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タイトル:特許公報(B2)_ベンゾエート化合物およびそれからなる紫外線吸収剤
出願番号:1996027365
年次:2006
IPC分類:C07C 69/94,C08K 5/134,C09K 3/00


特許情報キャッシュ

幸野 俊則 福島 充 柴崎 淳二 JP 3775844 特許公報(B2) 20060303 1996027365 19960122 ベンゾエート化合物およびそれからなる紫外線吸収剤 旭電化工業株式会社 000000387 滝田 清暉 100087631 幸野 俊則 福島 充 柴崎 淳二 20060517 C07C 69/94 20060101AFI20060420BHJP C08K 5/134 20060101ALI20060420BHJP C09K 3/00 20060101ALI20060420BHJP JPC07C69/94C08K5/134C09K3/00 104D C07C 69/94 C08K 5/134 C09K 3/00 CA(STN) REGISTRY(STN) 特公昭43−18453(JP,B1) 特開昭50−37744(JP,A) 米国特許第4038250(US,A) 特開平6−41017(JP,A) 4 1997194434 19970729 15 20021107 井上 千弥子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ベンゾエート系紫外線吸収剤に関し、詳しくは、3,5−ジアルキル−4−ヒドロキシ安息香酸と2,4−ジクミルフェノールのエステル化物である有機材料への相溶性に優れ、揮散性の小さい紫外線吸収剤に関する。【0002】【従来の技術及び問題点】ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の高分子材料は光の作用により劣化し、変色あるいは機械的強度の低下等を引き起こして長期の使用に耐えないことが知られている。【0003】また、農業用フィルム、眼内レンズ、写真用フィルターなどは、有害な波長の光線を選択的に遮断することが要求されるが、フィルム、レンズおよびフィルターの基材となる樹脂やゼラチンのみで透過光の波長をコントロールすることは困難であった。【0004】さらに、感熱紙、塗料、写真材料、染色された繊維材料等に用いられる染料や顔料は紫外線により容易に褪色や変色する問題を有している。【0005】そこで、これら有機材料の劣化を防止したり、透過光の波長をコントロールするために、従来から種々の紫外線吸収剤が用いられてきた。これら紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、2,4,6−トリアリールトリアジン系およびシアノアクリレート系の紫外線吸収剤が知られている。紫外線吸収剤は種類により極大吸収波長や吸光係数が異なることや、安定化の対象となる有機材料との親和性が異なることから、用途に応じて単独または組み合わされて用いられる。【0006】しかし、これら紫外線吸収剤は、樹脂の加工時に混練される場合には、加工時に高温に曝されることにより紫外線吸収剤の一部が揮散して効力が低下し、残存する紫外線吸収剤も長期の使用時に揮散してその効力を失う。特に、紫外線を遮蔽するためのフィルムに用いられる場合などでは、高濃度で用いられるため樹脂への親和性、低揮散性が重要となる。【0007】これまで用いられてきたベンゾエート系紫外線吸収剤としては、3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸と2,4−ジ第三ブチルフェノールまたは2,4−ジ第三アミルフェノールから得られるベンゾエート化合物が提案されている。これらはベンゾエート化合物としての特徴を示すものの、相溶性、揮散性の点から長期の安定化効果においては満足のいくものではなかった。【0008】【問題点を解決するための手段】本発明者等は、上記の現状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(I)で表される新規ベンゾエート化合物からなる紫外線吸収剤が、有機材料への相溶性に優れ、また揮散性が小さく、長期に渡り優れた耐光性を付与することを見出し、本発明に到達した。【0009】即ち、本発明は下記一般式(I)で表されるベンゾエート化合物およびそれからなる紫外線吸収剤を提供するものである。【0010】【化3】【0011】【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。【0012】R1で表されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第三ブチル、ペンチル、第三ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、第三オクチルなどが挙げられる。【0013】本発明の上記一般式(I)で表されるベンゾエート化合物としては、例えば、下記の化合物No.1〜No.3が挙げられる。【0014】【化4】【0015】【化5】【0016】【化6】【0017】本発明の前記一般式(I)で表される化合物の合成方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法により合成できる。例えば、3,5−ジアルキル−4−ヒドロキシ安息香酸と2,4−ジクミルフェノールの混合物にオキシ塩化リン、三塩化リン、五酸化リン等のハロゲン化リンを加え、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘプタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどのジアルキルエーテル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロトルエン、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド等の溶媒中または無溶媒で、溶媒の沸点や触媒の有無などに応じた温度範囲において反応を行なう。触媒としては、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、モルホリン、ジメチルアニリン、ピリジン、キノリン、コリジン、アミノピリジン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エンなどのアミンを用いてもよい。【0018】また、3,5−ジアルキル−4−ヒドロキシ安息香酸の低級アルキルエステルと2,4−ジクミルフェノールをエステル交換触媒の存在下にベンゼン、トルエン、キシレン、クロロトルエン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの溶媒中または無溶媒で減圧または常圧下に反応を行なうことで合成される。反応温度は溶媒の有無や減圧の程度に応じて選択される。このエステル交換反応に用いられる触媒としては、特に限定れるものではないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのプロトン酸、三フッ化硼素エーテラート、塩化アルミニウム、四塩化チタン、塩化亜鉛などのルイス酸、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化リチウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウム第三ブトキシド、カリウム第三ブトキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド、ナトリウムアミド、カリウムアミド、金属ナトリウム、金属カリウムなどの塩基、モノブチル錫オキシド、ジブチル錫オキシドなどの錫化合物が挙げられる。【0019】本発明の特定のベンゾエート化合物からなる紫外線吸収剤により安定化される有機材料は、特に限定されるものではないが、自動車部品等の成形品、農業用資材などのフィルム・シート、PETに代表されるポリエステル繊維やナイロン繊維などの繊維材料、眼内レンズ、テープなどの合成高分子材料のほか、感熱記録材料、塗料、接着剤、パテ、ラッカー用結合剤、写真材料における基材などが挙げられる。本発明の特定の紫外線吸収剤の添加量は安定化の対象となる有機材料の種類や用途に応じて異なるが、有機材料100重量部に対して前記ベンゾエート化合物が通常0.001〜30重量部、好ましくは0.01〜10重量部の範囲である。0.001重量部より少ないと安定化効果が得られず、30重量部より多く用いても安定化効果は向上せず、経済的に不利になる。【0020】本発明の紫外線吸収剤は、揮散性が小さく、長期にわたる優れた耐光性を付与するので、農業用資材や自動車塗料等の高度の耐光性が要求される分野や、繊維等の洗濯堅牢性が要求される分野に特に有用である。【0021】本発明における安定性改善の対象となる有機材料を構成する樹脂としては、例えば、高密度、低密度または直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン及びこれらの共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等)、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエチレンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル、ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタム及びポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリカーボネート、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂等の熱可塑性合成樹脂及びこれらのブレンド物あるいはフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。更に、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム等のエラストマーであってもよい。【0022】本発明の紫外線吸収剤は、必要に応じて他の汎用の酸化防止剤、安定剤等の添加剤を併用することができる。【0023】これらの添加剤として特に好ましいものとしては、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、本発明の特定のベンゾエート化合物からなる紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤が挙げられ、特に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物に代表されるヒンダードアミン系の光安定剤は本発明のベンゾエート化合物と相乗効果を奏するので好ましい。【0024】上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドルキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。【0025】また、上記硫黄系酸化防止剤としては例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。【0026】また、上記ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)ビスフェノールAジホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミンなどが挙げられる。【0027】また、上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1−〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−第三オクチルアミノ−4,6−ジクロロ−s−トリアジン/N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物等が挙げられる。【0028】また上記一般式(I)で表される特定のベンゾエート化合物からなる紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボオクトキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)等の2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール化合物;2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−s−トリアジン等のトリアジン化合物;フェニルサリシレート、レゾルシンモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート化合物;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド化合物;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−α−シアノ−β−メチル−β−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート化合物が挙げられる。【0029】その他必要に応じて、本発明の紫外線吸収剤と共に安息香酸類の金属塩、ソルビトール類および芳香族リン酸エステル金属塩などの造核剤、重金属不活性化剤、金属石けん、ハイドロタルサイト類、有機錫化合物、可塑剤、エポキシ化合物、発泡剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、染料、顔料、充填剤等を有機材料を構成する樹脂に包含させることができる。【0030】本発明の紫外線吸収剤の有機材料への適用方法は特に限定されるものではなく、添加する際の形態は粉末でもエマルジョンやサスペンジョンなどの水分散体でもよく、有機溶剤により溶液としてもよい。また、本発明の紫外線吸収剤を添加された樹脂の加工方法としては、とくに制限されるものではなく、通常の樹脂に用いられる加工方法のいずれにも適用でき、カレンダー加工、押し出し加工、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、プレス加工などが挙げられる。【0031】ただし、本発明の紫外線吸収剤は従来のベンゾエート系紫外線吸収剤に比べて高分子量体であるため、添加方法としては樹脂へ練込むことが好ましい。本発明の紫外線吸収剤は耐抽出性に優れるので高濃度で添加可能であり、添加した樹脂そのものの安定化のほか、高濃度で添加した樹脂を紫外線遮蔽層として用いる場合にも優れた効果を示す。例えば、2層押し出しにより保護層を形成するフィルムや、農業用資材に用いて紫外線の透過率を制御したり、塗装面の保護層としてのトップコート用塗料への適用において特に有用である。【0032】【実施例】次に本発明で用いられる前記一般式(I)で表されるベンゾエート化合物の具体的な合成実施例およびその紫外線吸収剤としての使用を実施例によって具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によりなんら制限されるものではない。【0033】(合成実施例1:化合物No.1の合成)3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸18g(0.072モル)、2,4−ジクミルフェノール24g(0.073モル)をジ−n−ブチルエーテル25gに溶解し、80℃に加熱した後オキシ塩化リン8.0g(0.052モル)を滴下した。80℃で7時間反応した後、20℃まで冷却して水を加え析出した沈澱を濾別した。メタノールおよび水で洗浄して融点150.7℃の白色粉末30g(収率74.2%)を得た。得られた白色粉末の分析結果は、以下のようになった。【0034】液クロマトグラフィーにおける主成分の濃度は97.4%であり、赤外吸収スペクトルは1720cm-1にベンゾエートのカルボニル基に基づく吸収を示した。また、1H−NMR(CHCl3)は化学シフトppm(帰属,強度比H)として、1.43ppm(CH3(ブチル),18H)、1.5−1.8ppm(CH3(クミル),12H)、6.8−7.6ppm(Ar−H,15H)。【0035】(実施例2)下記表−1の配合により得られる樹脂組成物を、250℃で押し出し加工してペレットを作成した。次いで、250℃で射出成型して、厚さ2mmの試験片を作成した。この試験片について、サンシャインウエザオメーターを用いて、ブラックパネル温度83℃、120分中18分間の降雨サイクルで、耐候性試験を行った。試験開始から500時間後、2000時間後の黄色度により耐候性の持続性を評価した。また、耐候時間としてクラックの発生までの時間を測定した。その結果を表−2に示す。【0036】【表1】【0037】【表2】【0038】【化7】【0039】【化8】【0040】(実施例3)実施例2の配合よりHALS−1を除いた配合を、実施例2と同様にして評価した。但し、黄色度の評価時間は500時間と1500時間とした。結果を表−3に示す。【0041】【表3】【0042】(実施例4)ポリフェニレンエーテル100重量部に表−4に記載の試料化合物1重量部を配合した配合物をクロロホルムに溶解し、1重量%溶液とした後、76mm×26mmのガラス板上でキャストフィルムを作成した。得られたフィルムをキセノンウェザオメーターにおいて温度63℃、湿度50%にて48時間後の色差を測定した。その結果を次の表−4に示した。【0043】【表4】【0044】(実施例5)下記表−5の配合物を用い、混練ロールにより混練し厚さ0.1mmのフィルムを作成した。このフィルムから試験片を切取り、サンシャインウェザオメーター(雨なし)による耐候性試験を行った。その結果を表−6に示す。【0045】【表5】【0046】【表6】【0047】(実施例6)ノニオン系界面活性剤(ノニルフェノールとエチレンオキシドの付加物)1重量部を水64重量部に微分散させた液30gとアントラキノン系赤色染料(Resolin Red FB:バイエル社製)10gと紫外線吸収剤(表−7に記載)0.5重量部と酢酸0.3gを水1リットルに分散して染液として、浴比1:10でポリエステル布100gを密閉容器に入れて130℃恒温槽にて30分間染色した。冷却後水洗して、常法により還元洗浄して試験片を得た。得られた染色布のサンシャインウェザオメーター83℃(散水なし)での240時間後の試験前との色差により耐候性試験を行った。結果を表−7に示す。【0048】【表7】【0049】(実施例7)固有粘度0.57(ジオキサン中、30℃)のビスフェノールAポリカーボネート粉末100重量部にステアリル−β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.1重量部と紫外線吸収剤(表−8に記載)を10重量部添加して280℃×80rpmでペレットとして、表面層用の樹脂とした。また、紫外線吸収剤を含まない前記のポリカーボネート粉末から280℃×80rpmで押出加工により得たペレットをコア層として、二層押出機によりコア層10mm、表面層40μmで共押出して試験片を得た。得られた試験片を表面層を光源側にして高圧水銀灯により紫外線を照射し、ASTM D1925に従い、未照射の試験片と2週間照射後の試験片の黄色度を測定し、その変化(色差)を求めた。その結果を表−8に示す。【0050】【表8】【0051】【発明の効果】上記各実施例の結果から、本発明の特定のベンゾエート化合物を紫外線吸収剤として用いた場合は、従来知られていたベンゾエート系紫外線吸収剤を用いた場合と比較して安定化効果が大きく、特に、実施例2および比較例2より安定化効果の持続性において顕著に優れることが明らかである。また、実施例2および実施例3の結果からヒンダードアミン化合物との相乗効果において、より顕著な安定化効果を示すことも明らかである。 下記一般式(I)で表されるベンゾエート化合物。 下記一般式(I)で表されるベンゾエート化合物からなる紫外線吸収剤。 請求項2に記載の紫外線吸収剤を添加してなる有機材料。 ヒンダードアミン化合物を添加した請求項3記載の有機材料。


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