タイトル: | 特許公報(B2)_エビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する方法及び装置 |
出願番号: | 1996118591 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 403/14,B01D 11/02 |
福田 幸藏 JP 3918103 特許公報(B2) 20070223 1996118591 19960514 エビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する方法及び装置 日本キレート株式会社 391051647 森山 陽 100121197 大塚 博一 100088476 福田 幸藏 20070523 C07C 403/14 20060101AFI20070426BHJP B01D 11/02 20060101ALI20070426BHJP JPC07C403/14B01D11/02 A C07C403/14 B01D 11/02 CA(STN) 特開平02−073866(JP,A) 特表平04−501732(JP,A) 特開平06−200179(JP,A) 4 1997301950 19971125 10 20030409 品川 陽子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、従来、廃棄処分をしていたエビ、カニの殻等からカロテノイド色素の一種であるアスタキサンチンを抽出する方法及び装置の技術の分野に属する。【0002】【従来の技術】アスタキサンチンは、カニやエビ等の甲殻動物や、鮭や鱒、おきあみ等の魚に多く含まれている天然色素であり、肉色改良を目的として魚類の飼料添加剤として使用されている化合物である。そして、アスタキサンチンは、一般には、化学的方法によって合成された製品が主流となっており、天然物からの抽出されたものは極わめて少なく、カニやエビの殻からの抽出は殆どなされていないのが現状である。【0003】ところで、キチン、キトサンは白色質のものが要求されるために、エビ、カニ殻からキチン、キトサンを製造する場合、エビ、カニ殻の色素を漂白剤を使用して除去している。キチン・キトサンは、エビやカニの殻を塩酸に浸し、炭酸カルシウムを溶かし出した後、アルカリと煮沸して蛋白質を取り除き、残った沈澱物を洗浄し、乾燥させることによって得られている。【0004】エビ、カニの殻には、カルシウム、タンパク、キチン質、色素であるアスタキサンチンが含有されており、特にキチン質は約30%、アスタキサンチンは約2%含有されている。また、エビ、カニ殻100g中から1〜1.5gのアスタキサンチン抽出液が得られる。アスタキサンチンは、抗酸化剤として食品添加物、着色料、動物の体内で代謝されてビタミンAとなることから貴重な栄養素として、また、アスタキサンチンは、化粧品、医薬品等に広く使用されている。【0005】ところで、特開平6−25156号公報には、「黄色色素として食品等に広く利用されているβ−カロチンを、任意の濃度のサイクロデキストリン溶液(CD溶液)による包接処理して無彩色とすること、CD溶液としては、水溶液を使用するが、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類を使用すること。」が記載されている。【0006】また、カンタキサンチン、アドニルビンなどのカロテノイドを含有するアスタキサンチンにクロロホルムを加えて攪拌したのち、溶液の温度を下げるか、あるいは溶媒を蒸発させることによってアスタキサンチンを精製することは、特開平7−118226号公報に記載されている。【0007】特表平6−506689号公報には、「カロチノイドの天然資源例えばニンジンをカロチノイド含有液体画分およびパルプ画分に分離し、カロチノイド含有液体画分をカロチノイド濃縮固体沈澱物部分とカロチノイド減少液体部分に分画するために該液体画分を有効分画量の塩化カルシウムと接触させ、そしてカロチノイド濃縮固体部分をカロチノイド減少液体部分から分離するカロチノイド含有天然資源からカロチノイドを抽出する方法」が記載されている。【0008】また、特開平5−255241号公報には、「カロチン含有植物から有機溶媒を用いてカロチンを抽出した抽出液から該有機溶媒を蒸発させて得られるカロチン含有油脂中のカロチン結晶を一旦溶解させ、結晶溶媒としてカロチン結晶中に取り込まれていた残留有機溶媒を油脂中に溶出させてから不活性ガスを通気しながら減圧蒸発することにより、カロチン含有植物から有機溶剤媒除去方法」が記載されている。【0009】【発明が解決しようとする課題】前記特開平5−255241号公報に記載されているものは、ニンジンや藻類等のカロチン含有植物から有機溶媒を用いてカロチンを抽出した抽出液から前記有機溶媒を蒸発させて得られるカロチン含有油脂中のカロチン結晶を一旦溶解させ、結晶溶媒としてカロチン結晶中に取り込まれていた残留有機溶媒を油脂中に溶出させてから不活性ガスを通気しながら減圧蒸発するというものであり、工程が複雑であるためにそのコストが高くなるというものであり、この方法によってはエビ、カニの殻に含有されている色素であるアスタキサンチンを安全にして容易且つ安価に抽出することができるというものではない。【0010】そして、上記公報に記載されているように、従来より、カロチン含有植物を破砕して有機溶媒でカロチンを抽出し、該抽出液から前記有機溶媒を蒸発させて天然色素であるカロチンを製造する方法は、種々行われており、溶媒として低級アルコールを加えてアルコーリシス化することによって脂肪酸低級アルコールエステルを生成させ、減圧蒸留してカロチンを得る方法は、特開昭51ー147532号公報に、また、このアルコーリシス化した溶媒に脂肪酸低級アルキルエステルを主成分とする油層に親水性溶剤及び水を加えて、疎水性の強いカロチンを析出分離する方法は、特開昭61ー115062号公報に記載されている。そして、これらアルコーリシス化によりカロチンを製造する方法は、カロチンを含有する植物油脂をアルコーリシス化することにより親水性のエステルに化学変化させて蒸留したり、或いは、カロチン濃縮層と親水層との液−液分離で取り除いたりしており、いわば化学的な処理により余計な脂肪をエステル化して取り除く方法についてのものである。【0011】特開平7ー118226号公報に記載されているものは、カンタキサンチン、アドニルビンなどのカロテノイドを含有するアスタキサンチンにクロロホルムを加えるので、製品アスタキサンチンを食品に利用する場合に問題がある。【0012】特開平5−255241号公報に記載されているものは、溶媒としてエタノール、ヘキサン、石油ベンジン、ベンゼン、エーテル、メタノール、クロロホルム、アセトン等を使用として色素を得ており、溶媒と色素の分離に難点があり、溶媒が残留物として色素中に残り、毒性等の危険性を有しており、溶媒の濃度が高く、揮発性による臭気の発生や引火、爆発の危険性の高く、そして溶媒の回収工程で事故が発生する恐れがあるというものである。【0013】また、常温下でのエタノール等のアルコールによるエビ、カニの殻からアスタキサンチンを分離抽出する方法では、分離抽出に長時間を要し、その効率が悪いという問題がある。【0014】本発明は、醸造用アルコール80%、水20%からなる溶媒の温度を上げるという温度コントロールと溶媒の濃度を下げるという溶媒の濃度のコントロールとにより、アルコールの揮発性を低下させ、臭気を発生させることなく、また引火、爆発といった危険を伴うことなく、安全にして確実にエビ、カニの殻からアスタキサンチンの分離が容易にできるエビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する方法及び装置の提供を目的とするものである。【0015】【課題を解決するための手段】本発明に係るエビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する方法は、エビ、カニ殻を塩酸に浸漬させてエビ、カニ殻中のカルシウムを除去した後、該エビ、カニ殻を水酸化ナトリウム溶液に浸漬させて中和処理するとともにエビ、カニ殻中の蛋白質を除去した後、78℃±5℃の温度の醸造用アルコール20%、水80%からなる溶媒中に浸漬させて、前記溶媒からアスタキサンチンを分離抽出する。【0016】本発明に係るエビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する方法は、エビ、カニ殻を塩酸に浸漬させてエビ、カニ殻中のカルシウムを除去した後、該エビ、カニ殻を水酸化ナトリウム溶液に浸漬させて中和処理し、エビ、カニ殻中の蛋白質を除去した後、該エビ、カニ殻を醸造用アルコール80%、水20%からなる溶媒中に浸漬させ、前記溶媒からアスタキサンチンを分離抽出するとともに、前記溶媒中のアルコールを蒸発器により蒸発させた後、該アルコールを凝縮コンデンサーにより冷却して液化しアルコール回収槽に回収し、回収されたアルコールを再使用する。【0017】本発明に係るエビ、カニ殻を塩酸に浸漬させてエビ、カニ殻中のカルシウムを除去した後、該エビ、カニ殻を水酸化ナトリウム溶液に浸漬させて中和処理とエビ、カニ殻中の蛋白質の除去処理とを行う原料エビ、カニ殻槽と、蛋白質が除去されたエビ、カニ殻を醸造用アルコール80%、水20%からなる溶媒に浸漬させる抽出釜と、前記溶媒からアルコールを蒸発させる蒸発器と、該アルコールを冷却して液化しアルコールをアルコール回収槽に回収する凝縮コンデンサーと、前記蒸発器内に残留した水とアスタキサンチンを分離する分離器からなり、回収されたアルコールを再使用する。【0018】本発明に係るエビ、カニ殻を塩酸に浸漬させてエビ、カニ殻中のカルシウムを除去した後、該エビ、カニ殻を水酸化ナトリウム溶液に浸漬させて中和処理とエビ、カニ殻中の蛋白質の除去処理とを行う原料エビ、カニ殻槽と、蛋白質が除去されたエビ、カニ殻を醸造用アルコール80%、水20%からなる溶媒に浸漬させる抽出釜と、抽出液貯溜槽と、溶媒からアルコールを蒸発させる蒸発器と、該アルコールを冷却して液化しアルコールをアルコール回収槽に回収する凝縮コンデンサーと、前記蒸発器内に残留した水とアスタキサンチンを分離する分離器からなり、前記抽出釜と前記抽出液貯溜槽、前記抽出液貯溜槽と前記蒸発器、前記蒸発器と前記凝縮コンデンサー、及び前記凝縮コンデンサーと前記分離器及び前記アルコール回収槽と前記抽出釜の各装置はそれぞれポンプを介して或いは介することなくパイプで連結されており、回収されたアルコールを再使用する。【0019】【作用】原料カニ槽1においてエビ、カニの殻のカルシウムと蛋白質を除去し、アスタキサンチンを含有したエビ、カニ殻はキチン質を含んだ状態で抽出釜2において、醸造アルコール80%と水20%の溶液温度78℃±5℃まで上昇させ、4時間の間欠攪拌される。【0020】抽出液貯留槽3、4内において、真空ポンプ17により減圧され、蒸発器8でアルコールを蒸発させ、凝縮コンデンサー9によりアルコールを冷却して液化しアルコール回収槽10に回収し、液送ポンプ11にて分離器12へアスタキサンチンと水の懸濁状態の抽出液が送られ、分離機12により水とアスタキサンチンが分離し、アスタキサンチンが得られる。換言すると、キチン質中の赤色の色素であるアスタキサンチンが除去され、白色のキチンが得られる。【0021】溶媒であるアルコールは蒸発器8で減圧蒸発し、アルコールの分離が容易にでき、アスタキサンチンは水に溶けないので、分離器12で容易に分離され、アスタキサンチンの収率が向上する。【0022】エビ、カニの殻に含まれる赤色色素であるアスタキサンチンを蒸発器8で蒸発分離して、アスタキサンチンを抽出することと、アルコールを回収することが同時平行してなされる。【0023】【発明の実施の形態】図1を参照して、本発明に係る装置の実施の形態を説明すると、原料エビ、カニ殻槽1は、合成樹脂製の浸漬槽ともいえるものであり、塩酸用パイプ18を介して塩酸タンク13と、水用パイプ19を介して水タンク14と、そして、水酸化ナトリウム用パイプ26を介して水酸化ナトリウムタンク15とそれぞれ連結している。原料エビ、カニ殻槽1では、原料であるエビ、カニ殻を2〜3cmの大きさに細断し、常温または45℃に加温された濃度5%の水酸化ナトリウム溶液に約5時間浸漬して蛋白質を除去した後、水洗いする。その後、常温または45℃に加温された濃度5%の塩酸に10〜12時間浸漬した後、水洗いしてカルシウム分を除去する。また、原料エビ、カニ殻槽1は、原料の水洗いにより生ずる洗浄廃水を排水する洗浄廃水用パイプ23を介して、廃水処理槽(図示せず)に繋がっている。【0024】原料エビ、カニ殻槽1で上記の処理をされた原料であるエビ、カニ殻のは、籠(図示せず)等によりステンレス製の抽出釜2に投入され、抽出釜2において、アルコール用パイプ20を介してアルコール槽6から注入される醸造用アルコールと、水用パイプ19を介して水タンク14から注入される水との割合が水20%、醸造用アルコール80%の濃度の溶媒中に浸漬される。醸造用アルコール80%、水20%の溶媒は、蒸気用パイプ22を介して蒸気発生用ボイラー16からの蒸気により、温度78℃±5℃まで上昇し、その温度下において浸漬されているエビ、カニ殻とともに4時間、間欠攪拌され、エビ、カニ殻中のアスタキサンチンは、アルコール溶液中に抽出する。なお、アルコール溶液の温度は、水タンク14からの水により前記温度を維持するように制御される。【0025】抽出釜2のエビ、カニの殻が浸漬されているアスタキサンチンの抽出液は、抽出液用パイプ21を介してステンレス製の抽出液貯溜槽3、4に貯留される。【0026】抽出液貯溜槽3、4内の空気は、真空ポンプ27により吸引され空気排出用パイプ28から大気中に放出され、抽出液貯溜槽3、4内の抽出液は減圧状態におかれ、エビ、カニ殻が浸漬されている濃度80%の醸造アルコール溶液からなる抽出液中へのアスタキサンチンの抽出が促進する。抽出液貯溜槽3、4内の抽出液は、抽出液ポンプ5により抽出液用パイプ21を介してステンレス製の蒸発器8に流入する。そして、その温度が低下している抽出液は、蒸発器8において、蒸気発生用ボイラー16からの蒸気により、温度78℃±5℃まで再上昇し、抽出液中のアルコールを蒸発させ、アルコール用パイプ20を介してステンレス製の凝縮コンデンサー9に流入させる。【0027】そして、アルコールは凝縮コンデンサー9により液化し、液化したアルコールはアルコール用パイプ20を介してステンレス製のアルコール回収槽10に貯留される。アルコール回収槽10のアルコールは、アルコール用パイプ20、アルコールポンプ7、アルコール用パイプ20を経て抽出釜2に戻され、再使用する。水は蒸気復水用パイプ24、冷却廃水用パイプ25から排水処理装置(図示せず)に流入する。【0028】蒸発器8においてアルコールが蒸発した抽出液は、液送ポンプ11によりステンレス製の分離器12に給送され、分離器12により水とアスタキサンチンが比重分離される。すなわち、水より比重の大きいアスタキサンチンは沈降し、上部の水は排水パイプ30から廃水処理装置(図示せず)に排出される。そして、分離器12の底部に沈降し沈殿したアスタキサンチンは、水分を幾分か含みどろどろした状態で分離器から製品として取り出される。【0029】本発明に係るエビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する方法の発明の実施例について説明する。原料であるエビ、カニ殻を2〜3cmの大きさに細断し、塩酸4〜5%溶液に12時間浸漬した後、水洗いして、カルシウムを除去する。その後、濃度5%の水酸化ナトリウム溶液に4〜5時間浸漬して、蛋白質を分離除去する。【0030】そして、キチン質とアスタキサンチンの分離抽出は、醸造用アルコール濃度80%、温度78℃±5℃まで上昇させ、4時間間欠攪拌すると、アスタキサンチンが分離抽出できる。換言すると、キチン質中の赤色の色素であるアスタキサンチンが除去され、白色のキチン質が得られる。【0031】アルコール溶媒温度78°Cでのアルコール濃度とアスタキサンチンの分離抽出に要する時間との関係を示すグラフ図である図2によると、分離抽出に要する時間は、アルコール濃度80%以上のものは、それ以下の濃度のものに比べて、時間の低減勾配が極端に小さくなっていることが分かる。そして、アルコール溶媒の濃度が低いほどその取り扱い上安全であるので、本発明においては、アルコール濃度80〜85%のものを使用している。【0032】【表1】表1に示すように、アルコール濃度80%、アルコール溶媒温度78゜Cのとき、水とアスタキサンチンとの分離抽出に要する時間が短い。【0033】溶液を蒸発器8でアルコールと水とを蒸発分離させ、純度98%のアスタキサンチンを収率1.5/100で得ることができた。【0034】濃度80%の醸造アルコールの溶液の温度を78℃±5℃に上昇させ、エビ、カニ殻を浸漬させ、アスタキサンチンを分離抽出するので、分離抽出中に引火したり発火することなく、安全にその製造ができる。【0035】蒸発器8によりアルコールを蒸発させて、アルコールを回収循環させ、再使用することができるとともに、水とアスタキサンチンの分離が容易かつ的確にできる。また、醸造用アルコール溶媒を使用するので、安全である。【0036】水とアスタキサンチンの分離が容易であり、濃度80%の醸造アルコールの溶液の温度を78℃±5℃に上昇させ、エビ、カニ殻を浸漬させ、アスタキサンチンを分離抽出するので、アスタキサンチンの沈降分離が速く、容易にできる。【0037】【発明の効果】本発明に係るエビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する方法及び装置は、アスタキサンチンは水に溶けないという性質に着目し、エビ、カニの殻からアルコールの溶媒を用いて、アスタキサンチンを容易に分離抽出することができるので、白色のキトサンが得られ、キトサンの品質を向上させるという効果を有する。【0038】本発明に係るエビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する方法及び装置は、溶媒液である醸造用アルコール80%、水20%の濃度を下げた溶媒を使用し、その温度を78℃±5℃に上昇させその温度を維持することによって、毒性のある危険な溶媒を使用することなく、醸造用アルコール80%、水20%の溶媒を使用するので、揮発性を抑制し、引火爆発の危険を除き、アスタキサンチンを安全に抽出することができ、溶液の揮発による引火、あるいは臭気の発生もなく、良好な製造環境が生成でき、しかも安全にアスタキサンチンがエビ、カニの殻から抽出することができるという効果を有する。【0039】本発明に係るエビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する方法及び装置は、アルコールの循環使用ができ、抽出コストを低減することができるとともに、減圧蒸発によるので、製品であるでアスタキサンチンの品質を向上させることができる。そして、2系統の蒸発工程としているので、アスタキサンチンと水との沈降分離が促進されるという効果を有する。【0040】本発明に係るエビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する方法及び装置は、アルコールを蒸発器で、水とアスタキサンチンを懸濁しておき、アルコールを分離、回収、循環、再利用することができ、操作が容易であるとともにその製造コストも安価であるという効果を有する。【0041】また、従来のアスタキサンチンの分離抽出方法が、アルコール、ヘキサン、石油ベンジン等の溶剤を使用しているので、食品の添加剤に使用する場合、その毒性や臭いのために不適切であったが、本発明に係るエビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する方法及び装置は、有害物質を使用することなく、容易且つ安価に、晶折を要しないで、純度の高い色素が得られ、液状販売も可能であるという効果を有する。【図面の簡単な説明】【図1】本発明に係る装置の一実施の態様を示す装置全体の図である。【図2】アルコール溶媒温度78°Cでのアルコール濃度とアスタキサンチンの分離抽出に要する時間との関係を示すグラフ図である。【符号の説明】1 原料エビ、カニ殻槽2 抽出釜3 抽出液貯溜槽4 抽出液貯溜槽5 抽出液ポンプ6 アルコール槽7 アルコールポンプ8 蒸発器9 凝縮コンデンサー10 アルコール回収槽11 液送ポンプ12 分離器19 水用パイプ20 アルコール用パイプ21 抽出液用パイプ22 蒸気用パイプ エビ、カニ殻を塩酸に浸漬させてエビ、カニ殻中のカルシウムを除去した後、該エビ、カニ殻を水酸化ナトリウム溶液に浸漬させて中和処理するとともにエビ、カニ殻中の蛋白質を除去した後、78°C±5°Cの温度の醸造用アルコール80%、水20%からなる溶媒中に浸漬させて、前記溶媒からアスタキサンチンを分離抽出することを特徴とするエビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する方法。 エビ、カニ殻を塩酸に浸漬させてエビ、カニ殻中のカルシウムを除去した後、該エビ、カニ殻を水酸化ナトリウム溶液に浸漬させて中和処理し、エビ、カニ殻中の蛋白質を除去した後、該エビ、カニ殻を醸造用アルコール80%、水20%からなる溶媒中に浸漬させ、前記溶媒からアスタキサンチンを分離抽出するとともに、前記溶媒中のアルコールを蒸発器により蒸発させた後、該アルコールを凝縮コンデンサーにより冷却して液化しアルコール回収槽に回収し、回収されたアルコールを再使用することを特徴とするエビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する方法。 エビ、カニ殻を塩酸に浸漬させてエビ、カニ殻中のカルシウムを除去した後、該エビ、カニ殻を水酸化ナトリウム溶液に浸漬させて中和処理とエビ、カニ殻中の蛋白質の除去処理とを行う原料エビ、カニ殻槽と、蛋白質が除去されたエビ、カニ殻を醸造用アルコール80%、水20%からなる溶媒に浸漬させる抽出釜と、前記溶媒からアルコールを蒸発させる蒸発器と、該アルコールを冷却して液化しアルコールをアルコール回収槽に回収する凝縮コンデンサーと、前記蒸発器内に残留した水とアスタキサンチンを分離する分離器からなり、回収されたアルコールを再使用することを特徴とするエビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する装置。 エビ、カニ殻を塩酸に浸漬させてエビ、カニ殻中のカルシウムを除去した後、該エビ、カニ殻を水酸化ナトリウム溶液に浸漬させて中和処理とエビ、カニ殻中の蛋白質の除去処理とを行う原料エビ、カニ殻槽と、蛋白質が除去されたエビ、カニ殻を醸造用アルコール80%、水20%からなる溶媒に浸漬させる抽出釜と、抽出液貯溜槽と、溶媒からアルコールを蒸発させる蒸発器と、該アルコールを冷却して液化しアルコールをアルコール回収槽に回収する凝縮コンデンサーと、前記蒸発器内に残留した水とアスタキサンチンを分離する分離器からなり、前記抽出釜と前記抽出液貯溜槽、前記抽出液貯溜槽と前記蒸発器、前記蒸発器と前記凝縮コンデンサー、及び前記凝縮コンデンサーと前記分離器及び前記アルコール回収槽と前記抽出釜の各装置はそれぞれポンプを介して或いは介することなくパイプで連結されており、回収されたアルコールを再使用することを特徴とするエビ、カニの殻からアスタキサンチンを抽出する装置。