生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_イソプロピルアルコールの精製方法
出願番号:1996228662
年次:2004
IPC分類:7,C07C31/10,C07C29/04,C07C29/80,C07C29/84


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田中 寿敏 坂野 哲正 JP 3560422 特許公報(B2) 20040604 1996228662 19960829 イソプロピルアルコールの精製方法 株式会社トクヤマ 000003182 田中 寿敏 坂野 哲正 JP 1996213926 19960813 20040902 7 C07C31/10 C07C29/04 C07C29/80 C07C29/84 JP C07C31/10 C07C29/04 C07C29/80 C07C29/84 7 C07C 31/00 C07C 29/00 特開平05−245345(JP,A) 特開平05−255154(JP,A) 特開平10−111220(JP,A) 特開昭47−031911(JP,A) 特開昭61−239628(JP,A) 2 1998109948 19980428 6 20000121 星野 紹英 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、イソプロピルアルコール(以下、IPAともいう)の新規な精製方法に関する。詳しくは、IPAからの分離が極めて困難な不純物元素を含有する粗IPAより該元素を効率よく分離して精製することが可能なIPAの精製方法である。【0002】【従来の技術】IPAは、半導体、液晶等の製造工程における、洗浄、乾燥等に多く使用されている。これらの用途において、IPAに対する高純度化の要求は、回路の緻密化に伴い、年々高度化している。【0003】従来、金属元素等の不純物元素を含む粗IPAからの該不純物元素の除去は、IPAを単蒸留または多段蒸留して除去する方法が工業的に実施されている。この方法は、上記不純物元素を含有する粗IPAを蒸留塔に供給し、塔頂から高純度のIPAを、塔底から不純物元素を含む廃IPAを抜き出すものである。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の蒸留方法では、大部分の金属元素、例えば、Al、Ca、Cd、Cr、Cu、Fe、Mg、Na、Ni、Znは効率良く塔底側に分離されるが、As、B、Se及びGeのような不純物元素は分離性が悪く、ほとんどが塔頂より留出し、精製されたIPAに同伴されるという問題があった。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者等は、IPAの蒸留におけるAs、B、Se及びGeの挙動とその除去方法について鋭意研究を重ねた結果、As、B、Se及びGeのような不純物元素がIPA中で沸点の低いエステル化合物として存在し、IPAの蒸留においてIPAと共沸すること、更に、該エステル化合物はIPAと水の共沸組成を超える水を添加して蒸留することにより、加水分解され、蒸留塔の塔底側に分離し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。【0006】即ち、本発明は、As、B、Se及びGeより選ばれた少なくとも1種の元素を含有し、共沸組成以下の水を含有する粗イソプロピルアルコールに、イソプロピルアルコールとの共沸組成を越える量の水を添加した後、蒸留することを特徴とするイソプロピルアルコールの精製方法である。【0007】本発明の精製方法の対象となる粗IPAは、不純物元素、特に、As、B、Se及びGeより選ばれた少なくとも1種の元素(以下、特定不純物ともいう)を含有し、共沸組成(水12重量%、IPA88重量%)以下で水を含有するものであれば特に制限されない。【0008】上記粗IPAを具体的に示せば、直接水和気相法によって製造されたIPA、高純度のIPAを、ウエハーの洗浄、液晶部品の洗浄等の工程において、特定不純物により汚染されたIPAなどが挙げられる。かかる直接水和法によるIPAの製造において、特定不純物は、製造原料からの持ち込み、製造工程上の触媒、及び装置材料からの溶出、外気との接触による汚染により混入する場合が多い。このうち該特定不純物は原料であるプロピレンより持ち込まれる可能性が高い。特に、As、Bはプロピレンの原料となる原油中に存在することが確認されており、これらはプロピレンの製造工程において水素と結合して沸点の低い化合物を形成するため、分離されずにプロピレン中に混入する場合が多い。【0009】上記の例示した粗IPAのうち、直接水和気相法によって製造されたIPAは、特定不純物を0.1〜1ppt程度含有し、また、水を20〜200ppmの範囲で含有する。また、特定不純物によって汚染されたIPA中の特定不純物、水の存在量は、使用される工程によって異なるが、一般に、特定不純物を0.1〜1ppt、水を1〜10重量%程度含有している。【0010】本発明の特徴は、特定不純物を含む粗IPAに、IPAとの共沸組成を超える量の水を添加した後、蒸留することにある。即ち、IPAの蒸留において、共沸組成以上の水を存在させることにより、特定不純物を蒸留塔の塔底の水と共に残存させることができ、蒸留塔の塔頂から該特定不純物を実質的に含まないIPAを得ることが可能である。【0011】粗IPAに対する水の添加量は、共沸組成を超える量であれば特に制限されないが、あまり多くすると後工程で、水を処理するために多量のエネルギーが必要となる。従って、粗IPAに対する水の添加量は、添加後の組成が、IPA75〜85重量%、水15〜25重量%となるように調整することが好ましい。【0012】また、本発明において、粗IPAに水を添加後の蒸留は、公知の蒸留方法を特に制限なく採用することができる。例えば、単蒸留、多段蒸留等が一般に採用される。かかる蒸留における条件も特に制限されるものではなく、常圧、減圧或いは加圧下に、IPAと水との共沸温度において行うことができる。【0013】本発明の方法によって、特定不純物と分離されたIPAは、水との共沸組成で得られるため、公知の方法によって水を分離して共沸組成を外して高純度のIPAを得る公知の手段により精製すればよい。上記精製方法としては、複数の精留塔を組み合わせ、第3成分を加えて脱水蒸留することにより、実質的に水を含有しないIPAを得る方法、パーベーパレーションにより、共沸組成より高濃度のIPAを含む組成の液を得て、該液より実質的に水を含有しないIPAを蒸留により得る方法などが挙げられる。【0014】図1は、本発明の精製方法を含む、粗IPAの精製工程を示すフローチャートである。即ち、図において、特定不純物及び他の不純物元素を含有する粗IPAは、混合器Dにおいて水を添加され、蒸留塔Aに供給される。蒸留塔Aでは、主として水とIPAとの共沸組成の液が塔頂より留出し、塔底からは、特定不純物と他の不純物元素を含む水相が取り出される。蒸留塔Aの塔頂から留出した共沸組成の液は、二本の蒸留塔B、Cを組み合わせて構成された公知の精製装置に供給され、蒸留塔Bの塔底より水を実質的に含有しないIPA4が、蒸留塔Cの塔底からは水5がそれぞれ得られる。【0015】本発明の精製方法の前処理として、他の精製処理を施すことは、特に制限なく実施できる。例えば、IPAより低沸点の不純物を蒸留により取り除く低沸物除去塔等の精製処理を挙げることができる。【0016】【発明の効果】以上の説明により理解されるように、本発明によれば、従来は蒸留による分離が困難であった、IPA中の特定不純物を簡易に分離することが可能であり、半導体、液晶等の製造工程における、洗浄、乾燥等の用途におけるIPAリサイクル時の精製、或いは直接水和気相法によって得られたIPAの精製などに極めて有効に使用することができる。【0017】【実施例】以下、本発明を更に具体的に説明するため、実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。【0018】実施例1容積1000mlのガラス製フラスコに、AsおよびBを、濃度がそれぞれ100重量pptおよび100重量pptの量で含有する粗イソプロピルアルコール500mlを入れ、次いで、これに純水200mlを添加して、ヒーターで加熱して単蒸留を行った。【0019】留出液が600mlになったところで蒸留を止め、得られた留出液の分析を行ったところ、水およびIPAの割合は、それぞれ20重量%および80重量%であり、また、AsおよびBの濃度はいずれも1重量ppt以下であった。【0020】尚、釜残液は、水97重量%、IPA3重量%であり、AsおよびBの濃度はそれぞれ290重量pptおよび330重量pptであった。【0021】実施例2実施例1における粗IPAに代えて、Seを200重量ppt含む粗IPA、Geを200重量ppt含む粗IPAをそれぞれ使用し、実施例1と同様な方法によって精製を行った。得られた留出液の分析を行った。また、釜残液の分析も行った。【0022】それぞれの結果を表1に示す。【0023】【表1】【0024】比較例1実施例1と同じ粗IPA500mlを、同様のフラスコに張り込んで、水を添加することなく蒸留し、400mlを留出させた後、留出液の分析を行ったところAsおよびB濃度はそれぞれ、83重量pptおよび96重量pptであった。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の精製方法を含むイソプロピルアルコール精製工程のフローシートである。【符号の説明】1 水2 粗IPA3 水相4 高純度IPA5 水A 蒸留塔B 蒸留塔C 蒸留塔D 混合器 As、B、Se及びGeより選ばれた少なくとも1種の元素を含有し、共沸組成以下の水を含有する粗イソプロピルアルコールに、イソプロピルアルコールとの共沸組成を越える量の水を添加した後、蒸留することを特徴とするイソプロピルアルコールの精製方法。 粗イソプロピルアルコールが、直接水和気相法による製造工程より得られたものである請求項1記載の精製方法。


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