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タイトル:特許公報(B2)_硫化油脂又は硫化脂肪酸アルキルからの硫化水素除去方法
出願番号:1995258681
年次:2007
IPC分類:C07C 319/28,C07C 323/51,C10M 135/06,C10M 177/00,B01J 27/236,C10N 30/06,C10N 60/04,C10N 70/00


特許情報キャッシュ

山田 滋 沼田 英紀 JP 3911709 特許公報(B2) 20070209 1995258681 19951005 硫化油脂又は硫化脂肪酸アルキルからの硫化水素除去方法 大日本インキ化学工業株式会社 000002886 河野 通洋 100124970 山田 滋 沼田 英紀 20070509 C07C 319/28 20060101AFI20070412BHJP C07C 323/51 20060101ALI20070412BHJP C10M 135/06 20060101ALI20070412BHJP C10M 177/00 20060101ALI20070412BHJP B01J 27/236 20060101ALN20070412BHJP C10N 30/06 20060101ALN20070412BHJP C10N 60/04 20060101ALN20070412BHJP C10N 70/00 20060101ALN20070412BHJP JPC07C319/28C07C323/51C10M135/06C10M177/00B01J27/236 MC10N30:06C10N60:04C10N70:00 C07C319/00-323/67 C10M135/00-135/36 C10M177/00 C10N 30/06 C10N 60/04 C10N 70/00 B01J 27/236 特公昭45−19681(JP,B1) 特開昭48−44304(JP,A) 特開昭61−183392(JP,A) 特開昭62−25194(JP,A) 特開昭49−49894(JP,A) 4 1997100486 19970415 6 20021003 山本 昌広 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は硫黄系極圧剤として有用な硫化油脂及び/又は硫化脂肪酸アルキルから通気によって硫化水素を効率よく除去する方法に関する。【0002】【従来の技術】 硫化ラードなどの硫化油脂、硫化オレイン酸メチルなどの硫化脂肪酸アルキルは、金属加工油に用いられる硫黄系極圧剤として有用な化合物である。これらの化合物は、例えば、(1)特公昭58−17797号公報に記載されているように、不飽和動植物油脂又は不飽和動植物油脂肪酸エステルに硫黄を高温で反応させる方法、又は(2)特公平2−9640号公報に記載されているように、不飽和動植物油脂又は不飽和動植物油脂肪酸エステルに、塩基性触媒存在下、硫黄、硫化水素を反応させる方法で製造する。反応の後、反応生成物には、硫化水素が残留するので、大気圧の下で50〜120℃に加温して空気又は窒素ガスを反応生成物に吹き込んで、残存する硫化水素を除去する方法が一般的に行われている。【0003】【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、大気圧下に空気又は窒素ガスを通気する方法で、硫化油脂又は硫化脂肪酸アルキルから残留硫化水素を除去するには非常な長時間を要し、効率が悪いという問題点を有していた。【0004】 本発明が解決しようとする課題は、硫化油脂又は硫化脂肪酸アルキルから通気によって硫化水素を効率よく除去する方法を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】 本発明者らは、前記課題を解決するために硫化油脂及び/又は硫化脂肪酸アルキルからの硫化水素の除去効率に優れた除去方法を検討した結果、硫化油脂及び/又は硫化脂肪酸アルキルからの硫化水素の除去は、窒素ガスによる吹き込みでは殆ど効果がなく、溶存している硫化水素の除去だけでなく、硫化油脂本体からの硫化水素の再発生を抑制する必要があり、このために酸素を含んだガスの吹き込みが有効であることを見いだし、本発明を完成するに至った。【0006】 即ち、本発明は上記課題を解決するために、硫化油脂及び/又は硫化脂肪酸アルキルに通気することによって硫化水素を除去する方法において、酸素の含有量が30〜100容量%のガスを用いて通気することを特徴とする硫化水素の除去方法を提供する。【0007】【発明の実施の形態】 本発明の硫化水素除去方法の対象となる硫化油脂又は硫化脂肪酸アルキルとしては、例えば、豚脂、牛脂、大豆油、菜種油の如き不飽和油脂に、又はオレイン酸メチルの如き不飽和脂肪酸アルキルに、硫黄を加え、高温(140〜180℃)で硫化させて得られる硫化油脂、又は硫化脂肪酸アルキル、あるいは特公平2−9640号公報に記載されているように、不飽和油脂又は不飽和脂肪酸アルキルと、硫黄とからなる混合物に、塩基性触媒存在下、硫化水素ガスを吹き込み、更に高温(130〜180℃)で反応させて得られる硫化油脂、又は硫化脂肪酸アルキル(以下、「硫化油脂類」と略称する)が挙げられる。【0008】 本発明の硫化水素除去方法による処理前のこれら硫化油脂類の硫黄含有量は、通常、8〜20重量%である。【0009】 なお、硫化油脂類中の残留硫化水素濃度は、硫化油脂20gを内容量100mlの密閉容器中で100℃、1時間加熱し、発生した硫化水素を硫化水素ガス検知管で測定して得られる値である。残留硫化水素濃度の終点は、上記測定法で2ppmとし、ここに到達するまでの通気所要時間で硫化水素除去効率を判定した。【0010】 本発明の硫化水素除去方法において、通気するガスは、酸素の含有量が30〜100容量%のガスを使用する。通気時の圧力は、酸素含有量が30〜100容量%のガスを吹き込む場合、常圧〜0.5kg/cm2が適当である。【0011】 本発明の硫化水素除去方法における処理温度は、低温では効果が減少し、高温では硫化油脂の熱分解が起こる傾向にあるため、70℃〜120℃が適当である。また、通気量は、少なすぎると効果が減少し、多すぎると硫化油脂の飛散が起こる傾向にあるため、1時間あたり硫化油脂の容量の5〜15倍量の通気量が適当である。【0012】 本発明の硫化水素除去方法において、硫化水素の除去効率を更に向上させる目的で、脱硫酸化触媒を併用することが好ましい。そのような脱硫酸化触媒としては、例えば、塩基性炭酸銅[CuCO3・Cu(OH)2]、又はこれを活性炭担体上に保持させた添着活性炭が挙げられるが、処理後の触媒の濾過が容易な塩基性炭酸銅添着活性炭が最も望ましい。触媒を併用する場合の添加量は、硫化油脂類の0.1〜0.5%が適当である。【0013】【実施例】 以下に実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。【0014】 <実施例1> 硫化水素が残留した硫化ラード反応生成物(硫黄含有量12.0%)800gを、吹き込み管を取り付けた容量1リットル丸底フラスコに仕込み、攪拌しながら、内温90℃で100%酸素ガスを10リットル/時間の流量で液面下に吹き込んだ。一定時間毎にサンプリングを行なって、硫化水素濃度を測定し、2ppm以下になるまで吹き込みを続けた。終点までの吹き込み所要時間は、35時間であった。【0015】 <実施例2> 実施例1において、100%酸素ガスに代えて、酸素ガス50容量%及び窒素ガス50容量%から成る混合ガスを用いた以外は、実施例1と同様に処理したところ、終点までの所要時間は80時間であった。<実施例3> 実施例1において、100%酸素ガスに代えて、酸素ガス30容量%及び窒素ガス70容量%から成る混合ガスを用いた以外は、実施例1と同様に処理したところ、終点までの所要時間は90時間であった。【0016】 <実施例4> 実施例3において、炭酸銅添着活性炭2.0gを追加した以外は、実施例3と同様に処理したところ、終点までの所要時間は50時間であった。【0017】 <実施例5> 実施例3において、内温を90℃から110℃に昇温させた以外は、実施例3と同様に処理したところ、終点までの所要時間は35時間であった。【0018】 <比較例1> 実施例1において、100%酸素ガスに代えて、空気を常圧で吹き込んだ以外は、実施例1と同様に処理したが、210時間を経過しても硫化水素濃度は10ppmまでしか低下しなかった。【0019】 <比較例2> 実施例1において、100%酸素ガスに代えて、空気を使用し、内温を90℃から110℃に昇温させた以外は、実施例1と同様に処理したところ、終点までの所要時間は91時間であった。【0020】 <比較例3> 実施例1において、100%酸素ガスに代えて、窒素ガスを常圧で吹き込んだ以外は、実施例1と同様に処理したが、300時間を経過しても硫化水素濃度は30ppmまでしか低下しなかった。【0021】 各実施例及び各比較例における処理条件及び硫化水素濃度が2ppm以下になるまでに要する処理時間を以下の表1にまとめて示した。【0022】【表1】【0023】(表1中、炭酸銅1)は塩基性炭酸銅を0.25%添加した添着活性炭である。)【0024】 従来の空気を常圧で通気する比較例1の方法に比べて、高酸素空気を用いた実施例1、2及び3では終点までの所要時間は大幅に短縮された。【0025】【発明の効果】 本発明の硫化水素除去方法によれば、硫化油脂及び/又は硫化脂肪酸アルキルからの硫化水素の除去に要する時間を短縮することができるので、生産性を向上させることができる。【図面の簡単な説明】【図1】 実施例1、実施例2、実施例3、比較例1及び比較例3における通気時間と硫化水素濃度との関係を示す図表である。【符号の説明】□ 実施例1◆ 実施例2◇ 実施例3▲ 比較例1▽ 比較例3 硫化油脂及び/又は硫化脂肪酸アルキルに通気することによって硫化水素を除去する方法において、酸素の含有量が30〜100容量%のガスを用いて通気することを特徴とする硫化水素の除去方法。 脱硫酸化触媒を併用する請求項1記載の硫化水素の除去方法。 脱硫酸化触媒が、塩基性炭酸銅からなる請求項2記載の硫化水素の除去方法。 脱硫酸化触媒が、塩基性炭酸銅を活性炭担体上に保持させた添着活性炭からなる請求項3記載の硫化水素の除去方法。


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