生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_α−ピネンの転位によるカンフェンの製造方法
出願番号:1996315070
年次:2007
IPC分類:C07C 13/40,C07C 5/31


特許情報キャッシュ

マンフレート・ゲシャイトマイヤー ハラルト・ヘーベルライン JP 3897385 特許公報(B2) 20070105 1996315070 19961126 α−ピネンの転位によるカンフェンの製造方法 クラリアント・プロドゥクテ・(ドイチュラント)・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 597109656 江崎 光史 100069556 三原 恒男 100092244 奥村 義道 100093919 マンフレート・ゲシャイトマイヤー ハラルト・ヘーベルライン DE 195 44 086:2 19951127 20070322 C07C 13/40 20060101AFI20070301BHJP C07C 5/31 20060101ALI20070301BHJP JPC07C13/40C07C5/31 C07C 13/40 C07C 5/31 特開平05−221883(JP,A) 特開昭58−026826(JP,A) 特公昭45−028575(JP,B1) 5 1997169670 19970630 6 20031028 滝口 尚良 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、カンフェンの改良された製造方法に関し、この方法により公知の方法と比較して異性体トリシクレン(tricyclene)の含有量が大幅に低減され、同時に高沸点テルペンポリマーの形成が実質的に避けられる。【0002】【従来の技術】不均一触媒を使用したα−ピネンの異性化によるカンフェンの形成は、以前から公知である(L.G. Gurvich, J. Russ. Phys., Chem. Soc., 47,827/1915 )。この反応には、多くの種類の触媒が推奨されており、酸性二酸化チタン水和物が特に好ましいとされている(要約:Ullmanns Encyclopaedie der technischen Chemie (Ullmann's Encyclopedia of Chemical Technology), 3rd edition, volume 17, 1966 )。約125℃を超える温度で、この反応は幾つかの副生成物、例えばトリシクレン、ジペンテン、異性体p-メンタジエン(menthadiene) およびポリマーを、目的生成物であるカンフェンと一緒に形成する。【0003】シクロフェンチェン(cyclofenchene) 、α−フェンチェン、ボルニレン(bornylene) 、△−3−カレン、p-シナン、p-メンテン-3、およびジテルペンも少量形成される。この粗カンフェンを減圧下に分留して、技術的に純粋なカンフェンとするが、これは通常トリシクレンも含み、単離した状態で工業的に利用することはできない。トリシクレンは、カンフェンと実質的に同じように化学的に反応するが、妨げとなる異性体生成物をも形成する。【0004】カンフェンは、例えばテルペンエステルの製造(価値があり、しばしば酢酸イソボルニルのような性質の同じ香料であるか、またはコーティング樹脂のモノマー)、テルペン−酸素化合物(イソボルネオール、カンファー)、テルペンエステルまたはアルキル化化合物(例えばフェノール)のための中間体として重要な役割を果たす。ここで、カンフェンのトリシクレン含有量が、可能であれば、10%未満であることがしばしば重要である。【0005】この異性化反応は、強い発熱を伴うので、熱を発散しなければならない。これは、例えば沸騰範囲よりも低い温度に維持するために、直接冷却または冷却装置を通して循環することによって行うことができる。これは、必要な触媒が少ないこと(0.05〜0.1重量%)およびカンフェンの収率がいくらか高く、同時に高沸点副生成物の形成を避けることができることに長所がある。しかしながら、この反応は、生成物の沸点で実施される反応よりも、10〜15倍長い時間を必要とする。この場合に、α−ピネンまたは引き続いて凝縮される反応生成物の蒸発、すなわち反応混合物を還流すること(C.A. vol. 89/1978, 197 725g;ヨーロッパ特許出願公開第0 539 990 号明細書)により、反応の熱量は発散される。これらの条件下(156〜162℃、0.2〜0.4重量%の触媒)では、異性化は、0.75〜2時間ですばやく進むが、主としてp-メンタジエンからのテルペンポリマーの形成が増加するために、特に最終段階において選択性が低い。【0006】【発明が解決しようとする課題】ポリマーが、触媒としての弱酸性二酸化チタン水和物の存在下で、還流下および窒素雰囲気下でのα−ピネンの異性化において最初に形成されず、残余のα−ピネンが5%まで低下した場合のみポリマー形成が起こり、そして3%まで低下した場合により一層起こることが見出された。これは、沸点が161.5℃よりも著しく高く上昇した場合に、通常観察される。高沸点ポリマー性化合物の割合は、時間の関数として、p-メンタジエンの消費において、5%を超えるまで上昇する。【0007】従って、この重合反応は、α−ピネンの含有量が特定の値に到達した際に反応温度を低下させ、この温度で反応を終了させることによって避けることができる。これにより、敏速な反応を還流により実施することができるが、高沸点ポリマー性生成物の形成は、最終段階での温度を低下させることにより、ほぼ実質的に避けられる。【0008】【課題を解決するための手段】従って、本発明は、酸化チタン水和物触媒の存在下で、熱の作用の下でα−ピネンの転位によりカンフェンを製造する方法において、最初に反応混合物中のα−ピネンの含有量が少なくとも3重量%、好ましくは5重量%になるまでα−ピネンを還流し、次いで第二反応において160℃未満、好ましくは150〜155℃の温度で転位を完了することからなる上記方法を提供する。【0009】この方法は、好ましくはα−ピネンおよび触媒を撹拌容器に導入し、そして窒素雰囲気下に、好ましくは0.5〜10℃/分、特に2〜4℃/分の速度でそれらを還流温度まで加熱するにより実施することができる。これにより、この反応の熱は、蒸発冷却により発散される。還流温度、すなわちα−ピネンの沸点または転位の際に形成される反応混合物の沸点は、α−ピネンの純度に応じて異なる。通常、還流温度は、約155〜165℃である。反応時間は、触媒濃度および加熱速度に応じて異なるが、0.3〜3.5時間、好ましくは0.7〜1.5時間である。【0010】触媒は、通常の酸化チタン水和物であり、好ましくは下記の手法により得られる酸化チタン水和物である:硫酸で酸性化したTiO2ペーストをNaOH溶液で処理し、洗浄し、酢酸と撹拌し、吸引濾過し、次いで減圧下に50〜100℃、好ましくは60〜80℃で乾燥する。 使用される触媒の量は、純粋なα−ピネンを基準として、0.1〜2.0重量%、好ましくは0.3〜0.5重量%である。【0011】還流温度に到達した際に、反応混合物中のα−ピネンの含有量が約3重量%、好ましくは約5重量%に低下するまで、反応混合物をこの温度で維持する。転位反応の際のα−ピネンの含有量の減少は、適した分析方法、例えばガスクロマトグラフィーにより容易に測定することができる。反応混合物中のα−ピネンの残余量が上記の値に到達した際に、反応混合物の内部温度を低下させ、依然として残留しているα−ピネンの転化を第二反応において低温で終了させる。この第二反応における温度は、反応混合物の沸点に応じて異なる。第二反応の温度を、反応混合物の沸点より約10℃低い温度に低下させることが好都合である。これは、一般的に約150〜155℃の温度である。どの場合においても、この温度は160℃未満とするべきである。第二反応の時間は、特に所望とされるα−ピネンの残余量に応じて異なる。所望の残余量、例えば0.1重量%のα−ピネンに到達した際に、この反応混合物を冷却し、触媒を濾去し、そしてカンフェンを蒸留により副生成物から分離する。【0012】本発明の方法の一つの態様では、活性の低い酸化チタン水和物触媒または少量のより活性なこのタイプの触媒を使用する。主要な反応は、いくらか長い時間を必要とするが、この場合の反応温度は、α−ピネンの異性化の終点に向けて自動的に沸点未満に低下するので、積極的な冷却は第二反応ではもはや必要ない。このα−ピネンの異性化では、カンフェンの他にトリシクレンが常に生成され、トリシクレンの割合は、反応温度に応じて異なる。155℃の反応温度では、例えば13.6重量%のトリシクレンが反応混合物中に得られるか、または17.1重量%がp-メンタジエンを取り除いた画分中に得られる。トリシクレンを高含有量で含む生成物をα−ピネンと同じ異性化条件に付した場合にこの平衡値も達成されることが見出された。この場合の平衡値は、対応するトリシクレン含有量が低い混合物の異性化よりも著しく速く達成される。このトリシクレンの蒸気圧はいくらか高いために、α−ピネン異性化生成物の減圧下での蒸留による後処理における第一留分中に、トリシクレンが高度に凝縮(50%より多くまで)されるので、このトリシクレンリッチの第一留分を分離し、そしてα−ピネンを用いた異性化バッチ中にリサイクルすることが可能である。この平衡比は適当な沸点で再び達成され、これはその沸点で支配的な平衡値よりも過剰なトリシクレン含有量の分をカンフェンに転換するか、またはトリシクレン含有量がその値を下回っている場合には、平衡値が達成されるまでにより多くのトリシクレンが形成されることを意味する。従って、トリシクレンリッチ留分の場合には、トリシクレンをカンフェンに転換することが可能である。当然、トリシクレンリッチ留分のみをα−ピネンと同じ異性化条件下に付すことも可能である。この方法では、p-メンタジエンおよび従って高沸点副生成物が生成されない点で有利である。粗カンフェン留分からトリシクレンリッチ第一留分を分離する結果として、トリシクレン含有量および第一留分の量に応じて、主要なカンフェン留分を、トリシクレンを平均的に非常に少量しか含まず、10%未満まで低下した状態で得ることができる。【0013】従って、本発明の方法は、α−ピネンのカンフェンへの転換におけるポリマー性副生成物の割合を低減し、そして従ってカンフェンの割合を増加することを可能とする。さらに、反応混合物の蒸留による後処理におけるトリシクレンリッチ第一留分を分離し、そしてこの留分を異性化反応にリサイクルすることによって、カンフェン中のトリシクレンの割合を低減することも可能である。【0014】【実施例】例1(比較例)トリシクレン第一留分の添加をしないピネンの異性化:温度は162℃を超えて上昇:撹拌装置を備えた5m3のジャケット容器中で、3038kgの工業品質のα−ピネン(約96%のα−ピネン、約1.5 %のβ−ピネン、約1%のカンフェン)および12kgの弱酸性二酸化チタン水和物を、絶えず窒素雰囲気の下で、撹拌しながら155℃に加熱した。発熱性の異性化反応の結果として、反応混合物の温度は、α−ピネンまたは異性化混合物の沸点まで上昇した。生成物の蒸気を凝縮し、凝縮物をさらに冷却することなく反応器中にリサイクルした。約60分後にα−ピネン含有量が0.1%まで低下した際に、冷却して反応を終了させ、この時点では内部温度は163.1℃であり、なお若干上昇する傾向にあった。反応混合物を濾過した後に、分析した結果は、7.2%のp-メンタジエンを経て排他的に形成される高沸点ポリマー性生成物、およびトリシクレン(T)、カンフェン(C)およびp-メンタジエン(p−M)(主としてα−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、テルピノレン)の重量比T:C:p−M=1:4.3:0.9であった。例2トリシクレン第一留分の添加をしないピネンの異性化:例1と同様に、2994kgのα−ピネンおよび7.5kg の弱酸性二酸化チタン水和物を沸点で反応させた。反応温度は、この手段の間に約162℃に上昇し、次いで徐々に低下し始めた。約80分後に、反応混合物を冷却した。ほんの0.1重量%の高沸点ポリマー性生成物しか含まれず、重量比は、トリシクレン:カンフェン:p-メンタジエン=1:4.8:1.8であった。例3トリシクレン第一留分を添加したピネンの異性化:例1と同様に、3000kgのα−ピネンおよび350kg のトリシクレン第一留分(49%のトリシクレン含有)を7.5kg の弱酸性二酸化チタン水和物と反応させた。反応温度は、161.2℃に上昇し、次いで徐々に低下し始めた。約120分後に、冷却して反応を終了した。この反応混合物は、ほんの0.2重量%の高沸点ポリマー性成分しか含まず、重量比トリシクレン:カンフェン:p-メンタジエンは、1:4.5:1.3であった。例4トリシクレン第一留分を添加したピネンの異性化:例1と同様に、3022kgのα−ピネンおよび309kg のトリシクレン第一留分(51%のトリシクレン含有)を10kgの弱酸性二酸化チタン水和物と反応させた。反応温度が161.7℃に上昇し、α−ピネンの含有量が約3%までに低下した後に、反応混合物を150℃に冷却し、この温度で撹拌を約1時間続けた。反応が終了した際、すなわちα−ピネンの残余量が0.1重量%未満となった際に、反応混合物を冷却した。これには高沸点ポリマー性副生成物は含まれず、重量比トリシクレン:カンフェン:p-メンタジエンは1:4.6:1.5であった。 酸化チタン水和物触媒の存在下で、熱の作用の下でα−ピネンの転位によりカンフェンを製造する方法において、反応混合物中のα−ピネンの含有量が少なくとも3重量%になるまでα−ピネンを還流し、次いで第二反応において160℃未満の温度で転位を完結させることからなる上記方法。 反応混合物中のα−ピネンの含有量が少なくとも5重量%になるまでα−ピネンを還流する請求項1に記載の方法。 150〜155℃で、転位を完結させる請求項1に記載の方法。 反応混合物の冷却により、第二反応の温度を160℃未満とする請求項1に記載の方法。 反応混合物の蒸留による後処理により得られるトリシクレンリッチ留分をα−ピネン中にリサイクルする請求項1に記載の方法。


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