドの量を考慮して定められる。また本発明のホルムアルデヒド吸収剤は単独あるいは二種以上混合して使用されてもよい。【0010】本発明のホルムアルデヒド吸収剤を添加したホルムアルデヒドを含む合成樹脂は、例えば繊維編織物や不織布に含浸せしめて繊維加工剤として使用され、あるいは繊維や粉体と混合してバインダーとして使用され、更には木材等の接着剤として使用され、また更に顔料を添加するかまたは添加することなく塗料として使用され、あるいは粉末として成形材料に使用される。【0011】上記ホルムアルデヒドを含む合成樹脂を使用する過程では、該ホルムアルデヒドを含む合成樹脂の加熱または常温硬化が行なわれるが、該ホルムアルデヒドを含む合成樹脂の硬化には、一般的に塩酸、硫酸、オルト燐酸、ホウ酸、蓚酸、蟻酸、酢酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナフタリン−β−スルホン酸等の無機または有機酸、あるいは蓚酸ジメチルエステル等の有機酸のエステル類、マレイン酸無水物等の酸無水物、水酸化マンガン、水酸化クロム、水酸化鉄、水酸化鉛、水酸化銅、酢酸亜鉛、ギ酸亜鉛、安息香酸亜鉛、塩化亜鉛、塩化第2鉄、酢酸マンガン、酢酸カドミウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、イミドスルホン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、モノクロル酢酸およびそのナトリウム塩、α,α’−ジクロロヒドリン等の有機ハロゲン化物、トリエタノールアミン塩酸塩、塩酸アニリン等のアミン類の塩酸塩、サルチル酸尿素アダクト、ステアリン酸尿素アダクト、ヘプタン酸尿素アダクト等の尿素アダクト、N−トリメチルタウリン等の酸性触媒、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化鉛、酸化ニッケル、酸化アルミニウム等の金属の水酸化物や酸化物、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、燐酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸塩類、アンモニア、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン等のアルカリ性触媒が使用される。【0012】〔実施例1〜6,比較例1〜3〕温度計、冷却管および攪拌機を備えた反応容器中に5−メチルレゾルシン1モル、スルホメチル化剤としてオキシメタンスルホン酸ソーダ0.3モルを加え、固形分が80%になるように水を添加した後、水酸化ナトリウムでpH8に調整し、70〜80℃で5時間反応させ、80%スルホメチル化5−メチルレゾルシン水溶液(A−1)を得た。また、5−メチルレゾルシンの代りにレゾルシンを用いる以外、同様に反応させて80%スルホメチル化レゾルシン水溶液(A−2)を、5−メチルレゾルシンの代りにシェールオイルレゾルシンの乾留により得られるアルキルレゾルシンを用いる以外、同様に反応させて80%スルホメチル化アルキルレゾルシン水溶液(A−3)を夫々得た。一方、尿素1モルに対して37%ホルマリン3.5モルを加え、炭酸ナトリウムでpH9に調整した後、常法により95〜100℃で3時間反応させて未濃縮尿素樹脂(U−1)を得た。この未濃縮尿素樹脂(U−1)に対し上記スルホメチル化反応物(A−1)、(A−2)、(A−3)および比較として80%アルキルレゾルシン水溶液(B−1)を表1に示す配合比(重量)で混合し、これに硬化剤として塩化アンモニウムを添加して接着剤とし、該接着剤を8重量%の塗布量となるように含水率3%のアカマツチップに塗布した後、180℃で9分間熱圧成形(35 kgf/cm2 ×2分+15 kgf/cm2 ×2分+5 kgf/cm2 ×5分)し、厚さ18mm、密度0.9g/cm3 のパーティクルボードを製造した。上記パーティクルボードについてホルムアルデヒド放出量、曲げ強さ、および接着剤の安定性の評価を行なった。結果を表1に示す。【0013】【表1】*1:接着剤の安定性硬化剤(塩化アンモニウム)を添加して1時間放置した後の接着剤の状態を示す。○:粘度上昇なく安定性良好×:増粘し塗布作業が困難××:液が層分離した。*2:ホルムアルデヒド放出量パーティクルボードを1日,30日,60日間室温で放置した後のホルムアルデヒドの放出量をJIS−A5908に準じて測定した。単位はmg/lである。*3:曲げ強さJIS−A5907の曲げ強さ試験方法に準じて測定した。【0014】表1の結果より、本発明のホルムアルデヒド吸収剤を添加した場合には接着剤の安定性に優れ、ホルムアルデヒドの放出量も極微量となり、製品の曲げ強さも向上することが判る。【0015】〔実施例7〜9,比較例4〜7〕実施例1〜6と同様の容器中にアルキルレゾルシン1モルおよびスルフィメチル化剤としてロンガリット0.5モルを加え、固形分が85%になるように水を添加した後、水酸化ナトリウムでpH8に調整し、80〜90℃で6時間反応させ、85%スルフィメチル化アルキルレゾルシン水溶液(A−4)を得た。一方、尿素1モル、メラミン1.5モルおよび37%ホルマリン5モルを混合し、炭酸ナトリウムでpH9に調整した後、常法により95〜105℃で3.5時間反応させて尿素/メラミン共縮合樹脂(UM−1)を得た。この尿素/メラミン共縮合樹脂(UM−1)に対し、上記スルフィメチル化反応物(A−4)および比較として80%アルキルレゾルシン水溶液(B−1)を表2に示す配合比(重量)で混合し、これに硬化剤として塩化アンモニウム、粘度調整剤として小麦粉を添加して接着剤を製造した。上記接着剤を使用して以下の条件で合板を製造した。単板材質:カポール単板水分:12%単板構成:1.2−1.5−1.0mm 3プライ接着剤塗布量:35g/30×30cm2 冷 圧:10 kgf/cm2 ,10分熱 圧:120℃,10 kgf/cm2 ,3分得られた合板のホルムアルデヒド放出量、硬化剤添加後の接着剤の安定性および接着力を測定した。結果を表2に示す。【0016】【表2】*1,*2は表1に準ずる。*3:接着力構造用合板についての日本農林規格による試験に準じて測定した。【0017】表2の結果より、本発明のホルムアルデヒド吸収剤を添加した場合には接着剤の安定性に優れ、ホルムアルデヒドの放出量も極微量となり、煮沸繰り返し後の接着力も良好であることが判る。【0018】〔実施例10〕実施例1〜6と同様の容器中にアルキルレゾルシン1モルおよびスルホメチル化剤としてオキシメタンスルホン酸ナトリウム0.05モルを加え、10%水酸化ナトリウムでpH9に調整し、90〜100℃で8時間反応させた後、固形分が90%になるように水で調整し、90%スルホメチル化アルキルレゾルシン水溶液(A−5)を得た。また、フェノール樹脂としてフェノール1モルに対し37%ホルマリン3.5モルおよび水酸化ナトリウム0.1モルを加え、常法により95〜105℃で3時間反応させて得られたレゾール型フェノール樹脂(P−1)97重量部に対して、上記90%スルホメチル化アルキルレゾルシン水溶液(A−5)3重量部を加え、混合した後、硬化剤として65%パラトルエンスルホン酸3重量部を加え攪拌した。これを、高炉スラグ/パーライトの80/20重量比混合粉体に対して10%添加し、充分攪拌して均一な混合物とした。該混合物を180℃で5 kgf/cm2 の条件で板状に成形したところ、得られた成形物は、ホルムアルデヒド放出量が0.001mg/lと非常に少なく、不燃性建材として有用なものであった。【0019】【発明の効果】本発明によれば、有効成分80%以上の安定な水溶液として存在し得、なおかつpHの全領域で安定性がよく、アミノ系樹脂等を酸性側で硬化させる場合にも、該樹脂との相溶性に優れたホルムアルデヒド吸収剤が得られる。 スルホメチル化および/またはスルフィメチル化された多価フェノールモノマーを含有するホルムアルデヒド吸収剤。 多価フェノール1モルに対して、スルホメチル基および/またはスルフィメチル基が0.01〜0.6モル導入されている該多価フェノールモノマーを含有する請求項1記載のホルムアルデヒド吸収剤。