生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_エチレンの接触気相酸化方法
出願番号:1996531467
年次:2007
IPC分類:C07D 301/08,C07D 301/10


特許情報キャッシュ

テ・ラア,アレント,ヤン JP 3935205 特許公報(B2) 20070330 1996531467 19960416 エチレンの接触気相酸化方法 シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ 川原田 一穂 テ・ラア,アレント,ヤン GB 95200975.1 19950418 20070620 C07D 301/08 20060101AFI20070531BHJP C07D 301/10 20060101ALI20070531BHJP JPC07D301/08C07D301/10 C07D301/08 C07D301/10 CAplus(STN) WPI(DIALOG) 特開昭57−067573(JP,A) 特開平05−194452(JP,A) 9 EP1996001613 19960416 WO1996033182 19961024 1999503740 19990330 8 20030307 瀬下 浩一 本発明は、分子酸素含有ガスを用いてエチレンの接触気相酸化(catalytic vapour phase oxidation)を行う方法に関する。この種の反応は高発熱性である。これらの反応は通常、多数の反応管を含み、各管が固体粒状触媒を収容し熱交換流体で包囲される、竪形管形熱交換器型の反応器で実施される。この種の反応器は、長さ6〜15m、内径20〜50mmの反応管を数千個備えている。エチレンを酸化する場合の触媒は通常、不活性担体材料に支持された銀をベースとし、これに促進剤及び補助促進剤を添加し得る。熱交換流体は、炭化水素もしくは炭化水素混合物、例えばn−オクタン、n−ノナン、ケロシン、ISOPAR、MOBILTHERMもしくはDOWTHERM(ISOPAR、MOBILTHERM及びDOWTHERMは商標)、又は水であってよい。熱交換流体は通常、液体形態で反応器内に流入し、蒸気形態で反応器から流出する。エチレン酸化の望ましい生成物は酸化エチレン(EO)であるが、望ましくない重大な副反応として、二酸化炭素及び水への完全な酸化、並びに酸化エチレンからアセトアルデヒドへの異性化がある。これまでは、エチレンからホルムアルデヒドへの直接的完全酸化は余り強調されてこなかった。完全なエチレン酸化に起因する選択性の喪失は、現代の高選択性EO触媒、例えば、銀の他に促進量のレニウム及び少なくとも1種類の別の金属促進剤を任意にレニウム補助促進剤と共に含み表面積20m2/g以下の支持体で担持された触媒を開示しているEP−B−第266015号に記載のような触媒を使用することによって大幅に軽減される。反応器の設計については、先行技術では伝統的に、エチレン酸化反応後に流出ガスを急冷することにより、酸化エチレンからアセトアルデヒドへの異性化を防止する配慮がなされてきた。そのために数種類の反応器の設計が開示されたが、いずれも共通して、管形熱交換器が少なくとも一つの中間の管板により横断方向で分割されて少なくとも二つの分離チャンバ(上流反応ゾーン及び下流冷却ゾーン)を形成し、これらのチャンバ内を1種類以上の熱交換流体が別個に循環するようになっている。米国特許明細書第3,147,084号は、横断方向に配置した中間間仕切り管板及び二つの分離チャンバの原理を初めて開示したものであり、その目的は、「反応流における副反応を抑圧する」ために「反応完了後に反応したガス流を冷却する」ことであるとしている。米国特許明細書第4,061,659号では、同じ原理が、「エチレンを酸化エチレンに直接酸化する一般的な方法において、酸化エチレンからアセトアルデヒドへの異性化を最小限にする」ために利用されており、触媒性ではなく不活性の表面積0.1m2/g以下の充填材料を冷却ゾーンの管に充填するという特徴が加えられている。米国特許明細書第4,376,209号では、冷却ゾーンの管に充填するために使用する充填材料は不活性ではなく、酸化エチレンからアセトアルデヒドへの異性化を防止することができる物質を含み、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムの中から選択した1種類以上の金属を担持している。米国特許明細書第4,921,681号では、多数の管の均一冷却を促進するために、冷却剤分配ゾーンが冷却ゾーンの下流に付加されている。容易に認識されるように、米国特許明細書第3,147,084号で既に開示されており、その後の明細書にも記述されている共通の特徴は、多管反応器内に少なくとも二つのゾーンが存在し、これらのゾーンが少なくとも一つの横断方向に配置された管シートで分離されていることにあり、この共通の特徴が反応器の設計に大きな負担をかけている。その後の明細書で加えられた別の特徴は、この負担を重くしているにすぎない。本発明の目的は、エチレンから酸化エチレンへの酸化反応の望ましくない副産物であるアルデヒド、特にホルムアルデヒドの量を減らすことにある。EOからアセトアルデヒドへの異性化は、自明のこととして、エチレンからEOへの酸化の後に生起するが、エチレンからホルムアルデヒドへの酸化はEOの生成と同時に生起し得る。従って、前出の文献に教示されているような流出ガス混合物の反応後冷却がホルムアルデヒドの生成に実質的に作用することは期待できない。エチレン酸化生成物中に存在するホルムアルデヒドの量及びアセトアルデヒドの量は、実効反応カラムの下流部分で、前記カラムの上流部分の温度よりいくらか低い温度を維持することにより、極めて実質的に減らすことができると判明した。驚いたことに、このアルデヒド生成物の減少は、エチレン酸化反応の全体的効率を犠牲にせずに、即ちエチレン酸化速度を維持しながら達成され、EOに対する選択性も増加することが判明した。また、そのために管−シート(tube-and-sheet)反応器の従来の設計を実質的に変える必要がなく、特に中間管板の配置が不要であることも判明した。従来の竪形管−シートエチレン酸化反応器では、熱交換流体を反応器の上方(反応ガス流に対して上流)端部、又は下方(下流)端部に導入し得る。どちらの場合も、熱交換流体は上方(上流)端部で反応器から除去する。どちらの場合も、冷却原理としては循環流体より蒸発流体の方が好ましい。液体の大きな蒸発熱と沸騰液の大きな熱伝達係数とを最大限に利用するために、熱交換流体は、使用する圧力の下で当該熱交換流体の沸点にほぼ等しい温度の液体形態で反応器内に導入する。どちらの場合も、熱交換流体は蒸気形態(実際には、該蒸気は連行液を含む)で反応器から流出し、反応器の外で凝縮され、再使用される。N.Piccini及びG.Levy,The Canad.J.of Chem.Engin.82 1984 541−546によれば、最適選択性は、反応器の出口と入口との間の冷却剤の温度差を4〜5℃に維持することによってのみ達成できる。この文献ではまた、DOWTHERMのような炭化水素混合物よりn−ノナンのような単一炭化水素冷却剤の方が沸点範囲が広いため好ましいとされている。本発明では、従来の操作と異なる特徴として、熱交換流体の少なくとも一部を、反応器から流出する時の熱交換流体の温度より少なくとも20℃低い温度で反応器の下方端部に導入する。反応器底部には温度がより低い沸騰開始前の液体熱交換流体が残留するため、多重反応管の最下流部分は主要部分より冷却度が大きく、そのため、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド双方の生成が全体的反応効率に悪影響を与えずに低下するという驚くべき結果が得られる。従って本発明は、多数の反応管に担持型銀触媒が入れられ、これらの反応管が液体形態で反応器内に流入し蒸気形態で反応器から流出する熱交換流体で包囲される単一チャンバ反応器で、分子酸素含有ガスを用いてエチレンの接触気相酸化を行うための方法であって、液状熱交換流体の5〜100重量%を、反応器から出る時の熱交換流体の温度より少なくとも20℃低い温度で反応器の下流端部に導入することを特徴とする方法を提供する。単一チャンバ反応器は、横断方向で複数の分離チャンバに分割されない種類のものである。好ましくは、前記温度は、反応器を出る時の熱交換流体の温度より少なくとも40℃低く、より好ましくは少なくとも80℃低い。反応器を出る時の熱交換流体の温度は使用する圧力での該流体の沸点にほぼ等しいため、熱交換流体を反応器の下流端部に導入する時の温度は、使用する圧力での該流体の沸点より少なくとも約20℃低い温度でもあることが理解されよう。また、反応器から流出する熱交換流体の温度は反応管本体内の触媒の温度にほぼ対応するものであることも理解されよう。本発明で反応器の下流端部に導入する熱交換流体の一部は、前述のような反応器から出る時の熱交換流体の温度より20℃低い温度を上限とする。下限温度は記述の必要がなく、反応管の下流部分の温度及び生成アルデヒド量を低下させる効果を得るためには、反応器の下流端部に導入する熱交換流体の量を増加するか、該流体の温度を低下させるかのいずれか、又はその両方を効果的に使用し得ることが理解されよう。本明細書に記載の発明は、原則として、一般的に使用されている任意の熱交換流体を用いて適用し得る。好ましくは、熱交換流体は炭化水素混合物、特に沸点範囲の広い枝分れアルカン、例えばISOPARである。より好ましくは、大気圧で測定され、摂氏で表される初期沸点(IBP)と最終沸点(FBP)との差として示すのが適当な沸点範囲は、10℃以上、最も好ましくは40℃以上である。熱交換流体の(任意的な)自己発火温度は好ましくは操作温度より高く、好ましくは少なくとも40℃高い。本発明の方法は、使用するエチレン酸化触媒が、EP−B−第266015号に開示されているように、銀と促進量のレニウムと1種類以上の別の金属促進剤とを含み、任意にレニウム補助促進剤も含み、表面積20m2/g以下の支持体に担持されている場合に、特に十分な効果を発揮する。本発明の方法では、流出反応ガス流の出口での温度は、反応管の主要部の触媒の温度より5〜30℃低いことが判明した。これは、生成ホルムアルデヒドのモル量を30〜90%減少させるのに十分であることが判明した。本発明がより良く理解されるように、例示の目的で添付図面を参照する。第1図は本発明の範囲外のEO製造方法を簡単に示す説明図であり、第2図はこれと類似の本発明の方法を示す説明図である。本発明の範囲外の方法を示す第1図では、エチレンと酸素とを含む反応ガスが導管1を介して管−シート反応器Aの上部に供給され、生成ガスが導管2を介して反応器から流出し、処理され再使用される(図示せず)。導管3を介して反応器から流出する熱交換流体蒸気(連行液を含む)は分離器Bで一部が凝縮され、残りが凝縮器Cに送られ、液体として容器Dに回収され、導管7及びポンプEを介して分離器Bに送り返される。液状熱交換流体は導管4を介してBから反応器Aの上部に流入し、及び/又は導管8を介して反応器の底部に流入する。第2図は本発明の方法を示すものであり、導管7の液状熱交換流体の一部又は全部をBではなく熱交換器Fに送り、そこで更に冷却して、導管3内の温度より少なくとも20℃低い温度にする点で先行技術の方法と異なる。冷却した液状熱交換流体はFから導管9を介して反応器の底部に流入する。分子酸素を用いてエチレンを気相接触酸化することにより酸化エチレンを製造する方法は、酸素源に応じて、純酸素を使用する方法及び空気を使用する方法に大別されるが、基本的な相違はなく、本発明はどちらの場合にも適用できる。エチレンの酸化に純酸素を使用するか空気を使用するかに関係なく、反応ガス混合物はエチレン及び酸素の他に、過剰量の希釈剤、例えば二酸化炭素、窒素、アルゴン、メタンと、少量のハロゲン化物反応調節剤、例えば塩化エチル、塩化ビニル又はジクロロエタンとを含む。例えば反応ガスは、1〜40容量%のエチレン、3〜12容量%の酸素、0〜3容量%のエタン、0.3〜50PPmのクロロヒドロカーボン調節剤を含み得、残りがアルゴン及び/又は窒素及び/又はメタンからなり得る。入口の反応ガス圧力は大気圧から4000kPaの範囲、好ましくは1000〜3000kPaの範囲である。反応(触媒)温度は150〜350℃、好ましくは220〜300℃である。反応ガス混合物の容積時空速度(VHSV)は、標準的温度及び圧力条件で測定して、充填触媒1倍容当たり1000〜10000、好ましくは2000〜8000倍容である。O2変換率は10〜60%、EO生成率(処理率)は30〜400kg/m3触媒/時である。炭化水素熱交換流体の圧力は通常100〜1500、好ましくは200〜800、より好ましくは200〜600kPaである。熱交換流体が水の場合には、使用する圧力は1500〜8000kPaである。反応器を出る時の熱交換流体の温度は通常200〜350℃、好ましくは220〜300℃である。熱交換流体の量は通常、生成EO1トン当たり0.5〜50トンである。本発明は、アルデヒド生成の減少以外に、反応ガス混合物中でより高い濃度の酸素を使用できるという利点も有する。周知のように、より高い酸素濃度はEOに対する反応の選択性を促進するが、酸素濃度の増加に伴って爆発の危険も増加する。従って、爆発の危険が、反応ガス混合物に使用できる酸素濃度を制限する。また、これも周知であるが、最大許容酸素濃度(ここでは便宜上、酸素引火限界(oxygen flammable limit)と称する)は複数の要因に依存し、特にガス混合物の温度、圧力及び容量に正比例し、熱容量及び流量に反比例する。その他の要因が同じであれば、酸素引火限界が温度の低下に伴って上昇することは明らかであろう。普通の操作では、ガス混合物は反応器の底部で最高温度を示すため、この時点の温度が低下すれば流出ガス混合物の酸素引火限界が高くなる。また、流出ガス混合物は、生成物EOと過剰二酸化炭素と希釈剤とを除去した後で、反応性ガスとして反応器の上部に再循環させるため、前述の現象は、システム全体の酸素濃度を増加させることができ、EOに対する選択性が高まるという利点が得られることを意味する。以下の実施例は、本発明を例示する一連のプラント試験である。実施例試験は市販のプラントで、65cm3の触媒を充填した反応器を用いて、13t/時(即ち200kg/m3触媒/時)の一定のEO生成速度で操作を行って実施した。反応器内に導入する反応ガス混合物の組成は、容量%で表して、エチレン30%、酸素5.9%、アルゴン10%、CO23.7%、窒素0.5%、塩化エチル4.0ppm、塩化ビニル3.7ppm、メタン100%の残りとした。反応器内を通過する反応ガス混合物のVHSVは4700にし、該混合物は入口温度142℃で導入した。使用した触媒は、欧州特許出願公開明細書第266015号に開示されているようなShellから市販されている触媒s−880を熟成させたものである。熱交換流体は、IBP及びFBPがそれぞれ173℃及び233℃である市販の枝分れアルカンブレンドISOPARを熟成させたものである。冷却剤の圧力は470kPaとした。試験は、1回に2日間かけて、5回連続実施した。試験I及びIIは比較用に実施したものであり、全てのISOPARを沸点(276℃)で反応器の上部及び底部にそれぞれ導入することを特徴とする。試験III、IV及びVは本発明によるものであり、ISOPARの一部を沸点よりかなり低い温度で反応器の底部に導入することを特徴とする。5回の試験の実施中に、出口の1m上方の地点の触媒温度、出口の反応ガスの温度、及び出口の熱交換流体の温度を測定した。ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドの毎時生成量を、生成物の試料のHPLC分析で測定した。酸素変換率及びEOに対する選択性(消費エチレンのモル%で表す)を記録した。当該反応条件下での引火限界(測定値)が、292℃では4容量%O2(試験I及びII)であり、流出ガス温度が1℃低下する毎に0.03容量%O2ずつ上昇することを考慮して、流出ガス中の酸素の引火限界を該ガスの温度に基づいて計算した。5回の試験の実験条件及び結果を下記の表に示す。これらの結果から明らかなように、本発明は、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド両方の生成を減少させ、EOに対する選択性を増加させ、O2引火限界を上昇させるのに有効である。 多数の反応管を含み、これらの反応管に担持型銀触媒が入れられ、これらの反応管が、液体形態で反応器内に流入し蒸気形態で反応器から流出する熱交換流体で包囲される単一チャンバ反応器で、分子酸素含有ガスを用いてエチレンの接触気相酸化を行うための方法であって、液状熱交換流体の5〜100重量%を、反応器から出る時の熱交換流体の温度より少なくとも20℃低い温度で反応器の下流端部に導入することを特徴とする前記エチレンの接触気相酸化を行うための方法。 前記温度が、反応器を出る時の熱交換流体の温度より少なくとも40℃低いことを特徴とする請求項1に記載の方法。 使用する熱交換流体の量が生成酸化エチレン1トン当たり0.5〜50トンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。 反応器を出る時の熱交換流体の温度が220〜300℃であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。 使用する熱交換流体が枝分れアルカンの混合物であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。 前記混合物が、初期沸点と最終沸点との差として測定して、少なくとも10℃の沸点範囲を有することを特徴とする請求項5に記載の方法。 熱交換流体の圧力が200〜800kPaであることを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。 使用する熱交換流体が水であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。 使用するエチレン酸化触媒が、銀と促進量のレニウムと1種類以上の別の金属促進剤とを含み、任意にレニウム補助促進剤も含み、表面積20m2/g以下の支持体に担持されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。


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