タイトル: | 特許公報(B2)_グアニジン類の製造方法 |
出願番号: | 1997042800 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 277/08,C07C 279/18,B01J 27/10,C07B 61/00 |
八児 真一 渡辺 一行 JP 3890543 特許公報(B2) 20061215 1997042800 19970122 グアニジン類の製造方法 共同薬品株式会社 000162157 八児 真一 渡辺 一行 20070307 C07C 277/08 20060101AFI20070215BHJP C07C 279/18 20060101ALI20070215BHJP B01J 27/10 20060101ALI20070215BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070215BHJP JPC07C277/08C07C279/18B01J27/10 XC07B61/00 300 C07C277/00 C07C279/18 CASREACT(STN) 特開昭61−78763(JP,A) 特開昭61−91166(JP,A) 特表平7−505159(JP,A) 1 1998204050 19980804 5 20040110 中野 孝一 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はジアゾ型感熱記録材料の用途に用いられ、高性能を発揮する感熱性有機塩基物質であるグアニジン類の製造法に関して、詳しくは、ジシクロヘキシルカルボジイミドとアニリン類を反応させて、グアニジン類を製造する方法に関する。【0002】感熱記録材料は、一般に紙、合成紙、プラスチックフィルム等の支持体に、熱発色性組成物を主成分とする感熱発色層を設けたものであるが、該層を加熱することにより多色の画像が得られる等の利点があり、図書、文書等の複写に利用される他、電子計算機、ファクシミリ、発売機等の多方面に記録材料として利用されている。これらに使用されるグアニジン類の品質は98重量%以上好ましくは99重量%以上が要求される場合が多い。【0003】【従来の技術】感熱記録材料に使用されるグアニジン類の製造法としては、Bulletindela Socie’te’chimque de France 1965年版(10月分冊)3694〜3697ページの「ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはジベンジルカルボジイミドとピクリン酸の縮合生成物」の論文中にジシクロヘキシルカルボジイミド(以下DCC)とアニリンを無溶媒、還流下で30分反応を行い、生成物を熱メタノールに溶解して活性炭で脱色処理を行った後、N,N’−ジシクロヘキシル−N”−フェニルグアニジンを得る方法が記載されている。しかし、この方法では、収率は57%であり、また、満足した品質ものは得られていない。【0004】また、特公平5−31543号(日本カーバイド株式会社)によると、DCCとアニリンをアルコール類の溶媒下、塩化水素ガスまたは塩化水素のアルコール類溶液を導入して反応させ、得られたN,N’−ジシクロヘキシル−N”−フェニルグアニジン塩酸塩を苛性ソーダで中和した後、アルコール類で洗浄し、その後水洗、乾燥して結晶を得ている。しかし、この方法では、得られる製品の品質は良好であるが、操作が煩雑である。【0005】【発明が解決しようとする課題】上記のBulletin dela Socie’te’chimque de France 1965年版(10月分冊)の方法では、得られた結晶の品質が感熱記録材料用には適していなく、再結晶等が必要である。【0006】また、特公平5−31543号では、品質は良好であるが操作が煩雑である。すなわち、DCCとアニリンをアルコール類溶媒下で塩化水素の存在で反応させた後、苛性ソーダで中和処理するが、ここで、使用する塩化水素ガスは得られるN,N’−ジシクロヘキシル−N”−フェニルグアニジンと当量であり、副生する食塩も当量である。また、生成物をろ別し、アルコール類で洗浄し、またその後、結晶を水中に投入するなどの工程があり、作業が煩雑となり好ましくない。【0007】【課題を解決するための手段】本発明は上記の煩雑な操作のない方法を提供するものである。すなわち、触媒として、ルイス酸を用いることを特徴とするDCCとアニリン類からグアニジン類の製造方法を提供するに到ったものである。本発明により高収率、短時間で目的物であるグアニジン類を製造することができる。【0008】【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明する。使用する触媒としては、例えば、無水塩化アルミニウム、無水塩化亜鉛、塩化錫、塩化鉄のような金属塩化物、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、オクチル酸錫のような有機酸金属塩、あるいは、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレートのような有機錫化合物があげられる。触媒の使用量としては、使用する原料に対して0.1%〜10%、好ましくは、0.5%〜2%添加する。添加量が0.1%より少ないと、反応速度が遅く、また、末反応原料が残る。また、10%より多いと反応が制御しにくく、また、経済的にも好ましくない。【0009】反応温度は、室温から150℃、好ましくは20℃〜120℃が良い。反応温度が20℃より低いと反応速度が遅く、未反応原料が残る。反応温度が150℃より高いと、生成物が着色する傾向が見られる。使用する溶媒としては、無溶媒でもよく、また場合によっては適当な溶媒を使用することもできる。使用する溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、クロロフォルム、四塩化炭素等の塩素化化合物、メタノール、エタノール等のアルコール類が挙げられる。使用する溶媒量としては原料に対して、10%〜200%、好ましくは50%〜100%が良い。溶媒量が少なすぎると、融点が高いものでは固化する可能性があり、また、溶媒量が多すぎると反応速度が遅く、経済的ではない。【0010】反応終了後は適当な方法で触媒の除去を行い、そのまま製品としてもよいが、晶析により精製して結晶化して取り出すこともできる。使用する溶媒としては、メタノール、エタノールのようなアルコール類、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンのような芳香族化合物、アセトン、エチルメチルケトンのようなケトン類を用いることができる。また、これらの溶媒の混合物でもよい。【0011】【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明の効果を具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。[実施例1]200ml四つ口フラスコに攪拌器、温度計、冷却器を取り付け、ここにDCC20.6g(0.1mol)、アニリン9.3g(0.1mol)、トルエン40gを仕込む。攪拌して、溶解後、無水塩化アルミニウム0.4gを添加する。次第に発熱し、液温は、22℃から47℃となる。発熱が収まったら、昇温し、内温を80℃〜90℃として1時間保持する。次に、トルエン50g、メチルイソブチルケトン20gを仕込み析出した結晶を溶解させる。その後、触媒除去のため15%水酸化ナトリウム4.2gを添加し、触媒を溶解させた後、静置後、分液する。分液後、水6gを添加し、水洗、静置、分液する。これをもう1回繰り返す。水洗終了後、25℃まで冷却して、晶析する。冷却後、結晶をろ別し、50gのトルエンで洗浄して、乾燥した。 27.6gの結晶を得た。(収率92.2%)LC分析の結果、面積百分率99.9%融点166.5〜168.5℃であった。【0012】[実施例2]実施例1でアニリンの代わりに、2,5−ジクロロアニリンを用いた以外は同様に反応を行った後、トルエン50g、MIBK20gは添加せず、実施例と同様な処理を行った後、ヘプタン100gを添加した。結晶が析出するので65℃に昇温して、結晶を溶解後、冷却、ろ過した。その後、30gのヘプタンで結晶を洗浄して乾燥した。33.0g(収率89.7%)の白色結晶を得た。LC分析の結果、面積百分率99.9%融点117.5〜119.5℃であった。【0013】[実施例3]実施例1と同様な装置を用い、DCC20.6g、2,5−ジクロロアニリン16.2g、無水塩化亜鉛0.8gを仕込み、昇温して110℃〜120℃で1時間保持する。反応終了後、トルエン40gを仕込み、80℃に冷却後濃アンモニア水2.4g、水2.0gを仕込んで攪拌し、静置後分液する。その後、実施例2と同様な処理を行なったところ、31.2g(収率84.8%)の結晶を得た。【0014】[実施例4]実施例1と同様な装置を用い、DCC20.6g、2,5−ジクロロアニリン16.2gジブチル錫ジラウレート 1.8gを仕込んで110℃〜120℃に昇温して1時間保持する。反応終了後、トルエン10g、ヘキサン60gを仕込んで、析出した結晶を昇温して、完溶させた後、冷却して、結晶をろ別した。ヘキサン30gで洗浄後、乾燥した。31.6g(収率85.9%)の結晶を得た。【0015】[比較例1]実施例1と同様な装置を用い、DCC20.6g、アニリン9.3gを仕込んで150℃で16時間保持する。保持後、実施例4と同様な処理を行ったところ、2.8gの結晶を得た。収率9.4%であり、分析の結果、原料のアニリンを含んでいた。【0016】[比較例2]実施例1と同様な装置を用い、DCC20.6g、2,5−ジクロロアニリン16.2g、メタノール20g、98%硫酸2gを仕込んで昇温し、還流下、6時間保持した。その後、メタノールを留去して、昇温し140℃〜150℃で7時間保持する。110℃に冷却後、トルエン40gを仕込んで、15%水酸化ナトリウム5.5gを添加し、攪拌、静置、分液した。その後、水6g洗浄し、分液した。これを繰り返した後、トルエンを留去した。留去後、メタノール 60gを仕込んで冷却し、析出した結晶をろ別した。20gのメタノールで洗浄後、乾燥した。20.6gの結晶を得た。(収率56%)しかし、この結晶は不純物を50%以上含んでいた。【0017】【発明の効果】本発明により、グアニジン類を高収率、短時間で得ることができる。すなわちDCCとアニリン類を反応して、グアニジン類を製造する際、触媒量のルイス酸を使用して反応させることにより、短時間で反応を完結させることができる。また、反応終了後は、適当な方法により触媒を除去して、グアニジン類を取り出すことができる。また、場合によっては、触媒除去後、晶析により精製してグアニジン類を得ることができる。 ルイス酸の存在下、ジシクロヘキシルカルボジイミドとアニリン類を反応させ、グアニジン類を製造する方法