タイトル: | 特許公報(B2)_ジペンタエリスリトールの製造方法 |
出願番号: | 1996113354 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07C 43/13,B01J 23/02,B01J 31/08,C07C 41/09,C07B 61/00 |
小瀧 泰 福田 偉志 野口 武 小川 伸二 JP 3791959 特許公報(B2) 20060414 1996113354 19960508 ジペンタエリスリトールの製造方法 三井化学株式会社 000005887 小瀧 泰 福田 偉志 野口 武 小川 伸二 20060628 C07C 43/13 20060101AFI20060608BHJP B01J 23/02 20060101ALI20060608BHJP B01J 31/08 20060101ALI20060608BHJP C07C 41/09 20060101ALI20060608BHJP C07B 61/00 20060101ALN20060608BHJP JPC07C43/13 DB01J23/02 XB01J31/08 XC07C41/09C07B61/00 300 C07C 43/13 C07C 41/09 CAplus(STN) 特公昭61−21538(JP,B1) 特公平1−44689(JP,B2) 1 1997301908 19971125 7 20030414 山田 泰之 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、アルキッド樹脂、潤滑油の原料として、またそのアクリル酸エステルは、高密度架橋材、インキ、コーティング、接着剤等の原料として多岐に使用されているジペンタエリスリトールの製造方法に関する。【0002】【従来の技術】ジペンタエリスリトールは、モノペンタエリスリトールの合成反応の際、すなわちアルカリの存在下ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドとを反応させモノペンタエリスリトールを生成させる際に副生するのが一般的な工業的製法(特公昭61-21538号)である。また、主生成物であるモノペンタエリスリトールの品質を向上させると共にジペンタエリスリトールの副生収率を高める方法として、ホルムアルデヒド、アルカリ、アセトアルデヒドの一部を予め仕込んでおき、そこにホルムアルデヒド、アルカリ、アセトアルデヒドを各々の理論モル比以上を保って、且つ反応温度を50℃以下に保って同時に滴下し、反応させる方法(特公平1-44689号)も提案されている。【0003】しかしながら、上記のホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの反応によるジペンタエリスリトールの製造方法は、あくまで副生物としてのジペンタエリスリトールを得る方法であるので、ジペンタエリスリトールの製造可能量がモノペンタエリスリトールの製造量に依存し、特公平1-44689号公報によればモノペンタエリスリトールの18%程度であり、アセトアルデヒド基準の収率を高くできない。更に、ジペンタエリスリトールの副生率を高めんとして、反応初期にモノペンタエリスリトールを仕込む場合、米国特許-2441597号によるとトリペンタエリスリトール以上の高次ペンタエリスリトールの副生増加が生じる。また、本発明者等の知見によれば、該公報の製造法ではトリペンタエリスリトール以上の高次ペンタエリスリトールに加え、ビスペンタエリスリトールモノホルマールの副生増加が生じ、これら副生成物等からのジペンタエリスリトールの単離が必要となるため、かかる操作が複雑であるという難点がある。【0004】一方、ペンタエリスリトールを燐酸、硫酸等を用いて高次ペンタエリスリトール混合物へ合成する方法(米国特許-2462047号)も知られているが、ジペンタエリスリトールを選択的に合成する手段は述べられてない。特開平7-165652号では酸触媒を用いてジペンタエリスリトールを製造する方法が提唱されているが、該公報の実施例によれば、ジペンタエリスリトールの選択率が50%程度に対し、トリペンタエリスリトールの選択率は30%に達し、ジペンタエリスリトールの選択的製造は未だ実現されていないのが実状である。【0005】【発明が解決しようとする課題】従って、ジペンタエリスリトールの副生率を高め、且つトリペンタエリスリトール以上の高次ペンタエリスリトール、更にビスペンタエリスリトールモノホルマール等の副生率を低減せしめる工業的製造法の確立が求められている。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、固体塩基触媒の存在下、モノペンタエリスリトール、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドを反応せしめた液に、金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物を添加し反応させることを特徴とするジペンタエリスリトール製造法を完成するに至った。すなわち、本発明は、固体塩基触媒の存在下にモノペンタエリスリトール、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドを反応せしめた液に、アルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物を添加し、さらに反応させることを特徴とするジペンタエリスリトールの製造方法に関するものである。【0007】【発明の実施の形態】本発明の方法で用いられる固体塩基触媒としては、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウム−酸化アルミニウム、アルカリ金属酸化物−酸化マグネシウムおよび陰イオン交換樹脂等が挙げられ、とりわけ水酸基を交換基として有する陰イオン交換樹脂、例えば、商品名レバチットMP−500(バイエル社製)、商品名アンバーライトIRA−910(ロームアンドハース社製)等が望ましい。固体塩基触媒は反応器内に懸濁させても、充填させてもいずれでも良い。【0008】本発明の方法で原料として用いられるモノペンタエリスリトールは、通常アルカリ存在下ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドとを反応させる事により工業的に製造されているものを使用できる。また、アルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、その内水酸化ナトリウムが好ましい。【0009】本発明の方法では、まずモノペンタエリスリトールおよびホルムアルデヒドを予め水溶液として仕込み、固体塩基触媒を仕込む。さらに、アセトアルデヒドを加えるのであるが、滴下反応させるのが好ましい。この際アルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属が反応器内に存在しても良いが、その場合でもできるだけ低濃度、さらには存在しない事が本発明のより好ましい形態を提供する。【0010】本発明の方法の実施に際し、反応温度は特に制限がなく、通常0〜100℃、好ましくは0〜60℃の温度範囲である。該温度範囲ではカラーボディー生成の原因となるアセトアルデヒド同士およびホルムアルデヒド同士の縮合反応を低減でき、生成物の品質が向上する。【0011】モノペンタエリスリトールおよびホルムアルデヒドは予め水溶液として仕込み、次いで固体塩基触媒を仕込む。この際、仕込の順番については特に制限はない。ここでモノペンタエリスリトール、ホルムアルデヒドは、アセトアルデヒド1モルに対し理論モル比以上で、それぞれ、1〜2、5〜6モルが好ましい。また、固体塩基触媒は、例えば陰イオン交換樹脂の場合、アセトアルデヒド1モルに対し交換当量が1以上であれば特に制限はなく、好ましくは1〜3の範囲で使用する。【0012】仕込液へアセトアルデヒドを添加し反応せしめた後、アルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物を添加し、さらに反応させる。アルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物は、アセトアルデヒド1モルに対し理論モル比以上で、1.1〜1.3モルが好ましい。【0013】アセトアルデヒドを添加し反応させる時間と、アルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物を添加し、反応させる時間に制限はなく、各々10分〜10時間程度、好ましくは30分〜5時間程度である。なお、反応速度はかなり大であるので、アセトアルデヒドやアルカリ金属水酸化物等の添加終了後に、反応はほぼ完結している。ただし、滴下終了後、適当な時間の後反応を行わしめ、その合計の反応時間が、各々10分〜10時間程度になるようにすることが好ましい。かくして得られた反応液から、常法に従って濃縮、晶析操作を行うことにより、ジペンタエリスリトールおよびモノペンタエリスリトールをそれぞれ単離することができる。【0014】【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて本発明を詳述する。実施例1温度計、撹拌装置を装備したフラスコに35%ホルムアルデヒド水溶液51.4g、モノペンタエリスリトール13.6g、水102.6gおよび固体塩基触媒として陰イオン交換樹脂(商品名レバチットMP−500、バイエル社)800gを仕込み、撹拌下20%アセトアルデヒド水溶液22.0gを1時間にわたって滴下反応させた。滴下終了後1時間保持した。【0015】次いで、30%水酸化ナトリウム14.7gを1時間にわたって滴下した。この間の反応温度は40℃で一定に保った。反応物の原料モル比を表1に示す。【0016】反応後、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析し、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、およびビスペンタエリスリトールモノホルマール等の収率(アセトアルデヒド基準)を求めた。収率の結果を表2に示す。【0017】実施例2実施例1において、35%ホルムアルデヒド水溶液仕込量を42.8gに変更した以外は実施例1と同様な反応を行った。反応物の原料モル比を表1に示す。得られた反応液を実施例1と同様な分析を行った。結果は表2に示す。【0018】実施例3実施例1において、モノペンタエリスリトール仕込量を27.2gに変更した以外は実施例1と同様な反応を行った。反応物の原料モル比を表1に示す。得られた反応液を実施例1と同様な分析を行った。結果は表2に示す。【0019】実施例4実施例1において、30%水酸化ナトリウム滴下量を17.3gに変更した以外は実施例1と同様な反応を行った。反応物の原料モル比を表1に示す。得られた反応液を実施例1と同様な分析を行った。結果は表2に示す。【0020】実施例5実施例1において、反応温度を20℃に変更し、20%アセトアルデヒド水溶液および30%水酸化ナトリウム水溶液の滴下時間を3時間に変更した以外は実施例1と同様な反応を行った。反応物の原料モル比を表1に示す。得られた反応液を実施例1と同様な分析を行った。結果は表2に示す。【0021】比較例1実施例1と同様の設備のフラスコを用い、固体塩基触媒としての陰イオン交換樹脂を使用せず、35%ホルムアルデヒド水溶液51.4g、水39.5gを仕込み、撹拌下20%アセトアルデヒド22.0g1時間にわたって滴下反応させた。滴下終了後1時間保持した。次いで、30%水酸化ナトリウム14.7gを1時間にわたって滴下した。この間の反応温度は40℃で一定に保った。反応物の原料モル比を表1に示す。得られた反応液を実施例1と同様な分析を行った。結果は表2に示す。【0022】比較例2比較例1において、モノペンタエリスリトールを13.6g仕込んだ事以外は比較例1と同様な反応を行った。反応物の原料モル比を表1に示す。得られた反応液を実施例1と同様な分析を行った。結果は表2に示す。【0023】【表1】【0024】【表2】【0025】【発明の効果】表2から明らかなように、本発明の方法によれば、工業的に安価に入手可能なホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、モノペンタエリスリトール、およびアルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物よりジペンタエリスリトールを高い選択率で製造でき、且つ、トリペンタエリスリトール以上の高次ペンタエリスリトール、更にビスペンタエリスリトールモノホルマール等の選択率を低減できるため、工業的および経済的に極めて有利となる。 固体塩基触媒の存在下にモノペンタエリスリトール、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドを反応せしめた液に、アルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物を添加し、さらに反応させることを特徴とするジペンタエリスリトールの製造方法。