タイトル: | 特許公報(B2)_臭素化p−クミルフェノール誘導体、その製造法及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物 |
出願番号: | 1997104630 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 43/225,C07C 41/01,C08K 5/06,C09K 21/08 |
近藤 典久 属 秀雄 香川 巧 JP 4324984 特許公報(B2) 20090619 1997104630 19970422 臭素化p−クミルフェノール誘導体、その製造法及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物 東ソー株式会社 000003300 近藤 典久 属 秀雄 香川 巧 20090902 C07C 43/225 20060101AFI20090813BHJP C07C 41/01 20060101ALI20090813BHJP C08K 5/06 20060101ALI20090813BHJP C09K 21/08 20060101ALI20090813BHJP JPC07C43/225 CC07C41/01C08K5/06C09K21/08 C07C 41/00-43/32 C09K 21/00-21/14 C08K 5/06 CA/REGISTRY(STN) 特開平07−173092(JP,A) 特開昭57−126829(JP,A) 特開平08−113547(JP,A) 特表平07−502047(JP,A) 特開昭63−120174(JP,A) 10 1998291953 19981104 13 20040415 井上 千弥子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規な臭素化p−クミルフェノールの誘導体に関するものであり、本発明の化合物は各種電気機器などに多用される難燃樹脂用配合型難燃剤として使用可能である。【0002】【従来の技術】従来の合成樹脂の難燃化方法としては、種々の樹脂に対して、様々な臭素系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、無機系難燃剤等が用いられ、用途により使い分けがなされている。代表的な難燃剤としては、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノール−A(以下TBAと略す。)、TBA−エポキシオリゴマー、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。【0003】【発明が解決しようとする課題】このように様々な難燃剤の提案がなされ、様々な用途で使い分けがなされているものの、近年の難燃規制の強化、配合した難燃樹脂の性能のさらなる向上要求が高く、従来品の欠点を補完する剤の創製が望まれている。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは、新規な臭素系剤について鋭意検討した結果、下記一般式(1)【0005】【化5】【0006】(式中、aは1〜3の整数、bは1〜2の整数を表す。)及び下記一般式(2)【0007】【化6】【0008】(式中、aは1〜3の整数、bは1〜2の整数を表す。)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体を見出した。さらにこれらを配合した樹脂組成物は難燃性能が優れていること、加えて上記一般式(2)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体は耐光性に優れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。【0009】すなわち本発明は、上記一般式(1)及び一般式(2)で表される臭素化p−クミルフェノール誘導体、それらの製造法及びそれらを配合してなる難燃性樹脂組成物である。【0010】以下、本発明を詳細に説明する。【0011】まず本発明の下記一般式(1)【0012】【化7】【0013】(式中、aは1〜3の整数、bは1〜2の整数を表す。)で表される臭素化p−クミルフェノール誘導体及びその製造法について説明する。【0014】本発明の上記一般式(1)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体は、ゲル浸透クロマトグラフィー分析において、a+b=2〜5の化合物の混合物であり、通常、a+b=2の化合物を0〜80モル%、a+b=3の化合物を80〜0モル%及びa+b=4〜5の化合物を0〜20モル%の範囲で含有し、臭素含量39〜62%、融点80〜200℃、熱天秤での重量5%減少温度が200℃以上の耐熱性を示す白色結晶である。【0015】尚、本発明において示す平均臭素化数とは、臭素化p−クミルフェノールを元素分析することより得られた組成比を基に算出した一分子当たりの平均臭素化数をいい、2.5〜4.0の範囲である。【0016】本発明の上記一般式(1)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体は、下記一般式(3)【0017】【化8】【0018】(式中、aは1〜3の整数、bは1〜2の整数を表す。)で示される臭素化p−クミルフェノールとアリルハライドとを脱ハロゲン化水素試剤存在下で反応させることにより得ることができる。【0019】上記一般式(1)で示される化合物の製造に適用可能な脱ハロゲン水素化試剤としては、具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム等のアルカリ金属水酸化物類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム等のアルカリ金属炭酸塩類、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム等のアルカリ金属炭酸水素塩類、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム等のアルカリ土類金属水酸化物類、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属炭酸塩類、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属又は水素化アルカリ土類金属類等が挙げられるが、工業的に好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。【0020】脱ハロゲン化水素試剤の使用量としては、特に規定はないが、臭素化p−クミルフェノールに対して通常1〜2当量用いる。【0021】上記一般式(1)で示される化合物の製造に適用可能なアリルハライドとしては、具体的には、アリルクロライド、アリルブロマイド、アリルアイオダイドであるが、工業的に好ましくはアリルクロライド、アリルブロマイドである。【0022】アリルハライドの添加量としては、原料の臭素化p−クミルフェノールに対して1〜2モル倍量用いるが、好ましくは反応性及び経済性の面で1.1〜1.5モル倍量の範囲である。【0023】アリルハライドとしてアリルクロライド、アリルブロマイドを用いる場合には、反応性を向上させるために必要に応じてヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ素等の触媒を用いても良い。【0024】上記一般式(1)で示される化合物の製造に用いる溶剤としては、アセトン、メタノール、水−メタノール、THF、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等のプロトン性又は非プロトン性極性溶剤が適用可能であり、経済性を考慮すると水−メタノール、アセトン、メチルエチルケトン等である。【0025】溶剤の使用量としては、反応に具する原料の臭素化p−クミルフェノールに対してあらゆる量比で使用可能であるが、0.5重量倍量以下では反応終了後の反応液粘度が高くなるため好ましくなく、また100重量倍量以上では経済的ではない。従って好ましくは0.5〜100重量倍量の範囲で、さらに好ましくは0.9〜50重量倍量の範囲である。【0026】反応温度としては、脱ハロゲン化水素試剤、触媒及び溶剤により異なるが、通常0℃〜60℃の範囲で実施する。【0027】反応時間としては、脱ハロゲン化水素試剤、触媒及び反応温度により異なるが、通常1〜8時間の範囲で実施する。【0028】反応後、反応液を吸引濾過後、水洗し、さらにアセトン等の有機溶媒で洗浄した後、乾燥することにより目的とする上記一般式(1)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体を得ることができる。また必要に応じて再結晶等の精製を行っても良い。【0029】続いて、下記一般式(2)【0030】【化9】【0031】(式中、aは1〜3の整数、bは1〜2の整数を表す。)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体及びその製造法について説明する。【0032】本発明の上記一般式(2)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体は、ゲル浸透クロマトグラフィー分析において、a+b=2〜5の化合物の混合物であり、通常、a+b=2の化合物を0〜80モル%、a+b=3の化合物を80〜0モル%、a+b=4〜5の化合物を0〜20モル%の範囲で含有し、臭素含量56〜72%、熱天秤での重量5%減少温度が250℃以上の耐熱性を示す無色透明の粘稠物である。【0033】上記一般式(2)で示される化合物の製造は、反応に不活性な溶媒に下記一般式(1)【0034】【化10】【0035】(式中、aは1〜3の整数、bは1〜2の整数を表す。)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体を溶解させ、これに臭素を1〜1.5モル倍量滴下して実施する。【0036】反応に使用する溶剤としては、上記一般式(1)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体及び臭素に対して不活性であり、上記一般式(1)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体及び臭素を溶解可能であればあらゆるものが適用可能であり、具体的にはジクロロメタン、ジブロモメタン、クロロホルム、ブロモホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。【0037】溶剤の使用量としては、反応に具する原料の上記一般式(1)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体に対してあらゆる量比で使用可能であるが、1重量倍量以下では反応終了後の反応液粘度が高くなるため好ましくなく、また100重量倍量以上では経済的ではない。従って好ましくは1〜100重量倍量の範囲で、さらに好ましくは2〜50重量倍量の範囲である。【0038】反応温度としては、溶剤により異なるが、通常0℃〜70℃の範囲で実施する。【0039】反応時間としては、反応温度により異なるが、通常1〜8時間の範囲で実施する。【0040】反応後、反応液の溶媒を留去、乾燥することにより目的とする上記一般式(2)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体を得ることができる。【0041】本発明の上記一般式(1)及び一般式(2)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体は、難燃剤として使用される。【0042】本発明の難燃性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂、本発明の臭素化p−クミルフェノール誘導体、難燃助剤等から構成され、さらに必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤等に添加剤を添加しても良い。【0043】本発明の臭素化p−クミルフェノール誘導体が配合可能な樹脂としては、具体的には例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、発泡ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(以下ABSと略す。)、ポリプロピレン、石油樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂が挙げられ、さらに熱可塑性樹脂を2種以上混合したポリカーボネート−ABS、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレン等に代表されるポリマーアロイ等も例示できる。これらのうち、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、発泡ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、ポリプロピレン、石油樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂が挙げられ、さらに熱可塑性樹脂を2種以上混合したポリカーボネート−ABS、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレン等に代表されるポリマーアロイが好適な樹脂として例示される。【0044】本発明の臭素化p−クミルフェノール誘導体の樹脂への配合量としては、配合する樹脂の種類や目的とする難燃性能により異なり、特に限定するものではないが、通常樹脂100重量部に対して5〜50重量部配合される。【0045】本発明の臭素化p−クミルフェノール誘導体を樹脂に配合するにあたり、三酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等の難燃助剤を添加しても良く、この場合本発明の臭素化p−クミルフェノール誘導体100重量部に対して通常5〜80重量部添加される。さらに必要に応じて、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、2、2、6、6−テトラメチルピペリジン誘導体の光安定剤、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤等を添加しても良く、この場合本発明の難燃性樹脂組成物100重量部に対して通常0.05〜5重量部添加される。これらの他、必要に応じて帯電防止剤やタルク、グラスファイバー等の無機充填剤を添加しても良い。【0046】本発明の臭素化p−クミルフェノール誘導体の樹脂への配合方法としては、熱硬化性樹脂に配合する場合には、例えば予め本発明の臭素化p−クミルフェノール誘導体を樹脂原料に分散させた後硬化させれば良く、熱可塑性樹脂に配合する場合には、例えばコニカルブレンダーやタンブラーミキサーを用いて必要な配合試剤を混合し、二軸押出機等を用いてペレット化しても良い。これらの方法で得られた難燃性樹脂組成物の加工方法は、特に限定されるものではなく、例えば押出成型、射出成型等を行い、目的とする成型品を得ることができる。【0047】【発明の効果】本発明の臭素化p−クミルフェノール誘導体は、有能な難燃剤であり、特に熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂に配合した場合、樹脂の機械物性を低下させることなく高い難燃性能を発現する。【0048】【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。【0049】参考例1撹拌機及び冷却ジャケット付き滴下ロートを備えた1リットルの四つ口丸底フラスコにp−クミルフェノール42.4g(0.2モル)、三塩化アンチモン2.1g(0.01モル)及びジクロロメタン382gを仕込み、冷却循環恒温装置を用いて−2℃に冷却した。【0050】次に、0.5リットルの四つ口丸底フラスコに臭素60.7g(0.38モル)及びジクロロメタン379gを仕込み、冷却循環恒温装置により0℃に冷却した後、塩素21.3g(0.3モル)を一時間かけて吹き込み、塩化臭素のジクロロメタン溶液を調製した。この塩化臭素のジクロロメタン溶液を先ほどの冷却ジャケット付き滴下ロートに仕込み、p−クミルフェノール溶液に6時間かけて滴下し、さらに30分間熟成を行った。【0051】反応後、反応液に5重量%ヒドラジン溶液を加えて残存する塩化臭素及び過剰分の臭素を除外した後、分液し、水洗を行って臭素化p−クミルフェノールの溶液を得た。【0052】この臭素化p−クミルフェノールの溶液に水蒸気を吹き込み、まず溶媒を蒸留留去した後、続いて低沸点の不純物を同様に留去させた。水蒸気蒸留後、その温度を保ちながら、臭素化p−クミルフェノールの溶液層を分液した。次いで、この溶液を減圧下、90℃で乾燥の後、微黄色を帯びた粘調状態の臭素化p−クミルフェノール80.1gを得た。この得られた臭素化p−クミルフェノールについて、元素分析、核磁気共鳴スペクトル、ガスクロマトグラフィー及び赤外吸収スペクトルを測定した結果を以下に示す。【0053】この元素分析結果より算出した一分子当たりの平均臭素化数は2.61であった。【0054】(2)核磁気共鳴スペクトル(CDCl3、1H、ppm):δ1.4〜1.8(m、6H)、5.7〜5.8(s、1H)、6.9〜7.6(m、6.4H)。【0055】(3)ガスクロマトグラフィー(DB−1、0.25mm×15m):ジブロモ体;39.59wt%、ジブロモクロロ体;2.16wt%、トリブロモ体;53.28wt%、テトラブロモ体;4.68wt%、ペンタブロモ体;0.01wt%、低沸点物;0.28wt%。【0056】(4)赤外吸収スペクトル(KBr、cm-1):3495、2970、1763、1648、1589、1559、1475、1396、1364、1320、1271、1246、1200、1170、1141、1092、1009、930、876、863、825、788、737、716。【0057】実施例1撹拌機、還流管及び滴下ロートを備えた0.3リットルの4つ口丸底フラスコに参考例1で得られた平均臭素化数2.61の臭素化p−クミルフェノール17.1g(0.04モル)、メタノール60g、水酸化ナトリウム1.6g(0.04モル)及び水20gを仕込み溶解させた。【0058】次いでアリルクロライド3.7g(0.05モル)を臭素化p−クミルフェノール溶液に30分間かけて滴下し、オイルバス上で70℃に加熱し6時間熟成を行った。【0059】反応後、反応液のメタノールを留去し、ジクロロメタン50g及び水50gを添加して分液を行った。【0060】貧溶媒としてn−ヘキサン200gを用いて、分液後のジクロロメタン溶液を滴下して臭素化p−クミルフェノール誘導体16.9gの白色結晶を得た。この得られた臭素化p−クミルフェノール誘導体について、元素分析、融点、核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル及び熱天秤を測定した結果を以下に示す。【0061】この元素分析結果より算出した一分子当たりの平均臭素化数は2.61であった。【0062】(2)融点:95−100℃。【0063】(3)核磁気共鳴スペクトル(CDCl3、1H、ppm):δ1.6〜1.7(s、6H)、4.5〜4.6(m、2H)、5.3〜5.5(m、2H)、6.1〜6.3(m、1H)、7.0〜7.4(m、6.4H)。【0064】(4)赤外吸収スペクトル(KBr、cm-1):2971、2935、2877、1534、1469、1421、1387、1262、1092、1006、981、936、857、827、736、720。【0065】(5)熱天秤(℃):5%重量減少(228)、10%重量減少(247)、50%重量減少(296)。【0066】実施例2撹拌機及び滴下ロートを備えた0.3リットルの4つ口丸底フラスコに実施例1で得られた臭素化p−クミルフェノール誘導体4.7g(0.01モル)、ジクロロメタン50gを仕込み溶解させた。【0067】次いでジクロロメタン50gに臭素1.8g(0.01モル)を添加した溶液を臭素化p−クミルフェノール誘導体溶液に30分間かけて滴下し、2時間熟成を行った。【0068】反応後、水50gを添加して分液を行い、溶媒を留去した後、乾燥を行い、臭素化p−クミルフェノール誘導体6.3gの無色透明な粘稠物を得た。この得られた臭素化p−クミルフェノール誘導体について、元素分析、屈折率、核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル及び熱天秤を測定した結果を以下に示す。【0069】この元素分析結果より算出した一分子当たりの平均臭素化数は2.61であった。【0070】(2)屈折率:nD=1.6392(20℃)。【0071】(3)核磁気共鳴スペクトル(CDCl3、1H、ppm):δ1.6〜1.7(s、6H)、3.9〜4.1(m、2H)、4.3〜4.4(m、2H)、4.4〜4.6(m、1H)、7.0〜7.4(m、6.4H)。【0072】(4)赤外吸収スペクトル(KBr、cm-1):2970、2361、2342、1540、1489、1466、1389、1249、1093、1068、1009、874、825、740、668、578。【0073】(5)熱天秤(℃):5%重量減少(277)、10%重量減少(290)、50%重量減少(316)。【0074】実施例33リットルのオートクレーブに、水1kg、ポリスチレンビーズ300g、実施例1で得られた臭素化p−クミルフェノール誘導体4g、ジクロロメタン5gを仕込み、100℃に加熱した後、これにブタンガスを10kg/cm2になるまで圧入し、同温度で2時間保持した。【0075】室温へ冷却、濾過、水洗、乾燥の後、得られたビーズ中の臭素化p−クミルフェノール誘導体含量を測定したところ、3.95gであった。【0076】得られた難燃ポリスチレンビーズを通常の方法で発泡成型し、密度0.032g/cm3の発泡体を得、JIS A 9514に規定された燃焼性試験で保温板1種3号に合格した。【0077】実施例4耐衝撃性ポリスチレン(以下、HIPSと略す;三菱化学製HT−88)100重量部に対して、実施例2と同様の製造法で得られた臭素含量59.0重量%の臭素化p−クミルフェノール誘導体を10重量部、三酸化アンチモン3.3重量部配合し、200℃でロール混練りを行った。続いて、200℃でプレス成型を行った後、得られた試料片について、燃焼性試験、流動性(MFR)及び耐光性経時変化(色差計によるΔE値)の測定を下記の試験法で実施した。【0078】(1)燃焼性試験得られた試料片を、JIS K 7201に規格されている酸素指数測定法及びUL94V垂直燃焼性試験方法に準拠して燃焼性の評価を行った。【0079】(2)流動性(MFR)得られた試料片を、JIS K 7210に規格されている流動性(MFR)測定方法(測定温度;200℃、加重;5kg)に準拠して測定を行った。【0080】(3)耐光性経時変化(色差計によるΔE値)得られた試料片をアイスーパーUVテスター(33mW/cm2)を用い65℃での耐光性経時変化(色差計によるΔE値)を測定した。【0081】ΔE値={(L−L0)2+(a−a0)2+(b−b0)2}1/2L0、a0、b0:耐光性試験前の試料片測定値L、a、b :耐光性試験後の試料片測定値以上の結果を表1に示す。【0082】【表1】【0083】実施例5実施例4と同様に表1に示した配合を行い、燃焼性、流動性及び耐光性経時変化の測定を行った。結果を表1にあわせて示す。【0084】比較例1、比較例2HIPS100重量部に対して、市販のデカブロモジフェニルエーテル(東ソー製110R、以下DBDEと略す。)を表2に示す配合量で配合し、実施例4と同様な方法により試験片を作成し、さらに燃焼性試験、流動性(MFR)及び耐光性経時変化(色差計によるΔE値)の測定を行った。結果を表2に示す。【0085】【表2】【0086】比較例3、比較例4HIPS100重量部に対して、参考例1で得られた臭素化p−クミルフェノールを表2に示す配合量で配合し、実施例4と同様な方法により試験片を作成し、さらに燃焼性試験、流動性(MFR)及び耐光性経時変化(色差計によるΔE値)の測定を行った。結果を表2にあわせて示す。【0087】表1と表2から明らかなように本発明の臭素化p−クミルフェノール誘導体は市販剤と同等の難燃性能を示し、さらに高い流動性及び耐光性を示した。 下記一般式(1)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体。(式中、aは1〜3の整数、bは1〜2の整数を表す。) 一般式(1)において、a+b=2の化合物を0〜80モル%、a+b=3の化合物を80〜0モル%及びa+b=4〜5の化合物を0〜20モル%含有することを特徴とする請求項1に記載の臭素化p−クミルフェノール誘導体の組成物(但し、a+b=2の化合物、a+b=3の化合物、及びa+b=4〜5の化合物のいずれもが0モル%になることはない。)。 下記一般式(2)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体。(式中、aは1〜3の整数、bは1〜2の整数を表す。) 一般式(2)において、a+b=2の化合物を0〜80モル%、a+b=3の化合物を80〜0モル%及びa+b=4〜5の化合物を0〜20モル%含有することを特徴とする請求項3に記載の臭素化p−クミルフェノール誘導体の組成物(但し、a+b=2の化合物、a+b=3の化合物、及びa+b=4〜5の化合物のいずれもが0モル%になることはない。)。 下記一般式(3)(式中、aは1〜3の整数、bは1〜2の整数を表す。)で示される臭素化p−クミルフェノールとアリルハライドを反応させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の臭素化p−クミルフェノール誘導体又はその組成物の製造法。 下記一般式(1)(式中、aは1〜3の整数、bは1〜2の整数を表す。)で示される臭素化p−クミルフェノール誘導体と臭素を反応させることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の臭素化p−クミルフェノール誘導体又はその組成物の製造法。 請求項1又は請求項2に記載の臭素化p−クミルフェノール誘導体を樹脂に配合することを特徴とする難燃性樹脂組成物。 樹脂100重量部に対し臭素化p−クミルフェノール誘導体を5〜50重量部配合することを特徴とする請求項7に記載の難燃性樹脂組成物。 請求項3又は請求項4に記載の臭素化p−クミルフェノール誘導体を樹脂に配合することを特徴とする難燃性樹脂組成物。 樹脂100重量部に対し臭素化p−クミルフェノール誘導体を5〜50重量部配合することを特徴とする請求項9に記載の難燃性樹脂組成物。