生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_核酸吸着剤
出願番号:1995315463
年次:2005
IPC分類:7,C07H1/06,B01J20/26,C07H21/00,C08F220/34,C08F220/54,C08F226/06,C12N15/09,C12Q1/68


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服部 雅幸 范 可君 牧野 健哉 JP 3689896 特許公報(B2) 20050624 1995315463 19951204 核酸吸着剤 JSR株式会社 000004178 大島 正孝 100080609 服部 雅幸 范 可君 牧野 健哉 20050831 7 C07H1/06 B01J20/26 C07H21/00 C08F220/34 C08F220/54 C08F226/06 C12N15/09 C12Q1/68 JP C07H1/06 B01J20/26 C07H21/00 C12N15/00 A C08F220/34 C08F220/54 C08F226/06 C12Q1/68 A 7 C07H 1/06 B01J 20/26 C07H 21/00 C08F220/00-220/70 C08F226/00-226/12 C12N 15/00- 15/90 C12Q 1/68 CA(STN) REGISTRY(STN) 米国特許第3681079(US,A) 特開平04−007385(JP,A) 特開平05−170655(JP,A) 特開平06−254394(JP,A) 特開平05−009229(JP,A) 1 1997157282 19970617 8 20011113 田中 晴絵 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、pH応答性の核酸吸着剤に関する。さらに詳しくは、酵素の精製工程における核酸の除去や核酸の抽出などに使用することができる核酸を吸着分離可能なpH応答性核酸吸着剤に関する。【0002】【従来の技術】近年、酵素反応が洗浄剤、繊維、食品、種々の産業分野および診断薬のような医療分野にて利用されるようになっており、酵素を低コストで高活性を維持したまま回収する精製方法の開発が望まれている。目的とする酵素の回収・精製は、まず酵素を生産させた細菌を破壊して無細胞化した後、酵素タンパクとしての変性を防ぐため、温度、pH、イオン強度、基質や補助因子の共存などに留意しつつ、また微生物の汚染も避けながら実施する必要がある。酵素の精製は、存在する他の物質から酵素タンパクを分離する一連の分画法であるが、一般には除核酸、安定性による分画、溶解度による分画、分別吸着、カラムクロマトグラフィーによる分画、電気泳動による分画、密度勾配超遠心法による分画、二相分離法などによる分画法がある。【0003】酵素の精製においては、通常核酸が酵素と親和性を有し、複合体を形成しやすいため除核酸の工程が不可欠である。この除核酸を効率的に行なうことは、さらに他の精製方法を行う場合においても非常に重要である。従来、除核酸の方法としては、主に塩基性水溶性ポリマーなどからなる核酸吸着剤に核酸を吸着させる方法が使用されてきた。【0004】この塩基性水溶性ポリマーとしては、具体的にはポリエチレンイミンやポリアミノアルキルメタクリレート類、アミノアクリルメタクリレートとアクリルアミドの共重合体、ポリビニルイミダゾリンのようなカチオン性ポリマーが知られているが、核酸の吸着後の状態がハイドロゲルのような状態であるため酵素と核酸の分離が困難であり、遠心分離を十分おこなっても酵素の回収率は低かった。また、核酸吸着剤の分子量が高いため、酵素が核酸吸着剤のハイドロゲル状ポリマーに物理的に沈澱物として取り込まれる割合が高いことも収率の低い原因となっている。【0005】さらに除核酸の方法としては、硫酸プロタミンまたは硫酸ストレプトマイシンなどの除核酸剤と核酸を結合させた後、沈澱させて分離する結合沈澱法が知られているが、いずれも沈澱が不十分なため、多量の除核酸剤を必要とし、コストが高くなるという問題があった。その他、除核酸の方法として、水性2相分配法、硫酸アンモニウム分画、pH処理、熱処理などにより粗分画抽出液にすることもできるが、いずれも精製度合いの低いものしか得ることができず、さらに各種クロマトグラフィー処理工程が必須で、各工程での酵素濃縮、脱塩なども必要となり、最終的にコストが高くなる問題があった。【0006】一方、近年生体試料から核酸の抽出操作が工業的に広くに行われている。例えば遺伝子工学やDNAプローブの作製においては、目的とするタンパク質を生産する細胞からmRNAやDNAを抽出する操作が、またDNAプローブを用いて例えばウィルスDNA(RNA)を検出する臨床診断においては、生体試料から検出されるべきDNA(RNA)を抽出する操作が行われる。従来、核酸の抽出は、苛性試薬添加後、フェノールなどで抽出操作を数回繰り返し、実施後エタノール沈澱を行なう方法が知られているが、危険な溶剤を使用し、また操作も繁雑で時間がかかり、また、得られる核酸の収率も低いという問題があった。【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の技術的課題を背景になされたもので、酵素活性を維持しつつ、効率的に核酸を選択的に吸着でき、危険な溶剤を使用することなく、しかも簡便なプロセスで目的とする核酸を抽出することができる吸着剤を提供することを目的とするものである。【0008】【課題を解決するための手段】 前記の目的は、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、4−ビニルピリジンおよび2−ビニルピリジンからなる群より選ばれる少なくとも一種の窒素含有塩基性ビニルモノマーを20〜95重量%および20℃における水に対する溶解度が10重量%以下である疎水性ビニルモノマーを5〜80重量%含有するモノマーを重合して得られた共重合ポリマーよりなることを特徴とする核酸吸着剤によって達成される。 本発明の核酸吸着剤は、酵素を吸着せず、核酸のリン酸基部分を選択的に吸着し、且つpHの変化により溶解状態から不溶化し析出するという特性を有している。この析出する状態としては、凝集融着状態であり、核酸が大きな塊状となるため酵素と核酸の分離操作も容易であり、しかも分離効率も高い。 本発明における吸着とは、物理的結合および化学的結合の両方を含むものである。【0009】 以下、本発明の核酸吸着剤(以下、単に「吸着剤」と略すことがある)について詳細に説明する。 本発明において吸着剤を形成する共重合ポリマーの製造に使用することのできる、窒素含有塩基性ビニルモノマーは、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、4−ビニルピリジンおよび2−ビニルピリジンからなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマーである。これらは1種または2種以上で用いられる。【0010】窒素含有塩基性ビニルモノマーの使用量としては、全モノマーの20〜95重量%、好ましくは40〜80重量%である。窒素含有塩基性ビニルモノマーが20重量%より少ない場合は、いかなるpHにおいても共重合ポリマーを水に溶解することができず、また95重量%を越える場合は、pHを高くしても共重合ポリマーの水不溶化が不十分となるため遠心分離によって試料から分離することが困難となる。【0011】また本発明の吸着剤を形成する共重合ポリマーの製造に使用することのできる、20℃における水に対する溶解度が10重量%以下である疎水性ビニルモノマー(以下、単に「疎水性ビニルモノマー」と表す)としては、例えばスチレン、エチルビニルベンゼン、α−メチルスチレン、フルオロスチレンなど芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジエンフタレート、グリシジルアクリレートなどのアクリル酸エステル化合物;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジエンフタレート、グリシジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル化合物、ブタジエン、イソプレンなどの共役二重結合化合物や酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、4−メチル−1−ペンテン、その他のα−オレフィン化合物などが挙げられる。これらは1種または2種以上で使用される。疎水性ビニルモノマーの使用量としては、全モノマーの5〜80重量%、好ましくは10〜50重量%である。疎水性ビニルモノマーが5重量%より少ない場合は、pHを高くしても共重合ポリマーの水不溶化が不十分なため遠心分離によっても除核酸の効果が得られず、80重量%を越える場合は、いかなるpHの変化によっても共重合ポリマーを水に溶解させることができないため使用することが困難となる。【0012】また、吸着剤を形成する共重合ポリマーには、前記のモノマー以外に、他のモノマーを少量共重合することができる。その他のビニルモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸化合物;2−ヒドロキエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、スチレンスルホン酸ナトリウム、イソプレンスルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メチレンビスアミドなどのアミド化合物を共重合ポリマーのpHによる溶解・析出の特性に悪影響しない範囲で使用することもできる。上記の、その他のモノマーの使用量は、通常全モノマーの20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。【0013】本発明において共重合ポリマーを得るための重合方法は、好ましくはラジカル重合であり、その形式は溶液重合、乳化重合または懸濁重合いずれでも良いが、最も好ましい方法は溶液重合である。溶液重合において重合溶媒の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、トルエンなどが挙げられる。また、重合溶媒には、重合中にポリマーが析出しない範囲で水を組み合わせることもできる。【0014】重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤が使用でき、アゾイソブチロニトリルのようなアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物を使用することができる。重合後、硫酸や塩酸を滴下してpHを7以下にコントロールした後、減圧蒸留などの方法により脱溶剤することにより共重合ポリマー水溶液を得ることができる。【0015】本発明で使用する共重合ポリマーの分子量は、通常1000〜50万、好ましくは2000〜20万である。分子量が1000未満では沈澱しにくくなり、一方50万を超えると粘度が高くなりすぎる。【0016】本発明の吸着剤は、水系媒体中において水素イオン濃度(pH)の変化により水溶性と不溶性の可逆形態を有するpH応答性のあるポリマーである。本発明の吸着剤のpH応答性は、pH3以下では吸着剤の80重量%以上が水系媒体に溶解しており、pH9以上においては吸着剤の80重量%以上が水系媒体に不溶性となり沈澱するものである。変化するpHは、重合に使用した窒素含有塩基性ビニルモノマーの種類と量、疎水性ビニルモノマーの種類と量、その他のビニルモノマーの種類と量によりコントロールすることができる。その際、pHの調製は、それ自体公知の如何なる方法によっても実施できる。すなわち、酸性にするためには塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ほう酸などの無機酸、或いは酢酸、クエン酸、しゅう酸、乳酸などの有機酸を、一方アルカリ性にするためには水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、エタノールアミンなどのアミンなど用いることができる。pH調製において、高濃度の酸やアルカリを用いると局所的に酵素が失活する恐れがあるので、0.1〜2N程度の濃度で調製することが好ましい。pHの調整により形成された沈澱は、遠心分離操作により沈降させることができ上清と沈降ポリマーと分離することが可能である。pH応答性のない共重合ポリマーの場合は、核酸を吸着した後分離することができないため好ましくない。【0017】本発明の吸着剤を用いて、除核酸することにより酵素を精製するための試料、および核酸抽出するための試料としては、微生物や組織、細胞、血液などの生体組織が例示できる。これらの試料について、含有されるタンパク質や核酸が吸着剤と接触できない状態、すなわち、試料が細胞壁や細胞膜を有しているか塊状になっている場合などには、必要に応じて例えばホモジナイズ処理あるいは超音波処理を実施すると良い。【0018】本発明の吸着剤の使用量は目的に応じ異なるが、酵素の精製のように除核酸剤として用いる場合は、廃棄物をできるだけ少なくするという点で少ない量で処理できるように実験的に必要最低量を求めた後使用することが好ましい。また、DNA診断のような核酸精製用の場合は、核酸の分子の数の10倍以上の分子数の過剰量の核酸吸着剤を使用することが確実に回収できるという点で好ましい。遠心分離の条件としては、例えば直径20cmの回転ローターを使用した場合、回転数5000rpm以下、30分以内で、析出ポリマーと上清の分離できることが生産性および操作性の点で好ましい。【0019】【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1(1)500mlガラス製耐圧瓶中で、ジメチルアミノエチルアクリレート60gと、メチルメタクリレート40gを、メタノール150gに溶解し重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2gを加え70℃で12時間重合した。重合転化率は88%であった。2重量%硫酸水溶液400g添加した後、減圧蒸留によりメタノールおよび残留モノマーを除去して水溶液とした。調整水およびpH調整剤を添加することにより固形分濃度10重量%、pH6.3のポリマー水溶液[ポリマー(1)]とした。得られたポリマー(1)のpH応答性を1規定の水酸化ナトリウムを用いて測定したところpH7以下では透明で溶解し、pH8以上では不溶化により析出した。この変化は可逆的であった。(2)超音波破砕および遠心分離により得られたPseudmonas sp. F−126の無細胞抽出液(0.01Mリン酸カリウム緩衝液、pH6.2)にタンパク質10gあたり前記pH応答性ポリマー[ポリマー(1)]10重量%水溶液100gを攪拌しながら滴下しポリマーに核酸を吸着させた。30分後pH9の0.01Mほう酸ナトリウム緩衝液を200g添加してpH応答性ポリマーを析出させ、その後200メッシュの金網で核酸を吸着したポリマー凝集体を除去しさらに濾液の遠心分離により上清を得た。この操作で上清に得られたγ−アミノ酪酸トランスアミナーゼの比活性は変化せず、酵素活性の回収率は87%であった。【0020】比較例1実施例1(1)において、モノマーとしてジメチルアミノエチルアクリレート100gのみを使用した他は実施例1と同様な操作でポリマー(2)を得た。ポリマー(2)のpH応答性を測定したところ、pH7.5以下で透明で溶解しており、pH9では一部白濁する程度で、完全に析出させるためにはpH11の強塩基性にする必要があった。実施例1(2)と同様にして核酸吸着剤としての使用を検討したが、pH9においては析出が不十分なため、核酸と酵素を分離することは不十分であった。【0021】比較例2実施例1(1)において、モノマーとしてジメチルアミノエチルアクリレート15gおよびメチルメタクリレート85gを使用した他は、実施例1と同様な操作で共重合ポリマー(3)を得た。しかしpHを3以下に低くしても完全に水溶液化することができず核酸吸着剤として使用することはできなかった。【0022】実施例2(1)1Lオートクレーブ中で、4−ビニルピリジン180gとスチレン20gを酢酸エチル400gに溶解し重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド8gを加え80℃で7時間重合した。重合転化率は92%であった。2重量%硫酸水溶液800gを添加しロータリーエバポレーターで酢酸エチルおよび残留モノマーを除去した後調製水およびpH調整剤を添加することによりpH4、固形分濃度10重量%のポリマー水溶液(ポリマー(4))を得た。得られた共重合ポリマー(4)のpH応答性を測定したところpH4.2以下で完全に溶解し透明となり、pH5.5以上で完全に不溶化し塊状に析出した。(2)Pseudomonasu graveolens IFO 3460(2Kg)から超音波破砕により調製した無細胞抽出液(500mL)に前記ポリマー(4)の10重量%水溶液(pH4)を100g添加してポリマーに核酸を吸着した。その後水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6にしてポリマー(4)を析出させ遠心分離により糖、脂質などの夾雑物と同時にポリマーに核酸抽出液のが結合した状態の沈澱物として核酸を除去できた。この操作で上清に得られたアルギニンラセマーゼの比活性はほとんど変化なく、酵素活性の回収率は82%で良好であった。【0023】実施例3(1)500mlガラス製耐圧瓶中で、ジメチルアミノエチルアクリレート80gと、メチルメタクリレート20gを、メタノール150gに溶解し重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2gを加え70℃で24時間重合した。重合転化率は91%であった。2重量%硫酸水溶液500g添加した後減圧蒸留によりメタノールおよび残留モノマーを除去して水溶液とした。調整水を添加することにより固形分濃度10重量%、pH7.1の共重合ポリマー水溶液[ポリマー(5)]とした。得られた共重合ポリマー(5)のpH応答性を測定したところpH8以下では透明で溶解して、pH8.9以上では不溶化により析出した。この変化は可逆的であった。(2)ヒト白血球の癌細胞であるK562細胞を1重量%牛胎児血清を含むPRM1−1640培地で培養した。培養懸濁液1mLあたり50万の細胞となった時点で1mLの懸濁液をサンプリングチューブにとり、500rpmで5分間遠心分離し、沈澱に細胞を回収した。細胞に対し1mLのリン酸カリウム緩衝液pH7.2を添加した後、超音波処理により、無細胞化した後、3000rpmで30分間遠心分離を行い上清を得た。この上清にポリマー(5)の10重量%水溶液を100μL添加し30分間攪拌後pH9の緩衝液を10mL添加し、核酸を吸着した状態で沈澱させ、遠心分離により上清と分離した。沈澱にpH7.2の緩衝液1mlを添加することにより核酸溶液を得た。以上のように抽出された核酸について制限酵素を作用させた結果、制限酵素による反応は阻害されることはなかった。これは、核酸が十分精製された結果、ヒストンのような制限酵素阻害物質が除去されたことを示すものである。【0024】実施例4実施例3(2)で得たK562細胞溶解液を、それぞれ0.5mL、3本の2mL遠心チューブに取り、pH5の10mMリン酸緩衝液で2mLまで希釈した。この希釈液の中にエイズウイルスDNAを組み込んで培養したヒト白血球(NY10株)から取ったHIV−1DNAをチューブ1、2、3に、0分子、10分子、50分子をそれぞれ加えた。ボルテックス後、各チューブに実施例3で使用したポリマー(5)の固形分濃度10重量%ポリマー水溶液を2μL添加し、室温で5分間回転攪拌した(10rpm)。次いで、1N NaOHを15μL添加してポリマーを析出させた後、3000rpmで3分間遠心した。上澄みをアスピレーターで吸引して除去し、得られた沈澱をpH7の10mM Tris−HCl緩衝液でリンスした後、25μLのポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)反応溶液を加えて、PCR反応を行った。PCR反応液の組成は下記のとおりであった。プライマー SK145Aの配列は、【0025】5’CCCACAAGATTTAAACACCA 3’【0026】プライマー SK451Aの配列は、【0027】5’TGAAGGGTACTAGTAGTTCC 3’【0028】であって、これらのアプライドバイオシステム社製DNA合成器381A型を用いて、メーカーマニュアルに従って合成し、HPLCにより精製品を得た。なお、PCR反応はPERKIN ELMER CETUS社製のサーマルサイクラー モデルJP2000を用いて、次のプログラムで増幅反応を行った。94℃ 0.5分55℃ 1.0分72℃ 1.5分30サイクル72℃ 7分【0029】上記1回目のPCR法による増幅反応の生成物を5μL取り、同様なプログラムでNested PCR法の反応を行った。その時のPCR法の反応液の組成はプライマーSK145の代わりにSK145(タカラ製)、SK451Aの代わりにSK451を使用した以外は同様に行った。PCR法およびNested PCR法の反応増幅産物を2重量%のアガロースゲル(Agarose 1600、和光純薬製)を用いてTBE緩衝液(50mMホウ酸からなる緩衝液、pH8.2)中でMupid型電気泳動装置で泳動し、エチジウムブロマイド染色後に紫外線(254nm)照射下で検出した。その結果を下記表1にまとめて示す。この結果より、本発明の吸着剤を用いることによりDNAのみ回収することができるため、PCR法に利用できることがわかった。【0030】【表1】【0031】【発明の効果】本発明の核酸吸着剤を使用すると、酵素反応液のpHを変化させるという簡単な操作で核酸を容易に回収できるので、酵素の精製が容易に可能となり、目的とする酵素を効率良く回収できるとともに、酵素の活性が高いため酵素精製方法が著しく簡略化される効果がある。また本発明の核酸吸着剤の使用により、核酸を抽出するにあたり危険な溶剤を使用することなく、簡便なプロセスで短時間に目的とする核酸を抽出できる効果がある。 N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、4−ビニルピリジンおよび2−ビニルピリジンからなる群より選ばれる少なくとも一種の窒素含有塩基性ビニルモノマーを20〜95重量%および20℃における水に対する溶解度が10重量%以下である疎水性ビニルモノマーを5〜80重量%含有するモノマーを重合して得られた共重合ポリマーよりなることを特徴とする核酸吸着剤。


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