タイトル: | 特許公報(B2)_測色値の補正方法 |
出願番号: | 1995322146 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | G01J 3/46,G01N 21/27 |
斉藤 文義 佐野 和雄 重森 義浩 JP 3776492 特許公報(B2) 20060303 1995322146 19951116 測色値の補正方法 大日精化工業株式会社 000002820 赤塚 賢次 100098682 福田 保夫 100071663 斉藤 文義 佐野 和雄 重森 義浩 JP 1995080680 19950313 20060517 G01J 3/46 20060101AFI20060420BHJP G01N 21/27 20060101ALI20060420BHJP JPG01J3/46 ZG01N21/27 B G01J 3/00-3/52 G01N 21/00-21/61 特開昭61−213650(JP,A) 特開昭63−135580(JP,A) 特開平3−51724(JP,A) 特開平3−209149(JP,A) 特開平4−285829(JP,A) 特開平7−270238(JP,A) ヘキストジャパン(株)応用技術部「測色値への温度と湿度の影響について」加工技術 繊維社 昭和54年10月10日 10月号 p.27−31 佐野和雄「コンピューターによる測色と色合わせ技術」セラミックス 窯業協会 昭和58年5月1日 p.404−409 1 1996313353 19961129 10 20010507 2003012719 20030704 高橋 泰史 ▲高▼見 重雄 櫻井 仁 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、各種着色物体の測色値を補正する方法、詳しくは温度変化による測定値の誤差を補正して常に優れた精度により測定操作を行うことができる測色値の補正方法に関する。【0002】近時、着色製品の色を管理するにあたり、例えばL* 、a* 、b* やマンセル値のような数値化した測色値を用いる方法が盛んに行われている。ところが、得られる測色値は測定温度によって変動して誤差を与える欠点がある。このため、複数の試料を測色して色を比較する場合には、同一の温度条件下で測定した測色値を用いるか、もしくはその都度標準試料を再測定して比較する方法が従来から行われている。【0003】【従来の技術】通常、温度による測色値の変動は、温度が1℃変化すると、色差(ΔE* ) として約0.1〜0.3の誤差が生じる。したがって、より精度の高い測定が要求される場合には、試料の温度を約±1℃以内に制御しながら測定操作を行う必要があるが、測定の度に試料温度を±1℃範囲内に調整するには高価な設備と複雑な操作を伴う関係で、通常は上記した標準試料と被測色試料を同時に測定して可及的に温度変化による誤差の影響を除去する方法が採られている。【0004】しかしながら、標準試料について繰り返し測色する操作は管理工程としては煩雑であるばかりでなく、標準試料を長期間保存する過程で変色や汚染が生じることがないような配慮も必要となる。また、保管中に経時変化して変色を発生するものは標準試料として使用することができないため、測定の都度、標準試料を作製しなければならないといった不都合な問題もある。【0005】更に、例えば生産工程のラインで連続生産されている製品や、屋外にある製品や建造物等を対象に測色する際には、温度変化のない状態で測定することが困難となり、誤差を含む測色値をそのまま使用するケースも少なくない。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、測色値の温度依存性について詳細に解明するため、着色物体の温度と測色値との関係を調査したところ、測定温度の変化に基づく測色値の変動には相関性があることを知り、更にこの温度に依存する測色値の変動現象を利用することにより任意の温度条件下で測色した値を特定温度の測色値に補正することができることを確認した。【0007】本発明は、前記の知見に基づいて開発されたもので、その目的とするところは任意の温度条件においても温度変化に基づく測定誤差を伴うことなく、常に高精度かつ簡便に測定操作を行うことができる管理工程として有効な測色値の補正方法を提供することにある。【0008】【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するための本発明による測色値の補正方法は、分光光度計を用いて着色試料の380〜700nmの範囲内における分光反射率の温度補正を行う測色値の補正方法であって、前記着色試料について、予め、少なくとも2点の異なる温度条件下で測定して得た複数の分光反射率の差値から、380〜700nmの範囲内において、一定の波長間隔おきに特定した波長毎且つ単位温度当たりの分光反射率の変化量を補正係数ΔRとして求めておき、前記着色試料について任意の温度で実測分光反射率を測定し、該実測分光反射率を前記補正係数ΔRで補正することにより、前記着色試料の目的温度における予測分光反射率を求めることを構成上の特徴とする。【0009】本発明において用いられる測色計は、分光光度計、色彩計および濃度計から選択される。また、本発明において補正係数となる変化量は、基準着色試料につき少なくとも2点の異なる温度条件下で測定された値の差で与えられる。基準着色試料は、特定の着色物体である必要はなく、例えば各種の染顔料で着色されたプラスチック材や塗料で着色塗装された金属材料などを用いることができる。具体的には、着色試料を任意の2点間の温度、例えば30℃と50℃における測色値を求め、これを所定温度あたりの変化量として補正係数とする。この際、変化量は1℃当たりの変化量の差とする。【0010】【発明の実施の形態】本発明に係る測色値の補正方法は、任意の温度において測色計により測定対象となる着色試料の測色値を測定し、得られた測色値をその変化量を用いて補正することによって行われる。測定値および補正値には、分光反射率、三刺激値のほか、各種表示系の値が用いられる。【0011】測色値の測定操作は、分光光度計、色彩計、濃度計等の機器に温度サンサーを内蔵しておき、該センサーにより測定温度を感知するように設計することができ、コンピューターのキーボードにより温度を指定して実行することも可能である。また、任意の温度で測定した被測定試料の測色値を特定温度に換算したデータとしてデーターベース化しておくと工程管理に一層便宜となる。【0012】本発明により測色可能な対象は、染顔料を配合した塗料やインキ、これらにより着色されたプラスチック、繊維、紙等の製品はもとより、自然界に存在する着色物体にも適用することができる。【0013】本発明は、測色値と温度間に存在する相関性を利用し、任意の温度で測定した測色値を特定温度の測色値に補正する方法を採ることにより、工業的な管理手法として好適な色の測定方法として確立したものである。すなわち、本発明によれば、予め少なくとも2点間の異なる温度条件で測定した着色試料の測定値差(変化量)を単位温度当たりの補正係数として求めておき、任意の温度で測定した被測定試料の測色値を前記補正係数を用いて目的温度での値に換算することにより、温度変化による測定誤差の影響を効果的に除去することが可能となる。【0014】したがって、簡易な操作で常に正確な測色値の測定をおこなうことができ、また任意の温度にシミュレーションすることもできるから、日常的な測色値の測定管理工程として極めて有効である。【0015】【実施例】以下、本発明を比較例と対比して詳細に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。【0016】実施例1日本塗料工業会発行(昭和64年度P版)の塗料用標準見本帳(ワイド版)の色番P29−110を基準着色試料とし、分光光度計〔大日精化工業(株)製、カラコムC型〕を用い、380nmから700nmまで波長域において10nm毎の波長単位で、試料温度10℃と40℃の分光反射率を測定した。この各測定値を基に温度差30℃の分光反射率の差値から1℃当たりの変化量(ΔR)を波長毎に計算し、表1に示す結果を得た。【0017】【表1】【0018】次に、被測定対象となる着色試料につき10℃、20℃および30℃の各試料温度の条件下で同一の分光光度計により分光反射率を測定し、表1に示した変化量(ΔR)を補正係数として20℃温度時における予測反射率値を求め、該予測反射率値からマンセル値を算出した。その結果を表2に示した。なお、得られた20℃のマンセル値を基準とした場合の10℃および30℃のマンセル値との色差(ΔE)を表2に併載した。【0019】【表2】【0020】この結果から、温度変化によるマンセル値は補正によって極めて僅少なバラツキ範囲に抑制されており、高精度の測定値として得られることが認められる。【0021】実施例2〜5日本塗料工業会発行(昭和64年度P版)の塗料用標準見本帳(ワイド版)から4色を選んで基準着色試料とし、実施例1と同様にして測定した着色試料の分光反射率を補正換算してマンセル値を算出した。得られた結果を表3に示した。表3の結果から、色相の相違に関係なく温度変化による色差(ΔE)の誤差が極めて少ないことが判明する。【0022】【表3】【0023】比較例1〜4日本塗料工業会発行(昭和64年度P版)の塗料用標準見本帳(ワイド版)から4色を選び、これらを基準着色試料として10℃、20℃、30℃の各試料温度で分光反射率を測定し、該実測値から直接マンセル値を計算した結果と色差(ΔE)を表4に示した。表4の結果から、対応する実施例(表3参照)に比べて色差(ΔE)が大幅にばらついていることが認められた。【0024】【表4】【0025】実施例6実施例1と同一色相の顔料をポリエチレン樹脂に配合して着色プラスチック成形板を作製し、実施例1と同様に測色値の測定を行った。得られた結果を表5に示した。【0026】【表5】【0027】表5の結果から、プラスチックに染顔料で着色した成形板においても実施例1の塗装板と同様に、工業的に十分満足できる精度が得られ、着色された物質に関係なく本発明が有効に適用し得ることが判明する。【0028】実施例7〜12、比較例5〜10着色した厚さ1mmのポリ塩化ビニル板(PVC:100, 安定剤:3, 滑剤:1) を試料とし、25℃、40℃および50℃の温度条件下で分光反射率を測定した。得られた25℃時の実測反射率からL* a* b* 値を算出した。次に、1℃当たりの変化量を40℃、50℃から算出し、それぞれの実測反射率から25℃の予測反射率を求め、L* a* b* 値を計算した。表6はその結果を示したもので、各例の上段は25℃時の実測反射率から求めたL* a* b* 値、下段は補正換算されたL* a* b* 値と上段を基準とした色差(ΔE* ) である。【0029】比較のために、25℃、40℃および50℃で実測した分光反射率から計算したL* a* b* 値と25℃を基準としたときの40℃、50℃の色差(ΔE* ) を表7に示した。表6と表7の結果を対比した明らかなとおり、実施例の補正された色差(ΔE* ) は比較例による未補正のそれに比べて約1/3〜1/15に縮小されることが認められる。【0030】【表6】【0031】【表7】【0032】【発明の効果】以上のとおり、本発明に従えば簡単な測色値の補正操作により温度の影響を受け易い色測定値のバラツキを僅少な範囲に抑制することができるから、常に測定誤差のない高精度の比較が可能となる。そのうえ、測定時に温度管理を厳密に制御しなくても、特定温度における測定値の絶対値化が容易になり、また従来から行われている標準の保管管理や再測定も必要なくなるから日常的な工程管理手法として極めて有用である。 分光光度計を用いて着色試料の380〜700nmの範囲内における分光反射率の温度補正を行う測色値の補正方法であって、前記着色試料について、予め、少なくとも2点の異なる温度条件下で測定して得た複数の分光反射率の差値から、380〜700nmの範囲内において、一定の波長間隔おきに特定した波長毎且つ単位温度当たりの分光反射率の変化量を補正係数ΔRとして求めておき、前記着色試料について任意の温度で実測分光反射率を測定し、該実測分光反射率を前記補正係数ΔRで補正することにより、前記着色試料の目的温度における予測分光反射率を求めることを特徴とする測色値の補正方法。