タイトル: | 特許公報(B2)_パール光沢組成物の製造方法 |
出願番号: | 1995299012 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C11D1/94,A61K7/00,A61K7/50,B01F17/00,B01F17/28,B01J13/00 |
中松 弘 宮武 良和 JP 3555909 特許公報(B2) 20040521 1995299012 19951024 パール光沢組成物の製造方法 花王株式会社 000000918 細田 芳徳 100095832 中松 弘 宮武 良和 JP 1994303089 19941111 20040818 7 C11D1/94 A61K7/00 A61K7/50 B01F17/00 B01F17/28 B01J13/00 C11D1/94 C11D1:68 C11D1:52 JP C11D1/94 A61K7/00 C A61K7/00 V A61K7/50 B01F17/00 B01F17/28 B01J13/00 A C11D1/94 C11D1:68 C11D1:52 7 C11D 1/94 C11D 1/68 C11D 1/52 A61K 7/00 A61K 7/50 B01F 17/00 B01F 17/28 B01J 13/00 特開昭61−012797(JP,A) 特開平06−182173(JP,A) 3 1996231985 19960910 14 20010827 近藤 政克 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、パール光沢組成物の製造方法に関する。さらに詳しくは、高濃度でありながら低粘度で分散性がよく、結晶の粒径および粒度分布が小さいパール光沢組成物の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】従来より、パールのような光沢を示すパール光沢組成物に関しては、次のような多くの技術が存在する。例えば、特公昭47−804号公報に、液状又はペースト状製品を混濁するためのパール光沢形成剤が開示されており、その組成は脂肪酸グリコールエステルと脂肪酸モノアルキロールアミドを含有するものである。しかしながら、この組成であるとパール光沢形成剤の粘度が高くなり、結晶粒径がばらつき、結晶形も不均一なものとなり、光沢品質が悪く、分散性が悪くなる。そのためあらかじめ、多量の水等で希釈することが必要となり、高濃度の光沢形成剤が得られない。そして、低濃度のものでは、利用範囲が制限されるという問題が生じる。【0003】また、特開昭56−71021号公報には、真珠様光沢剤の製造法が開示されており、上記の不具合を解消して高濃度の光沢剤を得るために、脂肪酸グリコールエステルと脂肪酸ジアルキロールアミドとを加熱熔融した後、冷却しながら脂肪酸グリコールエステルの融点以下の温度で水を添加する方法の記載がある。しかし、当該方法では、融点以上では水が添加されておらず実質的に無水状態であり、これを冷却した後に水に添加するため、結晶粒径がばらつき、結晶形も不均一なものとなり、光沢品質の悪いものとなる。【0004】更に、特開昭57−156409号公報や特開昭57−156410号公報には、高濃度パール剤分散液の製造方法が開示されているが、パール化剤に対する脂肪酸ジエタノールアミドの添加量が多くなるため、高濃度にする程脂肪酸ジエタノールアミドの量が多くなり、利用範囲が制限される。また、この組成では結晶粒径がばらつき、結晶形も不均一なものとなる。【0005】特開昭57−165308号公報にはパール光沢剤分散液の製造方法が開示されているが、この方法のように界面活性剤水溶液中にパール光沢剤を高濃度で可溶化させた場合、常温において高粘度(流動性が低い)となるため、適当な溶媒で予め希釈して使用する必要がある。そのため、希釈により、実用上の濃度が低くなる欠点がある。【0006】また、特開平4−45843号公報には、高濃度真珠様光沢剤分散液の製造方法が開示されており、結晶核として低濃度の脂肪酸グリコールエステル分散液を使用して、それを結晶成長させて、高濃度で均一な粒子を得る方法の記載がある。しかし、低濃度の脂肪酸グリコールエステル分散液を調製する工程や、これを添加、混合する工程が必要であり、また、結晶成長のための熟成時間を必要とし、操作が煩雑で生産性が低下するという問題もある。【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記課題を解決すべく、高濃度でありながら低粘度であり、分散性がよく、結晶の粒子径及び粒度分布が小さく、製品安定性にも優れるパール光沢組成物の製造方法を提供することにある。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、パール光沢組成物の調製に際して、特に水の配合方法を工夫したところ高濃度でありながら意外にも極めて低粘度の組成物を調製できることを見い出し、本発明を完成するに至った。【0009】即ち、本発明の要旨は、(i)(A)脂肪酸グリコールエステル、(B)脂肪酸モノアルキロールアミド及び/又は脂肪酸ジアルキロールアミド、(C)両性界面活性剤及び(D)水を、(A)脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度で混合して乳化する工程、(ii):工程(i)で得られる乳化物を晶析温度以下に冷却する工程、及び(iii):工程(ii)で得られる冷却された乳化物に(D)水をさらに混合して所望の粘度を有する組成物を調製する工程からなり、前記工程(i)における水と前記工程(iii) における水の配分を重量比で90:10〜60:40となるように調整することを特徴とするパール光沢組成物の製造方法に関する。【0011】【発明の実施の形態】まず、本発明のパール光沢組成物について説明するが、かかる組成物には、(B)成分として脂肪酸モノアルキロールアミドを含有する第1の態様と、(B)成分として脂肪酸ジアルキロールアミドを含有する第2の態様が存在する。【0012】即ち、本発明のパール光沢組成物の第1の態様は、下記(A)〜(D)の成分を含有することを特徴とするパール光沢組成物である。(A)脂肪酸グリコールエステル(B)脂肪酸モノアルキロールアミド(C)両性界面活性剤(D)水但し(A)成分の含有量は組成物中20〜60重量%であり、重量比(A)成分:(B)成分:(C)成分=100:(1〜10):(1〜30)である。【0013】(A)成分としては、次の一般式(I)YO−(−CH2 CH2 O−)m −COR1 (I)(式中、R1 は炭素数13〜21の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Yは水素原子又は−COR1 を示し、mは1〜3の数で平均付加モル数を意味する)で表される脂肪酸グリコールエステルが挙げられる。【0014】一般式(I)におけるR1 は、高温での安定性の面から融点が50℃以上の結晶性の脂肪酸グリコールエステルを形成する基であれば特に制限されるものではなく、炭素数13〜21のアルキル基、アルケニル基等が挙げられる。例えば、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、ヘンイコシル基等が挙げられる。また、一般式(I)で表される脂肪酸グリコールエステルとしては、モノカルボン酸エステルとジカルボン酸エステルのいずれでもよい。【0015】上記の脂肪酸グリコールエステルの具体例を示すと、モノステアリン酸エチレングリコール、モノパルミチン酸エチレングリコール、モノイソステアリン酸エチレングリコール;ジステアリン酸エチレングリコール、ジベヘン酸エチレングリコール等のモノエチレングリコール体;これらのジエチレングリコール体;並びにこれらのトリエチレングリコール体等が挙げられる。そのうち、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、ジベヘン酸エチレングリコールが好ましく、特にジステアリン酸エチレングリコールが好ましい。【0016】このような(A)成分の含有量は組成物中20〜60重量%であり、好ましくは20〜50重量%であり、さらに好ましくは35〜50重量%である。これらの範囲内であると、製造時の冷却速度を速くでき、配合工程途中でも混合が容易であり、かつ高濃度の組成物となり工業的に利用範囲が広くなるからである。【0017】(B)成分としては、次の一般式(II)R2 CO−NH−R3 OH (II)(式中、R2 は炭素数7〜17の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R3 はエチレン基又はプロピレン基を示す)で表される脂肪酸モノアルキロールアミドが挙げられる。【0018】一般式(II)におけるR2 は、特に制限されるものではなく、炭素数7〜17のアルキル基、アルケニル基等が挙げられる。例えば、ウンデシル基、トリデシル基、ヘプタデシル基等が挙げられる。【0019】また、R3 の具体例としては、エチレン基、n−プロピレン基、又はイソプロピレン基が挙げられるが、好ましくはエチレン基又はイソプロピレン基である。【0020】上記の脂肪酸モノアルキロールアミドとしては、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノプロパノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ミリスチン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸モノプロパノールアミド、ミリスチン酸モノイソプロパノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸モノプロパノールアミド、パルミチン酸モノイソプロパノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノプロパノールアミド、ステアリン酸モノイソプロパノールアミド、オレイン酸モノエタノールアミド、オレイン酸モノプロパノールアミド、オレイン酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ科植物油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ科植物油脂肪酸モノプロパノールアミド、ヤシ科植物油脂肪酸モノイソプロパノールアミド、又はこれらの混合物等が挙げられる。これらのうちラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミドが好ましい。【0021】(C)成分の両性界面活性剤としては、界面活性剤骨格中の主となる炭化水素鎖がC8 〜C20の直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和のものが好ましい。その他に炭化水素鎖がある場合、その炭素数は1〜3が好ましい。これにより、組成物の粘度を低くすることができ、また(C)成分の配合量を減らすことができる。(C)成分の両性界面活性剤の具体例としては、例えばアルキルジメチルカルボキシメチルアンモニウムベタイン、アルキルカルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、N−(N’−アシルアミノアルキル)−N−ヒドロキシルアルキルアミノカルボン酸塩、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられ、好ましくは2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。(C)成分としては、上記界面活性剤を単独で用いても良く、2種以上の混合物で用いても良い。【0022】本発明の第1の態様における重量比(A)成分:(B)成分:(C)成分は、100:(1〜10):(1〜30)であり、好ましくは100:(2〜10):(5〜25)である。これらの範囲内であると、配合工程途中でも混合が容易で、出来上がりがきれい(平均粒子径が2〜20μm、好ましくは2〜10μm、Cv値が0.8以下、であるものは外観が良好)となる。【0023】(D)成分の水としては、例えばイオン交換水等が挙げられる。(D)成分の配合量は、後述の工程(i)および(iii)を併せて組成物中30〜75重量%となるように適宜調整される。【0024】本発明の第1の態様の組成物は、前記の組成からなり、平均粒子径が2〜20μm、好ましくは2〜10μmであり、Cv値が0.8以下であり、かつ粘度が50〜3000cp、好ましくは50〜1000cpという低粘度のものが好適である。【0025】次に、本発明の第2の態様について説明する。本発明のパール光沢組成物の第2の態様は、下記(A)〜(D)の成分を含有することを特徴とするパール光沢組成物である。(A)脂肪酸グリコールエステル(B)脂肪酸ジアルキロールアミド(C)両性界面活性剤(D)水但し、(A)成分の含有量は組成物中40〜60重量%であり、重量比(A)成分:(B)成分:(C)成分=100:(5〜50):(5〜30)である。【0026】前述のように、(B)成分が脂肪酸ジアルキロールアミドである点と、(A)成分の含有量、各成分の重量比のみが、第1の態様と相違する。以下、その相違点について説明する。【0027】(B)成分としては、次の一般式(III)【0028】【化1】【0029】(式中、R2 は炭素数7〜17の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R3 とR3 ’はエチレン基又はプロピレン基を示す)で表される脂肪酸ジアルキロールアミドが挙げられる。【0030】一般式(III)におけるR2 は、特に制限されるものではなく、炭素数7〜17のアルキル基、アルケニル基等が挙げられる。例えば、ウンデシル基、トリデシル基等が挙げられる。【0031】また、R3 とR3 ’の具体例としては、エチレン基、n−プロピレン基、又はイソプロピレン基が挙げられるが、好ましくはエチレン基又はイソプロピレン基である。なお、R3 とR3 ’は同一でも相異なってもよい。【0032】上記の脂肪酸ジアルキロールアミドとしては、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジイソプロパノールアミド、ヤシ科植物油脂肪酸ジイソプロパノールアミド、ミリスチン酸ジイソプロパノールアミド等が挙げられるが、好ましくは、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジイソプロパノールアミドである。【0033】また、(A)成分の含有量は組成物中40〜60重量%であり、好ましくは40〜50重量%である。これらの範囲内であると配合工程途中でも混合が容易であるからである。重量比(A)成分:(B)成分:(C)成分は100:(5〜50):(5〜30)であり、好ましくは100:(5〜30):(15〜25)である。これらの範囲内であると、配合工程途中でも混合が容易で、出来上がりがきれい(平均粒子径が2〜20μm、好ましくは2〜10μm、Cv値が0.8以下、であるものは外観が良好)となる。【0034】(D)成分の水としては、例えばイオン交換水等が挙げられる。(D)成分の配合量は、後述の工程(i)および(iii)を併せて組成物中40〜55重量%となるように適宜調整される。【0035】本発明の第2の態様の組成物は、前記の組成からなり、平均粒子径が2〜20μm、好ましくは2〜10μmであり、Cv値が0.8以下であり、かつ粘度が1000〜10000cp、好ましくは1000〜7000cpという低粘度のものが好適である。【0036】本発明においては、第1の態様、第2の態様のいずれにおいても以上の(A)〜(D)の成分の他、以下の(E)〜(F)の成分をさらに含有してもよい。【0037】(E)成分である減粘剤としては、例えば塩化カリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、ポリエチレングリコール、メタクリル酸エステル重合体、リンゴ酸ナトリウム、チオン酸ナトリウム、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。また、その他にもトリオクタン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、2−エチルヘキサン酸トリグリセライドのような多価アルコール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチルのような脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、エタノール等の低級アルコール、グリコール酸ナトリウム、グリコール酸カリウム等のグリコール酸塩などが挙げられる。これらのうち好ましくはプロピレングリコール、エタノール、2−エチルヘキサン酸トリグリセライドである。【0038】これらの減粘剤の含有量は、組成物中0〜15重量%であり、好ましくは0〜5重量%である。これらの範囲内であると、粒子径、粒子形、及びCv値に影響はなく、また、最終製品への利用範囲を損なわず、系を減粘させることができる傾向がある。【0039】(F)成分である結晶化剤としては、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、クエン酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウムなどが例示され、好ましくは塩化ナトリウム、塩化カリウムである。これらの結晶化剤の含有量は、組成物中0〜10重量%であり、好ましくは0〜5重量%である。これらの範囲内であると、よりCv値を小さくできる傾向がある。【0040】本発明のパール光沢組成物は、結晶の形状が針状のものである。本明細書において「針状」とは、個々の結晶の最大径を最小径で除した値の平均値が3を越えるものをいう。かかる針状の結晶からなるパール光沢組成物は、あざやかな光沢を有し、シャンプー、リンス、ボディーシャンプー、液体洗浄剤等に好適に用いられる。【0041】以上の本発明のパール光沢組成物は、例えば以下に説明する本発明の製造方法を用いて好適に製造することができる。即ち、本発明の製造方法は、下記(A)〜(D)の成分を含有するパール光沢組成物を、(A)脂肪酸グリコールエステル(B)脂肪酸モノアルキロールアミド及び/又は脂肪酸ジアルキロールアミド(C)両性界面活性剤(D)水下記の工程(i)〜(iii) により製造することを特徴とするものである。(i):(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を、(A)成分の融点以上の温度下で、混合して乳化する工程、(ii):工程(i)で得られる乳化物を晶析温度以下に冷却する工程、(iii):工程(ii)で得られる冷却された乳化物に(D)成分をさらに混合して所望の粘度を有する組成物を調製する工程。【0042】工程(i)は(A)〜(D)の各成分を、(A)成分の融点以上の温度下で、混合して乳化するものである。ここで(A)成分の融点は、用いられる成分によって異なるが、例えば50〜70℃程度である。また、融点以上の温度とは、特に限定されるものではないが、通常融点よりも5〜30℃、好ましくは5〜25℃高い温度をいう。なお、混合による乳化は、攪拌機等を用いて常法により行われる。混合して乳化物を調製する際の各成分の配合比率は、第1の態様の組成物を製造するには、重量比で(A)成分:(B)成分:(C)成分=100:(1〜10):(1〜30)であって、(A)成分が組成物中20〜60重量%となるように配合される。(D)成分の水は工程(iii) での配合分を併せて組成物中30〜75重量%(工程(i)と工程(iii) での水の配分は、重量比で工程(i):工程(iii) =90:10〜60:40)となるように配合される。第2の態様の組成物を製造するには、重量比で(A)成分:(B)成分:(C)成分=100:(5〜50):(5〜30)であって、(A)成分が組成物中40〜60重量%となるように配合される。(D)成分の水は工程(iii) での配合分を併せて組成物中40〜55重量%となるように配合される。また、いずれの態様においても前記のような減粘剤((E)成分))、結晶化剤((F)成分)を工程(i)で配合することができるが、その場合の配合量は、組成物中、それぞれ0〜15重量%、0〜10重量%となるように配合される。【0043】工程(ii)は、工程(i)で得られる乳化物を晶析温度以下に冷却するものである。この晶析温度も、用いられる各種成分によって異なるが、例えば30〜60℃程度であり、それより10〜30℃低い温度まで冷却するのが好ましい。【0044】工程(iii)は、工程(ii)で得られた冷却された乳化物に(D)成分をさらに混合して所望の粘度を有する組成物を調製するものである。ここで、所望の粘度とは、前記の第1の態様の組成物では、通常50〜3000cpであり、好ましくは50〜1000cpである。また、第2の態様の組成物では通常1000〜10000cpであり、好ましくは1000〜7000cpである。これらの範囲内であると、分散性が著しく良好となる。【0045】本発明においては、このように(D)成分の水を工程(i)および工程(iii)に分割して使用することに特徴がある。即ち、(D)成分の使用量が同等であっても、工程(i)で全部添加するよりも、分割して、工程(iii)でさらに配合することにより、得られる組成物の粘度は大幅に低下し低粘度のパール光沢組成物を好適に製造することができる。工程(i)と工程(iii)における水の配分は、特に限定されるものではないが、前記のように重量比で工程(i):工程(iii)=90:10〜60:40とするのが好ましい。【0046】本発明のパール光沢組成物は、前記のように水の配合を分割することにより極めて低粘度な組成物を調製することができるが、このような方法によらず、前記の工程において工程(i)でのみ水を配合する方法を用いても前記のような組成からなる本発明のパール光沢組成物を調製することができる(水を一度に用いるという点から従来法という)。この場合、従来法で調製した組成物は、水の配合を分割して調製した場合と比較して粘度は高いものの、結晶の平均粒子径、粒度分布は小さいため利用分野によっては有用な新規な組成物である。従って、本発明のパール光沢組成物は、水の配分を分割する方法で調製した低粘度の組成物に限定されるものではなく、従来法で調製した同様の組成からなる組成物をも包含するものである。即ち、本発明のパール光沢組成物は、いずれの調製法で得たものでも平均粒子径は2〜20μmであり、Cv値は0.8以下であり、外観は良好である。【0047】【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。なお、実施例の結果は、次の評価方法により測定等されたものである。【0048】(1)外観100mL容の透明ガラス容器に試料を入れ、肉眼にてパール光沢の外観を観察した。尚、試料に気泡の混入しているものは遠心分離器に掛け、脱泡を行った。○=パール光沢が均一である×=濁り、エマルション様、又はパール光沢が不均一である【0049】(2)粘度(1)の試験に用いた試料を30℃の恒温槽に入れ、試料の温度を30℃に保ち、B型粘度計(東京計器株式会社製)で粘度(cp)を測定した。【0050】(3)安定性1.高温安定性透明ガラス容器に試料を入れ、密閉し、高温(50℃)の恒温槽中に1ヶ月保存した後、試料の分離の有無、パール光沢剤の凝集の有無を肉眼観察した。○=分離、パール光沢剤の凝集、パール光沢の消失等、異常を認めない×=分離、パール光沢剤の凝集、パール光沢の消失のいずれかの異常を認める2.低温安定性透明ガラス容器に試料を入れ、密閉し、低温(−5℃)の恒温槽中に1ヶ月保存した後、試料の分離、固結の有無を肉眼観察した。○=分離、固結等なく流動性のあるもの×=分離、固結等、異常のあるもの【0051】後述の評価結果は、高温安定性および低温安定性のいずれにおいても○のものは○との評価をし、いずれかにおいて×の評価のあるもの、両方とも×の評価のあるものは×との評価をした。【0052】(4)分散性パール光沢剤濃度が2重量%となるように、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンの25重量%水溶液に試料を加え、混合した。この時の分散性を観察した。◎:非常に優れる○:優れる△:やや劣る×:劣る【0053】(5)平均粒子径本明細書における平均粒子径は体積平均径であり、試料10mLを水で100mLに希釈した後、堀場製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置LA−700を用いて測定した。(6)Cv値Cv=σ/DpDp:体積基準平均粒径(μm)σ :粒径の体積分布の標準偏差(μm)で表され、粒径分布の尺度となり、小さい程粒径分布が狭いことを示す。【0054】(7)個々の結晶の最大径を最小径で除した値の平均値個々の結晶の最大径を最小径で除した値を求め、その平均値を算出した。具体的には、パール光沢組成物分散液を希釈した後、光学顕微鏡により撮影して測定した。平均値は、30の結晶についての測定値から算出した。【0055】実施例1(A)〜(D)成分が表1〜表2の組成(重量%)になるように調製した。ここで、表中の本法とは、80℃(ジステアリン酸エチレングリコールの融点:63℃)で、攪拌機を用いて(A)〜(D)成分を混合(水は工程(i)の欄に記載の量を使用)し、混合液を乳化させた。次いで得られた乳化物を30℃まで冷却水を用いて冷却し、その冷却された乳化物に表1〜表2の工程(iii)の欄に記載の量だけ(D)成分の水をさらに混合した。なお従来法については、(D)成分を工程(i)で全て使用し工程(iii)では使用しなかった以外は、本法と同じ手順で行った。得られたパール光沢組成物(1)〜(12)の評価結果を併せて表1〜表2に示す。また、組成物(4)の結晶構造を示す写真を図1に示す。【0056】【表1】【0057】【表2】【0058】実施例2(A)〜(D)成分を表3の組成(重量%)になるように調製した。表中の本法と従来法の手順は実施例1と同様である。得られたパール光沢組成物(13)〜(16)の評価結果を併せて表3に示す。【0059】【表3】【0060】以上の結果が示すように、本発明の組成で得られるパール光沢組成物は、結晶の平均粒子径、粒度分布が小さくなり、さらに本発明の製造方法で得られるパール光沢組成物は、高濃度でありながら低粘度であり、分散性が良好で、結晶の平均粒子径、粒度分布が小さい。また図1から本発明の組成物における結晶は針状であることが分かる。【0061】【発明の効果】本発明のパール光沢組成物は、含有される結晶の粒子径が均一なため光沢が美しく、またその粒子径が小さいため、製品中で又はパール光沢組成物自身の安定性が優れる。また、パール化剤に対する界面活性剤量が少ないため、ボディシャンプー、シャンプー等への添加に際し、ボディシャンプー組成の自由度が上がり、利用範囲を広げることができる。また、主活性剤として、アニオン、カチオン、ノニオン、両性活性剤、又はこれらの混合物とした液状の、又はペースト状のものへ添加してパール外観を付与することができる。本発明の製造方法によると、高濃度でありながら低粘度で分散性の良好な、パール光沢組成物を製造することができる。【図面の簡単な説明】【図1】図1は組成物(4)の結晶構造を示す写真である。 (i)(A)脂肪酸グリコールエステル、(B)脂肪酸モノアルキロールアミド及び/又は脂肪酸ジアルキロールアミド、(C)両性界面活性剤及び(D)水を、(A)脂肪酸グリコールエステルの融点以上の温度で混合して乳化する工程、(ii):工程(i)で得られる乳化物を晶析温度以下に冷却する工程、及び(iii):工程(ii)で得られる冷却された乳化物に(D)水をさらに混合して所望の粘度を有する組成物を調製する工程からなり、前記工程(i)における水と前記工程(iii) における水の配分を重量比で90:10〜60:40となるように調整することを特徴とするパール光沢組成物の製造方法。 さらに(E)減粘剤を工程(i)で配合する請求項1記載の組成物の製造方法。 さらに(F)結晶化剤を工程(i)で配合する請求項1記載の組成物の製造方法。