生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ローストバニラフレーバーの製造方法
出願番号:1996046827
年次:2004
IPC分類:7,C11B9/02,A23L1/221,A61K7/46,C11B9/00,A23G9/02


特許情報キャッシュ

小林 正雄 宮崎 照明 白石 悟 JP 3544266 特許公報(B2) 20040416 1996046827 19960209 ローストバニラフレーバーの製造方法 長谷川香料株式会社 000214537 雪印乳業株式会社 000006699 小林 正雄 宮崎 照明 白石 悟 20040721 7 C11B9/02 A23L1/221 A61K7/46 C11B9/00 A23G9/02 JP C11B9/02 A23L1/221 A A61K7/46 345Z C11B9/00 K A23G9/02 7 C11B 9/00 C11B 9/02 A23G 9/02 A23L 1/221 A61K 7/46 345 JICSTファイル(JOIS) CAPLUS(STN) 特開平05−095764(JP,A) 特開平04−094667(JP,A) 特開平03−004767(JP,A) 米国特許第2621127(US,A) 1 1997217086 19970819 5 20011024 近藤 政克 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、嗜好性に優れた新規なローストバニラフレーバーの製造方法に関し、更に詳しくは、90℃以上の温度で焙煎したバニラ豆材料を、水および/または水溶性有機溶媒で抽出することを特徴とする、焙煎香とコク味を有する嗜好性に優れたローストバニラフレーバーの製造方法に関する。【0002】【従来の技術】バニラフレーバーは、天然品または合成品にかかわらず、古くから飲食品用に広く利用されている重要なフレーバーの一種である。天然バニラフレーバーとしては、例えば、バニラ豆を各種の有機溶媒で抽出処理して得られるバニラエキストラクトの形で市場に供給されている。このようなバニラエキストラクトは、例えば、細断したバニラ豆を含水エタノールで抽出することにより得られるが、抽出はバニラ豆の含有するフレーバー成分の熱変化を避けるために、比較的低温条件の抽出温度を採用するのが普通である。【0003】しかしながら、このようにして得られる従来のバニラエキストラクトは、バニラ特有の香味に欠け、香味賦与乃至変調能が弱く、バニラの香味を飲食品に賦与するにはかなりの量を添加しなければならないという欠点を有している。また、抽出条件によっては異味異臭を伴い、飲食品などに香味賦与剤として使用する場合、多くの制約を受けるなどの問題点もある。殊に、バニラエキストラクトは乳製品フレーバーと非常によく調和するが、反面、香味賦与乃至変調能が弱いために、乳製品に添加した際に、乳製品のフレーバーの強さに負けて、香味賦与効果が顕著に現れ難いという欠点を有していた。【0004】本願出願人のひとりは、上記のような欠点乃至難点を克服すべく研究を行い、既にバニラ豆材料をスパイス系植物材料の共存下に抽出溶媒で共抽出することからなる水溶性強化バニラフレーバーの製法(特公昭62−51098号公報)、バニラ豆を、C2〜C4のα−ジカルボニル化合物類、C2〜C4のα,β−ヒドロキシカルボニル化合物類、単糖類及び二糖類よりなる群から選ばれた糖類の少なくとも一種及び/又はプロリン、オキシプロリン、アルギニン、リジン及びそれらの塩類よりなる群から選ばれたアミノ酸の少なくとも一種より選ばれたアミノ−カルボニル反応性成分の少なくとも一種の添加存在下に、アミノ−カルボニル反応生起条件下で加熱処理してなる持続性バニラフレーバー(特公昭63−21460号公報)、及びバニラ豆材料を乳原料、糖類及びアミノ酸の存在下に加熱処理することによって、強度、持続性及び嗜好性に優れたバニラとミルクのクッキング風味を有する新規なバニラミルクフレーバー(特開平3−4767号公報)などを提案した。【0005】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近の嗜好性の多様化に伴い、更に風味、嗜好性及びその強度ならびに持続性に優れた新規なバニラフレーバーの開発が強く望まれていた。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者等は、この要望に応えるべく鋭意研究を重ねた結果、90℃以上の温度で焙煎したバニラ豆材料を、水および/または水溶性有機溶媒で抽出することにより、従来の方法では得ることのできない特徴的な焙煎香とコク味を有する嗜好性に優れたバニラフレーバーを製造できることを発見して本発明を完成した。従って本発明の目的は、従来に無い新しいタイプの焙煎香とコク味を有する嗜好性に優れたローストバニラフレーバーの製造方法を提供するにある。【0007】【発明の実施の形態】以下本発明の具体的内容を更に詳しく説明する。本発明の好ましい一実施態様を例示すれば、例えば、細断したバニラ豆材料を銅製の直火鍋に入れ、バーナーで加熱しながら90℃以上で約1時間撹拌しながら焙煎した後、得られた焙煎バニラ豆材料を水およびエタノールからなる水溶性有機溶媒で浸漬・静置して抽出することによって本発明のローストバニラフレーバーを得ることができる。【0008】本発明に使用するバニラ豆材料は、収穫されたバニラ豆の果実(さや)を熟成(以下、キュアリングということがある)後乾燥したもので、市場で容易に入手できる任意の品種のものが利用できるが、例えば、ブルボンバニラ、メキシコバニラ、タヒチバニラ、ジャワバニラのごときバニラ豆を使用することができる。これらのバニラ豆は、例えば、細断物、破砕物など任意の形状として用いることができる。【0009】また、上記バニラ豆材料を焙煎するための焙煎設備としては、温度調整可能な加熱撹拌できる容器であれば特に制限されるものではないが、例えば、一般的に使用されているガス加熱の直火鍋や、水蒸気加熱のできる撹拌釜などを挙げることができる。バニラ豆材料の焙煎温度は、材料の大きさにもよるが、焙煎中のバニラ豆材料の表面温度が約90℃以上、好ましくは約100〜170℃、さらに好ましくは、約105〜140℃を例示することができる。また、バニラ豆材料の焙煎時間は、材料の大きさ、焙煎温度及び所望するロースト香気の強弱にもよるが、例えば、焙煎温度を約105〜140℃にした場合には、約10分間〜4時間程度の範囲を例示することができる。【0010】また、焙煎バニラ豆材料からフレーバーを抽出するのに利用できる水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン或いはこれらの2種以上の混合溶媒を例示することができる。上述の水および/または水溶性有機溶媒の使用量は、一般的には、使用するバニラ豆材料に対して約100〜2000重量%程度、好ましくは約200〜1000重量%程度の範囲が挙げられる。また水とアルコール類の混合系で使用する場合の水とアルコール類との混合割合は任意に選択すればよいが、通常は、水:アルコール=5:95〜70:30の範囲がしばしば採用される。【0011】水および/または水溶性有機溶媒による抽出方法は、公知の方法で抽出することができるが、例えば、焙煎したバニラ豆材料に上記した如き溶媒を添加して、60〜65℃で約2時間程度浸漬静置してフレーバー成分を抽出する。この浸漬液を30℃以下に冷却した後、所望により、固形分を遠心分離、濾過などの操作によって分離、除去して液状物とすることができる。【0012】上記のようにして得られた本発明のローストバニラフレーバーは、溶液状、濃縮液状、ぺースト状、粉末状その他の任意の形態であることができ、従来のバニラフレーバーに比して、増強された香気香味賦与乃至変調能を有するとともに、従来に無い焙煎香とコク味を有し、嗜好性に優れているので、バニラフレーバーとして、従来のバニラフレーバーと同様な分野、更には、従来のバニラフレーバーの場合にはその添加量が多くなり過ぎて使用に制約を受けた分野においても、有利に利用することができる。【0013】例えば、アイスクリーム、シャーベット等の冷菓;チョコレート、ビスケット、シュークリーム、プリン、ババロア、ムース等の洋菓子類;パン類、キャンデイー、チョコレート、焼物等のセンターに詰めるフイリング材;ホイップクリーム、フアットクリーム類;ココアドリンク等の飲料、さらにはリキュール等の飲食品類の香気香味賦与乃至変調剤として利用することができる。また、本発明で得られたローストバニラフレーバーは、各種の飲食品の香気香味賦与乃至変調剤の調合素材として用いることができる。以下、実施例により本発明のローストバニラフレーバー及びその製法の数例について、更に詳しく説明する。【0014】【実施例】実施例1バニラ豆細断物(ブルボン)200gを銅製の直火鍋(約2.8L)に入れ、ガスバーナーの弱火で撹拌しながら焙煎する。焙煎温度はバニラ豆の表面温度が110〜130℃になるように加熱を調整する。約1時間焙煎後加熱を止め、放置冷却して焙煎バニラ豆を得た。次いで得られたこの焙煎バニラ豆120gに水180g、エタノール420gを加えて湯浴上で60〜65℃の温度を保持して静置した。約2時間の静置抽出後、30℃以下に冷却し、固形物を濾紙濾過してローストバニラフレーバーを得た。得られた本発明品は、持続性のある甘い焙煎香を有し、まろやかなコク味に優れた、従来の方法では得られない香気香味を有している。【0015】参考例1【表1】アイスクリームミックスの配合表(重量%)生クリーム 10グラニュー糖 8バター 4ぶどう糖果糖液糖 3加糖脱脂練乳 5脱脂粉乳 7粉末水飴 6グリセリン脂肪酸エステル 0.3安定剤* 0.3水 56.3*ローカストビーンガム、グアーガムからなるアイスクリーム安定剤【0016】上記【表1】のアイスクリームミックスの配合表に従って、生クリーム、グラニュー糖、バター、ぶどう糖果糖液糖、加糖脱脂練乳、脱脂粉乳、粉末水飴、グリセリン脂肪酸エステル、安定剤等の原料を均一に混合した後、65℃に加温し、ホモゲナイザー(三和機械製)を用いて150Kg/cm2の圧力で均質にした。これをさらに85℃で15秒間殺菌後、5℃まで冷却して得られたミックスに実施例1で得られた本発明のローストバニラフレーバーを0.1重量%添加し、フレージング後カップに充填して、−30℃に硬化貯蔵して、冷菓(本発明品1)を製造した。一方、参考例1と同じ製法により得られたミックスに熱処理していない従来製法によるバニラフレーバーを0.1重量%添加して、フレージング後カップに充填し、−30℃に硬化貯蔵して冷菓(比較品1)を製造した。【0017】比較例1判定は10名の専門パネラーにより、硬化したものを室温にて数分間解凍した後、食したところ、その結果、本発明品1の冷菓は、今までにない味とカラメル風の味がしておいしく、後をひく味の冷菓であり、比較品1の冷菓よりも格段にすぐれていた。【0018】実施例2バニラ豆細断物(メキシコ)5kgを30L蒸気加熱撹拌釜に入れ、バニラ豆の表面温度が約105〜120℃になるよう加熱調整した。約3時間焙煎後加熱を止め、放置冷却して焙煎バニラ豆を得た。次いで得られたこの焙煎バニラ豆3kgに水5kg、エタノール10kgを加えて60〜65℃の温度を保持して静置した。約3時間の静置抽出後、30℃以下に冷却し、固形物を濾紙濾過してローストバニラフレーバーを得た。得られた本発明品は、実施例1で得られたローストバニラフレーバーよりもやや粉っぽさのある焙煎香気香味を有し、口中で広がりのあるコク味を感じさせる特徴を有した、嗜好性に優れたバニラフレーバーであった。【0019】【発明の効果】本発明によれば、従来のバニラエキストラクトとは全く異なって、単純なバニラの風味ではなく、焙煎香とコク味を有する嗜好性に優れたローストバニラフレーバーを提供することができる。 90℃以上の温度で焙煎したバニラ豆材料を、水および/または水溶性有機溶媒で抽出することを特徴とするローストバニラフレーバーの製造方法。


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