タイトル: | 特許公報(B2)_酸に不安定な薬物の経皮送達のための組成物および方法 |
出願番号: | 1996521212 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 47/10,A61K 9/70,A61K 31/195,A61K 31/215,A61K 31/565,A61K 47/16,A61K 31/439 |
リ,チェンシェン JP 4081139 特許公報(B2) 20080215 1996521212 19960111 酸に不安定な薬物の経皮送達のための組成物および方法 ノーベン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド 507241023 NOVEN PHARMACEUTICALS, INC. 田中 光雄 100081422 山崎 宏 100084146 矢野 正樹 100106231 リ,チェンシェン US 08/369,756 19950106 20080423 A61K 47/10 20060101AFI20080403BHJP A61K 9/70 20060101ALI20080403BHJP A61K 31/195 20060101ALI20080403BHJP A61K 31/215 20060101ALI20080403BHJP A61K 31/565 20060101ALI20080403BHJP A61K 47/16 20060101ALI20080403BHJP A61K 31/439 20060101ALI20080403BHJP JPA61K47/10A61K9/70A61K31/195A61K31/215A61K31/565A61K47/16A61K31/439 A61K 特開昭61−246122(JP,A) 特開平02−138220(JP,A) 特開平03−086828(JP,A) 特開平03−261721(JP,A) 特表平06−503576(JP,A) 特開昭63−233916(JP,A) 特表平04−502719(JP,A) 特表平04−504109(JP,A) 特表平03−502700(JP,A) 国際公開第93/008795(WO,A1) 米国特許第05162315(US,A) 米国特許第04863970(US,A) 15 US1996000015 19960111 WO1996020699 19960711 1998512245 19981124 16 20030108 伊藤 幸司 本発明は、一般に、酸に不安定な薬物の経皮送達のための組成物および方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、薬物浸透を促進する経皮組成物および関連使用方法に関し、ここに、浸透促進剤は、当該機能的誘導体が酸に不安定な薬物の酸触媒分解を最小化する脂肪酸の機能的誘導体である。経皮薬物送達系は、薬物を皮膚または粘膜に適用することによって血流に薬物を導入するための効果的な手段である。経皮送達の利点は簡便さ、快適さ、腸内および非経口投与に伴う危険の回避、薬物吸収にわたる制御を含む。それは、性質により全身的である疾患を治療するのに特に適しており、皮膚または粘膜を通過でき、適用部位において刺激し、またはアレルギー性反応を起こすことのないいずれの薬物でも使用できる。皮膚を通っての薬物の浸透性は、脱水されケラチン化された細胞によって、あるいは粘膜中の表皮層によって特徴付けされる角質層によって影響され得る。皮膚を通っての薬物の経皮または皮下送達に対するバリアは、薬物が取り込まれる特定のビヒクルおよび担体を使用し、ビヒクルまたは担体が適用部位に止まり、その部位における薬物の浸透を増加させることによって克服しまたは低下させることができることが当該分野で認められている。Patelによる米国特許第4,863,970号(1989)は、その塩も含めた、親油性または親水性である医薬上活性剤の浸透を改良するための組成物および方法を記載する。Patelの局所用組成物は、(a)オレイン酸のごとき1種以上の細胞外皮無秩序化化合物、および(b)低級アルカノール(例えば、C2またはC3低級アルコール)の浸透促進性二成分混合物に溶解させた、またはそれと混合した医薬上活性剤を含有する。加えて、該処方は所望により促進剤組成物とで溶解する不活性な親水性または疎水性成分を含有することができる。この特許はオレイン酸のごとき浸透促進剤の酸に不安定な薬物に対する有害な効果を認識していないし、酸触媒分解を受けやすい薬物を安定化させ、同時に浸透促進剤としても機能する脂肪酸の機能的誘導体を示唆もしていない。米国特許第5,162,315号は、浸透促進剤としてのある種の置換されたアルカンアミドの使用を記載するが、酸に不安定な薬物を安定化させるのにそれらが特別に適することを示唆していない。Cooper,E.の「Increased Skin Permeability for Lipophilic Molecules」J.Pharm.Sci.73:(1984年8月)はプロピレングリコールまたは1,1−ブタンジオールの存在下での異なる濃度でのオレイン酸の使用を記載するが、酸に不安定な薬物に対する浸透促進剤の有害な効果を認識していない。浸透促進剤は当該分野でよく知られているが、経皮組成物においてある種の浸透促進剤をある種の薬物と組み合わせることに伴う問題は指摘されていない。例えば、出願人は、通常使用される浸透促進剤であるオレイン酸がある種の薬物と反応し、それを分解させるのみならず、薬物の浸透および送達に干渉する副産物を生じることを観察した。出願人は、このタイプの問題を克服するために、脂肪酸の機能的誘導体が、特に長期にわたって、例えば、貯蔵の数週間または数カ月の間、オレイン酸のごとき有機弱酸の存在下で分解する薬物を含有する経皮処方で使用できることを発見した。かかる薬物を本明細書では「酸に不安定な」薬物といい、有機弱酸の存在下での分解を受けやすいエステル、α,β−不飽和ケトン、アミノレブリン酸、アミド、イミンおよび同様の化合物を含む。出願人は前記した問題および解決を認識した最初のものである。「脂肪酸」なる用語は本明細書では最も広義に使用して、4ないし24個の炭素原子を有する飽和および不飽和の直鎖および分岐鎖の脂肪族酸を含ませる。「機能的誘導体」なる語は、脂肪酸の等電子的修飾または脂肪酸のカルボン酸官能基の非酸性誘導体またはその等電子的修飾をいう。発明の概要本発明は、(a)酸触媒分解を受けやすい薬理学上活性な薬物の治療上有効量;(b)低級アルカノールを実質的に含まない医薬上許容される担体;および(c)脂肪酸の浸透促進性機能的誘導体を含む経皮浸透促進性組成物に関する。もう1つの具体例において、本発明は、(a)酸触媒分解を受けやすい薬理学上活性な薬物の治療上有効量;(b)低級アルカノールを実質的に含まない医薬上許容される担体;および(c)脂肪酸の浸透促進性機能的誘導体を含む組成物を哺乳動物の皮膚または粘膜組織に局所投与することを特徴とする薬理学上活性な薬物を送達する方法に関する。図面の簡単な記載図1は、本発明における接着性一体物デバイスの模式図である。発明の詳細な記載本発明は、(a)酸触媒分解を受けやすい薬理学上活性な薬物の治療上有効量;(b)低級アルカノールを実質的に含まない医薬上許容される担体;および(c)脂肪酸の浸透促進性機能的誘導体を含む経皮浸透促進性組成物を提供する。「低級アルカノールを実質的に含まない」とは、5%未満、好ましくは2%未満の低級アルカノールを意味する。好ましい接着性担体では、低級アルカノールおよび加工用溶媒は加工の間に除去される。前記したごとく、「脂肪酸の機能的誘導体」なる語は、脂肪酸の等電子的修飾または脂肪酸のカルボン酸官能基の非酸性誘導体またはその等電子的修飾を意味する。具体的には、脂肪酸の機能的誘導体は飽和または好ましくは不飽和の(全てシスの)脂肪族酸を含み、ここに、カルボキシル基はアルコール、ポリオール、アミドのごときその機能的誘導体、およびエステル、エーテルおよびN,N’ジ置換アミドを含めたその置換誘導体で置換されている。本明細書で用いる前記した「脂肪酸」なる語は4ないし24個の炭素原子の高分子量の直鎖および分岐鎖の飽和および不飽和脂肪族酸を意味し、動物および植物に由来する、偶数の炭素原子を有するものを含むがそれらに限定れさるものではない。「脂肪酸の機能的誘導体」なる表現は、脂肪酸の少なくとも1種の機能的誘導体を含ませることを意図する。本明細書で用いるごとく、「薬理学上活性な薬物」およびその同等物、例えば、「剤」、「生物活性剤」および「医薬」なる語は、最も広い意味を有することを意図し、生体に送達されて所望の通常の有利な効果を生じるいずれかの治療上、予防上および/または薬理学上または生理学上有利な活性物質、またはその混合物のうちの少なくとも1種を含む。より具体的には、特に動物において、性質上治療的、診断的または予防的であるかとは無関係に、局所的または全身的な薬理学応答を生じさせることができるいずれの薬物も本発明で考えられる範囲内にある。薬物および/または生物活性剤は、事情次第で、病気または他の疾患を予防し、治癒し、診断しまたは治療するのに十分な量にて、単独でまたは2種以上のかかる剤の混合物として使用できることに注意すべきである。しかしながら、本発明で用いる薬物は、酸に不安定なもの、すなわち、酸(有機酸であっても)によって分解される、あるいは酸触媒反応で分解されるものである。したがって、本発明は、α,β−不飽和ケトン、特に3−オキソ−4,5デヒドロステロイド、エステルおよびα−ケトアミノ酸およびイミンで使用するのに特に適する。本発明の酸に不安定な薬物は酢酸ノルエチンドロンであり得る。包含され得る他の酸に不安定な薬物は:アンドロイソオキサゾール、ボラステロン、クロステボール、エチルエストレノール、ホルミルジエノロン、4−ヒドロキシ−19−ノルテストステロン、メテノロン、メチルトリエノロン、ナンドロロン、ナンドロロンデカノエート、ナンドロロンp−ヘキシルオキシフェニル−プロピオネート、ナンドロロンフェンプロピオネート、ノルボレトン、オキシメステロン、キノボロン、ステンボロン、トレンボロンのごとき同化ステロイド類、ボルデノン、フルオキシメステロン、メスタノロン、メステロロン、メタンドロステノロン、17−メチルテストステロン、17α−メチル−テストステロン、3−シクロペンチルエノールエーテル、ノルエタンドロロン、ノルメタンドロン、オキサンドロロン、オキシメトロン、プラステロン、スタンロロン、スタノゾロール、テストステロン、テストステロン17−クロラールヘミアセタール、テストステロン17β−シピオネート、テストステロンエナンテート、テストステロンニコチネート、テストステロンフェニルアセテート、テストステロンプロピオネート、ティオメストロンのごときアンドロゲンステロイド類、カンレノン、オレアンドリン、スピロノラクトンのごとき利尿性ステロイド類、およびアナゲストン、クロルマジノンアセテート、デルマジノンアセテート、デメゲストン、ジメチステロン、ジドロゲステロン、エチニルエストレノール、エチステロン、エチノジオール、エチノジオールジアセテート、フルロゲストンアセテート、ゲストデン、ゲストデンカプロエート、ハロプロゲステロン、17−ヒドロキシ−16−メチレン−プロゲステロン、17α−ヒドロキシプロゲステロン、17α−ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、メドロゲストン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロールアセテート、メレンゲストロール、ノルエチンドロン、ノルエチンドロンアセテート、ノルエチノドレル、ノルゲステロン、ノルゲスティメート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、19−ノルプロゲステロン、ノルビニステロン、ペンタゲストロン、プロゲステロン、プロメゲストン、キンゲストロン、トレンゲストンのごときプロゲストーゲン類である。医薬剤の前記リストは、The Merck Index,第11版,Merck & Co.,Rahway,N.J.(1989)に基づくものである。薬物およびその混合物は、いずれの形態が最適送達特性を生じるかに応じて、異なる形態にて本発明の組成物に存在させることができる。かくして、各々、酸性または塩基性基を含有する薬物は遊離酸もしくは塩基の形態で、あるいは塩、エステル、あるいは分子複合体の成分を含めた、いずれかの他の薬理学上許容される機能的誘導体の形態であり得る。組成物中に配合される薬物の量は、個々の薬物、所期の治療効果およびデバイスを治療に用いる期間に応じて変化する。薬物は「薬理学上有効な量」にて用いる。これはその薬物濃度が、組成物中、経皮投与形を用いる期間を通して送達される薬物の治療レベルが、好ましくは0次動力学的である程度であることを意味する。かかる送達は、薬物の化学的特性、薬物の形態、個々の投与単位を用いることのできる期間、薬物の系からの流速および他の変数の数を包含する多くの変数に依存する。必要な薬物の量は、促進剤と共にまたはなしで用いた場合、系を通り、皮膚を通る薬物の流速に基づいて経験的に決定できる。必要な流速を決定した後、経皮的送達系を、治療的使用の期間を通して放出速度が少なくとも流速に等しいように設計する。もちろん、経皮的送達系の表面積もまた系からの薬物の送達に影響を及ぼす。一般に、治療量の薬物は、0.05重量%ないし約50重量%、またはより好ましくは約0.1重量%ないし約30重量%の薬物を含有する組成物より送達できる。しかし、本発明の組成物は、比較的低濃度、特に組成物全体の0.1%ないし20%にて用いられる薬物の場合に特に有用である。本発明の担体は、接触する表面との適合能を有し、有害な生理学的応答なしに局所的塗布を容易にするように接触維持能を有し、使用に際してその形態を維持し、多少とも分解することのない、医薬上許容される担体の少なくとも1つとすることができる。かかる担体は、とりわけ、クリーム、軟膏、油、滑沢物および粘着物とすることができる。好ましい具体例において、該担体は、非毒性ポリマー、特にポリイソブチレン、スチレン、ブタジエン、スチレンイソプレンブロックコポリマー、アクリル、ウレタン、シリコーン、スチレンブタジエンコポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリアクリレートおよびカラヤガム、トラガカントガム、ペクチン、グアールガム、セルロースなどの多糖類、およびメチルセルロース、プロピルセルロース、セルロースアセテートなどのセルロース誘導体などの天然または合成エラストマーを包含する、経皮的送達用に薬物を担持する当該分野において知られているポリマーなどの粘着物またはその粘着物の組み合わせであり、皮膚または粘膜に接着しうるコロイド固体を形成する能力を有する他の物質と、または他の担体との組み合わせにおいて一緒に用いるものである。「粘着物」なる語は、意図する塗布部位で表面付着能を有する無機または有機の天然または合成物質を意味する。最も好ましい具体例において、本発明の担体は、感圧粘着物、すなわち、ほんの僅か加圧するだけで大抵の接着基面に瞬間的に接着し、不変的に粘着性である粘弾性物質である。好ましくは、感圧粘着物は、少なくとも2種のポリマーと、可溶性ポリビニルピロリドン(「PVP」)の混合物を有してなる。可溶性PVPは好ましくは該薬物を可溶化するのに十分な量で用いる。ポリマーが感圧粘着物その物の特性を有するかまたは粘着性付与剤、可塑剤または他の添加剤との混合により感圧粘着物として機能するならば、本明細書に用いる用語の意味においてそのポリマーは感圧粘着物である。感圧粘着物なる語はまた、種々のポリマーの混合物および種々の分子量のポリイソブチレン(PIB)などのポリマーの混合物であって、得られた混合物が感圧粘着物であるものを包含する。最後に、混合物中の低分子量のポリマーは粘着性付与剤ではないと考えられ、その語はそのポリマーが添加されるポリマーと分子量以外で異なる添加剤のために保持されているものである。本明細書にて用いる場合、「ゴム状物」なる語は、感圧粘着物の特性を有し、少なくとも1種の天然または合成の弾性ポリマーを含有する粘弾性物質をいう。適当なゴム状物はポリシロキサン、ポリイソブチレンおよび天然ゴムを包含する。多成分性ポリマー粘着系は、好ましくは、その系が室温で感圧粘着性であり、経皮的薬物送達の分野にて用いられる粘着物に関する他の所望の特性を有するように処方される。かかる特性は、良好な皮膚粘着性、皮膚に対して実質的な外傷なしで剥がすことができるか、または取り除くことができること、時間が経過しても粘性を保持していることなどを包含する。一般に、多成分性ポリマー粘着系は、約−70℃と0℃の間の、示差走査熱量計を用いて測定した、ガラス転移温度(Tg)を有する。「アクリルポリマー」なる語は、本明細書中、ポリアクリレート、ポリアクリルおよびアクリル粘着物と互換的に用いられる。アクリル基材ポリマーとシリコーン基材ポリマーは、好ましくは、重量比で、各々、約2:98ないし約96:4、より好ましくは約2:98ないし約90:10、さらにより好ましくは約2:98ないし約86:14である。適当なアクリル粘着物は市販されており、National Starch and Chemical Corporation(ニュージャージ州、ブリッジウォーター)よりDuro-Tak 80-1194、80-1196、80-1197、2287、2516および2852の登録商標で販売されているポリアクリレート粘着物を包含する。多の適当なアクリル粘着物は、登録商標Gelva-Multipolymer Solution GMS 737、788、1151および1430(Monsanto;ミズリー州、セントルイス)で販売されているものである。本発明の実施において有用なゴム状粘着物は、天然および合成のポリイソプレン、ポリブチレンおよびポリイソブチレン、スチレン/ブタジエンポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーなどの炭化水素系ポリマー、ブチルゴムなどの炭化水素系ポリマー、ポリアクリロ−ニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンおよびポリクロロペンなどの含ハロゲンポリマー、およびポリシロキサンおよびその他のコポリマーを包含する。適当なポリシロキサンは、2種の主成分:ポリマー、またはエラストマーおよび粘着性付与樹脂を基礎とするシリコーン感圧粘着物を包含する。ポリシロキサン粘着物は、通常、適当な有機溶媒中、縮合反応を介して、エラストマー、典型的には、高分子量ポリジオルガノシロキサンを樹脂と架橋させ、3次元シロキサン構造を形成することにより調製される。樹脂のエラストマーに対する割合は、ポリシロキサン粘着物の物理特性を調節するために調整することのできる最も重要な因子である。Sobieskiら、“Handbool of Pressure-Sensitive Adhesive Technology、第2版、508-517頁(D.Satas編)、ヴァン・ノストランド・レインホールド、ニューヨーク(1989)。適当なシリコーン感圧粘着物は商業上利用可能であり、ミリガン州、ミッドランド、Dow Corning Corporation,Medical Productsにより登録商標BIO-PSA X7−3027、X7−4203、Q7−4503、X7−4603、X7−4301、X74303、X7−4919、X7−2685およびX7−3122で販売されているシリコーン粘着物を包含する。BIO-PSA X7−4203、X7−4301およびX7−4303が、アルブテロールなどのアミン作用性薬剤を含有する処方に使用するのに特に適している。本発明の好ましい具体例の実施において、ポリシロキサンは、好ましくは感圧粘着性組成物全重量の約9%ないし約97%、より好ましくは約12%ないし約97%、最適には約14%ないし約94%を構成する。本発明の組成物はまた、薬物を溶解する量の溶媒を有していてもよい。「薬物を溶解する有効量の溶媒」は、非毒性の医薬上許容される物質、好ましくは系の粘着性に実質的に悪影響を及ぼさず、使用した量の薬物が完全に溶解する液体である。例えば、担体がガムである場合、溶媒は、主として一の多価アルコールまたは多価アルコールの組み合わせとすることができる。多価アルコールなる語はいずれの有機ポリオールをも意味する。多価アルコールはグリコール、トリオールおよび4ないし6個のアルコール性ヒドロキシル基を有するポリオールを包含する。好ましい具体例において、担体はPVPを包含するポリマーの混合物を含有してなる感圧粘着物である。実際、可溶性PVPは、担体がポリマーの混合物である場合、本発明に係る粘着型経皮的薬物送達系における薬物の溶解性において非常に効果的であることが見いだされた。特に、可溶性PVPは、酢酸ノルエチンドロン(NETA)系およびNETA/エストラジオール系を実質的に非結晶に維持するのに有用であることが証明された。可溶性PVPが本発明にしたがって特に有用に利用される他の特定の薬物は、アルブテロール、エストラジオール、ハロペリドールおよびアルプラゾランを包含する。前記した好ましい具体例において必要な可溶性PVPの量および型は粘着物中に存在する薬物の配合量および型ならびに粘着物の型に依存するであろう。しかし、PVP含有のポリマー系に容易に溶解しない薬剤分子の場合、別の溶媒または薬剤とポリマーについての「共溶媒」を添加することができる。共溶媒、例えばレシチン、レチノール誘導体、トコフェロール、ジプロピレングリコール、トリアセチン、プロピレングリコール、飽和および不飽和脂肪酸、鉱油、シリコーン流体、アルコール、ブチルベンジルフタレートなどが、多成分ポリマー粘着系における薬物の溶解性に依存する本発明の実施において有用である。本発明の好ましい具体例において、経皮的送達系は、適当な揮発性溶媒(複数)中、可溶性PVP、ポリアクリレート、ポリシロキサン、薬剤、共溶媒(複数)および、必要ならば粘着性付加剤を混合し、ついでその混合物を型に取り、蒸発により溶媒(複数)を除去し、フィルムを形成することにより調製される。適当な揮発性溶媒は、イソプロパノールおよびエタノールなどのアルコール;キシレンおよびトルエンなどのアロマティックス;ヘキサン、シクロヘキサンおよびヘプタンなどのアリファティックス;および酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのアルカン酸エステルを包含するが、これらに限定されない。「浸透性促進剤」は、薬物の皮膚を介する送達を促進することが知られている試薬である。これらの試薬はまた、促進剤、アジュバントおよび吸収プロモーターと称され、本明細書において包括的に「促進剤」と称する。この種の試薬は、多成分ポリマー中の薬物の溶解性および分散性を改良する作用を有する試薬および、例えば、角質層の能力を水分を保持するように変えること、皮膚を柔らかくすること、皮膚透水性を改良すること、浸透性補助剤または毛胞開口剤として作用させること、または境界層を含む皮膚の状態を改良することにより、経皮的吸収作用を改良する試薬を含む種々の作用機構を有するものを包含する。本発明によれば、「浸透性亢進量」は組成物全体の20重量%までの量であるが、好ましくは約1重量%ないし約10重量%の量である。本発明の浸透性促進剤は、前記したように、脂肪酸の等配電子修飾体を包含する脂肪酸の作用誘導体または脂肪酸のカルボキシル官能基の非酸性誘導体もしくはその等配電子修飾体である。好ましくは、脂肪酸の機能性誘導体は不飽和(すべてシス)アルカン酸(ここに、カルボキシル基はその機能性誘導体、例えばアルコール、ポリオール、アミドおよびその置換誘導体、例えばエステル、エーテルおよびN,N−二置換アミドで置換されている)である。「脂肪酸」なる語は4ないし24個の炭素原子を有する脂肪酸を意味し、動物および植物に由来するものを包含するが、これらに限定されない。特に好ましい誘導体は、オレイン酸を基礎とするもの、例えば、以下のようなオレイルアルコールおよびオレアミドである:担体がポリマーの混合物を含んでなる感圧接着性物質である本発明の具体例において、典型的な一般的調製方法は以下のごとし:1.適当量の可溶性PVP、溶媒、脂肪酸促進剤の機能的誘導体、および有機溶媒(例えば、トルエン)を容器内で一緒にし、完全に混合する。2.次いで、薬物を混合物に添加し、薬剤が均一に混合されるまで撹拌を行う。3.次いで、適当量のポリシロキサンおよびポリアクリレートを薬物混合物に添加し、完全に混合する。4.次いで、処方を被覆操作に移し、処方を保護放出ライナー上に調節された特定の厚さで被覆する。次いで、被覆品をオーブンに通してすべての蒸発性加工溶媒を除去する。5.次いで、放出ライナー上の乾燥品を裏打ち材料に結合させ、保存のために巻いロール状にしておく。6.ロール状の材料から適当なサイズおよび形態の「システム」を打ち型で切り取り、次いで、袋に入れる。工程順序、成分量、および撹拌または混合の量および時間は重要なプロセス変数であり、それらは処方に用いる個々のポリマー、薬物、共溶媒、およびエンハンサーに依存するであろう。当業者は、均一な製品を得るという目的を考慮しつつ、これらの因子を調節することができる。他の工程順序をいくつか変更することを包含する多くの他の方法を行うことができ、望ましい結果が得られるであろうと考えられる。1回分の剤型は、種々の形態を有することのほかに、種々のサイズであってよい。1ないし200平方センチメートルの範囲の表面積が考えられ、好ましいサイズは:5、10、15、20、30、および60平方センチメートルである。要約すると、ゴム状物およびポリアクリレートの具体例に関する好ましい最適組成は以下のごとし:本発明のある具体例において、可塑剤または膠着剤を処方中に含有させて感圧接着性組成物の接着特性を改善する。さらに本発明組成物を、経皮的薬物送達系とともに使用することが知られている種々の増粘剤、充填剤および他の添加物とともに提供してもよい。組成物が吸水性である場合、例えば、レシチンを共溶媒として使用する場合、親水性物質が特に有用である。本発明のデバイスの態様において、感圧接着性組成物を経皮的薬物送達系の接着部分として(例えば、リザーバーデバイスとして)使用することができ、あるいは感圧接着性組成物が接着性一体型デバイスを含んでなっていてもよい。もちろん、経皮的薬物送達組成物が感圧接着性でなく、薬物リザーバーを含んでなるものである具体例にもやはり本発明の原理が適用されるであろう。図1は、本発明の接着性一体型デバイス10の具体例の図式的説明を示す。経皮的薬物送達系は、一体物11の1の側面にある保護放出ライナー12およびもう1つの側面にある裏打ち層13を有する一定の幾何学的形態の一体物11を含んでなる。放出ライナー12を除去すると、感圧複合ポリマー接着性組成物が露出し、該組成物は薬物担体マトリックス、薬物浸透促進剤および患者への当該系適用手段として機能する。本発明のデバイスまたは個々の1回分の剤型を、当業者に知られたいずれの方法によっても製造することができる。経皮組成物を得た後、当業者に知られたいずれの方法によってもそれを裏打ち層と接触させることができる。かかる方法は、カレンダー被覆、熱溶融被覆、溶液被覆等を包含する。もちろん、裏打ち材料は当該分野においてよく知られており、ポリエチレンのプラスチックフィルム、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル、ポリプロピレン、BAREX▲R▼、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、塩化ポリビニル、ポリウレタン等、金属箔、不織布、クロス、上記のものの共エクストルージョン物もしくはラミネーション物、および市販ラミネートを含んでなっていてもよい。一般的には、裏打ち材料は2ないし1000ミクロンの範囲の厚さであり、一般的には、経皮組成物は約12ないし250ミクロンの厚さで裏打ち材料上に配置される。適当な放出ライナーも当該分野においてよく知られている。本発明経皮的送達系の形状は、必要に応じてまたは所望により、いずれの形態またはサイズであってもよい。典型的には、1回分の剤型は1ないし200cm2の表面積を有していてもよい。好ましいサイズは5ないし60cm2である。さらにもう1つの具体例において、本発明は、経皮組成物中の薬理学的活性薬剤の浸透を促進する方法であって、(a)治療上有効量の薬理学的活性薬物;(b)医薬上許容される担体;および(c)浸透促進性で、薬物の酸分解性抑制効果のある量の脂肪酸の機能的誘導体を含んでなる経皮組成物を哺乳動物に局所的に適用することを特徴とする方法に関する。「浸透を促進」とは、薬物の皮膚または粘膜通過を加速することをいう。「局所的適用」は、解剖学上の対象部位における皮膚または粘膜と組成物との物理的接触を起こさせる本発明組成物の哺乳動物への投与を意味する。当業者は、所望治療効果、経皮組成物中の薬物および他の成分のタイプ、最終形態の経皮組成物のサイズ、ならびに哺乳動物の年齢および身体的状況に応じて、一定の処方に用いる用量および期間を認識するであろう。以下の特定の実施例は、感圧接着性組成物および経皮的薬物送達系、ならびにその製造方法の説明であり、それらは本発明の範囲内である。これらの実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施例1実施例2実施例30.8部のエストラジオール、3.0部の酢酸ノルエチンドロン、4.0部のポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル(ブリジ93)、6.0部のオレイルアルコール、10.0部のポリビニルピロリドン(コリドン VA 64)、5.0部のポリアクリレート接着剤(GMS 737)、および71.2部のポリシロキサン接着剤(BIO−PSA X7−4603)を適当な容器中で一緒にし、混合物が完全に均一になるまで十分に混合することにより、エストラジオール/酢酸ノルエチンドロン−ポリマー混合物を調製する。得られる組成物は、乾物基準で、すなわち蒸発性溶媒除去後において、下記成分濃度を有する。本発明を特定の具体例および適用例について説明したが、当業者は、この教示を参照して、特許請求される本発明の範囲を越えることなく、あるいはその精神から逸脱することなく、さらなる具体例を得ることができる。したがって、本開示における図面および記載は、本発明の理解を容易にするために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものと解してはならない。 (a)酸触媒分解を受けやすい薬理学上活性な酸に不安定な薬物の治療上有効量;(b)5%未満の低級アルカノールを含む医薬上許容される担体;および(c)浸透促進量の脂肪酸の機能的誘導体よりなる浸透促進剤の混合物を含み、該誘導体がアミド、アルコールおよびポリオールよりなる群から選択される経皮薬物浸透促進性組成物。 該担体が、粘着物である請求項1記載の組成物。 該酸不安定性薬物が、α,β−不飽和ケトステロイド、5−デヒドロステロイド、α−ケトアミノ酸、カルボン酸エステルまたはイミンである請求項1記載の組成物。 該薬物が酢酸ノルエチンドロンである請求項1記載の組成物。 該担体が、少なくとも2つのポリマーの混合物および可溶性ポリビニルピロリドンを含む粘着物である請求項2記載の組成物。 さらに溶媒を含む請求項1〜5のいずれか1記載の組成物。 該担体がポリアクリレート接着剤であり、該酸不安定性薬物が酢酸ノルエチンドロンであって;該溶媒がグリコールである請求項6記載の組成物。 全組成物の3重量%の酢酸ノルエチンドロン;全組成物の0.4重量%のエストラジオール;全組成物の5.0重量%のポリシロキサンA接着剤;全組成物の71.6重量%のポリシロキサンB接着剤;全組成物の5.0重量%のポリアクリレート接着剤;全組成物の6.0重量%のオレアミド;全組成物の2.0重量%のジプロピレングリコール;全組成物の5.0重量%のポリビニルピロリドン;および全組成物の2.0重量%のポリオキシエチレン(2)オレイルエーテルを含む請求項6記載の組成物。 全組成物の3重量%の酢酸ノルエチンドロン;全組成物の0.4重量%のエストラジオール;全組成物の5.0重量%のポリシロキサンA接着剤;全組成物の71.6重量%のポリシロキサンB接着剤;全組成物の5.0重量%のポリアクリレート接着剤;全組成物の6.0重量%のオレアミド;全組成物の4.0重量%のジプロピレングリコール;および全組成物の5.0重量%のポリビニルピロリドンを含む請求項6記載の組成物。 全組成物の3重量%の酢酸ノルエチンドロン;全組成物の0.8重量%のエストラジオール;全組成物の71.2重量%のポリシロキサンA接着剤;全組成物の5.0重量%のポリアクリレート接着剤;全組成物の6.0重量%のオレイルアルコール;全組成物の4.0重量%のポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル;および全組成物の10.0重量%のポリビニルピロリドンを含む請求項6記載の組成物。 医薬上活性な化合物の浸透を促進するための局所医薬の製造における、(a)酸触媒分解を受けやすい薬理学上活性な酸に不安定な薬物の治療上有効量;(b)5%未満の低級アルカノールを含む医薬上許容される担体;および(c)浸透促進量の脂肪酸の機能的誘導体よりなる浸透促進剤の使用であって、該誘導体がアミド、アルコールおよびポリオールよりなる群から選択され、(a)、(b)および(c)が一緒に混合されて、該局所医薬を形成することを特徴とする該使用。 該機能的誘導体が、オレアミドおよびオレイルアルコールよりなる群から選択される請求項1記載の組成物。 該薬物が、アンドロイソオキサゾール、ボラステロン、クロステボール、エチルエストレノール、ホルミルジエノロン、4−ヒドロキシ−19−ノルテストステロン、メテノロン、メチルトリエノロン、ナンドロロン、ナンドロロンデカノエート、ナンドロロンp−ヘキシルオキシフェニル−プロピオネート、ナンドロロンフェンプロピオネート、ノルボレトン、オキシメステロン、キノボロン、ステンボロン、トレンボロン、ボルデノン、フルオキシメステロン、メスタノロン、メステロロン、メタンドロステノロン、17−メチルテストステロン、17α−メチル−テストステロン、3−シクロペンチルエノールエーテル、ノルエタンドロロン、ノルメタンドロン、オキサンドロロン、オキシメトロン、プラステロン、スタンロロン、スタノゾロール、テストステロン、テストステロン17−クロラールヘミアセタール、テストステロン17β−シピオネート、テストステロンエナンテート、テストステロンニコチネート、テストステロンフェニルアセテート、テストステロンプロピオネート、ティオメストロン、カンレノン、オレアンドリン、スピロノラクトン、アナゲストン、クロルマジノンアセテート、デルマジノンアセテート、デメゲストン、ジメチステロン、ジドロゲステロン、エチニルエストレノール、エチステロン、エチノジオール、エチノジオールジアセテート、フルロゲストンアセテート、ゲストノロンカプロエート、ハロプロゲステロン、17−ヒドロキシ−16−メチレン−プロゲステロン、17α−ヒドロキシプロゲステロン、17α−ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、メドロゲストン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロールアセテート、メレンゲストロール、ノルエチンドロン、ノルエチンドロンアセテート、ノルエチノドレル、ノルゲステロン、ノルゲスティメート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、19−ノルプロゲステロン、ノルビニステロン、ペンタゲストロン、プロゲステロン、プロメゲストン、キンゲストロンおよびトレンゲストンよりなる群から選択される請求項1または12記載の組成物。 該薬物が、エストラジオールである請求項1または12記載の組成物。 該薬物が、スコポラミンである請求項1または12記載の組成物。