生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_過酸化水素製造に使用される水素化触媒
出願番号:1996081367
年次:2006
IPC分類:B01J 23/44,B01J 35/10,C01B 15/023,C07C 46/00,C07C 50/18,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

加藤 賢治 加藤 富雄 小笠原 一晴 小西 哲哉 JP 3736581 特許公報(B2) 20051104 1996081367 19960403 過酸化水素製造に使用される水素化触媒 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 加藤 賢治 加藤 富雄 小笠原 一晴 小西 哲哉 20060118 B01J 23/44 20060101AFI20051221BHJP B01J 35/10 20060101ALI20051221BHJP C01B 15/023 20060101ALI20051221BHJP C07C 46/00 20060101ALI20051221BHJP C07C 50/18 20060101ALI20051221BHJP C07B 61/00 20060101ALN20051221BHJP JPB01J23/44 MB01J35/10 301HC01B15/023 AC07C46/00C07C50/18C07B61/00 300 B01J 21/00-38/74 C01B 15/023 特開昭55−049145(JP,A) 特表平10−510796(JP,A) 特開平03−245844(JP,A) 10 1997271669 19971021 9 20030312 廣野 知子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は過酸化水素の製造法であるアントラキノン法におけるアントラキノン類還元反応の触媒に関するものであり、詳しくは粒径と細孔容積を規定したシリカに担持されたパラジウム触媒、及び該触媒を使用することを特徴とする過酸化水素の製造方法に関するものである。【従来の技術】【0002】アントラキノン法においては、アントラキノン類を含む作動溶液を触媒の存在下で水素にて還元し、アントラヒドロキノン類を生成させる。ついでそのアントラヒドロキノン類を空気もしくは酸素含有気体にて酸化する事により、アントラヒドロキノン類をアントラキノン類に再度転化すると同時に、過酸化水素を生成させる。作動溶液中に生成した過酸化水素を、通常は水を用いて抽出分離した後、作動溶液を再び還元工程に戻すことにより循環プロセスが形成される。このプロセスは、実質的には水素と空気から過酸化水素を製造するものであり、極めて効率的なプロセスである。既にこの循環プロセスを用いて、過酸化水素が工業的に製造されている。【0003】この工業化された循環プロセスにおいて、アントラキノン類が還元される反応は非常に重要なプロセスになっており、このプロセスを操作上においても、経済的にも優れたプロセスにする事は大きな課題となっている。このアントラキノン類の還元反応はアントラキノン類を含む作動溶液と触媒が存在する反応器内に水素を吹き込む事によって行われる。吹き込まれた水素はまず作動溶液に溶解し、作動溶液が混合されることで分散すると共に触媒表面上に移動し、その触媒表面上でアントラキノン類と反応し、アントラヒドロキノン類を生成する。一般的にアントラキノン類の還元反応は非常に速い触媒反応であるために、アントラキノン類の還元反応は上記の水素の物質移動速度に強く影響され、反応速度は水素ガスの作動溶液への移動、更には触媒表面上への移動速度に制限を受けることが知られている(例えば、Ind .Eng. Chem .Res.1994,33,277−284)。反応速度を上昇させるためには、より活性の高い触媒の開発と共に水素の物質移動速度を増すような反応器の設計が重要である。【0004】反応器としては、一般に塔型容器に触媒存在下でガスと液を導入する懸濁気泡塔の様なものと、槽型容器に攪拌機を設けたもの等が有る。懸濁気泡塔は簡単な構造なために古くから用いられてきており、そのガスの液体への吸収速度は、一般に気液界面積に大きく依存する(例えば、福間 他 J.Chem.Eng.Japan,1987,20,321)。又、機械攪拌式反応器は、機械攪拌により物質移動速度を大きくできるので、液量に比べて著しくガス量の多い時を除くと、加圧下の操作も含めて広く用いられている。過酸化水素の製造においても研究例はあり、機械攪拌式反応器でパラジウム触媒の存在下、アントラキノン類の還元反応を行った場合の水素ガス移動速度の測定がなされている(例えば、Ind. Eng.Chem.Res.1988,27,780−784)。【0005】しかしながら、アントラキノン法の還元工程に、機械攪拌式の反応器や懸濁気泡塔を用いた場合には、幾つかの問題点が生じる。還元反応の触媒が攪拌翼及び反応槽壁に衝突する事により、破砕して非常に粒径の小さな微粉を生じるが、安全上の観点から、この小さな微粉を次の酸化プロセスに入れないようなフィルタ−システムが必要であり、このようなフィルタ−システムは一般に高価である。又、上記の破砕で生じた微粉が、フィルタ−閉塞の原因になることもある。さらには、パラジウムが担体から剥離してしまうために、触媒の活性が低下する等の問題が生じる。一般にアントラキノン類還元用の触媒は、パラジウム等の高価な金属が使用されるために、上記のような問題が生じた場合には経済的には不利なシステムとなってしまう。特に機械攪拌式の反応器において、還元の反応速度を増すために攪拌翼の回転速度を増した場合等に、上記の問題は顕著となる。【0006】アントラキノン類の還元反応のかかる問題を解決するために、固定床式の反応装置が採用される場合が有る。この場合は上述の還元用触媒の破砕や磨耗も少なく、フィルタ−システムもより安価なものとなることが推定される。しかしながら、アントラキノン類の還元に、固定床式の反応装置を採用した場合は以下の問題を有する。水素ガス物質移動速度、すなわち水素ガスの作動溶液への溶解速度、更には触媒表面への移動速度が遅いために還元速度を大きくできないことと、触媒の細孔内が有効な反応場として利用されないこと等である。このためにアントラキノン類の還元に固定床式反応装置を採用する場合には、物質移動速度を増すための工夫が必要であり、米国特許第2,837,411号では、反応器に導入する水素と作動溶液をあらかじめ接触させる装置を設けてみたり、米国特許第4,428,922号では、反応器へ導入する前にWSと水素をスタティックミキサ−で混合する等の手法が提案されている。しかし、いずれの方法も循環する作動溶液の量が増加したり、水素の消費量が増して、必ずしも経済的に有利な反応装置とはなっていない。更に、米国特許第4,552,748号ではハニカム構造の還元反応装置を提案しているが、この場合構造的に反応熱の除去が遅いために、ハニカムの中央の方では温度が高くなっており、全体的な反応温度の均一性が失われるという欠点を有し、更には水素ガスと作動溶液の分散を均一とするのが困難なために、還元反応の均一性も失われる。又、欧州特許0384905号では水素ガスと作動溶液を固定床反応装置の上から導入し、かつ作動溶液の導入速度を、作動溶液が重力で固定床中を下方に流れる速度より遅くすることで、従来の固定床反応器より大きな反応速度を得ている。しかしこの場合も、機械攪拌式及び懸濁気泡塔に比較すると、触媒重量当たりの過酸化水素製造速度は小さい。【0007】【発明が解決しようとする課題】総括すると、従来の技術における、アントラキノン類の還元反応は、還元用触媒が破砕するために、高価なフィルタ−システムが必要であること、更にはパラジウムの担体からの剥離が生じ、その結果として触媒の活性低下が生じる等の経済的に不利な問題を有していた。又、その問題を解決するために、固定床式反応器を用いる工夫もなされているが、反応速度が小さいことや、反応場の均一性が失われる等、工業化するうえで解決すべき問題点が多く残っている。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、少なくとも90重量%以上が10〜100μmの範囲の粒子径を有し、平均粒子径が30〜60μmの範囲にあり、かつ細孔容積が0.4〜1.0ml/gである球状シリカ粒子に、パラジウムを0.1〜10.0重量%担持させることによって得られるパラジウム触媒が、還元反応器内で破砕がほとんど起こらず、かつパラジウムの剥離も非常に少ない、優れた強度と耐磨耗性を有することを見出し、本発明に至った。担体の粒径が上記範囲より大きくなると、著しく破砕が起こるようになり好ましくない。一方粒径が上記範囲より小さくなると、フィルタ−にかかる差圧が大きくなり、経済的に不利なシステムとなってしまう。細孔容積が上記範囲より大きくなると著しく破砕が生じるようになり好ましくなく、上記範囲より小さくなると、触媒の活性が著しく低下してしまい好ましくない。【0009】すなわち、本発明は、過酸化水素の製造における、アントラキノン類の還元工程において、優れた強度と耐磨耗性を有し、かつ高い活性を有する、パラジウム触媒、及び該触媒を使用することを特徴とする過酸化水素の製造方法を提供するものである。【0010】【発明の実施の形態】本発明で使用する触媒は、少なくとも90重量%以上が10〜100μmの範囲の粒子径を有し、平均粒子径が30〜60μmの範囲にあり、かつ細孔容積が0.4〜1.0ml/gである球状シリカ粒子に、パラジウムを担持させることによって得られるパラジウム触媒である。好ましくは、少なくとも90重量%以上が20〜70μmの範囲の粒子径を有し、平均粒子径が40〜60μmである球状シリカ粒子を担体とするパラジウム触媒であるか、および/または、細孔容積が0.5〜0.8ml/gである球状シリカ粒子を担体とするパラジウム触媒である。ここで担体へのパラジウムの担持量は、シリカの重量に対して0.1〜10重量%である。【0011】本発明の触媒の製造は、イオン交換法、あるいは含浸法によって前述のシリカにパラジウムを担持して行うことができるが、イオン交換法が特に優れた方法である。イオン交換法によって本発明の触媒を製造するには、前述のシリカをアンモニウムイオンを含んだ溶液に接触させてアンモニウムイオンとイオン交換させた後、パラジウム化合物の溶液と接触させてパラジウムを含んだイオンとイオン交換させる。アンモニウムイオンとのイオン交換とパラジウムを含んだイオンとのイオン交換は別々の溶液で順次行ってもよいが、同一の溶液で同時に行うこともできる。イオン交換によってパラジウムを含んだイオンを担持した後は、焼成を行ってパラジウムを含んだイオンを分解して、場合によってはさらに還元処理を行ってパラジウム金属とする。【0012】上記のアンモニウムイオンを含んだ溶液は、所望する量のパラジウムを担持するのに必要なアンモニウムイオンを含んでいればよい。また、用いられるパラジウム化合物は、溶液中でパラジウムを含んだ陽イオンとなる化合物であればよく、例えばテトラアンミンパラジウム(II)塩化物一水和物などのパラジウム錯陽イオンの塩、あるいはアンモニアの溶液中で錯陽イオンとなる塩化パラジウム、硝酸パラジウムなどがある。【0013】含浸法によって本発明の触媒を製造するには、パラジウム化合物の溶液に前述のシリカを浸して加熱し、溶媒を蒸発させる。その後、焼成を行い、場合によってはさらに還元処理を行ってパラジウム化合物をパラジウム金属とする。この方法によるパラジウムの担持に用いられるパラジウム化合物としては、塩化パラジウム、硝酸パラジウムなどのパラジウム塩類及びテトラクロロパラジウム酸アンモニウム、テトラアンミンパラジウム(II)塩化物一水和物などのパラジウム錯塩などがある。【0014】本発明で使用するアントラキノン類は、アルキルアントラキノン、アルキルテトラヒドロアントラキノンあるいはそれらの混合物が好ましい。アルキルアントラキノン及びアルキルテトラヒドロアントラキノンは、各々が複数のアルキルアントラキノンあるいはアルキルテトラヒドロアントラキノンの混合物であってもよい。アルキルアントラキノンとしては、エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、アミルアントラキノンなどが例示される。また、アルキルテトラヒドロアントラキノンとしては、エチルテトラヒドロアントラキノン、t−ブチルテトラヒドロアントラキノン、アミルテトラヒドロアントラキノンなどが例示される。【0015】本発明において作動溶液を調製するために用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、好ましい溶媒としては、芳香族炭化水素と高級アルコールとの組み合わせ、芳香族炭化水素とシクロヘキサノールもしくはアルキルシクロヘキサノールのカルボン酸エステルとの組み合わせ、四置換尿素等が例示される。【0016】【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明する。実施例中、%は特に指定のない限り重量による。本発明の実施例では、アントラキノンの還元は、工業化されたアントラキノン法と同様の作動溶液が循環する装置を用いた。つまりアントラキノン類をパラジウム触媒の存在下で還元する工程、還元工程で得たアントラヒドロキノン類を空気にて酸化する工程、酸化工程で得られた過酸化水素を水にて抽出する工程からなる循環設備である。本発明においては、該設備に於いて作動溶液を15リットル/hで循環させ、還元工程では、水素を108Nl/hで吹き込み温度40℃で反応させた。 本発明では、触媒の破砕は還元反応器内のフィルタ−の差圧の上昇で評価した。フィルターとしてはメディアの目開きが20μmの金属製メッシュである、円筒形のものを2本用い、適宜逆洗を行いながら使用した。この場合、差圧の上昇が大きい方が触媒の破砕は多い。パラジウムの剥離は、抽出過水中のパラジウム濃度で評価した。併せて、等しい反応量における水素分圧の大小にて触媒の活性を評価した。反応開始してから1日後の水素分圧を初期水素分圧とした。この場合、水素分圧は小さい方が触媒の活性は高い。さらに、本発明で使用した作動溶液としては、1,2,4−トリメチルベンゼン60容量%とジイソブチルカルビノール40容量%の混合溶媒にアミルアントラキノンを0.60mol/lとなるように溶解したものを用いた。担体の細孔容積は水滴定法による値を、平均粒径はレ−ザ−回折式粒度分布測定計での値を採用した。過酸化水素中のパラジウム濃度は、原子吸光光度計で測定し、反応器内のガス組成は、該気体を逐次採取してガスクロマトグラフィーによって測定した。又担体粒径は、購入したシリカをそのまま用いるか、または適宜標準ふるい等を用いて任意に調整した。【0017】実施例116.7gの塩化パラジウムを500ml三角フラスコにはかり取り、25%のアンモニア水270mlにて加熱溶解後、室温に戻し、塩化パラジウム液を使用アンモニア水で300mlにメスアップした。これを塩化パラジウム水溶液とする。91重量%が10〜100μmの範囲の粒子径を有し、かつ平均粒子径が45μmであり、かつ細孔容積が0.74ml/gであるシリカ担体500g(富士シリシア化学製;CARiACT Q−10)を、5リットルセパラブルフラスコに入れた。次に25%のアンモニア水を1.7リットル加え攪拌した。予め調製した塩化パラジウム水溶液300mlを滴下ロートより室温下20ml/分の速度で滴下した。その後吸引濾過し、担体を70〜75℃純水2.5リットルで洗浄した後、120℃で24時間乾燥した。以上の操作によりパラジウムはシリカ担体に担持された。該パラジウムを担持させたシリカを電気炉に仕込み、窒素雰囲気下で200℃まで焼成した後、空気下600℃で焼成した。焼成後のパラジウムを担持させたシリカをセパラブルフラスコに入れ、更に純水1.5リットルを加え、室温下で攪拌した。ここに液のpH=9.5±0.1になるまで4%NaOHを滴下ロートより加え、pHが安定した所で37%ホルムアルデヒド液50mlを加えた。pHが9.5±0.1になるように4%NaOHを滴下した。次に液温度が60±1℃になるまで昇温し、30分間保温攪拌した。この間も所定pHになる様に4%NaOHを滴下した。その後純水3リットルで洗浄し、120℃で24時間乾燥した。これによりパラジウムを2.0重量%シリカに担持させた触媒を得た。該触媒200gを取り出し、機械攪拌式反応器にてアントラキノンの還元反応を行った。初期の水素分圧は0.7kgf/cm2 であり、1か月間の差圧の上昇は、0.02kgf/cm2 であった。抽出過水中のパラジウム濃度は、0.3ppbであった。【0018】実施例2実施例1で使用したシリカ担体(富士シリシア化学製;CARiACT Q−10)を分級して、平均粒子径が45μmであり、細孔容積が0.74ml/gであり、かつ91重量%が20〜70μmの粒子径範囲にあるシリカ担体を得た。該担体を用いること以外は実施例1と同様の操作にて触媒を調製し、その後アントラキノンの還元反応を行った。初期の水素分圧は0.7kgf/cm2 であり、1月間の差圧の上昇は0.01kgf/cm2 であった。抽出過水中のパラジウム濃度は、0.2ppbであった。【0019】実施例3平均粒子径が54μmであり、かつ細孔容積が0.78ml/gであり、93重量%が10〜100μmの粒子径範囲にあるシリカ担体(富士シリシア化学製;CARiACT Q−10)を用いること以外は、実施例1と同様の操作にて触媒を調製し、その後アントラキノンの還元反応を行った。初期の水素分圧は0.7kgf/cm2 であり、1月間の差圧の上昇は0.02kgf/cm2 であった。抽出過水中のパラジウム濃度は、0.3ppbであった。【0020】比較例175重量%が10〜100μmの範囲の粒子径を有し、平均粒子径が80μmであり、かつ細孔容積が1.11ml/gであるシリカ担体(富士シリシア化学製;CARiACT Q−10)を用いること以外は、実施例1と同様の操作にて触媒を調製し、その後アントラキノンの還元反応を行った。初期の水素分圧は0.9kgf/cm2 であり、1月間の差圧の上昇は0.22kgf/cm2 であった。抽出過水中のパラジウム濃度は、4.0ppbであった。【0021】比較例290重量%が10〜100μmの範囲の粒子径を有し、平均粒子径が52μmであり、かつ細孔容積が1.18ml/gであるシリカ担体(富士シリシア化学製;CARiACT Q−15)を用いること以外は、実施例1と同様の操作にて触媒を調製し、その後アントラキノンの還元反応を行った。初期の水素分圧は0.8kgf/cm2 であり、1月間の差圧の上昇は0.12kgf/cm2 であった。抽出過水中のパラジウム濃度は、1.5ppbであった。【0022】比較例3シリカ担体(富士シリシア化学製;CARiACT Q−10)を分級して、平均粒径が57μmであり、細孔容積が0.78ml/gであり、かつ80重量%が10〜100μmの範囲の粒子径であるシリカ担体を得た。該担体を用いること以外は実施例1と同様の操作にて触媒を調製し、その後アントラキノンの還元反応を行った。初期の水素分圧は0.8kgf/cm2 であり、1月間の差圧の上昇は0.09kgf/cm2 であった。抽出過水中のパラジウム濃度は、1.0ppbであった。【0023】比較例4シリカ担体(富士シリシア化学製;CARiACT Q−3)を分級して、平均粒径が50μmであり、細孔容積が0.34ml/gであり、かつ90重量%が10〜100μmの範囲の粒子径であるシリカ担体を得た。該担体を用いること以外は実施例1と同様の操作にて触媒を調製し、その後アントラキノンの還元反応を行った。初期の水素分圧は2.1kgf/cm2 であり、1月間の差圧の上昇は0.01kgf/cm2 であった。抽出過水中のパラジウム濃度は、0.3ppbであった。【0024】実施例4パラジウムを担持させる時の、塩化パラジウム水溶液の滴下量を2倍の600ml使用する以外は、実施例1と同様の操作にて触媒を調製した。4.0重量%パラジウムを担持させた触媒を得た。その後アントラキノンの還元反応を行った。初期の水素分圧は0.5kgf/cm2 であり、1月間の差圧の上昇は0.02kgf/cm2 であった。抽出過水中のパラジウム濃度は、0.5ppbであった。【0025】実施例5パラジウムを担持させる時の、塩化パラジウム水溶液の滴下量を1/2倍の150ml使用する以外は、実施例1と同様の操作にて触媒を調製した。1.0重量%パラジウムを担持させた触媒を得た。その後アントラキノンの還元反応を行った。初期の水素分圧は0.9kgf/cm2 であり、1月間の差圧の上昇は0.02kgf/cm2 であった。抽出過水中のパラジウム濃度は、0.3ppbであった。【0026】比較例5アルミナ担体(水沢化学製ネオビードC)を分級して得た、92重量%が10〜100μmの範囲にある平均粒径55μmの担体を用いること以外は、実施例1と同様の操作にて触媒を調製し、その後アントラキノンの還元反応を行った。初期の水素分圧は1.1kgf/cm2 であり、1月間の差圧の上昇は0.32kgf/cm2 であった。抽出過水中のパラジウム濃度は、13.0ppbであった。以上の実施例、比較例の結果を表.1−1、表.1−2に示す。 ここで初期水素分圧の単位はkgf/cm2 であり、差圧上昇の単位はkgf/cm2 /月である。【0027】【発明の効果】本発明により、破砕が極めて少なく、かつパラジウムの剥離も極めて少ない、アントラキノンの還元に使用可能なパラジウム触媒を得ることができる。更に細孔容積を適切に選べば、非常に高活性なパラジウム触媒を得る事ができる。【0028】【0029】 アントラキノン法による過酸化水素の製造におけるアントラキノン類の水素化触媒において、少なくとも90重量%以上が10〜100μmの範囲の粒子径を有し、平均粒子径が30〜60μmの範囲にあり、かつ細孔容積が0.4〜1.0ml/gであることを特徴とする球状シリカ粒子に担持されたパラジウム触媒。 少なくとも90重量%以上が20〜70μmの範囲の粒子径を有し、かつ平均粒子径が40〜60μmであることを特徴とする球状シリカ粒子を担体とする請求項1記載のパラジウム触媒。 球状シリカ粒子の細孔容積が0.5〜0.8ml/gであることを特徴とする請求項1記載のパラジウム触媒。 少なくとも90重量%以上が20〜70μmの範囲の粒子径を有し、かつ平均粒子径が40〜60μmであり、かつ球状シリカ粒子の細孔容積が0.5〜0.8ml/gであることを特徴とする請求項1記載のパラジウム触媒。 パラジウムの含有量がシリカの重量に対して0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のパラジウム触媒。 アントラキノン法による過酸化水素の製造において、少なくとも90重量%以上が10〜100μmの範囲の粒子径を有し、平均粒子径が30〜60μmの範囲にあり、かつ細孔容積が0.4〜1.0ml/gである球状シリカ粒子に担持されたパラジウム触媒を用いてアントラキノン類を水素化することを特徴とする過酸化水素の製造方法。 少なくとも90重量%以上が20〜70μmの範囲の粒子径を有し、かつ平均粒子径が40〜60μmであることを特徴とする球状シリカ粒子を担体とするパラジウム触媒を用いる請求項6記載の過酸化水素の製造方法。 球状シリカ粒子の細孔容積が0.5〜0.8ml/gであることを特徴とするパラジウム触媒を用いる請求項6記載の過酸化水素の製造方法。 少なくとも90重量%以上が20〜70μmの範囲の粒子径を有し、かつ平均粒子径が40〜60μmであり、かつ球状シリカ粒子の細孔容積が0.5〜0.8ml/gであることを特徴とするパラジウム触媒を用いる請求項6記載の過酸化水素の製造方法。 パラジウムの含有量がシリカの重量に対して0.1〜10重量%であることを特徴とするパラジウム触媒を用いる請求項6から9のいずれか一項に記載の過酸化水素の製造方法。


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