タイトル: | 特許公報(B2)_アゾ顔料に必要な高純度で3−ヒドロキシ−N− ベンズイミダゾロン−5− イル−2− ナフトアミドを製造する方法 |
出願番号: | 1995298568 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C09B 29/20,C07D 235/26 |
ミヒヤエル・マイエル ハインリッヒ・フオルク ルドルフ・ネブ JP 3954121 特許公報(B2) 20070511 1995298568 19951116 アゾ顔料に必要な高純度で3−ヒドロキシ−N− ベンズイミダゾロン−5− イル−2− ナフトアミドを製造する方法 クラリアント・プロドゥクテ・(ドイチュラント)・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 597109656 江崎 光史 100069556 三原 恒男 100092244 奥村 義道 100093919 ミヒヤエル・マイエル ハインリッヒ・フオルク ルドルフ・ネブ DE P 44 41 146:4 19941118 20070808 C09B 29/20 20060101AFI20070723BHJP C07D 235/26 20060101ALI20070723BHJP JPC09B29/20 ZC07D235/26 B C09B 29/20 C07D235/26 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開昭54−098762(JP,A) DD 265894 A1,1989年 3月15日 Kraska, Jan; Boruszczak, Zygmunt,Synthesis of amides of 3-hydroxy-2-naphthoic acid: derivatives of benzimidazolone and benzoxazolone,Dyes and Pigments ,1990年,12(1),S57-63 8 1996225749 19960903 6 20020725 關 政立 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、トルエン又はキシレン中の3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸を塩化チオニルと反応させ、次いで炭酸ナトリウムの存在下においてN-メチルピロリドン中の5-アミノベンズイミダゾロンと縮合させることによって、アゾ顔料に必要な高純度で3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドを製造する方法に関する。【0002】【従来の技術】3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドは、堅ろう度の優れたアゾ顔料を製造するための重要な中間体である。105 〜150 ℃でN-メチルピロリドン中の3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸と5-アミノベンズイミダゾロンとを三塩化リンと反応させることによって、3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドを84%の収率で、アゾ顔料に適した黄色変態として得ることができることが知られている(ドイツ特許第2758818 号参照)。また、キシレン中の大幅に過剰な3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸と5-アミノベンズイミダゾロンとを三塩化リンと反応させることによって、3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドを84%の収率で得ることができることも知られている(東ドイツ特許第265894号参照)。この方法の欠点は、過剰な3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸を再び回収しなければならない点にあり、このために経済的に不利である。両方の方法共、リン含有留出物が形成される。【0003】チェコスロバキア特許第178560号には、酢酸ナトリウムの存在下においてトルエン中の3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリドの溶液を30倍量の水中の5-アミノベンズイミダゾロンと反応させることによって、3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドが86%の収率で得られることが開示されている。【0004】この方法の欠点は、反応容量が大きい点にある。有機酸中での、その酸のナトリウム塩又はカリウム塩の存在下における化学量論的量の3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリドと5-アミノベンズイミダゾールとの反応は公知である(ポーランド特許第119895号参照)。この製造方法の改善点は、N,N'- ジメチルホルムアミド又はN-メチルピロリドンで有機酸を代用する点にある(ポーランド特許第144734号及びDyes and Pigments 12, 57-63 (1990)参照)。この製造方法によって、製造された3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドは、生成物が依然として多量の出発物質を含んでいるのでアゾ顔料としての要件を満たしていない(比較例1参照)。さらに、この方法の欠点は、生成物の分離の際の吸引時間が長い点にある(比較例1参照)。【0005】前記した方法のほとんどにおいて、3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドは、アゾ顔料に必要な高純度では形成されない。従って、堅ろう度の優れたアゾ顔料を製造するために、ドイツ特許第2758818 号に開示されているように、これらの生成物をアルカリ金属塩を経由して精製しなければならない。【0006】【発明が解決しようとする課題】従って、堅ろう度の優れたアゾ顔料を製造するために3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドを非常に高純度で製造する方法であって、科学的及び工業的に容易に実施できる方法に対する要望があった。【0007】【課題を解決する手段】この課題は、3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドの製造方法において、N-メチルピロリドン中の5-アミノベンズイミダゾロンと炭酸ナトリウムとを、キシレン又はトルエン中の3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリドの溶液と反応させ、濾過し、キシレン又はトルエンで洗浄し、炭酸ナトリウムを加えた水中に濾過ケーキを導入し、水蒸気蒸留し、残留物を吸引濾過し、洗浄し、乾燥することからなる上記方法により達成される。【0008】3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリドは、47〜50℃で、例えばN,N'- ジメチルホルムアミド、ピリジン又はトリエチルアミンのような触媒を添加して、3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸1 部当たり約5 容量部のキシレン又はトルエン中の1 モルの3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸を、1.05モルの塩化チオニルと反応させることによって、公知の方法で製造される。この方法で製造された溶液をさらに5-アミノベンズイミダゾロンと反応させる。【0009】一般的に3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドを製造するには、最初に5-アミノベンズイミダゾロンと炭酸ナトリウムをN-メチルピロリドン中に導入し、4 〜10時間でキシレン又はトルエン中の3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリドの溶液を計量添加する。次いで、この混合物を濾過し、濾過ケーキをキシレン又はトルエンで洗浄し、炭酸ナトリウムを添加した水中に導入し、この混合物を蒸留する。固体を再び吸引濾過し、好ましくは濾過ケーキを中性になるまで水で洗浄し、乾燥する。【0010】5-アミノベンズイミダゾロンは、3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸1 モル当たり0.9 〜1 モル、好ましくは0.95モルの量で使用される。炭酸ナトリウムは、3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸1 モル当たり0.8 〜1.8 モル、好ましくは1.0 〜1.3 モルの量で使用される。N-メチルピロリドンは、5-アミノベンズイミダゾロン1 部当たり3 〜6 、好ましくは4 〜5 容量部で使用される。【0011】キシレン又はトルエン中の3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリドの溶液と5-アミノベンズイミダゾロンとの反応は、15〜40℃、好ましくは20〜35℃で実施される。水蒸気蒸留は、5-アミノベンズイミダゾロン1 部当たり5 〜7 部の水と0.5 〜0.6 部の炭酸ナトリウムを用いて有利に実施される。【0012】水蒸気蒸留によって、驚くべきことに不純物を除去し、吸引濾過及び水洗浄後の残留物を非常に純粋な目的生成物とすることが可能である。3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリドの添加時間は、最終生成物の純度のために重要である。顔料に必要な純度で3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドを得るためには、添加時間は少なくとも2 時間、特に4 時間、殊に4 〜10時間である。添加時間を10時間より長くすることも可能であるが、純度に関しては有利な点はない。【0013】上記方法に従って、3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドを85%の収率で、そして堅ろう度の優れたアゾ顔料を製造するために必要である非常に高純度で製造することができる。従来の技術のようにさらに精製することは必要ない。【0014】【実施例】例1キシレン中の3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリド:最初に、内部温度計、ガス除去用チューブ及び攪拌機を取り付けた2Lの4口フラスコ中に、494.0g(2.63mol) の3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸と2470g=2872mLのキシレンを導入し、6.0gのN,N'- ジメチルホルムアミドを添加し、328.0g=201.1mL(2.76mol) の塩化チオニルを1時間かけて47〜50℃で計量添加し、次いでこの混合物をガスの発生が終わるまで3時間攪拌する。3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリドの透明なキシレン溶液3181.8g が得られる。3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミド:最初に、滴下漏斗、還流冷却器、内部温度計及び攪拌機を備えた10L の4口フラスコ中に1750mLのN-メチルピロリドンを導入する。291.5g(2.75mol) の炭酸ナトリウムをこれに添加する。次いで、372.5g(2.5mol)の5-アミノベンズイミダゾロンを約25℃で添加する。このようにして得られた懸濁液中に、3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリドのキシレン溶液3181.8g (494.0g(2.63mol) の3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸から製造)を攪拌しながら25〜28℃で6.5 時間かけて計量添加する。添加が終了した後にこの混合物を室温で30分間攪拌する。沈殿した生成物を吸引濾過(吸引時間:50分)し、全体で2150.0g=2500mLのキシレンを10部に分けて濾過ケーキを洗浄する。攪拌機、内部温度計及び受槽として1Lの1口フラスコを備えた蒸留ブリッジを取り付けた6Lの4口フラスコに最初に2500mLの水を導入する。次いで、濾過ケーキを導入する。次に200gの炭酸ナトリウムを加え、混合物を100 ℃に加熱する。キシレンと水を留去する。生成物を100 ℃で吸引濾過し、全体で6250mLの水を数回に分けて吸引濾過ケーキを中性になるまで洗浄する。1571.4g のナフタロン(naphthalone)が含水状で得られる。濾過ケーキを100 ℃/100mmHgで乾燥した後に、681.7g(2.135mol)の3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドが得られる:これは、5-アミノベンズイミダゾロンに基づいた理論値の85.4%の収率に相当する。【0015】こうして得られた生成物は、堅ろう度の優れたアゾ顔料を製造するのに適しており、HPLCによれば5-アミノベンズイミダゾロンの含有量は<0.1 %、3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸の含有量は<0.1 %である。比較例1(Dyes and Pigment 12, 57-63,(1990) の例):クロロベンゼン中の3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリド:最初に、99.0g(0.52mol)の3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸及び1mL のN,N'- ジメチルホルムアミドを600mL のクロロベンゼン中に導入し、68.5g=42mL(0.58mol) の塩化チオニルを40℃で添加する。次いで、この混合物を40℃で1.5 時間攪拌し、その後、過剰の塩化チオニルを減圧で留去する。3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリドの透明なクロロベンゼン溶液776.8gが得られる。3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミド:最初に、75.0g(0.5mol) の5-アミノベンズイミダゾロン及び41g の無水酢酸ナトリウムを700mL のN,N'- ジメチルホルムアミド中に導入し、3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリドのクロロベンゼン溶液776.8g(99.0g(0.52mol)の3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸から製造)を5 〜10℃で30分間かけて計量添加する。添加が終了した後に、この混合物を20℃で3時間攪拌し、50℃に加熱し、濾過する。濾過ケーキを吸引濾過(吸引時間:14時間)で良好に濾過することができない。精製するために、濾過ケーキを1mLのメタノールに溶解し、この混合物を攪拌し、吸引濾過し、濾過ケーキを250mL のメタノールで洗浄し、次いで全体で1Lの沸騰水を数回に分けて洗浄する。乾燥後に130.3gの3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドが得られる:これは理論値の81.7%に相当する。【0016】このようにして得られた生成物は、堅ろう度の優れたアゾ顔料を製造するために使用できず、HPLCによれば約0.1 %の5-アミノベンズイミダゾロン及び約0.8 %の3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸を含み、さらに汚染されている。 3-ヒドロキシ-N- ベンズイミダゾロン-5- イル-2- ナフトアミドを製造する方法において、N-メチルピロリドン中の5-アミノベンズイミダゾロンと炭酸ナトリウムとをキシレン又はトルエン中の3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリドの溶液と反応させ、濾過し、その濾過ケーキをキシレン又はトルエンで洗浄し、炭酸ナトリウムを添加した水中にこの濾過ケーキを導入し、水蒸気蒸留し、残留物を吸引濾過し、洗浄し、乾燥することを特徴とする上記方法。 5-アミノベンズイミダゾロンを、3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸1モル当たり0.9 〜1モルの量で使用する請求項1に記載の方法。 炭酸ナトリウムを、3-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸1モル当たり0.8 〜1.8 モルの量で使用する請求項1又は2に記載の方法。 N-メチルピロリドンを、5-アミノベンズイミダゾロン1部当たり3〜6容量部で使用する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 キシレン又はトルエン中の3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリドの溶液と5-アミノベンズイミダゾロンとの反応を15〜40℃で実施する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 最初に、5-アミノベンズイミダゾロンと炭酸ナトリウムとをN-メチルピロリドンに導入し、トルエン又はキシレン中の3-ヒドロキシ-2- ナフトイルクロリドをそこに計量添加する請求項1〜5のいずれかに記載の方法。 添加時間が少なくとも2時間である請求項6に記載の方法。 水蒸気蒸留が5-アミノベンズイミダゾロン1部当たり5〜7部の水及び0.5 〜0.6 部の炭酸ナトリウムを用いて実施される請求項1〜7のいずれかに記載の方法。