タイトル: | 特許公報(B2)_超音波発振子天秤 |
出願番号: | 1995345972 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01G3/13,G01L1/10,G01N5/02 |
梅本 雅夫 氏平 祐輔 JP 3648565 特許公報(B2) 20050225 1995345972 19951129 超音波発振子天秤 有限会社生物化学研究開発センター 596004163 梅本 雅夫 氏平 祐輔 20050518 7 G01G3/13 G01L1/10 G01N5/02 JP G01G3/13 G01L1/10 A G01N5/02 A 7 G01G 3/13 G01L 1/10 G01N 5/02 実開平05−046117(JP,U) 特公平04−055001(JP,B2) 特開平03−096005(JP,A) 特開平06−037565(JP,A) 特開平06−338752(JP,A) 特開平07−006968(JP,A) 特開平07−012695(JP,A) 特開昭62−291541(JP,A) 2 1997152380 19970610 5 20021127 白石 光男 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、超音波発振子を用いる天秤に関する。【0002】【従来の技術】従来の振子の原理に基づくはかりと、電子天秤の他に、水晶振動子を用いた天秤が発明されている。水晶振動子を用いるものは測定対象物の形状、電気伝導度、粘度等によって影響を受ける。このことは微量の重量を高い精度で測定するに当たっては、致命的な欠点である。形状、電気伝導度、粘度等の影響を受けない振動子天秤が求められている。【0003】【発明が解決しようとする課題】固体、液体を問わず、試料の形状、性質に影響を受けない、圧電振動素子を利用した天秤を開発する。【0004】【課題を解決するための手段】本発明における天秤は、超音波発振子上に薄液膜を形成し、その上に固体膜を置くことを特徴とする。【0005】本発明の天秤は、測定対象物として種々の形状の固形物、粉体、種々の物理化学的性質の液体に適応できる。これは、従来の水晶振動子を用いた天秤に比較して画期的な長所と言える。【0006】超音波発振子とは、圧電素子を用いる高周波数の振動体のことで、種々の振動、表面波モードを発振し、縦振動、横振動、すべり振動、漏れ弾性表面波、非漏洩すべり表面波、レーリー波等がある。具体的には、水晶振動子、弾性表面波デバイス(SAWデバイス)、弾性共鳴板デバイス(APMデバイス)、Lamb波デバイス等がある。水晶振動子には、すべり振動を行うもの、捻りモード(更に音叉型と両端自由型に分けられる)等がある。SAWデバイスには遅延線形の他に、共振器形がある。水晶振動子にはATカット、STカット、BTカットがあり、SAWには、LiTaO3、LiNbO3、等の材質が用いられる。【0007】薄液膜とは、溶媒、液状物質、ゾル、ゲル等を数百nm以上の厚み層としたもので、この厚み層は、塗布、スピンコーティング等の技術の他に、その上に置く固体膜を押しつけて形成する。溶媒としては、水、有機溶媒を用いることができるが、揮発性であるため液膜の寿命としては短い。ミシン油、機械油等の潤滑油、シリコーン油、グリース類高沸点溶媒、ポリエステル系アルコール、脂肪酸(例えばグリセロール)、ポリアルキレングリコール(例えばポリエチレングリコール)、高級アルコール等、常温で揮発のない溶液を用いることにより、長寿命が得られる。ガスクロマトグラフィーで用いるカラム充填剤の液相のうち、低粘性の液体は全て用いることができ(例えばTween、スクワランなど)、液膜の厚みは感度と直線範囲に影響する。厚みが小さい場合、高感度となるが、直線範囲は狭い。目的とする重量を目安として厚みを設計する。【0008】固体膜は、液膜の上に置くものであるが、液膜が電気伝導性の場合は,固体膜は絶縁体でなければならない。固体膜としては、ガラス板、水晶板、シリコン、液晶、樹脂等が用いられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、テフロン等のフィルム、あるいは、フィルムと固体薄板との組合せを用いることができる。フィルムのみでは、試料の形状の影響を受けるほか、再現性に劣る。固体膜は原則として、非電気伝導体であれば、何でもよく、厚みは数μm〜数ミリが一般に用いられる。【0009】固体膜と発振素子の間に液膜をはさむものであるが、位置が固定していない。そのため、固体膜を固定してもよい。O−リングを円形固体膜の外周部にのせ、その上から押さえ板をのせて軽く固定する方法、発振子上に枠を形成し、その中に、液膜及び固体膜を設置し、動かないようにする方法もある。【0010】溶液試料については、液量が少ない場合は、固体膜の上に更に液を入れる小さな容器を固定する必要がある。SAWデバイスを使用する場合は、送受IDT(交差指電極)を1組用いる方式と、2組用いる方式とがある。後者では、一方を参照用として用いれば、重量以外の種々の誤差要因(温度等)を消去できる。両伝搬面に全く同じように、液膜、固体膜を置き、一方を標準重量参照用、他方を試料用とすれば、精度の良い計測ができる。伝搬面を金/クロム蒸着膜等でコーティングすれば試料の電気的特性に影響されないため、本発明でいう液膜、固体膜を非電気伝導体でする必要はないという優れた特徴が得られる。【0011】【実施例1】相互薬工製、ニオイセンサー SF100は金電極水晶振動子と、水晶振動子をはさむ上下2枚のO−リングと、上部の押さえ板からなる。この上部のO−リングをはずし、金電極(直径5mm)の上に、ミシン油を数μl(キャピラリーで塗ることにより得られる)たらし、その上に直径約7mmの水晶板(水晶振動子の電極をはがしたもので、厚み約10μm)をのせる。この水晶板は、O−リングにはさまれて移動しない。押さえ板をとりつけ、超音波発振子天秤とした。この天秤を使って種々の物体を測定した。小さなナット(0.135g)の周波数変化は−28Hzであった。銅線(0.020g)は、−6Hz、ビニール線(0.018g)は−9Hz、シリコーンゴム(0.017g)は−6Hzであった。この結果から超音波発振子天秤は、試料の形状、性質には影響を受けないこと、精度は、±3Hzであり、10mg以上のものが測定できること等、実用に耐えることがわかった。【0012】【実施例2】実施例1において、金電極上に、ミシン油の代わりに、水を数μlたらし、その上にポリエチレン製のサニメント手袋(SANSYO製)を1cmの円形に切り抜いた膜をのせる。気泡が入らないようにし、水晶振動子と膜を水晶振動子の外周部において、エポキシ樹脂にて固定する。次に、O−リングをのせ、押さえ板で固定し、天秤とした。相互薬工製、ニオイセンサー SF100は、最大100μlの水を入れることができる構造となっている。そこで、水を25μl、50μl、75μl、入れ周波数変化を調べたところ、水25μlの場合、−13Hz、50μlの場合、−29Hz、75μlの場合、−42Hzとなり、ほぼ重量と周波数変化の間に直線関係が得られた。【0013】【発明の効果】従来の超音波発振子では、試料の性質による影響が大きいため、純粋に重量のみを測定できなかったが、本発明によれば、固体、粉体、液体を問わず、又電気伝導性か否かを問わず重量を測定することができる。【図面の簡単な説明】【図1】 超音波発振子天秤の製法工程【符号の説明】A 水晶振動子B 液膜の塗布C 固体膜D プローブへの固定a 水晶b 電極c キャピラリーd オイルe 水晶(固体膜)f プローブg O−リングh 押さえ 圧電振動素子の電極面を覆うように厚み数百nm以上の液膜を,非電気伝導性であって厚みμmから数mmの固体膜と電極との間に形成し、該固体膜径を電極より大きくして、その外周部を固定した構造からなる超音波発振子を用い、固定膜上に置いた物質の質量を共振周波数変化により検出する超音波発振子天秤。 前記液膜の液が不揮発性であることを特徴とする請求項1記載の超音波発振子天秤。