生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_使用済みイオン交換樹脂触媒の抜き出し方法
出願番号:1995339683
年次:2006
IPC分類:C07C 37/72,B01J 31/10,B01J 39/20,C07C 37/88,C07C 39/16


特許情報キャッシュ

吉塚 伸司 久保田 忠義 大西 章平 内山 伸一 佐倉 克彦 自見 和芳 JP 3741761 特許公報(B2) 20051118 1995339683 19951226 使用済みイオン交換樹脂触媒の抜き出し方法 新日鐵化学株式会社 000006644 成瀬 勝夫 100082739 中村 智廣 100087343 小泉 雅裕 100085040 吉塚 伸司 久保田 忠義 大西 章平 内山 伸一 佐倉 克彦 自見 和芳 20060201 C07C 37/72 20060101AFI20060112BHJP B01J 31/10 20060101ALI20060112BHJP B01J 39/20 20060101ALI20060112BHJP C07C 37/88 20060101ALI20060112BHJP C07C 39/16 20060101ALI20060112BHJP JPC07C37/72B01J31/10 XB01J39/20 FC07C37/88C07C39/16 C07C 37/00-37/88 C07C 39/16 B01J 31/10 B01J 39/20 特開平4−16243(JP,A) 2 1997176070 19970708 5 20020528 井上 千弥子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、使用済みスルホン酸型陽イオン交換樹脂触媒の抜き出し方法に関する。【0002】【従来の技術】ビスフェノールAは、通常スルホン酸型陽イオン交換樹脂触媒の存在下にアセトンとフェノールとを50〜90℃で接触させることにより製造される。スルホン酸型陽イオン交換樹脂は、経時的に、又は、一時的に活性が低下し、その活性が経済的にビスフェノールAを生産することができる程度以下になった場合に交換が必要となる。【0003】このスルホン酸型陽イオン交換樹脂における活性低下の原因としては、触媒活性点であるスルホン酸基の加水分解による脱離がある(Ind. Eng. Chem. Res. 1994, 33, 592-599)が、これ以外にも金属イオン及び含窒素化合物によるスルホン酸型の被毒や、反応副生物のイオン交換樹脂内堆積等が考えられる。【0004】触媒活性が低下した場合には反応器より触媒を抜き出すことが必要になるが、通常反応器内にはビスフェノールA及びフェノールを含有する反応混合物が存在し、抜き出し作業者の安全衛生上の問題を考慮しなければならないほか、反応混合物が抜き出し作業中に外気温まで冷却されて固化すると、粒子状のイオン交換樹脂の流動性が著しく低下して抜き出し作業が困難になる。【0005】一般的に、イオン交換樹脂は、粒子径0.2〜1.5mmの球状体であり、基本構造はスチレン基準で2〜6重量%のジビニルベンゼンで架橋したスチレンポリマーである。そして、このイオン交換樹脂は、単独では流動性が悪く、特開平4−16243号公報に記載されているように、水に分散させたスラリー状態で移送することが一般に行われている。【0006】ところが、ビスフェノールAの製造で使用したイオン交換樹脂触媒を水スラリーとした場合には、イオン交換樹脂のスルホン酸基が水を吸収して膨潤するため、その重量が増加して処理費用が嵩むばかりでなく、多量に発生する含フェノール排水の処理も容易ではなくなるので、反応外へ抜き出す排水を最小限にすることが望ましい。【0007】【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは、使用済みスルホン酸型陽イオン交換樹脂触媒を安全かつ迅速に、しかも、経済的に抜き出すことができる方法について鋭意検討した結果、本発明に到達した。【0008】従って、本発明の目的は、使用済みスルホン酸型陽イオン交換樹脂触媒を安全かつ効率良く、しかも、経済的に反応器から抜き出すことができる使用済みイオン交換樹脂触媒の抜き出し方法を提供することにある。【0009】【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ビスフェノールAを製造したスルホン酸型陽イオン交換樹脂触媒を反応器から抜き出す際に、反応器内を2〜30重量%の水分を含有する含有フェノールで置換する使用済みイオン交換樹脂触媒の抜き出し方法である。【0010】使用済み触媒を反応器から抜き出す場合には、反応器内にはビスフェノールA及びフェノールを含有する反応混合物が存在する。一般的には、反応器内の温度を反応混合物の凝固点である50℃以上にして触媒層の固結を防止しているが、触媒を反応器外へ移送する場合には、外気温で反応混合物が固化して触媒の流動性が著しく低下するので抜き出し作業が困難となる。【0011】本発明では、このような問題を解決するために、反応器内の反応混合物を含水フェノールで置換し、水によるフェノールの凝固点降下を利用して触媒層の固結を防止し、これによって触媒を反応器外へ容易にかつ安全に移送することに成功した。【0012】含水フェノールは、その水分濃度が高い程凝固点が降下して触媒の抜き出しは容易になるが、水分濃度が高すぎると、後工程での含水フェノールの処理に費用が嵩むばかりでなく、触媒が膨潤してその重量が増加するため、その処理費用も増加する。【0013】そこで、触媒層の流動性と経済性を考慮した場合、含水フェノール中の水分濃度は好ましくは2〜30重量%、より好ましくは5〜15重量%であるが、最終的な水分濃度は、外気温で決定すればよい。反応器内を含水フェノールで置換する方法としては、反応器内をフェノールで通液して触媒層に残存するビスフェノールAを反応器外へ洗い出した後に所定濃度に調整した含水フェノールを反応器内に通液する方法が適当である。【0014】触媒の反応器外への抜き出し手段としては、触媒の含水フェノールスラリー等の状態で反応器に付設したノズル又はマンホール等より抜き出すことも考えられるが、この方法では触媒と同時に含水フェノールも抜き出されるために取り扱い量が増加し、作業時間や費用が嵩むばかりでなく、作業の安全性や環境衛生上にも問題が生じる。【0015】そこで、本発明では、触媒と同時に反応器外へ抜き出す含水フェノールの量を最少限にするために、反応器内の含水フェノールを予め抜き出し、反応器内の含水フェノールを極力少なくした状態で真空発生設備による吸引作用で触媒を反応器外へ抜き出すことが望ましい。【0016】含水フェノール量を最少限にするためには、触媒層下部に触媒固定用のスクリーン等を設置して反応器底部のノズル又はマンホールから含水フェノールのみを自然落下させる方法が考えられるが、反応器上部から窒素又は空気等の気流を通過させると更に効果的である。【0017】触媒の抜き出しは、反応器に付設したノズル又はマンホール等からバキュームカー又はパワープロセッサーにより触媒を吸引移送する方法が好ましい。また、反応器内より予め抜き出した含水フェノールは再使用できるが、蒸留設備によりフェノールと水とを分離して回収することもできる。【0018】【発明の実施の形態】ビスフェノールAを製造したスルホン酸型陽イオン交換樹脂触媒を反応器から抜き出す際に、予め反応器内を2〜30重量%の水分を含有する含有フェノールで置換する。これによってフェノールの凝固点が降下し、触媒層の固結を防止して触媒を反応器外へ容易にかつ安全に移送することができる。【0019】一般に、使用済み触媒を反応器から抜き出す際には、反応器内に存在するビスフェノールA及びフェノールを含有する反応混合物が凝固して触媒層が固結するのを防止するために、反応器内の温度を通常50℃以上に維持しているが、触媒を反応器外へ移送する場合には、外気温で反応混合物が固化して触媒の流動性が著しく低下し、抜き出し作業が困難になる場合があったが、本発明方法によりこの問題を解消することができる。【0020】【実施例】以下、実施例に基づいて、本発明方法を具体的に説明する。【0021】実施例1使用済みイオン交換樹脂触媒10m3 が充填されている反応器の出口でビスフェノールAが検出されない状態になるまで、この反応器に60℃でフェノールを通液した。【0022】次に、水分濃度10重量%の含水フェノールを、反応器の出口での水分濃度が10重量%となるまで通液した。触媒層下部には、触媒固定用のスクリーンが設置してあるため、反応器底部のノズルより反応器内の含水フェノールを自然落下により抜き出し、更に窒素を反応器に導入して通過させ、この反応器内の含水フェノールを可及的に取り除いた。水分濃度10重量%の含水フェノールの凝固点が14℃であるため、外気温25℃の条件下でも触媒層の固結はなかった。【0023】実施例2実施例1と同様にして反応器内の含水フェノールを可及的に取り除いた後、反応器上部のマンホールからパワープロセッサーに直結したホースを装入して触媒を吸引した。触媒吸引中、パワープロセッサーは−500mmHgの減圧度を示し、1時間で10m3 の触媒を抜き出すことができた。【0024】【発明の効果】本発明によれば、使用済みスルホン酸型陽イオン交換樹脂触媒を安全かつ迅速に、しかも、経済的に反応器から抜き出すことができる。 ビスフェノールAを製造したスルホン酸型陽イオン交換樹脂触媒を反応器から抜き出す際に、反応器内を2〜30重量%の水分を含有する含有フェノールで置換することを特徴とする使用済みイオン交換樹脂触媒の抜き出し方法。 ビスフェノールAを製造したスルホン酸型陽イオン交換樹脂触媒を反応器から抜き出す際に、反応器内の含有フェノールを極力減少させた状態で真空発生設備による吸引作用を利用する請求項1に記載の使用済みイオン交換樹脂触媒の抜き出し方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る