生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_イミド環含有エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物
出願番号:1996167661
年次:2005
IPC分類:7,C08G59/26,C07D487/20,C08L63/00,H01L23/29,H01L23/31


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柴原 澄夫 太田 賢 JP 3681082 特許公報(B2) 20050527 1996167661 19960627 イミド環含有エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物 住友ベークライト株式会社 000002141 柴原 澄夫 太田 賢 20050810 7 C08G59/26 C07D487/20 C08L63/00 H01L23/29 H01L23/31 JP C08G59/26 C07D487/20 C08L63/00 Z H01L23/30 R 7 C08G 59/00-59/72 C07D487/20 C08L 63/00-63/10 H01L 23/29 H01L 23/31 特開平05−117366(JP,A) 特開昭63−095220(JP,A) 特開平05−186472(JP,A) 3 1998007764 19980113 13 20030207 加賀 直人 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、熱的に安定な骨格を有するイミド環含有エポキシ樹脂に関するものであり、更に詳しくは半導体封止用エポキシ樹脂組成物に使用したときに優れた半田耐熱性を付与することができるイミド環含有エポキシ樹脂及び半田耐熱性に優れたエポキシ樹脂組成物に関するものである。【0002】【従来の技術】従来、ダイオード、トランジスタ、集積回路などの電子部品を熱硬化性樹脂で封止しているが、特に集積回路では、耐熱性、耐湿性に優れたオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をフェノールノボラック樹脂で硬化させ、充填材として溶融シリカ、結晶シリカ等の無機充填材を配合したエポキシ樹脂組成物が用いられている。ところが近年、集積回路の高集積化に伴いチップがだんだん大型化し、かつパッケージは従来のDIPタイプから表面実装化された小型、薄型のQFP、SOP、SOJ、TSOP、TQFP、PLCCに変わってきている。【0003】即ち、大型チップを小型で薄いパッケージに封入することになるため、熱応力によりクラックが発生し、これらのクラックによる耐湿性低下などの問題が大きくクローズアップされている。特に半田付け工程において、急激に200℃以上の高温にさらされることにより、パッケージの割れや樹脂とチップの剥離により耐湿性が劣化してしまうといった問題がでてきている。これら問題を解決する方法として、特開平3−7724号公報によれば、エポキシ樹脂組成物にポリイミドやビスマレイミドなどのイミド骨格を有する樹脂を配合すると半田耐熱性が向上すると記載されているが、ポリイミドやビスマレイミドはエポキシ樹脂との相溶性が悪いため成形性が悪く、半田耐熱性も不十分である。【0004】また、エポキシ樹脂の硬化剤としてp−ヒドロキシフェニルマレイミド/ブチルアクリレート共重合体(数平均分子量約3万)を用いると破壊靱性値が向上することが報告されている(松本明博、日本接着学会誌,29,453(1993))。しかし、この硬化剤は分子量が大きいため成形時の流動性が悪く、この硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物の半田耐熱性も不十分である。パッケージの薄型化、チップの大型化が急速に進んでおり、半田耐熱性や耐湿性が優れた信頼性の高い半導体封止用エポキシ樹脂組成物の開発が望まれている。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱的に安定な骨格を有するエポキシ樹脂、更に詳しくは半導体封止用エポキシ樹脂組成物に使用したときに優れた半田耐熱性を付与することができるエポキシ樹脂及び半田耐熱性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供するものである。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、フェノール性水酸基を有するモノマレイミド化合物が触媒量の有機リン化合物の作用によって容易に三量化して成型時の低収縮化に効果のあるスピロ環と熱的に安定な5員環構造から成るイミド環含有フェノール樹脂が容易に合成できることを見出し、更にこのイミド環含有フェノール樹脂にエピクロロヒドリンを反応させることにより熱的に安定な骨格を有するイミド環含有エポキシ樹脂が合成できることを見出した。そして、このイミド環含有エポキシ樹脂(a)を半導体封止用エポキシ樹脂組成物として使用したところ、著しく半田耐熱性が向上することを見い出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、化学式[1]で示されるスピロ環構造を有することを特徴とするイミド環含有エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物である。【0007】【化2】【0008】【発明の実施の形態】本発明の化学式[1]で示されるスピロ環構造を有することを特徴とするイミド環含有エポキシ樹脂(a)は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物として使用した場合に優れた半田耐熱性を付与することができる。【0009】【化3】【0010】本発明の化学式[1]で示されるスピロ環構造を有することを特徴とするイミド環含有エポキシ樹脂(a)は、フェノール性水酸基を有するモノマレイミド化合物に触媒量の有機リン化合物を添加して加熱することによって生成するスピロ環構造を有するイミド環含有フェノール樹脂にエピクロロヒドリン等のエピハロヒドリンを反応させることにより合成することができる。【0011】【化4】【0012】本発明のイミド環含有エポキシ樹脂の原料となるフェノール性水酸基を有するモノマレイミド化合物は、特に制限されるものではなく、分子量が189〜500の低分子化合物の他、500以上のオリゴマーも使用することができる。オリゴマーを用いる場合はマレイミド基とフェノール性水酸基が異なった分子末端にあることが好ましい。特に好ましいモノマレイミド化合物は、p−ヒドロキシフェニルマレイミド、m−ヒドロキシフェニルマレイミド、o−ヒドロキシフェニルマレイミドである。これらマレイミド化合物は、市販品を用いても対応するフェノール性水酸基を有するアミノ化合物を無水マレイン酸と反応させてイミド化したものを用いてもよい。【0013】イミド環含有フェノール樹脂は、フェノール性水酸基を有するモノマレイミド化合物に触媒として有機リン化合物、好ましくはトリフェニルホスフィンを0.2〜5重量部添加し、50℃以上で、好ましくは80℃〜150℃で加熱することによって容易に合成できる。反応は、溶剤を用いても用いなくても良い。溶剤としてはm−クレゾールなどの極性溶剤が好ましい。これらの反応による生成物は、スピロ結合を有する5員環構造の三量体が主成分となるが、4量体以上のオリゴマーも少量副生する。しかし、エポキシ樹脂として用いる場合、少量のオリゴマーが共存していても何ら問題はない。【0014】スピロ環構造を有するイミド環含有フェノール樹脂の構造は、FD−MS(電界脱離法による質量分析)と13C−NMRスペクトルで確認できる。即ち、スピロ環構造を有するイミド環含有フェノール樹脂が生成していれば、FD−MS法によるスペクトルにおいて、原料のモノマレイミド化合物の分子量の3倍に相当するイオンのピークが認められ、また、13C−NMRスペクトルにおいてスピロ結合を有する5員環構造に由来するメチレン炭素が30ppm付近に、メチン炭素が48及び52ppm付近に、更にスピロ結合の4級炭素が54ppm付近に認められる(S.Shibahara, T.Enoki, T.Yamamoto, J.Motoyosiya, S.Hayashi: Polym.J.,投稿中)。【0015】スピロ環を有するイミド環含有フェノール樹脂とエピハロヒドリンとの反応は、グリシジルエーテル型のエポキシ樹脂の合成に用いられる各種の方法が適用できる。例えば、イミド環含有フェノール樹脂とこの水酸基1モルに対して2〜15倍モルのエピハロヒドリンとを水酸化ナトリムや水酸化カリウム等のアルカリ性化合物の共存下に50〜150℃の温度で反応を行う方法、あるいは、イミド環含有フェノール樹脂とこの水酸基1モルに対して2〜5倍モルのエピハロヒドリンとの混合物に、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩をイミド環含有フェノール樹脂中の水酸基1モルに対して0.001〜0.1倍モル加え、50〜150℃の温度で反応させて得られるハロヒドリンエーテルを閉環する方法などが挙げられる。これらの反応は、必要に応じて、エタノールやブタノール等のアルコール類、ベンゼンやトルエン等の炭化水素化合物等の溶剤を用いることができ、通常1〜10時間の範囲で行われる。合成したスピロ環構造を有するイミド環含有エポキシ樹脂の構造は、イミド環含有フェノール樹脂の場合と同様に、FD−MSと13C−NMRスペクトルで確認できる。【0016】本発明のイミド環含有エポキシ樹脂(a)は、他のエポキシ樹脂と併用することができる。併用するエポキシ樹脂としては、エポキシ基を2個以上有する化合物あるいはポリマー全般を用いることができる。例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ化合物、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられるが、特にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ化合物、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂が好ましい。併用するエポキシ樹脂は1種でも2種以上でもよい。他のエポキシ樹脂と併用する場合、本発明のイミド環含有のエポキシ樹脂(a)の割合は、総エポキシ樹脂に対して10重量%以上であることが好ましい。10重量%未満では、半田耐熱性を向上させる効果が不充分となる傾向にある。【0017】本発明で用いられる硬化剤(b)としては、フェノール性水酸基を2個以上有する化合物あるいはポリマー全般を用いることができる。例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン化合物などが挙げられる。これらフェノール樹脂硬化剤は単独でも2種以上併用してもよい。エポキシ樹脂とフェノール樹脂との配合量としては、イミド環含有フェノール樹脂を含む総フェノール樹脂の水酸基数とエポキシ樹脂のエポキシ基数とを合わせることが望ましい。【0018】本発明で用いる無機充填材(c)としては、溶融シリカ、球状シリカ、結晶シリカ、二次凝集シリカ、多孔質シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラス繊維などが挙げられ、特に球状シリカ、及び溶融シリカと球状シリカとの混合物が好ましい。また、無機充填材の配合量としては、耐半田ストレス性から総エポキシ樹脂組成物量に対して70〜90重量%が好ましい。無機充填材量が70重量%未満だと低熱膨張化、低吸水化が得られず、耐半田ストレス性が不充分となる傾向にある。また、無機充填材量が90重量%を越えると高粘度化による半導体パッケージ中のダイパッド、金線ワイヤーのずれなどの不都合が生じる傾向にある。【0019】本発明のエポキシ樹脂組成物は、イミド環含有エポキシ樹脂(a)、硬化剤(b)、無機充填材(c)を必須成分とするが、これ以外に必要に応じてトリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラボレート塩、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、ジメチルベンジルアミン、2−メチルイミダゾールなどの硬化促進触媒、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3ーアミノプロピルトリエトキシシラン、3ーメルカプトプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、ブロム化エポキシ樹脂、ヘキサブロムベンゼン、三酸化アンチモンなどの難燃剤、カーボンブラック、ベンガラなどの着色剤、天然ワックス、合成ワックスなどの離型剤及びシリコーンオイル、ゴムなどの低応力剤など、種々の添加剤を配合することができる。【0020】本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を成形材料として製造するには、イミド環含有エポキシ樹脂(a)、硬化剤(b)、無機充填材(c)、その他添加剤をミキサーなどで均一に混合し、更に熱ロールやニーダー等で溶融混練し、冷却後粉砕して封止材料とすることができる。これら成形材料は、電気部品あるいは電子部品であるトランジスタ、集積回路などの被覆、絶縁、封止などに適用することができる。【0021】【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。《合成例1》m−クレゾール300重量部にp−ヒドロキシフェニルマレイミド(大八化学製)100重量部とトリフェニルホスフィン2重量部を加え、120℃で5時間加熱攪拌して、マレイミドの三量化反応を行った。この反応物を大過剰のメタノールに注ぎ、沈殿物を濾別後乾燥して、p−ヒドロキシフェニルマレイミドの3量体を主成分とするイミド環含有フェノール樹脂を得た。反応生成物の構造や組成は、FD−MS、13C−NMRおよびGPCによって確認した。FD−MSのm/z=567のピークからヒドロキシフェニルマレイミドの3量体であることを確認し、13C−NMRスペクトルで30、48、51、53ppmのシグナルからこの3量体がスピロ結合を含む5員環構造であることを確認した。【0022】この合成したイミド環含有フェノール樹脂100重量部にエピクロロヒドリン700重量部を加え、攪拌下115℃で48重量%水酸化ナトリム水溶液100重量部を3時間半かけて滴下した。その間に生成した水分は、エピクロロヒドリンとの共沸により系外に除き、留出したエピクロロヒドリンは系内に戻した。48重量%水酸化ナトリウム水溶液の滴下終了後、更に115℃で15分間反応させた。反応終了後、蒸留により過剰のエピクロロヒドリンを除いたのち、メチルイソブチルケトン200重量部を加え、反応生成物を溶解し回収した。その後、メチルイソブチルケトンを留去し、エポキシ当量250のイミド環含有エポキシ樹脂を得た。合成したイミド環含有エポキシ樹脂の構造は、FD−MS及び13C−NMRで確認した。【0023】《合成例2》m−ヒドロキシフェニルマレイミドを使用し、合成例1と同様に反応を行い、m−ヒドロキシフェニルマレイミドの3量体を基本骨格とするイミド環含有エポキシ樹脂樹脂を得た。【0024】《実施例1》を常温においてミキサーで混合し、90〜100℃で2軸ロールにより混練し、冷却後粉砕して成形材料とした。得られた成形材料をタブレット化し、低圧トランスファー成形機にて175℃、2分の条件で半田耐湿性試験用として3×6mmのチップを16pSOPに封止し、半田耐熱試験用として6×6mmのチップを52pQFPに封止した。この封止したテスト用素子を175℃、8時間後硬化し、下記の半田耐湿性試験および半田耐熱性試験を行った。【0025】半田耐湿性試験:封止したテスト用素子を85℃、85%RHの環境下で72時間処理し、その後260℃の半田槽に10秒間浸漬後プレッシャークッカー試験(125℃、100%RH)を行い回路のオープン不良を測定した。半田耐熱性試験:封止したテスト用素子を、85℃、85%RHの環境下で120時間処理し、その後260℃の半田槽に10秒間浸漬した後、顕微鏡で外部クラックを観察した。クラック発生数/総数で表した。試験結果を表1に示す。【0026】《実施例2〜7》表1および表2の処方に従って配合し、実施例1と同様にして成形材料を得た。この成形材料で試験用の封止した成形品を得、この成形品を用いて実施例1と同様に半田耐湿性試験及び半田耐熱性試験を行った。試験結果を表1および表2に示す。なお、実施例1以外で用いたエポキシ樹脂およびフェノール樹脂硬化剤は以下の通りである。【0027】【化5】【0028】【化6】【0029】【化7】【0030】【化8】【0031】【化9】【0032】《比較例1〜3》表3の処方に従って配合し、実施例1と同様にして成形材料を得た。これら成形材料で試験用の封止した成形品を得、この成形品を用いて実施例1と同様に半田耐湿性試験及び半田耐熱性試験を行った。試験結果を表3に示す。【0033】【表1】【0034】【表2】【0035】【表3】【0036】【発明の効果】本発明のイミド環含有エポキシ樹脂は熱的に安定性な骨格を有し、このイミド環含有エポキシ樹脂を用いた半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、実装時における半導体パッケージの半田耐熱性に優れ、且つ耐湿性に優れる。 化学式[1]で示されるスピロ環構造を有することを特徴とするイミド環含有エポキシ樹脂。 化学式[1]で示されるArがフェニレンである請求項1記載のイミド環含有エポキシ樹脂。 請求項1又は2で示されるイミド環含有エポキシ樹脂(a)、硬化剤(b)、無機充填材(c)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、イミド環含有エポキシ樹脂(a)を総エポキシ樹脂量に対して10〜100重量%含むエポキシ樹脂を用いるエポキシ樹脂組成物。


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