タイトル: | 特許公報(B2)_エステル化法 |
出願番号: | 1997152297 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 67/08,C07C 69/80,C08G 63/85,C07B 61/00 |
ジョン リドランド イアイン ウェスレイ ヘップルホワイト ブライアン スチーブン ジョリィ JP 4354541 特許公報(B2) 20090807 1997152297 19970610 エステル化法 エイシーエムエイ リミテッド 592162450 浅村 皓 100066692 浅村 肇 100072040 小堀 貞文 100090701 池田 幸弘 100102897 ジョン リドランド イアイン ウェスレイ ヘップルホワイト ブライアン スチーブン ジョリィ GB 9612161.1 19960611 20091028 C07C 67/08 20060101AFI20091008BHJP C07C 69/80 20060101ALI20091008BHJP C08G 63/85 20060101ALI20091008BHJP C07B 61/00 20060101ALN20091008BHJP JPC07C67/08C07C69/80 AC07C69/80 BC08G63/85C07B61/00 300 C07C 67/08 C07C 69/80 C07B 61/00 特開昭53−106792(JP,A) 特開昭53−098393(JP,A) 米国特許第03056818(US,A) 特表2001−510493(JP,A) 10 1998081646 19980331 11 20040401 服部 智 【発明の属する技術分野】【0001】本発明はエステル化法、特に新規な有機チタン触媒又は有機ジルコニウム触媒を利用するエステル化法に関する。【0002】【従来の技術】有機チタン化合物、特にチタンアルコキシド又は同オルトエステルは、エステル化法の触媒として公知である。これらの化合物は、エステル化中に曇った生成物をもたらすチタンの高分子化合物に転化されることが多い。曇りの存在は、粘度及び/又は融点が高く、従って濾過が困難なポリエステルの1つの著しい欠点である。更に、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルの製造において有効な触媒である多くの有機チタン化合物は、最終重合体に許容できない黄変現象をもたらすことが知られている。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はエステルを製造する改良された方法を提供することである。【0004】【課題を解決するための手段】本発明によるエステルの製造法は、エステル化反応を、チタン又はジルコニウムのオルトエステル又は縮合(condensed)オルトエステル、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むアルコール、2−ヒドロキシカルボン酸及び塩基の反応生成物から成る触媒の存在下で行うことから成る。【0005】本発明の方法のエステル化反応は、エステルが生成されるものであればいかなる反応であってもよい。この反応はカルボン酸又はその無水物とアルコールとが反応してエステルを形成する直接エステル化反応であってもよいし、又は第一のアルコールが第一のエステルと反応してその第一アルコールのエステルと、その第一エステルの開裂により生成する第二のアルコールとを生成させるエステル交換反応(アルコリシス)であってもよいし、或いは2種のエステルがアルコキシ基を交換することにより反応して2種の異なるエステルを形成するエステル交換反応であってもよい。直接エステル化反応又はエステル交換反応は高分子エステルの製造に使用することができるが、本発明の好ましい方法はポリエステル化法から成る。【0006】直接エステル化反応では多くのカルボン酸及び酸無水物が使用でき、これには次のものがある:ステアリン酸、イソステアリン酸、カプリン酸、カプロン酸、パルミチン酸、オレイン酸、パルミトール酸、トリアコンタン酸、安息香酸、メチル安息香酸及びサリチル酸のような飽和及び不飽和のモノカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ナフタレンカルボン酸及びパモイン酸(pamoic acid)のようなジカルボン酸及びこれら酸の無水物、並びにトリメリット酸、クエン酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のようなポリカルボン酸及びこれら酸の無水物。直接エステル化反応にしばしば使用されるアルコールに、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル及びステアリルアルコールのような脂肪族の直鎖状及び分枝鎖状の一価アルコール、並びにグリセロール及びペンタエリトリトールのような多価アルコールがある。本発明の特に好ましい方法は、2−エチルヘキサノールを無水フタル酸と反応させてビス(2−エチルヘキシル)フタレートを形成することから成るものである。【0007】アルコリシス反応に用いられるエステルは、そのエステル化反応中に、置換されたアルコールを蒸留で取り除くのが通常のことであるから、一般に、メチルエステル、エチルエステル及びプロピルエステルのような低級同族体である。直接エステル化反応に適した酸のそのようなエステルが本発明の方法で用いられる。メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート及びエチルメタクリレートのようなエステルのアルコリシスにより、しばしば、長鎖アルコールの(メタ)アクリレートエステルが生成される。アルコリシス反応で使用される典型的なアルコールに、ブチル、ヘキシル、n−オクチル及び2−エチルヘキシルアルコール、並びにジメチルアミノエタノールのような置換アルコールがある。【0008】エステル化反応が2種のエステル間のエステル交換反応である場合、それらエステルは、一般に、蒸留で除去できる揮発性生成物のエステルを生成させるように選ばれる。【0009】前記のように、直接エステル化反応又はエステル交換反応を伴う方法により高分子エステルを製造することができ、そして本発明の方法の特に好ましい態様は前記触媒の存在下でのポリエステル化反応である。あるポリエステル化反応では、高分子エステルを生成させるために、通常、多塩基酸又は多塩基酸のエステルが多価アルコールと反応せしめられる。前記のもののような二塩基酸、又はそれら二塩基酸と二価アルコールとのエステルからは、線状のポリエステルが生成する。本発明による好ましいポリエステル化反応に、テレフタル酸又はジメチルテレフタレートと1,2−エタンジオール(エチレングリコール)とのポリエチレンテレフタレートを生成させる反応、又はテレフタル酸又はジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオール(ブチレングリコール)とのポリブチレンテレフタレートを生成させる反応、或いはナフタレンジカルボン酸と1,2−エタンジオールとのポリエチレンナフタレートを生成させる反応がある。1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチルプロパン及びペンタエリトリトールのような他のグリコールもポリエステルの製造に適している。【0010】ポリエチレンテレフタレートの製造に典型的な方法は2段階から成る。第一段階では、テレフタル酸又はジメチルテレフタレートが1,2−エタンジオールと反応せしめられてプレポリマーを形成し、副生成物の水又はメタノールが除去される。このプレポリマーは、続いて、第二段階で加熱されて1,2−エタンジオールを除去し、長鎖の重合体を形成する。これら段階のいずれか一方又は両方が本発明による方法から成ることができる。【0011】本発明の方法で使用される触媒は、チタン又はジルコニウムのオルトエステル又は縮合オルトエステル、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むアルコール、2−ヒドロキシカルボン酸及び塩基の反応生成物である。オルトエステルは式M(OR)4 (式中、Mはチタン又はジルコニウムであり、そしてRはアルキル基である)を有するものであるのが好ましい。Rは1乃至6個の炭素原子を含むのが更に好ましく、そして特に適したオルトエステルにはテトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−プロポキシジルコニウム及びテトラ−n−ブトキシジルコニウムがある。【0012】本発明で有用な触媒を製造するのに適した縮合オルトエステルは、典型的には、チタン又はジルコニウムのオルトエステルを注意深く加水分解することにより製造され、それはしばしば式:【化1】R1 O[M(OR1 )2 O]n R1 【0013】で表される。ここで、R1 はアルキル基であり、そしてMはチタン又はジルコニウムである。nは20未満であるのが好ましく、10未満であるのが更に好ましい。R1 は1乃至6個の炭素原子を含むのが好ましく、そして有用な縮合オルトエステルにはチタン酸ポリブチル、チタン酸ポリイソプロピル及びジルコン酸ポリブチルとして知られる化合物がある。【0014】少なくとも2個のヒドロキシル基を含むアルコールは二価のアルコールであるのが好ましく、それは1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオールのような1,2−ジオール、1,3−プロパンジオールのような1,3−ジオール、又はジエチレングリコール若しくはポリエチレングリコールのような、長い鎖を含む二価のアルコールであることができる。好ましい二価アルコールは1,2−エタンジオール及びジエチレングリコールである。この触媒はグリセロール、トリメチロールプロパン又はペンタエリトリトールのような多価アルコールから製造することもできる。【0015】触媒は、二価アルコールをオルトエステル又は縮合オルトエステルと、チタン又はジルコニウムの各モルに対して二価アルコール2乃至12モルの比率で反応させることにより製造するのが好ましい。反応生成物はチタン又はジルコニウム1モルにつき4乃至8モルの二価アルコールを含んでいるのが更に好ましい。【0016】好ましい2−ヒドロキシカルボン酸に乳酸、クエン酸、リンゴ酸及び酒石酸がある。ある種の適した酸は水和物又は水性混合物として供給される。この形の酸及び無水の酸が本発明で使用される触媒の製造に適している。この反応生成物における酸対チタン又はジルコニウムの好ましいモル比は、チタン又はジルコニウム1モルにつき1乃至4モルである。触媒はチタン又はジルコニウム1モルにつき1.5乃至3.5モルの2−ヒドロキシ酸を含んでいるのが更に好ましい。【0017】本発明の方法で触媒として用いられる反応生成物を製造する際に塩基も使用される。塩基は一般に無機塩基であって、適した塩基に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、水酸化マグネシウム及びアンモニアがある。使用される塩基の量は、しばしば、2−ヒドロキシカルボン酸を完全に中和するのに十分な量であるが、その酸が完全に中和されることは不可欠なことではない。従って、乳酸のような一塩基性の2−ヒドロキシ酸では、塩基の好ましい量は2−ヒドロキシ酸1モルにつき0.8乃至1.2モルの範囲である。クエン酸(三塩基酸)の場合、その好ましい量は2−ヒドロキシ酸1モルにつき1乃至3モルの範囲である。一般には、存在する塩基の量は、通常、チタン又はジルコニウム1モルにつき1乃至12モルの範囲であり、好ましくは塩基の量はチタン又はジルコニウム1モルにつき1乃至4モルである。【0018】本発明の触媒は、典型的には、中性である。触媒を製造するとき、塩基と一緒に水を加えることがしばしば好都合である。水を含む生成物は6乃至8の範囲のpHを有することが多い。【0019】触媒は各成分(オルトエステル又は縮合オルトエステル、二価アルコール、2−ヒドロキシ酸及び塩基)を混合し、任意、適切な段階で副生成物(例えば、オルトエステルがテトライソプロポキシチタンであるときはイソプロピルアルコール)を全て除去することにより製造することができる。1つの好ましい方法では、オルトエステル又は縮合オルトエステルと二価アルコールとが混合され、続いて2−ヒドロキシ酸が、次いで塩基が加えられるか、又は予め中和した2−ヒドロキシ酸の溶液が加えられる。もう1つ別の好ましい方法では、オルトエステル又は縮合オルトエステルが2−ヒドロキシ酸と反応せしめられ、そして副生成物のアルコールが除去される。この反応生成物に、次いで、塩基を加え、続いて二価アルコールを加えて本発明の方法の触媒である反応生成物を生成させる。所望によっては、更なる副生成物のアルコールを次いで蒸留で除去してもよい。【0020】本発明のエステル化反応はエステル化反応の任意、適切な、公知の方法を用いて行うことができる。【0021】直接エステル化反応では、典型的には、酸又は酸無水物と過剰のアルコールが触媒の存在下において、必要ならば溶媒中で、加熱される。通常、水がこの反応の副生成物であり、これは溶媒及び/又はアルコールの沸騰混合物との共沸混合物として除去される。一般的に言えば、凝縮されるその溶媒及び/又はアルコール混合物は水とは不混和性であり、従って水は溶媒及び/又はアルコールが反応容器に戻される前に分離される。反応が完了したとき、過剰のアルコールと溶媒(使用された場合)が蒸発される。従来のエステル化法とは明白に違って、反応混合物から触媒を除去することは一般に必要ない。典型的な直接エステル化反応はビス(2−エチルヘキシル)フタレートの製造であって、それは無水フタル酸と2−エチルヘキサノールとを混合することによって製造される。モノエステルを形成する初期反応は速いが、それに続くそのモノエステルのジエステルへの転化反応は、触媒の存在下において、180〜200℃で、水が全て除去されてしまうまで還流させることにより行われる。続いて、過剰のアルコールが除去される。【0022】アルコリシス反応では、エステル、第一のアルコール及び触媒が混合され、そして、一般的には、生成アルコール(第二のアルコール)が蒸留によりしばしばエステルとの共沸混合物として除去される。生成エステルと第一アルコールを有意に失わせずに第二アルコールを確実かつ効果的に分離するために、そのアルコリシス反応で生成した蒸気の混合物を精留する必要があることが多い。アルコリシス反応を行う条件は主にその反応の成分に依存し、一般的にはそれらの成分は使用される混合物の沸点まで加熱される。【0023】本発明の好ましい方法はポリエチレンテレフタレートの製造である。ポリエチレンテレフタレートの典型的なバッチ式製造は、反応容器にテレフタル酸とエチレングリコールとを、所望によっては触媒と共に仕込み、その内容物を約0.3MPaの圧力下で260〜270℃まで加熱することによって行われる。反応は酸が約230℃で溶け、そして水が除去されるにつれて開始される。その生成物を第二のオートクレーブ反応器に移し、そして必要ならば触媒を加える。その反応容器を100Paの最終圧力において290〜300℃に加熱して副生成物のエチレングリコールを除去する。反応容器から溶融した生成エステルを排出し、冷却し、そして切断する。【0024】本発明の方法で使用される触媒の量は、一般に、Ti又はZrとして表される触媒のチタン又はジルコニウムの含量に依存する。この量は、直接エステル化反応又はエステル交換反応の場合、通常、生成エステルの重量基準で100万部当たり30乃至1000部(ppm)である。この量は生成エステルの重量基準で30乃至450ppmであるのが好ましく、そして同基準で50乃至450ppmであるのが更に好ましい。ポリエステル化反応では、その触媒使用量は、一般に、生成ポリエステルの重量に対する割合として表され、それは、通常、生成ポリエステルに基づくTi又はZrとして表して5乃至500ppmである。この量はTi又はZrとして表して5乃至100ppmであるのが好ましい。【0025】以上、エステル、及び公知の触媒に比較して黄変量が少ないポリエステルを最終生成物に曇りをもたらすことなく経済速度で効果的に製造する本発明の方法を明らかにした。【0026】【実施例】次に、本発明を実施例で例証する。【0027】触媒の製造【0028】実施例1撹拌器、凝縮器及び温度計を備えた1リットルの金魚鉢型フラスコ中の撹拌されているチタンイソプロポキシド(284.8g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(217.85g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(251.98g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の液体(Ti含量6.54重量%)が生成した。【0029】実施例2実施例1の方法に従って、チタンイソプロポキシド(284.8g、1.0モル)にエチレングリコール(496.37g、8.0モル)を加え、続いて乳酸ナトリウム(374.48g、2.0モル)の60重量/重量%水溶液と反応させて淡黄色の液体(Ti含量4.13重量%)を生成させた。【0030】実施例3側腕凝縮器を備え、磁気撹拌装置の上に支持され、その撹拌装置で撹拌されている1リットルの三角フラスコ中のチタンイソプロポキシド(142.50g、0.50モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(248.25g、4.0モル)をゆっくり添加した。添加が完了したとき、その内容物を15分間撹拌し、その後に乳酸カリウム(213.03g、1.0モル)の60重量/重量%水溶液を滴下漏斗により添加して透明な非常に淡い黄色の生成物(Ti含量3.91重量%)を得た。【0031】実施例4実施例3の方法に従って、135.95g(0.3モル)のジルコニウム n−プロポキシド(n−プロパノール中72.3重量/重量%)にジエチレングリコール(127.58g、1.20モル)を加えた。この撹拌されている生成物に乳酸ナトリウム(112.04g、0.60モル)の60重量/重量%水溶液を加えて淡黄色の生成物(Zr含量7.28重量%)を生成させた。【0032】実施例5撹拌器、凝縮器及び温度計を備えた1リットルの金魚鉢型フラスコ中の温水(92.8g)にクエン酸・一水和物(132.5g、0.63モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンイソプロポキシド(72.0g、0.25モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(94.86g、0.76モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物を濾過し、次いでエチレングリコール(125.54g、2.0モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含量3.85重量%)を得た。【0033】実施例5の生成物の色生成性種との反応に対する感受性を、この触媒とジエチルジヒドロキシテレフタレートのトルエン中希薄溶液(0.04g/mL)とを混合することにより試験した。得られた溶液の色を11mmの円筒状ガラスキュベットの中に入っているLICO200分光光度計で測定し、そしてテトライソプロポキシチタン[Ti(Oi Pr)4 ]を含む溶液と比較した。結果を以下に示す。【0034】【表1】【0035】エステル化【0036】実施例6実施例3、4及び5の生成物をビス(2−エチルヘキシルフタレート)の製造用触媒として当量の金属(Ti又はZr)水準で試験した。比較触媒としてチタンテトライソプロポキシド[Ti(Oi Pr)4 ]を用いた。【0037】装置は温度計、ゴムシール、反応体の表面下に沈められているチューブ及びディーン・スターク(Dean and Stark)装置を備えた1リットルの4つ口丸底フラスコであった。この装置をそのディーン・スタークの上方に設けられている2本の水冷凝縮器に接続されたオイル真空ポンプを用いて減圧下で運転した。フラスコに沈められているチューブを、酸素を含まない窒素の供給源に接続した。これにより窒素の放出がもたらされ、反応中の水の除去が助長された。【0038】1.0モル(148g)の無水フタル酸を2.42モル(315g)の2−エチルヘキサノールに加えた。この混合物を加熱して無水フタル酸を溶解し、そして窒素の流れを開始した。【0039】温度が180℃に達したとき、秤量されたある量の触媒をゴムシールを介してシリンジで反応体表面の下に加えた。その反応混合物を、加熱速度と真空を適当に調整することにより200℃で激しい還流下に保持した。生成した水を水が形成されるのと実質的に同じくらい速く除去し、それをディーン・スターク装置に採集した。【0040】その反応の進行をゴムシールに挿通された30cmの針を備えたシリンジで色々な間隔で試料を抜き取ることにより追跡した。各試料を既知重量(約100g)の冷アルコールに加えてその反応を停止させ、秤量し、そして開始剤としてブロモフェノールブルーを用いて水酸化カリウムのエタノール中標準溶液に対して滴定した。それらの結果を用いて存在する未反応の半エステルの量を計算した。【0041】反応は合計160分間続けられた。【0042】結果を以下に示す。【0043】【表2】【0044】1.エステルの重量に対するZr又はTiの重量、ppm。2.ハーゼン(Hazen)単位。最終反応混合物の色。3.Ti(Oi Pr)4 触媒は2−エチルヘキサノール中10mL溶液として加えた。4.160分の反応時間後。【0045】実施例7実施例3、4及び5の生成物を使用してポリエチレンテレフタレート(PET)を製造した。ジャケット付き反応器にエチレングリコール(26リットル)とテレフタル酸(60.5kg)を仕込んだ。触媒と他の添加剤を加え、そしてその反応器を226〜252℃に加熱して第一段階直接エステル化(DE)プロセスを開始させた。DE反応が完了したら、反応器の内容物を撹拌されているオートクレーブに移した。安定剤と触媒(Sb2 O3 )を加え、その混合物を真空下で290±2℃に加熱してエチレングリコールを除去し、ポリエチレンテレフタレートを得た。バッチの詳細は次のとおりであった。【0046】【表3】【0047】1.最終PET重量に対するZr又はTiの重量、ppm。2.CIE Lh 、ah 及びbh スケールでのb−値(黄変度)。【0048】実施例8ポリエステル化反応にはホスフェート系安定剤が加えられることが多いが、それら安定剤はチタン触媒を少なくとも一部失活させることが知られている。次の実施例は、本発明で使用される触媒はテトライソプロポキシチタンのような常用の触媒より失活に対して抵抗性であることを証明している。【0049】触媒を加える前に反応混合物にリン酸を加えたことを除いて実施例6を繰り返した。【0050】結果を以下に示す。【0051】【表4】【0052】1.エステルの重量に対するTiの重量。2.エステルの重量に対するPの重量。3.160分の反応時間後。【0053】実施例9実施例5の生成物を使用し、テレフタル酸をベースとするバッチ式ルートを採用してポリエチレンテレフタレートを製造した。即ち、エステル化容器にテレフタル酸2250kg、エチレングリコール1050リットル、NaOH50ppm及び実施例5の触媒溶液1920ppm(生成可能性のあるポリエステルに対してTi原子80ppm)を仕込んだ。この混合物を生成した水が全て留去されてしまうまで265℃に加熱した。次に、リン酸安定剤155ppmを加え、その反応混合物をオートクレーブに移した。【0054】酢酸コバルト・四水和物300ppmを加え、その反応混合物を295℃に加熱すると、真空下での重合が始まった。最終ポリエステルは0.685の極限粘度(ポリエステルのo−クロロフェノール中8%溶液に基づく溶液粘度により25℃で測定)を有し、ガラスのように透明であり、そして触媒による曇りの徴候を示さなかった。【0055】上記で製造したポリエステルの溶融ウエッブを、冷却された回転ドラムの研磨表面の上にダイから常用の方法で押し出した。その研磨表面上でウエッブはそのポリエステルのガラス転移温度より低い温度に冷却されて非晶質のフィルムを与えた。この冷却されたフィルムを次に再加熱し、縦方向に原長の約3.2倍延伸し、幅出機に通して進め、そしてその延伸されたシートを横方向に原寸法の約3.8倍延伸し、続いてヒートセットした。最終厚さは125マイクロメーターであった。このフィルムの広角曇り度(wide angle haze)は0.51%であった。【0056】上記の製造を実施例5の触媒に代えて常用の触媒であるテトライソプロポキシチタン250ppm(Ti原子40ppm)を用いて繰り返したときは、得られたフィルムの広角曇り度は1.35%であった。【0057】実施例10実施例5の生成物を用い、実施例9に記載した溶融重合法を採用してポリエチレンテレフタレートを製造した。得られた重合体は0.685の極限粘度(ポリエステルのo−クロロフェノール中8%溶液に基づく溶液粘度により25℃で測定)を有し、透明であり、そして触媒による曇りの徴候を示さなかった。【0058】上記で製造した重合体750gを、次いで、窒素の流れの下で213℃において固相で重合させて、溶融粘度測定法で測定して0.82の極限粘度を有するポリエチレンテレフタレート重合体を得た。実施例5の触媒を使用した固相重合速度は標準的な三酸化アンチモン触媒を使用して達成された速度より有意に速かった。即ち、極限粘度の増加率(重合速度を表す)は0.027単位/時であったが、これに対して三酸化アンチモンによる場合その増加率は0.015単位/時であった。【0059】最終重合体を射出延伸吹込成形法を用いてびんに転化した。 エステル化反応を、チタン又はジルコニウムのオルトエステル又は縮合オルトエステル、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むアルコール、2−ヒドロキシカルボン酸及び塩基の反応生成物から成る触媒の存在下で行うことから成る、エステルの製造法。 少なくとも2個のヒドロキシル基を含むアルコールが二価のアルコールである、請求項1に記載の方法。 触媒がチタン又はジルコニウム1モルにつき2乃至12モルの二価アルコールを含んでいる、請求項2に記載の方法。 触媒がチタン又はジルコニウム1モルにつき1乃至4モルの2−ヒドロキシ酸を含んでいる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。 触媒が一塩基性の2−ヒドロキシカルボン酸から製造され、そして塩基が2−ヒドロキシカルボン酸1モルにつき0.8乃至1.2モルの範囲の量で使用されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。 触媒が三塩基性の2−ヒドロキシカルボン酸から製造され、そして塩基が2−ヒドロキシカルボン酸1モルにつき1乃至3モルの範囲の量で使用されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。 触媒がチタン又はジルコニウム1モルにつき1乃至12モルの塩基を含んでいる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。 触媒が水を含み、かつ6乃至8のpHを有している、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。 エステル化反応が直接エステル化反応であるか、又はエステル交換反応であり、そして触媒が生成エステルの重量に対するチタン又はジルコニウムの重量部数として計算して100万部当たり30乃至1000部の範囲の量で存在する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。 エステル化反応がポリエステル化反応であり、そして触媒が生成ポリエステルの重量に対するチタン又はジルコニウムの重量部数として計算して100万部当たり5乃至500部の範囲の量で存在する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。