生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_メタクリル系樹脂キャスト板の製造方法
出願番号:1996000614
年次:2005
IPC分類:7,C08F20/14,C08F2/44,C08K5/151,C07D307/24


特許情報キャッシュ

森 正士 阪井 茂夫 JP 3622309 特許公報(B2) 20041203 1996000614 19960108 メタクリル系樹脂キャスト板の製造方法 住友化学株式会社 000002093 久保山 隆 100093285 森 正士 阪井 茂夫 20050223 7 C08F20/14 C08F2/44 C08K5/151 C07D307/24 JP C08F20/14 C08F2/44 B C08K5/15 C07D307/24 7 C08F 20/14 C07D307/24 CA(STN) 特開平06−128327(JP,A) 1 1997188717 19970722 5 20021218 佐々木 秀次 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、メタクリル系樹脂キャスト板の製造方法に関する。詳しくはキャスト板の切断面の黄色着色が極めて少ない透明性に優れたメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】一般に、メタクリル酸メチル単独またはメタクリル酸メチルを主成分としたメタクリル系樹脂キャスト板は、耐候性、透明性、表面光沢、機械的強度、成型性等に優れた特性を有し、看板、照明カバー、機械装置の窓、水族館水槽、あるいは各種表示装置用部材など多くの用途に使用されているが、切断面の黄色着色が外観上問題となることがある。【0003】通常のセルキャスト重合においては泡などの外観欠陥防止や着色防止を目的として、ガラスセルなどの鋳型にシロップを注入する前に減圧で脱気したり、あるいはシロップ原料の単量体を精製する方法などが従来からとられてきた。また、特公平7−94506号公報には、重合する際に単量体溶液中に窒素ガスを吹き込み、単量体溶液中の酸素濃度を1ppm以下で、更にその際に亜リン酸エステルの共存下に重合して透明性に優れたメタクリル樹脂板を製造する方法が開示されている。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シロップを減圧脱気する方法は泡のない良品は得られるものの、キャスト板の切断面の黄色着色が極めて少ないメタクリル系樹脂板を得る方法としては必ずしも十分ではない。また、特公平7−94506号公報に記載の方法もキャスト板の切断面の黄色着色が少ないメタクリル樹脂キャスト板を得る方法として必ずしも十分ではなく、メタクリル系樹脂を屋外で使用する目的で紫外線吸収剤を添加する用途では効果が小さくなる恐れがある。【0005】かかる事情に鑑み、本発明者は切断面の黄色着色が極めて少ないメタクリル系樹脂キャスト板を製造する方法について鋭意検討した結果、切断面の黄色着色はシロップ中に存在する特定のテトラヒドロフラン誘導体の濃度に関係することを見出し、本発明を完成するに至った。【0006】【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、メタクリル酸メチル単独またはメタクリル酸メチルを50重量%以上含む重合性不飽和単量体混合物をラジカル重合開始剤の存在下に部分的に重合してなるシロップを用いてキャスト重合してメタクリル系樹脂キャスト板を製造する方法において、式〔化2〕で示されるテトラヒドロフラン誘導体の含有量が500ppm以下であるシロップを用いることを特徴とするメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法である。【化2】【0007】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。メタクリル酸メチル以外の重合性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(アクリル酸あるいはメタアクリル酸を意味する。以下同じ)、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルで代表される(メタ)アクリル酸とアルコールとのエステル、(メタ)アクリルアミドとその誘導体、スチレンとその誘導体、および酢酸ビニル等が挙げられる。【0008】重合性不飽和単量体混合物中のメタクリル酸メチルは50重量%以上、好ましくは80重量%以上である。キャスト板の切断面の黄色着色防止の点からはメタクリル酸メチル単独の場合がもっとも好ましい。【0009】本発明のシロップは、メタクリル酸メチル単独またはメタクリル酸メチルを50重量%以上含む重合性不飽和単量体混合物を原料として、ラジカル重合開始剤の存在下で部分的に重合し、その後のセルキャスト重合に好適な粘度としたものである。【0010】部分的に重合する際の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって異なるが、一般的には40℃〜90℃である。また、部分重合に要する時間を短縮することを目的に単量体溶液中および部分重合中の空間雰囲気の酸素量をできるだけ少なくする必要があり、酸素濃度を10ppm以下に制御することが好ましい。【0011】セルキャスト重合に好適なシロップの粘度はセルの間隙やセルの大きさによっても異なるが、0.1〜100ps、好ましくは0.5〜20psで、0.1psより小さいとセルから漏れやすく、100psより大きいとシロップの脱気やセルへの注液が困難となる。【0012】本発明で使用されるラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物あるいは有機過酸化物等が挙げられる。ラジカル重合開始剤の添加量は、メタクリル酸メチル単独またはメタクリル酸メチルを50重量%以上含む重合性不飽和単量体混合物100重量部に対して、0.0001〜0.5重量部、好ましくは0.0005〜0.1重量部である。【0013】ラジカル重合開始剤として用いられるアゾ化合物の例としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’アゾビス(2.4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2.4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等が、また有機過酸化物の例としては、ターシャリブチルパーオキシアセテート、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。【0014】メタクリル酸メチル単量体ひいてはシロップ中には、上記の式〔化2〕で示されるテトラヒドロフラン誘導体が存在する。この誘導体は本発明者らが新たに見出した化合物であり、GC(ガスクロマトグラフィー)、GC−MS(ガスクロマトグラフィー・質量分析計)、GC−IR(ガスクロマトグラフィー・赤外検出器)、GC−AED(ガスクロマトグラフィー・原子発光検出器)、1HNMR(プロトン核磁気共鳴装置)を用いて特定、定量することができる。本発明においては、このテトラヒドロフラン誘導体の含有量が500ppm以下、好ましくは100ppm以下のシロップを用いる。500ppmを越えると得られるメタクリル系樹脂キャスト板の切断面の黄色着色が顕著になる。【0015】シロップ中のテトラヒドロフラン誘導体の含有量は、メタクリル酸メチルの精製程度、その後の保存状態等によって変わり、酸素含有雰囲気で保存すると含有量は増加する。このテトラヒドロフラン誘導体の含有量を低減するには、吸着剤による除去および/または精密蒸留等によって行われる。【0016】【発明の効果】本発明の方法によって得られるメタクリル系樹脂キャスト板は切断面の黄色着色がほとんどなく、切断面の外観が重視される用途に特に有用である。【0017】【実施例】以下、本発明を実施例で詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。なお、テトラヒドロフラン誘導体の濃度測定方法および切断面の黄色着色度(イエローインデックス(YI))の測定方法は次のとおりである。(1)シロップ中のテトラヒドロフラン誘導体の濃度測定方法GC(ガスクロマトグラフィー)(ヒューレットパッカード社製:HP−5890A型)を使用して測定し、絶対検量線法で2,5ジメチルフラン換算で算出した。(2)切断面の黄色着色度(イエローインデックス(YI))の測定方法サンプルの長辺方向(250mmパス)の透過イエローインデックス(YI)を日立社製スペクトロフォトメータ(U−3410型)で測定した。【0018】実施例1保存雰囲気の酸素濃度および保存期間が異なり、上記の式〔化2〕で示されるテトラヒドロフラン誘導体の濃度が異なるメタクリル酸メチルを用いてシロップを製造した。メタクリル酸メチル100重量部に対して2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.001重量部を添加し,混合溶解した後、80℃のオイルバスでメタクリル酸メチル混合物の粘度が1〜2psになるまで加熱して部分的な重合を行いシロップを得た。このシロップを冷却後、シロップ100重量部に対して2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.08重量部を添加し、混合溶解した後、−720mmHgの減圧下で約30分間脱気し、400×400×10mmの2枚のガラスの間にポリ塩化ビニル製ガスケットをセットした間隙が6mmのガラスセルに注入し、70℃のウォーターバスで2時間重合した後、120℃のエアーオーブンで1時間熱処理してメタクリル系樹脂キャスト板を得た。このキャスト板を250mm(長さ)×50mm(幅)×6mm(厚さ)の形状に切断し、切断面を朝日メガロ社製の表面研磨機(PB−1000型)を使用して研磨し、黄色着色度(YI)の測定を行った。【0019】【表1】 メタクリル酸メチル単独またはメタクリル酸メチルを50重量%以上含む重合性不飽和単量体混合物をラジカル重合開始剤の存在下に部分的に重合してなるシロップを用いてキャスト重合してメタクリル系樹脂キャスト板を製造する方法において、式〔化1〕で示されるテトラヒドロフラン誘導体の含有量が500ppm以下であるシロップを用いることを特徴とするメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法。


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