タイトル: | 特許公報(B2)_高沸点ビニルエーテルの連続的製造方法 |
出願番号: | 1996355167 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07C 41/08,C07C 43/178,C07C 43/188,B01J 31/02,C07B 61/00 |
大森 秀樹 福留 利行 箱崎 智則 角田 聡 織田 英伸 JP 3817316 特許公報(B2) 20060616 1996355167 19961220 高沸点ビニルエーテルの連続的製造方法 丸善石油化学株式会社 000157603 小林 雅人 100091247 吉村 直樹 100091258 大森 秀樹 福留 利行 箱崎 智則 角田 聡 織田 英伸 20060906 C07C 41/08 20060101AFI20060817BHJP C07C 43/178 20060101ALI20060817BHJP C07C 43/188 20060101ALI20060817BHJP B01J 31/02 20060101ALI20060817BHJP C07B 61/00 20060101ALN20060817BHJP JPC07C41/08C07C43/178 AC07C43/188B01J31/02 101XC07B61/00 300 C07C 41/06- 41/08 C07C 43/178 C07C 43/188 C07C 43/16 特開平08−225479(JP,A) 特開平08−253438(JP,A) 特開平04−198144(JP,A) 7 1998182536 19980707 11 20020919 松本 直子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、アルコールと工業的に安価で入手し易いアセチレンから比較的沸点の高いビニルエーテルを製造する方法に関するものである。ビニルエーテルは、塗料や樹脂の原料として使用され、工業的に有用な化合物である。【0002】【従来の技術】ビニルエーテルは、古くからアルカリ金属アルコラート触媒存在下、アルコールをアセチレンと反応させるレッペ反応により製造されており、具体的な製造方法としてはいわゆる気相抜き出し式と回分式の2通りの方法が知られている。これらの中の気相抜き出し法においては反応器からビニルエーテルを回収する際、アセチレンまたはこれを含むガスを連続的に供給し、反応器を通過したガスと同伴してくるガス状のビニルエーテルを回収して精製すると共に、未反応のアセチレンも回収して再使用するという方法が工業的に採用されており、例えば、米国特許第1,959,927 号などに記載されている。また、回分式の方法としては、回分式反応、または反応開始後はアセチレンのみを反応器に供給する半回分式反応を行い、反応器内にある程度ビニルエーテルが蓄積した後、反応器内液相を蒸留し、ビニルエーテルを回収する方法も広く採用されている。【0003】これらの従来の方法のうち、前者の場合はビニルエーテルの沸点が反応温度に比較してかなり低い場合は効率のよい方法であるが、ビニルエーテルの沸点が高くなるにつれ効率が低下する。また後者の場合は沸点の高いビニルエーテルでも適用可能な方法であるが、回分式または半回分式反応という原理的な問題から効率的ではない。【0004】すなわち、ビニルエーテルは、ビニル基を持っていることからそれ自体で反応性に富み、重合または分解反応が起こりやすい性質の化合物である。また、原料アルコールとして多価アルコール、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールなどを用いた場合、一旦生成したビニルエーテルはさらなるアセチレンの付加または環化により逐次的にジビニルエーテルや環状アセタールを生成する。ビニルエーテルの沸点が低い場合、生成したビニルエーテルはガス化してしまうので、これらの副反応は起こりにくい。しかし、ビニルエーテルの沸点が比較的高い場合は、生成したビニルエーテルはガス化せずに反応液中に蓄積するためビニルエーテルの濃度が高くなり、上記のような副反応が進行し、ビニルエーテルの選択率は低下する。また、液相中のビニルエーテル濃度が高くなると、それに対応して原料アルコール濃度が低くなるので、ビニルエーテル生成速度が低くなることも反応速度論的に明らかである。したがって、生成したビニルエーテルの沸点が比較的高く反応条件下でガス化しない場合について従来法を採用しようとすると、以下のような問題点がでてくる。【0005】例えば、上記抜き出し方法においては、反応液中のビニルエーテルの濃度が高くならないようにビニルエーテルを反応液から素早く抜き出す必要がある。ビニルエーテルの抜き出し速度を上げるためには気相中のビニルエーテルの分圧を高くしなければならない。このためには反応器内のビニルエーテル濃度をある程度高く維持するか、または反応温度を上げなければならず、副反応の進行を抑制しつつビニルエーテルを効率よく得ることは困難であった。【0006】一方、該方法において反応器を通過するガスの流量を増加させることにより、反応液中のビニルエーテルを低濃度で維持することもできるが、この場合、アセチレン基準の転化率が低下し、大量の未反応のアセチレンが廃ガスとして反応器から排出されるため、不経済であった。【0007】また、回分式方法においては、生産性を考慮して、反応時間を長くすることにより、ビニルエーテルの濃度がある程度高い反応液を得なければならないため、副反応の進行およびビニルエーテルの生成速度の低下の両面からビニルエーテルの選択率の低下は避けられないという問題点があった。【0008】ビニルエーテルの連続的製造法としては、特開平4−95040号公報および特開平4−198144号公報が知られている。これらは、上記した気相抜き出し法の一種であって、目的物はメチルビニルエーテル(沸点12〜14℃)、あるいは炭素数1〜4のアルコールとアセチレンとから得られる低沸点のビニルエーテル、すなわちメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル(沸点35.5℃)、n−プロピルビニルエーテル(沸点65℃)およびn−ブチルビニルエーテル(沸点94℃)である。これらのビニルエーテルは低沸点であり、比較的に希薄な反応液からも容易に蒸発させることが可能であるために、副反応を起こす危険も少なく、また用いるアルコールが一価アルコールであるために反応部位が限られていることも相まって、取り扱いの容易な化合物である。【0009】【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような従来技術の欠点を解決するもので、その目的は、比較的沸点の高いビニルエーテルの製造に際し、反応液中のビニルエーテルを低濃度で維持することにより、副反応を抑制しつつ適当な速度でビニルエーテルを生成すると共に、アセチレンが効率的に消費される製造方法を提供することにある。【0010】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、反応器内液相部より反応液を連続的に抜き出し、これを蒸留してビニルエーテルを回収すると共に、ビニルエーテルが除去されたアルカリ金属アルコラート触媒のアルコール溶液(以下、アルカリ金属アルコラート/アルコールと記す。)を、アルコールの消費分を補充しながら反応器へ連続的に供給すれば、反応液中のビニルエーテルを低濃度で維持しつつ上記目的を好適に達成しうることを見出し、本発明を完成した。【0011】即ち、本発明の要旨は、アルカリ金属アルコラートを触媒とし、アセチレンとアルコールの気液接触反応によってビニルエーテルを製造する方法であって、(第1工程)反応液中のビニルエーテル濃度を0.01〜2.0モル/lに維持するように、反応液を反応器内液相部より連続的に抜き出すと同時に、アルカリ金属アルコラート/アルコールを反応器へ連続的に供給しながら均一系で反応を行う工程と、(第2工程)第1工程で抜き出された反応液を蒸留して、塔頂部からビニルエーテル、塔底部からはアルカリ金属アルコラート/アルコールを抜き出し、抜き出されたアルカリ金属アルコラート/アルコールを反応器へ循環する工程とを必須の工程とすることを特徴とする沸点100℃以上の高沸点ビニルエーテルの連続的製造方法に存する。【0012】【発明の実施の形態】以下に本発明についてさらに詳しく説明する。まず、原料について説明すると、本発明は特に反応条件下で生成物であるビニルエーテルがガス化しない場合において、発明の効果を充分に生かすことができるので、原料のアルコールとしてはアセチレンと反応して沸点100 ℃以上のビニルエーテルを与えるアルコールが用いられる。そのようなアルコールとしては、例えば、オクタノール、デカノール、ドデカノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオールおよび1,4-ブタンジオールなどが挙げられ、好ましくはシクロヘキサノール、エチレングリコールおよび1,4-ブタンジオールが挙げられる。中でもエチレングリコールや1,4-ブタンジオールは活性な水酸基を2個有しているので副反応が起こり易く、目的物への選択率が低くなりがちであり、従来モノエーテルの製造原料としてはあまり用いられてこなかったものである。本発明方法によれば反応液中のビニルエーテル濃度を低く保てるので、このような副反応を起こし易い物質を原料として使用しうる点に1つの特徴がある。【0013】本発明に用いられるアルカリ金属アルコラート触媒は水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ルビジウム(RbOH)、水酸化セシウム(CsOH)の中の1つ、またはその混合物と目的となるビニルエーテルに対応する上記のような原料のアルコールから合成される化合物であり、これらは通常アルカリ金属アルコラートのアルコール溶液(アルカリ金属アルコラート/アルコール)として取り扱われ、この溶液は公知の方法で合成できる。本発明方法の1つの特徴は、特定のアルコール類を除いてほとんど大部分のアルコールの反応において触媒の金属成分としてナトリウムが有効に用いられることであり、従来技術においては安価なナトリウムは用いられず高価なカリウムがかえって用いられてきたのが実状である。本発明方法においてはシクロヘキサノールのごとき脂環式一価アルコールを用いる場合には、触媒となるナトリウムシクロヘキサノラートが不溶性であり、反応や蒸留に支障をきたすのでカリウムを使用することが好ましく、また実際的であるがその他のアルコールについては安価なナトリウムアルコラートの使用で十分に満足のいく結果が得られる。アルカリ金属アルコラート触媒の濃度は特に限定されないが、反応液基準で 0.5〜3 モル/lであるのが好ましく、これよりも低い場合は反応速度がかなり遅くなり、逆にこれよりも高いと反応液が高粘度になり、抜き出し液の輸送が困難になる傾向にある。【0014】本発明方法では触媒は反応液中に溶解しており、反応液は均一相を形成している。従って、反応液の抜き出しに際して、不均一相では必要となる特別の注意を払う必要はなく、簡便に行うことができる。本発明方法においては、前記した特開平4−95040号公報および特開平4−198144号公報におけるが如き溶媒の使用を必要としないし、また水の不存在下でも触媒は反応液中に溶解しており、固相、すなわちスラリーを形成することはなく、運転操作が簡単である。【0015】次に工程について説明する。(第1工程)この工程は、原料のアルコールおよびアセチレンをアルカリ金属アルコラートを触媒として反応させる工程である。【0016】用いる反応器の形式としては気液接触反応が実現できるものであればよく、例えば、充填塔、気泡塔、撹拌槽、スプレー塔、段塔などが挙げられ、これらの組み合わせでもよい。反応を良好に進行させるためには気液向流接触が可能な反応器の使用が好ましい。この反応器にはアセチレンとアルカリ金属アルコラート/アルコールが供給され、一方で反応液の一部とアセチレンを主成分とする廃ガスが抜き出される。【0017】反応器に導入されるアセチレンは、所定の反応圧力を保つように、反応に消費された量と廃ガスとして抜き出された量に相当する量が連続的に供給される。【0018】また、反応器へのアルカリ金属アルコラート/アルコールの供給は反応開始時の反応器内液相の触媒濃度と同じ濃度のものを供給すればよく、その濃度は反応器内および蒸留器内の液相の体積を一定に保つように原料アルコールを供給すれば、触媒は不揮発性であり消耗されないので反応液中の触媒濃度が変化することはない。【0019】反応温度は特に限定されないが、通常 100〜180 ℃の範囲である。この反応は、一般に低温の場合は反応速度が遅くなり、温度が高すぎる場合は、気相中のアルコール分圧が増加し、その結果アセチレン分圧が減少して反応速度の増加の効果が小さくなり、また副反応の増加や触媒の失活も見られるようになる。【0020】反応圧力も特に制限されないが、通常0Kg/cm2G以上で行う。圧力が高けれ高いほど反応速度が大きくなるが、アセチレンの分解爆発を防止するためには2Kg/cm2G以下にすることが好ましい。【0021】反応液はビニルエーテルが蓄積しないよう反応器からその一部が連続的に抜き出され、反応液中のビニルエーテルの濃度は、反応液基準で好ましくは0.01〜2.0 モル/l、さらに好ましくは0.05〜1.5 モル/lに維持される。【0022】ビニルエーテルを任意の濃度に維持するための、反応液の抜き出し速度は下記の式により算出することができる。反応液抜き出し速度(l/hr)=ビニルエーテル生成速度(モル/l・hr)×反応器内液相体積(l)÷反応液中のビニルエーテル濃度(モル/l)【0023】なお、廃ガスの抜き出しの目的は、副生する低沸点成分を気相から排除することにあるので、気相にこの低沸点成分の蓄積がない限り、特に抜き出される必要はない。【0024】(第2工程)この工程は反応器から抜き出された反応液を蒸留することにより、塔頂部からビニルエーテルを分離し、また塔底部からアルカリ金属アルコラート/アルコールを分離する工程である。【0025】本発明で用いられる蒸留塔の形式としては、例えばフラッシュ蒸留器、段塔または充填塔などの精留塔があるが、塔頂部抜き出し液中のビニルエーテル濃度を高めるため、また回収アルコラート/アルコール液中にビニルエーテルができるだけ含まれないようにするためには、精留塔を用いるのが好ましく、それもある程度の理論段数を有するもの、通常は2〜20理論段、好ましくは5〜20理論段を有するものが用いられる。勿論これらの値は用いられる還流比によっても左右されるので、いちがいに規定することはできない。このようにすることで、第1工程および第2工程を通じての原料アルコールの転化率を上げることができる。また、必要により蒸留塔を複数用いてもよい。【0026】蒸留塔内の温度は熱効率を考えると、できるだけ反応温度に近い温度が望ましく、100〜180 ℃で行うのが好ましい。また蒸留圧力は反応圧力より低い圧力であり、蒸留温度に合わせて、反応器でのビニルエーテル生成速度と等しいだけのビニルエーテル留出速度が得られるように制御される。蒸留圧力が低ければ蒸留に必要な温度も低下するので、重合やアセタールあるいはジビニルエーテルの生成等の副反応を抑制しうる。【0027】缶出液としてアルカリ金属アルコラート/アルコールが回収され、必要であればアルコールを補給することにより濃度調整を行った後に、反応器に循環される。【0028】本発明方法は、以上のようにして原料アルコールに対応する沸点 100℃以上の高沸点ビニルエーテルを連続的に製造する方法であるが、反応器内のビニルエーテルの濃度が高くならないように、反応器内液相の一部を連続的に抜き出して蒸留することにより、反応器内液相中のビニルエーテルをすばやく回収することができ、ビニルエーテル生成速度を低下させることなく、ビニルエーテルの選択率を高め、またアセチレンの転化率を高め、従来法に見られるような大量のアセチレンの回収も必要としないなど工業的に優れた利点を有するものである。【0029】【実施例】以下、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されるものではない。【0030】実施例1図1に本発明方法のフローの一例を示す。(第1工程)アセチレン供給管1、アルカリ金属アルコラート/アルコール供給管2、反応液抜き出し管3および廃ガス抜き出し管4を備えた撹拌機付き1l のステンレス鋼(SUS 316)製反応器5にNaOHと1,4-ブタンジオールから合成したアルコラートの1,4-ブタンジオール溶液、すなわちアルカリ金属アルコラート/アルコール(液中の触媒濃度1.33 モル/l)を0.5 l仕込み、アセチレンのみをアセチレン供給管1から連続的に供給しながら、0.4Kg/cm2Gの加圧下、160℃で0.5 時間反応を行った。その後同じ反応条件下で反応液抜き出し管3から反応液を毎時0.98 l、すなわちこの時点での反応器中の目的物であるヒドロキシブチルビニルエーテル濃度を保つ割合(これは本例における如く比較的に低い濃度では上記反応時間に見合う滞留時間を与える割合と近似的に一致する)(以下の例においても同様である)、で抜き出し、蒸留塔6へと供給を開始し、同時にあらかじめ仕込んでおいた蒸留塔6の塔底部のアルカリ金属アルコラート/アルコール(液中の触媒濃度1.33 モル/l)を抜き出し管7よりアルカリ金属アルコラート/アルコール供給管2へ導き、反応液の体積を一定に維持するように反応器5内へ供給し始めた。廃ガス抜き出し管4からのガスの抜き出しは毎時0.45 Nlで行った。【0031】(第2工程)蒸留塔6としてコンデンサー、および加熱器を備えた充填式精留塔(理論段数5、濃縮部3理論段、回収部2理論段)を用い、反応器5から供給された反応液を蒸留圧力50mmHgの条件下で連続的に蒸留を行った。塔頂部から留出が始まった後、缶出液として抜き出し管7よりアルカリ金属アルコラート/アルコールを回収し、反応器5内の液相体積および蒸留塔6の塔底部の液相体積を一定に維持するよう原料1,4-ブタンジオールを補給し、アルカリ金属アルコラート/アルコール供給管2より反応器5に循環した。【0032】以上のような操作を行って反応を開始した後、定常状態に達したところで、原料1,4-ブタンジオールは毎時0.516 モルで供給され、蒸留塔6の塔頂部の抜き出し管8からは目的物であるヒドロキシブチルビニルエーテルが毎時0.440 モル、未反応の1,4-ブタンジオールは毎時0.026 モル、副生成物であるブタンジオールジビニルエーテルが毎時0.013 モル、その他未同定物が毎時3.79 g留出した。この時の蒸留塔6の塔頂部の温度は115℃、塔底部の温度は160℃であり、還流比は2であった。反応器5内の液相中のヒドロキシブチルビニルエーテル濃度は0.473モル/lであった。また反応器内液相体積は0.488 lであった。【0033】したがって、第1工程および第2工程を通じてのアセチレン転化率は96.1モル%、1,4-ブタンジオールのヒドロキシブチルビニルエーテルへの選択率は89.8モル%、アルコール転化率は95.0モル%であった。またヒドロキシブチルビニルエーテルの生成速度は反応器内の液相体積基準で0.901モル/l・hrであった。蒸留塔6からの留出液は20段オールダショウ精留塔を用いて回分式で10mmHgの減圧下で蒸留を行ったところ、純度99.0%のヒドロキシブチルビニルエーテルが78〜79℃、還流比2で留出した。【0034】実施例2実施例1においてアルカリ金属アルコラート/アルコール液として1,4-ブタンジオールとKOHから合成した濃度1.33モル/lの溶液を用い、反応液の抜き出し速度を毎時0.99 lに設定したこと以外、装置、方法および反応条件は同様に行った。【0035】定常状態においては、原料1,4-ブタンジオールは毎時0.671 モルで供給され、蒸留塔塔頂部からは目的物であるヒドロキシブチルビニルエーテルが毎時0.583 モル、未反応1,4-ブタンジオールは毎時0.040 モル、副生成物であるブタンジオールジビニルエーテルが毎時0.011 モル、その他未同定物が毎時3.50 g留出した。反応器内液相中のヒドロキシブチルビニルエーテル濃度は0.616モル/lであった。また反応器内液相体積は0.495 lであった。【0036】したがって第1工程および第2工程を通じてのアセチレン転化率は96.9モル%、1,4-ブタンジオールのヒドロキシブチルビニルエーテルへの選択率は92.4モル%であった。またヒドロキシブチルビニルエーテルの生成速度は反応器内の液相体積基準で1.178 モル/l・hrであった。【0037】実施例3実施例1において反応開始時に1.5 時間反応を行った後、反応液の抜き出し速度を毎時0.22 lに設定したこと以外、装置、方法および反応条件は同様に行った。【0038】定常状態においては、原料1,4-ブタンジオールは毎時0.343 モルで供給され、蒸留塔塔頂部からは目的物であるヒドロキシブチルビニルエーテルが毎時0.268 モル、未反応1,4-ブタンジオールは毎時0.006 モル、副生成物であるブタンジオールジビニルエーテルが毎時0.021 モル、その他未同定物が毎時4.77 g留出した。反応器内液相中のヒドロキシブチルビニルエーテル濃度は1.270モル/lであった。また反応器内液相体積は0.410 lであった。【0039】したがって第1工程および第2工程を通じてのアセチレン転化率は94.4モル%、1,4-ブタンジオールのヒドロキシブチルビニルエーテルへの選択率は79.6モル%であった。またヒドロキシブチルビニルエーテルの生成速度は反応器内の液相体積基準で0.653 モル/l・hrであった。【0040】比較例1実施例1において反応開始時に6時間反応を行った後、反応液の抜き出し速度を毎時0.10 lに設定したこと以外、装置、方法および反応条件は同様に行った。【0041】定常状態においては、原料1,4-ブタンジオールは毎時0.430モルで供給され、蒸留塔塔頂部からは目的物であるヒドロキシブチルビニルエーテルが毎時0.241モル、未反応1,4-ブタンジオールは毎時0.003モル、副生成物であるブタンジオールジビニルエーテルが毎時0.069モル、その他未同定物が毎時13.03g 留出した。反応器内液相中のヒドロキシブチルビニルエーテル濃度は2.480モル/lであった。また反応器内液相体積は0.425 lであった。【0042】したがって第1工程および第2工程を通じてのアセチレン転化率は95.5モル%、1,4-ブタンジオールのヒドロキシブチルビニルエーテルへの選択率は56.4モル%であった。またヒドロキシブチルビニルエーテルの生成速度は反応器内の液相体積基準で0.567モル/l・hrであった。【0043】実施例4実施例1において触媒濃度を2.63モル/l、反応開始時に0.5 時間反応を行った後、反応液の抜き出し速度を毎時0.49 lに設定したこと以外、装置、方法および反応条件は同様に行った。【0044】定常状態においては、原料1,4-ブタンジオールは毎時0.762モルで供給され、蒸留塔塔頂部からは目的物であるヒドロキシブチルビニルエーテルが毎時0.582モル、未反応1,4-ブタンジオールは毎時0.022モル、副生成物であるブタンジオールジビニルエーテルが毎時0.042モル、その他未同定物が毎時12.55 g留出した。反応器内液相中のヒドロキシブチルビニルエーテル濃度は1.240モル/lであった。また反応器内液相体積は0.411 lであった。【0045】したがって第1工程および第2工程を通じてのアセチレン転化率は97.4モル%、1,4-ブタンジオールのヒドロキシブチルビニルエーテルへの選択率は78.7モル%であった。またヒドロキシブチルビニルエーテルの生成速度は反応器内の液相体積基準で1.419モル/l・hrであった。【0046】実施例5実施例1において触媒濃度を0.65モル/l、反応開始時に1時間反応を行った後、反応液の抜き出し速度を毎時0.41 lに設定したこと以外、装置、方法および反応条件は同様に行った。【0047】定常状態においては、原料1,4-ブタンジオールは毎時0.262モルで供給され、蒸留塔塔頂部からは目的物であるヒドロキシブチルビニルエーテルが毎時0.227モル、未反応1,4-ブタンジオールは毎時0.011モル、副生成物であるブタンジオールジビニルエーテルが毎時0.007モル、その他未同定物が毎時1.62 g留出した。反応器内液相中のヒドロキシブチルビニルエーテル濃度は0.584モル/lであった。また反応器内液相体積は0.405 lであった。【0048】したがって第1工程および第2工程を通じてのアセチレン転化率は92.6モル%、1,4-ブタンジオールのヒドロキシブチルビニルエーテルへの選択率は90.7モル%であった。またヒドロキシブチルビニルエーテルの生成速度は反応器内の液相体積基準で0.560モル/l・hrであった。【0049】実施例6実施例1において原料アルコールとしてエチレングリコール、アルカリ金属アルコラート/アルコール液としてエチレングリコールとNaOHから合成した濃度1.47モル/lの溶液を用い、0.4Kg/cm2Gの加圧下、反応温度160 ℃で0.5 時間反応を行った後、反応液抜き出し速度を毎時0.73 lに設定したこと、また蒸留圧力を120mmHgにしたこと以外、装置および方法は同様に行った。【0050】定常状態においては、原料エチレングリコールは毎時0.184モルで供給され、蒸留塔塔頂部からは目的物であるヒドロキシエチルビニルエーテルが毎時0.166 モル、未反応エチレングリコールは毎時0.003モル、副生成物である2-メチル-1,3-ジオキソランが毎時0.012 モル、エチレングリコールジビニルエーテルが毎時0.002 モル、その他未同定物が毎時0.14 g留出した。この時の蒸留塔6の塔頂部の温度は94℃、塔底部の温度は146℃であり、還流比は8であった。反応器内液相中のヒドロキシエチルビニルエーテル濃度は0.234 モル/lであった。反応器内液相体積は0.367 lであった。【0051】したがって第1工程および第2工程を通じてのアセチレン転化率は90.1モル%、エチレングリコールのヒドロキシエチルビニルエーテルへの選択率は91.7モル%、アルコール転化率は98.3モル%であった。またヒドロキシエチルビニルエーテルの生成速度は反応器内の液相体積基準で0.452 モル/l・hrであった。【0052】実施例7実施例6においてアルカリ金属アルコラート/アルコール液としてエチレングリコールとKOHから合成した濃度1.47モル/lの溶液を用い、反応液の抜き出し速度を毎時0.76 lに設定したこと以外、装置、方法および反応条件は同様に行った。【0053】定常状態においては、原料エチレングリコールは毎時0.191 モルで供給され、蒸留塔塔頂部からは目的物であるヒドロキシエチルビニルエーテルが毎時0.173 モル、未反応エチレングリコールは毎時0.004 モル、副生成物である2-メチル-1,3-ジオキソランが毎時0.012 モル、エチレングリコールジビニルエーテルが毎時0.001 モル、その他未同定物が毎時0.13 g留出した。反応器内液相中のヒドロキシエチルビニルエーテル濃度は0.240モル/lであった。反応器内液相体積は0.378 lであった。【0054】したがって第1工程および第2工程を通じてのアセチレン転化率は90.4モル%、エチレングリコールのヒドロキシエチルビニルエーテルへの選択率は92.2モル%であった。またヒドロキシエチルビニルエーテルの生成速度は反応器内の液相体積基準で0.457 モル/l・hrであった。【0055】実施例8実施例6において反応温度140℃で0.5時間反応を行った後、反応混合液の抜き出し速度を毎時0.79 lに設定したこと、また蒸留圧力を60mmHgにしたこと以外、装置、方法および反応条件は同様に行った。【0056】定常状態においては、原料エチレングリコールは毎時0.061モルで供給され、蒸留塔塔頂部からは目的物であるヒドロキシエチルビニルエーテルが毎時0.057モル、未反応エチレングリコールは毎時0.002モル、副生成物である2-メチル-1,3-ジオキソランが毎時0.001モル、その他未同定物が毎時0.04 g留出した。この時の蒸留塔6の塔頂部の温度は75℃、塔底部の温度は126℃であった。エチレングリコールジビニルエーテルは留出しなかった。反応器内液相中のヒドロキシエチルビニルエーテル濃度は0.073モル/lであった。反応器内液相体積は0.397 lであった。【0057】したがって第1工程および第2工程を通じてのアセチレン転化率は74.5モル%、エチレングリコールのヒドロキシエチルビニルエーテルへの選択率は97.6モル%であった。またヒドロキシエチルビニルエーテルの生成速度は反応器内の液相体積基準で0.144モル/l・hrであった。【0058】実施例9実施例1において原料アルコールとしてシクロヘキサノール、アルカリ金属アルコラート/アルコール液としてシクロヘキサノールとKOHから合成した濃度1.27 モル/lの溶液を用い、0.4Kg/cm2Gの加圧下、反応温度140℃で2 時間反応を行った後、反応液抜き出し速度を毎時0.22 lに設定したこと、また蒸留圧力を100mmHgにしたこと以外、装置および方法は同様に行った。【0059】定常状態においては、原料シクロヘキサノールは毎時0.181 モルで供給され、蒸留塔塔頂部からは目的物であるシクロヘキシルビニルエーテルが毎時0.105 モル、未反応シクロヘキサノールは毎時0.073 モル、未同定物が毎時0.24 g留出した。この時の蒸留塔6の塔頂部の温度は90℃、塔底部の温度は105℃であり、還流比は10であった。反応器内液相中のシクロヘキシルビニルエーテル濃度は0.511モル/lであった。反応器内液相体積は0.433 lであった。【0060】したがって第1工程および第2工程を通じてのアセチレン転化率は84.3モル%、シクロヘキサノールのシクロヘキシルビニルエーテルへの選択率は98.2モル%、アルコール転化率は59.3モル%であった。またシクロヘキシルビニルエーテルの生成速度は反応器内の液相体積基準で0.243 モル/l・hrであった。【0061】【発明の効果】本発明の製造方法は、比較的沸点の高いビニルエーテルの製造に際し、反応液中のビニルエーテルを低濃度で維持することにより、副反応が抑制されると共に適当な速度でビニルエーテルが生成するためにビニルエーテルを高選択率で合成できるという効果が有り、またアセチレンが効率的に消費されるので、アセチレンの回収設備を必要としない簡易な設備でビニルエーテルを工業的規模で連続的に製造することができるという効果を有する。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の高沸点ビニルエーテルの連続的製造方法に係る工程の一実施例を示すフローチャートである。【符号の説明】1 アセチレン供給管2 アルカリ金属アルコラート/アルコール供給管3 反応液抜き出し管4 廃ガス抜き出し管5 反応器6 蒸留塔7、8 抜き出し管 アルカリ金属アルコラートを触媒とし、アセチレンとアルコールの気液接触反応によってビニルエーテルを製造する方法であって、(第1工程)反応液中のビニルエーテル濃度を0.01〜2.0モル/lに維持するように、反応液を反応器内液相部より連続的に抜き出すと同時に、アルカリ金属アルコラート/アルコールを反応器へ連続的に供給しながら均一系で反応を行う工程と、(第2工程)第1工程で抜き出された反応液を蒸留して、塔頂部からビニルエーテル、塔底部からはアルカリ金属アルコラート/アルコールを抜き出し、抜き出されたアルカリ金属アルコラート/アルコールを反応器へ循環する工程とを必須の工程とすることを特徴とする沸点100℃以上の高沸点ビニルエーテルの連続的製造方法。 アルコールが炭素数6〜12の一価アルコールおよび炭素数2〜6の二価アルコールからなる群から選択される請求項1に記載の方法。 アルコールがシクロヘキサノール、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールからなる群から選択される請求項2に記載の方法。 ビニル化反応が100〜180℃の温度で行われる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 反応液中の触媒濃度が0.5〜3モル/lである請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 触媒の金属成分がナトリウムであり、アルコールが鎖状一価アルコールまたは二価アルコールである請求項1〜5のいずれかに記載の方法。 触媒の金属成分がカリウムであり、アルコールが脂環式一価アルコールである請求項1〜5のいずれかに記載の方法。