タイトル: | 特許公報(B2)_超微粒子酸化チタンおよびその製造方法 |
出願番号: | 1996255521 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C01G 23/047,A61K 8/29,A61Q 17/04,C08K 9/02,C08L 101/00,C09D 5/32,C09K 3/00 |
二又 秀雄 安藤 均 坂井 章人 服部 雅一 JP 3894597 特許公報(B2) 20061222 1996255521 19960904 超微粒子酸化チタンおよびその製造方法 石原産業株式会社 000000354 二又 秀雄 安藤 均 坂井 章人 服部 雅一 20070322 C01G 23/047 20060101AFI20070301BHJP A61K 8/29 20060101ALI20070301BHJP A61Q 17/04 20060101ALI20070301BHJP C08K 9/02 20060101ALI20070301BHJP C08L 101/00 20060101ALI20070301BHJP C09D 5/32 20060101ALI20070301BHJP C09K 3/00 20060101ALI20070301BHJP JPC01G23/047A61K8/29A61Q17/04C08K9/02C08L101/00C09D5/32C09K3/00 104Z C01G 23/00 A61K 8/00 特開平08−225323(JP,A) 特開平05−032518(JP,A) 10 1998081517 19980331 11 20021003 繁田 えい子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、超微粒子酸化チタン、その製造方法およびこれを用いた日焼け止め化粧料、紫外線防御塗料、紫外線防御プラスチックス組成物に関する。【0002】【従来の技術】平均一次粒子径が0.1μm以下の超微粒子酸化チタンは、可視光に対し透明性を示す一方、紫外線を遮蔽(吸収及び散乱)するといったように、一次粒子径が約0.15〜0.5μmの顔料級酸化チタンとは異なった有用な性質を示すことから、日焼け止め化粧料、紫外線防御塗料、紫外線防御プラスチックス組成物として利用されている。【0003】一方、これらの用途には超微粒子酸化チタン以外にも、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機物や、ケイ皮酸誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体など有機物紫外線吸収剤も用いられており、超微粒子酸化チタンとこれらを併用した例も見られる。これらを配合した日焼け止め化粧料は、基本的に水、油剤、界面活性剤、上記の紫外線吸収・散乱剤及び必要に応じて防腐剤、香料などの添加剤が配合されており、乳液、クリームなどの形で実用に供されている。また、これらを樹脂と混合した塗料は、基材表面に塗布することによりこの表面を隠蔽することなくこのものを紫外線から防御するために用いられている。さらに、これらをプラスチックスに配合したプラスチックス組成物は、紫外線防御用プラスチックスシートとして利用されたりしている。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に、酸化チタンは触媒担体や光触媒としても利用されていることからもわかるように、粒子表面の活性が高いために、化粧料、塗料、プラスチックスなどに配合された場合に、紫外線吸収剤、油剤、樹脂、プラスチックスなどの有機物と化学反応を起こし、その結果、化粧料、塗料、プラスチックスなどが黄色く変色するいわゆる黄変現象が見られることがある。特に、ジベンゾイルメタン誘導体等の有機紫外線吸収剤と超微粒子酸化チタンとを併用した化粧品において、この黄変現象は問題となっている。この様な現象は、太陽光などの紫外線を含む光に曝された場合に特に促進され、甚だしくは有機物の分解を引き起し、塗料分野で言うところのいわゆるチョーキング現象がみられることもあり、化粧料、塗料、プラスチックスなどの外観を損なうのみならず本来の機能を損なうことがある。一次粒子径が0.2〜0.3μmのいわゆる顔料用酸化チタンにおいても同様の問題が生ずるが、一般に粒径が小さい程この傾向が強いため、超微粒子酸化チタンの場合にはさらに大きな問題となり得る。【0005】この様な活性を抑制するために、従来から、超微粒子酸化チタンの粒子表面にアルミニウム、ケイ素、ジルコニウムなどの酸化物あるいは水酸化物を被覆したり、さらに脂肪酸やその金属塩、シリコーン系化合物などの有機物を被覆するといった方法がとられている。これらの方法によって、前述の黄変現象をかなり抑制する効果はあるもののその効果が不充分であったり、また充分な効果を出すためには多量の表面処理をする必要があり、その結果として酸化チタンの含有量を低下させることになり、本来の紫外線吸収、散乱能を損なうといった問題があった。また、中でもジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのシリコーン系化合物を粒子表面に被覆した場合には、特に黄変現象を抑制する効果が見出されたが、このものを化粧料や塗料に配合すると分散性が悪くなることがあり、必ずしも一般的に使用可能なものではなかった。【0006】また、特表平4−503668号公報ではリン酸陰イオンにより酸化チタンによる黄変現象を抑制するという提案がなされているが、このものによっても効果は充分でなく、また原理的にリン酸陰イオンが酸化チタン粒子表面に吸着されて効果を発揮しているものであることより、化粧料に配合する場合に一旦吸着したリン酸陰イオンが再度脱着して効果が小さくなったり乳化系に悪影響を及ぼす恐れもあった。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、その粒子表面が水難溶性のリン酸金属塩で被覆された超微粒子酸化チタンが上述のような黄変現象を起こしにくく、かつ化粧料、塗料、プラスチックスに対しても汎用的に利用できることを見出し、本発明を完成した。【0008】すなわち、本発明は、耐黄変性、耐光性に優れかつ紫外線防御化粧料、塗料、プラスチックス組成物として汎用的に利用できる超微粒子酸化チタンおよびその製造方法並びにこれを用いた日焼け止め化粧料、紫外線防御塗料、紫外線防御プラスチックス組成物である。【0009】本発明に用いる超微粒子酸化チタンは、一般的に白色顔料として用いられる一次粒子径0.2〜0.3μmの酸化チタンよりも小さな粒径を有するものであればその形状には制約されないが、好ましくは以下のものが挙げられる。▲1▼一次粒子の形状が略球状で、その平均一次粒子径が0.1μm以下のもの▲2▼一次粒子の形状が針状あるいは紡錘状であり、その一次粒子の平均長軸径が0.05〜0.3μm、平均短軸径が0.01〜0.05μmのもの▲3▼一次粒子の形状が樹枝状あるいはヒトデ状であり、その一次粒子の平均長軸径が0.2〜0.5μm、平均短軸径が0.04〜0.1μmのもの【0010】ここで一次粒子とは、透過型電子顕微鏡で観察したときに個別の粒子と判定できる最小単位の粒子のことであり、部分的に焼結、凝集した粒子のことではない。なお、上記▲1▼で「略球状」というのは▲2▼、▲3▼のように明らかに異方性を有するものと区別した表現であり、必ずしも球状でなくても矩形や不定形のものでもよい。また▲3▼でいう「樹枝状あるいはヒトデ状」の粒子とは、特開平7−165423号公報に記載されているように、針状乃至棒状の構成粒子が集合・結合して束状の形状物を形成し、さらにそれら束状のものが放射状に結合して単一粒子を形成しているものであり、長軸形とは個々の単一粒子の最長部分、短軸径とは該最長部分を構成する束状物の短軸方向における最大径を示すものである。【0011】これらの超微粒子酸化チタンを製造する方法としては、例えば、(1)略球状物については、(ア)塩化チタン、硫酸チタニル、有機チタネートなどの可溶性チタン化合物の水溶液と中和剤とを混合することにより、中和加水分解を行い、得られた加水分解物を1000℃以下の温度で焼成する。(イ)塩化チタン、硫酸チタニル、有機チタネートなどの可溶性チタン化合物の水溶液を、必要に応じて核種の存在下、加熱加水分解を行い、得られた加水分解物を1000℃以下の温度で焼成する。(ウ)塩化チタン、有機チタネートなどの蒸気を加熱下で酸素と接触させ、気相酸化反応を行う。(2)紡錘状物、針状物、樹枝状物については、(エ)上記(ア)、(イ)で得られた加水分解物をアルカリ溶液中で加熱した後、酸溶液中で処理する。ことなどが挙げられる。【0012】超微粒子酸化チタンの結晶型は、紫外線防御の観点から一般的にルチル型が好ましいが、アナターゼ型あるいはこれらを混合したものであってもよい。【0013】 次に本発明の製造方法、すなわち、上述の超微粒子酸化チタンの粒子表面に水難溶性のリン酸金属塩を被覆する方法について説明する。該リン酸金属塩としてはアルミニウム、ジルコニウム、チタン、セリウム、亜鉛及び鉄より選ばれた少なくとも一つの金属元素とリン酸および/または水溶性リン酸塩との塩が好適である。被覆の方法としては、例えば、上述の超微粒子酸化チタンの水性スラリーに該金属元素の水溶性塩またはその水溶液および水溶性リン酸化合物またはその水溶液を添加して粒子表面に水難溶性リン酸金属塩を被覆する。水性スラリーに添加するこれらの添加順序は適宜選択してよいが、または同時添加でもよいが、好ましくは金属元素の水溶性塩を先にするか同時添加がよい。【0014】金属元素の水溶性塩としては、例えば、各金属元素のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、硫酸塩、オキシ硫酸塩、アルカリ金属化合物などが挙げられ、水溶性リン酸化合物としてはオルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸およびそれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。【0015】超微粒子酸化チタンの水性スラリーのTiO2濃度は1〜200g/lであり、好ましくは20〜100g/lである。この濃度が高きに過ぎるとスラリーの粘度が高くなり攪拌が困難になるため均一な被覆処理が出来ない。また、この濃度が低きに過ぎても被覆による効果が期待できず、工業的な生産性が低下する。【0016】被覆処理後の水性スラリーのpHは、通常4〜10、好ましくは5〜8である。pHがこの範囲外になると、粒子表面に被覆された水難溶性リン酸金属塩が溶解する場合がある。【0017】被覆処理時の水性スラリーの温度は、通常20〜100℃、好ましくは50〜90℃である。この温度範囲内において、水難溶性リン酸金属塩の結晶化が促進される。【0018】水難溶性リン酸金属塩の被覆量は、基体の酸化チタンの重量に対して1〜30%、好ましくは5〜20%である。被覆量が低きに過ぎるとこの効果の増大が期待できないのみならず、酸化チタンの含有量を低くせざるをえない結果、所望の紫外線防御能が得にくくなる。【0019】さらに、被覆処理工程の前、後または被覆中に、前記の水溶性金属化合物と中和剤とをスラリー中に添加して、該金属の酸化物および/または水酸化物を粒子表面に被覆する工程を加えることにより、耐黄変性のさらなる改善が可能である。 また、被覆処理工程の前、後または被覆中に可溶性脂肪酸塩、例えばステアリン酸、ラウリル酸、オレイン酸等のアルカリ金属塩と必要に応じてアルミニウムや亜鉛等の可溶性金属塩とを、硫酸や塩酸等の中和剤と共にスラリー中に添加して、粒子表面に脂肪酸またはその金属塩を被覆してもよい。【0020】以上のようにして得られた被覆生成物を濾別し、必要に応じて洗浄した後、乾燥し、粉砕することにより、本発明の超微粒子酸化チタンが得られる。さらに、この様にして得られた粉体とシリコーン系化合物とを混合、攪拌することによりシリコーン系化合物を粒子表面に被覆してもよい。【0021】次に本発明の超微粒子酸化チタンを配合した日焼け止め化粧料について説明する。日焼け止め化粧料としては、例えばO/W型あるいはW/O型エマルジョンが多く、乳液、クリームとして広く利用されている。これらのタイプは基本的に水、油剤、界面活性剤、紫外線防御剤およびその他の添加剤より成る。【0022】油剤としては、例えば、ワセリン、スクワランなどの炭化水素、動植物油などの油脂、ミツロウ、ラノリンなどのワックスエステル、シリコーンオイル、高級アルコール、高級脂肪酸などが挙げられる。紫外線防御剤としては、本発明の超微粒子酸化チタンの他にその他の酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機系紫外線防御剤や有機紫外線吸収剤が挙げられる。有機紫外線吸収剤としては、パラメトキシケイ皮酸2-エトキシエチル、パラメトキシケイ皮酸ジエタノールアミン、パラメトキシケイ皮酸オクチルなどのケイ皮酸誘導体、パラアミノ安息香酸およびパラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミルなどのパラアミノ安息香酸誘導体、サリチル酸オクチル、サリチル酸ホモメンチルなどのサリチル酸誘導体、オキシベンゾン、ジオキシベンゾンなどのベンゾフェノン誘導体、N,N,N-トリメチル-4-(2-オキソ-3- ポルニリデンメチル)アニリニウムメチルサルフェート、5-(3,3- ジメチル-2- ノルボニリデン)-3-ペンテン-2- オンなどのカンファー誘導体、1-(4-tert-ブチルフェニル-3-(4-メトキシフェニル) プロパン-1,3- ジオン、1-p-クメニル-3- フェニルプロパン-1,3- ジオンなどのジベンゾイルメタン誘導体、アントラニル酸メチルなどのアントラニル酸誘導体などが挙げられる。さらに必要に応じて、パラベン類などの防腐剤や香料などを添加する。これらの内、ベンゾフェノン誘導体、アントラニル酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体は、紫外線の中でも特にUV-A(320-400nm) 領域を効果的に吸収することより、UV-B(280-320nm) の防御に対して効果の高い超微粒子酸化チタンと併用する事がより好ましい。特にUV-A吸収能の大きいジベンゾイルメタン誘導体と本発明の超微粒子酸化チタンとを併用すれば、黄変現象の問題もなく、巾広い紫外線領域に対して所望の効果が得られる。これらの成分を混合し、ホモジナイザーなどを用いて乳化することにより、日焼け止め化粧料が得られる。【0023】また、上述のエマルジョン系の他に固形状ファンデーションに本発明の超微粒子酸化チタンを配合して日焼け止め効果を出すこともできる。成分としては一般にタルク、マイカなどの体質顔料、酸化鉄、酸化チタンなどの着色顔料、スクワラン、パラフィンなどの油剤、その他防腐剤、香料などから成り、パウダリーファンデーション、ケーキタイプファンデーション、両用ファンデーション、油性ファンデーションなどとして利用される。【0024】これら化粧料における本発明の超微粒子酸化チタンの配合量は、重量基準で0.1〜50%、好ましくは1〜30%である。この範囲より少ないと紫外線防御効果が充分でなく、逆に多過ぎると化粧料としての形態が保ちにくく適当でない。【0025】また、本発明の超微粒子酸化チタンを樹脂と配合して紫外線防御塗料として利用することができる。【0026】用いる樹脂としては、例えば、アルキッド系、アクリル系、ビニル系、エポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系等の油性樹脂、アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン等のエマルジョン樹脂、水溶性アルキド系、水溶性アクリル系などの水溶性樹脂を挙げることができる。これらの樹脂および溶媒に本発明の超微粒子酸化チタンおよび必要に応じて分散剤などの添加剤を配合し、ディスパー、ビーズミルなどを用いて分散処理を施すことにより紫外線防御塗料が得られる。この塗料は、木材表面や食品、衣料品などの包装材料の表面に塗布することにより、外観を損なうことなく、これら木材、食品、衣料品を紫外線による劣化から防ぐことができる。【0027】該塗料中の超微粒子酸化チタンの含有量は、重量基準で0.1〜30%、好ましくは1〜10%である。この範囲より少ないと紫外線防御能が充分でなく、また多過ぎると透明性が損なわれて好ましくない。【0028】さらに、本発明の超微粒子酸化チタンをプラスチックスに配合して、紫外線防御プラスチックス組成物として利用することもできる。【0029】用いるプラスチックスとしては、例えば、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変成ポリフェニレンオキサイド、変成ポリフェニレンエーテルなどの汎用エンジニアリングプラスチックス、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミドビスマレイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素樹脂などの特殊エンジニアリングプラスチックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、などの熱可塑性汎用樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂などの熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの原料と本発明の超微粒子酸化チタンおよび必要に応じて滑剤、可塑剤などの添加剤とをニーダー、ロールミルなどで混練し、さらに延伸してシート状にしたりプレス機により任意の形状に成形することにより、紫外線防御プラスチックス組成物を得ることができる。【0030】該プラスチックス組成物中の超微粒子酸化チタンの含有量は、重量基準で0.001〜20%、好ましくは0.01〜10%である。この範囲より少ないと紫外線防御能が充分でなく、また多過ぎると透明性が損なわれて好ましくない。【0031】【実施例】実施例1(1)四塩化チタン水溶液の加水分解により得られた含水酸化チタンを、TiO2換算100g/lの濃度の水性懸濁液とした。この水性懸濁液2リットルに48%水酸化ナトリウム水溶液1400gを攪拌しながら添加し、95℃で120 分加熱後、濾過し、十分に洗浄をおこなった。洗浄ケーキを水でレパルプし、TiO2換算100g/lの濃度の水性懸濁液とし、この水性懸濁液1.5 リットルを還流器付きフラスコに入れ、35%塩酸570gを攪拌しながら30分間で添加した後、95℃まで加熱し、90分間熟成し、ルチル型結晶の平均長軸径0.07μm、平均短軸径0.01μm、比表面積99m2/gの紡錘状超微粒子酸化チタンを含む水性懸濁液を得た。【0032】(2)前記(1)で得られた紡錘状超微粒子酸化チタンを含む水性懸濁液を70℃に加熱し、この中へTiO2に対してP2O5として11重量%のオルトリン酸水溶液を添加し、次にAl2O3 として8重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、引き続き硫酸水溶液を添加し、pHを7.0 に調整してリン酸アルミニウムを被覆させた。その後、60分間熟成し、濾過、洗浄し、乾燥した後、粉砕して本発明の超微粒子酸化チタン粉末(試料A)を得た。【0033】実施例2実施例1の(1)で得られた紡錘状超微粒子酸化チタンを含む水性懸濁液を70℃に加熱し、この中へTiO2に対して、ZrO2として2 重量%の硫酸ジルコニウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを系のpHを7〜10に維持するように同時に添加し、次に、P2O5として6重量%のピロリン酸ナトリウム水溶液を添加し、次にAl2O3 として3重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、引き続き硫酸水溶液を添加し、pHを7.0 に調整して酸化ジルコニウム及びリン酸アルミニウムを被覆させた。その後、60分間熟成し、濾過、洗浄し、乾燥した後、粉砕して本発明の超微粒子酸化チタン粉末(試料B)を得た。【0034】実施例3(1)TiO2として200g/lの濃度の四塩化チタン水溶液を室温に保持しながら水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを7.0 に調整してコロイド状の非晶質含水酸化チタンを析出させ、引き続き熟成してルチル型のチタニアゾルを得た。その後、濾過、洗浄し、乾燥した後、電気炉にて600 ℃で2時間焼成し、ハンマーミルで粉砕して平均一次粒子径0.05μmのルチル型結晶略球状微粒子酸化チタン粉末を得た。この粉末を水に分散させてTiO2換算100g/lの水性懸濁液を得た。【0035】(2)前記(1)の水性懸濁液を70℃に加熱し、この中へTiO2に対して、P2O5として11重量%のトリポリリン酸水溶液を添加し、次にAl2O3 として8重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、引き続き硫酸水溶液を添加し、pHを7.0 に調整してリン酸アルミニウムを被覆させた。その後60分間熟成し、濾過、洗浄し、乾燥した後、粉砕して本発明の超微粒子酸化チタン粉末(試料C)を得た。【0036】実施例4(1)四塩化チタン水溶液の加水分解により得られた含水酸化チタンを、TiO2換算100g/lの濃度の水性懸濁液とした。この水性懸濁液2リットルに48%水酸化ナトリウム水溶液1400gを攪拌しながら添加し、95℃で120 分加熱後、濾過し、十分に洗浄をおこなった。洗浄ケーキを水でレパルプし、TiO2換算100g/lの濃度の水性懸濁液とし、この水性懸濁液1.5 リットルを還流器付きフラスコに入れ、35%塩酸570gを攪拌しながら瞬時(4モル/秒)に添加した後、95℃まで加熱し、90分間熟成し、ルチル型結晶の平均長軸径0.26μm、平均短軸径0.052 μm、比表面積79m2/gの樹枝状超微粒子酸化チタンを含む水性懸濁液を得た。【0037】(2)前記(1)で得られた樹枝状超微粒子酸化チタンを含む水性懸濁液を70℃に加熱し、この中へTiO2に対してZrO2として2重量%の硫酸ジルコニウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを系のpHを7〜10に維持するように並行添加し、次に、P2O5として11重量%のリン酸水素ナトリウム水溶液とAl2O3 として8重量%の硫酸アルミニウム水溶液とを系のpHを7〜10に維持するように同時に添加し、引き続き硫酸水溶液を添加し、pHを7.0 に調整してジルコニウム及びリン酸アルミニウムを被覆させた。その後、60分間熟成し、濾過、洗浄し、乾燥した後、粉砕して本発明の超微粒子酸化チタン粉末(試料D)を得た。【0038】比較例1実施例1の(1)で得られた紡錘状超微粒子酸化チタンを含む水性懸濁液を70℃に加熱し、この中へTiO2に対してAl2O3 として8重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、引き続き硫酸水溶液を添加し、pHを7.0 に調整して含水アルミナを被覆させた。その後、60分間熟成し、濾過、洗浄し、乾燥した後、粉砕して粉末(試料E)を得た。【0039】比較例2実施例1の(1)で得られた紡錘状超微粒子酸化チタン粉末30gをTiO2に対して、P2O5として11重量%のオルトリン酸水溶液100ml に分散させ、1時間放置し、濾過、洗浄し、乾燥した後、粉砕して粉末(試料F)を得た。【0040】比較例3実施例1の(1)で得られた紡錘状超微粒子酸化チタンを含む水性懸濁液を70℃に加熱し、この中へTiO2に対して、ZrO2として2重量%の硫酸ジルコニウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを系のpHを7〜10に維持するように同時に添加し、次に、Al2O3 として3重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、引き続き硫酸水溶液を添加し、pHを7.0 に調整して酸化ジルコニウム及びアルミナを被覆させた。その後、60分間熟成し、濾過、洗浄し、乾燥した後、粉砕して粉末(試料G)を得た。【0041】比較例4前記試料Gの30gを、TiO2に対してP2O5として6重量%のピロリン酸ナトリウム水溶液100ml に分散させ、1時間放置し、濾過、洗浄し、乾燥した後、粉砕して粉末(試料H)を得た。【0042】比較例5実施例3の(1)で得られた水性懸濁液を70℃に加熱し、この中へTiO2に対して、Al2O3 として8重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、引き続き硫酸水溶液を添加し、pHを7.0 に調整して含水アルミナを被覆させた。その後、60分間熟成し、濾過、洗浄し、乾燥した後、粉砕して粉末(試料I)を得た。【0043】比較例6実施例4の(1)で得られた水性懸濁液を70℃に加熱し、この中へTiO2に対して、ZrO2として2重量%の硫酸ジルコニウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを系のpHを7〜10に維持するように同時に添加し、次に、Al2O3 として8重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、引き続き硫酸水溶液を添加し、pHを7.0 に調整して酸化ジルコニウム及びアルミナを被覆させた。その後、60分間熟成し、濾過、洗浄し、乾燥した後、粉砕して粉末(試料J)を得た。【0044】試験例1試料A〜Jについて下記処方で有機紫外線吸収剤の変色テストを行った。(1)パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 6.0 g(2)ブチルメトキシベンゾイルメタン 0.8 g(3)試料 2.0 g【0045】成分(1)〜(3)をフーバーマーラーで30秒混練し、得られた混練物をサンプル瓶に詰め、底面のカラー(初期値)をカラーメーターで測定した。その後、サンプル瓶を50℃の恒温槽に2週間つけておき、2週間後再び底面カラーを測定し、初期値との色差ΔE(1)を求めた。【0046】試験例2前記試料A〜Jについて、下記処方で油剤の一例としてヒマシ油の変色テストを行った。(1)ヒマシ油 1.6 g(2)試料 1.2 g【0047】成分(1)〜(2)をフーバーマーラーで60秒混練し、得られた混練物を石英ガラス上に25μmの膜厚になるように塗布し、カラー(初期値)をカラーメーターで測定した。その後、塗布板をフェードメーターにて5分間暴露し、再びカラーを測定し、初期値との色差ΔE(2)を求めた。前記試験例1及び2の結果を、表1〜3に示す。【0048】【表1】【0049】【表2】【0050】【表3】【0051】試験例3試料A及びGについて、試料30gを水100ml でスラリー化し、1時間放置した後、濾過、洗浄し、真空乾燥した後粉砕した。これらについて洗浄前後でのPの含有量及び試験例1及び2に方法でΔE(1)及びΔE(2)を調べた。結果を表4に示す。【0052】【表4】【0053】試験例4試料A及びGについて、下記の処方で日焼け止めクリームとした。(1)ステアリン酸 2.5 重量部(2)サラシミツロウ 3.5 重量部(3)セタノール 3.5 重量部(4)スクワラン 17.0 重量部(5)モノステアリン酸グリセリン 3.0 重量部(6)試料 3.0 重量部(7)メチルパラベン 0.1 重量部(8)グリセリン 12.0 重量部(9)トリエタノールアミン 1.0 重量部(10)精製水 54.1 重量部(11)香料 0.3 重量部【0054】成分(1)〜(6)を80℃で加熱混合したものを、(7)〜(10)を80℃で加熱混合したものに加え、ホモミキサーでよく混合し、強く攪拌する。45℃付近で(11)を添加して日焼け止めクリームを調製した。上記各クリームを石英ガラス上に25μmの膜厚になるように塗布し、分光光度計にて750 〜300 nmの透過光を測定した。その結果を表5に示す。【0055】【表5】【0056】【発明の効果】本発明は、超微粒子酸化チタンの水性スラリーにリン酸および/またはリン酸塩と水溶性金属化合物とを添加し、粒子表面に水難溶性リン酸金属塩を被覆することによって得られる超微粒子酸化チタンであって、当該酸化チタンは、耐黄変性、耐光性に優れ、紫外線防御機能を有する化粧料、塗料、プラスチックス組成物として工業的に大きな効果を奏するものである。 下記(1)〜(3)のいずれか一種の超微粒子酸化チタンの粒子表面に水難溶性のリン酸金属塩の被覆を有する超微粒子酸化チタン。(1)一次粒子の形状が略球状であり、その平均一次粒子径が0.1μm以下である超微粒子酸化チタン。(2)一次粒子の形状が針状あるいは紡錘状であり、その一次粒子の平均長軸径が0.05〜0.3μm、平均短軸径が0.01〜0.05μmである超微粒子酸化チタン。(3)一次粒子の形状が樹枝状あるいはヒトデ状であり、その一次粒子の平均長軸径が0.2〜0.5μm、平均短軸径が0.04〜0.1μmである超微粒子酸化チタン。 水難溶性リン酸金属塩がアルミニウム、ジルコニウム、チタン、セリウム、亜鉛及び鉄より選ばれた少なくとも一つの金属元素のリン酸塩である請求項1記載の超微粒子酸化チタン。 水難溶性リン酸金属塩がリン酸アルミニウムである請求項1記載の超微粒子酸化チタン。 水難溶性リン酸金属塩の被覆量が、酸化チタンの重量に対して1〜30%である請求項1記載の超微粒子酸化チタン。 粒子表面に水難溶性リン酸金属塩と金属酸化物および/または金属水酸化物とを被覆する請求項1記載の超微粒子酸化チタン。 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の超微粒子酸化チタンを含有する日焼け止め化粧料。 有機紫外線吸収剤を含有する請求項6記載の日焼け止め化粧料。 有機紫外線吸収剤がベンゾフェノン誘導体、アントラニル酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体の少なくとも1種である請求項7記載の日焼け止め化粧料。 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の超微粒子酸化チタンを含有する紫外線防御塗料。 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の超微粒子酸化チタンを含有する紫外線防御プラスチックス組成物。