タイトル: | 特許公報(B2)_窒素酸化物センサ |
出願番号: | 1996273969 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,G01N27/416,G01N27/409 |
難波 竹巳 JP 3550674 特許公報(B2) 20040514 1996273969 19960926 窒素酸化物センサ NOK株式会社 000004385 吉田 俊夫 100066005 難波 竹巳 20040804 7 G01N27/416 G01N27/409 JP G01N27/46 371G G01N27/58 B 7 G01N 27/416 G01N 27/409 JICSTファイル(JOIS) 特開平06−201643(JP,A) 特開平04−210242(JP,A) 特開昭59−091358(JP,A) 特開平06−201643(JP,A) 特開平04−210242(JP,A) 特開昭59−091358(JP,A) Applied Catalysis B:Environmental,1994年,Vol.4,No.2/3,213-223 1 1998104198 19980424 6 20010129 竹中 靖典 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、窒素酸化物センサに関する。更に詳しくは、固体電解質系酸素センサ素子に窒素酸化物分解触媒を担持させた窒素酸化物センサに関する。【0002】【従来の技術】窒素酸化物をセンシングする方法の一つとして、窒素酸化物を触媒によって窒素と酸素とに分解し、そこで生成した酸素に基づく出力を酸素センサで検出しようとする試みが行われている。このような原理を応用した窒素酸化物センサが特開平6−201,643号公報に記載されている。【0003】この特許公開公報には、カソード電極膜およびアノード電極膜を両面に形成させた酸素イオン伝導性固体電解質体と、この固体電解質体の片側に配置されたカソード電極膜に通じる酸素拡散孔を内部に有する拡散律速体とで構成され、カソード電極膜が貴金属と窒素酸化物分解触媒の混合物からなる限界電流式窒素酸化物センサが記載されており、窒素酸化物分解触媒としては、銅系酸化物、銅イオン交換ゼオライト、酸素空孔性ペロブスカイト型金属酸化物等が用いられると述べられている。【0004】しかしながら、この窒素酸化物センサは、多孔質型限界電流式を採用しているため、酸素濃度測定範囲が他のガルバニ電池式またはジルコニア起電力式(0〜25% O2)、ピンホール型限界電流式(0〜95% O2)と比較して0〜10% O2程度と狭く、またセンサ構造が複雑であるという問題点がみられる。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、固体電解質系酸素センサ素子に窒素酸化物分解触媒を担持させた窒素酸化物センサであって、酸素検出方式として長寿命で安定性、再現性にすぐれているといわれる濃淡電池式(起電力式)を採用したものを提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、上記窒素酸化物センサにおいて、水溶性銅塩が添加された合成母液から水熱合成されたCu含有合成ゼオライトZSM-5よりなる窒素酸化物分解触媒を固体電解質の片方の面側に形成された陽極としての多孔質電極上に担持させたものによって達成される。【0007】【発明の実施の形態】固体電解質としては、安定化ジルコニア(CSZ、YSZ)、Na3Zr2PSi2O12(NASICON)、Li14Zn(GeO3)4(LISICON)等が使用可能であるが、好ましくは安定化ジルコニアが用いられる。これらの固体電解質は、一般に板状体である多孔質基板として用いられる。【0008】固体電解質の多孔質基板の両面には、電気抵抗(500℃)が5×10 ̄5Ω・cm以下の金属、例えばPt、Ag、Au、Cr、Cu、Ir、Mo、Ni、Pd、Rh、Ta、W等からなる電極が形成され、その少なくとも一方は多孔質電極でなければならない。その理由は、片方の面側の電極(陽極)には窒素酸化物分解触媒であるCu含有合成ゼオライトが担持されなければならず、そのためには緻密な電極であってはならず、多孔質な電極でなければならないのである。多孔質電極の形成は、耐熱性電極材料ペーストを塗布し、焼成する方法や真空蒸着法などによって行われる。【0009】かかる多孔質電極上へのCu含有合成ゼオライトの担持は、固体電解質の多孔質基板上に設けられた電極の内、片方の面側に形成された多孔質電極の他方の電極(多孔質電極または非多孔質電極)をマスキングした後、テフロン製治具などに多孔質電極側を上にして載せた状態で、テフロン製内筒内などに収容し、そこに設置された基板が十分に浸漬される液量の合成母液を注入した後、水熱合成することによって行われる。【0010】合成母液としては、シリカ源、アルミナ源、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩および水からなる水性混合物にこれのアルミナ源に対して約0.2〜10倍モル量の水溶性銅塩を添加したものが用いられ、この合成母液を耐圧容器中に封入し、約160〜200℃の水熱合成温度を保持することによって多孔質電極上への担持が行われる。担持される窒素酸化物分解触媒としては、MFI骨格構造を有する Cu含有合成ゼオライトZSM−5が用いられる。【0011】シリカ源としては、シリカゾル、けい酸ナトリウム水溶液(水ガラスの水溶液を含む)、テトラエトキシシラン、シリカ粉末、けい酸など任意のものを用いることができるが、好ましくはシリカゾル、けい酸ナトリウム水溶液が用いられる。【0012】アルミナ源としては、アルミン酸ナトリウムに由来するAl2O3が好んで用いられるが、これ以外にも硝酸アルミニウム水和物、硫酸アルミニウム水和物等を用いることもできる。更に、アルカリ金属源またはアルカリ土類金属源としては、一般にナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの酸化物が用いられ、シリカ源として水ガラスNa2O・nSiO2などが、またアルミナ源としてアルミン酸ナトリウムNa2O・Al2O3が用いられた場合には、アルカリ金属酸化物源を兼ねることができる。なお、これらの金属酸化物は、水酸化物の形で添加することもできる。【0013】以上の各必須成分からなる水性混合物中には、テンプレート剤(構造規制剤)とも呼ばれている結晶化剤を加えることもでき、これはSiO2/Al2O3比や合成温度などと共に、ゼオライトの結晶構造に大きく寄与する因子の一つを構成している。かかる結晶化剤としては、テトラ低級アルキルアンモニウムハライド、ベンジルトリメチルアンモニウムハライドなどによって代表される第4級アンモニウムハライドまたは対応する水酸化物などが一般に用いられる。【0014】これらの各成分は、ZSM−5を形成させるために、一般に次のような酸化物換算(pH調整用のNaOHなども金属酸化物に換算される)のモル比で用いられる。SiO2/Al2O3=10〜500金属酸化物/SiO2=0.1〜0.8H2O/SiO2=50〜250結晶化剤/SiO2=0〜0.5【0015】Cu含有合成ゼオライトの形成に際しては、かかる水性混合物中に水溶性銅塩が添加された合成母液が水熱合成に用いられる。水溶性銅塩としては、銅の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等がAl2O3換算のアルミナ源に対して約0.2〜10倍モル、好ましくは約0.3〜6倍モルの割合で用いられる。これ以上の割合で銅塩が用いられると、ZSM−5の生成が阻害され、非晶質のものしか得られなくなる。【0016】上記構成の合成母液を用いての水熱合成は、耐圧容器中で約160〜200℃の水熱合成温度に保持することによって行われる。【0018】このようにして得られるCu含有合成ゼオライトZSM−5よりなる窒素酸化物分解触媒を、固体電解質の片方の面側に形成させた多孔質電極上に担持させた窒素酸化物センサは、検出さるべき窒素酸化物を触媒によって窒素と酸素とに分解し、そこで生成した酸素量(濃度差)を固体電解質系酸素センサ素子によって起電力として測定することにより、窒素酸化物量を検出することができる。【0019】【発明の効果】本発明に係る窒素酸化物センサは、0〜1000ppmあるいはそれ以上の広範囲な濃度範囲において、NO濃度にほぼ比例した出力値を得ることができ、即ち低濃度範囲での測定を可能とするばかりではなく、NO濃度変化に対する応答速度が速いという特徴をも有している。その上、前記先行技術のものと比較しても、その構造が簡単なものとなっている。【0020】【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。【0021】実施例固体電解質の多孔質基板として安定化ジルコニアYSZ(ニッカート製品ZR−8Y、10×10×1mmの角板)を用い、その基板両面に多孔質白金電極を形成させた。これら両電極に、耐熱性白金ペーストを用いて白金ワイヤ(0.5mm径)を取り付け、その後片面側だけエポキシ樹脂によるマスキングを行った。【0022】図1に示されるように、この多孔質白金電極付ZrO2基板1をテフロン製治具2上に多孔質白金電極側を上にして載せた状態で、テフロン製内筒3内に収容し、そこに合成母液4をその液面が設置された基板1から10cm上方になる迄注入した。【0023】ここで用いられた合成母液は、次のようにして調製された。SiO2源としてテトラエトキシシラン、Al2O3源としてアルミン酸ナトリウム、結晶化剤としてテトラプロピルアンモニウムブロマイド、Cu源として (CH3COO)2Cu・1H2O、pH調整剤として水酸化ナトリウムをそれぞれ用い、まず撹拌条件下のテトラエトキシシランと水との混合液に(CH3COO)2Cu・1H2Oを加え、室温下で1時間撹拌した後、水酸化ナトリウム水溶液およびアルミン酸ナトリウム−テトラプロピルアンモニウムブロマイド混合物の水溶液を順次加え、更に3時間撹拌した。【0024】最終的な合成母液の組成モル比は、酸化物換算で次の如くであった。SiO2/Al2O3=100結晶化剤/SiO2=0.2Na2O/SiO2=0.1CuO/Al2O3=0.5H2O/SiO2=200【0025】テフロン製内筒3に注入された合成母液4を耐圧容器(耐圧硝子工業製TVS−n2型)5内に収容して密封し、オーブン中180℃、36時間の水熱合成を行い、その後水洗し、80℃で12時間乾燥させた後、マスキング剤および結晶化剤除去のための焼成を600℃で12時間行った。【0026】このようにして得られた素子について、X線回析測定およびEPMAによる分析の結果、片面側の多孔質白金電極上にはCu含有合成ゼオライトZSM−5が担持されていることが確認された。【0027】この素子を、常圧流通式の評価装置にセットし、5%のO2を含有するHeガス中に種々の濃度の一酸化窒素を混在させた試験ガスを流通速度150ml/分の条件下で流通させ、Cu含有合成ゼオライトZSM−5が担持されている電極を陽極として、500℃における起電力をデジタルエレクトロメータ(アドバンテスト製TR8650)で測定した。【0028】得られた結果は、次の表に示される。なお、比較例は、窒素酸化物分解触媒の担持操作を行わなかった場合であり、この場合にはどちらの電極を陽極としても構わない。【0029】この結果から、本発明に係る素子はNO濃度の増加と共に起電力が増加し、即ちNOセンサとして使用可能であることが確認された。【図面の簡単な説明】【図1】多孔質白金電極付ZrO2基板をテフロン製治具上に載せ、それについて水熱合成が行われる耐圧容器内の状態を示す一部切欠斜視図である。【符号の説明】1 多孔質白金電極付ZrO2基板2 テフロン製治具3 テフロン製内筒4 合成母液5 耐圧容器 固体電解質系酸素センサ素子に窒素酸化物分解触媒を担持させてなる窒素酸化物センサにおいて、水溶性銅塩が添加された合成母液から水熱合成されたCu含有合成ゼオライトZSM-5よりなる窒素酸化物分解触媒を固体電解質の片方の面側に形成された陽極としての多孔質電極上に担持させてなる窒素酸化物センサ。