生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_感光剤およびこれを含む感光性組成物並びにパターン形成方法
出願番号:1996130104
年次:2006
IPC分類:G03F 7/022,C07C 309/71


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栃沢 哲明 宮崎 光晴 菊地 英夫 JP 3800668 特許公報(B2) 20060512 1996130104 19960524 感光剤およびこれを含む感光性組成物並びにパターン形成方法 東洋合成工業株式会社 000222691 栗原 浩之 100101236 栃沢 哲明 宮崎 光晴 菊地 英夫 20060726 G03F 7/022 20060101AFI20060706BHJP C07C 309/71 20060101ALI20060706BHJP JPG03F7/022 501C07C309/71 G03F 7/022-7/023, C07C309/71, CAplus(STN),REGISTRY(STN) 特開平09−319079(JP,A) 特開平06−289606(JP,A) 特開平03−242650(JP,A) 特開平03−094255(JP,A) 特開昭61−086748(JP,A) 特開昭57−163364(JP,A) 11 1997319080 19971212 10 20030515 倉持 俊輔 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規な感光剤およびびそれを含有する感光性組成物並びにそれを用いたパターン形成方法に関し、特に、水溶性感光剤、それを含有する水現像可能な感光性組成物、並びにそれを用いたパターン形成方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、ナフトキノンジアジド系感光材はポジ型ホトレジストの感光剤として広く知られている。このポジ型ホトレジストはノボラック樹脂のようなアルカリ可溶性樹脂とナフトキノンジアジド系感光剤とをセルソルブアセテートのような有機溶媒に溶解したものである。この種のレジストは解像性が非常に高いため、半導体の微細加工等に広く使用されている。しかし、このレジストは有機溶媒塗布のため、溶媒の毒性、臭気、および引火性などの問題がある。さらに、ブラウン管などの蛍光体パターン形成などのネガ型パターン形成が必要なパターン形成には用いることができない。【0003】一方、ブラウン管などのブラックマトリックスや蛍光体パターン形成などに用いるネガ型レジストとしては、ポリ酢酸ビニルけん化物と重クロム酸塩とからなるレジストが用いられている。しかしながら、この種のレジストは、保存安定性が悪く、重クロム酸塩を含むため環境汚染の問題から特別な処理設備が必要となる。また、ブラックマトリックス用として用いられている、ポリビニルピロリドンあるいはアクリルアミドとジアセトンアクリルアミドとの共重合物と水溶性ビスアジド化合物とからなるレジストは、露光時に酸素の影響を受ける、あるいは現像時に膨潤してきれいなパターンが得られない、さらに蛍光体の保持能力がないという問題を有し、蛍光体パターン形成において用いることができない。【0004】さらに、特開昭55−23163号公報には、保存安定性が良く、高感度で、環境汚染のない感光性樹脂として、スチリルピリジニウム基をペンダントさせたポリ酢酸ビニルけん化物が開示されている。また、特開昭56−147804号公報には、この感光性樹脂の誘導体を用いた陰極管の蛍光面形成が開示されている。しかしながら、これらの感光性樹脂は現像時に膨潤するため、フリンジの多いパターンしか得られないという不具合を有している。【0005】【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来の感光剤および感光性組成物はそれぞれ、例えば、塗布時に有機溶媒を用いる、保存安定性が悪い、解像性が十分でないなどの欠点を有していた。【0006】本発明はこのような事情に鑑み、水を主体とする溶媒に溶ける感光剤およびこれを含む高感度で解像性の良い感光性組成物並びにそれを用いたパターン形成方法を提供することを課題とする。【0007】【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発明の第1の態様は、下記一般式で表される感光剤にある。【0008】【化3】【0009】(式中、R1が二価の有機基を表し、R2およびR3がそれぞれアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表すか、またはR1、R2およびR3が一緒になって含窒素芳香族複素環を表し、R4はアルキル基またはアラルキル基を表し、X-は陰イオンを表す)【0010】本発明の第2の態様は、上記一般式で表される感光剤を含有することを特徴とする感光性組成物にある。【0011】ここで、感光性組成物は、例えば、さらに、ポリ酢酸ビニルけん化物系高分子化合物および架橋剤を含有する。【0012】 また、感光性組成物は、例えば、前記感光剤、前記ポリ酢酸ビニルけん化物系高分子化合物および前記架橋剤を水を主体とする媒体に溶かしてなる。【0013】また、前記架橋剤は、例えば、アルデヒド化合物である。【0014】また、前記架橋剤は、例えば、前記アルデヒド化合物がジアルデヒド化合物である。【0015】また、前記架橋剤は、例えば、N−ヒドロキシメチル基あるいはN−アルコキシメチル基を2個以上有する化合物である。【0016】また、前記架橋剤は、例えば、エポキシ化合物である。【0017】本発明の第3の態様は、本発明の感光性組成物を基板に塗布、乾燥して感光性層を形成する感光性層形成工程と、この感光性層を露光する露光工程と、露光後の感光性層を加熱する加熱工程と、これを現像する現像工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法にある。【0018】ここで、前記加熱工程は、例えば、40〜120℃で処理する。【0019】また、前記現像工程は、例えば、水を現像液として使用する。【0020】本発明者らは、上述した課題を解決する優れた特性を有する感光剤、感光性組成物およびパターン形成方法を開発するため鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)で表される新規な感光剤を開発した。【0021】【化4】【0022】(式中、R1が二価の有機基を表し、R2およびR3がそれぞれアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表すか、またはR1、R2およびR3が一緒になって含窒素芳香族複素環を表し、R4はアルキル基またはアラルキル基を表し、X-は陰イオンを表す)【0023】かかる一般式(1)で表わされる感光剤は、例えば、下記一般式(2)のアルコールあるいはアミノ化合物を有機溶媒中で塩基の存在下、1,2−ナフトキノン−(2)−ジアジド−4−スルホニルハライドと反応させた後、アルキルハライドあるいはアルキル硫酸などで4級化させることにより合成することができる。【0024】【化5】【0025】本発明の感光剤は、水溶性なので水溶性の感光性組成物の感光剤として用いることができる。【0026】好ましい感光性組成物としては、本発明の感光剤、ポリ酢酸ビニルけん化物系高分子化合物、および架橋剤を含有する組成物を挙げることができる。【0027】本発明の組成物で用いられるポリ酢酸ビニルけん化物系高分子化合物としては、けん化度60から100%、平均重合度200〜5,000のポリ酢酸ビニルけん化物、あるいはこれらの変成物、例えば、親水性基変成、親油性基変成、アニオン変成、カチオン変成、アルデヒド基変成あるいはアセトアセチル基のような反応性基変成のポリ酢酸ビニルけん化物、または酢酸ビニルと他のビニル化合物、例えば、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド等との共重合物のけん化物等を挙げることができる。【0028】本発明の組成物で用いられる架橋剤は、ポリ酢酸ビニルけん化物系高分子化合物を酸の存在化で架橋させることができる化合物であれば何れでもよく、例えば、ジアルデヒド化合物、N−ヒドロキシメチル基あるいはN−アルコキシメチル基を2個以上有する化合物、エポキシ化合物等が好適に用いられる。【0029】ここで、ジアルデヒド化合物としては、例えば、グリオキザール、グルタルアルデヒド、o−フタルアルデヒド等を挙げることができる。また、N−ヒドロキシメチル基あるいはN−アルコキシメチル基を2個以上有する化合物としては、例えば、メチロール化メラミン、アルキルメチロール化メラミン、メチロール化ベンゾグアナミン、アルキルメチロール化ベンゾグアナミン、メチロール化尿素、アルキルメチロール化尿素あるいはウロン同族体、メチレン尿素同族体等を挙げることができる。また、エポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。これらのうち特に、ジアルデヒド化合物、N-ヒドロキシメチル化合物が感度の点で好ましい。【0030】本発明の組成物には、塗膜の強度、耐水性などの性質を改良するために高分子エマルジョンを混合することができる。このような高分子エマルジョンとしては、例えば、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニル−エチレン共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレンエマルジョン、エチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン、スチレン−アクリル酸エステルエマルジョン、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体エマルジョン、クロロプレン重合体エマルジョン、ポリ塩化ビニルエマルジョン、シリコーン樹脂エマルジョン、ポリウレタンエマルジョン等を挙げることができる。【0031】さらに、本発明の組成物には、上記の成分以外に通常含まれる添加剤、例えば、乳化安定剤、可塑剤、界面活性剤、接着助剤等を含有させることができる。【0032】本発明の組成物は水溶性であり、水で現像できるにもかかわらず、膨潤が少なく、フリンジの少ないパターンが得られる。したがって、水溶性の感光性組成物が用いられる分野であれば、何れの用途にも使用するかとができる。【0033】本発明の組成物は本発明の感光剤、ポリ酢酸ビニルけん化物系高分子化合物および架橋剤等を水性媒体に溶解または分散させることにより得ることができる。ここで、水性媒体としては、一般に水が用いられるが、これに水に溶解する有機溶媒、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどを50%を越えない範囲で水に加えることができる。【0034】本発明の感光組成物を塗布する基板としては、本発明の感光性組成物が接着し得る全ての基板が使用できる。基板の具体例としては、例えば、ガラス、SiO2処理ガラス、ITO(酸化インジウム錫)膜付きガラス等のガラス類;ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム等の各種プラスチックフィルム類;各種金属基板、金属を積層したプラスチック、プラスチックおよび金属メッシュ、シリコンウエハー等を挙げることができる。【0035】本発明の感光性組成物の塗布方法としては、従来から一般に使用されている方法を採用することができ、回転塗布法、ロールコート法、カーテンコート法、アプリケータ法等が例示される。【0036】形成された塗膜の露光するための露光光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、各種レーザー等、本発明の感光剤が感光する波長の光を出す一般的な光源は何れも使用できる。【0037】露光後の感光性層の熱処理(ポスト・エクスプロージャー・ベーク;P.E.G)は、通常、30〜150℃、好ましくは40〜120℃で行う。【0038】また、このように熱処理された感光性塗膜は、水、水−水溶性有機溶媒の混合溶媒、またはこれらに無機塩、界面活性剤等を溶解させた溶媒により現像できる。特に、好ましい現像液は水である。かかる現像方式としては、スプレー現像、ディッピング現像、パドル現像等、一般的な方式を採用できる。【0039】【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではないことはいうまでもない。【0040】(実施例1)7.0重量%PVA(ポリビニルアルコール:EG−40;日本合成(株)製)水溶液に、架橋剤としてグルタルアルデヒドをPVAに対して5%、一般式(3)の光酸発生剤を10%添加し、pHを4に調整して感光性樹脂溶液とした。この感光液をガラス基板上に膜厚1.0mmにスピンコートし、50℃で5分間プレベークをした後に、超高圧水銀灯によって所定量露光した。その後60℃で5分間P.E.B.した後に1分間40℃の温水中でパドル現像し、得られた露光部の残膜率を測定して、露光量と残膜率との関係を示す感度曲線を作成し、感光性樹脂溶液の感度を測定した。結果は図1に示した。【0041】【化6】【0042】(光酸発生剤(一般式(3)の化合物)の合成例)1,2−ナフトキノン−(2)−ジアジド−4−スルホニルクロリド25.0gと3−ヒドロキシピリジン9.7gとをジオキサン150g中に溶解し、トリエチルアミン9.4gとアセトン10.6gとの混合溶液を、温度15℃下でゆっくり滴下し、同温度で1時間反応させた。析出したトリエチル塩酸塩をろ過後、ジメチル硫酸17.6gを添加し、30℃で3時間反応を行った。反応混合物を冷却し、析出した結晶をろ過後、アセトン洗浄を行い、乾燥することにより28.5gの結晶を得た。赤外吸収スペクトルおよび図2に示すNMRにより一般式(3)の化合物であることを確認した。なお、図2中、*のピークは、測定用溶媒DMSOのピークである。またHPLCによって測定した結果、純度は99.89%であった。【0043】(実施例2)7.0重量%PVA(EG−40;日本合成(株)製)水溶液に、架橋剤としてメチル化メラミン樹脂のニカラックMX−41((株)三和ケミカル製)をPVAに対して10%、上記一般式(3)の光酸発生剤を10%添加し、pHを4に調整して感光性樹脂溶液とした。以下、実施例1と同様に、感度曲線を作成して感光性樹脂溶液の感度を測定し、結果を図1に示した。【0044】(実施例3)7.0重量%PVA(EG−40;日本合成(株)製)水溶液に、架橋剤としてグリコールウリル樹脂のサイメル1172(三井サイテック(株)製)をPVAに対して10%、上記一般式(3)の光酸発生剤を10%添加し、pHを4に調整して感光性樹脂溶液とした。以下、実施例1と同様に、感度曲線を作成して感光性樹脂溶液の感度を測定し、結果を図1に示した。【0045】(実施例4)7.0重量%PVA(EG−40;日本合成(株)製)水溶液に、架橋剤としてエポキシ樹脂のデナコールEX−313(ナガセ化成工業(株)製)をPVAに対して10%、上記一般式(3)の光酸発生剤を10%添加し、pHを4に調整して感光性樹脂溶液とした。以下、実施例1と同様に、感度曲線を作成して感光性樹脂溶液の感度を測定し、結果を図1に示した。【0046】(比較例1)7.0重量%PVA(EG−40;日本合成(株)製)水溶液に、重クロム酸アンモニウムをPVAに対して7%添加して感光性樹脂溶液とした。以下、実施例1と同様に、感度曲線を作成して感光性樹脂溶液の感度を測定した。【0047】(比較例2)PVA−SBQ(N−メチル−4−ホルミルスチリルピリジニウムメトサルフェート:SPP H−13;東洋合成工業(株)製)水溶液を7重量%に希釈して感光性樹脂溶液とした。以下、実施例1と同様に、感度曲線を作成して感光性樹脂溶液の感度を測定し、結果を図1に示した。【0048】【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、塗布時に有機溶媒を用い必要がなく、保存安定性が良好で、解像性も十分に良好な水溶性感光剤およびこれを含む高感度で解像性の良い感光性組成物並びにそれを用いたパターン形成方法を提供することができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の実施例1〜4および比較例1および2における露光量と残膜率との関係を示す感度曲線を表す図である。【図2】一般式(3)に示される光酸発生剤のNMRを示す図である。 下記一般式で表される感光剤。(式中、R1が二価の有機基を表し、R2およびR3がそれぞれアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表すか、またはR1、R2およびR3が一緒になって含窒素芳香族複素環を表し、R4はアルキル基またはアラルキル基を表し、X-は陰イオンを表す) 下記一般式で表される感光剤を含有することを特徴とする感光性組成物。(式中、R1が二価の有機基を表し、R2およびR3がそれぞれアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表すか、またはR1、R2およびR3が一緒になって含窒素芳香族複素環を表し、R4はアルキル基またはアラルキル基を表し、X-は陰イオンを表す) 請求項2において、さらに、ポリ酢酸ビニルけん化物系高分子化合物および架橋剤を含有することを特徴とする感光性組成物。 請求項3において、前記感光剤、前記ポリ酢酸ビニルけん化物系高分子化合物および前記架橋剤を水を主体とする媒体に溶かしてなることを特徴とする感光性組成物。 請求項3または4において、前記架橋剤がアルデヒド化合物であることを特徴とする感光性組成物。 請求項5において、前記アルデヒド化合物がジアルデヒド化合物であることを特徴とする感光性組成物。 請求項3または4において、前記架橋剤がN−ヒドロキシメチル基あるいはN−アルコキシメチル基を2個以上有する化合物であることを特徴とする感光性組成物。 請求項3または4において、前記架橋剤がエポキシ化合物であることを特徴とする感光性組成物。 請求項2〜8の何れかの感光性組成物を基板に塗布、乾燥して感光性層を形成する感光性層形成工程と、この感光性層を露光する露光工程と、露光後の感光性層を加熱する加熱工程と、これを現像する現像工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。 請求項9において、前記加熱工程が、40〜120℃で処理することを特徴とするパターン形成方法。 請求項9または10において、前記現像工程が、水を現像液として使用することを特徴とするパターン形成方法。


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