タイトル: | 特許公報(B2)_含硫黄(メタ)アクリル酸エステル |
出願番号: | 1995267330 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C07C329/06,C07C329/10,C08F20/38 |
池本 哲哉 坂下 啓一 福島 洋 元永 彰 牧野 伸治 JP 3595615 特許公報(B2) 20040910 1995267330 19951016 含硫黄(メタ)アクリル酸エステル 三菱レイヨン株式会社 000006035 池本 哲哉 坂下 啓一 福島 洋 元永 彰 牧野 伸治 20041202 7 C07C329/06 C07C329/10 C08F20/38 JP C07C329/06 C07C329/10 C08F20/38 7 C07C329/00 C08F 20/00 CA(STN) REGISTRY(STN) 国際公開第93/018070(WO,A1) 特開平04−189807(JP,A) 特開平01−226870(JP,A) 特開平04−187668(JP,A) 特開平06−116337(JP,A) 1 1997110827 19970428 5 20001212 前田 憲彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、各種透明樹脂用コモノマーとして有用な新規な含硫黄(メタ)アクリル酸エステルに関する。【0002】【従来の技術】近年、無機光学レンズに代わる素材としてアクリル樹脂のような透明合成樹脂よりなるプラスチックレンズが、軽量で耐衝撃性が良く、成形加工が容易なことから用途を拡大しつつある。この場合主にさらに軽量化を図るにはレンズ自体の屈折率を上げることが必要となる。【0003】高屈折率のプラスチックレンズを製造する方法としてこれまで種々提案されている。例えばポリマー分子構造中に分極率の大きいハロゲン原子を導入する方法が特開昭59−8709号公報や特開昭59−45321号公報等に提案されている。また、ポリマー分子構造中に分極率の大きい硫黄原子を導入する方法が特開昭60−199016号公報、特開昭63−130614号公報及び特開昭64−26622号公報等に提案されている。しかしながら、臭素原子や沃素原子のような分極性の大きいハロゲン原子の導入は比重が大きくなるため、レンズの軽量化に関してはあまりメリットがないばかりか、光に対して不安定である。これに対して硫黄原子の導入は比重が小さいばかりでなく、アッベ数もあまり低くせず、さらに可視光に対してもある程度安定であることから最近は注目されている。【0004】しかしながら、プラスチックレンズを熱硬化法で製造する場合には殆ど問題にならなかった着色の問題が、(メタ)アクリル系樹脂の製造法の一つの大きなメリットである紫外線硬化法を採用する場合、硫黄原子を含むモノマーを用いると多くの場合紫外線硬化時に着色の現象が観察される。さらに耐候性試験においても著しい黄着色が観察され、レンズにとっては致命的な問題となる。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、紫外線により硬化する方式を採用した場合に、硬化時に着色が起こらず、しかも高屈折率、低比重、良耐候性の成形品を与え得る新規な含硫黄(メタ)アクリル酸エステルを提供することである。【0006】【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記一般式(1)で示される含硫黄(メタ)アクリル酸エステルを要旨とするものである。【0007】【化2】(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子が一つ以上ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、トルイル基、ベンジル基、ビフェニル基又はナフチル基を示す。)【0008】本発明の上記一般式(1)で示される含硫黄(メタ)アクリル酸エステルはチオ炭酸エステル構造を有するものであり、その紫外線硬化物が透明であり、また高屈折率を有し、しかも軽量であることからレンズ用途のみならず、フイルム、シート、各種成形品等、さらには各種保護膜形成剤にも用いることができる。特に各種紫外線硬化型樹脂形成用成分として好適に用いることができる。【0009】本発明の上記一般式(1)で示される含硫黄(メタ)アクリル酸エステルにおいては、これを用いた紫外線硬化物の熱軟化性温度を高めることからR1はメチル基であることが好ましく、R2はフェニル基であることが好ましい。屈折率を上げる効果からすればR2は水素原子が1つ以上ハロゲン原子で置換されたフェニル基、トルイル基又はベンジル基であることが好ましい。さらに軽量性という点を併せて考慮するとR2はフェニル基、トルイル基、ベンジル基、ビフェニル基、ナフチル基が好ましい。さらにまた、アッベ数を低めない効果や可視光の吸収という観点を併せて考慮すると、中でもフェニル基、トルイル基、ベンジル基が特に好ましく、その中でも分子容の小さなフェニル基が最も好ましいものである。【0010】【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、これらに限定されるものではない。【0011】実施例1メタクリロイルオキシエチルクロロホルメート(保土谷化学工業株式会社製)81gのエーテル600ml溶液中にチオフェノール44gとトリエチルアミン40gを含むエーテル溶液200mlを氷冷滴下し、しかる後、室温で2時間撹拌し反応させた。反応液を10%塩酸、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、溶媒を留去した。残さはヘキサン−酢酸エチル(12:1容量比)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル500g)により精製し、2−(フェニルチオカルボニルオキシ)エチルメタクリレート71gを得た。このものの物性を以下に示す。【0012】nD18=1.53431 H−NMR(CDCl3) 1.95(3H,s),4.36(2H,t,J=4HZ),4.47(2H,t,J=4Hz),5.60(1H,s),6.13(1H,s),7.35〜7.62(5H,m)実施例22−(フェニルチオカルボニル)オキシエチルメタクリレート50g、2,2’−ビス(2−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン50g、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド0.03g、t−ブチルパーオキシイソブチレート0.1gを混合し、室温でよく撹拌した後、50mmHgに減圧して10分間脱気した。次いで鏡面研磨仕上げした直径70mm、厚み3mmのガラス板2枚をガラス板間隔が2mmになるように組み合わせ、その回りをポリエステルテープで被った鋳型に前記脱気物を注入し、その後ガラス板の両面から2kwの高圧水銀灯を用いて30J/cm2の紫外線を照射して注入物を重合硬化した。【0013】しかる後、ガラス板をはずして得られたプラスチック板の屈折率を測定した結果20℃で1.582であった。また黄着色はなく、全光線透過率を測定したところ90%であった。また、サンシャインウエザーメーターでの加速曝露試験を200時間行った後も黄着色はなかった。【0014】比較例1実施例2において、2−(フェニルチオカルボニル)オキシエチルメタクリレートの代わりにフェニルチオエチルメタクリレートを用いる以外は実施例2と同じ方法によりプラスチック板を作成した。得られたプラスチック板を実施例2と同じように評価したところ、屈折率は20℃で1.586であり、全光線透過率は89%であったが、やや黄着色していた。また、200時間の加速曝露試験を行ったところ著しく黄着色した。【0015】【発明の効果】本発明の含硫黄(メタ)アクリル酸エステルは、低粘性で扱いやすく、しかも各種炭素−炭素二重結合を有するモノマーと紫外線のような活性エネルギー線を用いて共重合させても殆ど着色することなく、且つ高屈折率を有する高透明性の耐候性良好なプラスチックを与えるという優れた効果を奏する。 下記一般式(1)で示される含硫黄(メタ)アクリル酸エステル。(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子が一つ以上ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、トルイル基、ベンジル基、ビフェニル基又はナフチル基を示す。)