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タイトル:特許公報(B2)_破砕法によるシリカゲル粒子、その製法及びその用途
出願番号:1997147051
年次:2006
IPC分類:C01B 33/157,B01D 15/00,B01J 20/10,B41M 5/00,B41M 5/50,B41M 5/52,C12C 5/02,C12C 11/00


特許情報キャッシュ

小野 金一 津野 秀男 JP 3782866 特許公報(B2) 20060317 1997147051 19970522 破砕法によるシリカゲル粒子、その製法及びその用途 水澤化学工業株式会社 000193601 小野 尚純 100075177 奥貫 佐知子 100113217 小野 金一 津野 秀男 20060607 C01B 33/157 20060101AFI20060518BHJP B01D 15/00 20060101ALI20060518BHJP B01J 20/10 20060101ALI20060518BHJP B41M 5/00 20060101ALI20060518BHJP B41M 5/50 20060101ALI20060518BHJP B41M 5/52 20060101ALI20060518BHJP C12C 5/02 20060101ALI20060518BHJP C12C 11/00 20060101ALI20060518BHJP JPC01B33/157B01D15/00 ZB01J20/10 DB41M5/00 BC12C5/02C12C11/00 C01B 33/00-33/193 特開平09−025113(JP,A) 特開昭55−104911(JP,A) 特開平07−232059(JP,A) 特開平06−183721(JP,A) 特開平04−037603(JP,A) 特開平09−040416(JP,A) 特開平05−201717(JP,A) 特開昭62−256716(JP,A) 特開昭59−213611(JP,A) 特開平07−237917(JP,A) 特開平06−040714(JP,A) 9 1998324517 19981208 16 20030129 西山 義之 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、破砕法によるシリカゲル粒子、その製法及びその用途に関するもので、より詳細には、粉体としての優れた流動性、優れた濾過性、スラリーとしての低粘性、抑制された粉立ち、向上した粒子強度、低減した磨耗傾向等を有するシリカゲル粒子及びその製法に関する。本発明はまた、上記シリカゲル粒子の用途にも関する。【0002】【従来の技術】非晶質シリカは、樹脂用充填剤、各種填剤、吸着剤、乾燥剤、各種担体等の各種用途に広く使用されているが、大別して、乾式法シリカと湿式法シリカとが知られおり、それぞれその特性を利用して、前記何れかの用途に使用されている。【0003】前者のシリカはSiCl4 を酸素水素炎中で分解することにより得られ、粒径は微細で形状が球形であって比表面積、細孔容積 、細孔分布等に基ずく表面活性が比較的小さい。一方、後者のシリカは、珪酸アルカリを酸で中和することにより得られるもので、粒径は一般に大きく粒度分布も広いが、その内部はポ−ラスで表面活性も比較的大きいものである。【0004】このように非晶質シリカは、その製法によつて物性が大きく異なり、特に後者の湿式法は、ケイ酸アルカリを酸で中和する反応条件としての濃度、温度、圧力、時間、反応方法等の条件或いはその後の後処理条件ををいろいろ変化させることにより、広く性質の異なる非晶質シリカを得ることができるものである。【0005】湿式法によるシリカゲル粒子には、球状ゲル粒子と破砕ゲル粒子とがあり、例えば、前者の例として、ケイ酸アルカリと酸との中和で生成するシリカゾルを短時間でゲル化する条件下(気体媒体への噴霧)で得られた球状シリカヒドロゲル(特公昭48−13834号公報、特開昭63−16049号公報)があり、また、後者の例として、酸で硬化させたシリカヒドロゲルを酸洗しpH2.5乃至5のシリカヒドロゲルとした後、乾燥、粉砕することにより得られた水分含有量が20乃至50重量%の含水シリカゲル(特公平2−1764号公報)等がある。【0006】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、噴霧造粒法による球状シリカゲルの製造法では、粒径が50μm以上のような比較的大粒径のものの製造は容易であるが、粒径が小さくなると、気流中に浮遊して、その製造が困難となるという問題がある。また、微小粒径の球状シリカゲル粒子は、粒子強度が弱く、その取り扱い上未だ解決すべき問題点を有している。【0007】一方、破砕法によるシリカゲル粒子は、製造も容易であるが、分離の困難なサブミクロン粒子をかなりの量で含有しており、粉体としての流動性が低い、粉体として取り扱う際粉立ちがある、濾過性が悪い、粉体と接触する材料を磨耗する、粒子強度も未だ十分高くない、等の欠点を有している。【0008】本発明者らは、破砕法によるシリカゲル粒子の上記の欠点を改善すべく鋭意研究を重ねた結果、塊状シリカゲルの粉砕を以下に述べる特定の条件下で行うことにより、新規な構造及び特性を有する破砕法シリカゲル粒子が得られることを見いだすに至った。【0009】即ち、本発明の目的は、粉体としての優れた流動性、優れた濾過性、スラリーとしての低粘性、抑制された粉立ち、向上した粒子強度、低減した磨耗傾向等を有する破砕法シリカゲル粒子及びその製法を提供するにある。本発明の他の目的は、上記破砕法シリカゲル粒子の用途を提供するにある。【0010】【課題を解決するための手段】 本発明によれば、破砕法によるシリカゲル粒子であって、体積基準のメジアン径が2.5乃至20μm、特に4乃至15μmの範囲にあると共にメジアン径の3/4以下の粒径の粒子の含有量が35重量%以下、特に30重量%以下であり、電子顕微鏡で観察してメジアン径の0.5乃至2倍の粒子についての真円度が70乃至95の範囲にあると共に90度以内の角を有する粒子の個数%が10以内、特に8以内であり、BET比表面積が200乃至500m2 /g、特に250乃至400m2 /g及び窒素吸着法による細孔容積が0.4乃至1.5ml/g、特に0.6乃至1.2ml/gの範囲にあり、且つ110℃乾燥物について鉄シリンダー法で測定した嵩密度が0.3乃至0.6g/ml、特に0.32乃至0.45g/mlの範囲にあるシリカゲル粒子が提供される。 本発明において、上記シリカゲル粒子は、傾斜法で測定した安息角が60度以下、特に50度以下であること、JISK−5101−1991に準拠して測定した吸油量が90乃至150ml/100g、特に120乃至150ml/100gであることが好ましい。【0011】本発明によればまた、ケイ酸アルカリと鉱酸との反応により生成され且つ40乃至70重量%、特に好適には50乃至60重量%の水分含有率を有する含水シリカゲルの塊状物を乾式で旋回流型ジェットミルで解砕処理することを特徴とするシリカゲル粒子の製法が提供される。本発明の製法において、旋回流型ジェットミルによる解砕処理を100℃以下、特に10乃至60℃の温度で、シリカゲル粒子の体積基準のメジアン径が2.5乃至20μmの範囲となる迄行うこと、及び旋回流型ジェットミルによる解砕処理を含有水分の10重量%以上が揮散するように行うことが好ましい。【0012】本発明による上記の破砕法シリカゲル粒子は、ビール用安定化剤、インクジェット記録紙用填剤、フィルム用アンチブロッキング剤、塗料用艶消し剤、クロマトグラフィ用担体等の用途に有用である。【0013】【発明の実施形態】[シリカゲル粒子]1.本発明によるシリカゲル粒子は、塊状ゲルの破砕法で製造されるものであるが、(A)体積基準のメジアン径が2.5乃至20μmの範囲にあること、(B)メジアン径の3/4以下の粒径の粒子の含有量が35重量%以下であること、(C)電子顕微鏡で観察してメジアン径の0.5乃至2倍の粒子についての真円度が70乃至95の範囲にあること、(D)上記(C)の粒子について、90度以内の角を有する粒子の個数%が10以内であること、(E)BET比表面積が200乃至500m2 /gであること、(F)窒素吸着法による細孔容積が0.4乃至1.5ml/gの範囲にあること、及び(G)110℃乾燥物について鉄シリンダー法で測定した嵩密度が0.3乃至0.6g/mlの範囲にあること、の組み合わせに特徴を有するものである。【0014】2.前記(A)の粒径は、スプレー造粒法等による球状シリカゲル粒子に比してかなり小さく、従来の破砕法によるシリカゲル粒子とほぼ同様な粒度範囲にあるが、前記(B)の構成のとおり、微粒子の含有量が著しく少ない量に抑制されていることが、従来の破砕法シリカゲル粒子との顕著な相違点である。【0015】3.即ち、微粒子の含有量が少なく抑えられているため、粉体としての取り扱いに際して粉立ちを発生することがなく、また、濾過性が良好であり、更にスラリーとしたときの粘度が低く抑えられるという利点が得られる。【0016】4.また、前記構成(C)のとおり、破砕粒子としては、例外的に高い真円度(測定法は後述する)を有しており、不定形粒子というよりはむしろ定形粒子と呼ぶにふさわしい揃った粒子形状を有するものであり、前記構成(B)とも関連して、高い粉体としての流動性を有している。【0017】5.更に、前記構成(D)のとおり、鋭利な角を有する粒子の存在が低く抑えら得ており、前記構成(C)の粒子形状にも関連して、シリカ粉体に特有の接触材料の磨耗傾向を顕著に軽減することができる。勿論、この構成は、粒子の自由流動性を向上させることにも寄与するものであって、このことは安息角が低いという事実によっても確認される。【0018】6.本発明によるシリカゲル粒子は、前記構成(E)のとおり、通常の破砕法シリカゲル粒子とほぼ同様の比表面積を有しており、シリカゲル本来の活性吸着サイトが保持されていることが明らかである。【0019】7.また、このシリカゲル粒子では、前記構成(F)のとおり、前記(E)の比表面積を保持しながら、細孔容積が幾分低く抑えられており、これにより粒子強度を向上させ得るという利点も得られる。【0020】8.更に、本発明のシリカゲル粒子は、シリカゲル粉体としては、例外的に高い嵩密度を有しており、これは粒子強度の増大に寄与するばかりではなく、輸送や貯蔵をコンパクトな状態で行えることを意味するとともに、樹脂等への配合に際しても顔料性に優れていることを意味する。【0021】[製法]1.本発明の製法では、ケイ酸アルカリと鉱酸との反応により生成された塊状ゲルを原料とするが、シリカゲルの水分含有率を40乃至70重量%に制御し、この含水シリカゲルの塊状物を、乾式で旋回流型ジェットミルで解砕処理することが特徴である。【0022】2.本発明で用いる旋回流型ジェットミルとは、ジェットミルの内、気体の旋回流を利用するものであって、処理すべき原料を気体に載せてミル内に送給し、分級機と閉回路を形成して処理を行うものをいう。【0023】3.本発明の処理を有効に行うには、シリカゲルの水分含有率を上記の範囲に制御することが極めて重要である。即ち、水分含有率が上記範囲を上回ると、ゲルが器壁に付着したり或いは装置内を閉塞するため、旋回流型ジェットミルでの処理そのものが困難となり、また旋回流型ジェットミルの後述する利点を十分に発揮させることが困難となる傾向がある。一方水分含有率が上記範囲を下回ると、処理に際して、分離の困難な微粒子が発生するとともに、処理後の粒子が角のある不定形粒子となる傾向がるため、本発明の要件(A)乃至(E)を満足する粒子を得ることができない。本発明は、水分含有率が一定の範囲にあれば、含水ゲルであっても、乾式における旋回流型ジェットミル内での破砕乃至解砕処理が可能となるという新しい知見に基づくものである。【0024】4.含水ゲルであっても、そのまま衝撃粉砕処理が可能となるのは、旋回流型ジェットミルを使用する場合にのみ見られる特有の作用による。即ち、一般に粉粒体の付着力は、粒子表面に存在する水分の影響が極めて大きく、この水分の量がむしろ少なくなった場合に大きな付着力を示す場合が多い。旋回流型ジェットミルでは、粒子が気流に乗せられた状態で処理が行われるため、粒子の表面の極薄層中の水分が気流中に揮散し、そのため粒子の表面のみが乾燥された状態となっており、このため粒子の器壁等への付着が防止されるものと思われる。これは、粉砕により、新たな表面が露出される場合にも同様に生じる。この意味で乾式での処理が重要であることが了解されよう。【0025】5.また、塊状物或いは粗粒子を粉砕する場合には、当然微粒子が発生するが、旋回流型ジェットミルでは、微粒子がより大きい粒子中に組み込まれて成長するので、微粉の発生が極めて少ないという利点が達成される。この事実は、粉砕処理物の粒度分布を測定することにより、容易に確認されるものであるが、旋回流型ジェットミルでは、恰も転動造粒法のように、粒子の自転及び公転により微粒子の組み込みによる成長が生じるためと信じられる。更に、粒子の自転及び公転により、前記(C)及び(D)の角の取れた定形粒子に近い粒子形状となるものと思われる。【0026】6.更に、旋回流型ジェットミルを使用する本発明の処理では、粒子を叩く或いは押さえることによる細孔容積の減少と嵩密度の増大とも同時に進行する(前記要件(F)及び(G))。添付図面の図1は、旋回流型ジェットミルで処理されたシリカゲル粒子の平均粒径と処理物の細孔容積分布との関係をプロットしたものであるが、処理の進行とともに、平均粒径が小さくなるのはもちろん、その細孔容積が小さくなっていることが明確に理解される。即ち、本発明の処理では、粒子そのものが細孔容積が小さくなるように収縮し、これにより、嵩密度がデンスとなり、粒子強度が高くなっていることが明らかである。【0027】7.このゲル粒子の収縮は、ゲル内の水分の除去(脱水乾燥)とも密接に関係している。即ち、ヒドロゲル内の水分の乾燥は、風乾程度の温度では有効に行われないことは、当業界の常識であるが、本発明においては、前述した叩き或いは押さえの影響により、水分の除去とともに、細孔容積の減少と嵩密度の増大とがもたらされるものである。【0028】8.本発明では、旋回流型ジェットミルによる処理を100℃以下の温度で行うことも重要である。即ち、処理温度が100℃よりも高い場合には、乾燥ゲルを粉砕処理する場合と同様に、微粉の発生量が多くなり、粒子構造を制御することも困難となる。【0029】9.また、旋回流型ジェットミルによる解砕処理を、含有水分の10重量%以上が揮散するように行うことが、所望の細孔容積及び嵩密度のシリカゲル粒子を得るために望ましい。【0030】10.本発明では、塊状のシリカゲルを形成させるために、ケイ酸アルカリと酸とを反応させて、シリカの酸性ゾルを形成させ、次いでこの酸性ゾルをゲル化させる。【0031】(ケイ酸アルカリ)ケイ酸アルカリとしては、式(1)Na2 O・mSiO2 ‥‥(1)式中、mは1乃至4の数、特に2.5乃至3.5の数である。の組成を有するケイ酸アルカリ、特にケイ酸ナトリウムの水溶液を使用する。【0032】このケイ酸アルカリの組成は、ゾルの安定性と生成する粒子の収率及び粒子サイズとに関係している。SiO2 のモル比(m)が上記範囲よりも小さいと、収率が低下したり、また中和に多量の酸が必要になり好ましくない。一方、SiO2のモル比が上記範囲よりも大きくなるとゾルの安定性が低下したり吸着活性が低下したりするので好ましくない。【0033】ケイ酸アルカリの濃度は、SiO2 基準で100乃至300g/Lの濃度、特に200乃至250g/Lの濃度を有するものが好適である。【0034】(酸)酸としては、種々の無機酸や有機酸が使用されるが、経済的見地からは、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の鉱酸を用いるのがよく、これらの内でも、経済性、反応の容易さの点で、硫酸が最も優れている。均質な反応を行うためには、希釈水溶液の形で用いるのがよく、一般に10乃至60重量%の濃度で使用するのがよい。【0035】(製造条件)シリカの酸性ゾルは、ケイ酸アルカリ水溶液を、濃度が10乃至60%の鉱酸水溶液中に、攪拌下に注下し、反応終了時のpHが0.2乃至2.5となり且つSiO2 としてのシリカ濃度が2.5乃至20重量%となるように反応を行うことにより、製造される。反応温度は0乃至50℃の範囲、反応時間は0.1秒乃至3.0時間が適当である。【0036】得られたシリカゲルを、水洗して狭雑する塩類を十分に除去し、必要により、加熱乾燥して、シリカゲルの水分含有率を前述した40乃至70%の範囲に調節する。この際、シリカゲルを水熱処理して、比表面積を低下させるための調節を行うこともできる。シリカゲルの水熱処理は、一般に、100乃至140℃の温度で行うことができる。【0037】(解砕処理)本発明によれば、かくして得られる含水シリカゲルの塊状物を、乾式で旋回流型ジェットミルで解砕処理する。この解砕処理時の温度が100℃以下であることが重要であることは既に指摘したとおりであるが、この温度は一般に10乃至60℃の範囲にあることが好ましい。【0038】旋回流型ジェットミルに供給する気流としては、圧搾空気が使用され、一般に圧力が1.0乃至8.0kg/cm2 (ゲージ)の範囲にあるのが好ましい。また、空気の供給量は、処理量によっても当然変化するが、一般に1m3 /minの以上必要である。【0039】処理後のシリカゲルは、空気と共にミル外に排出され、サイクロン、バッグフィルター等により捕集され、製品となる。【0040】本発明のシリカゲル粒子は、そのまま使用することもできるし、必要に応じ乾燥或いは焼成等の熱処理を行った後、種々の用途に供することもできる。加熱処理温度は、シリカの比表面積によっても相違するが、一般に120乃至1000℃、特に150乃至900℃、最も好適には200乃至800℃の範囲が適当である。加熱処理時間は、温度及び焼成方法によっても相違するが、一般的に数秒乃至数時間の範囲から、上記要求が満足される時間を選ぶのがよい。加熱処理には、電気炉、ロータリキルン、熱風瞬間焼成炉等の固定床、移動床或いは流動床式の熱処理装置を用いることができる。【0041】また、シリカゲル粒子の表面特性を改質させるために、予め10重量%以下、特に1乃至6重量%の表面処理剤で処理しておくと、基材特に樹脂中への分散性が向上し、透光性も更に向上するので好ましい。かかる表面処理剤としては、シラン系、アルミニウム系、チタン系或いはジルコニウム系のカップリング剤、高級脂肪酸、金属石鹸或いは樹脂酸石鹸、乾式シリカまたは界面活性剤等が目的に応じて使用される。一般に、シリカゲル粒子を含む反応母液中に高級脂肪酸或いは界面活性剤、を添加して、攪拌下に処理するのがよい。【0042】[真円度]本発明のシリカゲルの真円度を示すため走査型電子頭微鏡写真より観察して、シリカ粒子メジアン径の0.5乃至2倍の粒子について代表的な粒子30個を選んで、スケールを用いて粒子像の長径(D1)と短径(D2)を測定し式(1)よりその平均値を真円度とした。真円度=D2/D1×100 ・・・(1)またその球状粒子の割合を示すため走査型電子頭微鏡写真より観察して、シリカ粒子メジアン径の0.5乃至2倍の粒子について代表的な粒子50個を選んで、90度以内の角を有する粒子の個数を数え、以下の式(2)からその値を求め非球状粒子割合とした。非球状粒子割合=([90度以内の角を有する粒子の個数]/50)×100・・(2)【0043】[用途]本発明によるシリカゲル粒子は、従来破砕法シリカゲル粒子が使用されている用途に使用でき、例えば樹脂用配合剤、製紙用填料、塗料用艶消し剤、化粧品用填料、農薬用担体、触媒用担体、吸着剤等が挙げられる。本発明のシリカゲル粒子は、次の用途に特に有用である。【0044】(1)ビール用安定化処理剤本発明のシリカゲル粒子は、ビール用の安定化処理剤として特に有用である。ビールは大麦の麦芽およびホップを主原料として発酵させて回収した発酵製品であり、琥珀色で輝きのある透明な酒精飲料である。従って、酒精飲料としての味、香り、風味もさることながら、外観も商品価値を決定する大切な要因である。【0045】実際、ビールは瓶、缶、樽等に詰められて長期間保存されたり、飲用に使用するために冷やされたりすると、ビール中に澱や濁りが発生して混濁現象を起こす場合がある。このように混濁が発生するビールは耐久性に乏しいビールとして嫌われており、ビールとしての商品価値を損ねている。この混濁には、寒冷混濁、永久混濁と凍結混濁との三つのケースがある。ビール中には、寒冷混濁は1.4〜8.1mg/L、永久混濁は6.6〜14.1mg/L混在すると報告されている。ビールの保存期間や種類によっては、混濁が44〜100mg/Lのオーダーで発生することも報告されている。寒冷混濁は、ビールを0℃付近に冷却した時に発生し、20℃となると再び溶解する。永久混濁は酸化混濁ともいわれ再溶解はしない。凍結混濁はビールが凍結したり、凍結に近い−5℃付近になると発生する。これらのビール混濁は、原料の大麦やホップに由来する蛋白質の一部やポリフェノール等の可溶性成分が不溶化したり、これらのコロイド成分が会合することによって発生するといわれている。本明細書では、ビール中に溶解もしくはコロイド状に分解しており、ビールを長期間保存したり冷却したりする時に発生する混濁の原因因子成分を「混濁前駆体」と呼ぶ。このようにビールの混濁発生はビールに普遍的に存在する混濁前駆体に由来しており、この混濁前駆体がビールに残存する限りにおいて、その時の条件にもよるが混濁の発生は否めない。【0046】本発明によるシリカゲル粒子の内、濃度1000ppm及び温度25℃での水性懸濁液pHが4乃至6.2であり且つ該水性懸濁液のゼータ電位がマイナスでその絶対値が20mV以上であるものは、ビールの泡保持性を低下させることなしに、混濁前駆体の除去に有効である。【0047】先ず、本発明で用いるシリカゲル粒子は、実際にビールの安定化処理に使用するような低い濃度(1000ppm)の水性懸濁液において、ビールのpH(3.5〜5.0)に近似した弱酸性のpHを示し、これはこの非晶質シリカからの含有成分の溶出が少なく、香味保持性に優れていることを意味している。【0048】しかも、本発明によれば、この水性懸濁液におけるシリカゲル粒子のゼータ電位をマイナスでしかもその絶対値を上記範囲としたことにより、ビールの泡持ちを良好な状態に維持しながら寒冷耐久性を顕著に向上させることができる。即ち、シリカゲル粒子のゼータ電位と処理後のビールの寒冷耐久性との間には密接な関係があり、ゼータ電位がマイナスでしかもその絶対値が高い程、寒冷耐久性が向上する。ビールの寒冷混濁(オリ)の形成はビール中の蛋白質とポリフェノールとの酸化重合によるものといわれているが、本発明に用いるシリカゲル粒子では、ゼータ電位がマイナスに高められているため、プラス電荷をもつ蛋白質コロイド粒子を有効に吸着するため、寒冷混濁の形成が防止されるものと認められる。【0049】本発明のシリカゲル粒子をビールの安定化処理剤として添加する量割合は、ビールの種類、発酵条件や製造条件によっても異なるが、ビールに対して50乃至1000ppmのオーダー範囲の中から適宜選んで添加し、処理することができる。【0050】さらに、本発明品のシリカゲル粒子の形状が球状であり、粒度分布が狭い為、濾過適正に優れており、生産効率も向上することができる。【0051】(2)インクジェット記録紙本発明のシリカゲル粒子は、インクジェット記録紙用填剤として得に有用である。インクジェット記録は、騒音が少なく、高速記録が可能で、しかも多色化が容易である等の利点があり、各種プリンター、ファクシミリ等への応用が行われている。この用途に用いる記録紙としては、通常の上質紙やコート紙では性能の点で使用困難であり、紙面に付着したインク滴が速やかに紙内に吸収されること、紙面上でのインク滴の拡がりや滲みが抑制されること、濃度のある鮮明な画像が形成されること、及びこの画像が諸堅牢性に優れていること等の特性が要求される。【0052】本発明によるシリカゲル粒子を記録紙に対する填料として用いると、インクジェット記録において、インク滴の拡がりや滲みを防止するという要求と、画像の濃度や鮮明さを向上させるという要求とを、両立させて満足させ得ると共に、この填料を用いた記録紙上にインクジェットにより形成される染料ドットは、初期の状態において、色彩の鮮明さや濃度において優れているばかりではなく、経時による光退色乃至光変色も無いという点で優れている。【0053】この用途に用いるシリカゲル粒子は、酸強度函数H0が+1.5 を越えて+3.3 迄の範囲の酸量が0.05ミリモル/g以下で、且つ酸強度函数H0が+3.3 を越えて+4.8 迄の範囲の酸量が0.20ミリモル/g以上である酸強度分布を有するものが特に適している。【0054】本発明のシリカゲル粒子は固体酸の一種であり、固体酸の酸強度分布は、ハメット指示薬を使用し、n−ブチルアミン滴定法により求めることができる。酸強度函数H0とハメット指示薬との関係を示すと、次の通りである。上記表において、例えば、4−ベンゼンアゾジフェニルアミンを指示薬として滴定を行うと固体酸中の酸強度函数が+1.5 迄の酸量が測定され、又、p−ジメチルアミノアゾベンゼンを指示薬として、滴定を行うと、固体酸中の酸強度函数が+3.3 迄の積算酸量が測定され、以下各指示薬を用いて、滴定を行うことにより、固体酸の酸強度分布が測定される。【0055】本発明によれば、上述したシリカゲル粒子を、紙等の基体の表面に設けるか、或いは紙中に内填してインクジェット用記録要素とする。紙等の基体表面にこの填剤のコート層を設けるには、前記填剤を5乃至40重量%、特に10乃至25重量%、及び必要により結着剤を1乃至15重量%、特に2乃至10重量%含む水性スラリーを製造し、填剤が3乃至20g/m2 、特に5乃至15g/m2 となるような塗工量で塗布し、乾燥する。【0056】結着剤としては、水性系結着剤が有利であり、例えばカルボキシメチルセルローズ、エチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、澱粉、カルボキシメチル澱粉、シアノエチル化澱粉、カゼイン、アラビアゴム、トラガントゴム、デキストリン、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル/マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、水溶性アクリル樹脂等の水溶性結着剤;自己乳化型アクリル樹脂等の自己乳化型結着剤;スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス等の水性ラテックス系結着剤等が使用される。【0057】また、前記填剤を紙中に内填するには、抄紙用スラリーに前記填剤を配合して、紙繊維中に繊維重量当り1乃至20重量%、特に2乃至10重量%の填剤が抄き込まれるようにすればよい。【0058】本発明において、シリカゲル粒子は単独でインクジェット記録用填剤として使用し得る他に、それ自体公知の他の填剤、例えばカオリン、通常のシリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ及びアルミナのコロイド等と組合せて使用することもできる。【0059】(3)クロマトグラフィー用担体本発明のシリカゲル粒子は、クロマトグラフィー用担体としても有用である。クロマトグラフィーは、固体吸着剤の粒子を円筒または細片状の層に充填した固定相に気体、液体、溶液などの試料を通し、各成分の分配係数の差を利用して物質を分離する方法として知られている。【0060】本発明に用いるシリカゲル粒子は、クロマトグラフィー用担体に適した適度な吸着活性を有すると共に、粒度分布も均斉で、しかも真球に近い形状を有するため、固定相の形成や、吸着、脱着等の操作が容易であり、この用途にも特に適している。【0061】【実施例】本発明を次の実施例で説明する。尚、本発明においての評価方法は以下の方法によった。【0062】(1)嵩密度測定 JlS−K−6721に準拠して測定した。(2)比表面積、細孔容積、細孔径測定 カルロエルバ社製Sorptomatic Series 1900を使用し、BET法により測定した。(3)吸油量測定 JIS−K−5101−1991に準拠して測定した。(4)メジアン径測定(粒子径) Coultrer社製Coulter Couter TA-II型を使用し、メジアン径を測定した。(5)水分測定 試料を110℃の乾燥機で2時間乾燥し、その前後の重量変化を測定した。(6)安息角測定 傾斜法:容器に粉体試料を充填して、自由表面を水平にならし、容器ごと傾斜させて表面粒子が滑り始める傾斜角度を測定する。(粉体物性図説:日経技術図書発行)(7)濾過速度試験 300mlビーカーに試科1.00g相当量(110℃乾物換算)をはかり取り、5%エタノール水溶液を加えて200gとし、攪拌して懸濁液とする。この懸濁液を5分間攪拌分散(350rpm)する。直径5cm濾紙(No.2)をつけた吸引濾過装置(吸引圧-60cmHg)で濾過し濾過ケーキ上に懸濁液がなくなるまでの時間を測定した。(8)固体酸測定試験 n-ブチルアミン測定法[参考文献:「触媒」Vol.11,No6,P210-216(1969)]にて測定した。【0063】(実施例1)原料にJIS製品のケイ酸ソーダ(Si0222.38%、Na2O7.10% 、比重1.294/15℃)と45%濃度の硫酸溶液(比重1.352/15℃)をその容積比で4:1に相当する量を選び、両者の瞬間接触が可能となる装置を用いて、ケイ酸ソーダ、硫酸溶液を該装置に供給し、30〜35℃で反応させ、反応系のpHが2.0〜2.2に成るよう調整してシリカを生成させ、そのままの条件で2時間熟成を行い水分52重量%含有の原料シリカヒドロゲルを得た。得られたシリカヒドロゲルをサンプルミルにより粗粉砕(粒径約0.1mm)し、更に、15℃で圧力7.5Kg/cm2 (ゲージ)の条件で旋回流型ジェットミル(日本ニューマチック社製)にて解砕分級し粒子のメジアン径が3.0μm、水分27.5重量%含有のシリカゲル粒子(試料1)を得た。この試料について、真円度、非球状粒子割合、BET法による比表面積と細孔容積と細孔径、吸油量、鉄シリンダー法による嵩密度、濾過速度、を測定した。その結果を表1に示す。またこの試料の固体酸酸量を表2に示す。【0064】【表2】【0065】(実施例2〜4)実施例1と同様の処理を行い、17〜20℃、圧力7Kg/cm2 (ゲージ)の条件下で旋回流型ジェットミルを用いて解砕分級したメジアン径3.9、7.2及び11.5μm のシリカゲル粒子(試料2,3,4)を得た。これらの解砕分級前の水分は43,48,52及び62重量%であり解砕分級後の水分は33.5、38.7及び35.5重量%となっていた。これらの試料について、真円度、球状粒子割含、BET法による比表面積と細孔容積と細孔径、吸油量、鉄シリンダー法による嵩密度、濾過速度を測定した。その結果を表1に示す。【0066】(比較例1)実施例1で得られた原料シリカヒドロゲルをサンプルミルにより粗粉砕(粒径0.1mm)し、その後150℃で水分2%以下になるよう乾燥する、その後、20℃、圧力7Kg/cm2 (ゲージ)の条件下で旋回型ジェツトミル(ホソカワミクロン社製)にて解砕分級し粒子のメジアン径が3.1μmのシリカゲル粒子(試料5)を得た。この試料について、BET法による比表面積と細孔容積と細孔径、吸油量、鉄シリンダー法による嵩密度、濾過速度を測定した。その結果を表1に示す。【0067】(比較例2〜4)比較例1と同様の処理を行い、20℃、圧力7Kg/cm2 (ゲージ)の条件下で旋回流型ジェットミルにて解砕分級し、メジアン径4.1、6.1及び8.7μmのシリカゲル粒子(試料6,7,8)を得た。これらの試料について、BET法による比表面積と細孔容積と細孔径、吸油量、鉄シリンダー法による嵩密度、濾過速度を測定した。その結果を表1に示す。【0068】(比較例5)実施例1の旋回流型ジェットミルをピンミルに変更した以外は実施例1と同様にして、解砕分級し、粒径10.0μmのシリカゲル粒子(試料9)を得た。この試料について、BET法による比表面積と細孔容積と細孔径、吸油量、鉄シリンダー法による嵩密度、濾過速度を測定した。その結果を表1に示す。【0069】(比較例6)水分87%の原料シリカヒドロゲルを粗粉砕し、旋回流型ジェットミルで解砕分級しようとしたが旋回粒型ジェットミル内に付着して製造不可能だった。【0070】【表1】【0071】(応用例1)試料番号1、2、5、9各100部に対して、バインダー(PVA117クラレ製)35部、分散剤(ポリテェーA−550ライオン製)0.2部、その全量が15%濃度になるように水を加え、その後ホモディスパーにて分散させる。この調整した塗液をPPC用紙(45g/m2)にコーティングロッド(No.14)を用いて塗布(塗布量約9g/m2)した。乾燥は、室温にて一晩乾燥した後、110℃恒温乾燥機にて30sec乾燥して塗布紙を得る。得られた塗布紙をCanon製BJC一600Jにてテストパターンを印字し、発色濃度を富士フイルム製Fuji Standard Densitometer FSD-103で測定した(数値の大きい方が発色度が良い)。その結果を表3に示す。【0072】【表3】【0073】【発明の効果】本発明によれば、塊状シリカゲルの粉砕を、特定の水分含有率で、乾式で、しかも旋回流型ジェットミルを用いて行うことにより、新規な構造及び特性を有する破砕法シリカゲル粒子が得られ、このものは、粉体としての優れた流動性、優れた濾過性、スラリーとしての低粘性、抑制された粉立ち、向上した粒子強度、低減した磨耗傾向等を有する。【図面の簡単な説明】【図1】旋回型ジェトミル処理物の平均粒径と細孔容積との関係をプロットした図である。【図2】実施例1で得られた試料1の走査型電子顕微鏡写真(一千倍)である。【図3】実施例1で得られた試料1の粒径累積曲線を示す図である。【図4】実施例2で得られた試料2の走査型電子顕微鏡写真(一千倍)である。【図5】実施例2で得られた試料2の粒径累積曲線を示す図である。【図6】実施例3で得られた試料3の走査型電子顕微鏡写真(一千倍)である。【図7】実施例3で得られた試料3の粒径累積曲線を示す図である。【図8】実施例4で得られた試料4の粒径累積曲線を示す図である。【図9】比較例1で得られた試料5の走査型電子顕微鏡写真(一千倍)である。【図10】比較例1で得られた試料5の粒径累積曲線を示す図である。【図11】比較例4で得られた試料8の走査型電子顕微鏡写真(一千倍)である。【図12】比較例4で得られた試料8の粒径累積曲線を示す図である。 破砕法によるシリカゲル粒子であって、体積基準のメジアン径(50%粒径)が2.5乃至20μmの範囲にあると共にメジアン径の3/4以下の粒径の粒子の含有量が35重量%以下であり、電子顕微鏡で観察してメジアン径の0.5乃至2倍の粒子についての真円度が70乃至95の範囲にあると共に90度以内の角を有する粒子の個数%が10以内であり、BET比表面積が200乃至500m2 /g及び窒素吸着法による細孔容積が0.4乃至1.5ml/gの範囲にあり、且つ110℃乾燥物について鉄シリンダー法で測定した嵩密度が0.3乃至0.6g/mlの範囲にあるシリカゲル粒子。 傾斜法で測定した安息角が60度以下であることを特徴とする請求項1記載のシリカゲル粒子。 JISK−5101−1991に準拠して測定した吸油量が90乃至150ml/100gである請求項1または2記載のシリカゲル粒子。 ケイ酸アルカリと鉱酸との反応により生成され且つ40乃至70重量%の水分含有率を有する含水シリカゲルの塊状物を、乾式で旋回流型ジェットミルで解砕処理することを特徴とするシリカゲル粒子の製法。 旋回流型ジェットミルによる解砕処理を100℃以下の温度で、シリカゲル粒子の体積基準のメジアン径が2.5乃至20μmの範囲となるまで行う請求項4記載の製法。 旋回流型ジェットミルによる解砕処理を、含有水分の10重量%以上が揮散するように行う請求項4または5記載の製法。 請求項1記載のシリカゲル粒子から成るビールの安定化処理剤。 請求項1記載のシリカゲル粒子から成るインクジェット記録紙用填剤。 請求項1記載のシリカゲル粒子から成るクロマトグラフィ用担体。


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