タイトル: | 特許公報(B2)_植物に導入された遺伝子の発現のためのアセトヒドロキシ酸シンターゼプロモーター |
出願番号: | 1996509617 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C12N15/09,A01H5/00,C12N5/10 |
デイートリヒ, ガブリーレ スミス, ジエーン ペング, ジアニイング JP 3655922 特許公報(B2) 20050311 1996509617 19950905 植物に導入された遺伝子の発現のためのアセトヒドロキシ酸シンターゼプロモーター アメリカン・サイアナミド・カンパニー 小田島 平吉 デイートリヒ, ガブリーレ スミス, ジエーン ペング, ジアニイング US 08,303,266 19940908 20050602 7 C12N15/09 A01H5/00 C12N5/10 JP C12N15/00 A A01H5/00 A C12N5/00 C 7 BIOSIS/WPI/(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq 特開平2−186925(JP,A) 特開平5−227964(JP,A) 特開平4−311392(JP,A) 欧州特許出願公開第461355(EP,A2) 米国特許第5013659(US,A) Plant Physiol.,Vol.102,No.3(1993)p.1009-1018 Plant Mol.Biol.,Vol.18,No.6(1992)p.1185-1187 Plant Physiol.,Vol.91(1989)p.574-580 Plant Cell,Vol.2,No.5(1990)p.415-425 Bio/Technology,Vol.10,No.3(1992)p.309-314 Plant Physioligy,Vol.97(1991)p.1044-1050 3 US1995011199 19950905 WO1996007746 19960314 1998504968 19980519 22 20020617 高堀 栄二 発明の分野本発明は、植物における異種遺伝子発現のためのプロモーターとして有用な単離された非コーディングヌクレオチド配列に関する。本発明は更に、その単離されたヌクレオチド配列を含むベクターおよび植物細胞にも関する。発明の背景植物界は2つの門、すなわちコケ植物(Bryophyta)および維管束植物(Tracheophyta)に分類される。維管束植物門には266,000を越える種が含まれており、それらは4つの亜門に大別される。亜門シダ類には被子植物(Angiospermae)綱が含まれる。この綱は2つの亜綱、すなわち双子葉類(dicots)および単子葉類(monocots)に分類される。単子葉類には多くの重要な穀類および飼料作物が含まれるため、植物遺伝学者はトランスジェニック単子葉類を産生することを可能にすることに興味の的を集中させている。約50,000種の単子葉類が知られている。これらには、ユリ、ヤシ、ラン、アヤメ、チューリップ、スゲ、および牧草類が含まれる。牧草類には、トウモロコシ、小麦、イネ、および他の全ての穀物食品作物が含まれる。不幸なことに単子葉類を遺伝子工学的に作製することには極度な困難が伴い、その結果、植物を用いる大半の研究は双子葉類について実施されている。双子葉類は前記2群の内では大きいほうのものであり、約200,000種が知られている。キンポウゲ、キンギョソウ、カーネーション、モクレン、ケシ、キャベツ、バラ、エンドウ、ポインセチア、ワタ、サボテン、ニンジン、コケモモ、ハッカ、トマト、ヒマワリ、ニレ、オーク、およびカエデは250科の双子葉類の内の代表的な19科である。DNA分子内に含まれる遺伝子情報が多数の短めのRNA分子の合成のための鋳型として通常は作用し、それらRNA分子の内の大半のものが次には特定のポリペプチド鎖の合成のための鋳型として作用する。特定のヌクレオチドセグメント(プロモーターと称されることが良くある)はRNAポリメラーゼ分子により認識され、このRNAポリメラーゼ分子がRNA合成を開始させる。機能的RNA鎖の転写が終了した後には第2種類目のシグナルによりRNA合成の停止、ならびに各DNA鋳型からのRNAポリメラーゼ分子の脱離がもたらされる。多数の共通プロモーターが存在し、それらは最近は単子葉類植物における異種遺伝子発現を誘導させるのに用いられている。David McElroyら(1990)は、イネアクチン1遺伝子(Act1)からのプロモーターが細菌性β−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)に融合させてある構築物の形質転換イネ原形質内での一過性発現アッセイにより、そのアクチンプロモーターが高レベルの遺伝子発現を誘導させることが示されたことを記載した。この発現はトウモロコシのアルコールデヒドロゲナーゼ1遺伝子(Adh1)プロモーターに関して観察されるものの約6倍大きいものであった上に、完全なAct1 5'イントロンの存在に依存する。David McElroyら(1991)は、単子葉類の形質転換のために至適化させたベクターを、カリフラワーモザイクウイルス(Cauliflower Mosaic Virus)(CaMV)35SプロモーターかAct1プロモーターかのいずれかを用いて構築したことを記述した。一過性発現アッセイは、形質転換させたイネとトウモロコシの原形質体の両方について実施された。Act1イントロンおよび至適化させたGUS翻訳開始部位をいずれかのプロモーター配列に添加することにより遺伝子発現が有意に増大した。アクチンプロモーターは、小麦、カラス麦、大麦、およびモロコシの原型質体の一過性アッセイにおいてGUS発現を誘導させることが示されたことが非公開結果として記載されてもいる。Wanggen Zhangら(1991)は、Act1−GUS遺伝子融合体を保持するトランスジェニックイネ植物のインサイチュウーハイブリダイゼーション調査により、Act1プロモーターが無性栄養性かつ再生性の両方を兼ね備えた組織では構成性発現パターンを有することが示されたことを記載した。Jun Caoら(1992)は、CaMV 35SプロモーターもしくはイネのAct1プロモーターのいずれかの制御下で発現されるbar遺伝子での形質転換の後にトランスジェニックイネ植物をバイアロフォス(bialophos)上で選択した。Alen H.Christensenら(1992)は、トウモロコシのUbi−1−CAT遺伝子融合物で形質転換させたトウモロコシ原形質体は、一過性発現アッセイではCaMV−35S−GUS遺伝子融合物で形質転換させたトウモロコシ細胞より約10倍高いレベルのCAT活性を示すことを記載した。トウモロコシ苗木の熱ショックの後のUbi−1およびUbi−2の転写レベルのノザンブロット分析により、両遺伝子共25℃では構造的に発現されたが、熱ショック後には誘導を受けることが示された。Seiichi Tokiら(1992)は、安定に形質転換されたトランスジェニックイネ植物が、トウモロコシUbi−1プロモーターの制御下で発現されるbar遺伝子の電気穿孔法媒介性形質転換、およびバイアロフォス(bialophos)上での選択の後に取得されたことを記載した。この結果により、Ubi−1プロモーターを用いてイネにおける効率的な高レベル遺伝子発現を誘導させて、結実能力のあるトランスジェニックイネ植物の選択および再生を可能にすることができることが示される。J.Troyら(1993)は、安定に形質転換された小麦植物が、未成熟胚芽に由来するカルスの、bar遺伝子およびGUS(これら各々はトウモロコシUbi−1プロモーターの制御下で発現される)の両方での衝撃法、ならびにそれに続くバイアロフォス(bialophos)上での選択の後に取得されたことを記載した。この結果により、Ubi−1プロモーターを用いて小麦における効率的な高レベル遺伝子発現を誘導させて、結実能力のあるトランスジェニック植物の選択および再生を可能にすることができることが示される。Yuechen WanおよびPeggy G.Lemaux(1994)は、胚芽性大麦組織の、bar遺伝子およびGUS(これら各々はトウモロコシUbi−1プロモーターの制御下で発現される)の両方での微小砲弾衝撃法、ならびにそれに続くバイアロフォス(bialophos)上での選択の後には、安定に形質転換された結実能力のある大麦植物が取得されたことを記載した。この結果により、Ubi−1プロモーターを用いて大麦における効率的な高レベル遺伝子発現を誘導させて、結実能力のあるトランスジェニック植物の選択および再生を可能にすることができることが示される。Ubi−barもしくはCaMV 35S−barのいずれかを用いる少数植物の衝撃法に関わる実験によっては、取得される形質転換体の数に有意な差異は全く示されなかった。Junko Kyozukaら(1991)は、トウモロコシAdh1プロモーター−GUS融合物をイネ原型質体に組込ませてトランスジェニックイネ植物を取得したことを記載した。このトランスジェニック植物内でのGUS活性を調査してGUS発現パターンを決定した。トウモロコシAdh1プロモーターは調査した植物の全部位において構成的発現を亢進することが見いだされている。トウモロコシにおけるAdh1発現について既に示されているように、Adh1により誘導されるGUS発現は根においては嫌気条件により誘導された。D.I.Lastら(1991)は、トウモロコシAdh1プロモーターを、トウモロコシADH1遺伝子の嫌気応答性因子(Anaerobic Responsive element)およびアグロバクテリウム ツメファキエンス(Agrobacterium tumefaciens)のオクトピンシンターゼ遺伝子からのocs因子の多重コピー(pEmu)の添加により改変させたことを記述した。pEmu−GUSで形質転換させた様々な単子葉種の原形質体の一過性発現アッセイでは、最善の構築物により、小麦、トウモロコシ、イネ、アイルコルン、およびロリウム ムルティフロルム(Lolium multiflorum)においてはCaMV 35Sプロモーターと比較すると10〜50倍高いレベルの発現が得られた。Robert BowerおよびRobert G.Birch(1992)は、安定な形質転換体が、サトウキビの胚芽性カルスの、Emuプロモーターの制御下にあるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子での形質転換後に取得されたことを記載した。D.A.Chamberlainら(1994)は、Emuプロモーターを用いて、小麦とイネとの両方に形質転換された4つの異なる選択用マーカー遺伝子(ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ、ホスフィノトリシン N−アセチルトランスフェラーゼ、および除草剤耐性を付与する突然変異体アセトラクタートシンターゼ)の発現を誘導させたことを記載した。小麦カルスおよび形質転換させたイネ植物は形質転換体の選択の後に取得され、このことによりこのプロモーターを用いて選択用マーカー遺伝子の発現を誘導させて形質転換穀物食品を取得することができることが示される。トランスジェニック穀物食品において外来性遺伝子発現を制御するのに用いられるプロモーター因子の総説が最近発行されており、そしてこれは引用により本明細書に取り込まれる(McElroy and Brettel、1994)。多数のプロモーターが現在では双子葉類植物の形質転換のために用いられている。これらのプロモーターは様々な異なる源から取得される。共通に用いられる、ある種のプロモーターがアグロバクテリウム ツメファキエンス(Agrobacterium tumefaciens)から単離されており、このアグロバクテリウムではそれらのプロモーターは、感染中にその植物ゲノム内に組み込まれるT−DNAセグメント上に保持されるオピンシンターゼ遺伝子の発現を誘導するように機能する。これらのプロモーターには、オクトピンシンターゼ(ocs)プロモーター(L.Comai et al.、1985;C.Waldron et al.、1985)、マンノピンシンターゼ(mas)プロモーター(L.Comai et al.、1985;K.E.McBride and K.R.Summerfelt、1990)、ならびにノパリンシンターゼ(nos)プロモーター(M.W.Bevan et al.、1983;L.Herrera−Estrella et al.、1983、R.T.Fraley et al.、1983、M.De Block et al.、1984、R.Hain et al.、1985)が含まれる。これらのプロモーターは多種多様な植物組織中で活性を示す。幾つかのウイルス性プロモーターを用いても双子葉類における異種遺伝子発現は誘導される(J.C.Kridl and R.M.Goodman、1986)。カリフラワーモザイクウイルス(Cauliflower Mosaic Virus)35Sプロモーターは双子葉類の形質転換のために最も頻繁に用いられるプロモーターの内の一つであり、それはそのプロモーターがほぼ全ての組織において高レベルの遺伝子発現を付与するためである(J.Odell et al.、1985;D.W.Ow et al.、1986;D.M.Shah et al.、1986)。2つの並列35S プロモーター(R.Kay et al.、1987)、およびmas−35S プロモーター(L.Comai et al、1990)(これは、その35S プロモーターと並列になっているマノピンシンターゼプロモーターからできている)を含む配置を初めとするこれらのプロモーターの改変物も用いられている。これらの両プロモーターは単一コピーの35S プロモーターよりも一層高いレベルの遺伝子発現を誘導させる。既に用いられている他のウイルス性プロモーターには、カリフラワーモザイクウイルス(Cauliflower Mosaic Virus)19Sプロモーター(J.Paszkowski et al.、1984;E.Balazs et al.)およびゴマノハグサモザイクウイルスからの34S プロモーター(M.Sanger et al.、1990)が含まれる。多数の植物におけるAHAS発現の調査により、AHASは全ての植物組織内で発現されることが示されている。Gail SchmittおよびBijay K.Singh(1990)は、ライママメの様々な組織において実施された酵素アッセイによりAHAS活性が、葉、茎、根、花、莢、および分裂組織を初めとする検査した全組織に存在することが示されたことを記載した。AHAS活性は茎内でははぼ一定であるが、葉、根、および分裂組織では加齢と共に減少することが見いだされた。Sharon J.Kheelerら(1993)は、タバコがアセトヒドロキシ酸シンターゼをコードする2本の遺伝子、SurAおよびSurBを含むことを記載した。両遺伝子共全種の組織において発現されるらしく、ただし違う組織における発現レベルには約4倍の差が見られた。発達中の器官が最高レベルの発現を示すようである。インサイチューハイブリダイゼーション調査では、最高レベルの発現は代謝的に活性な細胞もしくは迅速に分裂している細胞に一貫して観察されたことが示された。SurBは調査を行った全組織中でSurAよりも高いレベルで発現された。Therese Ouelletら(1992)は、アブラナ(ブラシカ(Brassica))種はアセトヒドロキシ酸シンターゼをコードする多重遺伝子族を含むことを記載した。5本のAHAS遺伝子の内の4本がブラシカ ナプス(Brassica napus)において既に同定されている。遺伝子特異的プローブを用いるリボヌクレアーゼプロテクション法(RNAse protection assay)を実施して様々なブラシカ(Brassica)種における遺伝子族の内の異なるメンバーの発現パターンを決定した。それらの遺伝子の内の2本、AHAS1およびAHAS3が、調査した全組織において構成的に発現されることが見いだされた。AHAS2転写物は再生性組織および種子の胚体外組織内にのみ検出された。4番目の遺伝子AHAS4によりコードされる転写物は検出されず、そしてそのためこの遺伝子は偽遺伝子であると考えられる。Dala L.ShanerおよびN.Moorthy Mallipudi(1991)は、トウモロコシの若葉と、懸濁培養物として成長させたBMS細胞との比較により、新鮮グラム重量当たりのBMS細胞の活性はその若葉試料におけるものよりも約5.8倍高かったことが示されたと記載した。BMS細胞は活発に分裂しているため、この結果は、より若く、活発に分裂している組織の方が、年長組織よりも高いAHAS活性を示すという、タバコおよびライママメに関する以前の研究の結果と一致する。発明の要約トウモロコシからのAHASプロモーターを用いて高レベルかつ様々な植物組織内で組込み遺伝子を発現させた。トウモロコシのals1およびals2遺伝子からのプロモーターのクローン化および配列決定を行い(図1、図2、図3)、そしてこれらの遺伝子からのプロモーター領域を、その後にプラスミドの5'端に組込ませ、その後にはレポーター遺伝子であるベータ−グルクロニダーゼ(GUS)が続くようにさせた。両方のプロモーター断片はXI12トウモロコシ株からのものである。als1プロモーター断片は約1400塩基対の長さである一方で、als2プロモーター断片は819塩基対を含む。AHASプロモーターの活性を決定するためには、その後にキメラプラスミドを、トウモロコシ ブラックメキシカンスイート(Black Mexican Sweet)の原形質体およびイネの原形質体内に、一過性発現レベルの分析の目的で組込ませた。比較の目的では原型質体を更に、そのGUSレポーター遺伝子を誘導させるCaMV 35Sプロモーターを含むプラスミドでも形質転換させた。トウモロコシ細胞中でのキメラプラスミドの発現は、GUS酵素活性を分析することにより決定する。トウモロコシのals2プロモーターの活性は、両種の細胞において、CaMV 35Sプロモーターの活性に等しいか、もしくはそれを上回っていた(図4)。図5は、pCD221B(als2−GUS−ocsターミネータープラスミド)もしくはpAC400(CaMV 35S−GUS−ocsターミネータープラスミド)のいずれかで安定に形質転換させたトウモロコシBMS細胞株において実施したベータ−グルクロニダーゼアッセイの結果を示す。植物組織に対する放射ラベル化RNAプローブのインサイチューハイブリダイゼーションによるAHAS mRNA分布の分析により、トウモロコシAHASプロモーターは大半の植物部位において活性を示すことが示される(図6、図7、図8)。アラビドプシス(Arabidopsis)のAHASプロモーターの活性は、アグロバクテリウム ツメファキエンス(Agrobacterium tumefaciens)を用いて安定に形質転換させたアラビドプシス(Arabidopsis)植物内で分析される。アラビドプシス(Arabidopsis)のAHAS遺伝子の上流プロモーター領域をGUSレポーター遺伝子に融合させ、二重ベクターpBIN19内に組み込ませ、そしてアラビドプシス(Arabidopsis)を形質転換させるのに用いる。形質転換させた植物の分析により大半の植物部位においてGUS発現(プロモーター活性を指示するもの)が示される。【図面の簡単な説明】図1は、トウモロコシXA17からのAHASプロモーター配列ALS1を表す。図2は、トウモロコシXA17からのAHASプロモーター配列ALS2を表す。図3は、トウモロコシXI12からのAHASプロモーター配列ALS2を表す。図4は、pCD221B(als2−promoter−GUS−ocsターミネータープラスミド)もしくはpAC400(CaMV 35S−GUS−ocsターミネータープラスミド)での形質転換後のブラックメキシカンスイート(Black Mexican Sweet)トウモロコシ細胞もしくはイネ懸濁細胞の原形質体の一過性アッセイからのベータ−グルクロニダーゼ活性を表す棒グラフである。GUS活性はピコモル/分/mg蛋白質として算出される。結果は3回の独立した実験からのものである。図5は、pCD221B(als2 promoter−GUS−ocsターミネーター)もしくはpAC400(CaMV 35S−GUS−ocsターミネーター)のいずれかでの形質転換後の安定に形質転換されたブラックメキシカンスイート(Black Mexican Sweet)細胞におけるベータ−グルクロニダーゼ活性を表す棒グラフである。CKは形質転換させていない対照組織を表す。GUS活性はピコモル/分/mg蛋白質として算出される。図6 − 放射性ラベル化RNAプローブを用いる2週令のトウモロコシの苗木からの葉輪生のインサイチューハイブリダイゼーション調査。組織切片を調製し、そしてAHASセンス鎖(AHAS−)もしくはAHASアンチセンス鎖(AHAS+)のいずれかをコードするRNAプローブにハイブリダイズさせた。比較の目的で、SSU(RUBISCO小サブユニット)のセンス鎖(SSU−)もしくはSSUのアンチセンス鎖(SSU+)プローブも用いた。各場合共、アンチセンス鎖(+)のみが組織内に存在するmRNAにハイブリダイズすることが予期される。a)SSU+プローブ;b)SSU−プローブ;c)AHAS+プローブ;d)AHAS−プローブ。図7 − 図6について記載される要領で調製された授粉後12日目のトウモロコシ穀粒のインサイチューハイブリダイゼーション調査;a)胚芽および胚柄、AHAS+プローブ;b)胚芽および胚柄、AHAS+プローブ;c)果皮、アリューロン、および内胚乳、AHAS−プローブ;d)果皮、アリューロン、および内胚乳、AHAS+プローブ。図8 − 図6に記載される要領で調製された若いトウモロコシ植物の頂端分裂組織のインサイチューハイブリダイゼーション調査。a)およびb)AHAS+プローブ;c)およびd)AHAS−プローブ。発明の詳細な記述科学者たちは植物に所望される特徴を付与するための遺伝子的改変を用いるための方法を探索している。例えば、味、基本的構造、サイズ、害虫耐性および除草剤耐性、色、酸性度、もしくは食品用穀類の甘さなどの特徴を改善するのに用いられる遺伝子工学技術が、雑種形成という通常の方法と比較して一層迅速な手法として探索されている。本発明はトウモロコシおよびアラビドプシス(Arabidipsis)からのAHASプロモーター、ならびにそれらのプロモーターを含むベクターおよび植物細胞に関する。(本出願の目的のためには、プロモーターはRNAポロメラーゼの結合のためのシグナルとして作用する遺伝子の上流に見いだされるヌクレオチド配列として特定される)。トウモロコシのals1およびals2遺伝子のクローン化および配列決定を行い、そしてその後にそれらの遺伝子からのプロモーター領域をプラスミドの5'端に組込ませ、その後にはGUSレポーター遺伝子が連続するようにさせた。この出願の目的では、レポーター遺伝子は目的のプロモーターの下流で融合されるヌクレオチド配列として特定され、その結果そのプロモーターで開始する転写はそのレポーター遺伝子を通過して進行する。レポーター遺伝子は幾つかの容易に測定できる酵素活性をコードしており;例えば本発明では、トウモロコシ細胞内のキメラプラスミドの発現はベータ−グルクロニダーゼ(GUS)酵素活性を分析することにより決定される。当業者は、AHASプロモーターは多くの異なる植物組織内でかなり高い活性を示し、かつ様々な植物内で新規遺伝子を発現するのに用いることができるということを認識すべきである。新規遺伝子には、除草剤耐性、解毒作用、および植物の病原体に対する耐性のための遺伝子が含まれるが、これらには限定されない。特許請求されるプロモータを単子葉類における異種遺伝子発現用に用いることができ、それらの単子葉類とは、トウモロコシ、イネ、小麦、大麦、モロコシ、カラス麦、ライ麦、およびキビを初めとするものであるが、これらには限定されない。当業者は、特許請求されるプロモーターは更に双子葉類における発現をも誘導させるであろう一方で、双子葉類における単子葉類プロモーターの発現は単子葉類におけるものと比較すると低めのレベルになるであることが予測されることも認識すべきである。当業者はトウモロコシals2プロモーターを用いて他の単子葉種内での遺伝子発現を誘導させることができることを認識すべきである。例えば、イネAct1プロモーターはトウモロコシの原形質体における遺伝子発現を誘導させ、トウモロコシEmuプロモーターはトランスジェニック小麦、大麦、およびイネを選択するのに既に用いられており、そして双子葉類のプロモーターであるアラビドプシス(Arabidopsis)AHASプロモーターはトランスジェニックタバコおよびトランスジェニックイモにおけるAHAS遺伝子発現を誘導させのに既に用いられている。特許請求されるトウモロコシals2はトウモロコシ内で至適状態で作用するが、他の単子葉類における遺伝子発現も誘導させる。トウモロコシおよび他の種において実施された調査に基づくと、このプロモーターは、ある植物全体に存在する、ある遺伝子の構成的発現を誘導させるはずである。最高レベルの発現は、活発に分裂しているか、もしくは代謝的に活発な組織のいずれかにおいて観察される。当業者に知られる様々な異なる技術は、微小砲弾衝撃法、PEG−媒介性形質転換、電気穿孔法、およびシリコン線維を初めとするが、これらには限定されず、これらの技術は既に単子葉類穀物を形質転換させるのに用いられている。これらの技術全ては、形質転換予定のヌクレオチド配列の輸送のためのDNAベクターの使用を必要とする。本発明の使用に適するベクターには、トランスジェニック物質の選択のために用いられるマーカー遺伝子を保持するベクターが含まれるが、これには限定されず、またそのマーカー遺伝子は、ハイグロマイシン、カナマイシン、バイアロフォス、ならびにイミダゾリノンおよびスルホニル尿素除草剤に対する耐性を付与する遺伝子を初めとする。以下に示す実施例は本発明を詳細に説明する目的でのみ用いられ、かついずれかの方法においても本発明を制約するものとして見なされるものではない。実施例als1およびals2プロモーターの効率は、トウモロコシおよびイネの原形質体、もしくはそれらのプロモーター配列がGUS遺伝子に融合させてある構築物を保持するトウモロコシ細胞株におけるGUS活性を測定することにより評価される。ベクター調製および形質転換のプロトコールが以下に記載される。キメラCaMV 35S−GUS、als1−GUS、およびals2−GUS遺伝子を含む構築物プラスミドpAC400は、1.7kbのXba I−Pst I断片(GUS遺伝子を含む)および700bpのPst I−BamH I断片(オクトピンシンターゼターミネーターを含む)の上流にクローン化されたCaMV 35Sプロモーターの418塩基対(bp)のEcoR I−Xba I断片の融合物を含むpUC19を基にするプラスミドである。als1およびals2遺伝子はトウモロコシ株XI12から調製されるゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより取得される。als1遺伝子のATG開始コドンから上流の1.4キロベース(kb)の配列を含むEcoR I−Nco I断片をCaMV 35Sプロモーターの代わりにpAC400内にサブクローン化してpCD223Bを作製する。als2のATGから上流の819bpのPst I−Nco I断片をBluescript(商標)KS−(Stratagene社)内の同一のGUS−ocsターミネーター融合物の前にサブクローン化してpCD221Bを作製した。トウモロコシXI12からのals2プロモーターの配列が図3に示される。イネおよびトウモロコシの原形質体の形質転換およびアッセイ原型質体をイネ(ノルタイ(Nortai))もしくはトウモロコシ(ブラックメキシカンスイート(Black Mexican Sweet;BMS))懸濁細胞から単離し、そしてL.A.Lyznikら(1989)およびJ.Y.Pengら(1990)のPEG−媒介性形質転換プロトコールに従ってpAC221BもしくはpAC400で形質転換させる。一過性アッセイのためには形質転換させたイネの原形質体をフィーダー細胞を含む培地の上に置かれたミリポア(Millipore)フィルター上にのせ、そして形質転換されたBMS原形質体を3mlの液体培地中で培養する。形質転換後2日目に原形質体培養物を回収し、そしてGUS抽出用緩衝液で抽出する。GUS活性は、R.A.Jefferson(1987)のプロトコールに従って蛍光分析法により測定する。トウモロコシBMS培養物からの安定な形質転換体を回収するためには原型質体をpFF19K(ネオマイシンホスホトランスフェラーゼをコードする選択用遺伝子マーカーを含む)およびpCD221BもしくはpAC400と同時に形質転換させる。形質転換後には原型質体を、フィーダー細胞を含む培地の上に置かれたミリポア(Millipore)フィルター上で培養する。1週間後に原形質体培養物を、フィーダー細胞および100mg/lのカナマイシンを含む培地に移す。原形質体培養物は耐性カルスが可視されるようになるまで100mg/lのカナマイシンを含む新鮮なMS培地に移す。個々のカナマイシン耐性カルスを拾い上げ、そしてカナマイシンの存在下で更に2〜3週間増殖させる。カナマイシン−耐性カルスをR.A.Jefferson(1987)のプロトコールに従ってX−Glucで染色させるかもしくはMUGと共にアッセイしてGUS−陽性カルスのためのスクリーニングを行う。GUSを発現するとして同定されたカルスを抽出用緩衝液で粉砕し、そしてアッセイし;GUS活性を蛍光分光法により測定する。これらの実験からのデータが図4および5に示される。イミダゾリノン除草剤に対する耐性を付与し、かつトウモロコシals2プロモーターにより誘導される突然変異体トウモロコシAHAS遺伝子が、BMSとA188×B73細胞およびイネ細胞との両方の形質転換後にトランスジェニックカルスを取得するための選択用マーカーとして用いられる。この結果により、als2プロモーターがマーカー遺伝子発現を誘導させるのに十分な高レベル発現を誘導させるという概念が支持される。インサイチューハイブリダイゼーションスライドは本質的にはJ.A.Langdaleら(1988)により記載される要領により調製する。組織を4%ホルムアルデヒド内で固定し、エタノール中で脱水し、キシレンで洗浄し、そしてパラフィン中に包埋する。組織を8〜10μmの切片にスライスし、そしてポリ−L−リシンでコートしたスライド上にのせる。パラフィンをキシレンで除去し、そしてエタノール中で洗浄し、そして水中ですすぐことにより組織を再水和させる。RNAプローブを、als2をコードする領域からの172ヌクレオチド(nt)断片およびSSUコーディング領域からの392nt断片の両鎖(+および−)からAmbion Maxiscript(商標)キットを用いて調製する。スライドをMeyerowitzら(1988)のプロトコールに従い、50℃で一晩、SPB[100μlの10×塩(3M NaCl、10mMのTris pH6.8、50mMのDTA);400μlのホルムアミド;200μlの50%硫酸デキストラン;40μlの10mg/ml tRNA;10μlの1 MDTT;50μlの10mg/ml ポリA]の1:4希釈物中、50%ホルムアルデヒドおよび10mMのDTT中、80℃で30秒間変性させたプローブを用いてハイブリダイズさせる。スライドを2×15分間洗浄用緩衝液(Wash Buffer)(1×塩、50%ホルムアミド、10mM Tris pH8、1mM EDTA、および10mM DTT)中、50℃下で洗浄し、RNase A(NTE中の20μg/ml)で30分間、37℃下で処理し、総計1時間、37℃下でNTE緩衝液中で5回洗浄し、50℃下、洗浄用緩衝液(Wash Buffer)中で2×30分間洗浄し、エタノール中で脱水させ、そして空気乾燥させる。スライドは、予め37℃に暖めておいた乳液中に浸し(暗室内での作業)、30分〜1時間乾燥させ、そして現像するまで4℃下、暗所に保存する。スライドは2分間の現像にかけ、水中で洗浄し、少なくとも5分間固定させ、そして再度水中ですすぐ。組織をアルシエンブルー(Alcien Blue)で染色し、そしてエタノールおよびキシレン中で脱染色させる。ペルマウント(Permount)での封入後、暗視野顕微鏡を用いて組織を観察する。図6〜8のインサイチュウハイブリダイゼーション実験からのデータにより、その遺伝子はトウモロコシ胚芽全体を通しても発現されることが示される。AHASプロモーターの発現を以下の事項により評定することが可能である:1. als2−GUS融合遺伝子を構築し、そしてトランスジェニックトウモロコシおよびイネ植物内でのGUS活性のパターンを決定する。トウモロコシプロモーターを用いる以前の調査により、イネにおけるトウモロコシプロモーター発現を評定することの実行可能性が既に示されている(Junko Kyozukaら、1991)。トランスジェニック植物の選択後には組織化学的分析を、様々な発生段階の植物組織で実施して、組織特異性および細胞タイプ特異性の両方を決定する。この技術は、単子葉類および双子葉類の両方でのプロモーター活性を評定するのに一般的に用いられる。2. 一過性発現アッセイは、als2−GUS構築物の形質転換後に様々な植物種から調製された原形質体について実施される。このアプローチを用いて異種である種において機能する様々なプロモーターの能力を評定する。原形質体を目的の構築物で形質転換させ、そしてそれをインキュベートして組込み遺伝子が発現されかつ蛋白質が蓄積するようにさせる。インキュベーション後には細胞をそのトランスジーンによりコードされる蛋白質の存在についてアッセイしてトランスジーン発現を誘導させるプロモーターの効率を決定する。配列表(1)一般情報:(i)出願人:Dietrich,Dabriele(ii)発明の名称:植物における組込み遺伝子の発現に役立つアセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)のための非コーディングDNA 5'端〜構造遺伝子(プロモーター)(iii)配列数:3(iv)連絡先:(A)住所:American Cyanamid Company(B)街路名:One Cyanamid Plaza(C)市:Wayne(D)州:New Jersey(E)国:米国(F)郵便コード番号(ZIP):07470−8426(v)コンピューター解読形態:(A)媒質の種類:フロッピーディスク(B)コンピューター:IBM PC compatible(C)操作システム:PC−DOS/MS−DOS(D)ソフトウエアー:PatentIn Release #1.0、Version #1.25(vi)現行の出願データ:(A)出願番号:US(B)出願日:(C)分類:(viii)弁理士/代理店情報:(A)氏名:Harrington,James J.(B)登録番号:P38,711(C)参照/審理番号:32,348(ix)遠隔通信情報:(A)電話番号:201−831−3246(B)テレファックス:201−831−3305(2)配列番号1:(i)配列の特徴:(A)配列の長さ:413(B)配列の型:核酸(C)鎖の数:一本鎖(D)トポロジー:直鎖状(ii)配列の種類:DNA(ゲノム)(iii)ハイポセティカル配列:NO(iv)アンチセンス配列:NO(iv)配列:(2)配列番号2:(i)配列の特徴:(A)配列の長さ:509(B)配列の型:核酸(C)鎖の数:一本鎖(D)トポロジー:直鎖状(ii)配列の種類:DNA(ゲノム)(iv)配列:(2)配列番号3:(i)配列の特徴:(A)配列の長さ:829(B)配列の型:核酸(C)鎖の数:一本鎖(D)トポロジー:直鎖状(ii)配列の種類:DNA(ゲノム)(iv)配列: 配列番号3に記載のヌクレオチド配列を有するals2遺伝子のトウモロコシAHASプロモーターのヌクレオチドの、単子葉植物におけるマーカー遺伝子を発現させるための使用方法。 トウモロコシAHASプロモーターによって推進されるマーカー遺伝子の発現が除草剤耐性、解毒作用および植物の病原体に対する耐性からなる群より選ばれる一種以上の特性を付与する請求項1に記載の使用方法。 単子葉植物または該植物の部分にトランスフォーメーションするためのトランスフォーメーションベクターの作製のためのものである請求項1または2に記載の使用方法。