生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_L−2−アミノアジピン酸の製造方法
出願番号:1996530185
年次:2006
IPC分類:C12P 13/04,C12N 1/20,C12R 1/20


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仲田 邦穂 成田 隆夫 恒川 博 吉岡 武男 JP 3758680 特許公報(B2) 20060113 1996530185 19960403 L−2−アミノアジピン酸の製造方法 メルシャン株式会社 中村 稔 大塚 文昭 宍戸 嘉一 竹内 英人 今城 俊夫 小川 信夫 村社 厚夫 箱田 篤 仲田 邦穂 成田 隆夫 恒川 博 吉岡 武男 JP 1995081626 19950407 20060322 C12P 13/04 20060101AFI20060302BHJP C12N 1/20 20060101ALN20060302BHJP C12R 1/20 20060101ALN20060302BHJP JPC12P13/04C12N1/20 AC12N1/20C12R1:20C12P13/04C12R1:20 C12P 13/04 C12N 1/20 C12P 13/04 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平6−181787(JP,A) 8 FERM BP-5457 JP1996000913 19960403 WO1996031616 19961010 5 20030313 内藤 伸一 技術分野本発明は、微生物を利用したL−2−アミノアジピン酸の製造方法に関する。L−2−アミノアジピン酸は、非蛋白性のアミノ酸であり、抗リウマチ剤、乾癬治療剤及び制癌剤として有用なメトトレキセート誘導体(WO92/09436)等の医薬品製造の中間体として重要である。また、ペプチド性抗生物質やペプチドホルモンなどの生理活性ペプチドの末端修飾剤として用いることができ、ペニシリンやセファロスポリンに代表されるβ−ラクタム系抗生物質の発酵生産において前駆体としても利用できる。発明の背景L−2−アミノアジピン酸は、細菌であるCholera vibrio、トウモロコシをはじめとする植物体、カエルの胚など、生物界に広く見いだされている。また、真菌類などにおいてはリジン生合成の中間体として、また、β−ラクタム系抗生物質の生合成においては前駆体としての位置を占めている。その化学合成による製造は光学分割や多段階反応を必要とすることから、コスト的に有効な手段とはなっていない。微生物による生産としては、アルカリゲネス、シュードモナス、クルチアに属する微生物を用いて、L−ピペコリン酸から製造する方法(特開平1−98495号公報)が知られ、また、アグロバクテリウム、クレブシエラ、アルカリゲネス、ブレビバクテリウム、バチルスに属する微生物を用いて、L−リジンから製造する方法(特開平6−181787号公報)が知られている。しかし、前者では原料であるL−ピペコリン酸が高価であること、後者では反応効率が一般に低く、大量製法としての問題を残している。発明の開示本発明は、L−リジンから直接L−2−アミノアジピン酸を高収率で得ることができ、大量製法として用いうる微生物的方法を提供することを目的とする。本発明は、微生物としてリジンのα−アミノ基を変化させることなく、アミノメチル基を酸化によりカルボキシル基に変えることができる特定の属の微生物を利用することによりL−リジンから直接的かつ効率的にL−2−アミノアジピン酸を得ることができるとの知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明は、L−リジンのアミノメチル基を、フラボバクテリウム属の微生物の培養物を用いてカルボキシル基に変換することを特徴とするL−2−アミノアジピン酸の製造方法を提供する。発明を実施するための最良の形態本発明の方法により製造されるL−2−アミノアジピン酸は、下記式1:HOOCCH(NH2)CH2CH2CH2COOH (1)で表わされ、本発明の方法にはその塩を製造する場合も含まれる。塩としては、酢酸、酒石酸などの有機酸塩、塩酸、硫酸等の無機酸塩、トリエチルアミン、N−メチルモルホリンなどの有機塩基塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基塩があげられる。本発明で使用するフラボバクテリウム属の微生物としては、リジンのアミノメチル基を酸化によりカルボキシル基に変え、リジンから直接L−2−アミノアジピン酸を製造できる能力がある限り、フラボバクテリウム属の微生物の任意の株を用いることができる。好ましい一例として、土壌より採取したフラボバクテリウム属の細菌No.7−1株を挙げることができる。このNo.7−1株は、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(住所:日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号)にFlavobacterium sp.7-1として寄託されている(受託番号FERM BP−5457:寄託日 1995年1月17日)。このNo.7−1株は、菌体の幅が0.5μm、長さが2μmのグラム染色陰性の好気性桿菌で、内生胞子は生じず、カタラーゼ、オキシダーゼ、フォスフアターゼ陽性で、黄色色素を分泌した。鞭毛は持たず運動性がなかった。これらの生理的性質から、バージェイズマニュアルオブシステマチックバクテリオロジーにもとづきフラボバクテリウム属と同定した。上記、微生物を培養する培地は、特に限定されず、通常の微生物の培養に用いられるものであればよく、例えば、炭素源としては、上記微生物の利用可能なものであればいずれも使用でき、具体的には、グルコース、フルクトース、シュクロース、デキストリンなどの糖類、グリセロール、ソルビトールなどの糖アルコール、フマル酸、クエン酸等の有機酸を使用でき、これらの炭素源の培地への添加量は、通常、0.1〜10重量%(以下、%と略称する)程度とすることが望ましい。窒素源としては、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸アンモニウム塩やフマル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム等の有機酸アンモニウム塩ないし、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物等の天然窒素源を使用でき、これらの窒素源の培地への添加量は、通常、0.1〜10%程度とすることが望ましい。又、無機塩類としては、例えば、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のリン酸アルカリ金属や塩化カリウム、塩化ナトリウム、等の塩化アルカリ金属、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄等の硫酸金属塩を使用でき、これらの無機塩類の培地への添加量は、通常、0.001〜1%程度とすることが望ましい。これらのうち、通常の細菌用の増殖培地を用いた液体培養が好ましく、炭素源としてはグルコース、マルトース、澱粉などが、窒素源としては硫酸アンモニウム、ペプトン、酵母エキス、大豆粉などが特に有効である。その他に、無機塩としてリン酸カリウム、硫酸マグネシウム、食塩などが通常用いられる。微生物の培養は、上記の培地で20〜40℃、好ましくは28〜37℃でpHは5〜9、好ましくは6〜8で好気的条件下で実施すればよい。本発明に利用できる微生物の培養物としては、その微生物の全培養液、菌体、培養濾液およびそれらの処理物があげられる。菌体の処理物としては、乾燥菌体やアセトン、トルエン、メタノール等の有機溶媒で処理した菌体、菌体抽出物、固定化処理物等をあげることができる。また、培養濾液の処理物としては、その培養液の濃縮物、乾燥粉末があげられる。更に、その培養菌体および培養濾液より酵素を分離精製して用いることもできる。本発明を実施するには、培地に微生物を接種した後、例えば、20〜40℃で12〜120時間培養することにより、微生物を1ml中に106〜1010個含む菌株培養液を得、その培養液に原料化合物であるL−リジンを通常、最終濃度が0.5〜30mg/mlになるように水または補助溶剤に溶解して加えるか、または溶解せずにそのまま添加し、通常、20〜40℃で18時間〜7日、好ましくは18時間〜5日反応させ、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂等を用いた各種イオン交換クロマトグラフィー、HP20などの吸着クロマトグラフィー、溶媒や温度を利用しての沈殿化や結晶化等の通常の精製手段によりL−2−アミノアジピン酸を得ることができる。添加するL−リジンの形状及び添加時期については特に制限されるものではないが、溶解性などの点から一塩酸塩として用いるのが好ましく、培養開始時の添加でもよく培養途中1〜5日目にも添加してもよい。本発明によれば、抗リウマチ剤、乾癬治療剤および制癌剤として有用なメトトレキセート誘導体(WO92/09436)の合成における有用中間体であるL−2−アミノアジピン酸を、L−リジン又はその塩から簡単な操作により、直接かつ効率良く製造することができる。次に本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例1Brain Heart Infusion 3.7%の組成の液体培地30mlをいれた300mlフラスコを滅菌し、L−リジン一塩酸塩20%液(水酸化ナトリウムでpHを8.0に調整)を1/10量添加した。No.7−1株をスラントより植菌し、28℃、220rpmで96時間振とう培養した。遠心により上清液を得、以下に示す液体クロマトグラフィー及び薄層クロマトグラフィーにより、上清液中に含まれるL−2−アミノアジピン酸を定量した結果、5.0g/lのL−2−アミノアジピン酸が生産されていることがわかった。液体クロマトグラフィー法カラム;Shim-pack ISC−07/S1504移動相;A液 0.2Nクエン酸ナトリウム(pH3.2)7%エタノールB液 0.6Nクエン酸ナトリウム(pH10.0)C液 0.2N水酸化ナトリウムグラジエント溶出流量;0.3ml/min温度;55℃検出器;蛍光検出器(Ex 348nm,Em 460nm)反応試薬;a液 0.04%次亜塩素酸ナトリウム炭酸−ほう酸緩衝液b液 0.08% o−フタルアルデヒド0.1%N−アセチルシステイン炭酸−ほう酸緩衝液反応試薬流量:a液、b液 各0.2ml/min薄層クロマトグラフィー法薄層;メルク社シリカゲル薄層 1.05715展開液;n−ブタノール:酢酸:水=3:1:1発色;ニンヒドリン得られた2−アミノアジピン酸について、L型体が100%であることを以下の液体クロマトグラフィー分析で確認した。カラム;ダイセル化学CR(+)移動相;過塩素酸水溶液 pH2.0検出;示差屈折計実施例2150mlのマルトース3%、バクトペプトン1%、酵母エキス0.5%、リン酸2カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.05%、食塩0.8%(pH6.8)の培地を含む500mlフラスコを滅菌し、No.7−1株を植え、28℃、220rpmで24時間振とう培養した。このフラスコ培養液を15リットルの同培地を含む30リットルのジャーファーメンターに添加した。但しジャー培地には、300gのL−リジン塩酸塩と消泡剤であるアデカノール(旭電化工業(株)製)0.75gを加えた。通気、撹拌を行い5日間培養したところ90gのL−2−アミノアジピン酸を生成した。培養液をパーライト添加後濾過し、ロータリーエバポレイターにより1/10液量に濃縮し塩酸でpHを3.2とし4℃に冷却した。得られた沈殿を濾過により得て、2%となるようにイオン交換水に溶かし、アンモニアでpHを10とした。陰イオン交換樹脂IRA−402(AcO-型)7.9リットルを用いて吸着、水で洗浄後、0.5N酢酸で分画溶出した。濃縮後4℃に冷却し、得られた結晶を乾燥した。その結果、82gのL−2−アミノアジピン酸の白色粉末を得た。 L−リジンのアミノメチル基を、フラボバクテリウム属に属する微生物の培養物を用いてカルボキシル基に変換することを特徴とするL−2−アミノアジピン酸の製造方法。 フラボバクテリウム属に属する微生物がFlavobacterium sp 7−1株(FERM BP-5457)である請求項1記載の製造方法。 フラボバクテリウム属に属する微生物の培養物に、L−リジンを添加して20〜40℃で18時間〜7日培養し、得られたL−2−アミノアジピン酸を単離する請求項1記載の製造方法。 フラボバクテリウム属に属する微生物の培養物が、液体培地にフラボバクテリウム属に属する微生物を接種した後、20〜40℃で12〜120時間培養したものである請求項3記載の製造方法。 L−リジンを濃度が0.5〜30mg/mlになるように添加する請求項3記載の製造方法。 L−リジンを添加した後、pH5〜9、好気的条件下で培養を行う請求項3記載の製造方法。 フラボバクテリウム属に属する微生物を液体培地に接種して20〜40℃で12〜120時間培養し、次いでL−リジンを添加して20〜40℃で18時間〜7日、pH5〜9、好気的条件下で培養した後、得られたL−2−アミノアジピン酸を単離することを特徴とするL−2−アミノアジピン酸の製造方法。 フラボバクテリウム属に属する微生物がFlavobacterium sp 7−1株(FERM BP-5457)である請求項7記載の製造方法。


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